※この作品はR-18です。

Ith-Videoは観測する   作:灰の熊猫

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*その時が来るまで

 夢から乞われたキスを終えて、大井は一度体を起こし、夢へ背を向けながら着たままだった自身の服を一つ一つ脱いでいく。

 背中に視線が刺さるのを感じる。思えば夢は最初から下着姿だったのに、自分が肌を見せていないのは不公平だった。夢の服が雨に濡れたままだったからという理由もあるにはあるが、自分だけが脱がない理由は無かった。

 夢の方が余程恥ずかしい思いをしたのは確かだ。とはいえ、背中を向けているとはいえ脱いでいく様を見られるというのは慣れないし、妙に気恥ずかしい。

 ワイシャツを外し終え、シャツを脱ぐ。スラックスのベルトを緩め、残り一枚だけの姿になる。背中からの視線はずっと感じたままだ。気のせいなんじゃないか、などと思って少し振り返る。

 そこにはまじまじと目を見開いて、こちらの姿を食い入る様に見る夢の姿があった。大井が顔を向け視線をやっても、夢は体だけを見つめて視線が合わない。

 

「……あの、結城?」

「あっ、ご、ごめんなさいっ!そ、その、つい……」

「いや、別に謝る事じゃないけどさ」

 

 そうしている夢へ声をかけると、大袈裟なぐらいに謝られる。その姿を見て、大井の緊張が幾分かほぐれる。

 自分の体など見ていて楽しい所など無いだろうが、確かな興味を持ってこちらを注視して来ているの夢を見て、自分だけが一方的に夢中になっているのではないのだという安心を感じる。

 恥ずかしさはまだあるが、それに止められる様な事は無くなった。体の向きを戻し、意を決して自分の下半身を覆う最後の一枚を一気に下ろす。

 身を隠す物の一切をベッドの下へと落とす。自分の感じる恥ずかしさまで、一緒にまとめて捨てたかった。既に屹立しきった自身の物はどの道、片手では隠しきれない程になっている。

 ここまで来て服を着直すなんて事は無いが、自分から逃げ道を断ちたかった。

 

「あ、わっ……」

「……」

 

 衣服を取り払い体を向き直すと、夢は口に両手を当てて大井の顔と下半身に視線を往復させて大井の体を眺める。先程声をかけられた時の様に、興味津々と言った風にこちらの体を見渡す。紛れもなく、体の全てを見られている。

 こちらもお返しとばかりに、夢の体に視線を向ける。そこには先程まで触っていた時同様、水色のショーツ以外は体を隠すもののの無い、柔らかな肢体がそこにある。ショーツは大井の手でズラされて縮められたまま、隠すべき所は半分までが露わとなっている。

 再び夢の伸ばされた足を跨ぎ、正面から見つめ合う。真っ赤な顔で、こちらを見つめてくる。そうしたまま、夢の手は口元から一向に動かない。その意図を聞く。

 

「……あの、結城は、脱がないのか?」

「え?」

「このままじゃ……その、出来ない、だろ」

 

 夢の表情は依然として期待に上気しており、大井と同じく今更引き下がるというつもりは見られない。

 しかし、その為には最後の一枚が邪魔だ。そのまま出来ない事も無いだろうが、大井としては自分も脱いだのだから夢にも同じ姿になって欲しい。そういう気持ちもあって、一気に全て服を脱いだのだから。

 聞き辛そうに大井が夢に言葉を向けると、夢は目を丸くする。まるでそう言われるのが予想外だったとでも言うように、その瞳が戸惑いを見せていた。

 

「大井くん、さっき指かけてた、よね」

「え?……あ、あぁ」

「……その、脱がしたいのかな、って……」

「ッ」

 

 視線を横に逸らしながら、夢が小さな声で自分の考えを口にする。その言葉と恥じらう姿に、大井は一気に思考が麻痺した様な感覚を覚え、頭の理性に空白が広がる。

 ことここに至っても自分に委ねようとする事。自分を想って待っていた事。恥じらいを感じながらも小さく告げてくれた事。あまりにも、無防備すぎる事。その全てが大井の中の獣欲を昂ぶらせる。

 まるで糸が切れて引かれた様な勢いで、大井は夢に覆い被さり顔を寄せながら、残されたショーツに指をかけて下へと下ろした。

 

