※この作品はR-18です。

Ith-Videoは観測する   作:灰の熊猫

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*自由な不自由

「まずは舐めろ。丹念に、隅々までな」

「うっ、くぅ……っ!」

 

 蓮の薄唇に、鈍い赤銅色の肉傘がぴたりと押し付けられる。文字通り鼻の先に置かれたそこからは、目を瞑りたくなる程の刺激臭が湧いてきている。

 その臭いの強さだけで男のモノがどれだけ間を置いたものか、いかに汚れているかを理解してしまう。明らかに口に含むものではない、そんな汚臭に満ちた尖端が口紅を塗る様に蓮の唇の上をなぞっていく。

 口を塞いでも、鼻は生きている。あまりの臭いに鼻からの呼吸を一度は止めるも、結局は息苦しさが勝って僅かに唇が開いてしまう。その僅かに空いた口の孔を、男は僅かに押し入ってきた。

 

「舐めろ、と言ったんだ。……耳鼻科にでも、行ったらどうだ?くくっ」

「ぐうっ……く……ん、んふうっ」

 

 先程自分が男を罵った言葉を、そのまま返される。底意地の悪い言葉回しに怒りで顔が震えるが、蓮には反論も拒絶も許されていない。

 すぐに命令に従い、唇の位置で留められているだけの男根に顔を寄せる。歯を引き、茎部の半ばまでを口内に誘い入れ、口内から鼻の裏まで男の臭いが充満していく。

 鼻が曲がるとはこの事を言うのか、いっそ本当に曲がってくれていれば臭いも感じられないだろうに。そんな意味のない仮定を考えながら、蓮は小汚い垢が付着した性器に舌を押し当てた。

 

「ぐっ、ンッ、じゅぷっ、ん、ンンゥッ……」

「貴様らに襲撃されてから一度も洗っていないからな。さぞ美味いだろう?」

「んぐぅっ、ン、フッ、んんんっ」

 

 茎を、亀頭を、雁首を。その全てに舌を回し、舐め取り、吸っていく。

 鼻に続いて味覚まで男自身に侵食されている。それも男が強引に突き入れているのではなく、蓮自身の意志で顔を寄せて。自分から顔を寄せなければ舐めれない、そんな位置に男根がずっと在り続けている。

 恥垢の味で味覚が悲鳴を上げ、催す吐き気があらゆる思考力を奪っていく。今にも吐き出したい気持ちを自制心で強引に押し留め、舌の動きを止めずに続けていく。

 男は突く事も、動く事もしない。ただただ、奉仕を続ける蓮を見下ろして陰茎を脈打たせていた。

 

「売女のくせに下手だな。何を鈍臭(のろくさ)とやっている、さっさと全部舐めろ」

「――ッ、じゅうっ、んむッ、ンッンッ、フ、む゛ぅうっ!」

 

 その上で、文句だけを付けてくる。吐きそうな汚臭と味、全部は到底口に入らない大きさに四苦八苦している蓮にとって、”手早く全て”というのは無理な物言いだった。

 それでも、やるしかない。顔を前後させ、口内に入る部分までの茎を内側の唇で擦り上げる。雁首から亀頭だけを口に含み、唇で挟み込みながら舌で舐め回す。

 そうした後に、意を決して顔を目一杯まで思いっ切り男の股間に向けて動かす。喉まで届くのではないかという長さのモノをなんとか咥え込み、舌の届かない根本をゆっくりと唾液で濡らしながら唇で拭っていく。

 喉奥からの息苦しさで、肺腑の空気が逆流しそうになる。胸奥でそれを抑え込みながら、蓮はようやく男根全てを自らの口で舐め終え、唾液でぬらぬらとコーティングした。

 

「まぁ、こんなものか。欲を言えば根本はあとニ、三度は欲しかった所だが……その顔に免じて許してやろう」

「おぇ゛っ、ゲホッ、え゛っ……ぐううっ……!」

 

 入り切らないモノを喉にまで突っ込んだ事で、蓮は反射的に涙を流していた。

 数滴が目の下を濡らした程度だったが、今し方自分がやった行為の情けなさに涙を流したと心は誤認する。自分から積極的に顔を動かし、舐め上げ、突き込む。男の言う通りの、売女の所業。

