※この作品はR-18です。

Ith-Videoは観測する   作:灰の熊猫

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*白日の渇望

「――んッ、く!はあッ、あああッ!あ、あ、あぁぁッ!」

 

 幾らかの時が過ぎゆくも、ベッドの上の景色は本質的に変わらなかった。

 中途半端に絡んでいた下着も全て取り払われた蓮は、生まれたままの姿で仰向けとなり、両手首に手錠を嵌められて腕を頭の上まで持ち上げられている。

 その身体を、性感を煽る為だけの道具が好きに嬲っている。つんと上向く両胸は華の薫りを強く放つオイルを滴る程に纏い、股座には突起によって陰核を吸引する機械仕掛けの蛞蝓(なめくじ)が取り付いていた。

 オイルは胸の奥から熱を、即ち感じる情欲を強引に引き上げ、普通の外気すら冷たく感じられる程に体温を引き上げ、その体感だけで蓮は悶える程だった。

 

「あッ、だめっ、イク――はッ、ううぅぅッ!!」

 

 吸い上げ続けてくる蛞蝓型のバイブの口で、数え切れない絶頂がまた一つ蓮に刻まれる。

 寝そべっていた腰が独りでに跳ね跳び、熱い飛沫が舞い飛ぶ。浮かされた腰の裏側、尻には黒(・)い(・)グ(・)リ(・)ッ(・)プ(・)が突き刺さっていた。

 本来閉ざされているべき菊穴は、僅かな隙間から水の様に透明なゼリーがベッドにぽたぽたと垂れ落ちている。本来排泄を行うだけの尻は、粘り付いて留まろうとする別種のローションを注入されており、それが外物の侵入の手助けをしていた。

 

「おかしくッ、おかしく、なる、から!抜いて、コレ、ぬいてえッ!」

「えー、じゃあ代わりにどれ挿れる?ビーズ?ローター?プラグ?」

「やだあッ、やぁ、あッ!あッ、あ、あ!また、ごりごり、して、あぁうッ!」

 

 今蓮の尻穴を穿っているのは、透明な球体が縦に並べられた様な形状を持つ電動バイブだった。ゴムの様に柔らかな数珠は、内側に備え付けられた機械によってねじれ、腸を刳り込んでいる。

 膣(なか)に比べれば遥かに不慣れな蓮の肛(ナカ)を、ローションによる滑りを得た機械は犯しながらも決して内側を傷付けずに動き続ける。

 そしてこのローションの存在もまた蓮の性感を煽り、今では後ろの穴でも絶頂に至る程に快楽は育っていた。

 

「んッ、ふ、ううぅ!や、だめ、ヘン、これヘンッ、なのぉ!」

 

 本来、毒を身体の内に飼う蓮にとって、麻薬を始めとする興奮・昂進作用を持つ催淫剤は、酒の一滴ほどの効果にもならない。故に蓮にとっては、身体を狂わせる媚薬など眉唾物でしか無い。

 だが、今蓮を蝕んでいるのは”毒”以外の物だった。身体に纏わりつくねっとりとした感触、体温を奪われる事で際立つ触覚、胸に纏うオイルの非日常的な香り、腸が吸い上げる自然由来の淡い成分。

 それは人に利するだけの物であり、どの様な作用があるかと言うよりは蓮自身がどう感じるか、体感だけ(プラシーボ)に近い効力だ。しかしそれ故に、今の蓮には何よりも”毒”足り得る。

 情火の種に風を送るだけの、外部からの油。その実態は、蓮の本能を露わにするだけのモノだった。

 

「ほら、どっちがイイ?前?後ろ?ねえねえどっちー?」

「う、あ、ぁッ!も、まえ、うしろ、わかんないッ、わかんな、ああぁッ!」

「うーん、後ろもイケるクチかぁ。これなら次からニ穴もいけるかなぁ」

 

 目に涙すら浮かべながら、蓮の腰は何度となく跳ね上がって黒髪が乱れ広がっていく。勃起した陰核を直接吸われる感覚は、気持ち良さや苦しさを超えた綯い交ぜの混乱を蓮へと押し付け続けている。

 だがそれに匹敵する程に、尻穴で機械が暴れる感覚は蓮にとって慣れない、異常にして異様なモノだった。ローションによって剥き出しにされた神経は、半ば強制的に蓮の肛を性感帯へと変貌させている。

 前後から来る異なる官能の中、蓮の頭は明確な答えを出せないまま、身体はただ愛欲の激流に攫われて昇り詰めていった。

 

「あッ、あーッ!あぁあッ!イイ、イイのッ!イッ、イくッ――イくぅぅッ!!」

 

 前か後ろか、どちらが上かと心中で比べようとした蓮は、その両方から来る体感に意識を傾けてしまう。それを切っ掛けに、再び蓮の身体は肉欲の果てへと堕とされた。

 痙攣しながら張り詰めた脚は膝だけを曲げて固まり、腰は秘部と臀部を掲げて目の前の男に媚びる。ずたずたに割かれた意識は自分がどんな体勢を取っているのか、それすら理解出来ずに股座から潮を撒き散らす。

 それでもなお、責め苦は終わらない。どれ程の数・どれ程の深さで至ったとしても、蓮の事情など何一つ認知しない玩具は己の持つ機能を稼働させ続けている。

 快楽の海に沈められた身体は空気(やすみ)を求めて呼吸を試し、しかし打ち付けられる海嘯が辿り着く事を許さない。危うい程に高く積み上げられた快楽は、蓮にとって今や地獄としか考えられなかった。

 

「うーん、コレはこんなモンかなー。はい蓮ちゃん、リラックスリラックス」

「あ゛ッ、あ、えほっ――はーっ、はーっ……はぁっ、はぁ……」

 

