※この作品はR-18です。

Ith-Videoは観測する   作:灰の熊猫

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*教え導く事

「……あの、その。……せめて、場所を変えさせてもらえませんか……?」

 

 失言にも似た発言の後、青年とユーリヤは先程連れ込まれた公園の茂みの奥に二人でいた。

 青年に至近距離まで詰め寄られて茂みの中の木を背にする形となっているユーリヤは、口に手を当て恥ずかしそうにしながら、落ち着かない様子で視線を左右に振っていた。

 先程の騒動からここに至るまで誰一人通りかかる事の無い程に公園内は閑散としており、その中でも特に人目に付きにくいだろうこの場所では、どれだけ見渡した所で自分達以外の姿は見えない。

 それでも誰かが今この状況を見ているのではないか、偶然通りがかる人が来るのではないか。そういった仮定がユーリヤの頭に幾度も湧いて出て、辺りを気にしてしまう。

 そもそも、何故こんな状況になっているかと言うと――

 

「だ、だって!今シスターさん言ったじゃないですか、女性について教えてくれるって!」

「こ、声が大きいです、静かにっ!」

「あっ、す、すみませんっ。……で、でも、もしかしたらそれは一時の気の迷いで、ちょっと間置いたら”やっぱり無しで”ってされるかもしれないじゃないですかっ」

「そ、そんな事は……」

 

 そういった事が無い、とはさすがにユーリヤにも断言出来ない。事実、先程の発言は話の流れでつい口からポロッと溢れた様な言葉であり、言ってしまってから自分が何を言ってしまったのかを遅れて理解した節があった。

 とはいえ、真剣に悩みを吐露してくれた青年に対して発言を撤回してしまうというのは誠実さに欠けるし、嘘にしてしまうつもりは無かった。

 ……が、何も今すぐ、外でそういった良俗に反する行為を求められるというのは予想外だ。

 

「俺は今すぐにでもしたいんです……!もう、待てないんです……!」

「い、いえ、ですから、もう少しの所に私の教会もありますので、せめてそこで――」

「俺自身もう自制が効かなくなってきてるんです……!今回はシスターさんを襲ってしまったからいいとしても、童貞をこじらせて他の人を痴漢なんてしたら、もう取り返しがつかないんです……!」

 

 いや、一人(わたし)だけでも痴漢に及ぶ時点で普通取り返しつかないと思います。

 そう喉まで本音が出かけたものの、拳を握り険しい表情で自戒している様子の青年を見て、ユーリヤは言葉を止める。

 それ程までに男性の童貞とは業の深い事だったのか。一般的な俗事に疎いユーリヤは、目の前の青年の鬼気迫る様子から自身の認識を改めざるを得なかった。

 

「で、ですからっ、そういう事をするにしても場所をですね――」

「もう、今しか無いんです!お願いしますっ……!おねがい、しますッ……!」

「ちょ、こんな所で土下座しないで下さい!ほら、服も顔も汚れますから!」

 

 今にも顔が触れるのでは無いかという程に詰め寄ってきた状態から、青年は一瞬で視界から消える。僅かに見えたその動きを追ってユーリヤが視線を下げると、一秒にも満たない時間の間で青年は体を丸めながら公園の土に頭を擦り付けていた。

 地面に頭を落とすだけでなく、その頭で土を削り掘るかの如き迫力の土下座をする青年の姿に、まるで断っている自分が悪いかのような錯覚をユーリヤが覚える。

 教会の懺悔室で見せた土下座よりも速く、強く、低い。頭を下げる事に全てを賭け、人の持てる自尊心全てを擲(なげう)つ如きその姿に、ユーリヤは慌ててしゃがんで青年の土下座を止めようとした。

 

「おねがいします……!う、ううっ……なにとぞ、なにとぞォッ……!」

「わ、わかりましたっ、わかりましたからっ!だから顔を上げて――」

「ホントですかっ!?」

「立ち直りが早い!?」

 

