*そして漏れ出す
温くぼやけたオレンジ色の照明の中、ホテルの昏い一室でぱちぱちと弾力のある音が止むこと無く響いていく。
音の出処は部屋の中央、大型のベッドの上。そこで、一組の男女が絡み合っていた。
「――んっ!ん、く、ううっ……!あっ、あんっ!」
「ああ、イイ、イイねえ、蓮ちゃん……!」
裸の男と女が、下半身で繋がっている。犬の様に両手足をベッドに付けたその女は、後ろにいる男に自身の腰を掴まれた上で、秘部を肉棒で貫かれている。
男に犯されている黒の長髪の女――蓮は、自身の借金の利息、その代わりとして自らの痴態を売り物とする事を選んでいた。
動く身体を追って揺れる豊かな双丘、繋がる陰部と秘部、股を打ち付けられて弾ける尻肉。その全てがベッドの前に置かれたカメラと、その後ろに居るカメラマンの眼の内に収められている。
「はぁんっ!だ、だめっ、そこダメ、よわい、のっ……!」
「はは、それじゃあ一杯突いてあげる、よ!」
「ふあっ!んぅっ、ン!あ、あぁんっ!」
男が腰を振る中で、一際高い嬌声が蓮より上がる。掘り当てられた蓮の弱い内側の一点を、さらに男は剛直の尖端で突き、擦り、攻め立てていく。
撮影が始まる前までは男達を強い視線で睨み付けていた蓮の顔は、既に肉棒に突かれる快楽に塗り潰されていた。カメラから顔を隠す事も忘れ、ただ背を丸めて犯される事しか出来ていない。
その全てが撮られている事など、最初から解っている。それでも身体は、内側を掻かれて圧される事への悦びに従い、上げたくも無い艶めかしい声ばかりが喉を駆け上ってくる。
「あッ、は!やぁっ、やだっ、奥、おく、はっ――」
「奥がイイ、って?ほら、ほらっ」
「んんんッ!は、あうっ!すごっ、それすごい、のっ……!」
拒絶のつもりの言葉は、そのまま男への訴えにしかならない。こうされれば
自分を律する理性があったのは最初だけだった。深く唇の奥を舐め回されれば頭に靄がかかり、胸を弄られれば身体から力は抜け、秘部を弄られれば意志の外で愛液が漏れ出してくる。
そして熱い肉棒が挿れられてしまえば、蓮の身体は快楽に屈した記憶を直に思い出した。男の太さと大きさを内側に感じ、それに膣を突かれてしまえば、引き出された雌の悦びが蓮の全てを塗り潰した。
「お、お、おっ!ナカ、締まってきてるよ……イキそうなんでしょ、蓮ちゃん?」
「く、あ、んぅうッ!あんッ、あッ!イ、イクッ……イかされ、ちゃうッ……!」
熱に浮かされた蓮の頭は、男からの質問を従順に答えさせてしまう。どんなに隠したいと思っていても、蓮の身体は既に犯される事への悦びによって、より男を喜ばせる答えを返す。
快楽に耐える為に丸めていた背が、至るその時が近付くに連れて前へと伸びていく。声を抑えようと引かれていた顎も上がり、男を誘う甘い声が真っ直ぐに放たれていく。
一人では決して味わえぬ、性と肉の快楽。それが蓮を、一匹の雌へと堕としていった。
「出るっ、ナカに出すよ、蓮ちゃん!」
「あっ、や、やあッ!だめえ、なかだめッ――はぁッ、あぁぁんッ!!」
「おッ、うッ!」
膨らみながら膣奥を強く突いてくる男の逞しさに、高められていた蓮の性感は頂点へと追い詰められていく。速まった腰使いから感覚を逃がす事も出来ず、そのまま蓮は耐える事も出来ず絶頂を迎えた。
熱い蜜を吐き出しながら締まる蓮の肉壷に、男も合わせて精を放つ。しかし男はさらに蓮の淫肉の味を貪ろうと、吐精しながらも腰を振る事を止めなかった。
「あッ、あ!でてるッ、のにッ!あんっ、ハ、あんっ、ん、ぅうっ……!」
「くおぉ……搾り取られる……!」
内側を満たす精液の熱さと、それを掻き混ぜる様に膣を動き続ける肉棒の感触に、蓮の感覚は至った場所より下りる事を許されない。
腰を揺さぶられ、膣を擦られる。性欲が命じる通りに喘ぎが漏れ続け、秘部は男の精をねだって細かく収縮し続ける。
