「ごめんね……ごめんね……」
黙れと言って何度首を締めあげようとも、その謝罪は止まらなかった。
何に謝っているのかさっぱりわからない。
とりあえず、完全に捕獲したその”美味しいモノ”をじっくりと眺める。
プリプリと乳房と腿。小さな臍。毛の一本も生えていない膣。ハンカチを詰めた口の端からは唾液が溢れ、芳醇な香りを振りまいている。
これがすべて、好きにしていいモノ。
そう考えるだけでおなかがくぅと鳴り、己の膣がじんわりと湿る。
上から行こう。
髪の毛を一本……いや、頭を鷲掴みにして、思いっきり引き抜く。
指に絡まってくるその数本を、一本一本、口に、舌に絡めていく。
「あぁ……」
贅沢に、二本、三本纏めて。
こんなに美味しいパスタは世界中どこを探してもここでしか食べられないだろう。ぷちぷちと小気味よい音を立てて抜けていく髪。
ガムテープの奥から、水が染み出てきた。
指で絡めとり、口に入れる。
「んん……」
先ほどとは違う味の、しかし同じように極上を唱えられるだろうその液体。だらだらとあふれ出てくるそれを、指ですくっていては無駄にしてしまうために、直接舌で舐めとる。両側からにじみ出てくるそれ。
舌先に交じるガムテープの不味い味が煩わしくなって、思いっきりそれを剥がした。
「痛、ぎっ!?」
「うるさい」
もったいないと思いつつも、ガムテープの粘着物がついたソレを食べることはできないので、ぐしゃぐしゃにまとめて放り捨てる。
さらに多くあふれ出した液体を源泉から吸い付けば、口の中があぁ、幸せだ。
反対側がもったいないので、手のひらを押し付けておく。
ぐにゅ、と柔らかいそれ。
舌を少し押し込めば、へこむ。
じわじわと液体が染み出てくる。柔らかいそれの境界線に舌を動かせば、美味しい粒を発見した。
「ご、めんね……ごめん、なさい……」
「黙れっての」
「う、げ、ぇっ……!」
ぐ、と喉を絞める。
その勢いでか、ごほっと詰めていたハンカチが吐き出された。
液体のしみ込んだそれ。
ラップで包み、テーブルの上へ置いておく。
いまだにゴホゴホと……溜まった自身の唾液で咳き込んでいるその口に、指を突っ込む。そしてザラザラとしたものを引っ張り出し、その付け根にストローを挿し込んだ。
吸う。
「ふふ……良いジュースサーバー」
一度にとれる量が少ないのが難点だが、これなら息を止めなくていいし、楽だ。
大き目のクリップでその赤いザラザラを挟む。これで引っ込めることはできない。飲み込むこともできないから、咳き込んだら適量がたまったという合図だ。その間に他を食べよう。
大きく開かれた腋。柔らかいそこに舌を這わせ、抉る様に舐め上げる。
暴れようとする身体を押さえつけて、味がなくなるまで――無くならない。じゃあ、永遠に?
