※この作品はR-18です。

Ith-Videoは観測する   作:灰の熊猫

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*愛舞色

「おまたせー。それじゃ、今から有料に切り替えるよー」

 

 数分後、がさがさと音を立てる白いビニール袋を片手に、男はすぐにカメラの前、蓮の傍へと戻ってくる。蓮の背中側である布団に袋を下ろし、男はノートパソコンを手早く操作する。

 画面が切り替わる。先程とは異なる、僅かに四隅の枠に装飾が施された、そんな画面が蓮達の姿を捉えている。コメント欄には、先程と同じ数の人々が言葉も無く待機したままだ。

 一分ごとに金銭が削られていくこのサイトに於いて、男達の余裕と言う名の砂山が流れ始める。配信する男にとっては、ここからが本番だと改めて気を入れた。

 

「よし、オッケー。んじゃ蓮ちゃん、早速皆を楽しませよっか」

「……何する気よ」

 

 少しの時を置いていくらか落ち着いた蓮は、いつもの強気(たいど)を取り戻していた。

 落ちていた目尻は機嫌の悪さに吊り上がり、胸を両腕で隠すという姿勢はそのままに鋭い眼差しが男を射抜く。どれだけ醜態を晒していようと、蓮は心までは屈したつもりではない。

 先程とは明確に異なる反抗的な目に、一瞬男は怯んだ。

 

「なになに、さっきまであんなに気持ち良さそうにしてたのに。ちょっと待たせちゃった事、気にしてる?」

「どうでもいいわよ、そんな事。続き、するならさっさとしなさい」

「こりゃ、ちょっと機嫌損ねちゃったかー。うん、ごめんね」

 

 蓮の身体の疼きは、それまでが錯覚だった様に収まっている。立て直した心が、目の前の男に屈してはならないと叫んでいる。

 それだけで十分だった。まだ自分の意志はある、その心持ちだけで蓮はこの先に待ち受ける苦痛も耐えようという気になれた。

 それが一時凌ぎの虚勢であると、心の何処かで解っていても。それでも、構わなかった。

 

「ま、視聴者(おきゃく)を待たせる訳にもいかないしね。それじゃ蓮ちゃん、ちょっとベッドに登って真ん中(そこ)でカメラ向いて座り込んで」

「……?」

 

 そんな蓮を見て余計な前振りは逆効果と判断し、男は蓮に命令する。

 ただベッドに座るだけと何が違うのか、そう思いながらも蓮は素直に男の言う事を聞き、腰掛けているベッドに乗る。その中途、体勢的に四つん這いになりつつカメラに一時尻を向ける事になるが、今までにしてきた事を考えれば大した恥にはならない。

 ベッドの中央で腰を下ろし、体をカメラへ向き直す。改めて胸を隠そうと蓮は先程よりも腕に力を込め、それが豊かな双丘を上から押し潰して上体の陰を強くした。

 

「で、そこでM字開脚。それからパンツずらして、自分でアソコ開いてね」

「んなっ……!」

「皆期待してるよー?俺もだけど」

 

 蓮が再びカメラに見つめられる様な感覚の中でいると、男からさらなる要求が来る。

 これまで以上に羞恥を強いるポーズ。想像するだけでも顔に熱が昇るそれに、蓮は心臓を跳ねさせる。

 かといって、何を思おうと行為を承諾した蓮に拒否権など無い。せめてもの反抗として、蓮は男を一度強く睨み付け、それからカメラに顔を向けた。

 

「……く、ぅ……」

 

 蓮がゆっくりと両脚を横に開き、膝を立てる。それから胸を隠していた両腕を下げ、股座に掌を下ろす。

 左手でショーツを掴み、数センチ横にずらす。その裏に隠していた秘唇に右手の指をかけ、力を込める。

 先程からの行為によって愛液に纏っている蓮の蜜壺の入り口が、カメラの前に晒された。

 

「うんうん、いいねえ。ピンク色のナカがよーく見えてるよー」

「うぅ、っく……!」

 

 開かれた蓮の股座を、男が横から覗き込んで確認してくる。指を顎にかけながらわざとらしく声をかけてくるのが、殊更蓮の羞恥心を刺激する。

 冷えた外気と熱い視線が自ら開いた秘部に突き刺さり、蓮が身体を捩る。そんな自身の姿がパソコンの配信画面にも映っており、情けなさと恥ずかしさが重ねられる。

 何よりも情けないのは、そんな状況にも関わらず秘部から愛液を垂らしている自分自身だった。

 

「さて、そのポーズのままじっとしててね」

「……?」

「まずは……やっぱこれかな」

 

 蓮に姿勢を留める様に指示した男は、自分の持ってきたビニール袋に手を入れる。

 がさがさと袋の内側を手探り、男が中から何かを取り出した。

 

「――って、ちょ、それ」

「まぁ、鉄板だよね」

 

 親指程の大きさを持つ桃色の二つの楕円体に、コードと簡易なリモコンを取り付けた物。二又のコードを持つ小型マッサージ機――いわゆるローターが、男の手に握られていた。

 男がリモコンを弄れば、小さな駆動音と共に楕円体が震え出す。ローターが問題無く作動する事を男は確認し、蓮の背中側へと回った。

 

「ちょ、ちょっと……まさか、それ、使うの?」

「当たり前じゃん。言ったでしょ、前戯だって」

 

 蓮が顔を後ろに向け、細かに震え続けるローターを持つ男に問う。そんな蓮に対し、男は何を馬鹿な事をと言わんばかりに呆れた顔を向けた。

 男はローターのリモコンを蓮の右脚の傍に置き、震える楕円体を両手に取る。そのまま男はカメラに見せつける様に、ゆっくりと両手のローターを持ち上げて蓮の胸の前に掲げる。

 それだけで、次に起こる事は誰の目にも明らかだった。

 

「蓮ちゃん、胸弄られるの大好きだもんね。んじゃ、するよー」

「ちょ、待ちなさっ――」

 

