※この作品はR-18です。

創造戦士ガンプラダイバーズ Side:JOKER   作:JNEXEL

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episode 36 JOKERと言う呪い

「あ、アンタは確か...」

じりじりと後退るJOKERに、同じペースで歩み寄るトオル。

「そのカメラは、彼女以外のものが触れたらアラートが来る仕組みになっていてね...見てしまったのだろう?だったら君も知っておかなくてはならないね」

トオルが指をパチンと鳴らした。すると入口から2人ばかりの大柄な男達が現れ、JOKERの両腕を掴み連行した。

「一体どういうつもりだ!ぁあ!?」

必死に抵抗するJOKERだが、男達の力が余りにも強過るせいで徒労したに過ぎなくなった。連行された先は、写真で見たのと全く同じ場所だった。淡い緑の照明で辛うじて景色は見えるが、不気味さが増していた。いつしか男達はいなくなったようだが、どの経路を使ったのか全く思い出せず絶え間なく周囲を見渡した。

(どうなってんだここは...)

JOKERはそのまま階段を降り、更に地下へと歩みを進めた。洞窟をまるで削り取って作り上げられたような施設の中心に巨大な物体が鎮座していた。これは間違いなく写真に映っていた物なのだろうと見上げた矢先、スポットライトが点灯し目が眩んだ。

「何だよ一体...!」

奥からゆっくりと拍手をする音が聞こえた。その主は言うまでもなく、トオルだった。

「君は実に幸運だよ。騎士団に入ってすらいないダイバーが、ここに来る事は普通は有り得ないからね」

「こんな馬鹿げた所に誰が行こうって思うんだよ...」

「そうだね ...確かにこの場所は普通では考えられないやり方で構築されているから、ちょっとやそっとじゃセキュリティを抜けられない」

スポットライトが角度を変え、巨大物体を照らした。パイプが入り乱れるように露出し、中から赤い光が漏れている。その形はさながら脳のようであった。

「コイツはダイバーズだけじゃなく、世界全体の構図を変えてしまうだろう」

「何が...言いてえんだ」

トオルの言う事が突飛に感じられ、JOKERは怪訝そうな顔で巨大物体を見上げた。物体からは僅かに液体も滲み出ている。単に機械と言う訳ではなく、これ自身が一つの"生命"として機能しようとしている様にも見えた。勿論ガンプラダイバーズで、その様な所業は行えない。しかしトオルと言う男から放たれる異様な雰囲気は、それを可能にしてしまうのではないかと思わせるような"何か"があった。

「名前は言えないがこれは相当な代物でね。これ自体が仮想世界を制御する。勿論、全てのダイバーの思考をも...だよ」

ダイバーの思考までも塗り替える。JOKERはトオルが何を考えているのか測りかねた。この機械の中に人間を放り込んで洗脳するとでも言うのだろうか。それではまるで空想を実現しようとする、ある意味では危ない人間としか思えなくなった。

「頭大丈夫かよ...んな事中学生でも言わねぇだろ。見てるこっちが痛々しいだけだ」

「君は想像力がないからね。仕方がないよ。全てのダイバー達の思考を少し触るだけで、簡単に戦争は起きる。コイツを使う事でガンプラダイバーズは戦場になる。この世のありとあらゆる戦争の舞台はここに移行する。戦争...それを生み出すのは闘争本能。戦いは本能によって行われるのが自然だ。その中で人類は新たな物を作り上げるだけの力を手に入れた。何せ今使われている物は、戦争の道具から派生した物なんて少なく無いからね。でも戦いは命を奪い合う事で成立する。しかし闘争本能の先に人間の可能性が開かれる。ならば、リスク無しで実現出来ればどれだけ世の中が変わると思うかい?」

トオルはJOKERの顎に手を添え、目をじっと見つめた。同性という気持ち悪さを超えて、トオルと言う人間が持つ思想がJOKERの心臓を抉ろうとする。この時に直感した。間違いなく自分は利用される。そして彼の言う事に嘘がない、と。

「ふざけるな!んな下らねえ事、信じられるかよ!大体聞いてみりゃ何だよ、哲学家にでもなった気でいるんだろ...!」

「僕の思想は哲学とは程遠いかな。何せこれは長い歴史の中で証明されたことなのだからね。コイツを完全に起動させるには、"裁定者"たるJOKERの力が必要になる。ダイバーズの根幹に眠っているその力を持った者こそが、アレを使って新たな扉を開く。騎士団というのは、その先導を担う為に存在しているんだ」

