人里に着いたわけだがしっかり木の柵で回りを囲まれていて防衛対策はしているぽい。
「恋、これって普通に入っていいの?」
「大丈夫……なんなら恋から………入ろうか?」
「大丈夫だよ、ありがとう。よし、入ろう」
僕達が人里に入ろうと門に近づくと門番の人がこちらに気づいた。
「ん?おっ!熊のお嬢、また物々交換かい?よく来たね、ゆっくりしていきな。ところで隣にいる坊っちゃんは誰だい?」
「ん……きた…好恋は……恋の夫」
「えっと、初めまして恋の夫をしてます。僕、姓名は呂飛、字は太原と申します」
「はっはっはっ!子供ものわりには礼儀正しいじゃないか。おう!俺はここの門番をやっている者だ。これからよろしくな、熊の若旦那!」
僕は別に熊の毛皮は羽織ってはいないのだが、どうやら恋が熊のお嬢だから、その夫の僕は熊の若旦那らしい。
「えっと通っても大丈夫ですか?」
「大丈夫だぜ!熊のお嬢ならわかるとは思うが、物々交換は村長の所でやっているから案内してもらいな!」
とても親切なおじさんの門番だったな。
「大丈夫……恋が案内…するから」
「それでは失礼します」
これで僕達は正式に人里の中に入ることができた。
「熊のお嬢ちゃんが来たよ!」ガヤガヤ「今日のは大きいな」ガヤガヤ「隣にいる男の子は誰かしら?」ガヤガヤ
恋がある家の前で立ち止まった。この家が村長の家らしい。そして家の前で優しそうな老人が立っていた。
「ふぉっふぉっふぉ、よく来たのう。今日も物々交換に来たのじゃろ?交換する物はとりあえずそこに置いといて、上がってゆっくりして行くといい」
「わかった……でもあまり…ゆっくりできない……好恋の稽古がある」
「初めまして、僕は恋の夫をしています。姓名は呂飛、字は太原と申します」
「ほう!熊のお嬢ちゃんが夫を連れてくるとは驚いたのう!ならお主は熊の坊っちゃんじゃの。これからよろしくのう」
この時、僕は門番のおじさんと似たようなことを言っていると思ったが、後で聞いてわかったことだがどうやらあの門番のおじさん、村長の息子だったらしい。
こうして僕達は早速物々交換を始めることにした。
「まずは……方天画戟が欲しい」
「方天画戟か?熊のお嬢ちゃんは今持っておるし、熊の坊っちゃんのかのう?」
「うん……ない?」
「いや、あるぞ。しかし、その方天画戟は熊のお嬢ちゃんの方天画戟と並ぶほどの業物じゃが、多分熊のお嬢ちゃんが持っている方天画戟より重たいし長い、今の熊の坊っちゃんにはきついと思うぞ。それでもよいのか?」
「それでいい……好恋は…恋が鍛えるから」
この時、村長はどこか可哀想な目で僕を見てきた。
「が、頑張ります」
「ならよいのじゃが、他にはないのかのう?」
「何か調味料とかってありませんか?」
「ふむ、調味料か。あるが熊の坊っちゃんが料理するのかのう?」
しっかり調味料もあることはあるっぽいな。
「はい、恋に美味しい物を食べさせてあげたいじゃないですか!」
調味料があれば調理法が広がるからね。
「なるほどのそれでどんな調味料が欲しいのじゃ?」
「塩や香辛料とかありませんか?」
「たくさんあるわけではないが、分けるぐらいかまわんじゃろ。持っていくがよい」
「ありがとうございます!」
「料理の話しをしとったら腹が減ったのう。せっかくだし、熊のお嬢ちゃんと熊の坊っちゃんも食べていくとよい。何なら今日はこの家に停まっていってもよいぞ!」
「どうする……好恋?」
今から帰ってもいろいろ時間も勿体ないよな。なら今日はここで過ごした方が効率がいいね。
「そうだね。せっかくだしお世話になろうかな」
「わかった…おじいちゃん……お願いする」
「お願いします!」
「よしよし、それじゃあゆっくり過ごしていくとよい」
こうして今日一日はこの人里でお世話になることになった。
また、お昼ごはんは肉まんでとても美味しかったです。
恋もかなりの量を食べたため、物々交換の物を本来なら熊と猪でよかったところを鹿も置いていく事にした。
まあ、村長はいいと最初は受け取りを拒否していたが今後のことも考えて受け取ってくれた。