 これまで通り、男の手によって弄られるものだと思っていた蓮は、予想外の道具の登場に困惑を隠せずにいた。

 蓮自身、これがどういう用途で使う物なのか、使われる物なのかは知っている。が、実際に使った経験は無い。

 未知の前戯に、思わず蓮は制止をかけようとする。が、そんな声は無意味だった。

 

「――ん、ふっ……」

 

 男の両手のローターが、蓮の両乳首に軽く押し当てられる。弱い振動が敏感な桜色の尖端を刺激し、そこから走る様な鋭い快感が蓮に襲いかかる。

 先程の自慰によって膨れ上がった乳首は、まるで神経が浮き出たかの様にローターから受ける感覚を増して伝えてくる。指では到底得られない、細かな波の性感が蓮を悶えさせた。

 

「ほーら、どう?気持ち良いでしょ」

「ん、く、ぅ……や、これ、なんか、ヘン――あっ」

 

 男は震えるローターを蓮の乳首の先を掠めるように動かし、与える感覚に緩急をつける。未体験の快楽に惑っている蓮にとって、受ける感覚の変化は実際以上の刺激となっていた。

 シリコン越しの硬い感触と細かい振動が、乳首の先を弾いていく。その度に悩ましい小声が喉の奥から湧き上がり、蓮は顎を持ち上げて甘く喘ぎ続ける。

 これまでに感じた事の無い機械による愛撫は、蓮の余裕を少しずつ削っていった。

 

「あっ、んんっ、く……あ、ぅ、んぅっ……」

 

 さらにローターは男の手によって乳首の上から押し込まれ、桃色の尖端は柔らかな胸の内へと沈められる。

 押し込まれた事によって乳輪全体が振動を受け、感覚の度合が一際上がる。乳首を外から震わせられた蓮の身体は、引いていた先程までの熱を取り戻しかけていた。

 誰に言われるまでも無く、疼きのままに自ら弄った胸の頂点。再び刺激を受けた乳首は凝り始め、振動を性感へと変換し始めている。

 男の手の内で、そして不特定多数の男達の眼の代わりを務めるカメラの前であっても、そんな反応を返してしまう自分の卑しい身体への嫌悪と、それを少しずつ侵食し始めた甘い感覚。それが、蓮の心裏で徐々に膨らんでいった。

 

「やっぱ胸弱いねー蓮ちゃん。まだ”弱”なのに」

「ん、ぁっ――え?」

 

 蓮が受ける快楽に身体を震わせていると、そんな言葉が後ろの男からかけられる。

 ”弱”。何が?緩やかに痺れ始めた頭が理解を一瞬遅らせ、しかしすぐに答えが出る。

 男は一旦両手のローターをベッドに置き、空いた両手でリモコンを手に取る。ぐい、と男の親指がリモコンの中央のつまみを押し上げると、ローターが音を立ててシーツの上で暴れ始めた。

 

「じゃ、次は”強”行くよー。声、ちゃんと出してね」

「や、やだっ、待っ」

 

 ベッドの上から鳴る振動音は、蓮の耳どころか部屋内に鈍く響いている

 明らかにさっきまで受けていた刺激とは一線を画すローターの動き。それまでのローターの扱いと、一目見てわかる程に強まった振動は、その先にあるだろう事態を蓮に察しさせた。

 二つの楕円体を摘み上げた男の指が、再び蓮の脇下を通り胸の前へと掲げられる。緩やかに胸へと近付いてくる指先とローターに対し、一瞬反応を遅らせていた蓮は何も出来ず――

 

「ひあぁっ!あっ、つ、強っ――んくっ!」

 

 男の指先のローターは吸い込まれる様に蓮の乳首に触れ、それと同時に上下へと細かく弾き始める。それは先程と全く同じ状況ではあったが、蓮へ与えられた責めはもはや別物と言っても過言では無い程に引き上げられていた。

 先程以上に速く、比較にならない程に強い振動。それは今まで受けていた弱々しくも甘いモノとは異なる、乳首の裏の胸奥にまで届く様な激しい波となって蓮を襲う。

 ローターを硬くなった乳首で受け続ける蓮の身体は肩まで震え上がり、喉からは上擦った高音が奏でられていく。指先ほどの小さなローターが放つ激しい振動は、蓮に堪える事を許さなかった。

 

「んっ、ふ、あ、ぁっ!やぁ、ん、んんんっ……!」

 

 切れ目無く乳首を弾き飛ばされ続ける感覚を少しでも抑えようと、蓮は腋を締めて自らの腹部に腕を押し当てて目を瞑る。だが、そんな程度では状況は何も変わらない。

 声を抑えようとしても、既に熱を帯びた胸の頂点は受ける刺激を身体に直接訴えかけてくる。鋭敏になった触覚は蓮の内の性を引き出し、それが喘ぎとなって唇から漏れ出てくる。

 乳首だけを弄られた事は多々あったが、今受けているモノはこれまで経験したものとは明らかに違う。人の手では有り得ない強い動き、熱の無いシリコンの感触。一点のみを震わせるそれは、ただただ無機質に蓮を追い詰めていった。

 

「あ、や、あ、ぁっ!止めっ、はなし、てっ!」

「はは、だーめ。そのまま気持ち良くなっちゃいなよ」

「ふぁっ、ち、ちがうっ!きもちよく、なんか、あぅうっ……!」

 

 胸を責められ続ける蓮は背を丸め、胸の先から押し寄せる波に流されまいとし続ける。

 そんな蓮のささやかな抵抗を背後の男は薄く笑い、震えるローターを掌の内に収めながら手全体を蓮の胸に広げる。それによって男は蓮の乳首にローターを当て続けながら、豊かな双丘を揉み始める。

 鷲掴みにされながら乳首も弄られ続けるという体験が、蓮の感覚を狂わせていく。男の掌が蓮の胸を潰し、指先が沈み、ローターが頂点を震わせる。

 掌で抑え込まれたローターは手の内という密閉された空間で、蓮の胸の上で暴れ回って鮮烈な刺激を齎し続けた。

 

