※この作品はR-18です。

創造戦士ガンプラダイバーズ Side:JOKER   作:JNEXEL

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episode 42 開戦、最終戦争

「これが君の言う本能の権化か...アレがガンプラとは思えんな」

ヴェイン・ツクモはトオルに招かれバルトアンデルスからかなり離れた、岬へとやって来た。純白の外骨格に似つかわしくない程不気味な顔と、その左右に並ぶ逆さまになった人間の顔は、ヴェインでさえも気味悪さを感じずにはいられなかった。

「しかし完全な状態になる前に動き出してしまったからね...まぁこれだけでも全てのダイバーを排除出来るようには、なっているけどね」

トオルのリボーンズガンダムが隣に降り立ち、デルタフリューゲルに小さな揺れが伝わる。

「だがこの中でも生き残った者達こそが...と言うことだろう」

そして二人は交流区画へ転移した。

「君にとってのいい標本が手に入るだろうね」

「...所で何故急に協力する気になった?」

御所会談以降、トオルの動向を訝しんでいたヴェインは、何度か間者を仕向けて監視させた。しかし彼の動きからは目的がまるで見いだせず、ヴェインとしては信用できないと感じ始めた。だが一昨日、唐突にトオルから計画に協力する旨を告げられ状況が一変したのだ。

「こうも早く起動されてしまうと、僕の目的から遠のいてしまう。早々に廃してしまわねば、悲しい事になりそうだしね」

トオルが力なく笑う。それをヴェインは見たまま信じる事は出来なかった。背後から足音がし、二人が振り向くとそこには門松が立っていた。

「どうだい、俺のシナリオは...悪くねぇもんだろ...俺にアレを持たせたのがそもそもの間違いだったようだな」

「Concept-E57か...!」

目を見開くトオルに、門松はニヤリと唇を歪ませた。この瞬間にヴェインも意味を察し、見えぬ様にウインドウで何かに指示を送る。

(例の実験に関連するものは全て我々が回収したはず...まさか記憶だけでその全てを復元したというのか...!?)

「...成程、気づいていたんですか」

「作ったものなんてのはなぁ...作った人間が一番詳しいに決まってんだよ。...ったく、ここまで来るのに何度娘を裏切るような思いをしなきゃならないと思ってんだ」

門松がポケットから出した黒い端末に、トオルは「ほぅ」と声を漏らした。

「ダイバーズを戦争の道具にするなんて馬鹿な事に誰が付き合うか!」

門松の指が端末のボタンにかけられた瞬間、背後から電撃の様な痛覚が走った。目を向けてみれば、フードを被っているせいで何者か視認できい。しかし門松には雰囲気で何となくではあるが、察しがついた。

「君は...翼君の......やれやれ、何てこった。間者まで寄越すとは......畜生ッ!!」

フードを被ったその間者はトオルに端末を手渡すと、ヴェインのそばにピッタリとくっついた。

「門松教授....あなたは私が出会った中でも特に優秀な方でした。......ですが残念です、こんな形であなたをこの世界から排除することになってしまいました。不出来な教え子をお許しください」

ヴェインがさも苦しげに話し、間者と共にダイバーズから姿を消した。

「白々しい事を...!」

アバターに電子的な揺らぎが現れはじめ、門松は満足に起き上がれず悔し紛れに地面を殴りつけた。トオルはゆっくりと歩み寄り、左手の甲を門松に見せた。オールドイングリッシュ体で書かれた、"J"の紋章に門松は目を丸くした。まだ薄くぼんやりと光っているに過ぎないが、間違いなくJOKERの紋章その物であった。

「あなたが驚くのも無理はないでしょう。あなたもJOKERの実装に関わってるのだから、僕のこの手に写っている物を信じられるはずがない」

「JOKERは2つとして存在しないはずだ.......まさかアイツ......!?」

「葛城 絢斗。彼をJOKERに選ばせたのは僕です。破壊者となってもらうことで、JOKERの能力をテストしていたのです。それが王を焦らしてしまったのかアレを起動したのでしょうが....しかし彼の能力も残りわずかの時間しか持たない。そして全てを僕が受け継ぐ」