蓮の身体が求めるままに、男は自身の溜め込んだ精を蓮の膣の隅々に行き渡る様に肉棒を手前から奥へと振る事で、流し込んでいった。
「はぁっ、あっ、あ……イ、イっちゃった、ぁ……」
「あー……良かったよぉ、蓮ちゃん」
男が精液を出し切り、腰から手を離すと同時に、蓮の身体がベッドに沈む。うつ伏せになった蓮は、息を整えるべくゆっくりと肩を上下する。
熱い吐息を零して惚ける蓮の尻を男は両手で鷲掴み、左右に広げる。それによって広げられた秘部からは、今し方流し込まれた白い雫が溢れ出す。
「――はい、カーット。いやぁ、今回も良かったねえ」
「蓮ちゃんも大分撮影慣れしてきたねえ、どんどんエロくなってるよー」
「……っ」
精液を股から垂らしながらベッドに沈んでいる蓮の姿を上から収めた後、カメラマンが記録を止める。先程まで蓮を犯していた男もベッドから離れ、行為で汚れた身体を軽くタオルで拭っていった。
撮影が終わっても、蓮はベッドから起き上がる事は出来なかった。それは男に犯されていた事による疲弊や絶頂の脱力感もあったが、何よりも自身の痴態を抑えきれなかった事への羞恥がそうさせていた。
また、撮られてしまった。また、イかされた。卑しくはしたない姿を晒した自身を後から自覚し、その恥ずかしさから顔を上げる事が出来ない。
蓮の呼吸と共に、秘部からまた一つ雫が垂れ落ちる。それが弥が上にも男に犯された事を思い出させ、性の熱に染まっていた頭を覚めさせていった。
「毎回だけど蓮ちゃんお疲れだねえ、まぁいつも通りしばらくゆっくりしてていいよ」
「あ、ちょっとシャワー借りるねー」
そんな蓮をまるで意に介さず、撮影に関わった男達は帰り支度を始める。先程まで蓮の痴態を収めていたカメラは片付けられ、蓮を犯していた男はシャワールームへと入っていく。
今日の撮影はここまでであり、用済みとなった蓮に目をくれる者は居ない。誰も彼もが蓮への興味を失い、蓮の傍を去っていく。まるで捨てられた様なその場の空気の冷たさが、実際に感じる肌寒さ以上に蓮の身体と心を冷やしていく。
この場において蓮の味方など最初から居ない。居ないのはわかっている、しかし――
「……?」
蓮がベッドに伏せたままでいると、左手にシーツ以外の感触を感じる。かさり、そんな細くざらついた感触へ、蓮は顔を向けた。
「……紙?」
左手でそれ――小さなメモ用紙を手繰り寄せ、蓮は怪訝に思う。
そこには簡潔に、文字列がニ行だけ記されていた。
◆ ◆ ◆
「……それで。どういうつもりよ、あんた」
撮影から翌日の夜、蓮はある場所を訪ねていた。
メモ用紙に書かれていたのは時間と住所、そのたった二つ。その意味を確かめる為に、蓮は書かれてあった住所へとやってきて――そして、見たくもない顔に会うこととなった。
「なになに、随分不機嫌じゃん。あんなに愛し合った仲なのにさ」
その住所――マンションの一室に居た男は、へらへらと軽い笑みを浮かべながら蓮を迎える。
その男と蓮が顔を合わせたのは、つい昨日の話。忘れたくても忘れられない、あの撮影の時に蓮を組み伏せて散々に犯した、ビデオ男優だった。
「冗談言わないでよ。あれは仕方なく相手してあげただけで、あんたの事なんてなんとも思ってないわよ」
「ふうーん?まぁ、そういう事にしとこっか」
不機嫌さを隠そうともせず、蓮は強く男を睨み付けて言葉を返す。
蓮が男と肉体関係を結んだのは、あくまで借金のツケである撮影の場における一時のものであり、プライベートとは全くの無関係だ。撮影が終われば互いに他人同士であり、干渉はしない。それが暗黙の了解だ。
言われずともわかる、そんな了解を破る様な相手に、敬意も礼も払う必要は無い。そう蓮は態度で示してみせた。
「まぁ話だけでも聞いてよ。蓮ちゃんにとっても悪い話じゃないんだから、さ」
「……下らない話だったらすぐ出てくわよ」