 気絶するのではないか、むしろ気を失いたい。そんな思いすら浮かんだ所で男は蓮の身体を横に、パソコンに身体の正面が映る様に転がし、陰核と肛門で蠢き続ける二つの道具の電源を切った。

 痛苦に近い感覚が、少しずつ降りていく。息が整う毎に身体の暴走は収まっていき、余韻によって感じるモノが通り過ぎていた快楽の域に戻されていく。

 それでも、一時的な休息など何の慰めにもならない。今止められたのはあくまで蓮の道具への反応に飽きたからであり、すぐに代わりがやってくる。切り替わり続ける手管は、蓮を何度でも追い詰め続ける。

 ――もう、無理だ。

 

「――、がい……」

「ん?」

「おねがい、だから……終わらせて……挿れて、いいから……」

 

 そう言って蓮は両脚を自ら真横に開き、愛液を留められずにいる秘唇を男に見せた。

 自分が壊れてしまうよりも先に、男を求める。これ以上無い程に無様な自分に嫌気が差すが、これまでの痴態を考えれば今更としか言いようが無い。

 このまま延々と機械に虐め続けられるよりは、例えどんなに乱暴でも男の慰み者にされる方が余程マシだ。今の自分の姿もまたネットに晒されているのはわかっていても、そんな事がどうでもいいほどに現状は苦しい。

 考えるより先に口をついて出た卑しい懇願は、どこまでも蓮の本心からの嘆声だった。

 

「うーん……確かに、もう十分かなぁ。ココ、もうトロットロだしねえ」

「んっ……あ、うぅっ……」

 

 蓮の声を受け、男は左手の人差し指で顎をなぞりながら、蓮の股座に右掌を当てる。常に愛液が漏れ出ていると言える程に甚だしく濡れた秘部の周辺を、男は上下に擦(さす)っていく。

 股の表面を行き来するだけでも指を内側で動かされた時の様な水音が立ち、自身の愛液が男の掌に粘ついて吸い付く感覚を蓮は感じてしまう。

 少し撫でられるだけでも、それまでの責め苦に昂った身体にとっては心地良かった。それを認めるのが悔しく、蓮は目を伏せる。しかし抵抗もせずただ目を閉じる姿は、男の手を黙って受け入れて気持ち良くなっている様にしか見えない。

 それは蓮が疲弊し切って身体に十分な力が入れられずにいる為だったが、そんな事実など誰にも伝わる訳が無く、意味を成さなかった。

 

「んじゃ、そろそろ本番といこっか。それならもう邪魔だし、コレ抜いてあげるよ」

「ン、くうぅんっ……!あっ、抜け、てっ――ふ、ぅぅっ……!」

 

 そう言った男は蓮の尻を左手で鷲掴み、右手を蓮の尻穴に挿さるバイブのグリップを掴む。尻肉を横に持ち上げて、そうして開いた尻穴からバイブをゆっくりと引っ張り始めた。

 排泄とは似て非なる、誰かの手で異物を引き抜かれる感覚に蓮は声を上げて悶える。自分から何かが抜け落ちていくのに合わせ、思わず蓮はいきんでしまう。

 一個一個、一繋ぎになった球が抜けていく。微妙に大きさの異なる球が、何度と無く蓮の尻穴を広げては擦る。それによる羞恥と快楽に、鼻にかかった声が抑えきれずに漏れていった。

 

「これも、と……ちょっと待っててね、これから設定(ねだん)変えてくるから」

「ひゃうっ――は、ぁ」

 

 最後に男は蓮の陰核に吸い付いている道具を外す。機械の蛞蝓が取り外された下には、長く吸われ続けた蓮の尖り切った真紅の陰核があった。

 男は蓮をその場に残し、ベッドから離れてパソコンへ向かう。バイブが抜かれた時のまま小さく開き続ける尻穴と神経が露わになったかの様な陰核は、冷えた空気の温度を受け取るだけで身体を震わせる。

 散々に愛撫で絶頂させられた蓮の身体は、どんな変化も甘美な物として味わってしまう。程良い安らぎとも言えるそれが、激しい責めの傷跡が本能にまで深く刻まれている事を、蓮へ如実に思い知らせた。

 

「いやー予想以上にお客さん一杯で嬉しいねえ。特別サービス価格にしとくから、ちゃんと最後まで見てってよー?こっからが本番なんだからさ」

「……っ」

 

 パソコンを操作する男の独り言が、蓮の認識を改めさせる。

 モニターに映る自分自身の姿は、翻弄されて歪む意識の中でも朧気に見ていた。だがその詳細、今現在の配信に何人が集まっているか、どれだけ視られたのか。それを考える程の余裕は、それまでの蓮には無かった。

 この情事を始める前の男の見立てでは、最高で二百人に届くかどうか。もしもその予想が当たっていた――いや、超えていたのだとしたら、今カメラの先にはそれだけの男達が下卑た視線を寄越している事になる。

 ぞくり。子宮が、疼いた。

 

「よし、オッケー。そんじゃ、シよっか」

「うっ……」

 

 パソコンの前から戻ってきた男は、今になってようやく自分の服を脱ぎ始める。

 服の下からは薄く筋肉が浮かび引き絞られた身体が現れ、股間には赤黒く醜怪な肉棒が天を衝いている。これまで自らの身体を見世物にしてきた中で、何度か重ねてきた男の肉体。

 不随意に脈打ち、膨張しきって血管すら浮かんでいる肉棒は、男の溜め込んだ獣欲を見せつけている。昨日よりも大きく見える、いや事実一回り大きくなっている様は、蓮をたじろがせた。

 

「この発情しきったおまんこ、コレでいーっぱい突いてあげるよ。気持ち良くなろうねー?」

「……バカみたいな事言ってないで、さっさとやればいいでしょ……」

 

