迷える狼
「思ったより遅くなってしまいましたね……」
独り言ちながら、紅色のシスター服の女性……ユーリヤは、膨らんだ手提げ鞄を両手で持ち体の前で揺らしながら、自らの住む教会への帰路に就いていた。
陽も落ち切り、今ユーリヤが歩く道を照らすモノは街灯のぼんやりとした明かりしか無い。ユーリヤは予想よりも遅くなってしまった今の時間を思い、物憂げな表情を浮かべた。
彼女は今、買い物帰りの途中だった。住居よりかなり離れたスーパーへと向かい、週に二度行っているセールで当分の食品をまとめ買いしてきた所である。
神父による膨大な借金を背負う事になる前は、人付き合いの事も考え顔見知りの多い近場の商店街などで全て済ませていたのだが、環境が変われば人も変わる。今のユーリヤは最低限の生活費で生活する為、毎日折込チラシに目を通し、複数の無料ポイントカードを武器に闘う一人の
……が、ユーリヤの予定では今日ここまで遅くに帰るつもりは無かった。
(……あの方、今はどうしているのでしょうか)
スーパーへ行く為に早めに教会を閉めようと考えていた夕方の事、懺悔室に一人の男性が訪れた。
声を聞く限りいつもこちらに訪れる信者とは違う、カーテン越しだったが”初顔”の彼は酷く落ち込んだ様子で、自らの罪をユーリヤへと打ち明けた。余程溜め込んでいたのか、内容を話している最中に嗚咽が混じり「自分など死んだ方がいい、そうするべきだ」と、重すぎる自責の念に押し潰されようとしていた。
これは放ってはおけないと考えたユーリヤは、とにかく時間を使って彼と話し続けた。教会の懺悔室という場でありながら「本当は神など信じてはいない、だけど頼る物など自分には何も残されていない」などと涙と共に悲痛に話し続ける彼の口振りは、聞いているだけで痛ましい物だった。
縋る者を見失った本当の”迷える子羊”である彼を放ってはおけない。神の使徒の一人として、ユーリヤはただひたすらに彼の相手となり、言葉をかけ、その痛みに寄り添い続けた。
その結果、ユーリヤの出掛ける時間は予定よりも大幅に遅れたのである。
(……また落ち込んでいなければいいのですけれど)
とはいえ、ユーリヤの心中にそういったタイミングの悪さを恨む気持ちは無く、割引シールの貼られた惣菜を巡る闘いを終え落ち着いた今、残るのはその男性への心配だった。
最終的には彼は落ち着きを取り戻し、感謝を述べて懺悔室を後にした。ただ、それは懺悔の解消であって問題の解決では無い。
ユーリヤとしてはその時出来る限りの言葉と時間を費やし、当人の心を癒した。だがそれは当人の心に浮かび上がった外傷の処置であり、大元の問題の解消には成り得ない。
魔術によって命に関わる重傷すらも痕すら残さず消す事の出来る彼女でも、心の傷や病はそうはいかない。問題が残る限り、彼が再び同じだけ思い悩む可能性は残り続けている。
こういった繊細な問題に直面する度に神の使徒として、一人の人間としての力不足を思い知る。はぁ、と溜息を地へと落とす。
「……いけませんね。不安になるだけでは、何も変わらないのに」
ついつい悪い方向へと考えてしまう考えを切り、顔を上げる。結局の所、他人が出来る手助けなど小さな事しか無い。
どれ程悩んだ所で、結局は問題に直面してから自らが正しいと思う行いを積んでいくしかない。そう心に結論付けて、思考を切る。
そうして考え込んでいる内に住居の近くの大きな公園まで自分が来ている事に気付く。夜という事ですれ違う人影も少なかったからか、随分と考え込んだまま歩いてしまった様だ。
今歩いている道から別の道へと渡るべく、公園の中に足を踏み入れる。昼間は遊びに来た子供やベンチで腰を下ろす大人の姿がある程度見られる人気の場所だが、今この場にあるのは公園のあちこちに立てられた外灯の明りより逃れた暗闇と静けさのみだった。
自分の息遣い以外の音が聞こえない事への寂しさを感じながら、ユーリヤは公園を歩いていく。静かな夜も悪いとは思わないが、長居する気にもならない。明日以降の献立を考えながら、歩を進める。
