※この作品はR-18です。

ロックマン 腐向け   作:める#

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こちら側第一作目。高校生設定。彩斗は生きています。付き合っていないけどお互いにそんな雰囲気あり。


Rainy day(熱彩)

 

 

 

外は雨が降っている。初夏といえど、しとどに降り続ける雨のせいであたりの気温は低く、ベッドで本を読む彩斗の身体を着実に冷やしていった。

一昨日彼は体調を崩し、昨日は丸一日寝込んだ。今日は何とか熱も下がったからと学校に行こうとしたが、心配性な弟と母に止められたのだ。年と共に少しずつ彩斗の身体も強くはなってきたが、それでもまだ周りに比べるととても弱く、いつ心臓病が再発するかもわからない。

 

雨は降り続ける。しとしとと上品に、それでいて包み込むように降るそれだが 朝からずっと降っている。そのうち洪水にならないかとても心配だ。

今頃、部活を終えているであろう熱斗は雨に濡れながら帰ってくるのだろうか。彼、そういえば傘を忘れていったっけ。

彩斗はそんなことを考えつくと、ひょいとベッドから立ち上がる。着崩していたシャツの前を完全に止め、傍らのPETをホルダーに入れる。青いネットナビが顔を出した。

「…母さんは夜まで帰らないんだっけ、確か同窓会だったよね」

そうだよ、と答えるナビと共に玄関口に立つ。そういえばここの双子はいつからか、母親のはる香のことを「ママ」ではなく「母さん」と呼ぶようになった。年齢も年齢だし恥ずかしいのだろうか。

「…、いってきます」

身体が弱い彼が雨に濡れたら、また風邪がぶり返すのではないか。そう思いながらも傍らのネットナビはなにも言えなかった。

 

 

 

 

************

 

 

 

「あれっ、…彩斗兄さん!? どうしたの、寝てなきゃダメだろ!」

案の定、学校までの道のりを少し歩くと民家の軒下に立つ熱斗が見えた。そんなのはお構いなしに彩斗は熱斗へと近づく。

「どっかのおバカさんが傘を忘れたんじゃないかと思ってね。やっぱり正解だったでしょ。それに…熱斗が風邪引いたら困るし、もう熱は下がってるもの」

彩斗はクスッと笑う。それでも熱斗にしては大変なことなのだ。

「もう、バカ兄さん!俺は頑丈だからちょっとやそっと濡れたって大丈夫だけど、兄さんはすぐ熱出すんだから!全く…ヒヤヒヤさせんなよな」

ため息をついた熱斗は雨に当たらない位置でしゃがみ込む。そして荷物を兄に突きだし、両手を後ろにやる。

「乗れよ。傘、一本しかないんだろ?」

にやっと笑って熱斗が言った。なるほど、言われてみれば彩斗の手には自分の傘しかない。

「えっ…あ、いいよ、恥ずかしいし…それに、二人ではいれば事足りるでしょ?」

突然のことに驚いて彩斗が慌てる。日に焼けていない真っ白な頬に朱が差した。

「ふぅん、それって相合傘ってこと?それで恥ずかしくないならいいけど。…でも俺が嫌なんだよね、折角迎えにきてくれたんだからちゃんとお礼しないと」

「…お、お礼なんていいよ…」

「いいから黙って乗る。またぶり返しても知らないからな」

少しつっけんどんな熱斗の言葉に、彩斗は何も言えずにそっとおぶさった。まだ後ろめたいらしく、掴まる手は控えめだった。

「ちゃんと乗った?…それじゃ、兄さん 傘しっかりさしててね」

「わ、ぁ…」

 

いつだったか、自分を抜いた背丈。以前は僕の方が大きかったのにな、と思うがそれも仕方ないことだった。日に当たらず目一杯遊ばない彩斗と、日が暮れるまで外で遊びまわっていた熱斗じゃ流石に体格は変わってくる。

逞しい背中、自分を軽々と持ち上げる日に焼けた腕。歩くたび伝わるリズムに、自分の心臓の鼓動が伝わらないように祈った。

 

「彩斗兄さん、ちゃんと捕まってる?寒くない?」

優しい声。いつの間にこの子は気遣いができるようになったのだろう。…いや、気遣いは昔からしてくれていた。自分が外に遊びにいけないことを知っていた幼い彼は、よく外の土産話やらなんやらを聞かせてくれたり絵に描いたりしてくれた。自転車の後ろに自分を乗せて近くの河原まで行ったあの思い出を、彩斗は一生忘れないだろう。

 

「寒くなんてないよ、熱斗がいるもの」

 

いつからか、熱斗に対して特別な気持ちが生まれていた。もちろん双子として、生まれる前からずっと特別な感情はあった。でもそれではない、あの艶やかな黒目を、いつしか浮かれるように見つめている自分がいた。彼の視線のさきを追い、彼の声を心地いいと思い、その指先の動きまで見つめてしまう自分がいたのだ。確かある日、炎山に言われた。「…彩斗、熱斗が好きだろう」と。生真面目でなんでも見抜いてしまう大企業の副社長に言われて、初めて自分の気持ちを自覚したのが数ヶ月前だった。

 

「…ねぇ、熱斗」

「…うん?」

 

相変わらず前を向き、水溜りをよけながら歩く彼に心を温められて。

 

「僕、君が大好きだよ」

「…兄さん、俺も好きだよ」

 

この気持ちがどう取られたのか分からない。兄弟としての好きで取られたか、それとも 恋愛感情か。そんなものはどうでも良かった。きっと熱斗にも伝わっているのだろう。何たって双子なのだから。この穏やかな気持ちは、きっと彼にも伝わっている。

 

「熱斗、好きだよ」

 

 

雨は小雨になり、雲間にはきらきらとした光が差し込んでいた。

 

 

 




閲覧ありがとうございました。書いてて肌が痒くなりましたww
別に彩斗は告白しようだなんて思ってないんです。いつ死ぬか分からない自分と付き合うよりも、未来ある弟が可愛い彼女と結婚し、幸せに過ごすのが幸せだと考えているのです。(思い込みなだけで、ちゃんと熱斗のことが好きですよ)対する熱斗は高校生になり、勉強もできるようになりましたし人の心もちゃんと読み取れるようになりました。彼も彩斗兄さんのことを兄弟としても、いけない感情としても好きなのですが 一歩踏み出せずにいます。くっつきそうでくっつかない歯がゆい二人のお話でした。
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