そんな蓮の視線を受けても男は笑みを崩さない。その態度は男は蓮に臆するどころか、蓮の事を下に見ている様な印象を与えてくる。
冗談では無い。本来は社会の裏で警察や政府、魔術師や化物と渡り合って来た蓮にとって、見下される事は何よりも気に障る。
”舐められたら終わり”、それだけが明確な
そんな男が、蓮にとって利のある話があると言う。正直期待は一つも出来ないが、わざわざやってきた以上は聞かずに帰る訳にも行かない。腕を組み、蓮は男の話を待った。
「じゃあ簡単に言うね。蓮ちゃん、エロ配信とかしてみない?」
「帰るわ」
蓮は踵を返し、直にその場を立ち去ろうとする。
蓮が扉を目指し数歩歩いた所で、後ろからやってきた男が蓮の腕を取った。
「ま、待って待って!ちゃんと最後まで聞いてよ!」
「下らない話だったら出てくって言ったでしょ。もう忘れたのかしら」
腕を掴んできた男を、蓮は氷の様に冷え切った瞳で睨む。
下らない話だろうとは思っていたが、想像を遥かに上回る――いや、下回る話だった。そんな話の為に呼びつけた男への印象は、もはやマイナスにまで達している。
蓮は早く放せという意志を込め、掴まれた腕を振り上げた。
「お、お金に困ってるんでしょ、蓮ちゃん!」
「……それが、何よ」
が、その途中で出てきた言葉に腕をぴたりと止めてしまう。
現状、蓮の身に山の如く積み上がった借金は、まるで返し切る目処がついていない。その上、蓮の主な仕事――掃除屋稼業は極めて不安定なものであり、そのせいで幾度も利息の返済が滞ってしまっている。
毎週訪れる利息を払うだけでも生活に支障を来す、そんな金銭的状況こそが昨今の蓮を悩ませる一番の要因だ。だが、それが男の要件と何が関係すると言うのか。
下らないセクハラと事実を突き付けられるというダブルバーガーの配膳に、蓮は不愉快と不機嫌のバリューセットを心中に積み上げつつ男の言葉を待った。
「蓮ちゃんは知らないかもだけどさ、エロ配信って稼げるんだよ」
「……つまらないわね。せいぜい数万円程度の小遣い稼ぎでしょ――」
「一時間で十――いや、二十万、って言ったら?」
「――……は?」
男は蓮の豹の如き眼差しに気圧され、既に軽やかな笑みは表情から落ちていた。その代わりに残っているのは、揺らがず真っ直ぐに定まった瞳と、蓮を立ち止まらせる真に迫った顔だ。
一時間に、二十。二時間で、四十。三時間で――男の言った言葉が蓮の思考に浸透する毎に、頭の中で幻の金が積み上がっていく。それは泡銭とわかっていても、蓮の現状では決して無視出来ない大きさだ。
馬鹿な。そんな金が、容易く手に入る訳が無い。しかし男は、表情を崩していなかった。
「勿論
「…………どういう、事よ」
詳しい注釈までしてくる男と、理解を拒否しながらも興味を
完全に男の思惑に乗っている。冷静になっていればそう考えるだろう所であっても、蓮の耳は男の発する声に傾き切って戻ろうとしなかった。
「あ、興味持ってくれた?よかったよかった」
「……やる気は、無いわよ」
「そう言わないでよー、実際に見せて説明するからさ」
完全に足を止めて顔を向け続けている蓮の右肩に、男が腕を回す。糸の如く緩んだ腕を振り払う事は容易だが、それは現状という地獄に垂らされた蜘蛛の糸にも見える。
蓮は不機嫌さを表情に貼り付けたまま、肩を引く力に身を任せ、部屋の中央へと歩を戻した。
「いつも俺が
「……」
男は自身の部屋の角の机に置かれたパソコンのブックマークから、どこにでもありそうな程に簡素な――しかし、明らかに一目で一般向けでないとわからせる動画サイトを開かせる。
映ったどの
さらに、話の入りから低俗・卑俗・俗悪の三要素をミキシングした男の説明が追撃をかける。これが別の国の言語であれば良かった物を、極めて残念な事に男の言葉は日本語で構成されている。
