※この作品はR-18です。

Ith-Videoは観測する   作:灰の熊猫

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*鏡映しの影

「あッ、ぁ!ん――んぅっ」

『ああっ、あ!も、もっと、ぉっ……さわって、ください……!』

 

 時間は、さらに進んでいく。黒い砂嵐が僅かに白幕にかかって、すぐに映像が再開される。

 ベッドの上、力無く横たわるユーリヤは無抵抗のまま、ベッドの上で修道服を青年に脱がされ、下にずらされたブラジャーと太腿の上で細糸の様に伸びているショーツのみを身に付けた状態で青年に左胸を吸われ、右胸をぐにぐにと揉んでいく。

 白幕の中心、絨毯の上で身体を晒す姿全体を真上から映されているユーリヤは、真っ赤なブラジャーを中年の一人に奪われ、ショーツも左足首で丸まるだけで留まっている。

 絨毯の上で白いガーターベルト以外身を纏うものを持たないユーリヤに、代わりとばかりに中年達が覆いかぶさり、胸・脚・尻・股間を捕まれ、撫でられていく。

 どちらのユーリヤにも共通して、男に自由にされていながらも身体の動きを放棄して、両手を上げて男の愛撫をなすがままに受け入れてよがり声を上げていた。

 

『ほうほう、どうされるのがいいんですか?』

『あッ、あん!もっと、乳首……さきを、いじられる、のがぁ……っ!』

『いやらしく尖ってる、ココですか』

『ひうぅっ!あッ、はぁあっ……!』

 

「こう、ですか?もっとですか?どうですか、俺のやり方」

「あッ、やんッ!だめ、つよ、いいっ!ンッ、ふうぅっ……!」

「イイですか?このぐらいがイイんですね」

 

 中年達に手足を完全に抑えられながらも、嫌な顔ひとつせず映像のユーリヤは男に媚びた声で自らの性感を教え続け、積極的に行為へ誘っている。

 その声に合わせて青年の手付きと唇が一層強くなり、今この場のユーリヤが胸を弄り回されていく。快楽を覚えるだけなら強すぎる程の力だったが、それでも今の情に浮かされたユーリヤには鋭い刺激となって胸を反らせる。

 

『みぃんな、いつも頑張ってくれてるシスターには礼をしたいと思っていますからねえ。では皆さん、シスターに”奉仕”してあげましょう』

『ええ。気持ち良くなってくださいよ、シスター?』

『ひゃッ――ぁ、あ、あッ!?や、ああぁっ!つよ、いッ!つよすぎ、ますっ!』

 

「うわあ、凄いねえシスター。もうなんにも見えないじゃん」

「うぅ、はっ、ああっ……ン!」

 

 四人の中年達は一斉にユーリヤの身体を文字通り貪る為、あらゆる場所に口づけていく。両胸は乳首だけを甘噛みされながら引っ張られ、太腿は裏側から膝までを舐められていき、濡れそぼつ秘部は愛液をジュースの様に吸い取られる。

 顔以外全てを中年の体で覆い被さられ、ユーリヤは上擦った声で悶え続ける。そんな自分の欲に呑まれた姿を、声を。何もかもから、目を逸らしていたい。

 しかし、その隠したい過去を覗く者がいる。青年は組み敷くユーリヤの両胸を強く掴んで捏ねながらも、顔と意識は横の白幕に映るもう一人のユーリヤへ向けられている。

 

「……そう、いえば。これどうやって、どこから撮ったんです?」

「――え?」

 

 胸を鷲掴みにしたままだったが、青年は手を止めて質問してくる。それは、ユーリヤ自身もこの映像が始まった時に考えた事だった。

 こ(・)れ(・)を(・)撮(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)人(・)は(・)い(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)。以前、この青年とその親に犯された時にはビデオを撮られていたが、この時にそんな物を持ってきた人は記憶に無い。

 さらに、今のカメラアングルがおかしい。絨毯に寝転ぶユーリヤを真っ直ぐに映す――つまり、天(・)井(・)に(・)浮(・)か(・)ん(・)だ(・)カメラだ。しかも、映像には一切ブレが無い。