トオルはポケットから黒い長方形型のデバイスを出し、JOKERの心臓に突き刺した。服とデバイスの間に電子的な揺らぎが見え、JOKERは満足に思考できなくなった。デバイスから流れる膨大な情報を受け止めきれずJOKERは地に伏した。トオルはJOKERを見下ろし、神秘的な物を目の当たりにしたかのような顔をした。

「そうだ...それでいい。君は"全ての裁定者"になる。その運命の針は君に向いたことになる」

 

「JOKER...JOKER?」

肩を揺すられ、JOKERは目を覚ました。いつの間にかエリィの居室のベッドで寝かされていた。顔を横に向けると、エリィが心配そうな顔で見つめていた。

「大丈夫?何か迷い込んだ上に体調崩したってトオルさんが...」

「アイツか...」

突然心臓と左手に激痛が走るが、JOKERは必死に平静を装った。だが騎士団が何をしようとしているのかを知ってしまった以上、エリィをこのままにはしておけないと感じ始めた。何としても彼女を騎士団から遠ざけなければならない。これは義務のようにも思えた。

「英梨...ここにいたらマズい...間違いない」

「どういう事よ?何かやらかしたんじゃ...」

「違う...あんなモンを作った奴なんか信用できるかよ!」

いきなりJOKERは飛び起き、エリィの手を掴んだまま適当な場所へ転移しようとする。しかし、転位先を表示するウィンドウはどの項目も封じられていた。

「ちょっと、絢斗?何してるの?」

「いいから黙って着いて...!」

JOKERはエリィを抱き寄せようとするが、振りほどかれてしまった。

「一体どうしたのよ?絢斗、何かおかしいよ!」

「おい!俺は...見てしまったし、聞いちまったんだよ!」

逃げようとするエリィの肩を掴み、強引にベッドに押し倒した。やめて、と抵抗する手を押さえつけ、エリィの目を凝視する。

「コイツらは...戦争を始めようとしてんだよ!この地下にバカでかい物仕込んでな!」

「戦争って...何バカな事を言ってんの!?」

「奴が俺を地下にまで連れ出したんだよ!写真を見たとかどうとか抜かしてな!」

「写真...見たの....?」

エリィは目を丸くし、JOKERを見つめる。

「ちょっと待ってよ...でもアレはパフォーマンスに使う大道具だって、トオルさんも王も言ってた!」

「そのトオルって奴が騎士団を利用してるってんだよ!戦争を起こすなんて馬鹿げた事しでかすために!」

JOKERが手を離そうとした瞬間、視界に激しいノイズが走った。脳にも電撃が走ったような痛みが襲い、力なく床に転げ落ちた。エリィは大慌てでJOKERを抱き起こしたが、思いも寄らない物を目にした。JOKERの胸元から上る電子の揺らめきに、エリィは戦慄した。彼の身に何が起ころうとしているのか皆目見当もつかない。

「JOKER...どうなってるのこれ...ねぇ、JOKER!!」

「ここを離れりゃ何とかなんだろ...これがある意味証明になっちまったわけだ...こんな馬鹿げた所にお前を置いておきたくねぇんだよ...」

JOKERはエリィの頬に指を触れさせ、再びウィンドウを開いた。ノイズが走る指で、あるポイントを指定して転移する。そこがどこなのか考えもしなかったが、ここを離れぬ限り状況が動かないのに変わりはない。そして二人がやって来たのは、全く見覚えのないエリアだった。現在地となる区画サーバーも分からず、他の場所への転移は不可能となってしまった。上にも下にも果てしなく伸びる円筒のような壁、そして中央を貫く淡い青の光を放つ柱。壁と柱をつなぐ通路以外に足の置き場がない危険な場所であった。

「どういう事だ、機体を出せるってよ...」

JOKERはどうにかこの場から抜け出す方法は無いかとウィンドウを操作していた。その中に見たことの無い項目があり、そこをタップした。JOKERの背後に電子線が集い、粒子が隙間を埋めるように入り込むとストライクJOKERを形成した。エリィは突然の出来事に思わず声を上げた。