「あー、やわらけー。やっぱ蓮ちゃんの胸はサイコーだねえ」

「んっ、くぅ、は、ぁっ……!だ、だめ、これ……!」

 

 男の大きな手から零れる程の蓮の胸を、欲に満ちた指先が形を歪めていく。硬い掌は柔肉を押し潰す様に沈められ、それに応じて乳首に当てられたローターも強く乳首へと密着させられる。

 雄性を誘惑する故に何度となく男達に弄られ、自ら求めて弄る程になってしまった蓮の胸は、いくらか鈍くこそあっても性感帯だった。ただ男の思うままに揉まれる、それは蓮の意識を変える一つのスイッチだ。

 それに加え、その中で最も鋭敏な乳首が強く刺激され続ける。そんな状況に晒され続けた蓮は、自分の中の何かが傾き始める、そう感じつつあった。

 そして、それを何よりも証明していたのが――

 

「そろそろ、かな。ほら蓮ちゃん、両手離しちゃダメだよ」

「あっ、ぁ、んっ……?」

 

 男の左手が蓮の左胸から離れる。掌が離れた事により、蓮の胸からローターの片方が腰と太腿の間まで滑り落ちた。

 依然右胸はローターと男の掌に抑え込まれていたままだが、片胸が解放された事で蓮を追い込む感覚はいくらか引いていく。だが、何故この状況で片手を離したのか、その真意がわからない。

 そう蓮が困惑していると、男の左手は下へと降ろされていった。

 

「んうっ!?」

「うわ、べっちゃべちゃになってるねえ」

 

 くちゃり。男の空いた左手が、蓮の両脚の付け根へと添えられる。他ならぬ蓮の両手によって開かれ、外気に晒された秘唇が、男の掌によって覆われる。

 たったそれだけで、触れられた部位から水音が立った。一撫で、二撫でと男が手を緩やかに上下する度に、その水音は小さくもその場に鳴っていく。

 男の触れている部分から水音が立つ、それが意味するのはただ一つしか無い。

 

「ほーら、見えるー?蓮ちゃんのヨダレが、糸引いてるトコ」

「……~~ッ!」

 

 男は左手を蓮の身体から離し、カメラに見せつける様に握っては開く。その度に水の糸が指と指の間にかかり、その様子がパソコンのモニターに映り込む。

 開かれた秘部から滾々(こんこん)と流れ出て止まらない、蓮の愛液。それは既に湿り気を帯びているという程度を超え、蓮の股座から脚の付け根を、そして今腰掛けているベッドのシーツをしとどに濡らし、その熱と粘り気が蓮自身の淫欲をこれ以上無い程に示していた。

 ハッキリと自身の興奮の程を晒さられた蓮は、顔を伏せて自分の痴態が映っている画面から目を逸らす。

 

「ナカも――うわ、アッツ」

「やぁっ、ん、う!う、動か、さないでぇ……っ」

 

 が、男はそれを許さないとばかりに濡れた左手を再び蓮の股座へ寄せ、その人差し指と中指を揃えて愛液の泉の内側へと挿し込んだ。

 唐突な侵入者を蓮の膣は阻む事無く、熱く蕩けた女陰は柔らかく男の指の第二関節までを迎え入れる。男が指を折り曲げて膣壁を擦れば、蓮の両肩が大きく跳ねた。

 いかに経験が無かった感覚とはいえ、これまでのもどかしいの間接的な愛撫に焦らされていた蓮の身体にとって、指で膣穴を穿られるという直接的な刺激はあまりにも生々しく、そして甘美に感じられた。

 

「あっ!は、ぅ、んぅっ!や、あ、ぁっ――」

「おっといけね、ついやりすぎちゃうトコだった」

「あ、ぁ……?」

 

 男の二本の指が別々に蠢き、襞で埋められた蓮の膣内を弄り回す。右胸を未だに弾き続けるローターの刺激も相俟って、蓮の意識は少しずつ熱に溶かされていく。が、その情欲に身が浸り切るよりも前に、男の指が蓮の内から引き抜かれていった。

 そのまま指で絶頂を迎えさせられるという屈辱的な未来から逃れた安堵と、迎え入れたモノが抜け落ちた寂しさが蓮の心身に同時に訪れる。そんな憂悶とした余韻が残る中、男は離した左手を再びビニール袋へ伸ばした。

 

「今回はテッテー的に玩具で遊ぶって決めてたからねえ。次はコイツで」

 

 中身を見通せぬ白い袋から、さらに別のモノが姿を現す。男の左手にしっかりと握られたそれは、ローターの様に指だけで摘める小さな器具では無かった。

 手よりも一回りは大きい持ち手から、半球状に膨らんだ先端までが桃色のシリコンで覆われた、マイク状の物体。そのグリップ部に男が親指をかければ、半球状の頭部が震え出す。

 ローター同様、しかしその大きさは比較にならない、ハンディタイプのバイブ。水気を想定して撥水加工がされたその器具は、ただ肩や腰に当てる為の物とは誰にも思わせない見た目をしていた。

 

「そんじゃ、今度は下を重点的にやるよー」

「ッ、やめ、やめなさ――」

 

 蓮の静止を一切聞き入れず、男はバイブを蓮の身体の前へ回し、その頭部を下腹部へ向ける。

 震え続けるバイブは蓮の秘部へと向けて――降ろされずに、手前の臍下に当てられた。

 

「ん、ぅっ……?くっ、ふ、ぅ……っ」

 

 男を望む様に蜜を零して開かれている秘部より上、蓮の臍下にバイブの頭部が緩い振動を伝え始める。直接秘部に当てられるものと思っていた蓮の考えとは裏腹に、男のバイブは弱々しいと言ってもいい強さで腹部を撫で続ける。