 こんな事を出来る人など、こんな事を撮る事など、有り得る訳が無いのだ。

 

『あッ、あんッ!はぁっ……みな、さん……!私のカラダで、楽しんで、くれてますか……あっ!はぁっ、ぁ、あ!だめ、きもち、いいっ……!』

『言われずとも、シスターの身体は最高ですからね。いくら食べても飽きないというものです』

『あぁっ、もうたまんねえ……!』

 

 その疑問に答える者はいないまま、映像は進む。無言でユーリヤの身体に顔を埋めていた中年の一人が、辛抱を切らして自らの服を脱ぎ始める。

 それに合わせて残りの三人も一切の衣服を、ユーリヤの傍に脱ぎ捨てる。下着の一つがユーリヤの顔にかけられ、映像の中でその匂いを嗅がされてしまう。

 つんと鼻先を突く様な、男の性臭が染み付いた匂いだった。鮮明に蘇った記憶が当時の匂いすら一瞬現実に錯覚させ、これからどうしようもなく犯されるのだ、という事を自覚してしまう。

 愛液が、とろりと零れ落ちた。

 

『最初は俺からでいいだろ、前は後回しだったし』

『仕方ありませんなあ。では、我々にもシスターが見やすいような体位で頼みますよ』

『わかってるって。そらシスター、体起こして』

 

 その時、また映像に砂嵐が走る。今度は、中年の背中を映した角度に変わっていた。

 カメラに触れているのではないかという近さに中年達の背中が映り、その奥で息を荒げるユーリヤが、その後ろに回った中年がいた。

 

「凝った映像だよねえ……あ、次何するかわかっちゃった」

「え――ひゃう、ンッ」

 

 映像に先んじる様に、ベッドで寝転ぶユーリヤの身体を青年が持ち上げる。

 脱力しきったユーリヤの長身は青年に後ろから抱かれ、ベッドに深く腰掛けている青年の前に――ユーリヤが白幕へ正面に向き合う状態で、青年は股間をユーリヤの尻肉の間に密着させた。

 今にも爆発しそうな熱を押し当てられながらも、ユーリヤの視線は目の前で流れ続ける自身の過去に釘付けになっている。

 この後、何を、された?映像の中では絨毯に座った中年に、今ではベッドの上に腰掛けた青年に後ろから抱かれたユーリヤの腰が、男の両手で持ち上げられた。

 

『お、らっ!!』

「よいしょっ!」

『んッ、あぁぁッ!!……あッ、はあぁっ、ぁうぅっ……!』

「ンンンッ!!くぅ、ぅっ……!」

 

 浮いた秘部にそれぞれの男根が添えられ、ユーリヤの腰を真下に引いて落とし、合わせて中年と青年は自身の腰を突き上げて挿入した。

 ユーリヤは男を椅子にして座る様に、しかし脚は中央に打ち込まれた熱の塊を受け入れる様に脱力して開いてしまっていた。散々焦らされて待ち侘びていた膣が、満たされてしまう。

 挿入によってユーリヤが悶えている間に、中年と青年は全く同じ様に両脚の太腿に手をかけ、股を大きく真横に開く。柔らかな股関節が、本人の意志の外で限界まで開かれた。

 

『ほら、動くぞシスター!しっかり締めろよ!』

『ハッ、はい、ィッ!ぁ、あ!はげしッ、ああんッ!そこっ、そこ……!』

 

 過去のユーリヤは、目の前で中年達に自身の姿を余す事なく眺められながら、後ろから打ち込まれる劣情の象徴に膣を擦られ、まるで前にいる男達に聞かせる様に大きく喘ぎ始めた。

 無意識に、男達に犯されている時は声を抑えない様にしてしまっていた。自らの興奮をはっきりと伝え、それで男達の興奮をより盛り上げる。それもまた”奉仕”の一つだった。

 後ろから突き立てている中年の腰が跳ね上がる度に、ユーリヤは身体全体を反らして中年の胸に体重を預ける。本来恥部を隠すべき腕は、一切力を込められず絨毯に向けて揺れるばかりだった。