 根負けしてユーリヤが青年に許可を出した瞬間、地面の土を飛ばす勢いで青年は顔を上げる。その顔には先程見せた申し訳無い様子が全て消え去り、土や砂で汚れながらも明るい表情を見せてくる。

 あまりにも緩急の激しいその様子に圧倒され、ユーリヤの体が引ける。人は心次第でこれほど態度を転じることが出来るのかと、また一つ人の心の複雑さを学ばされた。

 というか、正直ドン引きだった。

 

「そ、それじゃ、早速――」

「そ、その前に!一つ、断りを入れておきます!」

「え?」

 

 未だ地面に膝をついたままでありながら、食いかかるような勢いで手を前にかざして再び詰め寄って来る青年を、ユーリヤが両手で軽く抑える。

 結果的には少々騙すような形になってしまうが、事を始める前に一つ青年へ確認させるべき事があった。

 

「そ、その……最後まで、というのはダメ、です」

「えっ?ど、どういう事、です?」

「っ……そ、その、交わること、です」

「え゛っ!?」

 

 青年の前で人差し指を立てながら、ユーリヤが青年に唯一にして最大の禁止事項を言い渡す。

 それは数にしてたった一つの事だが、青年にとっては大問題であった。青年は思わず声を裏返し、続けて明るさを取り戻した顔を神に見放されたかの様な絶望で染める。

 

「ど、どういう事ですか!?さ、さっきシてくれるって……!」

「そ、そこまでは言ってません!あくまで、”女性について教える”、というだけです」

「……え、えぇ?」

 

 ”女性を教える”と言いながら、”交わる事はしない”というとんちの様なユーリヤの物言いに、青年は頭に大量の疑問符を詰める。それによって青年が落ち着きを見せた所で、ユーリヤは話を続けた。

 

「……こほん。貴方の悩みは、その、経験の無い自分に対する自信の無さと見えます」

「は、はい」

「ここで大事なのは、異性との経験ではなく自らへの自信の方です。その、女性がどうという前に、自分を認めてあげられていないというのがその悩みの大元なんだと思います」

「……は、はい……?」

 

 ユーリヤ自身は立っているにも関わらず、膝を落としたままの青年に詰め寄られるという歪な状態を維持したまま、ユーリヤは青年に一つ一つ丁寧に諭していく。

 悩みについて一つ一つ遡っていけば、必ず最後には根と言うべき解決すべき問題が見つかる。この青年の場合、その悩みの大元は女性経験の有無では無く、それを気にしてしまう程の自らへの自信の無さとユーリヤは見た。

 現実問題として、経験が無い人自体は多い。それを気にするのは仕方のない事だと言えるが、気にする余りに先程の様な暴挙に出てしまうというのは普通の状態では考えにくい。

 自信の不足が原因だと言うのならば、それを補ってさえやればいい。

 

「自信というものは日々の積み重ねに裏打ちされる物です。それをすぐにつける、というのは無理ですが……”女性と行為出来る”という確信さえあれば問題は無くなる……と思います」

「……ん、んん……ええと、つまり?」

「一線を越える、というのはダメですが。実際に女性と対面する事になった時にどうすればいいのか、私で良ければ教えます、ので。……それで満足して頂けませんか?」

「え、えぇ……?」

 

 ユーリヤの説明を受け、青年はいまいち納得がいかないといった風な顔を向ける。

 結局女性経験で悩んでいるのにも関わらず、経験はさせてもらえない。その一点のみを受け、青年の心は銷沈する。思えば以前土下座して性交を迫った時も、胸だけで済まされて肝心要の行為まではしてくれなかった。

 結局自分は今の情けない自分から卒業出来ないのだろうか。そもそもこうやって行為を強引に迫るという事自体が間違いなのだろうか。失意のあまり、青年は真っ当な思考に戻ろうとしていた。

 

「……で、では、はじめます、ね」

 