そして、また稽古の時間がきた。そのうえ今日からは今日交換したばかりの方天画戟を使うことになった。勿論恋も方天画戟を使う。まあ、慣れるためにも使い込んでいく必要があるのだから仕方がない。
「恋、今日から稽古は真剣を使うから下手をすると死ぬことになるかもしれない。だからもし僕が死んでしまってもそれは僕の力不足なだけだから恋は悪くないからね」
「できるだけ……気をつける」
「それと今回はまた僕の身体の検証もあるから、もし死んでしまっても生き返るかも死んだら試そう」
「それは…危ないと思う………それで下手して好恋を…失いたくない」
「でもいつかは試さなきゃいけないことだから、試せそうな内に試したいんだ!」
「……わかった……でも死んだらね」
正直あまりこれは恋では試したくはない。でももし実戦で死んでしまったら恋がどう行動するかはわかりやすい。だから前もって知っておいてもらいたいんだよな。こんなあまり恋の気持ちを考えてないよな感じになってしまってごめんね、恋。
「それじゃあ行くよ!」
「…うん」
僕達は人里から少し離れている所で今、稽古を行っている。
「やああぁぁっ!」
「……」ガッ
恋は攻撃を全て方天画戟で受け止めながらも上手く流していた。
「はあ、はあ、はあ」
「……」
それを何度も繰り返したため、僕は疲れきってしまった。しかし、恋は受け流すことしかしていなかったせいか、僕とは違い息切れ一つ起こしていなかった。
「っくっ!はあ、はあ」
「…ふん…」
僕が疲れきっているところを見計らって、恋は逆に攻撃を仕掛けてきた。
それをまた何度も繰り返された時に、それは起こってしまった。
それは昨日の稽古と同じように横からの攻撃の時だった。
「「あっ!?」」
それが起こったのは僕も恋もそれぞれが誤った判断をしてしまったからだ。
僕の誤った判断は、僕は昨日と違い、武器は木の棒ではなく方天画戟なのだから、武器の先端の横に刃が付いていたのに、その存在を忘れてしまっていたことだった。
また、これは恋に後で聞いたのだが、この時の恋の誤った判断は、恋は昨日と同じように横に吹き飛ばすつもりだったが、僕が疲れきってしまっていて、上手く力が入らないことを知らずに普段の実戦の力で攻撃をしてしまったことだったらしい。
「………」ズシャッ
「嘘……嫌、嫌、いやああぁぁぁ!」
結果僕は方天画戟で方天画戟を受け損ない、身体を斜めから切断されてしまった。
この時、僕が最後に見たのは恋の泣き叫ぶ顔だった。
「ここは十中八九、生と死の狭間なんだろうな」
僕が今、立っている場所は辺り一面花だらけの花畑だった。空を見ても何故か綺麗に曇っているだけだった。
そして、僕の前には小舟が川に浮いていた。
本来ならこれを使い川を渡らなければならないのだろう。
「でも僕は別に使うつもりもなければ川を渡る気もないんだよね」
だってきっとこれを渡ると、恋には二度と逢えなくなってしまうからだ。だから僕は川を渡るつもりはなかった。
「どうなるかわからないけど、ここで変化が起こるまで座っていよう」
僕は何かしら起こるまでその場に座って待っていることにした。
しかし、そこまで時間が経たずに変化は起きた。
なぜなら突然後ろから誰かに抱きつかれていたからだ。
「恋!どうして恋がここにんっ!?」
振り返るとそこには恋がいた。そして、全て言い切る前に僕は恋から口づけをされていた。
口づけをされた瞬間、辺り一面は真っ白になり何も見えなくなった。
どれぐらいの時間が経ったのだろうか?
僕が目を覚ました時には辺りは暗くなっていて、僕はベッドの上で寝ていた。
僕が辺りを見回してみると、僕の隣には泣いた跡のある恋がいた。
どうやら僕は時間はかかるが、死んでしまっても生き返ることができるようだ。
これを自覚した時、これで僕が死んでも恋を不安にさせずにすむことに嬉しい反面、ますます人間から離れてしまったことに悲しくなり、とても複雑な気持ちになった。
次回はほぼ恋とイチャイチャできるように頑張ります。