「冗談じゃない!お前がダイバーズの全部を握ろうってのか!」

「いいや。世界の全てを牛耳れない、ただの人間だよ。僕は」

トオルが指を鳴らした瞬間、門松を包んでいる揺らぎが激しくなり彼を仮想世界から葬り去ってしまった。

「まだ、僕はただの人間さ...」

 

「レイ、ご苦労だった。機体も身体も無事か?」

ルミナクェーサーⅡが着艦すると、ハイラックがハッチを開けてレイに手を差し伸べた。

「別に。慣らし運転には丁度良かったんじゃない。そっちはどうなの?」

ハイラックに手を引かれコクピットから出ると、手摺に腰掛けて新造されたバックパックに換装したガンダムECを眺めた。

「ネオ・エンハンスドの事だろう?調整はすぐに終わったし、使用感はなるべく変わらないようにもしてたから問題ない」

レイがスワンに呼ばれ、この場を離れるのを見送り、眼下のデッキの様子を眺めた。思えばJOKER事件を追い始めてから、MPD全員が色んな出来事に遭遇した。ブルームーンと合流してからそれが加速して、今こうして彼女と再び並んで歩けるようになった。いざ思い返そうにも、上手く一言で言い表せる気がしなかった。ハイラックが一人思いを馳せる所で、絢斗が通りかかった。

「やっと見つかったぜ」

「え...?葛城さん?」

JOKERではなく、本名でいきなり呼ばれ絢斗は引き気味に驚き、一歩後退った。

「何だよ急に...気持ち悪りぃな...」

「神宮寺さんから、葛城さんが同じ研究室の先輩だと聞いていましたので」

「そうなのかよ...けど別に気にするな。俺、ほとんど顔出してなかったんだから。それより、お前に頼みがある」

「頼み...?どういう風の吹き回しなんだか」

絢斗が真剣な眼差しでハイラックを見るので、内心緊張が走った。

「もう俺に残された時間は無い。...てのも変だが、お前がまたアイツを導いてやってくれ。どん底から這い上がらせるまでが俺にできることだ。けどそこから先はお前らで作るべき未来だ。いつまでも破壊者風情に導かれてちゃ、ろくな事にはならんだろ」

確かにハイラックからしても、絢斗がレイをここまで変えたのは事実だった。しかしそれは自らの存在を希薄に感じていた彼女を、どうにか真っ当に生きられるようにするまでに過ぎない。その先の将来は、ハイラック―拓と怜の二人で築き上げる物だ。そして、彼女を愛し見たことのない世界を見せるのは、拓にとっての願いでもある。

「言われなくても、やって見せるさ。...ただ、礼だけは言わせて欲しい。怜を...ここまで強くしてくれてありがとう」

「そんな改まって言う事かよ。俺は俺のやりたいようにやっているだけだ。やっぱ今言った事は忘れろ、気分が悪い」

絢斗は溜息を付き、手をヒラヒラと振りながらこの場を後にした。

 

「マザーメタトロンを出港させられないとはどういう事なんです!」

キャプテンがブリッジに入って早々、ウェルスがやけに騒いでいた。何かを抗議しているようだが、その相手を見た途端キャプテンは大慌てで介入した。

「一体何だってんだ!?ウェルス、何でお前がそんなに騒いでる?」

「出港準備が終わる目処が立たないと言い出した。だがマザーメタトロンが出せない限り奴らとの戦力差が広がってしまう!」

黒いコートに身を包んだ、背の高い壮年の男が困ったような顔でウェルスとキャプテンを交互に見た。彼こそがマザーメタトロンの艦長、アーロンである。

「ですから、エネルギーの循環系統もろくに作動していない状況なので、すぐに出港しろと言うのは無茶です」

「だったら、他のMSを使って始動分を確保すればいい!」

「ウェルスは落ち着け!」

キャプテンがその場を制し、ウェルスを引き下がらせた。

「ところで艦長。エネルギーがどうとかって、どうすれば解決するんです?」

「そうですね...こちらをご覧下さい」

アーロンがアヤカに一言断り、モニターを操作すると、マザーメタトロンの断面図を模したマップが表示された。

「この後部のメインエンジンルームですが...このマザーメタトロン自体作られてから一度も稼働させたことがないので、アイドリング状態から復帰するのはかなり時間がかかります。このようにエネルギーを循環させることでマザーメタトロンは動きます。ですがそれに足るエネルギーを発生させるには、呼び水の要領で送り込む必要があるのです」