 そう青年が考えていた矢先、ユーリヤが自分の両手を足回りへと伸ばす。そのまま法衣を掴み、その裾を体の線に這わせる様に徐々に上げていった。

 躊躇いを混じえながらも、ユーリヤはゆっくりと自らの意志でその白く細い脚を外へと晒し始めた。目の前で徐々に肌を見せられるというその光景を、青年は先程までの失意も忘れて見入る。

 法衣の裾はそのまま止まる事無く上げられ続け、脹脛、膝、太腿と、ユーリヤの下半身が順に露わとなる。女性的な丸みを帯びた部位の輪郭一つ一つに目が釘付けにされている間にも、裾は少しずつ上げられていく。

 やがてユーリヤの両手が腰の上にまで辿り着き、手が止まる。止められた場所へと青年が目線を上げた所には、薄い色のレースがあしらわれた、ユーリヤの局部を覆い隠す白い下着があった。

 目の前で下半身のみを見せられるという日常離れした光景に、思わず青年は言葉を失い、唾を飲み込む。そんな青年を見て、ユーリヤは脚を内側に少し傾け、羞恥による顔の赤みが増す。

 

「……あんまり、乱暴にしないで下さい、ね?」

「っ!」

「ひゃあっ!?」

 

 伏し目になりながらも上げた裾はそのままに、恥ずかしさに口を詰まらせながらもこちらを誘うユーリヤの言葉を受け、青年は先程までの失望も忘れ、地面に膝をついた体勢のままユーリヤの真っ白な脚へと抱き着いた。

 両手を太腿の裏側へと這わせ、自らの顔を両脚の間へとつける。女性特有の柔らかな肉付きを掌全体で感じながら、ふわりと漂うユーリヤの体臭と僅かに浮かんだ汗の匂いを鼻の奥へと取り込んでいく。

 息を荒げて太腿を触られながらも脚の匂いを直に吸われるという行為に、ユーリヤは身を竦ませた。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!ら、乱暴はダメだって……!」

「す、すみません、で、でも凄いいい匂いで……」

「変なコト言わなくていいですから!ちょ、ちょっと落ち着――ンッ」

 

 青年の勢いに押されて太腿を反射的に内側へと閉じながら、ユーリヤが制止しようと声をかけるも、青年は太腿の間へ顔を埋めたまま離れようとしない。

 その間にも青年の裏腿に添えられた手は絶え間なく動き、衝動のままに膝裏の上から足の付け根に至るまでを揉みながら撫で上げていく。その指先が内側をなぞった瞬間、ユーリヤの口から高い声が漏れた。

 

「はっ、はぁっ、シ、シスターさん……!」

「だ、ダメです!ほ、ほら、一旦離れてくださいっ」

「あっ……」

 

 ユーリヤの声を受けて止まるどころか興奮を増すばかりの青年から、ユーリヤが体を横向きにして逃れる。

 青年の手から柔らかな感触が離れ、顔全体で感じていた香りが消える。先程まで青年を支配していた興奮も共に掻き消え、ただ自分の求めるものが少し離れたという事実を惜しむ。

 手一つ分しか離れていないというのに心の底から残念そうな顔を向ける青年を見て、ユーリヤはなんだか申し訳ない気持ちになる。百人中百人がどう見ても青年が悪い状況においても、ユーリヤは罪悪感を覚えた。

 

「そ、そんな残念そうな顔をしないで下さい。順番を守っていただければいいんです」

「じゅ、順番?」

「そうです。……誰かに触れる、というのは独り善がりでは成り立ちません。先程の様に自らの欲を押し付けるだけではいけません、ちゃんと相手の気持ちも考えながら、少しずつ歩み寄っていかなければならないのです。わかりますか?」

「……ハ、ハイ」

 

 裾を上げた両手を一旦股下まで戻し、脚は露わのまま下着だけを隠す体勢でユーリヤが青年へ言い聞かせる。

 正直青年は未だ見せ続けられている真っ白な太腿にのみ目を向けており、その話は半分ぐらいしか耳に入っていなかったのだが、ちゃんと落ち着いて話を聞いてくれていると勘違いしたユーリヤはそのまま話を続ける。