 責任感と抵抗感が心中で捻じくれて、摩擦を起こしている。これでは、本当に負け犬だ。

 ――違う、そうじゃない。これは、皆で生き残る為の事だ。仕方のない事だ。

 政府も馬鹿ではない、政次郎からの連絡が途切れた時点でこの教団員の行方を捜し始めている筈。自分達との交戦で大きく力を削がれた男達は、いかに人質を取っていようと最終的には捕まる事になる。

 それまで、なんとかそれまで。自分が、みんなを守らなくては。抵抗感を振り切り、再び責任感が蓮の心を真っ直ぐに立て直した。

 

「まだまだ足りない、という顔だな。まぁ、まだ始まったばかりだ。気長にやろうか」

「う、あっ」

 

 未だ瞳の奥に光を宿す蓮を嘲笑う様に、男は屹立したモノを頬に押し当てる。

 蓮の唾液をタオルで拭う様に、蓮自身の頬に亀頭を、茎を擦り付けていく。血の滾った肉の杭は、蓮の肌に性欲の熱を唾液越しに伝播させていった。

 まるで性欲処理の道具の様な扱いに、蓮の表情には軽蔑よりも萎縮が浮かんでいた。

 

「さてと。もう少し甚振ってもいいのだが、そろそろ頃合いだろう」

「ひゃうっ……!ひ、あッ」

 

 男は蓮の前で膝を付き、視線を合わせる。そして右手を蓮の股に差し入れ、秘部を覆う。

 先程までの執拗な愛撫と絶頂、さらに男そのものを味わわされた事による生理的な反応によって、蓮の身体は性交に備えての愛液を知らず知らずの内に溜め込んでいた。

 抵抗の薄くなった濡れた肉壷へ、男の人差し指が挿し込まれる。そのまま内側で指が震え、襞を刺激されて耐えられない感覚が蓮を小さく身震いさせ、吐息混じりの声を漏らさせる。

 いつでも男を受け止められる、いつでも男は犯す事が出来る。二つの実感が反応を抑えられない自分への歯痒さと、最初の予想が実現してしまう恐れを心から引き出していく。

 

「……水気がまだ薄いな。もう少し出せんのか」

「あッ、うッ……む、無茶、言わないでよっ……」

「まぁ、それならそれでいい。足りない分は、代用すればいい」

 

 人差し指が根本まで挿し込まれ、前後に動いて蓮の内の愛液をかき混ぜる。

 しかし、心中では必死に耐えようとしていた絶頂だけではそれ程の水気にはなっていない。男根を入れるだけならば問題無いだろうが、それだけでは潤滑な性交には足り得ない。

 それを見た男は、一旦自分の脱ぎ捨てた外套の内側へ手を潜らせ、その中から黒い小瓶を取り出した。

 

「脚を上げろ」

「……わかった、わよ」

 

 その小瓶の蓋を開いた後に、男が蓮の右脚を腕に挟んで上に引っ張り上げる。その体勢を維持するように、蓮自身も腕の力に従って脚を持ち上げ、不安定な状態でバランスを維持する。

 自然と秘裂が脚の間で男の前に開かれるが、もはやその位ではなんとも思わない程には男に痴態を既に見られている。未だ秘部に対する羞恥心こそあるが、秘部を見られる事よりも片足だけを上げるポーズの恥ずかしさの方が勝っていた。

 

「そのまま動くなよ」

「ひあっ!?つ、めたっ……!」

 

 その開かれた膣口に、男は小瓶の口をそのまま挿し込んだ。小瓶の中身であろう温度の無い水が内側へと流れ込んでいく感覚に、上げた右脚が震える。

 とくとくと中身全てが注がれ、男が小瓶を秘部から抜く。それと同時に栓が抜けた様に、蓮の女陰からは僅かに体温を奪い取った謎の液体が垂れ落ちていった。

 まるで小水を漏らした様な弛緩を蓮が感じている間、男は瓶の底に残留していた水滴を陰核に落とし、秘部の表面まで濡らしていく。身体で最も熱を持っている部分が冷やされる感覚に、蓮は僅かに悶えた。

 

「……っ、これ、媚薬ね……?」

「ふうむ、やはり効き目が薄いか。とんだ体質だな」

 