そうしていると、後ろから足音が聞こえた。
「……ん――きゃあっ!?」
その足音がいきなり速くなって近付いて来たと思った瞬間、ユーリヤの背後から何者かが組み付いてきた。
咄嗟の事に気が動転している間に、ユーリヤの体が横へと引っ張られ、背の低い垣根の草木を越えて灯りの届かぬ木々の影へと連れられる。
そのまま上体を拘束する腕が動き、ユーリヤは口を手で覆われ、服の上から胸を鷲掴みにされた。
「ンッ!?むぅっ!んーっ!」
そのまま無遠慮に胸に当てられた手が蠢き、乱暴に右胸全体を握り込まれる。
声を出そうにも強く口に押し付けられた手に阻まれ、自身の体に絡みつく両手は抵抗を許さないように強く力が入れられている。
依然広い公園内に人気は無く、口を抑えられている状態で声を張り上げた所でその助けを求める声は何にも届かない。ことここにきて、ユーリヤはようやく今自分に訪れた状況を理解した。
――痴漢だ。
「ッ!」
「ぐぁっ!?」
理解した瞬間、ユーリヤは後ろから抱きついている者の足へ向けて自らの踵を落とした。
思いっ切り踏み付けられた事による痛みで、腕の拘束が一瞬緩む。自身を抑える力が抜けた一瞬を見逃さず、続けてユーリヤはすかさず右肘を後ろにいる男の体へと打ち込んだ。
「ご、ぉ゛っ!」
「せえいっ!!」
下腹部に肘が打ち込まれ、ユーリヤに抱き着いていた男の体がくの字に曲がる。
その隙を突いて腕から逃れたユーリヤは、続けて振り向きながら掌打を後ろにいる男の顔へと飛ばす。
突然の反撃に悶える男の顔面へ、その手は突き刺さるように打ち込まれた。
「あがぁっ!!」
「何者ですか!教団の者ですか!?」
徒手のまま構えを取り、ユーリヤが男から距離を取る。
元々邪神教団やそれに伴う化物と対峙する事となる”裏”の仕事上、仕事仲間である隠密や傭兵程では無いにせよ、ユーリヤ自身の身体能力は相当に鍛え込まれている。魔術を使えず、武器も持たぬ状況で襲われた場合にも対応するべく、ユーリヤは最低限の護身術は備えていた。
後ろから組み付いてきた男を観察する。自身が敵対してきた教団の一員による報復・襲撃の可能性も視野に入れながら、その様子を確かめる。
「……ん?」
「っぐ、ゲホッ、エホッ!い、いってえ――あ゛っ」
顔と腹を手で押さえ、痛みに悶える目の前の男からは、害意や殺意の様な敵対的な気配は感じられない。
服装も自らの身元を隠したりする様な魔術師が好むローブでは無く、服屋で売られている様な極めて一般的な男物の服装であり、没個性的なその姿はとても裏世界の住人とは思えない。
男が咳き込みながら顔を上げる。ユーリヤと目と目が合うと、男は焦りを顔に浮かべた。
「……貴方は、確か少し前に教会に訪れた……?」
その上げられた顔が、ユーリヤの記憶の中にある一つの顔と合致する。
それは以前に懺悔室を訪れてユーリヤへ全霊の土下座をしながら、ある懇願をしてきた青年だった。
◆ ◆ ◆
「……ええと、顔はもう大丈夫ですか?その、強く殴ってしまい申し訳ありません」
「……いえ、百パーセント俺が悪かったので……ホント、スイマセン」
ユーリヤと青年は一旦茂みより離れ、近場のベンチに青年を座らせた状態で対面していた。
襲いかかってきた時の勢いも失われ、青年はただ顔を俯かせて今にも消え入りそうな声で応える。心底落ち込んでいるといったその様子に、襲われた側であるユーリヤも強く追求する気が出来ないでいた。
つい加減無しで殴ってしまった青年の頬は腫れ上がり、押さえられた手の隙間からも赤みが覗いている。
「少々失礼します」
「え?……あだっ」
落ち込んでいる青年の頬に当てられた手の上からユーリヤが自らの手を重ね、青年に気付かれない様に声を絞りながら腫れた頬へと治癒の魔術をかける。
本来この程度の軽症にかけるような魔術では無い為、最小限のおまじない程度に力を抑えて行使する。ユーリヤとしては神の奇跡を軽々しく使うというのは避けたい所であったが、このままの状態では事情も聞けない。