 

「欲に呑まれず、必ず相手に断りを入れてから動かなければなりません。これは異性との付き合いだけではなく、どんな親しい間柄の付き合いでも通じる――」

「じゃ、じゃあ、ふともも触っていいですか!?」

「ま、まだ話は途中で――」

「いいですかっ!!?」

「…………わ、わかりました。でも優しく、ですよ?」

 

 話を食い気味に遮られ、説法の途中にも関わらずユーリヤは思わず青年の望みを聞き入れてしまう。

 まぁ話の大事な所は聞き入れてくれたようだし、太腿を触るだけなら、とユーリヤは体の向きを戻して再び青年と向き合う。

 

「……っ、おぉ……おおっ」

「っ……」

「や、柔らかい……優しくって、このぐらい、ですか?」

「……ぁ、っ……は、はい」

 

 再び目の前に戻された太腿を、青年が恐る恐るといった手付きで触れる。

 先程とは打って変わって、割れ物を扱うように指先で弱々しく太腿をなぞられていく。先程までの勢いとの落差により少し敏感にその手の感触を感じてしまい、思わずユーリヤの口からは声混じりの吐息が漏れてしまう。

 

「す、すみません。もう少し強く触りたい、んですけど」

「……っ、どうぞ。でもさっきみたい勢いはダメ、ですからね?」

「ハ、ハイ、わかってマス」

「――ンッ」

 

 指先でただ線を引くだけのもどかしい行為に、青年が痺れを切らしてユーリヤにさらに踏み込んだ許可を取る。

 ユーリヤから許しを受けると、すぐに青年はその両の掌全体を太腿へ付け、先程より強くならない様に指に力を込める。たどたどしく太腿を揉まれ、ユーリヤが反応を返す。

 ユーリヤから止められる事が無く、この位の力加減ならば問題無いと青年は考え、その白く柔らかな感触を掌全体で味わう事に集中し始める。

 

「……っ、く、ぅっ……あっ」

 

 欲求のまま荒々しく揉んでしまいたいと逸る心を抑えながら、青年は掌を太腿のあらゆる場所に動かしながらもその指先に徐々に力を入れていく。

 ただ闇雲に感触を味わうだけではなく、太腿のどこからどこまでにその柔肉がついているか、薄い場所はどこか、触れる度に漏れる吐息が変わるポイントはどれか。青年はユーリヤの肢体に興奮しながらも、欲求を抑えた事により生まれた余裕を割き、自らだけでなく目の前の”女”にも意識を集中していく。

 もっと大きな声を上げさせたい。そんな思考から、青年は太腿一帯を触れている時、特に強く反応が返ってきたと思われる場所へと手を伸ばす。

 足の付け根付近の、裏腿の内側に当たる場所。そこへ脚の裏側から回した手の指先を這わせ、少しだけ力を入れた。

 

「ひぁっ!?……ッ!」

「こ、ここですか?ここを、触ればいいんですか?」

「ふ、ぁんっ……~っ!!」

 

 唐突に自らの感覚の鋭い場所を触られ、ユーリヤが高い声を上げて反応してしまう。その事に対する羞恥から、青年の問いにも応えずユーリヤは口を噤んでしまう。

 返答を返されなかった青年は、何かまずい事をしたか、間違った所を触ったのではないかと考える。その思いから、今触った内腿付近に力を込めた指を沈み込ませ、足の付け根の内側付近を探るように撫で始めた。

 

「っく、あっ、やっ!ちょ、待っ――ひぅっ」

「こ、ここです?……いや、こう、です?」

「あっ、あぅっ……ぁ、ひゃっ」

 

 覚束ない手付きながらも、自らの性感帯近くを探るように揉み上げられ、ユーリヤから絶え間なく悩ましげな声が漏れ続ける。手が遠慮がちに動かされてる為、どちらかと言えばくすぐったさの方が大きいのだが、その中に一切性感が混じっていないかと言えば嘘になる。