「あっ!お、大井、く――ンッ」

「――ぷはっ、結城、結城ッ!」

「……うん、うんっ」

 

 唇を付けながら湧き上がる衝動のままに、片手だけでショーツを可能な限り下ろす。視界には夢の赤面しか映らないものの、膨らんだ柔らかな感触から太腿まで下ろせた事を理解する。

 膝の前まで下ろされた所で、股から離れて縮むショーツを下ろせなくなる。大井の手の動きを引き継ぐように、夢の手がショーツにかかり、左膝を曲げながら下ろしていく。左足から抜けた下着は大きく縮み、右足首に絡んだ。

 大井の口が離れ、そこから糸が伸びる。もう限界だった。今すぐに、本能のままに目の前の少女の全てを味わいたかった。体を起こし、自身の膨張して張り詰めた杭に右手を当てて狙いを定める。

 

「……いい、んだよな」

「……うん」

「その、初めて、だから。優しく出来ないかも、しれないんだけど」

「いいの」

「わからないけど、頑張るから」

「……っ、うん」

 

 もはや体は止まらない所まで来ている。仮に言葉で拒絶されたとしても、止まってはくれないだろう。それでも夢の想いを無視したくはない、自分を気遣ってくれる様に夢を気遣いたい、その心を形にする。

 足に手をかけて開き、中央の濡れた秘裂へ自身を当てる。これまで感じた事の無い熱をそこから受け取る。夢はそれを止めようとはしない。自分にも止められそうになかった。

 ”一線を超える”、ただそれだけは自分の意志によるものであると言い聞かせる。事故や衝動じゃない、自分が確かにそうしたいと思いそうする。理性的な判断も体の側へと付けて、体を前に出す。

 

「ふあっ!」

「う!?」

 

 秘裂の中へと突き立てようとした熱の杭が、溝に反って上へと滑る。その上にある突起をそのまま擦り上げる。その衝撃により、夢の声が体と共に跳ね上がる。

 自身の物が思った通りに動かなかった大井は、急いで逸れた物を元の場所へと戻す。再度濡れている唇へあてがい、再び突き出す。が、指の様に細かく探ることの出来ない熱棒は先程同様に上へと逸れた。

 

「んッ、んぅ、ぁぅっ」

「く、あ、あれ、どこ、だっけ」

 

 戻しては腰を動かし、その度に上へと自身の狙いは張り付いた愛液に流される。それだけでもお互いに快楽は感じてはいたが、大井は上手くいかない事へのもどかしさに焦りを覚えていた。

 角度を変え、力の入れ具合を変え、位置を変え。何度も突き出し、その全てが秘裂を擦り上げるだけで終わる。夢の顔を見れば気持ち良さこそ浮かんでいたものの、切なそうな瞳でこちらを見つめてきていた。

 先程まで指を入れていた様にすればいいと考えていたのに、その通りに動けない自分の情けなさに興奮が冷まされる。愛液に塗れて硬い陰核に裏側をなぞる刺激だけで、体に震えが走っていく。

 どうにかしようとしてもどうにもならない、自分の無知に嫌気を覚えかけていたその時。夢の手が、自身の熱棒に添えられた。

 

「うわっ!?ゆ、結城ッ!?」

「――っ、すごい、あつい」

 

 そのまま添えられた手が、優しく全体をさすっていく。自分以外の指で直接輪郭を確かめられる誰かから与えられる快感と、大事な物に触れるように目を細めている夢の表情に、冷まされた自身の熱とは別種の物が湧き上がる。

 全体をやんわりと撫でた後夢の右手が離れ、その行方を目で追う。そのまま右手は夢の秘裂に当てられる。

 そして夢は、右手の指に力を入れて自身の閉じられた唇を自らの手でこじ開けた。

 

「ッ!?」

「……ここに、おねがい」

 

 その中の鮮やかな色に目を見開かせている内に、夢の左手が肉の棒の上部へ添えられ、開かれた場所へと導かれる。その力に逆らう事無く、自身の物が自分の体以外の意志で先端が夢の体へと触れさせられる。小さな水音と共に、先端の最も先の部分だけが確かに沈み込んだ。