「ごほっ、げほっ」
「あぁ、もう溜まったんだ……」
挿しっぱなしだったストローが咳き込んだ反動で外れている。
もう一度挿して、吸う。ちょっと奥の方で垂れている柔らかそうなソレも吸ってみる。
「ぉ、ぅっえげ、ァ」
「……染み出してくる、とかはないのね。じゃ、意味ないわ」
すぐに飽きて離した。
それじゃあ次は、反対側。
永遠に味のなくならないそれらは、合図によって一区切りとすることにした。
もう下腹部はカツカツで、弄りたくて仕方がないが、自制……いや、自制しなくてもいいか。別に。
覆いかぶさるようにして、ぽっちへと股を擦り付ける。こんな状況に興奮しているらしい気持ちの悪いその二つ。だが、ちょうどいい硬さで、思わず腰が早くなる。
柔らかな内腿が目に入った。
かぶりつく。
口と膣の両方が幸せだ。
そのまま一度達して、力を抜いて体を楽にする。咳き込む声も聞こえたが、今は疲れたのでいい。
最初からこうすればよかったのだ。
ヘンに気を遣うから、やりたいことが何もやれていなかった。
少し体を休めたら、今度はナカを食べよう。ソトよりナカの方が美味しい。
咳き込む音は聞こえているけれど、まぁ、いいか。
どうでも――。
「――気になって来てみたが……遅かったか。奈央、君には謹慎を言い渡す。頭を冷やせ」
ああ。
はい。
息ができない苦しさに意識を落とし――目覚めてみると、そこは奈央との相部屋、ではなかった。
知らない少女が一人、難しい顔をして顎に手を当て、PCとにらめっこしている。
「――あぁ、起きたかい。安心してくれ、君を襲ったレイプ魔はここにはいないよ」
「レ、イプ……魔? あ、の、その、奈央は……その、ここは、えと」
「奈央には謹慎を言い渡した。私はあの子のお目付け役というか……まぁ、そんなところなのさ。秘密だけどね。
あぁ、自己紹介をしておこう。私は
少女は、少々演技じみた様子で言う。
って。
「ご、ごめんなさい!」
「おっと、謝らなくていい。大方君は『私が来たことで悟香さんを追い出してしまった』、なんて考えているのだろうけど、それは大きな勘違いだ。なんせ私は自らそれを提案したのだからね。……その判断は、現状を考えると間違っていた、と言わざるを得ないけど……あぁ、だから、君が気負う必要はないということだ」
な、なんだこの子。
エスパーか?
でも――、
「ん……そうか、君は奈央のことを、あんなことをされた今でも親友と、そう思ってくれているのか……それじゃあ、間違っていた、なんていうのは君に失礼だね。謝るよ。
しかし、それだと今度は別な疑問が湧いてくるな……なんでそんなに寛容なんだ? もしや、私のように年齢を偽っているのかい?」
「えっ」
「はは、冗談だよ」
……どっちが冗談なんだ。
なんだこの子。いや本当に。
「さて、君が奈央に恐怖を抱いていないというのなら、話は早い。私はあくまで奈央の味方。だから、お願いがあるんだ。別に君は喧嘩したつもりさえないとは思うけど、奈央と仲直りしてやってくれないか?」
「え、あ、その」
「うん、おそらく君は『何をしたかはわからないけれど、おそらく自分が悪いのだから、許してもらえるまで謝ろう』などということを考えているんだろうけれど、それは大きな間違いだ。今回は十割奈央が悪い。
……いや、正確には――奈央だけが、子供だったというべきかな」
でも、それは。
「奈央はまだ中学生だから、って顔だね。
いや、いや。少し驚いているよ。君はもっと幼い子だと思っていたんだけど……蓋を開けたらなんだ、もしかすると、私より大人だね。従順なのは寛容だからじゃなくて――些事だからか」
「……その」
「口下手なのは大いにあるとは思うけどね。あと、ちょっと残酷だ。君が大人なら、許すだけではなくて怒ってあげないと。彼女たちは子供なんだから」
「でも……私が、悪い、から」
「言っただろう、今回のは十割、」
違うんだ。
違うんだ、悟香ちゃん。
「私は、奈央に助けてもらったから……今度は奈央を、受け止めてあげなきゃ、貰いすぎになっちゃうから……だから……」
学校で居場所がなくなった最初の一か月間、奈央がもしいなかったら……俺は多分、退学を選択していたと思う。お婆さんの好意と、おそらくこの先一生訪れないだろうチャンスと、勉強の努力のすべてを棒に振っても、俺は耐えられなかったと思うから。
そんな安らぎをくれた奈央を怒らせ、裏切ったのに……彼女のストレスに付き合わないなんて、嘘だ。
例えそれが悟香ちゃんの言う通り、俺のせいじゃないのだとしても、俺は彼女を受け止めてあげなくちゃあいけない。
「……ん、これはまた、別方向に重症。
正直ため息しか出ないが……やはり元凶はあの教師ども……いや、理事長……しかしきっかけは平良木ちゃんだしなぁ。うわ、堂々巡りしてる……。こんなの解消しろったって、私の手には余るぞ……」
「悟香、さん。奈央はどこにいるん、ですか? 謹慎、って……」
「そこは悪いけど教えられない。奈央には一週間、学校も休めという旨を言い渡してある。君の心労は、癪だが匕首会のやつ等で解消してもらうか、私の所で癒すといい。
あぁ、だからと言って、やつらの会合なんかには参加してはいけないよ」
あ、いや、その。
ええと。
「……なんだって、土曜日に匕首会のパーティ!?