 男を咥え込む濡れた秘裂も、腰を動かされる度に楕円に揺れる胸の双丘も、性交から来る感覚に全てを委ねて淫らに蕩けた表情も。何もかもを、見せ付けていた。

 

「ふっ、ふっ!ほら、シスターも、合わせてっ!」

「ンッ、んん、んッ!あ、あぁ、ハッ!あぅうっ!」

 

 現実のユーリヤも青年に抱かれ、同様に後ろから突き上げられながら腰を揺すられる。

 自分自身が今まで男達に捧げていた淫蕩な様子を、自らが見てしまう。こんな顔をして、こんな声で、男達を誘っていたのか。経験の無い恥ずかしさに、思わず青年のモノが挿し込まれた膣を締め上げてしまう。

 ユーリヤの内心をよそに、青年はユーリヤを乗せた自身の下半身を震わせ、狭まろうとする膣内を自らの肉棒をねじ込み、こじ開けていく。

 後ろから入った肉棒は最奥までは届かず、膣の入口から半ばまでを行き来する。ユーリヤは映像の中年の声の通り内の肉棒を秘肉を強く引き絞りながら、青年の声の通り動きに合わせて腰を浮かし、下ろし、くねらせ。その度に、ユーリヤの身体が悦楽の色を濃くしていく。

 青年が座る寝具のバネが、それを手助けして二人を跳ね上げ、より小刻みに強く青年の欲情をユーリヤの秘部へ伝播させ、身体と心を揺さぶっていった。

 

『あ、ぁぁあっ!ふと、いッ……!もっと、もっとつよく、していいですからっ……!』

『きゅうきゅうに締めやがって……ッ!そら、俺のが、そんな気持ちいいか!』

『は、はいっ!あ、ぁ!かたくて、ふとくて、ぇ!犯されて、きもち、いいです――あぁんッ!』

 

 白幕の中でも同様に、ユーリヤは甲高く喘ぎながら中年に自ら腰を押し付ける様に動かしていた。

 男の突き上げに合わせて、ユーリヤが腰を引いてより膣深くへと肉棒を打ち込ませる。突かれる度に尻を僅かに動かし、より自らが感じる場所へ届かせる様に身体で哀願する。

 奉仕という名目で、雌の欲求に従い身体が動く。より強く、より多くの男に身を捧げる事が、何よりも気持ち良い。映像の中のユーリヤの顔は、既に理性の色が殆ど見えなかった。

 

「あッ、ぁあッ!だ、だめ、ここ、ここはぁっ!」

「うっわ、締まッ……!ココがいいの、シスター?」

「んんぅっ!あ、ハッ!あ゛ッ、あッあッ、あぁあッ!」

 

 目の前で映される自身の痴態に完全に見入ってしまっていたユーリヤは、無意識の内に自身の尻の位置を調節し、映像と同じく咥えた肉竿をより良い場所に誘導していた。

 膣内の天井の一点にある僅かな突起部が、青年の張り詰めた亀頭で何度も擦られ、押し込まれる。その度に秘部から雷が走った様な性感を覚え、その感覚をさらに求めてしまう。

 もはやユーリヤの頭には平常の淑やかさどころか、男への奉仕すらも無かった。与えられる男からの熱を貪欲に自らの快感に変える、雌としての欲と本能のみで身体が動く。

 気付けばユーリヤは両手をベッドに付け、掌の力も使って強く腰を振っていた。

 

『あッ、も、うッ!だめ、だめです、イって、しまい――あ、はぁあぁあんッ!!』

『くぉっ……!?もうイっちまったのかよシスター、エロすぎんだろ……』

 

 映像には、自らの力で股を大きく開きながらユーリヤが脚全体を震わせ、天を仰ぐ姿があった。

 自慰と愛撫を積み重ねた身体は男の射精を待つ事も出来ず、あっさりと性の頂点へと上り詰めてしまう。その姿を目の前にいる他の男達にも、そして遥か先で自分自身にすら見せている事も知らず、女としての悦びに打ち震えている。