「アバターで居られるのに、機体も出せるの!?」

「ここは特別らしいな...英梨も早く用意しろ!逃げ出すのバレたんじゃ話にならない!」

JOKERに促され、エリィも00ガンダム7SGを呼び出した。それぞれはコクピットに転移し、そのままこのエリアの"天井"へ向かい飛び立つ。しかし、レーダーが反応を捉えアラートを鳴らした。

「私達の他に誰かいる!もしかしたら迷い込んだ人が...」

期待混じりに呟くエリィとは対照して、JOKERは緊張を崩さなかった。

「違う...この反応は、騎士団だろ!」

ストライクJOKERが左右のサイドアーマーから大剣を装備、反応のする方向へ一直線に加速した。AGE-ⅡマグナムのFファンネルを接近専用武器に改造した大剣、"エレクトリックキャリバー"で転移してきたばかりであろうジ・0の胴体を真横一文字に一閃した。それを皮切りに、更に多数のMSがこの場所に転移してきた。

「これって...やらなきゃ、マズいって事か...!」

エリィも状況を飲み込み、GNソードⅡブラスターを放ちつつ薙ぎ払った。それを避けて突進してきたクロスボーンガンダムX1がブランド・マーカーを発し、殴りかかる。00ガンダム7SGは瞬間的にGNフィールドを展開、ブランド・マーカーを弾きGNソードⅡショートから刃先を射出した。刀身にはワイヤーが仕込まれており、刺突式のアンカーとしても機能する。刃がX1の脇腹に刺さる感触に合わせ、ワイヤーを収縮させて拘引し膝にマウントしたGNカタールの刃を、膝蹴りの要領で突き刺し撃破した。

「何なのこの数...!絢斗の言ってる事は、本当だったなんて...!」

敵の動きが明らかに殺意を持っていると感じ取り、エリィは彼を疑った事を後悔した。ストライクJOKERがグレイズ・アインを蹴り飛ばし、両肩から射出したデバイスから発したビームサーベルで貫く。その背後から襲い来るラファエルガンダムを00ガンダム7SGが蹴りつけ、GNバスターソードⅡで逆袈裟に斬り裂いた。

「...彼女、失格かな」

「んな事でお前の事を見捨てるかよ...たとえ信じなかったとしても、傷つけてでも連れ出してやるつもりだった」

互いを背にして騎士団と対峙する。JOKERはウェポンセレクタから"STRIKER"を選択し、更に出てきた項目の中から1つをタップした。

「レプトンストライカーを使う!英梨は少し離れろ!」

ストライクJOKERが空中に跳躍する。どこからともなく赤い物体が飛来し、ストライクJOKERの背中とドッキングした。ミッドナイトブルーの基部と下部ブースターユニットに、カーマインレッドの光子(フォトン)ブースター。そしてドッキングする事でフォトンブースターの左右から光子航空翼"フォトンウイング"を発生させた。まるで、エールストライカーを大型化させたような見た目のそれは"レプトンストライカー"と呼び、装着したストライクJOKERは"レプトストライクJOKER"となる。JOKERはコンソールに表示されたテキストボックスに何やら打ち込み、レバーを前に倒した。

「当然だがリミッターなんてもんはすぐに外さないと勝てない!コイツらに足元を掬われるのは癪なんだよ!」

レプトストライクJOKERは瞬く間に最高速度に達し、1秒すらかからずに軌道上にいる敵を火の玉に変えた。エレクトリックキャリバーとの相性は良く、相手に攻撃されたのを悟らせない速度で斬り刻んでいく。

「まだ来やがるか!だったらコイツだ!」

レプトストライカーの中央から伸びるバッテリー複合型コンテナから、楔形のデバイスが順次飛び出し向かい来る敵に向かって直進した。MSに接触するとデバイスは瞬時に爆発し、次々と撃墜した。

「数が多過ぎる...!そこッ!!」

00ガンダム7SGはくの字を描きながら接近、GNバスターソードⅡで3体ものMSを串刺しにし、GNソードⅡロングから刃状のビームを撃ち込み纏めて撃墜する。頭上からバーザムがビームサーベルを突き入れるが、00ガンダム7SGは後ろにステップしてGNソードⅡロング ライフルモードで逆に撃ち落とした。レプトストライクJOKER一人で殲滅しきれないのは英梨も察していた。