そんなのに行ったら、絶対に食べられるじゃないか! よくて女体盛り、最悪
絶対に行っちゃダメだ! 奈央は謹慎中だし、私もその、立場上ついていけない!」
……女体盛り、ですと。
え、それは、スレンダーな女性の裸の上に魚とかを乗せて食べる、ニッポンの至高伝統盛り付けでは……。
そ、そんなの!
そんなの断れるわけないじゃないか!
「断れるわけがない、か……。そうだろうね。すでに匕首会の全員に通達が行っている事だろうし……だが、くそ、そうなってくると……」
「あの、そ、え、あ、秋華ちゃんも、穂村ちゃんも、いい子だから……」
「比較的に、だろ? 君の知る必要の無いことだから詳しくは話さないけれど、やつ等は昔から黒いんだ。旭川のヤツはその場のノリ程度の感覚だろうけど、匕首秋華は違う。”気持ちのいいやつ”なのは認めるけど、良いやつじゃないよ。
……参った。好転する状況が一切見えないなんてのは初めてだ」
……何か物凄い苦労人なんだろうなぁ、ってことは伝わってくる。先のパーティの日付といい、俺の心持ちといい、本当に心を読んでいるんじゃないかってレベルで見通してくる悟香ちゃんは、多分、それ故に気苦労が絶えないんだろうなぁ……。
……たとえ彼女が本当に女子中学生ではない年齢だったとしても、美少女が顔をしかめて天を仰いでいる姿はあまり見たくない。
「そう思うなら指をしゃぶらせてくれると癒されるかな――なんてね。冗談だよ。寛容な君なら許可してくれるんだろうけど、残念ながら私は奈央たちのように子供じゃあないんだ。自制できる。出来てしまう。
うん? 手フェチ? 指フェチ? 違うよ、そんなんじゃない……ちょっと待て、なんだいその目は。なんでそーっと指を近づけてくるんだ!」
いや、だって。
自制するってことは、欲しいってことだろう。
指フェチの子には初めて会った。指の形とかで興奮するのだろうか? 未知の世界だ。
「あのなぁ、奈央に襲われたばかりだろう? なんでそんなすぐに人を信用できるんだ。私は奈央の幼馴染だぞ? 奈央のようにレイプしてくるかもしれないだろ?」
……別に嫌じゃない、とか思ってはいけないんだろうな。この子相手には特に。
確かに髪の毛を無理矢理引き抜かれたのは痛かったけど……唾液溜めやガムテ剥がしも痛かったけど、奈央の心の傷に比べればなんてことはない。
それにほら、ほら、美少女に乱暴されるって……興奮しない?
「それでも受け入れる、って……?
