「んっ、は、ふうっ……ん」
「ほら蓮ちゃん、もっと胸張って」
男の部屋の一角。ノートパソコンとその上に取り付けられた設置式のカメラの前、白いベッドに腰掛けた男を背
後ろから抱き着いている男は、服を脱ぎ捨てさせた蓮を、下着の上から入念に愛撫していた。肌触りの良い高値だろうレース付きの黒色のブラが、男の広い掌に押し込まれ、その下に秘める膨らみを上下左右に掴んで動かしていく。
ノートパソコンの画面一杯には、大きく広げられた黒枠の内に蓮と男の姿が映り、それは一時遅れで蓮達の動きと音声を追っていく。その枠の傍には、先程蓮が見せられた二つの数字と、未だ真っ白のコメント欄があった。
二つの数字には、こうある。”無料・三人”。
「ちょ、ちょっとあんた、騙してるんじゃないわよね――んうっ」
「ことこの界隈じゃ勤勉で真面目なんだけどなぁ」
真剣な声で、しかし履いているズボンの下で膨らんでいる股間を蓮の尻に擦り付けながら、男は蓮の胸を寄せて揉み上げる。
配信を始めて、男が蓮に命じた事は二つだけ。服を脱いで下着になる事、そして身を任せる事。ただし声は絶対に抑えるな、という注釈がつくが。
そうしている間も、蓮の身体は画面に、サイトに、ネットへと放流していく。何の価値も持たない、”無料”という言葉を添えて。
「……教えてあげるよ。リピーターもいない女がいきなり有料配信、なんて言っても、運が良くなきゃ誰も寄って来ない」
「な――や、やっぱり騙してるじゃないのよっ」
「それが違うんだよねぇ」
蓮の耳元で囁きながら、言外にカメラに届かぬ様に話したいと意図された男の言葉に、蓮は後ろの男へ顔を振り向かせ小声で怒りを発する。
ただでさえ恥ずかしい思いをしているのに、それが金に繋がらない。金の為に晒したくも無い醜態を魅せているのに、それは金に結んでいない。
そんな当然の怒りを、男は優しく抑え込む様に小さく諭し始めた。
「だから、まずは客寄せをするんだよ。ビラを配るみたいに、ね」
「……どういう事よ」
「何をやってるかもわからない店に飛び込むなんて、馬鹿のやる事だよ。そこに誰がいるのか、どんなコなのか。それが目的なんだから」
じーっと小さな稼働音だけが聞こえる部屋で、蓮と男が顔を向けて話し続ける。
カメラのスピーカーにまで届かない声を除けば、それは唇を交わす前に愛を囁いている恋人同士にも見えるかも知れない。しかしそんな事を、疎い蓮はわからずにいる。
円を描く様にいやらしい手付きで蓮の胸を触り続け、男は言葉を繋ぐ。
「このサイトに求められてるのは、八割がカラダで、二割が愛嬌。だからまずは、蓮ちゃんのカラダを宣伝する必要がある、ってワケ」
「……やっ!あ、ぅ」
男の右手が唐突に降ろされ、その人差し指と中指が蓮の両腿の中央、股上の短く布地の狭い黒のショーツに包まれた秘部の表面を一瞬なぞる。不意を突かれた蓮は、声を上げてしまう。
そのまま男は二本の指でくりくりとショーツの表を擦り続ける。それは一切の激しさを持たぬものの、ショーツの柔らかさ越しに伝わる指の動きが、少しずつ蓮の性感を煽り、塵の様な感覚を重ねていく。
「
「んっ、ふ、あ……わ、わかった、わかったから、変なとこ、さわんないで……あっ!」
話しながら男は左手の指先で蓮の左胸の中心付近をなぞり、時折蓮の秘部へ添えた右手の指を優しくも真っ直ぐ突き立てる。
その手付きは、蓮にも覚えがある。撮影の際に受けた愛撫の中で、蓮が強く反応を見せてしまったモノ。蓮が、感じてしまう動き。
後ろの男優の手慣れた、そして蓮の身体をよく知る手の動きが、蓮の両脚を締めさせて小さく震えさせる。