 横向きだった蓮を仰向けに戻し、男は肉棒で蓮の秘裂の表面を軽く叩く。それによってどれだけ肉棒が硬くなっているか、自分の興奮の程をを肌で感じさせる。

 先程から散々に挿れられた機械より遥かに固い肉の杭が、今にも突き刺さらんと翳されている。その熱と固さを誰よりも知っている蓮の身体は、意識もせずに縮こまる。

 しかし、疲れの錘(おもり)を付けられた上に手錠を嵌められた身体に、それ以上出来る事は無い。男は力無く倒された蓮の脚の間で晒された秘部を両手の指で開き――肉傘を、ぴたりと当てた。

 

「せー、のっ!」

「あ゛ッ――んッ、ふううッ!!」

 

 ずん、と男が腰を突き出し、亀頭から肉茎の根本までが一呼吸で蓮の中に叩き込まれる。その衝撃だけで、蓮の思考を白い火花が全て散らした。

 呼吸すら止まり、蓮の全身が痙攣する。それに合わせて膣は一気に男の肉棒に巻き付く様に絡め取り、精を懇願する様に強く収縮した。

 

「おおぉっ、スッゲ……あー、めっちゃ締まるっ……」

「あッ、は、う……!太、いっ――あッ、あッ」

 

 目に光すら宿さぬまま、蓮は自分の感覚だけに浸り切る。

 何度も思い知らされた筈の男の肉棒は、これまでに経験したどんなモノよりも熱く、猛々しく感じられた。ただそこに埋められている、それだけで腹の裏を灼かれる様な思いだった。

 ただ挿れられただけで絶頂している、そんな事すら今更蓮は気付いた。

 

「あー、ナカあったけー……動くよー、蓮ちゃん」

「やッ、あ!いやっ、あ、いまッ、だめ――ん、あぁッ!」

 

 未だに受けた快楽を処理し切れずにいる蓮に構わず、男は蓮の細い腰をしっかりと掴んで身体を揺すり始める。

 決して激しいとは言えない、短いストロークの軽い動き。ただ奥の膣襞を小刻みに擦られている、それだけで蓮は体面も忘れて甲高い喘ぎを張り上げた。

 男が小さく動くだけでびりびりと下半身から痺れが走り、肉棒を求めて腰が揺れる。感じられる熱と太さは常に鮮明に感じられ、男の血の巡りすら解る様な一体感が蓮の身体を支配している。

 それに何よりも――充(・)足(・)感(・)が身体の奥底より湧き上がった。

 

「あっ、は、あぁッ!おくッ、おくだめっ、あぁんッ!」

「あーそういや奥潰されるのスキって言ってたね。ほ、らッ!」

「あッ、はああッ!?や、あ、だめ、だめ、なのぉッ!」

 

 こつこつと膣奥を突付かれる感覚が、蓮に制止の声を発せさせる。しかしその言葉はつい先日、男と身体を重ねた際に嘘だと露見していた。

 制止の裏側にある見え透いた懇願の通りに、男は自身の分身を蓮の最奥に深く押し付け、腰を前後させて何度も叩く。ピンポイントに膣奥だけを突く尖端の感触が、さらに蓮の心身を乱れさせた。

 何度か男の肉棒を受ける内に、感じていた快感が変質していく。機械による激しくも単調なモノから、男の強い意志と逞しさを教え込むモノへと。それはそのまま、雌としての悦びを呼び起こす。

 熱い、気持ち良い。固い、気持ち良い。太い。気持ち良い。

 気持ち良い、きもちいい、きもち、いい。頭が、自分とは違う何かに塗り潰されていった。

 

「ふぁ、あ、あッ!あッ、だめ、もうッ、イク、イ、くううッ!」

「いいよー、好きなだけイって。ほら、ほら!」

「ふあッ!あ、クる、きちゃ、ううッ!イッ――ふぁ、あぁあんッ!!」

 

 挿れられてからさしたる時も経ずに、蓮は再び極まってしまう。火照った身体を駆け巡る快楽は常に溢れ続け、一時として蓮に耐える事を許さない。

 がっちりと肉棒を掴んで離そうとしない蓮の膣の感触を、男は射精欲を抑えながらじっくりと味わう。長い時間をかけて準備した蓮の身体はまさに男の望む通り、いやそれ以上の仕上がりだった。

 もう、遠慮する必要は無い。男は口元を歪め、腰に力を入れた。

 

「あッ!?や、あ!だめ、止め、てえっ!やだッ、や、あッ、ん、ふうぅッ!」

 

 男は腰を激しく揺すり始め、締め付け続ける蓮の膣の中を蹂躙し始める。ただ奥だけを押し込むだけの動きから、膣全体を掻き回す動きへと。

 蓮の細腰を掴んでいた両手を双丘へと伸ばし、身体を前傾させながら柔乳を持ち上げる。ボリュームのある蓮の胸に掌全体を押し付け、その上で膣を肉棒で均(なら)していく。

 オイルを纏った胸は完全に性感帯と化しており、鋭敏になった二点を同時に責められた蓮の身体は再度熱を増していった。

 

「うわ、乳首こりっこり。そんなに触ってほしかったの?」

「あッ、あ、すご、イッ!いっしょに、されるの、だめぇ!またッ、またイクのぉッ!」

 

 勃ち切った乳首を弄られる、それだけで鋭い快楽が電流の様に胸から走った。

 燃え上がった性感は繰り返し膨れ上がり、喉から放たれる嬌声は甘くなり続ける。自ら男を受け入れて絶頂した事により、蓮の心中は雌の悦びに呑み込まれていた。

 男の股間と蓮の股座がぶつかり合い、肉音と水音が響き渡る。それに加えて男の獣欲を煽る蓮の扇情的な様子が、一層男に勢いを与えていく。

 そうして男から与えられる快楽に耽溺していた蓮は、自身の内側を抉る太い熱が脈動しながら膨らみ始めるのを感じ取った。

 