魔術をかけられた側の青年すらも見えない程の微かな光が、顔の付近を覆う。その効果はすぐに現れ、顔につけられた掌の痕はそのままに腫れだけが引いていった。
「痛みはまだありますか?」
「え、あ……あれ?さっきまで、あれだけ痛かったのに」
「その様子だと、もう痛みは引かれたようですね」
殴られた方の頬を撫でつつ、何が起こったのか得心がいかないといった様子の青年の様子を見て、上手く調節が効いた事を確信したユーリヤは笑いかける。今何かしたのか、といった余計な疑問がこちらへ寄越される前に、ユーリヤは青年へ問いかけた。
「……それで、色々と落ち着かれた様ですし。その、なんであんな事をしたのか、聞いても宜しいですか?」
「う゛……」
「正直に仰られるなら、私から深く糾弾するつもりはありません。……誰しも過ちを犯す事はあります。それを正す心さえあるならば、神もまたその御心を以て赦しを下さります」
これは罪悪感を減らし自供を誘う為の方便ではあるが、紛れもないユーリヤの本心からの言葉でもあった。
いきなり襲われて痴漢された事自体は確かに怒るべき事だが、人を明確に害する行い――具体的には邪神教団の行いの様な、人の心や命を愚弄する程の事――をした訳でも無い青年に対し、多少過剰と言える抵抗をしてしまった事から、ユーリヤはこれ以上青年を非難する必要は感じていなかった。
何よりも、今目の前にいる青年は頭と肩を落とし、その全身で申し訳無さそうにしている。どんな他者からの非難よりも、自省や自戒は重くその身に伸し掛かる。
『もし人の罪を赦すなら、あなたがたの天の父もあなたがたを赦してくださいます』。神の使徒としてユーリヤはその言葉のままに、どんな理由であろうと既に青年を許すつもりでいた。
「……その、ええと」
「ゆっくりでいいですよ、自らの罪を口にするというのは難しいものです」
「……俺、つい先月誕生日だったんです」
「えっ?……は、はぁ。それは、おめでとうございます」
頭は下げたままだったが、ここでようやく青年が口を開く。が、その言葉はユーリヤにとっては予想外の言葉だった。
てっきり何か嫌なことがあって、それで血迷ったとばかり思っていたユーリヤの口から困惑の声が漏れる。
「……何も、めでたくなんか無いんですよッ……!」
「え、えっ?」
「結局、俺は女性経験が無いまま三十代を迎えてしまったんですッ……!く、くそッ……!」
「……は、はぁ」
青年は膝の上に置いた手を強く握り締めながら、心底悔しそうな声を漏らす。
正直もっと深刻な悩みから行動に移ったと考えていたユーリヤからすれば、想像の斜め下を行く悩みだった。
ユーリヤが拍子抜けしている間にも、青年の語りは熱を上げながら続けられる。
「挙句の果てには友人たちに未だに経験が無いのがバレて……!今じゃ会う度に『よぉ童貞、最近どうだ?』とか言われる始末で……!あれが、人間のやる事かよッ……!」
「しゅ、周囲に誰かいる状況でそれを言われるのは、酷いですね……」
「あ、いやそういう事は無いです。友人もさすがにその辺は弁えてるんで、周りに誰もいない時か、もしくは俺の事知ってるヤツしかいない時じゃないとそういう弄りはしてきません」
「……や、優しい友人さんですね……?」
「あれのどこが優しいんですかッ!ちくしょう、彼女いない歴イコール年齢だからって下に見てきやがって!『俺の彼女のツテでよければ、女友達紹介しようか?』だと!?俺に出会いが無いとでも思ってんのか!その通りだよくそぉ!」
「それは本当に親切で言われてるのでは……?」
何やら思った以上に妙な話になってきた。どんどん話がズレていくのを感じ、ユーリヤの肩が少し下がる。
「前二人で飲みに行った時も『いいか、金払ってでもいいからさっさと卒業しちまえ。一回ヤっちまえば自信はつくもんだ、抱えてて嬉しいもんじゃないだろ。だーははは!』とか笑われちまって……」
「……その、大変、ですね……?」