喘ぎと身体の反応が、蓮へ教える。”気持ち良くされている”、と。
「へへ、わかってもらった所で。皆ー、今見てるー?」
蓮の呼吸が少しずつ熱を帯び始めた所で、男がカメラに向けて声を投げかける。
男の手はそれに連れて僅かに緩む。与えられた少しの休憩を受け、蓮は受けている愛撫の感触を心中で反芻させながら、男に背を預ける。
自分は、どう映っている。どう映されているのだろう。ちらりと、蓮の興味が目の前のパソコンに移る――配信画面を、見てしまう。
『体エッロ』
『見てる』
『新人?』
白紙のコメント欄に、小さく文字が現れている。気付けば配信画面の人数も、未だ数は少ないながらも確かに増えていた。
男の声に応えて増えたコメントは、確かに今ネットの先に居る誰かの存在を意味する。見られている。今、確かに、誰かに。
カメラに撮られているだけじゃ、無い。そんな事実を、改めて蓮は知った。
「そそ。今回は本業のAV女優さんに来てもらったんだよー」
「ちょ、あんた……!」
「あれー?違ったっけ、ねえ蓮ちゃん?」
「…………」
画面の向こうへの暴露に、思わず蓮が口出しする。が、男の笑みを浮かべた返答に言葉を詰まらせる。
蜜柑にもからかわれた事がある。”これで女優の仲間入りね”、そう冗談めかして言われた時はまだ友人感のじゃれ合いとして流せる言葉だったが、ほぼ赤の他人に言われるのでは言葉の重みが違う。
赤の他人から見ても、自分はそういう生業に見えている。見せられている。伝えられている。それを自覚し、蓮は男から顔を背けた。
「何本ぐらい出てたっけ……十本ぐらい?」
「ふ、ふざけないでよっ!まだ三、四本ぐらいでしょ!」
「へぇー。四本……へぇー?」
「っ!」
語るに落ちる。そう気付いた時には、既に言葉は戻せない所へと零れ落ちていた。
男の言葉を確かに裏付ける蓮の返事は、間違いなく画面の向こう側へと伝わった。
言葉に気をつけるべきだった。生放送という初めての経験は、思っていた以上に厄介な性質を孕み、それが蓮を後ろから突き刺してきた。
「そんなワケで、今日は初出演の上、中出しまで解禁でーす。ま、ソコは有料だけどね」
「ちょ、ちょっとっ――んうぅっ」
蓮が思わず反論しようとした所を、男は左掌を蓮の胸に広げて再び鷲掴む事で制する。
僅かに間を空けられていた身体が、すぐに男の手付きに反応を見せる。跳ねた蓮の甘い声は、感じていないと言うには余りにも艶を帯び、官能的に部屋の中で響いた。
そして男の言葉と共に、再びコメント欄に文字が映る。さらに、人数が増える。
「ま、でも。初回って事で安めに設定しとくし、後で有料アーカイブに残すからさ。でも今見てかないと損ってぐらいには、楽しませてあげるよー?」
「く、んぅ……あ、やぁ、は」
蓮は目を瞑る事しか出来ない。男の左手が胸を這い回り、右手の指がくるくると秘部の周辺を回ってショーツに沈めていく。
胸は強く、秘部は優しく。出演が進む度に蓮の嗜好は男優達の中で共有されてゆき、それが今の愛撫へと繋がっている。それは確かに気持ち良く、だからこそ気持ち悪い事だった。
自分の知らない自分を、誰かに握られている。さらに、それが現在進行系で誰かの目に映っている。撮影するだけのいつもは目を逸らしていた、今直面している現実が、性感を伴いぞくぞくと蓮の背筋を走る。
その上で、蓮は男の好きにされている。好きにされてしまう。
「ほーら、蓮ちゃん。この胸と、このお尻。何センチだっけ、教えてあげなよ」
「……九十、と、はちじゅう……はち」