「だからウェルスは他のMSを使えって言ってたんだ」

エルニアが納得した様に掌をポンと叩いた。

「じゃあマザーメタトロンを動かしている動力源ってのは何なんです?」

キャプテンが問うと、アーロンは画面を切り替えた。G-セルフの脚部の写真がズームアップされ、その場にいた一同が驚きを隠せず声を上げた。

「フォトン・バッテリー...!?でもフォトン・バッテリーで動かしている機体って、こっちには一つしかないです!」

アヤカがどこからかレイを模したぬいぐるみを取り出した。そして運悪く、レイとスワンもブリッジに入って来た。

「デューク側にはフォトン・バッテリーは無いのか?」

「我々の中には恐らくR.C.の機体はいるはずだが...まともに調べたことが無いから保証できん。済まない」

キャプテン達の話している内容を知らないレイは、こっそりとウェルス達に聞く事にした。

「何の話してるの、これ?」

「何か、マザーメタトロンが動かせないんだって。それで、フォトン・バッテリーが必要みたい」

エルニアがレイに耳打ちで事情を説明する。フォトン・バッテリーを搭載しているのは、自身のルミナクェーサーⅡが真っ先に思い当たった。

「マザーメタトロンが出せないんでしょ?いいよ、私の機体でいいなら手伝うよ」

「正気か!替えのバッテリーは無いんだぞ!」

流石のキャプテンも正気を疑わざるを得ず、阻止にかかる。だがレイは掌を向けて逆に制すると、アーロンと共にデッキへ向かった。

「お早い決断でしたね...本当に大丈夫なのですか?」

「皆に迷惑をかけた分、働かないと釣り合わないですから」

そういう事でしたか、とアーロンは笑った。二人はルミナクェーサーⅡに乗り込み、カタパルト付近で待機中のSFS"ダベー"まで機体を歩かせた。下では葉山がサイリウムを振って誘導している。

「本当に大丈夫なんだなー!?」

「大丈夫よ、ハッパさん。すぐに終わるみたいだし。ルミナクェーサーⅡ、出ます」

ルミナクェーサーⅡがダベーに乗り、カタパルトを飛び出した。マザーメタトロンは海中から半分だけ顔を出した状態で浮いており、水上を滑るように移動するしかなかった。10分程して、アーロンの言うメインエンジンルームの位置に辿り着いた。アーロンがルミナクェーサーⅡのコンソールを使ってパスコードを入力すると、メインエンジンルームのハッチが上下にゆっくり開いた。しかし入口のハッチも通路の広さもMSの何倍もあり、レイは奇妙な感覚を味わいながらルミナクェーサーⅡを進ませた。

「何かここ...クレッセント・シップみたい...」

「よくお気づきですね。このマザーメタトロンのエネルギー循環系統や、その周辺はクレッセント・シップの物を応用しているのです。あそこの壁に台座があります。アレにアルケインを格納すれば、自動でエネルギー供給が始まります」

メインエンジンルームの一番奥の、壁にはMSデッキとよく似た窪みがあった。そこにルミナクェーサーⅡを着地させ、格納した。レイとアーロンは急いで機体から降り、シャッターが閉じられる前に抜け出した。壁を伝う回路を光が走り、次第にエンジンが駆動するような音が聞こえ始めた。

「G-セルフ5体を使って動かなかったのは、ギリギリ足りていなかっただけなんて...何で誰も気づかなかったんだ......」

予想よりも早く駆動した事にアーロンは複雑な心境だった。喜ぶべき事なのは間違いないが、妙な後悔も同じように感じていた。

「これでマザーメタトロンは動くんですか」

「もちろんです。あなたのお陰で初めてマザーメタトロンを.....失礼を承知ですが、あなたの様な若い方がそんな格好をするのは.....」

アーロンは目を手で覆い、気不味そうに呟いた。そう、今のレイは専用のスーツを着ているのだ。所々瑞々しい肌が出ているのが、アーロンとしては余計に心配になってしまう。レイも言われてスーツを見るが、別段気に留めなかった。