「あッ、や、あぁっ!だめっ、いまナカ、だされ、たらッ!またイく、イク、からッ!だめ、だめだめぇえッ!」

 

 頭を左右に振りながら、蓮は自身の限界を告げる。しかし言葉の上では拒絶しながらも、蓮の身体は精液を受ける事を望んで膣を縮ませる事を止めずにいた。

 快楽によって真っ白に塗り潰された意識は、ただ悦楽のみを期待していた。肉棒に擦られ、亀頭に掻かれ、奥を潰され。残る快楽は、精を中に流し込まれる事のみ。

 限界を悟った蓮はその瞬間に備え、全身を震わせながら心身を男に委ねた。

 

「いく、イクイクッ、イっちゃ、あ゛ッ――あああぁぁッ!!」

「う、くッ!」

 

 その瞬間、蓮の降り切った子宮を男の剛直が突き上げる。最後の堰を切られた身体は完全に悦楽のモノに堕ち、深く長い絶頂を迎え入れた。

 ベッドから浮き上がる程に蓮の背は弧を描き、腰は肉棒に押し付けられる。深い絶頂を浴びてそれまで以上に痙攣する膣は、男の精を乞うだけの器官と成り果てた。

 その望みに応える様に、男も限界を迎える。蓮の艶姿をひたすら間近で眺め続け、なお一度も吐き出されていなかった性欲の濁流が、一気に蓮の子宮を目指して殺到した。

 

「あッ、はぁ、あぁッ――ナカ、いっぱいッ……あッ、まだ、あ……っ」

 

 身体の奥底で弾けた肉棒は、大量の精を何度かに分けて膣に流し込んでいく。

 その度に跳ねて暴れ回る肉棒に内側を揺らされ、最奥に押し付けられた亀頭に吸い付きながら蓮は浮遊しているかの様な心地に陥る。

 膣の隙間を浸していく白濁の熱は、そんな蓮の心身をさらに焦がしていった。

 

「ふー……あー、気持ち良ぃー。蓮ちゃんもすげえヨガっちゃってまぁ」

「あっ、う、ううッ……ち、が――」

「えっ?」

「あんっ」

 

 蓮の身体の痙攣が止まり、浮いた背がベッドに沈む。時と共に身体の表面の熱はそのままに、心と思考が蓮の元へとようやく戻ってきた。

 なけなしの理性で男の言葉をせめて形だけでも否定しようとするも、深く繋がったままの腰を一押し、乳首を一摘みされるだけで蓮の口は男に媚びてしまう。

 口でなんと言おうと、蓮の身体は既に快楽に堕とされてしまっていた。保たれ続ける欲望の杭の固さと熱を腹の中で感じ続ける蓮は、もう男に逆らえないという現実から目を背ける様に顔を横に向ける。

 ――保(・)た(・)れ(・)、(・)続(・)け(・)る(・)?

 

「や、ちょっ……ま、まさかっ……!?」

「悪いけど、一回や二回で収まると思わないでよ、ねッ!」

「ああんッ!?」

 

 男の肉棒が衰えていない、その事実に気付いた蓮が慌てて男に視線を戻した時、一時の休憩を終えた男は再び腰を振り始めた。

 女の事など考えない、自身が気持ち良くなる為だけの動き。そんな強引で荒々しい腰使いも、強いだけの快楽に変換されて悶えてしまう。

 再度、白く染められた膣の入口から最奥までを男が荒らしていく。愛液と精液が入り混じってぐちゃぐちゃに蕩けた蓮の身体は、もはや男を喜ばせる肉壷でしかなかった。

 

「あ、あッ!やあ、ムリ、いまむりッ!だめ、んぁっ、あッ!」

 

 狭いままの膣をごりごりと磨(す)り潰されていく感覚に、また蓮は囚われる。

 取り戻した意識はすぐに頭の頂点へと飛ばされ、叩き付けられる男の剛直に身体が奪われる。一往復、二往復とピストンを重ねられる内に、蓮はまた快楽だけを享受する雌に変わっていった。

 

「こうやって、角度つけるのはっ、どうっ?」

「あ、ああッ!だめ、ちがうトコ、あたってッ!イ、イイッ、そこぉッ!」

 

 男は胸に置いていた両手で蓮の両脚の膝の裏を掴み、開きながら持ち上げる。それによって浮いた腰を、真上から押し潰す様に男は自らの股座を振り下ろした。

 角度を変えた事で肉棒の届く先、擦る位置が微妙に変わる。ただそれだけの変化が、何よりも新鮮で鮮烈に感じてしまう。気付けば蓮は、男の行いを淫らな言葉で肯定していた。

 男の力に加えて体重までも乗った突き込みに、蓮の両胸が大きく円を描いて揺れていく。油と汗を振り乱して揺れ動く雌の柔肉は、ひたすらに男の雄を興奮させていった。

 

「あッ、う、あッ!イイ、よすぎ、てッ!ヘンに、ヘンに、なっちゃ、はあんッ!」

 

 身体の内に打ち込まれて渦巻く快楽が、そのまま口を衝いて溢れ出てくる。口を噤むという選択肢は全く頭に浮かばず、心のままに言葉を紡ぐ事のみが望みとなっていた。

 男の欲望のまま、良いように組み伏せられる。激しい快楽の坩堝にいる蓮は、その事が何よりにも勝る幸福にすら感じられていた。

 瞳の焦点が合わないまま蕩けている表情、常に発せられる鼻がかって甘い嬌声、打ち付けられる度に弾ける股座の雌汁。視聴者(たにん)から見れば、当初保っていた理知的な表情は仮面だったとすら思わせる程に、蓮はよがり狂っていた。