蓮の声に、さらにコメント欄が動く。複数の男の目に晒されている、そんな錯覚と真実が蓮の顔に赤みを注ぐ。男達の欲に満ちた幻聴が、文字から聞こえてくるようだった。
しかしその声の中には、蓮の身体に疑問を抱く物が一つ混じる。たった一つの言葉が、まるで他の男からの詰問にすら見えてくる、そんな居たたまれなさが肩を縮める。
蓮の両胸の影は、さらに濃くなった。
「信じられないなら、うーん……ほら、蓮ちゃん」
「……すれば、いいんでしょ」
とん、と男が蓮の背を押す。その意図は、一つしか無い。
撮影の中でも何度か行われた、”ゴーサイン”。それに従い、蓮は男の背から立ち上がり、カメラの前に立ってみせる。
じい。カメラの無機質に開かれた瞳孔は、今では生々しさすら感じる。蓮は逡巡し、しかし錯覚に過ぎないそれを無視して――目を逸らしてとも言う――、自身のブラの上部へ指をかけた。
「……これで、どう、かしら」
蓮のブラが、他ならぬ蓮自身の手によって下ろされる。形を変えて流体状に動いた両胸が、ブラの下から這い出る。その光景は、誰が見るだけで誰もが理解出来る柔らかさと大きさを表現していた。
顔を僅かに横に向け、しかし蓮の黄色の瞳は画面を気にして流し目を送る。心裏から締まる両肩は両腕を動かし、両胸を横から潰して見せる。
少女の如き恥じらい、目だけは
それは虚実か解らぬ数字ではなく、紛れもない
「ほらほら、そこでくるっとターン。あ、パンツはそのままね。
「……っ」
コメントが少しずつ増える。それに気まずい思いを感じるよりも早く、後ろの男が蓮に命令してせっつかせる。
胸を見せ続けるよりは、遥かにマシ。どちらにしても女としては屈辱の二択を、蓮は受け入れざるを得ない。両手で胸の頂点を覆い、蓮はその場でカメラに背を向けた。
いつもと同じ、丁字のショーツで締められ強調された、そんな尻を見せる為に。
「どう、どう?めっ、ちゃ。スタイルいいでしょ」
「も、もうっ、いいでしょ……!」
「いやいや、まだまだ満足出来ないでしょ皆。あと三回それ繰り返してね」
「さんかっ……!?」
「ほら」
こんな羞恥を三度も味わわなければならないのか。そんな文句すら、男は一言で踏み潰す。
確かに、配信という一時停止の無い状況は、少しでも長い時間を取った方がお互いの為になる。冷静ながら馬鹿馬鹿しい考えに蓮が至るも、それが恥を払拭する事は無い。
だが、今の蓮に拒否権が無いのも、それが必要なのも理解出来てしまっていた。
「……う、うう、うーっ……!」
「はは、もっと胸見せてあげなよ。こう、自分で揉んでみせて、さ」
身体の向きをくるくると変え、三度目の前を向く。再び、蓮の胸はカメラに見つめられる。
撮影で感じる様な卑しい熱の篭った物では無い、温度の無い瞳。しかしその奥に秘めているのは、不特定多数の男の欲情。下手に実感が伴わない、経験の無い恥ずかしさが止まない。
それでも。蓮は下へとずらしたブラを臍の上までさらに下ろし、自身の下乳を両掌で持ち上げた。
「――んっ。く……っ……う」
「あーダメダメ、もっと声出して。いつもみたいに、あんっ、あんってさ」
「……ッ!――く、んんっ……あっ、ん、はぁ……あっ」
カメラの前で、蓮が自分の胸を揉む。既に蓮は半ば自棄になっていたが、その両胸は先程の男の愛撫の味が抜け切っておらず、熱は秘めたままだった。
そんな蓮に、男は当初の
唾を呑み込みながら、蓮は目を伏せて形の良い豊乳を弄る。男にやられた様に左右に胸を揺らし、胸を掴んで指を沈め、胸を前へと突き出す。
どう映っているかなど、もう考えたくも無い。考え、たくも――