 外で自ら脚を晒しながら自らの恥ずかしい部分を良いように触られ、声まで漏らしてしまうという状況に羞恥は際限無く上がり続ける。青年を止めようにも両手は自らの裾を上げる為に使っており、動かされ続ける手に反応して口は勝手に吐息を漏らしてしまい、制止の言葉を形に出来ない。

 まだ本格的に快楽を感じてるという訳ではないのだが、少しずつ自分の漏らす吐息に色が混じっていくのを自覚し、ユーリヤは焦りを感じ始めた。

 

「ふぁっ……つ、次っ!次、いきましょう!」

「え、次?」

「そ、そうです。いつまでも同じ所ばかり触っていても終わらないのですから、別の所を触りましょう」

 

 ねちっこく内腿を触られ続けて、ユーリヤはその感覚からつい逃げるように咄嗟に別の場所にするよう青年に提案した。

 正直このまま触られ続けていたら、ただ脚を触られているだけだというのに変な気持ちにさせられてしまう。羞恥を煽る状況も相俟って、ユーリヤは特に意味を考えずにその言葉を口にした。

 ユーリヤの言葉を受け、青年が手を止める。内腿に手を添えた状態のまま、一切動こうとしない。

 

「……?ええと、どうかしました?」

「あ、いや、このままだと見えないので」

「えっ?」

「へ?……次って、その、アソコですよね?」

「っ!?」

 

 言葉は濁されていたものの、そのニュアンスと青年の真っ直ぐな視線がどこに向かっているかで次に青年が触れようとしている位置をユーリヤが遅れて察する。

 確かに”次”と言うからには、さらに一歩踏み込んだ所に移る、という意味になる。自ら男性を誘い、触れる事をねだる様な言葉を言ってしまった事に対する恥ずかしさが今更になってこみ上げてくる。

 とはいえ、自分から言ってしまった以上は仕方ない。元々交わる以外の所までは教えると言った矢先、このままの状態ではいられない。

 

「わ、わかり、ました……その……どう、ぞ」

 

 ユーリヤは已むを得ないと言った心境で、自らの裾を再び腰の高さまで持ち上げる。

 再びユーリヤの腰から下の肢体が全て薄暗闇に現れ、青年へ下着を自ら見せる最初の状態へと戻った。

 

「お、おおっ……おぉぉ~……」

「……う、うぅ……」

 

 青年は感動の余り言葉も無いといった様子で、ただ嘆声だけを口にする。

 自らの下着を至近距離から見つめられるのを感じ、ユーリヤの顔はこれ以上無いという程に紅潮していた。一体どうしてこんな事になったのか、しかも誰か通りかかるかもしれない外で。

 ユーリヤは勢いに流されての先程の失言を悔やみながら、恥ずかしさから”自分で下着を見せつけている”という事実を考えないように、羞恥と困惑だけを頭の中でぐるぐると回し続けていた。

 

「そ、それじゃあ、早速」

「ふあっ!?やっ、い、いきなりっ!?」

 

 そうしてユーリヤが精神だけを逃避させていると、青年がその純白の三角形の頂点に指をかけ、横へとずらす。

 いきなり自らの秘部を覆う場所に触れられ、上擦った声が上がる。背けていた顔を急いで下に戻す頃には、自らの秘部は既に冷たい外気に晒されてしまっていた。

 

「こ、これが……シ、シスターさんの……!」

「そ、そんな、まじまじ見ないで下さいっ!」

「で、でもちゃんと見ないと、どこ触っていいかわかりませんし」

「~~~っ!!」

 

 最も隠すべき場所を心の準備も無しに覗かれ、ユーリヤは声を荒げる。

 しかし、今からやろうとしている事を考えれば”見るな”というのは無理がある。それを思い出し、ユーリヤは目を瞑り恥ずかしさに耐えようとした。

 

「……それで、どう触ればいいんです?」

「……ま、まずは、その。……ゆっくり、線に沿う様に撫でて、ですね……」

「こ、こうですか?」

「っ……」

 