 蓮の身体はその液体、いや薬品の事を一瞬で分析して理解した。

 毒操作能力と共に蓮の根幹を支える、薬毒耐性。毒操作能力を扱う為の特異体質であり、同時にその身が受ける毒の成分を分析する事も出来る、毒を制する為の前提。

 能力が封じられた今も、耐性まではそのまま残っていた。肉体そのものが製造工場(バイオプラント)である以上、能力という上澄みが封じられた所で体は毒を受け付けないままだ。

 ようやく男からの責め苦を一つ、たった一度思惑を外す事が出来た。それが、蓮の余裕と自信を再び胸中に吹き込ませた。

 

「ふふ、どうかしら、ね。あとニ・三本使われたら、わからないわよ。試してみるかしら」

「いや、いい。どうせ私はこれ一本しか持っていないのでな。常人であれば一滴でも発情する程のモノだ、これ以上あった所でもう無意味だろう」

 

 一矢報いてやったとばかりに、蓮が余裕の表情を浮かべて男を見返してやる。だが男は想定の範囲内とでも言う風に、空の小瓶を後ろへ投げ捨て、甲高い音を立ててそれが石畳で跳ね回った。

 わからない。わかっていたならば何故、そんな薬品を自分に使ったのか。単に薬毒耐性についての疑念を確認したかっただけなのか、何か別の目的があるのか。余裕が新たな思考を生む。

 そんな蓮の疑念をよそに、男は秘部に男根を添えた。

 

「――ところで、一滴でも発情する程の強壮剤を。直接此処に塗りたくれば、どうなると思う?」

「えっ――あ、んぅっ……!?」

 

 一筋の濡れたクレバスの上を、男の象徴が撫ぜていく。一度、二度、三度。それを繰り返す度に、蓮の秘部から感じる感触は少しずつ変化していった。

 茎は陽射しに熱された鉄棒の様に温度を上げ始め、ごつごつと猛々しい硬さと血の脈動を両立し始める。雁はより鋭く刃を立て、内側から張り裂く寸前ばかりに膨らみを増していく。

 男が投げかけた質問が、直接蓮の秘部に擦り付けられる。二回りは大きさを増しているだろうその感触に、取り戻した余裕は一瞬で冷めていった。

 喉にまで到達した、男の肉柄。それが、より大きく、硬く、膨らんで――

 

「ま、待っ、やっ、むりっ、そんなの――」

「無理かどうかは、実際に身体に聞いて、やるッ!」

「かは、あ゛ッ……!」

 

 右脚を上げた事で開かれた秘処の最奥まで、男は容赦なく一息で貫いた。

 一瞬の抵抗すら出来ない程に子宮の頸まで深く突き込まれた衝撃で、蓮の呼吸は一気に吐き出され、下腹部の奥から腰全体が衝撃に打ち震える。その力には、幾許かの痛みすら覚えた。

 蓮の膣(なか)全てを使っても入り切らない剛直が、引き締まる膣の感触を得て途端に膨らむ。挿入と殆ど同時に、男の尖端からはマグマの様な濁液が奔流していた。

 

「あ゛ッ、うぐうっ……!?で、出て、るッ……!?」

「くうぅっ……!流石に、堪らんな……!これだけの量はっ……!」

 

 閉じた子宮口へ精が殺到し、最奥でぶつかり合って逆流する熱が蓮の膣内を一気に満たしていく。犯され征服された、その証拠の熱さを膣全体で感じ取ってしまう。

 男もまた、媚薬を吸い取った蓮の膣襞に男根を包まれ、脂汗をかく程の快楽に堪えながらも射精を続ける。蓮自身の感触を味わい、過剰に膨らんだ性器は実際の何倍もの多幸感を脳で分泌させていた。

 溜め込んだ欲望を蓮の中に一気に解き放ち、溢れんばかりの量を腹の奥へと注いでいく。そこに今まであった蓮の自由は一切なく、あるのはただ男が蓮の自由を完全に掌握した性の熱だけだった。

 

「う、んぁっ……!?な、なんでッ、おっきく……!」

「ふぅーっ。……言った筈だぞ、一滴で発情する程、と。喜ばしい事に、この程度ではまるで収まらん」

 