 身体の皮膚だけを伝う様な弱い波が、バイブが当てられた周辺のみに立っていく。先程の男の指はおろか、右胸に当てられたローターにも全く及ばない小さな刺激。

 間違いなくわざと振動を弱く設定し、秘部から遠ざけている。それは明白だったが、何故男がそんな事をするのか、蓮にはわからなかった。

 

「……んっ……ん……ぅ」

 

 押し当てたバイブを、男は蓮の臍下から離さないままその場で円状に回す。蓮の引き締まった腹部を指圧する様に、バイブの頭部がぐりぐりと動く。

 それ自体も決して強い刺激では無かった。あくまで臍下の一点のみを押し続けるそれは、息を荒げる程の感覚を蓮に齎さない。

 だが、そんな慰みにも満たないだろう振動を受け続け、蓮は下腹部に違和感を覚え始めた。

 

「――ふ……ぁ、あっ……やっ、う、んうっ……?」

 

 臍下が熱い。バイブが当てられている辺りの裏側、身体の内側がほんのりと疼き出す。

 それを自覚してから、蓮の声は悩ましく色付き始める。乳首を弄られる様なもどかしさとは違う、しかし秘部を掻き回される様な激しさとも違う。それでも蓮は、下腹部に当てられた微かな振動に甘い性感を感じ始めていた。

 機械による継続的な愛撫は、既に蓮の身体を快楽に染め上げ、その裏にまで波及していた。愛液の源である陰部の最奥は、さらなる悦楽を求めて蠢いている。

 臍下の体表という遠い、しかし最奥には近い部位を僅かに圧される事で、蓮の身体がそれを自覚し始めていた。それが甘い官能となり、少しずつ蓮の理性を蝕み始めている。その事を、自覚してしまう。

 もし、このまま。さらに強く、激しく責められてしまえば?その瞬間蓮の残った思考が、一つの仮定と予測を同時に導き出した。

 

「慣れてきたトコで、じゃあ本命行くよー」

「あっ、あ……!?やっ、いやっ……!」

 

 それと同じくして、男がバイブを臍下から離す。そのまま男の左手はその僅か下、蓮の股座近くへと降ろされる。

 バイブの先端が向けられた先は、今も絶えず愛液が滴り落ちていく秘部。それが意味する所は唯一つであり、次に起こるだろう事態の予想によって蓮の血の気が引く。

 そんな蓮に向け、無感情に震え続けるバイブの先端はゆっくりと近付いていった。

 

「んぁ、あッ!あっ、ん、くうぅっ!」

 

 開かれた秘部の中心にバイブの頭部が当てられ、陰唇を弾き始める。その強さは腹に当てられた時と同じであるにも関わらず、蓮が感じる刺激はそれを遥かに上回っていた。

 振動音と共にそこから小さな水飛沫が飛び、シーツと蓮の脚の付け根を汚していく。淫らに開く唇は小刻みに波打たれ、薄い赤色の膣壁へと伝わっていく。

 性へと直接訴えかける愛撫を受け、蓮の口から一際甲高い声が奏でられる。下半身から腹部へと昇る様な感覚に、蓮は両脚を震えさせて無意識に股を内に曲げる。

 だが、そうした所でバイブが止まる訳でも無く、それどころか密着度が増した事で振動はより強く感じられる様になってしまう。そこから逃れようとしても、蓮の身体は刺激に耐え忍ぼうと勝手に脚を閉じようとし、余計にバイブを股座に固定してしまう。

 

「あー、ほらほらダメダメ。ちゃんとお客サマにアソコ見せてあげないと」

「あッ、く、うぅんっ!むっ、ムリ、これ、むりぃっ……!」

 

 背後の男が咎めても、蓮の身体は自身の脚を閉じようとし続ける。蓮にとっては完全に意識の外による行動であり、制御する術は無かった。

 喘ぎは止められず、口は半開きとなって吐息を漏らし、膝は笑い続ける。誰がどう見ても肉欲に悦んでいるとわかる情痴の様子が、カメラを通じて誰の目にも晒されている。

 そんな中でも中途半端に残った理性が、今まさに自身の醜態が収められている事を理解してしまう。問答無用で感じ取らされる快楽と羞恥に耐え切れず、蓮は顔を赤らめて左右に振った。

 

「良くないなぁ蓮ちゃん、いいトコはちゃんと見せないと。そういう子には、罰が必要だよね」

「ぁ、くぅ、あ――えっ?」

 

 そんな蓮を見て男は薄らと仄暗い笑いを浮かべ、カメラにまで届く声量で蓮へ語りかける。

 続けて男はバイブを握る左手の親指を持ち上げ、グリップの少し上部へと動く。指先一つ分の距離を登った親指は、一切の力を込められずにただそこに添えられた。

 

「まぁ察してると思うけど、これも今”弱”なんだよね。で、このグリップの中にボタンが仕込まれてて、押す毎に強くなるんだけど」

「――ッ!」

 

 それを聞かされた蓮は、男の持つバイブの持ち手へと視線を下ろす。よく見ればそこにはプラスとマイナスの形状に刻まれた薄い溝があり、今まさに男の指は上部にあるプラス型の溝へ半分かけられている。

 蓮が顔を向けたのを見計らい、男はプラスの溝を親指で覆い隠した。

 

「そー、れ」

「あううッ!?や、は、ぁあんッ!」

 

 男が親指に力をかけた瞬間から、バイブの先端部が暴れ始める。男の指は力を込めたままグリップから離れず、その時間に応じて振動音は徐々に高まっていった。

 震える先端部はその色と同じ影を薄らと纏いながら、蓮の秘部を襲う。強まった高波がぱたたと水音を鳴らしながら愛液を撒き散らし、蓮の”女”の奥底にまで届いて顎を跳ね上げさせた。

 内側を直接触るまでも無く、膣口から膣奥までが造り物の力に撫で上げられていく。間接的でありながらも確かに性を苛む責め苦が、蓮の思考を跳ね飛ばして真っ白にした。

 