「私の彼氏がそう言うの好きだって事に...しておいてください」

「えぇっ...??ず、随分な趣味をお持ちなのですね...」

レイは明後日の方向を向いて一瞬だけ舌をぺろりと出した。

(ごめん、ハイラック)

 

エウクレイデスⅡから通信が入り、キャプテンがアヤカに繋ぐように指示した。モニターにはランフォードとエスが映っていた。

「騎士団の出してきたあのモビルアーマー、名前をバルトアンデルスと言うそうです」

ランフォードが画像を転送し、キャプテンはそれをまじまじと見つめた。かなり遠くから撮影したものらしく、真っ白な事以外はよく見えなかった。

「これじゃあ見えないじゃないか。あの空に浮かんでる奴の中身って事か?」

「その様です。5時間前にエスをあの中に送り込んで調べさせたのですが...まさかそちらもJ.E.さんを出向かせてたとは」

「あぁ言うのはジャーナリストにやらせるもんだと相場が決まっている。んで、エスが掴んできたものがあるなら見せてくれ」

ランフォードに代わり、エスが画像を送信した。

「空中から何かを作りだして自分の物にしながら大きくなってます。神宮寺さんがどこまで見ているのか分からないですけど、俺はこれを見たんです」

次にエスが見せた写真に、キャプテン達一同は絶句した。上から見たものだが、虫を思わせるようなシルエットに、巨大な人間の顔がついていた。機械と彫像を足したような見た目は、誰しも不気味さを感じる。

「何これ気持ち悪っ...!あんなのとどうやって戦うの......」

エルニアの漏らした感想は尤もであった。

「ただ、今は動いていないみたいなんだ。どれだけ近づいても、何もして来やしなかった」

「どうやって近付けたんだ...」

ウェルスは半ば呆れ気味に溜息をつき、外套の埃を払った。エスも何故そうなったのか上手く説明できず、ただ苦笑いした。よく分からない所で運の良さを発揮してしまうのがエスなのだ。

「おっ!情報交換会やってるね!私も混ぜてよ。あ、私の事はエリィでも神宮寺さんでもいいから!でも可愛い娘にお姉ちゃんって呼ばれると悶えちゃうからNGね!」

調査から戻ってきたエリィがブリッジに現れた。そして突然過ぎる宣言にエスを含めた全員が唖然とした。しかしエリィは意に介さずモニターを操作し、バルトアンデルスの全体写真を表示した。

「あの中に飛び込むなんてさ、私にも出来なかったのに!エス君やるじゃん!将来はジャーナリストの道に進むのもありなんじゃない?」

「えっ...えぇ??」

画面越しにエスにグッドサインをして見せると、コホンと咳払いをしてトーンを戻した。

「...まぁ、ここから真面目に話すとして。バルトアンデルスが位置している場所は、騎士団の本拠地の真上。そこから一歩も動いてないし、恐らく動けないはず。そして、アイツが吸収しているのはダイバーズの全エリアにあるリソース。簡単に言えば建物とか言うオブジェクトね。それでコイツが何をしようとしてるのかと言うと...これはあくまでも予想だけど」

エリィは画面を切り替え、アニメーションを再生した。バルトアンデルスを示すマーカーにブロックが集まる。それらは何かしらの規則性を持って合体しているらしく、バルトアンデルスの周囲で何かを形成しているのが分かる。

「何だこりゃあ?」

キャプテンがじっとアニメーションを凝視ししながら首をひねった。突然アヤカが手をパチンと叩いた。

「もしかして...戦艦かもです!」

「アヤカちゃんビンゴ!」

エリィは指を鳴らし、アヤカにウィンクした。

「正確には要塞だと思うけど、バルトアンデルスはオブジェクトを作り変えて自らの城を作ろうとしてる。私が昔聞いた話だと、バルトアンデルス自体には戦闘能力は無いらしい。それが本当なら、こうやって要塞を作るのもそれなりに納得できるって訳」

「アレに戦闘能力が無い、とな...?初めて聞いたが、それは誰から聞いたのだ?」

バルトアンデルスの存在自体、デュークが騎士団から離脱を図る直前に知った事だった。エリィが在籍していた当時の騎士団でも間違いなくトップシークレットの情報のはずである。それを末端の彼女が知っているとは到底思えなかった。

