「そろそろ悲鳴が聞こえた所が見えてきてもいいころだけど?恋どうだ?」
「………いた………あそこ!」
「…っ!くそっ、面倒くさい相手だな。…お前ら今日の昼御飯は、虎肉だ!」
「「「「「「ガルルルルッッ」」」」」」
恋が指差した所には、今にも襲い掛かろうとしている虎と、いつ襲われてもおかしくない女の子が二人いた。
見た感じだと薄いピンク色の髪の子は、完全に腰が抜けている状態で、どうにも立ち上がれそうにない。
また、もう片方の紫色の髪の子も、薄いピンク色の髪の子を庇うように前に出て剣を構えているが、震えていて、とてもじゃないが、この状況をどうにかできるようには思えなかった。
(これは、下手するとまた死ぬかな?)
「恋!このままじゃ間に合いそうにもない!先に僕が行くからもしもの時はお願い!黒曜達は念のため、あそこにいる子達に怪我がないように壁になるようにしていて!!」
「ゴルルルッガアッ」
「ッッッ!!」
「だめ!しーちゃーん!!」
恋達に今後のことを伝えた後、さらにスピードを上げたが、とうとう堪えきれなくなったのか、虎は、紫色の髪の子に飛び掛かろうとしていた。
「どりゃあぁぁぁ!!」
結局間に合いそうにもなかったため、手に持っていた方天画戟を思いっきり投げつけた。
「ガアッ!?」
「「えっ!?」」
バキッバキバキバキッッズドーンッッッ
方天画戟は虎の顔面すれすれを通りぬけ、虎の向こう側にあった大木に突き刺さり、大木はへし折れてしまった。
「グルルルッ!」
また、虎の注意もこちらに惹き付けることができた。そこまではよかったが、このままでは素手でやらなければいけなくなってしまった。
「……どうする?……恋がやる?」
恋達もこちらに追い付いたようだ。この状態ならば、わざわざ素手で挑まなくてもいいだろう。
「それじゃお願いしてもいいかな?僕は、あの子達に説明するから」
「…わかった…すぐすませる」
そう言った恋は虎のすぐ目の前まで近付いた。虎は先程まで僕に注意を向けていたがそれを近付いていている恋に移した。
「ガアァァッッッ」
「……………死ね」
ザンッズドンッ
(恋ってばまだまだ力が上がっているんだよなあ。ほんと、いつになったら僕は恋に追い付くことができるんだろう)
恋に注意を向けていた虎は、すぐさま恋に飛び掛かったが、恋は、方天画戟をたった一振りで虎を真っ二つにしてしまった。
本当にすぐにすまされてしまった。
そのため好恋は、まだ女の子達に説明ができていなかった。
「えっと…君達は怪我はなかったかい?」
「ええ、大丈夫よ」
「………………」
薄いピンク色の髪の子は、すぐさま返事を返したが、紫色の髪の子は、未だに警戒を解かずにじっとこちらを睨み付けていた。勿論薄いピンク色の髪の子も警戒はしているようだ。
(そりゃあまあ、虎を一撃で殺した奴と、その後ろに先程の虎より小さいとはいえ、二匹の虎と一匹の熊、そして、周りを警戒しているため全てではないが、姿を現していない十二匹の狼がいれば、警戒を解かないのも仕方ないか)
「こちらから手を出すつもりはない。だが、助けたのに街に戻るまでにまた何かしら襲われるようじゃ意味がないから君達が街に入るまでは、見守らせてもらう。………恋、それでも構わないかい?」
「…………ごはん…」
お腹が空いているせいか恋は勿論、黒曜達までこちらをジト目で見ていた。
「それなら助けてもらった借りということで家に食べに来ませんか?」
恋達の顔を見てどうしようかと悩んでいた僕に対して薄いピンク色の髪の子は、そう提案してきた。
「っと言ってきているけど、恋はどうする」
「…………なら行く」
「というわけで、すみませんがお願いしてもいいですか?それと後ろにいる奴等の分は、こちらでどうにかするので」
「ええ、それではそろそろ移動しませんか?あっ!自己紹介を忘れてましたね。私は、姓名は孫権、字は仲謀といいます。できれば、孫権と呼んでください」
「れんれんちゃん名前教えてもよかったの?」
「しーちゃーん、どのみち家に招待をしているうえに助けてもらったのに、名前すら教えていないなんて他の人に知れたら民からは笑われ、