 ようやく膣奥で暴れた巨根の迸りが止まった、しかしそれから一時の間を置かずに男は再び情欲の熱で剛直を再び立て直す。

 本来ならば終わりの行為、そこから再び始まりと同じ硬度と熱が蓮の内側で蠢き出す。むしろ精液に塗れて熱を灯した肉杭は、挿入直後よりも蓮に対してより強い圧迫感と温度を伝えてきた。

 

「散々気持ち良くしてやったんだ。しっかり、締めろよッ」

「あんッ!?や、ああっ!はッ、あっ、ああッ!」

 

 戸惑いの中にいる蓮の内側を、男はついに抉り始めた。これ以上入らない場所からもっと深くを求めて最奥を穿ち、腰の前後に揺れる力を硬く突き出た股間の一点に圧縮させて伝え、左右に身体を揺する事で尖端がごりごりと子宮の入口を刺激する。

 動かす毎に潤滑油代わりの媚薬が男に宿り、脈動する。膣を押し分けて満たす大きさが、脈打つ度に実際以上の感触を蓮に伝え、収まり切っていないという誤った認識を脳が下す。

 少しずつ男の腰の動きは前後に幅を取り始め、より強い衝撃を叩き込んでいく。もはや性感など感じる余裕も無い程に膣の入口から果てまでを削り取られ、蓮は呼吸も出来ずに掠れた喘ぎを漏らす。

 

「そら、二発目、だッ!」

「あ゛ッ、ああーッ!はぁっ、うあっ、はああっ……!」

 

 蓮が呼吸を許されるのは、男が再び最奥で情欲を破裂させた時だけだった。

 精が未だ乾き切らない内側を、また熱を宿した性液が満たしていく。胎(はら)が飲み込み、秘部から粘性の汁が漏れ落ちていく感覚が、蓮の身体の本能と防衛反応を同時に引き出していく。

 呼吸をしながら自分でもわかる程に膣は外敵を押し出すべく締めつけを増し、熱棒からの摩擦を減らすべく愛液が膣襞から湧き出てくる。しかしその全てが、男を悦ばせるだけの反応である事に、蓮の身体は気付かない。

 呼吸が整えば整う程、秘部の内を満たす男の熱を頭が如実に理解していく。みっともなく声を上げながら、一切の抵抗もせずに犯されている。その自覚だけが、心を染め上げていく。

 

「まだまだ、こんなモノではないぞ。貴様らから受けた痛みも、屈辱も。全て、貴様の腹の底までに教え込んでやろうっ……!」

「い、いやぁっ、やだっ、止めてっ、やめてえっ……!」

 

 男の柱は蓮の膣内で硬さと大きさを一切失う事無く、漏れ出す程の大量の精液が無ければ二度射精した事も信じられない程に、蓮の中で留まり続けている。

 あまりに短いスパンで繰り返される情交に、蓮の内から”少女”が声を上げ始めた。

 こんなにも性処理の為の道具として、こんなにも強く内側を抉られ、征服された事など一度も無かった。それが恐怖を助長し、助けを懇願させる。このままでは壊される、そんな確信が命乞いに近い事を口に発させた。

 しかし、そんな蓮(どうぐ)の事情など、男にとっては知る必要の無い事だ。

 

「まだまだ、と言った筈だぞ。一度受け入れた以上は、最後まで責任を、取れッ!」

「あかッ、あぅうっ!おくっ、だ、めッ!や、あんッ!!」

 

 片膝だけで姿勢が保たれている蓮の身体の奥を、三度硬度を取り戻した肉棒が貫く。これまでが準備運動だったとでも言う様に、荒々しく深い挿入が膣奥で響く。

 地面につけている膝の皮膚が固い石畳で削れる。入口まで引いては最奥へと叩きつける、ただそれだけを力任せに繰り返すピストン運動が、必死で男を留めようと締まる襞の抵抗をまるで介さず繰り返される。

 身体全体が股座へ叩きつけられる力で揺れ動き、その度に縛られた手首と膝が痛む。しかしそれよりも、媚薬と愛液と精液が入り混じって滑らかさを増してきた、蓮の肉襞と子宮頸を刺激し続けている剛直に対しての感覚が目立ち始めていた。

 