「それで、一時期は本気でそういった店に行くことを考えたんですが……その、どの店のアルバム見ても、なんかピンと来なくて」
「…………」
「そういう時どうしても、シスターさんの顔がよぎって」
「……えっ?私、ですか?」
いつまでこんな話聞いてなきゃいけないんだろうと、さすがに半眼となってきた頃合で唐突に自分の名前を上げられてユーリヤが驚く。
青年は顔を上げ、心底申し訳無さそうな顔でこちらの目を見つめてきた。
「その……以前、シスターさんにしてもらったのが、忘れられなくて……」
「ちょっ、こ、こんな所で変な事を言わないでくださいっ!」
思わずユーリヤが周囲を見渡す。公園は依然としてユーリヤと青年以外にはなんら動く影も無く、話が誰かに聞かれていないという事を確認したユーリヤはほっと一息をつく。
以前この青年が教会に訪れた時、ユーリヤは青年から性的な要求を受け、頭を地面に擦り付けながらの”一生に一度”と言うようなあまりにも強い懇願に根負けして、ついその胸で奉仕をした事があった。
そういえば確かにあの時、「このままでは童貞のまま三十になる」と漏らしながら、申し訳無さそうにこちらに性行為を懇願してきた記憶がある。その時は結局胸だけで満足してもらって帰ってもらったのだが……。
「どうしてもそういう事をする、ってなるとあの時の事を思い出して……他の誰かとするというのが考えられなくなって……」
「は、はぁ」
「それでも童貞は捨てなきゃならないと考えると、これからどうするべきかわからなくなって、悩みに悩んで気分転換でもしようと散歩してたら、偶然シスターさんが一人で歩いているのが目に入って……」
「……ええと、それで襲った、と?」
「どうかしてたんです!本当に、すみませんでした……ッ!」
「…………」
これ以上無いという勢いで全力で頭を下げられ、罪悪感に震える青年の姿を見てユーリヤは思った。
想像以上にしょうもない事だった、と。
「え、ええと、先程言った通り、私は気にしてませんので……その、他の人にこんな事、してませんよね?」
「してませんよ!そんな痴漢みたいに言わないでください!」
「いやさっきのは痴漢そのものでしたよ」
「うぐぅっ……!」
ついユーリヤの口から漏れた忌憚なき本音が青年へと突き刺さる。
もはや体はこれ以上無いほど縮こまり、陰鬱な雰囲気が座る周辺全てを覆い尽くしているかのような錯覚を覚える程に、青年は強く落ち込んだ。
「う……うう……俺はもうだめだ……いい年して童貞な上、前科まで……もう、死ぬしかない……」
「ちょ、お、落ち着いてください!別に通報する気とか、そういうつもりは――」
「こんな親身に接してくれるシスターさんにまで手を出すとか……これだから俺ってヤツはダメなんだ……こんなんだから彼女も出来ないし童貞のままなんだよぉ……う、うぅっ……」
「いえですから、私はあまり気にしてませんから。ほら、顔を上げてください!」
「合わせる顔なんて無いですよ……どうせシスターさんも『この童貞めんどくせえな、適当になだめてさっさと帰りたいな』とか思ってるに違いないんですよ……」
「い、いや、そんなことは……」
”早く帰りたい”だけは合っていたが、さすがにこの状況でそれを口に出す事は出来なかった。
気を沈ませ、自責の言葉に段々と首を締められさらに気分が落ち込むという悪循環に陥る青年に対し、ユーリヤはどう言葉をかけるべきか悩んでいた。
今しがたの事を気にしていない、と言った所で青年は聞く耳を持たない。やった事自体は世間一般的に考えればそれなりに
こういった時にはとにかく大元の悩みを聞き、相談に乗る事が一番の特効薬なのだが……こと悩みがプライベートかつ、異性特有の問題である為、ユーリヤから言える事はそう多くない。
彼女を作りましょう、素直にお店に行きましょう、というか悩むのをやめましょう。これらの正論は正しくはあるが、同時にそんな事は青年にしても十二分に理解している事であり、むしろそういった正論が根底に根付いているからこそ、この青年は深く悩んでいる。