「はあー、なら私も助けてもらった借りということで名前を教えておこう。私の姓名は甘寧、字は興覇だ。短い間だとは思うがよろしく頼む」
「ああ、こちらこそよろしくお願いします。僕の姓名は呂飛、字は太原、呂飛って呼んでください」
「…………………呂布、奉先……よろしく……呂布って呼んで」
「それじゃあ、呂飛も呂布も移動を始めましょう!でなきゃ家に着くのが
「わかった。だがあいつらの御飯も用意してやらなきゃいけないから少し寄り道をしてもいいかい?」
「ええ、それくらいなら勿論構わないわ。あとであの子達の紹介もお願いね」
「それは街に移動の時にでも紹介するよ。では移動を開始しよう!」
「ええ」「ああ」「……うん」
こうして、僕達は街へと移動をし始めた。
街に行きながら、僕達は黒曜達の紹介を終えた。また、紹介をする前は孫権達は、チラチラと目線を黒曜達に向けて気にしていたが紹介を終えた後は、おどおどしながら黒曜達に触れてみたりなど、だいぶ慣れてきたようだ。
そして、途中にある川で必要な分の魚を捕った。とりあえずこれで、今回は黒曜達のことは気にかけなくても大丈夫だろう。
しかし、これはある問題にまだ気付いていなかっただけであった。
そして、その問題はすぐにおとずれた。
「だから!大丈夫だから街に入れなさいと言っているのだ!!」
「しかし、大丈夫と言われても後ろにいる獣達を何の保証もなく街の中には入れるわけにはいけないのです!」
「では、どうしろと言うのだ!」
「ですから、何かしらの保証になるような物を用意してもらわなくては、こちらも仕事として通すわけにはいけません!」
「それはわかった!しかしそんな物が今この場に用意もできるわけないじゃない。はあー、どうすれば呂飛や呂布、黒曜達を通すことができるのかしら??」
先程から孫権と街の警備隊が話しあっていたが、よくよく考えれば、確かに何の保証もない獣達を街中に野放しにしておくことはできない。そもそも僕や恋も街自体に来るのは初めてだったため、この考えに至ることができていなかったのだ。
そして、この話しは始まってからだいぶ経っているが、どおやらそうそうに解決するような雰囲気ではないようだ。それでも念のため孫権は、家のほうにこの事を連絡するように警備隊の者を行かしていた。
そもそも孫権や甘寧ならば別にいちいち街の門の所で止められる必要はないのだが、孫権は僕達をここに置いてこの話しを解決することを良しとしなかったためここに粘って警備隊と話し合いをしていた。
後で聞いた話しだが、この時どおやら僕達をここに置いて行ってしまうと警備隊に追い返されるか、もしくは、僕達が自分達の家に帰ってしまうと思っていたため僕達と一緒に残っていたらしい。
この事からなにがなんでも借りを返そうとしていたことがわかった。
〜数十分後〜
警備隊の者が孫権の家に連絡しに行ってから数十分後、孫権の髪の色と同じ色の髪をした女性がやって来た。
「おう、仲謀!そいつらが警備隊が連絡に来た内容の連中か?」
「か、母様!てっきり姉様辺りが来ると思っていたのですが?」
「はっ!オレの街の事なんだからオレが来るに決まってるんだろうが!!」
「でも今日のお仕事の方はよろしいのですか?」
「仕事のことはひとまず、ばあに任せてきた。まあ、ばあは、「炎蓮様は大人しく仕事なさっていてください!!」なんて怒鳴っていやがったがな!」
「はあー、その光景がすぐ浮かびました。それで、母様が来たということは呂飛や呂布、黒曜達も街の中に入れてもよいのですか?」
「ああ、その事だが警備隊の話しじゃ要領がえなくてな。それでわざわざ出向いて来たが、ほー成る程、後ろにいる獣どもよりもそこにいる、ガキどものほうがよっぽど強いと見える。…よし、ガキども、オレを含めオレが指定した奴等と闘え!そして、てめらの力をこの孫呉に見せてみろ!そうすりゃあその後ろの獣どももてめらで力で抑えられることがわかるからな!それが今後、オレの街の中に獣どもを入れていい条件だ!!」
この話しはを聞き、僕も恋も呆然としてしまったが、孫権は体を震わせて自分の母親の方を見ていた。
どおやら僕達は、街に来て早々に孫権の家族に力を見せなければならなくなったようだ。
また、不定期更新になってしまいますがよろしくお願いいたします。