「ふッ、ふッ!中々ッ、熟(こな)れて、きたなッ!」

「ふあっ、あ゛っ!んぅ、う、ぁ!ひ――うんッ!や、いや、やあっ……!」

 

 始めはその大きさと硬さに対する苦しさ、次は力に物を言わせる突き入れに対する痛み。しかしその二つに、今や蓮の身体は慣れてきてしまっていた。

 最後にやってくるのは、女として男を受け止める事への本能、性的な快楽。奥を刺激される度にただ燻っていただけの小さなそれが、少しずつ大きくなるのを感じ始める。

 蓮の上げる声の中の苦しみは薄れ始め、既に甲高い甘さが大部分を占めている。男が腰を押し付ける度、身体と共に心が本能に揺り動かされていく。

 既に男は女(じぶん)を組み敷いている。受け止め、我を忘れ、本能に身を委ねろ。強姦そのものの行為に対しても、繰り返していく内に身体が反応し始め、心を押し退けていく。

 いやだ。いやだ。こんな事で、こんな無理矢理に絶頂まで至るなど、本当に売女ではないか。一欠片残した蓮の中の理性が、せめてもの抵抗として拒絶の声を上げさせていた。

 

「……やれやれ。合意の上、と言ったつもりだったが」

「――えっ……?」

 

 徐々に蓮が下腹部の熱が引き出されるのを感じ始めた所で、男が唐突に肉棒を秘部から抜き取り、持ち上げていた腕も下ろして脚を自由にした。

 嫌だ、ダメだ、やめてほしい。そんな言葉に素直に従った男を、蓮は揺れる瞳で見つめた。

 

「こうまで嫌がられては仕方ない。他を当たろう」

「ッ!だめっ、やめてッ!それ、それだけは、やめてぇっ!」

 

 独り言ちながら立ち上がる男は、心底蓮への興味を失くしたという表情だった。

 見下ろす男の視線の冷たさから、その言葉が本意である事がわかる。それが意味する事、それが次に男がどうするか、悟った瞬間に蓮は必死に制止の声を上げた。

 やめて欲しかった、完全に恐怖からの本音だった。しかしそれは、この行為そのものの意味の消失だ。それだけはいけない、仲間を想う理性が本音の撤回を求める。

 

「身勝手なものだな、”やめろ”を”やめろ”とは。ころころと言う事を変える人間の言葉に、聞くだけの価値があるのか?ええ?」

「う、うううっ……!お、願いしますっ……!それだけは、それだけは、しないで下さい……っ」

 

 圧倒的に二人の立場に差があるこの状況でなければ正論とも言える言葉で、男は蓮を叩き伏せる。それに対して蓮は、頭を必死に下げて男の機嫌を取り直す事しか出来ない。

 絶対に、絶対にダメだ。何を言ってでも、どんな醜態を晒してでも、自分が男を止めなくてはならない。その一心がこれまでの屈辱や恐怖を、一色に塗り潰していく。

 

「それならそれで、言い方があるだろう。お前は何をしてくれる?お前は、どうして欲しい?しっかりと、誠意が伝わる様に、よく考えた上で。言葉にしてみろ」

「…………っ」

 

 男の蓮を見下す温度の無い表情が、一気に劣情で歪んだものに切り替わる。

 その口振りを受けて、蓮の聡さが一瞬で言うべき言葉を、言わされる言葉を導き出してしまう。その言葉を自ら口にしてしまう事の意味も、何もかもを理解してしまう。

 しかし、それでも。それでも、そうしなければ。何をしてでも、何を言ってでも――

 

「――お願い、します……私を、使ってくださいっ……」

「なんだ?声が小さくて、よく聞こえんのだが」

「ッ、私の、アソコに、貴方のモノを……突き入れてっ!あなたが満足するまで、つかって、くださいぃっ……!」

「ハハハ、ハハハハ!本当に惨めだな、雌犬!娼婦でも言わんぞ、そんな言葉!」

 

 心底可笑しいという風に、男が蓮の上から嘲笑を降り注がせていく。

 掃除屋としての誇りも、女としての尊厳も、何もかもを捨て去った言葉。自分自身で考え、発した言葉。あまりの惨めさに、蓮は俯いて涙すら零し始めていた。

 あまりにも、惨めだ。これでは本当に、男に尻尾を振る負け犬ではないか。

 ――いや。初めから、その通りだった。

 