「あッ、あんっ、や、ぅ、ああッ!スゴッ、や、ダメ、あぁあッ!」

 

 跳ねる水音、道具の振動音。それを遥かに上回る、男を誘う雌の声が際限無く部屋に響く。

 天井に向けられた蓮の口からは、痴態を抑えるという理性を振り切った、性にどこまでも乱された喘ぎ声だけが断続的に湧き上がり、放たれていた。男の指示で秘部を割り開いていた両手は意志を失って横に流れ、何も無いベッドの上へと転がる。

 蓮が無意識の内に閉じようとしていた脚は僅かに開き、顎と共に反った背に合わせて腰は小さく前へ突き出ている。それは誤魔化しようも無く、道具によって齎される悦楽を自ら受け入れている事を表していた。

 

「うわー、スッゴいヨガり声。そんなにバイブ(これ)気に入っちゃった?」

「ちがッ、ち、が、あッ!あ、あぁ、ン、ふあぁッ!」

「えー、気持ち良く無いの?じゃ、もっと強く当てないとね」

「んううッ!?あ、ぁ、おしあて、ないでッ!や、これ、あッ、はぅッ!」

 

 男の問いを否定しようとしても、身体の喜悦がそれをすぐに押し流していく。右胸と秘部を同時に辱める機械は、形だけの否定すら許さない程に蓮を追い詰めていた。

 しかしそんな欠片の様な意志も躙る様に、男はバイブを秘唇に押し込む様に深く当てる。強さは同じく、より鮮明となった振動が呼び水となって、さらに蓮の感じる性感が引き上がる。

 そこから逃れたいと思った。熱も感情も無い刺激だけで、確かに昂っていく自身を嫌悪した。

 ――だが。それ以上に、身体はこの先を求めてしまっていた。

 

「あ、あ、あッ!だめ、だめ!き、きちゃうッ……!」

「あ、イク?イクならイクって、ちゃんと言わないとダメだよ」

「ん、くう、あぁッ!やだ、あ、イッ、イク、イクッ――」

 

 蓮の上体は既に後ろに座る男の胸に全て預けられ、腰から下だけが快楽を求めて浮き上がっている。逃れるどころか自らバイブへ秘部を押し付ける姿勢のまま、蓮は身体の奥底から熱い悦びが駆け上って来るのを感じていた。

 それを理解した時には、既に理性は転がり落ちていた。何度と無く男達の手によって繰り返させられた、快楽を余す事無く享受する為の宣言。撮影の際には必ず絶頂を知らせる様に言われ、その通りのままに蓮は声を上げる。

 気持ち良かった。性感帯を弄ばれる事が、男の思うままにされるのが、それを人の目に晒す背徳感が。例えどんなに理性や意志が拒もうとしても、本能は蓮を肉欲に従わせて狂わせた。

 

「あッ、イク、んぅ、イッ――あぁッ、ああぁぁッ!!」

 

 秘部から駆け上がってくる感覚のままに、蓮の心の堰が内側から破られる。それと同時に、蓮の股座からは勢いを持って愛液が噴き出し、当てられ続けるバイブによって辺りへと散らされる。

 絶頂の中にあっても蓮の腰は浅ましく浮いたまま、脚は大きく痙攣する。積もり積もった欲求を陰部から吐き出した事で、蓮の心身には充足感と虚脱感が齎されていった。

 視界に映る全てがぼやけて像を成さない浮ついた意識の中で、遅れて羞恥と屈辱がやってくる。男の肉棒はおろか、指ですら無いただの玩具によって深い絶頂を覚え、その様を見せつけた。

 そんな自分に嫌悪や後悔をする――よりも先に、蓮の身体はまた跳ねた。

 

「あ、あ、うッ!?や、イった、イったのにッ!止め、やめ、はあんッ!」

 

 蓮が絶頂を迎えても、ローターとバイブの位置は乳首と秘部に押し当てられたままだった。余韻の最中にあっても蓮の意識を一瞬飛ばした贋物の愛撫は、止まる事無く蓮へと与えられ続ける。

 淫欲を一旦満たした所で、昂った身体の熱が収まった訳では無い。むしろ一度快楽に屈した身体は抵抗を弱め、蓮の意志を無視して受ける振動を悦びへと換えていく。

 がくがくと揺れる脚に連れて、激しい快楽が恍惚となって上体が震える。一瞬取り戻した理性が、再び削られ始めた。

 

「だめ、だめ、だめえっ!あッ、ふ、ああッ!ま、またッ、あぁあッ!」

 

 先程の光景の焼き直しの様に、再び蓮の下半身に熱が灯り始める。一定の強さで動き続けるバイブは一切勢いを弱める事無く、蓮の性感を押し上げ続ける。

 耐えるという選択は、今では完全に失われていた。今の蓮にはこのままならば再び極まり果ててしまうという確信と、自身の意志から身体が乖離していく恐怖だけがあった。

 自分が、自分でなくなってしまう。道具による前戯だけでこれ程までに感じてしまっているという現状を自覚する事も出来ず、蓮は完全に充血しきった乳首を跳ね飛ばされ、秘部に押し込まれるバイブに膣を震わされる。

 そうして最奥より沸き起こる欲求の熱が、下半身全体へと染み渡っていった。

 

「蓮ちゃん、やめて欲しい?」

「くぅ、う、んッ!やめ、やめ、てえッ!」

「代わりに別の事スるけど、良い?」

「いぃ、いい、からぁっ!あッ、あ、はなし、てぇッ!」

 

 蓮が抑え切れない感覚に悶える最中、男が耳元で囁く。表面上は慮(おもんばか)ってくる男のその言葉に、蓮は何も考えず縋り付いた。

 いつもの平静な蓮であれば、今まさに責め続ける男からのそんな言葉に優しさなど一欠片も含まれていないのは直に気付けていただろう。しかしそんな浮かばぬ思考よりも、蓮にとっては今の責め苦から逃れる事が最優先だった。