「この為に用意していたみたいね!...TRANS-AM!!」

コンソールがマゼンタに光り、"TRANS-AM"と表示された。00ガンダム7SGの全身に赤い電子線が走り、やがて全体が真紅の輝きに包まれる。本来のセブンソード/G装備では、トランザムの使用は0.03秒が限界だが、英梨はわざわざHG ダブルオーガンダム2キットからGNドライヴを移植し、挙句オーライザーからのフィードバックと自ら設定したユニットを背中に装着している。これにより、トランザムはダブルオーライザーと同等の時間で使用可能になっている。GNバスターソードⅡで2機のハイザックを一纏めに斬り抜け、GNソードⅡブラスターで、仲間の敵討ちに出たストライクルージュの頭に接射した。そのまま降下し、ロングとショート2種のGNソードⅡを振るい、騎士団の機体達を薙ぎ倒した。

「トランザム出来んのか...アイツがやる気なら!」

JOKERは00ガンダム7SGの戦いぶりに気を奮い立たせた。リアアーマーからビームライフルを装備し、00ガンダム7SGへ向かうMSを撃ち落としながらレプトストライカーからファンネルミサイルを発射する。敵の位置を正確に把握できている訳ではないので、命中精度に難があるものの、牽制のつもりだった為問題はない。

「何ッ...真上...!?英梨、避けろッ!!」

上空から反応を感知しJOKERが見上げた刹那、紫のスパークを伴った粒子の奔流が襲い掛かった。標的は00ガンダム7SGだと分かり、JOKERはエリィに警告したが間に合う気配がなかった。JOKERは迷わず機体を加速させ、00ガンダム7SGを救い出そうとした。そこへ別方向からの砲撃がストライクJOKERに直撃した。

「うわぁああああああッ....!?ハッ...!?英梨...英梨ィイイッ!!」

ストライクJOKERが壁に叩きつけられるのと同時に、00ガンダム7SGが粒子の渦の中に消えた。JOKERは英梨の名を叫びながら手を伸ばすが、モニター越しに届くはずがなかった。変わりに視界に入ったのは、両腕をボクシンググローブのように大型化させたバイアランと、リボーンズガンダムだった。

「ふふふっ....世の理を理解出来ない輩には、罰を与えないとね。君は最良の人柱になれるだろう。だけど誇りたまえ...君が人類初の"JOKER"になるのだから」

リボーンズガンダムはバイアランと共に姿を消した。JOKERは機体を強引に起こし、00ガンダム7SGのもとへ歩み寄る。ストライクJOKERのマニュピレーターで00ガンダム7SGのコクピットハッチを引き剥がした。しかし、JOKERの顔は絶望に染まった。彼の目に映るエリィは、既に人の形をしていなかった。衝撃により肉体が潰されたらしく、臓物や血しぶきがコクピット中を濡らしていた。JOKERはこの光景を信じまいと何度も目を逸らしては、00のコクピットに戻した。しかし変わらず血に濡れた想い人の変わり果てた姿だけが、目に焼き付いた。

「うわぁああああああああああああああッ!!!!!」

JOKERの慟哭に呼応するように、胸の傷と左手の甲に光が走った。目の前の柱から蔦のようなものが伸び、ストライクJOKERを中へと引き込んだ。機体からJOKER本人を引きずり出し、膨大な情報を浴びせる様に流し込む。JOKERの視界は、ブラウン管テレビの電源を切ったようにぷつりと真っ暗になった。

 

 

「何だ...何も起きないじゃないか!JOKERがアレに触れると災厄が起きるってのは嘘かよ!」

レオンはJOKERと柱の接触から何も起きなかった事に、王への怒りを募らせた。JOKERの核となるものを手に入れると、完全なる破壊者となる。かなり前からその様に王から聞かされていた。しかし現状を見るにJOKERに何かしらの変化は無く、ただ柱と接触して縛られているようにしか見えなかった。

「だったら...今潰すのが好機だろう!」

非戦闘区域表示が消えたのをいいことに、レオンはハイゼンスレイⅡ・ラーのバーニアを最大にした。左腕のCBSをクローモードに変形させ、JOKER目掛け射出した。だがJOKERはCSBの爪を握り、捩じ切った。

「邪魔すんなよ....今怒りを抑えるので精一杯なんだからさ...!!」

JOKERのツインアイがギラリと輝く。突然ハイゼンスレイⅡラーの右肩と左足が弾け飛んだ。

「うぉぁあああッ!?何だ今のは!?」

未知の現象にレオンは思考が止まりかけた。しかし、無慈悲に振り下ろされる刃によって断末魔も上げることなく仮想世界から消滅した。

 