 息を呑む。あの夢が、自分から捧げるように、自分の物を中へと導こうとしている。視覚的な興奮と精神的な興奮が自分を支配する。冷静さは再び消えようとしていた。

 切なげに自分を見上げる夢と視線が合う。その小さな口が動く。

 

「きて、ください」

「――結城ぃっ!!」

 

 その瞬間だけ、間違いなく思考が飛んだ。肉欲のままに、夢自身によって当てられた秘裂の穴へと自身の物を突き込む。侵入する物を拒もうとする内側の力も突き抜けて、一気に最奥まで挿し込んだ。

 

「あ゛、ぁっ!?ん、ぅぅんっ!!」

「く、あ――なんっ、締まッ……!?」

 

 お互いの太腿の付け根が合わさり、ぴたんと肉同士がぶつかる音が小さく鳴る。それ以上進まない所まで辿り着いた瞬間、大井の熱棒全てが熱に包まれ、全方位から強く締め付けられる。

 あまりの力で自身の最も鋭敏な器官を囚えられ、動きが止まる。限界まで高まっていたモノが外側へと漏れそうになる。全神経を自身の股先へ集中する事で、なんとかその動きを留めようとする。

 内側の柔らかさを感じさせながらも収縮し、自身の物を絡め取っている膣内は痙攣した様に蠢き続ける。大井はなんとか自身の杭の根本から上ってくる熱を押し留めるのに全ての意識を取られ、動けなくなる。

 

「大井くんっ、おおい、くんっ」

「結――ふっ」

 

 中を蠢かせながら夢が両手を大井の首裏まで伸ばし、一気に引き寄せてくる。意識を割いている大井は一切抵抗出来ず、引き寄せられる力のままに体と顔を倒す。唇は再び重なった。

 

「んぅっ、んっ、んは、んむっ、んんんッ」

「ん、むぅっ、ハッ、むぅっ、ふううッ」

 

 体の下で絡め取られながら、体の上で貪られる。なんとか舌の動きを合わせるものの、自身の下半身に感じる熱への意識が薄れ、腰が浮く。逃れようとするその動きを、夢が両脚を自身の太腿で絡ませる事で留める。

 外された眼鏡のフレームの分すら埋める程、顔と顔が深く近く寄せられる。夢の足が大井の太腿を締め、浮いた腰が再び相手の体へと付けられる。舌と舌が、最も奥で絡み合う。

 押し留められている熱が膨れ上がる。もはや抑えるのが限界だった。全身の五感全てに押し付けられる夢の全てが、何もかも溶かしていきそうだった。意識すら、白みかける。

 口が離れる。とろんと落ち切っている様な顔が自分を見つめる。

 

「――しあわせ、だよ」

「ッく!あ、ぁあッ!!」

「ぁ、――――ッ!!」

 

 ただの一言で、保ち続けていた最後の一線が壊される。止め処なく、これまでに無い勢いで精が奔る。その全てが逃げ場が無い夢の膣へ叩き付けられる様に送られる。

 まずいと思っても一度溢れた勢いを止める事が出来ない。腰を引こうにも絡められた脚にそれまで以上の力が込められる。両腕だけは残っており、自由に出来る。

 自身の体と四肢の状態を把握し、固められる様に力の篭る夢の両脚に手を伸ばす前に、夢の顔に目が移る。充足感に満ちて蕩けた顔が、視線を合わせているにも関わらず虚空を見つめていた。

 離したらいけない気がした。離れたくないと、言われた気がした。

 

「――く、うあ」

「ぁっ、んぅ、はあっ、んっ」

 

 熱棒の脈動が終わる。結局、大井の体と両腕は動かないままだった。全身を支配していた欲情が、金縛りを解く。力が抜けた体が、下にいる夢の体と胸を潰すように降りた。

 頭の天辺まで上っていた熱まで一緒に中へ放った様な錯覚がする。冷静さが戻り、最も鋭敏に感じている夢の膣の感触に意識が向く。中は自身と夢の液体が混ざり合い、もはやどちらの物ともわからない熱で満たされている。

 顔をシーツに包まれたマットレスに伏せる。あまりの事に、合わせる顔が無いと思った。

 『やってしまった』、ただそれだけが頭を支配する。事ここにきて、ゴムという存在を忘れていた事を思い出す。自分は所持していないし、夢も持っている様には思えないから、どちらにせよこの場では使えなかっただろうが。