その不快さを何かに喩えるならば、見慣れた奉仕種族を前にした時の正気を揺らされている様な感覚に近かった。
「で、ここからが本番。ここの有料配信は、分単価なんだよね。一分で十円、二十円、四十円。まぁそこは人によりけりだけど、これで稼ぐの」
「そんなレートで十万とかいく訳無いでしょ、馬鹿にしてるのかしら」
「はは、蓮ちゃんエロ関係に疎いトコあるよね。そういうトコもかわいいと思うけど」
「……馬鹿に、してるの、かしら?」
調子を取り戻した男の軽口は、あからさまに挑発染みていた。頭に血が昇り、蓮の臓腑で毒が渦巻き出す。流石にこんな場所で
その気になれば、何百人の
そんな状況を理解しようも無い男へ、その裏で優位を握っている蓮は、怒りの余り
「おっとゴメンゴメン。まぁ待ってって、ここ見てよ」
「……?数字?」
男が画面内の、一つのサムネイルの下に表示されている数字を指差す。小さな数字は二種類あり、一つはコインのマークの横に”十”と書かれている。
恐らくはそれが男の言っていた分の単価だろう。それはわかる。だが、もう一つ。単価の横に赤字で書かれた数字、百に僅かに届いていない数字は、一見してわからなかった。
だが。蓮はこれまでの内容から、一つの推測に至った。
「――まさか……」
「お、さっすが蓮ちゃん、あったまいいねぇ。どういう事か、わかっちゃった?」
「……人数……」
目を瞬かせ、蓮は確信染みた答えを返す。動画サイトでは当たり前の数字。
人数、視聴者数。動画を見た、見ている人数。それは一般サイトから見れば塵に等しい少数ではあるが、だからこそ生々しくネットの先の人間の存在を感じさせた。
だが、それ自体は不思議でもなんでも無い。わざわざ勿体つける様な事でも無ければ、一目でわかるサイトの表記の一つだ。
しかし蓮の頭は、すぐにその数字の持つ意味と、
「単純計算しよっか。一分十円。百人が見る。で、配信が一時間――六十分なら?」
「――……」
六万円。たった十円、しかしそれが積み重ねられたチップは、時給換算としては破格の数字だった。
その上で、この数字は天井が無い。単純な例を挙げれば、配信の単価を倍に、時間をさらに倍にすれば、配信には四倍の価値が付く。
どちらかの要素をこちらが引き上げるだけで、動画の価値は跳ね上がっていく。その事実へ、蓮の考えは一足跳びで辿り着く。気付いて、しまった。
――男の言葉が、どうしようもない程に真実だと。
「やる事は簡単だよ、いつも通り――いや、もっとカンタン。カメラの前でエロい事やる、それも内容は自由。でも、なるべくお客さんを引き込める様に」
喉を唾が通る。蓮にとっては、あまりにも身近かつ、忘れる事が出来ない行為。
このサイトに浮かべられたサムネイルは、何ページにも渡っている。誰もがやっている、それはつまりそれ相応の実入りが確約されているという裏返しでもある。
これまで晒してきた蓮の
錯綜する。一つ一つの考えが、金銭という何よりも優先する大目標から樹木の様に枝分かれし、答えという名の実を付けていく。
「蓮ちゃんカワイイし、もしかしたらビデオ見てる奴がいるかもしれないしさ。絶対、イケると思うんだよね」
「……そんな、事……」
そんな事を受け容れられる訳が無い。だがその言葉は、喉元で止まる。
容姿に関してはこの中でも埋もれないという自信がある。そうであるからこそ蓮の撮影には利子分の価値が見出されているのであり、蓮もそうする事でこれまで急場を凌いできた。
だからこそ、今こうして悩んでいる。悩む事が出来る。
自分は、出来る。出来てしまう。稼げて、しまう。
目の前に、金が、ある。
「ね、いいでしょ?不安ならさ、前金で十万払うよ。契約金、って事でさ」
「……っ」
さらに頭の中で金が積み上がる。何もしない内から、十万円。
見知らぬ誰かに売春をするのに匹敵する大金。蓮の仕事一つから見れば端金だろう、しかしその仕事は何時入るかもわからず、しかも仕事を探すだけですら金を浪費してしまう。