 露わになったユーリヤの筋道を、言われた通りに青年が指でなぞっていく。

 ただ秘所の外側だけを指が往復する、性感を意識させるだけの愛撫。だが、”自分で指示した通りにやらせている”という事実がユーリヤの羞恥を煽り、青年に自慰を代わりにさせている様な異様な状況も相俟って、体は反応し始めていた。

 

「んっ……ふ、ぅっ……」

「……あれ?指先が、なんか……何だこれ、水?」

「っ!!」

「もしかして……シスターさん、気持ちいい、んです?」

「う、うう~~っ!」

 

 その線を指で往復している最中に、青年の指先に水気がつく。粘りのある独特な感触から、それがお互いどちらかの汗でない事は経験の無い青年にもはっきりとわかった。

 青年が顔を上げてその事を追求すると、ユーリヤが眉を潜めて恥ずかしさに悶える。顔を手で抑えたくはあったが、裾を握ったままの為にそれも出来ず、真っ赤な顔を隠すことも出来ないままユーリヤは顔を伏せた。

 自らの手で女性を気持ち良く出来ている。羞恥に染まったユーリヤの表情を見て確信した青年の指に、さらに力が入る。

 

「は、あっ!?や、んぅっ!だ、だめっ……!」

「す、凄っ……擦れば擦るほど、奥から出てきますよ、これ……!」

「い、言わないでぇっ――ふあんっ!?」

 

 青年は二本の指で先程よりも強くユーリヤの溝をなぞり、奥から滴る愛液を潤滑油にしてその指の速度をスムーズにする。

 僅かに力を入れるだけでも、指は入れた力の分だけ抵抗無くユーリヤの柔肉に沈み、その隠された唇の内側を掠めていく。

 最も神経の集中する部分を指でなぞられ、ユーリヤは明らかな嬌声を上げてしまう。もはやその指が齎す感覚はくすぐったさといった曖昧なものではなく、直接的に性感を伴う快感そのものだった。

 自身の体へ僅かだが着実に積もり始めた快楽を認め、ユーリヤは体を震わせる事しか出来ない。口で制止をかけても上擦った声では説得力は無いし、両手は自らの意志で塞がれ、木を背負っている事で体を引く事も出来ないからだ。

 

「も、もっと強くしてもいいですかっ」

「やぁっ……ンッ、ダメ、だめぇっ……!」

「うっ……」

 

 もっとユーリヤの反応が見たくなり、青年はさらに強く触るべく許可を取ろうとする。

 その間にも指は半ば意志の外で前後され、ユーリヤの声が甘く変わる。内容に反して声色には拒絶の色が見られず、顔を上気させながら喘ぐその様子が、ユーリヤの本心とは裏腹に青年の情欲を煽ってしまう。

 

「す、スミマセンッ!」

「あっ!?や、ダメって――んぅッ!!」

「うわ、沈っ……!?」

 

 情欲に押されるがままに、ユーリヤの制止も聞かずに青年は指へ込める力を一層強めてしまう。

 そのまま指を強く溝へと押し当て前後させると、拍子に青年の中指の先が閉じられた蜜壺へと侵入した。

 

「わ、わっ、熱ッ」

「ふぁっ!やっ、あっ……うっ、うごかさ、ないでっ……!」

「そ、そんな事言っても……」

 

 初めて感じる女性の内側の感触に青年が困惑し、肉襞が絡みつく感触に驚いた指が反射的にそこから退こうとするも、指先全てが膣に包まれた状態の為に指は動かない。

 代わりに指の僅かな震えがそのままユーリヤの内側を擦り、その刺激によってユーリヤは意志の外で一層指を締める力を強めてしまう。

 指を僅かでも動かす毎にすぐに反応が返ってくるその膣の感触とユーリヤの甘い声に、制止の声も意味なく青年の欲情は高まり続ける。このまま、指をもっと深くまで入れたらどうなるのだろうか。そんな考えが頭を過る。

 