 

「はぁッ、ん、く、んんんッ!あ、もうッ、またぁッ!ひ、あ、あ、あぁッ――」

「おっとストップ」

「――あ、あっ……?」

 

 堪える力の殆どを失った蓮は、再び迫り来る絶頂へ心を委ねようとした。が、その直前で男が腰の動きをぴたりと止め、その上腰を後ろへと引いていく。

 それを引き止めようと蓮の膣が肉棒を縛ろうとするも、男はそれに全く構わず腰をさらに引き、小さく水音を立てて膣口から肉棒を引き抜いた。

 なぜ、どうして。もはや嫌とすら言えなくなった程に悦楽に浸され、求める絶頂を既の所で奪われた蓮は、身体の内にぽっかりと穴を空けられた名残惜しさの中、男の行動に困惑した。

 

「ほら、同じ体位ばっかじゃ見る側も飽きるでしょ?今度は後ろからの、見せてあげようよ」

「…………」

 

 そんな艶(いろ)に染まった想いを見透かした様に、男は蓮を見下しながら肉棒を手を使わずに掲げる。精液とも愛液とも言えない汁を纏って光る、一度吐き出したとは思えない程に反り返っている肉棒が、蓮の瞳に映る。

 先程まで散々に味わい、今も尚求めてしまっているモノ。それを見ただけで蓮の身体の奥底の熱が燻り、際に近い部分で滞留している欲求がもたげてくる。

 どうせ、断る事は出来ない。金を受け取り、事を始め、一度受け入れてしまった以上。自分はもう、逃げられない。だ(・)か(・)ら(・)、(・)仕(・)方(・)な(・)い(・)の(・)だ(・)。

 そんな尤もらしい言い訳で自身の熱を誤魔化しながら、蓮は身体を横に転がし、うつ伏せの体勢から腕を立てながら膝を曲げて尻を突き出した。

 

「うーん、いい眺め。胸だけじゃなくてお尻もおっきいとか、ホントやらしいカラダだよねえ」

「……っ、は、早く、シなさいよっ……!」

 

 そうして蓮が差し出した臀部に、男の両掌が埋められる。そのまま男は、指を限界まで広げても尚余る蓮の丸い尻肉を、思うがままに揉み始めた。

 すぐに犯されるものだと思っていた蓮は、その手付きに対しても幾らか感じながらも、男を急かす。どうせ、結局はまた犯されるのだ。それなら早い方がまだマシだ、その方が良いに決まっている。

 ――その方が、いい。

 

「まぁまぁ待って待って。このままバックで、だけじゃさっきと代わり映えしないでしょ?」

「ん、ぅっ」

 

 蓮の懇願にも等しい言葉を男は柳に風と流し、尻を揉み続ける。そうした後に、一層強く尻を鷲掴みにした上で、右手の親指を中央の窄まりに当てた。

 男が窄まりの表面を親指の腹で撫でれば、未だに腸内に残り続けていたゲル状のローションが一滴絞り出され、ゆっくりと時間をかけて尻の間から脚へと垂れ落ちていく。

 それによってローションの存在を思い出した蓮は、固体とも液体とも言い辛いそれが身体の裏側に居残り続ける感触に、いくらか悶えた。

 

「うん、まだ乾いてないね。それなら、コレも入るでしょ」

「……っ……?」

 

 まさか今度は尻穴に肉棒を突き刺すつもりなのか。そんな疑問を浮かべた瞬間に、秘唇の入口に張り詰めた亀頭の熱を感じた。

 今度もまた、秘部に挿れられる?それなら、何故わざわざ尻の状態を確認した?答えの出ない考えに、困惑は連鎖していく。自然に蓮の頭は、”コレ(こたえ)”を持っているだろう男に顔を振り向ける。

 顔が全部向けられる直前に、振(・)動(・)音(・)が聞こえた。

 

「まぁコレならちっちゃいし、普通にイケるよね」

「――は?」

 

 そこには、一番最初に見た玩具――乳首を責めていたローターの片割れが右手で摘まれていた。

 念の為、と言わんばかりに男は何度か電源を点けては消し、正常に動作するかを確認している。その様子を、蓮は引き攣った顔で眺めていた。

 男が何を考えているのか、蓮はその答えに一瞬で行き着く。だが、そこで思考は停止した。

 

「じゃ、挿れるよー」

「ちょ、やだっ、やめなさ――やめて!そ、それ、それだけはっ……!」

 

 呆然としている蓮の尻を男は左手で横に割り開きながら、電源を落とされて沈黙したローターを尻穴に押し付ける。

 玩具によって温度も無く絶頂させられる、あの感覚から逃れるべく男を受け入れたというのに。ほぼ恐怖に近い感情のまま、蓮は叫んだ。

 が、男がそんな制止を聞く事は無かった。

 

「んッ、う、ぅぅうっ……!」

 

 開かれた尻穴の中心に楕円の異物がめり込まれ、それをローションが受け取り奥へと誘(いざな)う。

 蓮が力を込めて阻もうとしても、入口は男の手でこじ開けられており、中は十分な滑りを保ち続けている。少しの抵抗など物ともしないとばかりに、男は人差し指でローターを押し込んでいく。

 そうして小さな卵を植え付けられる様な心地をゆっくりと蓮へ教え込みながら、ローターは尻の内側に完全に埋め込まれた。

 

「じゃ、スイッチオーン」

「ああうッ!?や、う、あッ!あ、あばれ、てっ……!」

 