 痙攣する下半身も、胸を揺らして小さく跳ねる上半身も、ふやけきった顔も。自分の性欲全てが、隠すことなく見えてしまっていた。

 

「あ――ひ、ぁああぁあッ!!」

「ううッ……!」

 

 今の自分自身もまた、同じ事をしている。それを自覚した瞬間、ユーリヤの中で感覚が弾けた。

 目の前で喘ぐ自分と、青年に抱かれる自分。そのどちらもが自らの意志で抱かれ、男を請い、性に溺れている。弱い一点に蓄積していた快楽の稲妻が解放され、絶頂へ至る。

 咥え込んだ男の太さと硬さと熱さを、それ以上の熱で包み込みながら感じる。背中の青年に自分の全てを委ね、ただ一時の悦びを余すこと無く受け入れていく。

 不意な膣の圧搾に対し、青年は下半身に力を入れて耐え忍ぶ。今にも射精しそうな程の快楽が陰茎から脳へと伝わるが、より長くユーリヤのナカを感じていたいと願う気持ちがそれを拒んだ。

 

『悪ぃけど、射精(だ)すまでは止まらねえから、なッ!』

『ああッ!や、ぁあっ!だめ、今、は――あぁんッ!!』

 

 しかし、白幕の映像は終わらない。未だ射精には足りない中年が自身の快感を求め、後ろから抱き止めていたユーリヤの身体を前に押し、絨毯に手足をつけさせて自ら覆い被さる。

 達した直後で身体の制御が戻らないユーリヤは、犬の様に地面に這いつくばる姿勢を拒むことが出来ず、より挿入しやすくなった秘部に中年の剛直が強く、深く往復を始めた。

 

『ふあッ、あぁあッ!それ、だめ、ですっ!や、ぁあッ!』

『おやおや、シスター。前を向かないとダメですよ、ちゃんと我々にも、奉仕に勤しむ敬虔なそのお顔を見せてもらわねば』

『んん、ぁあッ!は、はいッ――み、てッ!みてっ、くださいッ……!』

 

 後ろの中年に腰を掴まれ、ただ男の欲を満たすためだけの激しいピストンを受けたユーリヤの顔は、地面に敷かれた赤い絨毯に向けられる。だが、それを制止する声が上がる。

 依然として映り込んでいる、中年達の背中から発されたリクエストだった。中年達は僅かに肩を小刻みに揺らし――記憶が確かならば、行為を眺めながら自ら肉棒を擦り上げていた――、四つん這いのまま後ろから腰を叩きつけられて身体を揺らすユーリヤの姿を、一時も見逃さず観察し続けている。

 声を受けたユーリヤは、自らの顔を前に――ユーリヤの痴態で股座をいきり立たせている中年達へ向けて、淫らな自分を見てもらうように懇願する。

 蜜壺を肉棒に貫かれる体と、淫行を見られている心。心身の両方を同時に満たす快感に打ち震え、恍惚とした表情だけがそこにあった。

 

「ッ、シスターさん!」

「あッ、や――はうぅうッ、ン!?」

 

 完全に映像と同調していたユーリヤの感覚が、ベッドに横へ倒された事で肉棒が秘部から抜け落ち、一瞬乖離する。

 強引に横に寝転ばされたユーリヤの片脚を抱えて持ち上げた青年は、太腿の奥の愛液で光る蜜壺へと自らの肉棒を一息に挿入し直した。

 

「んぅあッ!あ、はッ、ぁ!ふ、ふか、いッ、です!あんッ、んぅんッ!」

「ああっ、シスターのナカ、すげえ締まるッ……!」

 

 天井を重点的に擦られていた膣内に、届かなかった深くまで男の尖端が届く。より性器同士の密着度が上がった体位に変わった事で、ユーリヤの感じる性感もまた一層深まる。

 これまで映像を後追い、再現する事で行為を楽しんでいた青年は、膨れ上がった欲求に従った自分自身のやり方でユーリヤの身体を貪り始めた。

 一度達した事で密度と感度を高めた膣内を、腰の力と陰茎の硬さで割り開き蹂躙する。尖端は子宮の入口にまで届き、その度にユーリヤは悦びの声を跳ね上げる。

 子宮が、男を求めて止まない。膣全体が精をねだり、収縮を繰り返していく。

 