あー……もしや、必要とされる事が嬉しいタイプか……? 君の過去にそんなトラウマがあったようには見えなかったけど……。献身フェチとでもいうべきか。そんなの、匕首の連中にとっては格好の的じゃないか。はぁ。
こっちがどれだけ歯を食いしばって我慢しているかも知らないで……あー、くそ。クラクラする……。とと、不味いマズイ。私まで二の舞はダメだ」
「市井、さん。その、舐め……ますか?」
「据え膳……いやいや、あのねぇ平良木ちゃん。私は指フェチなんかじゃないし、初対面の子の指を舐めしゃぶりたいなんてそんな非常識な事は言わないんだ」
悟香ちゃんが俺のことを把握したように――俺も、悟香ちゃんのことを少しわかってきた。この子、なんでもかんでもわかってしまう分、自身の欲求に疎いタイプ――ストレスをため込むタイプだ。
奈央のように時たま爆発させるでも、秋華ちゃんのように切り替えをはっきりするでも、穂村ちゃんのように常時垂れ流しでもなく――発散が出来ないタイプ。自制自制自制の螺旋は、いずれ心が折れる。
ここは俺が人肌脱ぐべきだろう。
多分奈央の謹慎場所は口が裂けても教えてくれないだろうし……。
「だからね、とりあえず今日は寝て、ぶっ!?」
えい。
しゃべり続けて開いた口に、イン。
いつもよりちょっと……いや、かなり行動的なのは、初めて優位に立っているからだろうか。いや、優位とか劣位とか考えたことはなかったんだけど。
「……ぅあ……」
驚いた表情で固まった悟香ちゃん。
その舌をぐにゅ、と押してやると、一瞬で咥内に唾液があふれ出した。本当に指が好きなんだなぁ。
余裕のある顔がみるみるうちに崩れていく。頬を赤らめ、口をすぼめ、俺の手を両手で掴んで――熱心に舐め始めた。
指の腹を、爪の間を肉が走る。
特段気持ちいいということはない。不思議な感覚で、面白いとは思うけれど。
ただ、その……悟香ちゃんの顔は、奈央や秋華ちゃんでも出せないほどに、オトナの色気に満ちていて。
「じゅ……んん、ば……っはぁ……るるる……」
ほかの指に移ることなく、人差し指だけを丹念に丹念に舐めるその様は、まるで――いや、やめよう。今この状況に、そんな汚らわしい想像はご法度だ。
この耽美なる状況を、楽しもう。これなら俺が気絶することもないし……ちょっと指をクネらせてみたりして。
「……ふ、う……、危ない。危ない。今の誘惑は……ダメだよ。襲うところだった。わかった。ありがとう、私は知らないうちにストレスをためていたらしい。君のほうが大人だったのは認めよう。同時に君はかなり子供だな。衝動を抑えられない――いや、衝動が無いからこそ、やってみたくなった、という感情のセーフティがないんだ。
ふぅ~~~……。暑いなぁ、もう。あぁ、美味しい。これは病みつきになる……本当はその体のすべてをいただきたいところだけど、奈央と匕首会を批判しておいてそれはできないからね。
さぁ、寝た寝た。明日も学校だ。早めに寝ておきなよ、平良木ちゃん」
「……もう、いらない……ですか?」
「いらない。美味しいものは稀に食べるから美味しいんだ。常に食べていたら、ほかの食材が不味くなってしまう。ふぅ。まったく。
……あんまり誘惑しないでくれ。本当に。自制のタガにも限りがあるんだから」
そういうと。
ふてくされたように、悟香ちゃんはベッドに入ってしまった。
……相部屋を一人で使っているとはいえ、ベッドは片方にしかないわけで。
俺も、そーっと……悟香ちゃんのベッドの中に潜り込む。
……多分、一週間後、奈央とどんな顔をして会えばいいのかわからない――そんな不安が、人肌を求めたのだろうけれど。
翌朝、悟香ちゃんが全然眠れなかったとボヤいていたのは、俺が邪魔だったからなのだろう。明日は自分の部屋に戻らないとな……。
市井悟香ちゃん タイプ:ノーマル・エスパー
すいとる こころのめ
さきどり かたくなる
特性:せいしんりょく