 

「それじゃ、やめたげるよ。ちょっと待ってね」

「はーっ、はーっ……ふ、ぅっ……」

 

 だが男はその言葉の通りに、蓮の股座からバイブを、右胸からローターを離す。絶え間ない責めがここに来てようやく完全に止まり、正しい呼吸が徐々に取り戻される。

 身体の熱が徐々に冷めていく中で、蓮の頭に疑問が浮かぶ。男との会話の中にあった”別の事をする”、その意味。まず間違いなくろくでもないだろうその話が、嫌な予感だけを伝えてくる。

 蓮が何も考えずに返答した事をいくらか後悔していると、男はバイブとローターのスイッチを切って自身のすぐ側に落とす。そして再び、男はビニール袋の中へと手を伸ばした。

 

「じゃじゃーん。これ、なーんだ」

「……い、っ」

 

 男が顔の前に持ってきたそ(・)れ(・)のシルエットを見ただけで、蓮は青ざめた。

 バイブよりは細長く、丸みを帯びて膨らむ先端へと向けて反り返る棒。その根本付近には短い突起が備わり、そのさらに手前は縮みきったバネの様な外周を持っている。

 それまでの玩具と同様に柔らかな素材で覆われたそれは、今では見慣れてしまったモノを形状だけで彷彿とさせた。

 男性器に近い、マッサージ器。これまでのマッサージ器の様に他の用途がある訳でも無い、ただ女性器を虐める為に存在する様な道具――ディルドーが、蓮の前に掲げられていた。

 

「そんなにビビんなくても大丈夫だって、こんだけ濡れてれば痛くないだろうし」

「やっ……そ、そういう事じゃ、ないわよっ……!本気なの……!?」

「ここまで来てウソとかつく意味ある?」

「ん、ふっ……!や、あ……!」

 

 男は右手にディルドーを握り、左腕を蓮の脇へ差し込んで蓮の胴をがっしりと抱き寄せる。左腕と男の胸板に挟まれて、蓮の逃げ場は完全に塞がれる。

 そうした上で、男は濡れそぼつ蓮の秘部の表面をディルドーで撫で擦る。その先端から根本まで、表から裏まで、ディルドーの隅々に行き渡る様に愛液を塗りたくっていく。

 陰裂をなぞられ、時折その頂点にある陰核にディルドーが触れる。乳首と同様に赤く尖ったそれが小さく擦られれば、小さくも鋭い悦楽が臍の下を疼かせる。

 蓮の秘部がモノを難なく受け入れるのは、男の指で既に証明済みだ。絶頂の直後で蜜を溢れさせている雌の肉壷は、指を挿された時以上に熱く、柔らかく蕩けているのを蓮自身も実感していた。

 そして愛液を纏って光るディルドーの先が、秘唇に当てられる。蓮の喉を、生唾が降りていった。

 

「さー、いくよー。力抜いてねー」

「うっ――ん、ふぅぅっ……!や、はいって、くるぅ……!」

 

 男が右手をゆっくり内側へ引いていけば、みちみちと淫肉が敷き詰められた蓮の肉壷を、表面だけが柔らかい張子が犯し始める。性器を割り開く形の頭部はすんなりと蓮の秘唇を、締められた肉襞のカーテンを割り開いて押し入っていく。

 開かれた隙間は自然と閉じようとするも、その後ろに続く円柱はそれを許さない。ゆっくりと自身の腹の内側が串刺しになる感覚に、蓮は甘い喘ぎの混じった息を口端から零していく。

 そこに苦痛は無かった。それどころか、そこから感じられる殆どが女としての悦びに繋がってしまっていた。

 

「ほら、すんなり入っちゃった。イヤイヤ言ってても、ほんとは欲しかったんでしょ?コレ」

「んう、うぅうっ……!」

 

 蓮の身体は一切の抵抗をしないまま、ディルドーの九割が肉壷に埋(うず)められた。一回り太いグリップ部分が、愛液で滴る秘部からまるで生えたかの様に突き刺さっている。

 股座から伸びる生温い温度と細長い感触が、蓮に現実を思い知らせる。本来侵入者を阻む為の肉襞はただ玩具に絡んで形状を知らせるだけの感覚器となり、内に埋もれたそれを拒むどころか離さずに固定している。

 それこそが求めていたものであり、望んでいたものだったからだ。裸体を見せつけ、性器とは遠い胸を弄られ、秘部を入り口から揺らされ。その全てが、男に犯される為の前置きに過ぎなかった。

 膣が収縮を繰り返し、指よりも太く自身を犯す玩具の存在を知らせる。男根とは異なり熱を持たない、しかしそれでも近しい形状であるそれを、ずっと蓮の身体は待ち望んでいた。

 

「しっかしホントにグッチャグチャだねー。今度からカントクに言って玩具責め増やしてもらう?」

「あッ、う、んんっ!」

 

 男の右手がグリップ部分を掴み、前後に揺らされる。それに応じて空気と水音が混じり合う音が鳴り、秘部の内側を擦られる感覚が蓮の媚びた声を引き出し始める。

 蓮は一度は横へと放り捨てた両手を握り、口元に当てていた。しかしその手は唇に当たるか当たらないかの所で浮かされ、意志の宿らぬ艶声を塞ぐ事も、赤らめた顔を隠す役割も放棄している。

 ぐちゅぐちゅと沼を掻き混ぜる様な音が股座から届く毎に、頭の中に猥(みだ)りがわしい霧が取り巻いて包み込んで行くのを蓮は感じていた。

 

「でもさー蓮ちゃん。もう挿れられただけじゃ物足りないでしょ?」

「……え」

「ヒント、このグリップには何が描かれてるでしょーか」

 

 男の右手の指が開かれ、その内側にあったグリップを完全に露わにする。

 そこにあったのは、円の欠けた頂点に垂直の短い直線が描かれた電源ボタンと、小さな二つの三角形が底辺を並行にして上下に並ぶマーク、そして波を表す歪んだ線。

 電源。三角、上下、二つ。波。そしてこれまでの事。その全てが、問いへの答えを導き出した。

 