「トオル・アルマーニュです」

「何...?奴からだと!?」

エリィは画面に向き直るが、その表情は今にも吐き出しそうであった。

「すいません、デューク...思い出したく...ないんです」

「それは失礼をした...報告の続きを頼む」

ひと呼吸置き、エリィは再度説明を続けた。

「エス君も気づいてると思うけど、バルトアンデルスが要塞を形成するパターンがあって、唯一の弱点となる場所が生まれるの。けど近づいて突破しようものなら間違いなく、対応はされるでしょうね」

「となれば...この距離を狙撃すると言うことか?」

ウェルスはモニターに映るバルトアンデルスを見、次にエリィを見た。

「数百キロは離れてるから....少なくともそれしか有効な手段はないね」

狙撃すると言う手段がキャプテンの脳内で引っかかり、エリィをしばし眺めた。

「そういやお前...狙撃できたろ?」

「へっ!?わ、私ですか!?いやぁ〜昔は出来たんですけどねぇ.......今は視力が落ちてるから...あはは...!」

「......となると、消去法でアイツしかいないと言う事か」

「ウェルス君の考えてるとおり、レイちゃんが適任なのよね。マザーメタトロンには確かMS側からもコントロールできる砲台があるんだっけ、エス君?」

「あれだけはオリジナルで用意したって艦長さんが言ってましたよ」

「って事は、作戦遂行への役者は揃ったって言う話!」

キャプテンが立ち上がり、エリィ達を前に並ばせた。既に誰もが戦闘モードにスイッチを切り替えていた。

「よし!マザーメタトロンの復旧完了次第、レイには主砲での狙撃をやらせる!発射を合図に手筈通り出撃しろ!いいな?」

「了解!」

それぞれが一斉に持ち場に移動し始め、いよいよ最後の戦いへの火蓋が切って落とされようとしていた。

「アヤカはレイに回線をつないでおけ!」

「はいです!」

 

「これで終わりなんですか?」

「初期駆動には十分なエネルギーを確保しましたので、これで完了です。ありがとうございます」

レイがルミナクェーサーⅡのインテリアを起動させた瞬間、ブルームーンから通信が入った。

「レイだけど。何?」

「今すぐマザーメタトロンの頂上に行ってもらいたい。どうやらそこには超射程の砲台があると言うんだ。そこに到着次第、あのデカブツを狙撃してくれ。この一撃に勝負をかけるしかないからな!」

「...要するに、外すなってことでしょ」

ルミナクェーサーⅡをメインエンジンルームから脱出させ、そのまま空高く上昇した。マザーメタトロンの頂上付近から増設されたと思われるフレームを見つけ、それに沿うような移動する。やがてキャプテンの言っていた砲台にたどり着くが、MSが入る位の大きさの円型の台からオーキスのメガビーム砲は有ろうかという長さの砲身が伸びていた。

「こんなので狙えっての?......酷すぎじゃない?」

「MS側からの制御と、マザーメタトロン側での軌道修正も可能ですから問題ありません。我々としても、あのような物の存在は許せません。どうか、ご武運を」

「そう言ってもらえるんですね...では、またいつか」

アーロンをルミナクェーサーⅡから降ろすと、レイはマニピュレーターを砲台の左右に開口している穴に挿し込んだ。コネクタを直に接続する方式の為、デバイスドライバのインストールは瞬時に完了した。専用のソフトウェアが立ち上がり、ロックオンエイムスクリーンがレイの目に直接投影された。これならば操作中の手のブレで照準がずれる危険性は低くなる。レイは何処を狙うべきか見定め、あるポイントに固定した。かなりの解像度のおかげか、敵の姿をはっきり見ることが出来た。穴のようになっている場所からであれば、直接ダメージを与えられると見た。レイは全神経を集中させ、狙撃のタイミングをじっと待つ。これは一瞬のミスさえも命取りになる。何としても失敗するわけには行かないのだ。

「.....................ッ!!!」

照準のブレが消えバルトアンデルスの顔面を捉えた瞬間、レイはトリガーを引いた。

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