 どうすべきだっただろうか。どんなに乞われても一度切り上げるべきだったのだろうか。雨の中買いに行く?いや、後日にこうすれば問題は無かったんじゃ。そもそも、ここまでする必要があったのか。

 大井の頭の中を、ぐるぐると後悔に近しい反省が駆け巡る。答えの無い問いの答えを求める。”次はどうすればいいか”という思考が一切湧かない、考えの行き止まりで足踏みを続けていた。

 

「大井くん」

「……う、ご、ごめん、その、中……」

「いいよ」

 

 耳元から小さく、大井にだけ聞こえる様な囁きが聞こえる。その声には怒りも困惑も哀しみも込められていない。ただただ、優しい音だった。

 首に添えられていた手が、大井の髪にまで動く。何もかもを赦す様に、優しく撫でられる。

 

「大井くんとなら、いいから」

「――ッ」

 

 頭の中の後悔が霧散させられる。全てを赦され、受け入れられた。その言葉が心の奥まで沁み込む。

 泣きそうだった。赦された事に対してではなく、女の子にここまでの覚悟をさせておいて、今更自身のした事に後悔をしている自分の情けなさが、悔しかった。

 胸の内にいる小さな子は、自分なんかよりもずっとずっと大きかった。度々欲求に突き動かされた自分と違い、最初から最後まで勇気を持って自分を受け入れてくれていた。

 自分への情けなさと、その事に対する夢への愛おしさが腕を動かす。未だ繋がりあったまま、夢の背中を浮かして抱き締める。

 

「んぅっ。お、大井くん?」

「……俺、かっこ悪いなぁ」

「……え?」

「うん、かっこ悪い。……はぁー」

 

 小さく無力感を呟き、ゆっくりと息を吐く。情けなさを懺悔する様に、戒める様に、体から追い出す様に。息を吸い直し、少し気分が楽になる。

 夢が自分を責める事は無いだろう。だから自分が覚えている事にした。自分の勇気の無さと、心の小ささを。

 そう決めると、幾分か情けなさから解放される。胸の内で瞬きしている子が、不思議そうにこちらの様子を伺っていた。心配そうな目に、思わず笑みが浮かぶ。

 

「気にしなくていいよ、独り言だからさ」

「う、うん。……いい?」

「ん、なんだ?」

「……大井くんをかっこ悪いなんて、私、思ってないから」

「…………」

 

 どこまでも自分に優しい言葉を口にする夢。誤魔化しや嘘は無かった。目と、合わせた体が教えてくれる。

 愛おしさが湧き上がる。それに伴い、繋がったままの部分に意識が向いてしまう。

 

「んッ――あ、ま、また、おっきく……」

「……結城」

「な、なに?」

「……”もうちょっとだけ、いい”か?」

「――――」

 

 その言葉を返す。ずっと言われてた言葉を、同じ意味で返す。今度は、自分から求めた。

 自分がしたかった。彼女から求められるだけじゃなくて、彼女を求めてあげたかった。彼女はきっと、そういう事に慣れていないだろうから。浅ましいと思われても、彼女が欲しかった。

 目をぱちくりと見開いて小さく驚いたような表情を見せ、夢は言葉を失う。だけど、すぐにその口は動いた。

 

「――うん。……うんッ」

 

 満面の笑顔で、夢は大井の嘆願を受け入れる。これ以上無いかの様に顔を明るくする。夢の心の底からの笑顔に、大井の心が温かい物を感じる。

 再び硬度を取り戻した自身の熱棒に意識を向ける。ほんの少し、気持ち程度動かすだけでも尋常じゃない快感に包まれる。一度放出した事で落ち着いた自身の物に意識を集中し、気を入れて腰を動かす。

 

「あっ――ぁあっ!」

「結城……ッ!」

 

 腰だけを引き、再び奥へと押し付ける。ほんの一センチ程の動きにも、夢は大きく反応を返す。

 再び腰を引き、戻す。引いて、戻す。少しずつ力を込めて、もっと奥まで届く様に繰り返す。

 肉で肉に触れる小さな音がお互いの脚の付け根から鳴る。力を込め、間隔を少しずつ大きく取って打ち付ける内に、音の高さと大きさが変わっていく。

 