「はい時間切れー。じゃ、罰ゲームね」

「ちょ、まだっ――」

 

 問いが投げられてから一、二秒ほどしか経っていないにも関わらず、男は右手を握り直し親指を電源ボタンにかける。蓮に答えさせるどころか、まともに考えさせる猶予すら男は渡さなかった。

 直ぐに答えが行き着いた事が、逆に蓮の心中を焦らせた。次に来るだろう事態、それに対して身構える余裕も無く――ニヤついた男が、指によって命令を下した。

 

「あぁあぁッ!!あ、あッ!ナカッ、ナカ、あッ、ぅあぁんッ!」

 

 三度、玩具による振動責めが始まる。それも今までの様な身体の外側からでは無く、女そのものと言っても過言で無い位置を擦られるのは、ダイレクトに蓮の感性を掻き乱した。

 秘唇から伝わる振動だけでも絶頂を迎えたというのに、今度は直接膣肉を穿(つらぬ)かれて刻まれる。模された形状も相俟って、機械的な刺激を受けながらも男に犯されている様な気分が蓮に襲いかかる。

 膣内を無感情に、しかし確実に性感を与える動きで暴れ回る道具は、たった一瞬で蓮の情欲の熱を燃え上がらんばかりに膨れ上がらせた。

 

「これ以上焦らしてもしょうがないし、一気に行くよー。上にまいりまーす」

「あ、ぁあッ、あああッ!だッ、だめ、はげ、しッ!ふあッ、ひ、ああぅッ!!」

 

 びくびくと悶える蓮を尻目に、男はグリップにある三角形の上方をカチカチと続けて押していく。それに伴い、ディルドーは根本から先端までの全てが力を増した。

 先程受けていたバイブに匹敵する、体感的にはそれを遥かに上回る激動が蓮の心身をさらに揺るがす。平時であれば痛みを覚えるだろう刺激の津波は、その全てが色情を通して肉感の電(いなずま)と化していく。

 その上、根本近くの突起は陰核の裏の天井を押し上げ、正確に蓮の性感帯の一点を責めていく。膣の入り口から奥までをまとめて性の果てへと追いやろうとする玩具に対し、蓮は自分自身が何をどう感じているのかすらわからなくなり始めていた。

 

「あッ、イク、イクゥッ!だ、め、あッ、あッ――は、あ、あぁあんッ!!」

 

 そんな感覚に圧されるままに、蓮は再びの絶頂を迎えさせられる。蓮の両手は完全に口元から降ろされ、整っていた唇は大きく開かれて抑える意志も無い涎を垂らしている。

 その様な嬌態がカメラに撮られている事も忘れ、蓮は喘ぎ続ける。持ち手以外を完全に挿入されたディルドーはこれまでの道具同様に一切の容赦も無く、蓮の身体の裏から快楽を刻み付ける様に跳ね回り続け、至った蓮の身体を休ませない。

 最も弱い身体の最深部を犯され続ける感覚は、蓮から我を奪ったまま返さなかった。

 

「イク、イク、のッ!イってるのにッ、また、あ、あッ!ンッ、うぅぅッ!!」

 

 念入りな愛撫に慣らされていた蓮の身体は、膣を犯される烈々とした感覚を余すこと無く享受し、あられもない声と共に再度極みへと至ってしまう。

 全身に汗を浮かべ、顔を淫欲に赤らめ、挿し込まれた玩具の隙間からは愛液が飛び散る。ただ感じるがままに甲高い喘ぎを上げ、飛び飛びに身体を跳ねさせれば合わせて豊かな双丘が揺れる。

 男の望むがままの女(メス)の今の姿は、一時も遮られる事無くネットの海へと流され続けていた。

 

「震えるだけじゃなくて、こういうのもあるよ。はいポチっとな」

「あッ、あ!?や、ああッ!な、何ッ、なにこれッ!はッ、あぁんッ!」

 

 そして男は、グリップに残された最後のマーク――歪曲した波線に指をかける。その瞬間、ディルドーは震えながら蓮の膣を前後に擦り始めた。

 蓮が目を白黒させながら秘部に突き刺さるディルドーに目を向ければ、根本にあったバネの様な外径が機械の鈍い駆動音と共に伸縮していた。その動きに合わせ、蓮の膣を犯す張子はピストン運動を見せている。

 普通のマッサージ器には備えられる筈も無い伸縮機能は、淫猥なディルドーの形状と合わせ、”肉棒で犯されている”と錯覚させるに十分な刺激となって蓮を責め立てていった。

 

「あッ、や、ああッ!おくっ、おく、犯さ、れッ、は――んんぅうッ!!」

 

 理性で到底処理し切れない快感が加速し、再び愛液が秘部とディルドーの隙間からシャワーの様に解き放たれる。量と粘度を増した雌汁は、部屋中に違う空気を撒き散らしていった。

 女の本質、男を誘い受け入れる為のフェロモン。蒸気(スチーム)の如く熱気を持ったそれは、蓮を含める周囲を淫らに変容させる臭気として、大気に混じり合っていく。

 その匂いが届かぬカメラの先、電子の覗き窓によって蓮を視姦し続ける男達にすら、その淫事の熱は届いていた。男は右手で蓮を責め続けながらも、パソコンのモニターの画面を見やる。

 コメントは配信を始めた時に比べて大量と言っていい程に積まれている。現在の視聴者数は予想を遥かに上回る数を見せ、今もまさに数人の男達が蓮の淫蕩さに誘われて”入室”してきたのを確認した。

 

「ほらほら蓮ちゃん、イク時はイク、気持ち良い時はイイって言わないと。今コレ見てるヒト達にもちゃーんとわかるように、さぁ?」

「やッ、あ!はぁっ、あ!ン、ッ!い、イイッ、とまん、ないッ!ああッ、イイ、イイのぉッ!」

 