そんな中で即金が手に入る、その価値は余りにも大きい。時が金だとすれば、金は時でもある。
時間。今の蓮には、稼ぐ為に必要な時間が足りていない。そしてそれは、金を使う事で得る事が出来る。
今、この場。この場を、自分は求めていた。
「分け前は……うーん、七・三でいいよ。勿論蓮ちゃんが七ね」
積み上がる。積み上がる。意志の上に積み上げられた金が、心を揺らす。
あまりに下劣な欲に全面を塗り潰されたその選択肢は、普段であれば到底手を付けられる物ではない。
だが、今の蓮にとって。それは何よりも必要で――そして、
「――……ホント、に」
「ん?」
「……本当に、それで、いいんで、しょうね」
心は既に、最初の撮影で踏み躙られてしまっていた。それを厭う思いは、借金という問題を何一つ解決させなかった。
今更だった。今更醜態を世間に晒す事など、金の事を思えば安いものだった。
少しの間、本当に少しの間だけだ。一時の恥で、済むならば。
蓮は、震えながらも男の誘いを受け容れる言葉を発してしまった。
「……へへっ。もっちろん、俺ケッコー稼いでんだよ?蓮ちゃんのカラダの事を思えば、安いモノだって」
男は蓮の右肩に回した手を離し、代わりに蓮を見つめながら戻した右手を蓮の首筋に当てる。
遅れてやってきた羞恥に蓮が目を逸らせば、男は蓮の白い首筋を撫で下ろし、鎖骨に掌を当て、さらに右側へと腕を下ろしていく。その先には、服に抑えられながらも膨らんだ蓮の胸がある。
蓮の胸に、男が触れる。軽く、揉んでくる。
蓮は、抵抗しなかった。
「それじゃ、早速準備しよっか。打ち合わせは……まぁしない方が多分いいよね。素人っぽい方がウケいいし」
「素人っ――」
素人っぽいというか素人よ。そんな声すらも蓮の心の中で踏み潰されてしまった。
何せ、撮影に出たのは一度や二度では無い。蜜柑に一つ一つの動画について感想や批評をぶちこまれて白目を向く程には、蓮は自らの身体を
こんな汚れた身が、今更
「よーし、久々に気合入れるぞー。目指せ初回百――いや二百人!蓮ちゃんとなら三百人も夢じゃないって思ってるからさ!」
「……好きに、しなさいよ……もう……」
諦念と嫌気が蓮の心から漏れ出し、蓮の感情や感じる空気は重々しく感じられる。しかし目の前の男は対照的に、どこまでも明るい笑顔と喜びに包まれていた。
新しい玩具を手に入れた子供よりも無邪気な顔が、何よりも憎たらしい。しかしそんな指摘を言おう物なら、契約料も受け取っていない時点で梯子を外される可能性すらある。
もう決めてしまった。それなら、後戻りは出来ない。しては、いけないのだ。
「んじゃ、カメラと道具持ってくるよ」
「……えっ。今日、もうやるの?」
「好きにしろ、って言ったじゃん。善は急げ、だよ?」
どこが善事だ。一瞬本音が蓮の口から吐き出しそうになるも、慌てて口を噤む。
確かに好きにしろとは言った。だが、まさか今日やるつもりだとは予想外だった。男は最初から蓮がこの申し出を受けるだろうと考えていた、そう裏を読むと苦虫を噛み潰した気分になる。
結局、この下らなく軽薄で卑しい男にも、自分は身体を許してしまう。つい先日に撮影で犯された時とは違い、今度は合意の上での事だ。
これでは、尻軽と言われても仕方ない。蓮はただ自嘲する事しか出来なかった。
「よろしくね、蓮ちゃん――いや、
「……金は、払いなさいよね」
こうして、契約は為された。地獄の如き、しかし地獄から脱する為の、悪魔の契約。
それは女にとっては遥かに軽く、蓮にとっては何よりも重いモノだった。
毒を食らわば皿まで
売春の派生形は書いたけど撮影の派生形がなかったので、かきます。
当小説でもっと見たいヒロインは誰ですか?
-
蓮ちゃん
-
ユーリヤさん
-
真魚ちゃん
-
蜜柑さん
-
夢ちゃん