「あぁっ!やっ!んぅッ、ンッ!あぅ、あ゛ぁっ!」

「結城、結城ッ」

 

 小さく手を鳴らす様な音が、水音に物を叩きつける様な音へと、徐々にその音を大きくしながら変容していく。

 嬌声を受けて再び理性が溶け落ちそうになりながらも、確かに自分の意志で体を動かし、腰を夢へ打ち付ける。突き動かされる衝動を抑えながらも、止める事も流される事もしない。

 ただ気持ちよくしたい、なりたい、一緒に。その一心で、腰と熱棒を往復させる。部屋の中の空気に、お互いを包むように上がる熱気が流し込まれていく。

 

「ふぅっ!ぁ、も、もう、やあっ!おおい、くんっ!」

「く、俺も、キツいッ……!」

 

 打ち付けるペースが速まるにつれて高さを増していた夢の声に、限界を思わせる色が混じる。放出したばかりとはいえ、大井自身も慣れない快楽に限界だった。しかし、それでも止めない。

 今度は、自分自身の意志でその一線を越えたかった。止めようなんてもう思わない、後悔もしない。

 いつの間にか大井の腰の動きに合わせて、夢の腰も僅かに前後していた。それを自覚した途端、それまで以上の快楽が襲ってきたような気がした。ペースがさらに上がる。

 

「あ゛っ!ああっ!ふ、ぅッ!!んぅぁッ、おぉい、くんっ!!」

「結城、もう、俺もっ……!」

「んッ!ンッ!うんっ、ぅンッ!!」

 

 その声が喘ぎか返事なのか、もはや判断がつかない程に夢の声は上擦っていた。中の締め付けが増し、夢の側の限界が近い事が伝わる。腰を振り、叩きつける様に奥へと熱棒を打ち込む。

 お互いの腰が全く同時に相手へ近付いて最も奥へと打ち込まれた時、お互いが決壊した。

 

「くうっ、あ、あ!」

「ぃ、ぁあッ、ああァッ、――ッ!ンッ、――ぁぁッ!!」

 

 一番の嬌声と共に収縮する夢の膣内へと、再び大井の精が注がれる。お互いがお互いに繋がった部分を押し付け合い、奥へ奥へと流し込まれていく。

 それは先程と全く同じようで、全く異なる。大井は確かな意志で夢へと自身の欲望を叩き付け、一滴残さず送り込むつもりで腰を押し付け続ける。体の反射と震えによって少しでも間が開きそうになる度に自身を押し付け、その度に絶頂している夢にさらに小さな波が押し寄せる。

 迸る精が勢いを失い、自然に止まる。精が注がれ終わってもなお、大井は夢から離れようとしなかった。むしろもっと一緒にいたい、一つになりたいと思った。

 

「……結城……」

「……んっ、んぅ、ああ、はぁっ……おおい、くんっ……?」

 

 出し切り硬さを失った熱棒が抜け落ちない様に腰を押し付けながら、再び下にいる少女と体を合わせ、背中に手を回す。胸と胸が合わさる感覚に一瞬欲が刺激されるも、もうこれ以上はする気は無い。

 ただ、体温を感じたかった。少女から感じた体の冷たさが無い事を自分の全身で確かめたかった。

 とくん、とくんと落ち着いた律動を胸から感じる。行為により昂っていたお互いの汗が触れ合う。触れ合った場所から、回した腕から、混ざりあった熱気から。その全てから、夢の体温を感じる。

 もう、冷たくない。安心して、目を閉じる。

 

「……もうちょっと、こうしてていいか」

「…………うんっ」

 

 その声に哀しみは無かった。

 

  ◆  ◆  ◆

 

「――今度の休日さ、一緒にどっか行かないか?」

「え?」

 

 しばらく抱き合ったままじっとしていた二人だったが、汗に濡れた状態で外気に晒され肌寒さを感じた為、今は一つの毛布を分け合って温もりに包まれていた。

 毛布を取る時に一度離れた時、なんだか妙にそれまでの事が気恥ずかしくなって、二人は今は背中合わせに寝転んでいる。お互いの背中を感じながら、体温を毛布の中で分かち合う。

 そうしながら大井も夢も静かに横になっていた所へ、大井から声をかけた。

 