 その感覚を蓮が受け入れるよりも先に、容赦無く男はローターのスイッチを入れる。鈍い駆動音と共に、蓮の尻の穴でローターは蠢き始めた。

 尻の出口に近い、しかし確実に内側と言えるだけの深さを、大粒の異物が細かく掻き乱す。乳首や秘部に受けるのとは全く別種の、しかし確実に快楽と言えるだけの振動が蓮の意識をブレさせた。

 尻の中で暴れる異物を、身体は反射的に追い出す為に力を入れさせる。だがそれによって締まりを見せる腸は、ローターから来る振動を一層クリアに蓮へと伝えてしまう。

 そうなれば、振動による愛撫に蓮の身体は再度屈してしまう。受ける場所が異なるとはいえ、ここに至るまでに散々蓮を堕とした機械による快楽、それに逆らう力はもう残されていなかった。

 

「ほらほら腰が引けてる、よっと!」

「あッ、ああッ!あ、んッ、ぅう……っ!」

 

 思わず身体を丸めて腰を下ろそうとする蓮を、男は肉棒で蜜壺を一気に突き上げる。何度と無く打ち込まれた男の肉棒の味を思い出した身体は、蓮の背を一気に反り返させた。

 そのまま、抽挿が始まる。尻穴を絶えず形の無い波で刻まれながら、そこに近い膣の天井を雁首と肉茎でめくり上げては擦られていく。

 男に犯されながら、機械に犯される。身体は前後両方から与えられる感覚の差異に惑いながらも、快楽に貪欲と化してしまった肉欲はそれをすぐに受け入れ、順応していった。

 

「うっ、ん、んんッ!はあッ、ああ、あああッ!」

「いやぁ、ホント玩具好きだねえ。こんなきゅんきゅん締めちゃって、さ!」

「ふああッ!しら、ないッ!わかんな、ぁッ――あ゛、あーッ!!」

 

 激しく責められ続けられ、蓮は上体をベッドに伏せさせて喘ぐ事しか出来ない。しかし男に腰の根本を捕まれてしまい、腰だけは男に掲げられたままだった。

 尻だけを男に捧げる、雌犬にも劣る媚態。豊かな両胸は湿ったシーツを押し潰し、抽挿の度に揺れる事で固い乳首は擦れ上がる。

 呼吸をするべく顔を横に向ければ、その先に自分が居た。モニターに映り込んだ鏡像(じぶん)が、光の無い瞳でこちらを覗き込んで来る。

 見られて、いる。その自覚が、再び蓮を性の極致へと押し上げた。

 

「うわ、まーたイっちゃったの?蓮ちゃんは仕方ない、なっ!」

「あううッ!イ、イってる、イっちゃった、から!ひッ、あ、はあんッ!」

 

 急激に締まって肉棒を押し留めようとする膣の動きを無視し、男は腰を振り続ける。まるで肉の壁の様にも感じられる抵抗感を、力任せに突き破っていく。

 蜜壺を抉る肉棒、尻穴を擦るローター、その両方が蓮を快楽の果てから降ろす事を許さない。まるでイき続けている様な、実際そうではないかと疑う程に蓮は感じ続けている。

 その内に、蓮の身体は無意識に尻を小さく揺らし、肉棒に自ら奉仕する様になってしまっていた。

 

「さーて、こっちも流石に限界だし……二発目、イクよッ!」

「ふあ、あ、ああッ!あッ、ン、ああッ――あぁあぁあッ!!」

 

 そんな蓮の身体の求めにいつまでも堪え切れる訳も無く、男は射精欲がこみ上げるのに合わせて腰の動きを早め、膣の最奥を何度も尖端で殴りつけていった。

 それに呼応してうねる膣に、肉棒全体が絞られる。そうして男か蓮か、どちらが先とも分からない程に同じ瞬間、二人は絶頂を迎えた。

 男は肉棒を子宮に押し付けながら、膣を白濁で灼いていく。一度目とほぼ変わらないのではないか、そう思える程の粘つく精が蓮に襲いかかる。その感触だけで、また小さな絶頂が訪れた。

 

「あッ、はぁっ、んッ……と、とめ、てっ……」

 

 男の動きが止まったとしても、尻の中で暴れるローターは決して止まらない。

 深い絶頂に至った事で身体は一旦の落ち着きを取り戻すも、尻を弄られ続けるという感覚がある限り平静が取り戻される事は無い。

 かといって自らローターを引き抜こうと思っても身体には力が入らず、その上深く合わせられた男の股座が邪魔で外す事は不可能だった。

 

「んー、どうしよっかなー。外そっかなー、このままにしよっかなー」

「ん、くう、ううっ……!ま、まだ、おっきく、なるのっ……!?」

「言ったじゃん、一回や二回で、って」

 

 男は蓮の言葉に応じるかどうかを悩むフリをしながら、腰を小さく動かして蓮の女陰の中で己を擦る。それだけで一時は半勃ちにまでなった肉棒は、少しの時間で力と大きさを取り戻していく。

 蓮から見れば、衰えない肉棒は死刑宣告に等しい物だった。何度絶頂させられようと、男が満足しない限りこの辱めは終わる事は有り得ない。現状でも蓮の思考は擦り切れる一歩手前にあり、もうすぐ蓮は自分の全てを完全に手放してしまうという確信にも似た予感があった。

 そう考えている内に、男の肉棒は蓮の蜜壺の全てを埋め尽くす程の膨張を終えた。

 

「あ、そうだ。いい事思いついちゃった」

「……?」

 

 そう言った男は蓮と繋がったまま、近くにあるビニール袋に手を突っ込み、目もやらずに手探りで何かを探し始める。

 また、まだ何か玩具を取り出すつもりなのか。しかしビニール袋は最初の角張った大きさから萎み、ローターの様な小型な物ぐらいしか隠せないと確信する程に平たく潰れている。