「シ、シスター、浅いトコと深いトコ、どっちがいい?どっちがイイのっ!?」

「んぅぅっ!そ、そんなッ――あぅ、ううっ!やあ、ああんッ!」

 

 そんなユーリヤの身体の欲求の通り、内側で青年の肉棒が暴れる。

 より雌の反応を大きくする為、より自分が大きな快楽を得る為。青年はただ自分自身が気持ち良くなるために、ユーリヤの膣内のあちこちを角度をつけて突き、探りを入れていく。

 浅い場所を小刻みに擦られる、深い場所に強く押し付ける。別の所を刺激される度に、感覚に応じた喘ぎが喉から飛び出る。荒々しく拙い動きではあったが、それでも性感が高まっているユーリヤは青年の思うがままに翻弄され、再び頂点に向けて快感が湧き積もっていく。

 

『――おくっ、おく!つよくっ、潰されるのッ!いいです、いいんです――んんぅうッ!』

『そら、そらッ!子宮(おく)がいいんだな、シスター!』

『あぁあんッ!あーッ!あ、ぁあぁあッ!』

『うおおっ、エッロ……!』

 

 青年への返答を渋っている間に、映像の中のユーリヤが声を張り上げる。

 自らの尻を後ろから突いてくる中年に差し出しているユーリヤは、女全体を男に奉げる為に希望を伝え、膣で肉棒を絞り上げる。伝えられた通りに中年がより深くを突けば、さらにユーリヤは顎を上げて強い反応を見せる。

 そしてそれは、映像の中だけで終わる話では無かった。

 

「あッ!?ダメ、おく、はッ――ひああぁぁッ!」

「奥、ですね!奥がいいんですね!」

「だッ、だめぇッ!つよッ、ひ、ぁ、や!ぁああッ!」

 

 過去が答えた通りに、今が動く。青年は一層力を入れて最奥を突く事に集中し始め、精を求めるユーリヤの下腹部を内側から強く打ち上げ始める。

 内側を探る様な細かな腰使いが、子宮一点のみを狙う鋭い突きへと変わる。昂ったユーリヤの身体は映像から発した通り、いやそれ以上に膣奥を蹂躙される事への悦楽を享受してしまう。

 青年に激しく突かれて身体を揺らしながら、ユーリヤは目の前の白幕に映ったものを見る。色に狂い発情しきった自分自身に、心の底を見つめられた様な錯覚を覚えた。

 

『あッ、はぁっ!あんッ!あん、ンンッ!だめっ、わ、私っ!ま、また、ぁあッ!』

「ああぁッ!や、はぁあッ!や、あ、だめ、もう、もうッ――んあぁあッ!」

 

 もはや見られている事に対しても、見ている事に対しても思考が回っていなかった。自ら捧げた膣奥を貫かれ、声を荒げて男を煽る。ただそれだけが頭を支配している。

 行為が激しくなる毎に吐露される喘ぎが、スピーカーから出ているのか口から出ているのかわからなくなっていた。重なる声もあれば、違う声もある。しかしどちらの声も悦で染まり切っており、多角度(サラウンド)の喜悦が部屋の中央で混ざり合って全体へと行き渡っていく。

 鏡に映された自分と感応して、意識すら混じり合う。目の前の虚像(わたし)が悦び、それを見る実像(わたし)が悦んでいる。もう、どちらが本当(わたし)なのか、わからない。

 

『あー、たまんね、出るっ……!そら、どこに出されたい、シスター!?』

「気持ちいい、気持ちイイよッ……!うッ、射精(で)そうッ……!」

 

 一切理性で抑えられていない嬌声、男と女の股座がぶつかる音、性器が擦れる粘ついた水音。ユーリヤから奏でられる淫らな音が、中年と青年が自らの種汁を吐き出す為のスパートで高められていく。