「別に次の休日じゃなくても、結城の都合がいい時でいいから、さ」

「……いい、けど。どうしたの?」

「いや、どうって事も無くて……責任、っつーか……あー違う、そうじゃない」

 

 背中を合わせたまま、夢が大井の言葉の意図を確かめる。一緒に過ごせる事は夢にとっては嬉しい事だったが、大井がどういうつもりで言ったのかがわからない。

 大井もまた、それにハッキリとした答えを返せずに頭を捻っている。がりがりと頭を掻いて、必死に次に言うべき言葉と、自分の気持ちを確かめようとする。

 

「……その、さ。さっき言ったじゃん、”今日だけでいいから一緒に”って」

「うん」

「で、俺もさ。つい、”もうちょっとだけ”って言った、よな」

「……?うん、言ってた、けど」

 

 何故ここで自分の言葉が出てくるのか、夢にはわからなかった。大井も必死にどう言えばいいのかを今考えながら、必死で心情をなんとか形に変えて伝えようとする。

 

「……それ、ナシっていうか。えーと、ナシってのも違う、あー……うん、結城」

「な、なに?」

「まだもうちょっと、一緒にいてくれないか」

「え?」

 

 ようやく言いたい言葉を自分の心の中でまとめた大井が、何度目かもわからないその言葉を口にする。

 

「結城に言われたからじゃなくて。俺が、一緒にいて欲しいんだ」

「――――ッ」

「その、今日はなんかこんな事しちゃったけど、さ。どっか遊びに行ったり、何か食べに行ったり、買い物行ったり」

 

 一つ一つ、大井が自分の望みを夢へと伝えていく。

 何かを求め続けていた少女へ、与える様に。自分自身の意志で、少女へ求める。

 

「これから、そういう事を結城と一緒にしたい。だから、一緒にいて欲しい」

「――……」

「……ダメ、かな?」

 

 自分で言っていて、大井は段々と不安になる。そういう言葉を選んだとはいえ、自分勝手な事を言っている様に思えてならない。夢からの反応が無い事が、さらに不安を煽る。

 気になって顔を向けようとする。その瞬間、背中に夢が抱き付いてきた。

 

「うおっ!?ゆ、結城っ!?」

「――ん、うんっ、うん……ッ!」

「ゆ、結城……?」

 

 その体勢のまま返事が帰って来る。その声には涙が混じっていた。思わず心配になるも、背中に抱きつかれた状態の為に夢の様子を伺う事が出来ない。

 背中に縋り付いてきた夢の体と声色だけで、なんとか推し量ろうとする。涙が背中を濡らしていく。

 

「うんっ、うん……!大井、くん……!」

「……あ、ああ」

「もうちょっと、こう、させてっ」

「……あぁ」

「一緒に、いてッ」

「――あぁ」

 

 そうして背中で泣き続ける夢の言葉に応える。目を閉じ、背中を貸し続ける。

 窓の外では雨は降り続いている。降り止む気配は未だ無い。

 だけど、雨が止むまでは。いつかは止む筈の、その雨が止む時が来るまでは。

 

「傍に、いるよ」

「ッ、うんっ……!」

 

 未だに涙は背を濡らしている。背を向けていて、顔も見えない。

 それでも、今背に埋まる顔は笑顔だ。そう大井は信じた。

 




という事で、高校生組のお話でした。
製作者様の中にあるいぶすた外伝のプロットでは夢ちゃんも重要なポジショニングになりそうなので、「つまり外伝が観測されるまではどうなるか確定してないな?よし大井くんとくっつけて幸せにしてやる」という気概でやりました。
ガチ恋愛のR-18とか、一発目には荷が勝ちすぎる題材だった気がします。胃が本気で痛い。もう立つことすらままならない……。(2ページぐらい立ち尽くしながら)

次があれば今度こそ短めのヤツにします、いぶすたプレイヤーなら皆大好きの蓮ちゃんで。
ネタ自体はあるのであとはたった今使い尽くしたモチベの問題です。気長に待って下さい。

当小説でもっと見たいヒロインは誰ですか?

  • 蓮ちゃん
  • ユーリヤさん
  • 真魚ちゃん
  • 蜜柑さん
  • 夢ちゃん
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