(……まだ、ここ、触ってなかった、わよね……)
ふと、蓮が掌を胸から離す。頭に過ぎったのは、今触っている肌の豊かな花托の先、僅かに血が巡り始めた自身の紅い蕾。
ブラの上から擦られたのは、狙って桃色の輪周辺だった。蓮が最も感じるだろう蕾は、おそらくはあえて後回しにしていた。それが蓮を鳴かせる、一つのスイッチだからだ。
――だが。このまま、ここで、後回しにしてもいいのだろうか。
「――ひゃっ、ん!あぅっ、ふうっ……!あっ、ひあっ、あっ……!」
そう考えた時、何故か蓮の指はゆっくりと小さな蕾――乳首の先へと伸びていた。
自分の指で、摘み上げる。膨らみかけている乳輪ごと擦る。鋭く立ち上がった尖端を、指の腹で弄り回す。
何度と無く行ってきた、自身を盛り上げる為の自慰。一度始めてしまえば、頭は桃色に染め上がった。冷静だった蓮の思考は肉欲を慰める事へとシフトしていく。
どうせやる事だから。どうせされる事だから。それならいっそ。言い訳を続けて、蓮は甘い声を隠そうともせずに、自らの世界へとのめり込んでいった。
「あ、あぁっ、は……!ン、んっ、あ、ぁんっ……ん、やぁ、あ……!」
「いやあ、めっちゃ色っぽい声だねえ。正直これだけで勃っちゃわない?」
「はぁっ、あ、んっ――え?」
蓮が夢中で自らの胸を弄っていると、後ろから男の声がかかる。それで蓮の意識は引き戻された。
目の前に、カメラ。後ろに男。自分は――
「あっ、ち、違っ!こ、これ、は……!」
今、自分は何をしていた?蓮の思考が、一気に走り出す。
疑問はすぐに答えとなり、桃色に染まっていた蓮の頭の内は警告の様な赤色へと変わっていった。
鋭く尖って戻らない乳首と、ふるふると左右に揺れる熱された乳房。その両方が、蓮自身の興奮と快楽を何よりも表現し――その全てが、目の前のモニターに映り込んでいる。
コメントは気付かぬ内にさらに増えている。今の行為をサムネイルで見ていたのか、次々と視聴者数はカウントされていく。リアルタイムで見ている、その証拠である人数は減る事は無い。
見られている。確かに見られていたのに、蓮はそれを忘れる程に――
「あーもう、かわいいなぁ蓮ちゃん。もういいよ、戻っておいで」
「う、うう、くうぅ……!」
顔を隠したくなる程の辱めを自覚した所で、男からようやく取り止めの声が出る。
肩を落として、蓮は男の前へと戻る。モニターを、コメントを、男達の評価を見るのが怖かった。今の自分がどう思われているのか、蓮は目にしたくなかった。
それを思えば男の傍の方がまだマシだ。モニターが僅かに遠い分目を背けやすい、そんな風に考えながら、蓮は自分から男の背と股座に座り込んだ。
まるで、最初からそうするのが当然とばかりに。
「さあて、これで嘘言ってないってのがわかってもらえた所で。……んー、まだまだ足りないでしょ、皆」
「……も、もう、早く、スるならシなさい、よっ……」
「えっ、もうヤりたいの?蓮ちゃんエッチだなー」
「違うわよっ!」
もう我慢出来ない。それは性的な意味では無く、理性的な意味だった。
撮影と似ていながらも、明確に違う羞恥。それが蓮の声を荒げ、後ろの男へとぐるんと顔を向けさせる。
いくらプライドを捨てたと言っても、人格まで渡したつもりは無い。さらに言えば、こんな誰でも見る事が出来る状況で誤解などされては堪らない。
主導権は男にある以上、今更撮影を拒絶はしない。だが、これ以上の侮辱は受け容れられなかった。
「ちゅっ、むっ」
「!?ん、んむっ……!?」