「...あの機体って...英梨さん!?」

レイはSECTOR 3の隅で横たわる機体にヘイルソーサレスREを着陸させた。装甲が焼け爛れ、注意深く見てようやく機体を見分けられる位に酷い損傷を受けていた。

「レイ...ちゃん...何で、ここに...?」

「英梨さんが無茶するからでしょ...無事で良かった...」

レイはヘイルソーサレスREの腕を伝って降り、アウトフレームのコクピットを開けた。J.E.が中から出ようとするのを手伝ってやると、そのままヘイルソーサレスREのコクピットに乗り込んだ。

「ここだとこんな事も出来るんだ...知らなかった」

「ごめんね、レイちゃん...心配かけさせて」

「英梨さんを助けるのも、私のやりたい事だから」

レイがちらりと見せた横顔が、どこか嬉しそうだった。この短い間にここまで強くなるとはJ.E.も驚くが、あの年頃は一番伸びるのだと改めて思った。

「ハイラックがウェルス達見つけたって...SECTOR...2?」

レイはハイラックからの通信を受け、J.E.の作成したSECTORの擬似マップを開いた。これまでSECTOR 2は他から隔絶されており、物理的に侵入が不可となっていた。しかし現在はこのSECTOR 3からのみパスが繋がっているのか、進入ルートが追加されていた。

「騎士団の誰かがここに来たのかもね...そのために繋いだんでしょう。行くわよ、レイちゃん」

「やっぱりその方が頼れるよ、英梨さん」

「レイちゃんに誂われてんの、これ?」

「本心だよ...私は英梨さんの事も好きだから」

こら、とJ.E.はレイの頬を指で押した。レイはヘイルソーサレスREのスラスターを噴かせ、マップのルートに従いSECTOR 2へ向かった。

 

数分程でSECTOR 2に到着した。何と、エウクレイデスⅡが停泊していた。

「何で...」

「レイさん、お久しぶりですね。ランフォードです」

セカンドチームのリーダー、ランフォードから通信が入る。

「今、騎士団の改革勢力の首魁と会議が終わった所です。もうすぐこちらの本隊も来るようですから通路は空けておいてください」

「ランフォード卿、あの...えっと....何、あれ」

レイはエウクレイデスⅡの隣に並ぶ、山脈もかくやの大きさをした物体を指差した。J.E.はレイの髪を撫で、ポニーテールに指を絡ませた。

「奏ちゃんだっけ...言ってなかった?アレが、マザー・メタトロン」

「こ、これが...!?デカ過ぎない...?」

呆然とマザー・メタトロンを眺めるレイの前を、フルーティストウイングとF91-Mが横切った。それについていく形でヘイルソーサレスREを旋回させた。

「ごめんね、レイ。JOKERを捕まえたと思ったらこんな所に飛ばされたんだ」

エルニアが申し訳無さそうに目の前で手を合わせた。レイは少し考えるふりをして、エウクレイデスⅡのカタパルトデッキにヘイルソーサレスREを立たせた。

「気にしてないから、謝らないで。そもそもアイツを捕まえるってかなり無理があるって分かってたから。むしろ英梨さんを連れ戻す方が大事だったかも知れないし...」

レイは再びJ.E.を見上げる。流石のJ.E.も言い返す気がなかったらしく、力なく笑った。

「ほんっと、ごめんなさい!」

「レイ、大人の人を謝らせまくったらダメじゃない?」

と言いながらエルニアも笑っていた。大きな心残りがあるが、それでも束の間の休息が訪れたと思った。

「そこの3人は笑っている場合じゃない!」

突然ウェルスから通信が入り、4人はビクリと肩を震わせた。

「ちょっと、何ぃ?」

エルニアが頬を膨らませ抗議するが、ウェルスは何も言わずBLADETをそのまま前進させた。やはりこのスタイルは相変わらずなのである。

「ついてこいってことでしょ?誰か行くならいいけど」

「なら私が行くよ。奏、英梨さんをお願い」

レイはJ.E.をヘイルソーサレスREのマニュピレーターに乗せ、F91-Mの左手に移した。そしてフルーティストウイングとヘイルソーサレスREは浮上し、BLADETの後に続いた。

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