「それでは、満足するまで使(・)っ(・)て(・)やろう。合意の上だ、文句は言うなよ」

「え――痛ッ!」

 

 男はすたすたと蓮の背後に回り、二つ結びにされた蓮の黒髪を両手で力任せに引っ張る。根本から千切れるのではないか、そんな痛みから蓮は膝を上げて立ち上がる事で逃れた。

 蓮が立ったのを見て、男は続けて蓮の髪を水平に持つ。その上で、命令が下される。

 

「挿れやすい様に、尻を上げて突き出せ。脚も開けよ」

「ぐ、うううっ……」

 

 まさに男を誘い、媚びる為の体勢を強いられる。しかし自分から頼み込んだ以上、もはや後に引く事は出来ない。

 頭と上体を水平にまで下げ、脚を開き、尻を持ち上げて後ろへ突き出す。尻を動かした先で、一本の熱杭がくっつく。自分から押し付けた様な、いやまさに自分から男へ押し付けた事に対して、耐え切れない程の恥辱が湧き上がる。

 しかしその感情を、もう二度と口にする事は出来ないだろう。それをしてしまえば、今度こそ男は蓮から離れてユーリヤや真魚を犯しに行く。もはや、言葉の自由すらも奪われてしまっていた。

 

「そのままだ。私が射精(だ)すまでずっと、その体勢でいろ。でなければ、わかるな」

「……わかりっ……まし、た……ッ」

 

 蓮の髪が男の両手で引かれ、それによって顔だけを強引に引き起こされる。その状態で、男は熱く膨らんだ亀頭を蓮の秘処へ添えて、膣口に狙いを定めた。

 男は蓮の髪を掴んだまま離さない。蓮に体勢を保たせ、この状態のまま犯すらしい。引かれる長髪の根本が痛むも、その文句を考える事もしてはいけないと自戒する。

 男の尖端が、開いた膣口をゆっくりと割り開いた。

 

「――そらッ!」

「がッ、ぅあっ!」

 

 蓮の髪を引っ張ると同時に、男は腰を蓮の尻に叩き付けて挿入した。

 突き出た尻肉を男の両脚が弾き、膣内の殆どに肉棒が侵入する。間を置いた事で熱が僅かに引いた蓮の身体に、再び男の熱が打ち込まれる。

 髪を引かれる痛みよりも、これまでの性交によってどろどろと濡れそぼった膣を再び擦られる事への性感の方が大きかった。自分ではどうにもならない臍奥からの感覚に、身体が打ち震える。

 いやだ、いやだ。こんなものを、こんな感覚を、受け入れたくない。

 

「どうだ、気分はっ!自分から尻を突き出して、犯されてっ!どんな気分だ、ええっ!?」

「う、あんッ!きもちッ、きもちいい、ですぅっ!も、もっと、おかッ、してッ!うぅんッ!」

 

 封じられた本音を押し込め、男の望んでいるだろう言葉を紡いでいく。どんなに心の底で嫌だと叫んでも、どんなに心から乖離した言葉でも、そう言わなくてはならない。

 ばつんばつんと、男の腰が動く度に蓮の尻が音を立てて形を変える。乳房と同様に肉付きの良い蓮の臀部が、ただ男の股間を受け止めるだけの柔いクッションとしてだけ使われていく。

 そうされ始めて間もなく、蓮の身体は先程までの情欲を取り戻す。突き入れる位置が変わった事で、膣奥と共に臍の下の後ろを強く擦る様な刺激となり、その余熱で全身が淡い赤色に染まり始める。

 不本意な事に、髪を引かれながらのこの行為の方がより性感が強くなっていた。不本意、しかし口にした言葉の通りに。それに気付いた事で、臍下が疼き始めてしまった。

 

「く、おっ、おっおっ!ナカが、震え始めたぞっ!」

「ふッ、う、あんッ!あッ、あっあぁっ!ひぅうッ!」

「前に言った事は、覚えてっ、いるなッ!そら、そらッ!」

「く、うあッ!はあっ、んぁぁッ――ひ、くっ……イッ……!」

 