 なら、何を探しているのか。蓮が注視する中、男は小さな銀色の物体を取り出した。

 

「――カギ?」

「いい加減手も疲れてきたでしょ?ごめんねー」

 

 男は蓮の背に覆い被さりながら、手首を縛る手錠の根本にそれ――手錠の鍵を差し込み、横に回す。小さな金属音が鳴ると同時に、手錠の内の留め具が外れて蓮を捕える輪が欠けた。

 背に腕を回されて腕を封じられていた訳では無いが、それでも確かに蓮の自由を幾らか奪っていた物が外される。どういう事かを問うより先に、男が手錠を手の甲で払ってベッドから弾き落とした。

 

「……どういう、つもりよ」

「そんな何か企んでるみたいに言わないでよ、蓮ちゃんの事を思って外してあげただけなんだから」

 

 そう言いながらも、蓮の見た男の顔には軽薄な笑みが張り付いており、そこに誠意という物はとても感じられない。

 本当に蓮を配慮しての事なら、素直にローターを引き抜けば済む話だ。にも関わらず、男はまず手錠を外してみせた。内容を読めずとも、そこに何らかの意図があるのは明白だ。

 

「こういうのはどう?蓮ちゃんが動いて、俺をイカせたら玩具を外す、って」

「……」

 

 そう言いながら、男はパソコンの正面の位置のベッドに深く腰かけ、背を僅かに後方に伸ばしながら自身の太腿の付け根を叩く。そこには、”真中(ここ)に座れ”という意志が透けて見えた。

 蓮の想像通り、案の定ろくな考えでは無かった。とはいえ、やる事自体はそう変わらないのも事実だ。自分から動く事に抵抗は当然あるが、どうせ男が満足しない限りこの時間は終わらない。

 それに、男のペースで責められないだけ負担は少なくて済む。今も尚後ろの穴を苛む振動の粒を考えれば、悩む時間も惜しい。

 

「……約束、してよね」

「うんうん、男に二言は無いよ」

 

 男は両腕を横に広げ、大袈裟に蓮を迎え入れる姿勢を見せる。とことん男の思う通りに動かなければならない状況には筆舌に尽くし難い思いを抱くも、それでも選択肢は一つしかない。

 力の入らない身体を意志で鞭打ち、伏せた状態から強引に起き上がる。尻から伝わる振動で腰は引けており、膝は疲労で笑い続けている。それでも、少し動くだけなら。

 蓮は格好も気にせず、ベッドで座る男に向かって赤子の如く四つ足で這っていった。

 

「あ、二つ注文。身体は正面(あっち)向けて、手と足は横に広げてベッドに付けてね」

「…………」

 

 もう、何か反論する気すら起きなかった。男の股を跨ぎ、言われた通りに身体の向きを前へ、男には背を向ける。

 蓮の視線の先には当然、情事を映し続けるモニターとカメラが在り続ける。そんな状態で手足を横に広げれば、どの様に映るかなどは想像するまでも無い。

 それでも、だ。半ば自棄に等しい心境で、蓮は一時の躊躇も見せずに腰を浮かし、男の肉棒を右手で掴んだ。

 

「――くぅ、んんっ……んふ、ぅっ……はあっ」

 

 右手で肉棒の尖端を秘部に導き、そのまま腰を下へと降ろす。男の強引な突き込みと異なる、蓮の意志による挿入は、じっくりと時間をかけて行われた。

 目と唇を閉じ、しかし鼻と唇の隙間から甘い吐息を漏らして、蓮は男の肉棒を上から下まで咥えて行く。挿入の瞬間だけがスローモーションになったかの様な扇情的な時の果てに、蓮と男の距離がゼロになった。

 そこにこれまで味わってきた強烈な衝撃は無かった。代わりにあったのは、自分により制御されて耐えきれる程度の、即ち自(・)分(・)が(・)願(・)っ(・)た(・)通(・)り(・)の大きさを持った快楽だった。

 

「はー、サイコー。ほらほら蓮ちゃん、ちゃっちゃと動いてよね」

「はぁっ、はぁっ……言われなくても、スる、わよっ……ん、んぅ」

 

 蓮の膣に根本まで包まれた肉棒が、一つ跳ねる。それは蓮の身体に単に反応しただけなのか、或いは蓮が動く事を急かしているのか、どちらとも取れない男からの身動ぎ(ジェスチャー)だった。

 言われるまでも無く、すると決めた以上蓮は止まるつもりは無かった。蠢く機械から来る刺激から逃れるべく、そしてせめて少しでも行為を早く終わらせるべく、蓮は両手足を横に広げて動き始めた。

 

「あっ、う、はあっ……んんっ、ふぁ、あ……っ」

 

 しかしその動きは、緩慢とすら言い辛い程に小さく鈍(のろ)いモノだった。後ろの穴から届く刺激に意識は向けられ、肉棒の感触だけで性感を覚えている身体は蓮からの指示を遠い物としている。

 数センチ単位の上下運動、肉棒の根本だけが外に晒されるだけ。そんな交わりと言うには程遠い、濁った水音が僅かに聞こえるだけの、静かで緩やかな時間が二人の間に流れていった。

 

「……いくらなんでもコレは無いんじゃないかなぁ。処女捨てたばっかの子じゃあるまいに」

「わ、悪かった、わねっ――あ、はあ、んくぅっ」

 

 今日一番の抑揚の無い――つまらない、呆れ果てたと言いたい様な――声色で、男が喋る。しかし蓮にとって、これ以上の動きは難しかった。

 絶頂を重ねた身体、後ろの穴を弄る機械、不安定で不慣れな体勢。少し考えただけでこれだけ蓮に悪い要素が重なっている上に、蓮の動きを阻む物はそれだけではない。

 自分が腰を動こうとすれば、その分膣に意識が向く。快楽に飼い馴らされた身体は、少しでも動きを大きくすれば疼きを増し、それが蓮のまともな思考を削り取る。

 思考が奪われれば、腰はすぐに落ちる。自分から動こうとして、自分から動く事をやめてしまう。こんな状況では、なんとか絶頂を堪えるだけで目一杯だった。

 