 機械に犯される快楽に囚われた蓮は、耳元から侵(はい)り込む男の命令(こえ)をも受け入れてしまう。

 汗を熱に溶かしている全身を震わせながら、蓮は腰を幾度も跳ね上げる。重ねた絶頂と続く快楽に耽る身体は、狂った様な不覚の中で股座をかくかくと上下に揺らす。

 蠱惑的とすら言える豊かさと細さを併せ持つ美女が、玩具一つで我を忘れて身体をくねらせ続ける。無編集(リアルタイム)の艶事の価値を知った男達が、一人また一人と増えていく。

 ネットという開け放たれた虚像の密室に、雌を求める雄達は今、数え切れない程に殺到していた。

 

「ムリッ、むりぃッ!よわいトコ、あ゛、そこ、イイッ!い、イクッ、イっちゃ、ぁ、あぁッ!」

 

 身体を焦がす熱情に染まり痺れた腰が、肉壷が、雌が堕ちていく。膣口付近は小さな突起に、膣奥は模された亀頭に犯され、深く高いナニカが蓮の全てを支配しようと近付いて来ている。

 蠢くディルドーの激しさが、蓮を急速に忘我へと押しやっていく。イイ、イク、言葉の上ですら抵抗を無くした蓮は、己の性欲に流されて階(きざはし)を昇り詰めていった。

 それを”許可”と見做した身体は――最後の一線を、突き破った。

 

「イク、イクゥッ――ふあッ、あ゛、あぁあぁあッ!!」

 

 理性の欠片も感じられない悲鳴を――誰が見ても喜色に染まった――上げながら、蓮は深く深く果てた。頭の全てを甘いジュースで満たした様な愛欲の満潮が、身体を乗っ取って。

 蓮の上下の唇は両方とも涎を垂らし・撒き散らし、力の抜けた笑みが汗の流れ落ちる赤面を飾っている。豊かな胸の蕾は共に膨らんで尖っており、弄られる事を望んでいるかの様だった。

 そんな蓮の仕(・)上(・)が(・)り(・)を満足そうに見て、男はようやくディルドーの電源を落とした。

 

「ははっ、まだイっちゃってる。見て見て、だらだらヨダレ溢れてきてるよココ」

「はぁーッ、はぁーッ……んっ、はぁっ、はぁっ、はっ……」

 

 小さく痙攣を見せながら、蓮は未だに絶頂の域から戻れずにいた。余韻に浸る、ただそれだけで未だ咥え込んだディルドーと秘唇の隙間からはどろどろとした愛液が流れ落ち、ベッドを濡らしていく。

 浅ましく汁を垂れ流す感覚すらも、蕩ける様な温い快感だった。誰に見られていても構わない、そう頭の片隅で考えてしまう程には心地良い時間を蓮は味わう。

 そう、見られている。見られ続けている、見られていた。ここに至るまでの全て、自身の乱倫。それを思い出し、心の底から羞恥が湧き出て――来なかった。

 

(――え……え……?)

 

 蓮は未だ朧気な意識の中で戸惑った。頭では当然今までの行為が恥ずべき辱めである事を理解しているし、すぐさまに立ち直って男に反抗の意を示すべきだと考えている。

 だが、何故か今までの事に対する羞恥心だけは伴わなかった。絶頂に疲れた身体は力を抜き取られているも、思考力は取り戻している。それにも関わらず、あるべき屈辱がそこには無い。

 ぞくぞくと、背筋が震え上がる。何か、とんでもないズレがある。蓮自身が自覚出来ないでいる、この違和感。

 何故、どうして。自分のことにも関わらず、その答えは出せなかった。

 

「いやぁ、こーんな蓮ちゃんに気に入ってもらえて嬉しいよ。この時の為にこのオモチャ達揃えてきたからねえ、うんうん」

「……っ、誰、が……」

「こんだけイきまくっておいて、今更否定するのはムリでしょ」

 

 完全に脱力しきった蓮の両肩を抱きながら、男は満悦と言った顔と声色で蓮を嘲笑う。詰(なじ)ると言ってもいい言葉だったが、今しがた自分の晒した姿を考えると強く否定出来なかった。

 そこに来て蓮は自身の晒している裸体を、正確には乳首を尖らせた両胸と愛液だらけの秘部を隠そうと、腕に力を入れようとする。が、疲弊した身体はそれすらも満足にこなせず、両腕は左右に流れたままぴくぴくと動くだけに留まった。

 

「うーん、でも気に入らなかったなら仕方ないなぁ。別(・)の(・)行こうか」

「――……は?」

 

 その言葉が、時を停めた。蓮だけが凍り付き、それをよそに男は玩具が入れられていたビニール袋を手繰り寄せる。

 がさ、がちゃ。袋の内で何かがビニールを擦り、小さくぶつかり合う音が袋から聞こえる。

 蓮は自身の耳を疑い、目で確かめるべく油の切れたゼンマイ人形の様に顔をゆっくりと袋へ向けた。

 

「最近の玩具ってスゴいよねー。これとかは熱を発するヤツで、こっちは乳首とかクリだけを吸引するヤツ。あ、媚薬効果のあるオイルとかもあってさ、ローション代わりに買ってきたんだよ。で、こっちは――」

 

 男の言葉の途中から、蓮は気が遠くなった。その袋の中は、乱雑にモノが混ざり合っている。

 白、黒、赤、桃、紫、透明。鮮やかに彩られた不透明の袋の内で、形状が全て異なるアダルトグッズが無数に転がり、血の気を失った蓮を見上げていた。

 




蓮ちゃんがどう思おうが 玩具を使うかどうかはオレが決めることにするよ

二ヶ月の空白の重みを持った前戯描写。

当小説でもっと見たいヒロインは誰ですか?

  • 蓮ちゃん
  • ユーリヤさん
  • 真魚ちゃん
  • 蜜柑さん
  • 夢ちゃん
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