 陰核の裏側を、内側の肉襞を、子宮を。その全てを後ろから貫かれ、抵抗する力と意志を奪われ。もはや蓮に、その感覚を留める事は出来なくなっていた。

 愛液は渾々と零れて肉棒を濡らし、それが往復する事で中に残った精液と掻き混ざり、より粘りのある混濁液を生み出す。蓮の秘部は既に白い泡が立ち始め、垂れ流れる液汁が太腿を伝って降りていく。

 男の挿入を自ら受け入れた事によって、身体は既に屈していた。内心の嫌悪も屈辱も拒絶も、もはや何一つ身体は受け入れてくれない。性そのものの水気が、蓮の尻と男の脚の間で弾け飛んでいく。

 

「そら、イけッ!イけッ、イけッ!みっともなく、自分から尻を振ってッ、よがれッ!」

「イッ、ぐうぅっ!あッ、はァッ!ひぅっ、いッ、イッ――」

 

 男の言葉と共に、それに従った身体が急激に体温を上げ始め、膣内から感じる感覚を膨らませていく。もはや隠せない性感が、蓮の全てを染め上げていく。

 蓮の腰は果てに向け、男の腰の動きに合わせて勝手に揺れ始める。視界が明滅し、下半身以外の感覚が消えていく。もう、限界だった。

 

「――くゥッ、イクッ、イッ――い、くゥゥッ!!」

「く、おおッ……!」

「あッ、ンゥッ、んんぅぅっ……!!」

 

 蓮の膣が限界まで引き絞られ、それと同時に男も欲望を解き放つ。

 性感の頂点に至りながら膣奥に射精され、より熱く男の種汁と肉棒を感じてしまう。絶頂のままに受けた刺激が、感覚を頂きで押し留めて持続させてしまう。

 二度、三度、四度――いつまでも終わらないと錯覚する回数、男は蓮に射精を繰り返す。これまでの射精よりも明らかに量の多いその種を受け続ける間、ずっと蓮は全身を痙攣させていた。

 

「――はぁっ、あ゛っ、ん、ふぁっ……はっ、はっ、はっ」

「……く、う。中々、良かったな」

 

 終わった。ようやく終わった。ただそれだけが、蓮の胸中に浮かぶ。

 男は髪を手放し、蓮の秘部から男根を引き抜く。どろどろと大量の精が膣口から地面を、大腿を汚していくが、強い虚脱感の中にいる蓮はそれを感じ取る事も出来なかった。

 がくがくと脚が震え、腰が落ちる。石畳に座り込む寸前で、手首に巻き付けられた細糸がその自由を許さぬとばかりに蓮の腕を留め、震える膝だけで姿勢を保たせる。

 

「……う、ううっ……」

「さて、と。自分の立場は十分理解出来たな」

 

 秘部からいくら零れても止まらない精の塊が吐き出される度に、自らの痴態と立場への屈服が心の中で反芻される。もはや蓮は男から受けた屈辱すらも考えられず、ただただ惨めな自己嫌悪のみに支配されていた。

 男はそうして体を震わせる蓮を見て、ようやく少しは満足したとでもいう風に見下ろしている。蓮が顔だけ振り向けば、そこには射精した事すらも忘れる程に衰えていない男根が未だにそそり立っていた。

 

「私は少々疲れた。ここからは、お前が自分からやれ」

「あぅっ、ん」

 

 男が離れた場所に置いたナイフを拾い、蓮の手を縛り上げていた糸の上部を一閃する。

 両の手首が縛られたまま、釣り上げていた力から開放された事で蓮はようやく座る事を許される。べしゃり、と先程の行為で放たれた精に、自分の秘部から垂れ流されている精に、尻を付けてしまう。

 粘つく温い水溜りが、先程の惨めな自分の行為を忘れさせない。動く自由を縛る糸が切られても、心の自由は奪われたままだった。

 

「そら、いつまでも惚けるな。さっさと乗れ」

「……は、い……っ」

 

 男もまたその場に座り、胸を張って脚を開く。その中央には、垂直のままに立ち上がった男根がある。

 与えられた自由を使って、蓮は立って男の傍に寄り、男根の上からゆっくりと腰を下ろした。




WEAK! 1MORE!
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男「合意だからセーフ」

当小説でもっと見たいヒロインは誰ですか?

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  • 真魚ちゃん
  • 蜜柑さん
  • 夢ちゃん
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