そう口を開こうとした蓮の唇に、男が自身の唇を重ね、間髪入れず舌を潜り込ませる。
思わぬ侵入者に逃げようとする蓮の舌の表面に、深い男の口付けが重ねられる。その感覚を受けた瞬間、蓮は目を白黒させて身体と思考の一切を停止させた。
男が舌で蓮の口内を舐め回す。男は自らの唾液を蓮へと贈り、蓮と男の唾液を舌で掻き混ぜる。熱く柔らかく、それでいて芯を持つ舌が、引っ込む寸前だった蓮の舌を絡め取っていく。
ちゅぱ、ちゅう、じゅる。男が顔の角度を変え、蓮の唇を味わう様に貪りながら、口辱が続く。その感覚に、蓮は――
「んっ、ふ、んむうっ、ん、んん……っ」
何もしなかった。腕をかければ突き飛ばせるだろう、ただ顔と顔をくっつけているだけの体勢に対し、蓮は熱された吐息を唇の端から零しながら、何も出来ずにいた。
突き飛ばす事は出来る。だが、何故か出来ない。口に挿れられたざらついた舌が蓮の舌に、歯茎に、唾液に触れる度に、言い様のない弱い稲妻がノイズとなって頭の内側を揺らす。
蓮の目の焦点が戻る。男の真剣な眼差しが、蓮を射抜く。その眼に見つめられると、蓮は自然にすっと目蓋を下ろしていた。
「――んっ、う、んむ、ふうっ……」
思考が、狭まる。視覚が閉ざされ、触覚だけが際立つ。
暗闇の口内を動き回る男の姿を目の裏で幻視し、蓮はそれを追い始めた。男の動きを受け、蓮の舌が勝手に、それでいて的確に動き出す。
絡まった舌の表面に、ざらついた味蕾同士を重ね合わせる。呼吸をしようと僅かに離れた所を、その舌先を自らで突付く。小鳥が餌を求める様に、唇を
無意識が、そうしていた。蓮は再び自身の思考がどこかへ、忘我の境目を目指して歩んでいく、酔わされた様な感覚を味わう。そうして、唇と唇が重ねられ続ける。
穏やかに閉じられた目蓋の横で目尻を落としながら、蓮は男とのキスを続けた。
「……ぷは。へへ、こういう時なんて言うんだっけ。”俺の唇で塞いでやるよ”、かな?」
「あっ、はぁっ――んっ」
男から顔を離し、互いの口端から唾液がつうと透明な筋を描く。
そこでようやく目蓋を開けた蓮は、下唇の膨らみの下へ右手の中指を添えながら、僅かに潤んだ瞳を覗かせる。
男から送り込まれた唾液の熱と味を感じる。蓮はそれを、自らの唾液と混ぜ合わせて呑み込んだ。
「やっぱ蓮ちゃんのキス顔はそれだけでエロいよねえ。とろーん、ってさ」
「――……はっ!じょ、冗談、言わないでよ!」
「今更強がったってムダムダ、今の横顔もぜーんぶ撮ってたんだから」
完全に止まっていた蓮の頭が、再起動する。その時になって、自分の喉を通る男の唾液の味と、唇から零れる自分の唾液の痕に気付く。
何度となく撮影で合わせた唇は、既に男達の味を知っていた。そしてその味を再び味わおうと、蓮自身の意識が勝手に動かされてしまった。”そうしなければ”、そんな思い込みが裏地にあった。
そして何よりも屈辱的なのは、唇をあわせる最中に於いて不快どころか、充足感を覚えていた事。そしてそれは、今まさにモニターに映る自身の表情に顕れている。
真っ赤に染まった顔が、
こんな物を見せられて、誰が蓮の訴えを聞いてくれるだろうか。
「蓮ちゃんはキス大好きだもんねー。ほーら、その証拠に――」
「やぁんッ!あ、やだっ、うえから、こすらないでっ……!」
「――このとーり、すぐパンツ濡らして悦んでるんだよねー」
蓮が震えていると、男の右手が再び蓮の股間を
くちゅり。スピーカーにまで届いたかはわからない、しかし確かに蓮の耳に聞こえたその音は、男の指の動きと共に聞こえてくる。それが何度か繰り返された所で、男の右手がカメラの前へ掲げられる。