 行き来する速度を上げて奥まで貫く男根が、膣の中で確かな脈動を始めている。出る。射精(で)る。射精(だ)さ、れる。聞こえてくる言葉よりも瞭然に、雌の身体が雄を理解する。

 答えなければ、応えなければ。ちゃんと、奉仕を(きもちよく)しなければ。突かれる度に全身を、意識までも揺らされるユーリヤの頭にあったのは、その一つの思いだけだった。

 

「――ナカ、にッ!私のなかでッ、出してッ!くださ、いッ!ぁ、ふ、ああぁあッ!!」

『あッ、だめ、ぁあッ、わたし――ン、んんんんぅうッ!!』

 

 それに答えたのは現(・)在(・)の(・)ユ(・)ー(・)リ(・)ヤ(・)だ(・)け(・)だった。映像の中のユーリヤは男の激しさに堪え切れず、答える事も忘れて気を飛ばしてしまう。

 過去からの問いを、今のユーリヤが答えた。交わる青年に向けて、浅ましく子種を強請る言葉を、自らの意志で。鏡の中に居る自分よりも正直に、卑しく、ふしだらに。男に染められる事を、望んでしまった。

 自分自身との決定的な離隔をきっかけに、ユーリヤの頭が真っ白になった。

 

「射精るッ、射精します、ナカで――ああぁっ!!」

『ナカだなッ、生で出すぞッ――お、ぅっ!!』

『「あ、ッハ、ぁああぁ゛ッ!イッ――んああぁあッ!!」』

 

 そして、再び雌の声が重なった。かつて受けた中年の精に、今受けている青年の精に。腹の内側全てを満たし、白く染めていくその熱の心地良さに、重ねてユーリヤが深い忘我の境へと至る。

 瞬きをしても視界が白から戻らなかった。正確には目に映っているものが理解出来ない程に、ユーリヤは頭の頂点まで快楽で支配されていた。自らの隠す獣欲を全て男に満たされ、征服される感覚に浸りきり、思考が戻ってこない。

 

「――は、ぁ、あっ……ぁ、あ……う、ぅっ……」

 

 少しずつ視界が色を取り戻し、像を成していく。自分の口から唾液が出ている事に、今更気付く。それほどまでに、自制を司る理性が長く吹き飛んでしまっていた。

 深くに突き刺さり、尿道で留まった僅かな精すらも送り込もうと脈打つ男根を秘部に感じる。暗い部屋の中で、何よりも明るく鮮明に映し出されるモノへ視線が吸い寄せられる。

 白幕に、黒い砂嵐が再び吹き荒れていた。

 

『――ぁっ、ぁああぁッ!だめ、そんな、おしりッ――あああぁッ!』

『おぉっ、スゲエ反応ッ……!』

『シスター、アナルの方が良さそうだなぁ?』

『ち、が――ぁああッ!だめ、だめなんですっ!ひっぱら、ないでぇっ!』

 

 ――砂嵐が明けた時、そこには全く別の映像が映っていた。

 先程まで映っていた中年達の数名が姿を消し、その代わりに別の男がユーリヤを取り囲んでいる。正面から写していた筈のカメラは移動し、四つん這いになって尻だけを上げているユーリヤを右側から写している。

 そんなユーリヤが、先程まで居なかった中年に後ろから貫かれていた。しかしその肉棒は秘裂にではなく、菊(・)門(・)に収められ、ぐぽぐぽと音を立てて差し入れされている。

 

『あッ、ああッ、あああッ……!』

「――あ……ぁっ……?」

 

 映像の唐突な変転、過程の抜け落ちた行為の変移、犯される自分の反応の変容。

 新たに映された自分の嬌態に、ユーリヤはついていけず目を白黒させた。

 




鏡に「中の世界」なんてありませんよ……
魔術師や旧支配者じゃあないんですから

何なんザミラーーッ!

当小説でもっと見たいヒロインは誰ですか?

  • 蓮ちゃん
  • ユーリヤさん
  • 真魚ちゃん
  • 蜜柑さん
  • 夢ちゃん
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