「ぅぁっ!?ゆ、ゆびっ……ぬ、抜いてくださいっ……!」

「す、すみません、無理ですっ」

「そんなッ――あっ!?やあっ、んんっ、ふっ」

 

 思考すると同時に、中指の先だけしか入れていなかった状態から手が動いてしまう。少しずつ中指を奥へと沈ませていき、中の感触を確かめていく。

 指を沈ませる度にユーリヤの内側がぴくぴくと反応を返し、体に誘い込まれているかのような錯覚を覚える。熱く柔らかく吸い付いてくる肉の感触に青年が気を取られている間に、気付けば中指の根本までが完全にユーリヤにの内側へと呑み込まれてしまっていた。

 膣中の熱が中指全体を覆い、絶え間なく締め付けてくる。女性の体というのはこれ程奥まで物を受け入れるのか。頭では理解していた事でも、実際に自らの手と目で感じる目の前の事実に青年は息を呑む。

 

「シスターさん、指、全部入っちゃいましたよ……。凄いですね、女性の体って……熱くて、柔らかくて、なんだか吸い付いてくるみたいで……」

「う、ううっ……お願いですから、ヘンな事言わないでください……」

「いやだって、これ……なんていうか、凄いですよ……」

「あっ!やぁっ、奥、擦らないでッ!」

 

 全く構造の違う異性の体に思わず青年が感動すら覚え、心の底から湧いて出たその感嘆の声にユーリヤの羞恥はさらに促される。自身の体の感触を誰かに実況されるというのは、想像以上に恥ずかしかった。

 もうこのまま消え入りたいとまでユーリヤが思っていると、青年が奥まで沈ませた中指を軽く曲げて動かし始める。恐る恐るといった力で奥を触られ、ユーリヤが嬌声を上げる。

 

「……ええと、これ、どこ触っても気持ちいいものなんです?それとも、何か違う所とかあるんです?」

「ひぁっ、あっ!……な、なんで、そんなッ、こと、ぉっ……!」

「いや、その。触って気持ちいい所があるなら、ちゃんとそこ触った方がシスターさんも気持ちいいかな、って」

「そ、そんな気遣いいりませんからぁっ!」

 

 中指を動かしながら、青年がユーリヤにより性感の高い部分を聞いてくる。

 羞恥を煽る為の言葉なのかと恨めしくユーリヤが青年を見ると、こちらの様子を伺う青年の顔は真剣そのもので、その言葉にこちらを責める様な意味合いが無い事がわかる。

 たちが悪い事に、この青年は善意十割でこちらの性感帯を聞いているようだった。混じり気無しにこちらを思っての行為とわかり、ユーリヤはなんとも言えなくなってしまう。

 こちらの羞恥を煽り反応を伺う様な相手自体は”奉仕活動”でよく経験していたのだが、良かれと思っての質問とあっては無碍にもしにくい。”女性について教える”と言った矢先、黙り込んで無視するというのも気が引ける。

 

「~~~っ!……も、もう少し、奥の、あたり、です……」

「こ、ここですか?」

「ひぁっ……そ、そっちじゃなくて、手前側、をっ……」

 

 震えながらユーリヤは消え入りそうな声で、青年の中指を導く様にどこを触ればいいかを教えていく。

 当てもなく探るように秘所の奥を触り続ける中指が、指示を受けて明確な手付きとなり、少しずつユーリヤの敏感な場所へと近付いていく。やがてある一点、恥骨下の裏側の辺りにある凹凸へと中指の腹が届いた。

 

「あんっ!……っは、あっ」

「こ、ここですね!」

「あっ、やっ!だめっ!もっとやさし――ひぁんッ!!」

 

 それまでとは明らかに違う高い声で反応を返すユーリヤを見て、青年はその一点を触るべきと判断する。

 指の腹で押し、指先で擦り、振動を与える様に小刻みに触れる。青年は自分に考えられ得る限りの方法で性感帯を刺激していく。お世辞にも巧いとは言えないものの、我武者羅に弱い場所だけを責める指先にユーリヤは声を荒げて体の昂りを高めていく。