その指先は、確かに濡れていた。二本の指の腹に親指を重ね、それを広げれば粘ついた透明な水が短い糸を張り、途中で切れる。それを確かめる様に、男は三本の指を付けては数回広げて見せた。
その粘液は、蓮の秘部にあったモノ。ショーツの上にまで滲んだ、蓮の愛液だった。
「こんなエロい子、無料で見れるなんて皆ツイてるよねぇ。あ、拡散よろしくー」
「くう、んぅ……」
男の右手が、蓮の晒されている胸を掴む。手慰みとばかりに動く掌の雑な動きにすら、今の蓮にはいくらかの性感を呼び起こされるモノだった。
その上、男の右手の先には蓮の温い愛液が付いている。明らかな自分の興奮の証拠を文字通り身体に教え込まされ、蓮はただ顔と目を背け逃避するしか出来ていない。
そんな事は、解消も解決もなんら一切出来ていない。ここにあるのは、ただ男に悦ばされた自身の卑しさだけだ。
こんな、こんな所を、誰かに見られたくない。見られたく、なかった。
「さーて、蓮ちゃんもその気になってきた事だし。そろそろ、前戯にしよっか」
「――えっ」
男の言葉に、今度こそ蓮は完全に硬直する。そろそろ、前戯?
――今までは、一体、なんだったんだ?
「ちょ、ちょっと……ちょっと待って。まだ、するの?」
「なーに言ってんの、ここまではただの自己紹介だって。なんせ時間かけないと蓮ちゃんの魅力は全然わかってもらえないからねえ」
信じられないとばかりに瞳を揺らす蓮に、男は平然と言い放つ。
自己紹介?これが?唇と胸と秘部に感じる熱が、さらに疼く。いつもの撮影ならばとっくに本番を匂わせてくる、そんな身体の状況が男の言葉の理解を拒む。
既に蓮の身体は出来上がりかけていた。漏れ出した愛液が、男を受け入れようと膣の中を潤している。そんな状況であっても、まだ、始まりでしか無かった。
「ま、でも流石に無料ってのは蓮ちゃんからすれば癪だよねー。そろそろ有料にするよ、まずは一分十円で。本番はもうちょい上げるけど、さ」
「んやぁっ、はうっ」
男の右手が、蓮の乳首を摘む。濡れた指先の熱と硬さは、蓮の胸の疼きをさらに大きくする。
さらに左手が腋を裏から通り、蓮の左胸に沈められる。掌の中心で乳首が押し込まれ、右胸とはまた異なる”男”の感触が、また違った甘声を蓮の口から引き上げてくる。
確かに盛り上がりつつある蓮の反応を、画面の向こうにしっかりと男はアピールしていく。有料に至る前、無料はここまで。これから先の蓮という
僅かに視聴者数が下へと変動する。しかし、これまで既に積み上げられていた、男達の欲望という名の
「……皆さん、納得いった様で何より。そんじゃ、ちょっと有料配信用の準備するから、あと三分ぐらい待ってね」
「あっ……」
男の両手が蓮から離れ、蓮の身体が解放される。男は蓮の体を横にどかし、
蓮は慌てて自分の両胸を腕で隠す。未だ配信もカメラも続いている、今更とわかっていても蓮は少しでも自身の身体を隠しておきたかった。
だが、それは男達の期待を煽る格好でしか無い。それを蓮は、知らず知らずの内に実践していた。
(……これから……何、されるのよ……)
違う部屋へと移動する男の背を見送り、蓮は視線を切る。
左掌を右胸にまで伸ばし、空いた右手を再び唇に重ねる。唇の熱に、男の残滓が残っている。
唇、胸、秘部。誰に触れられてもないそれが、また疼いた。
ここははじめてかい?力抜けよ
動画内のコメントに関しては皆さんの思考をあててください。
当小説でもっと見たいヒロインは誰ですか?
-
蓮ちゃん
-
ユーリヤさん
-
真魚ちゃん
-
蜜柑さん
-
夢ちゃん