傍から見たら大した事の無い悩みでも、本人にとっては人生を左右する問題である事も得てしてある。そういった状況――なのかは正直思えないのだが、これ程までに悩む以上少なくとも当人にとっては大きな問題であるだろう、そうユーリヤは考えることにした――に置かれた青年へ、どうすれば声を届かせられるのか。
以前に強引に押し切られて奉仕させられ、今回に至っては痴漢もされた身の上でありながら、ユーリヤはその事を必死で考えていた。
「うう……なんだよ『女を知れ』って……俺は産まれた時からずっと男だよ……そんなん知らなくても仕方ないじゃん……女装でもしろってのかよぉ……」
「いや、そういう言葉じゃないです」
「知ってますよぉ!!……やっぱ俺なんてダメだ、死のう……」
「だから落ち着いてください!そんな事で命を粗末にしては――」
「”そんな事”!?そんな事なんかじゃあないんですよ男にとっちゃあ!童貞ってのは産まれ落ちた時よりつきまとう呪いみたいなモンなんですよ!捨てない限りその事実は永遠につきまとい、尊厳と魂を腐らせていくんですよ!!」
「そこまでの事なんです!?」
顔を上げ鬼気迫るといった風に叫ぶ青年を見て、ユーリヤは思った以上に事態が深刻なものと思い始める。
思えば、知り合いの傭兵も童貞である事を指摘される度に顔を抑えて落ち込んでいた。あれはプライバシーに関わる話に突っ込まれる事への悲しみとばかり思っていたが、もしも男性にとっての童貞がそれ程に深刻な問題だとするならば、あれらは本人にとっては心を抉られている様な事だったのかもしれない。
全く本人の預かり知らぬ所でユーリヤからの同情を集める傭兵の事はともかくとして、ユーリヤの中では今目の前の青年の抱える問題への認識が変わりつつあった。
「どうせこれからも職場の女性から『三十にもなって女も知らない男の人って』とか『あの人なんか童貞臭いよね』とか『経験の無い人はちょっと』とか陰口叩かれて、それが原因になって彼女が出来なくなる負け組の螺旋を永遠に歩んでいく人生になるに決まってるんです!」
「被害妄想が重すぎませんか!?」
「それだけの事なんですよ!そんな恥を抱えて人生生きてたって、これからも辛いだけでしょ!?じゃあもう、さっぱりと死ぬしかないじゃないですかッ!!」
「じゃ、じゃあ、女性について知れればいいんですね!?」
「それが出来ればやってますよぉっ!無理だからこうなってるんですよぉっ!!」
「わ、わかりました、教えますから!教えますから、一旦落ち着いてください!」
青年とユーリヤがほぼ叫び合いと化した会話を一度切り、呼吸を挟む。互いにぜいぜいと喉を鳴らし、息を整える。
勢いのままに叫んでいた青年が、落ち着きを戻しながら徐々に今話した言葉の内容を頭の中で順に整理していく。そして最後のユーリヤの言葉を自らの頭で反芻する。
「…………えっ?」
青年が目を瞬かせてユーリヤを見つめる。
目の前のユーリヤは丸めた手を口に当て、顔を赤らめながら恥ずかしそうに目を逸らしていた。
そんな重い問題だとは思わなかった ――通りすがりの一般男性(無職童貞)の供述より
実はユーリヤさん編は3つぐらい案があったんですが、1つは途中で忘却し、1つはお蔵入りとなり、脳内サバイバルを生き残ったこの案を採用しました。
当小説でもっと見たいヒロインは誰ですか?
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蓮ちゃん
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ユーリヤさん
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真魚ちゃん
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蜜柑さん
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夢ちゃん