 その様子を見て自分がちゃんとユーリヤを気持ち良く出来ていると考えた青年は、さらに責める力加減を強める。緩急も無く、ただ弱い所だけを触るだけの愛撫は、それでも確実にユーリヤを追い詰めていった。

 

「あっ、あぁッ、っくぅッ、ふッ、ぁんッ!」

「ど、どうですか!ちゃんと、出来てますか!?」

「き、聞かないで、くだ――あぁッ!だめ、だめぇ!」

 

 少しずつ強くなる指先に、ユーリヤは一瞬体の奥が強く疼く感覚を覚えてしまう。このままではまずい、と思いながらも青年の指は自身の弱い所から一切離れず、絶え間なく様々な触り方を試してくる。

 力を強めるばかりで一向に弱めようとしない指先に、ユーリヤは落ち着きを取り戻すことが出来ないまま欲情を高められていく。

 青年の指先の動きが再び変わり、爪で軽く弾く様なものに変わる。その瞬間、ユーリヤの弱い部分から体全体へ強い電流が走ったかのような強い快感が走った。

 

「ッハ――あ、ぅあぁっ!!っや、あぁっ!」

「うわっ!?いきなり締まって……!?」

「ダ、ダメッ!指、離して――いっ!ん、ぁっ!!」

 

 着実に高められていた性感が鋭い刺激を受けた拍子にユーリヤの我慢を越え、軽い絶頂に至る。

 それによって膣全体が収縮し、青年の指全体を締め付ける。が、指を曲げて爪先をユーリヤの弱い場所へと当てられたままの状態で中全体が縮んだ事により、弱い場所を自ら指先へ押し付ける様な状態に陥ってしまう。

 何が起こったのかわからず青年は指を止めていたが、指先が一点から離れない為にユーリヤは自身の弱い所を押され続ける。自らの絶頂によって性感が高まっている時にも離れない指にさらに強くユーリヤは反応してしまい、体全体が細かく波打つ。

 

「あッ、ぁ――っは、あ。……ん、ぅう……」

「ど、どうしたんです?なんか、急に中が締まりましたけど……」

「……う……そ、その。今のが、女性が……その、絶頂を覚えた時の、反応です……」

「えっ?ぜっちょ――あ、イったって事ですか!?」

「わざわざ恥ずかしく言い直さないで下さいッ!」

 

 思考の麻痺から気を取り戻し、ユーリヤが荒げた呼吸を整えていく。

 青年は落ち着いたユーリヤを見て何が起こったのか、純粋な疑問をぶつける。無知故の無自覚な責めに言葉を詰まらせながらも、ユーリヤは丁寧に今自分に起こった事を説明していく。

 得心がいった青年はその事を喜び、言葉を反芻する。より直接的な物言いに、ユーリヤは今しがたの自分の姿を思い返してしまい声を荒げた。

 

「……な、何にせよ、ですね。人それぞれのやり方がありますので、一概には言い切れませんが。女性に触れる時にはこの様にします。……わかりましたか?」

「は、はい。なんとなく」

「……はぁ。それでは、もうこれで大丈夫――」

「じゃ、じゃあ、次は!?次はどうすればいいんですか!?」

「――……へっ?」

 

 何はともあれ、女性の触れ方については教えられた。絶頂を覚えた事を一区切りと考えて、ユーリヤがもう切り上げようとした時、青年がさらに強く詰め寄ってくる。

 ”次”があると確信しているかのような青年の目が、真っ直ぐユーリヤを見つめていた。

 




コーナー名”おしえて!ユーリヤ先生” ~二時間目につづく~

関係ありませんが、作者は学生時代かつて校内一と呼ばれる程の神速の土下座を得意としていました。プライドなんて一円もしない物を捨てて何かを得られるなら安い取引だと思います。

当小説でもっと見たいヒロインは誰ですか?

  • 蓮ちゃん
  • ユーリヤさん
  • 真魚ちゃん
  • 蜜柑さん
  • 夢ちゃん
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