「仕方ないなー蓮ちゃんは。ちょっと素直にさせてあげるよ」

 

 男を悦ばすには到底足りない動きを続ける蓮をよそに、男は手を明後日の方向に伸ばす。

 その手に何かを握り込んで、引き寄せる。男が何をしているか、何を持ってきたのか。それを見る・察する余裕すら蓮には無かった。

 

「さっき言ったよね、これが何処を吸引するモノか、って」

「――ッ!?」

 

 男は両手にそ(・)れ(・)を握り込んだまま、蓮の胸の前に腕を回す。

 その手には、蛞(・)蝓(・)の(・)形(・)を(・)し(・)た(・)吸(・)引(・)器(・)が二つあった。

 

「まぁ別に手を出さないとも、玩具を追加しちゃいけないとも言ってないからね」

「なっ、あ、ああっ……!」

 

 陰核と子宮が感覚を想起させ、同時に熱を上げる。乳首や陰核、その尖った一点だけを責めるその機械の力は記憶に新しく、見ただけで蓮の脚は内股気味になる。

 胸の性感は、オイルによってかつてない程に鮮明だ。受け続ける快楽によって固く凝ったままの乳首は、まるでそれを受け入れたいとばかりに自己主張を続けている。

 また、アレをされる。恐怖だけが、心中(そこ)にあった。

 

「はい、じゃあいっちょイってみよっか」

「やッ――ふぁあんッ!?」

 

 吸着部の突起が乳首に重なり、ぴたりと吸い付く。そして男は、決定的な引き金を引いた。

 鋭敏な二点に取り付いた二匹の蛞蝓は、乳首だけを絞る様な強さで責め立て始める。温度と心の無い愛撫は、身体の奥で忘れ去ろうとしていたかつての快楽をすぐに目覚めさせた。

 指で摘まれるのとも、唇で挟まれるのとも違う、最小限の面積で最大限の刺激を与える愛撫。そんな快楽の電流が上体全てへ駆け巡り、それに伴い頭は真っ白に染まる。

 

「ほら、こっちもちゃんとシないと、ねッ!」

「あ゛、はッ――!」

 

 その上で、男は腰を一度だけ大きく跳ね上げる。降りて戻ろうとしない子宮が強く下から潰され、その感覚が秘部と腹部全てに一瞬で走り抜ける。

 上半身と下半身、両方から頭の天辺まで届けられて熱く白い衝撃。それによって、蓮はついに致命的な一線を越えてしまった。

 

「――んんッ、ふ、うッ!あ、あ、あッ!ああッ、あはぁッ!」

「うおっ、お……!」

 

 心の全てが快楽に灼かれ、身体には本能だけが残る。それにより蓮は我を忘れ、湧き上がる雌の衝動に身を任せて動き始めた。

 これまでが嘘の姿勢だったかと思わせる程に腰の動きは急激に速められ、飢えた獣の如く蓮は秘部で男の肉棒に食い付いていく。その度に叩き付けられる尻から、弾ける様な肉音が響いていった。

 既に蓮の顔からは理性の仮面が剥げ落ち、涎すら垂らしながら表情を蕩けさせている。蓮が男を襲っているのでは無いか、この瞬間だけを見ればそうとも取られかねない状況だった。

 

「ふあッ、あ、おく、おくッ!ここ、ここイイ、イイのおッ!」

「ははっ、やーっと素直になったねえ」

「突いてッ、ついてぇッ!んは、あッ、あああッ!!」

 

 自分をかなぐり捨てて、蓮は快楽を貪る。男を求めて腰を振り、疼く最奥に自ら剛直の切っ先を打ち付け、吸い付く膣口から子宮までの道程を脈打つ杭で削り取っていく。

 男の欲望(のぞみ)が、蓮の情動(ねがい)だった。身体を重ね、性器を使い、一時の淫欲を満たす。今の蓮はそれしか考えられない、いや考えたくなかった。

 本能(じぶん)の思うままに、男を味わう。それが、今は全てだった。

 それでいい。それが、イイ。

 

「あッ、うッ、ああんッ!はぁっ、や、スゴ、イく、いく、んんんッ!!」

「うはぁ、めっちゃイイ……蓮ちゃん、もうずっとイっちゃってない?」

「イってる、いってる、のッ!よすぎて、イイッ、イ、いく、また、またあッ!」

 

 激しくうねり続ける蓮の膣が、肉棒を締め上げ精を搾り取ろうとする。普通の男であれば即座に理性を手放し、精を内側に放つだろうと確信出来る程に、蓮は雌(カラダ)を遺憾なく使っていた。

 浅い絶頂は繰り返され、時には深くまで至る。手放した理性を取り戻す事を拒絶し、その代わりに雌の悦びを何度も得ていく。

 何もかもどうでも良かった。気持ち良かった。気持ち良く、なりたい。

 

「ははっ、やっぱ観られながらスるの、好きなんでしょ蓮ちゃん?こーんな腰振っちゃってさぁ」

「んっ、んんッ、あ、ぁッ!すきっ、みられるの、すきいッ!みら、れてッ、きもちいいのッ!」

 

 何を口にしているかもわからないまま飛び出る声、それこそが蓮の真実だった。

 複数の男に見られながらされるのが嫌だった。撮影され、ビデオという形に残されるのは耐え難い屈辱だった。

 い(・)つ(・)し(・)か(・)す(・)り(・)替(・)わ(・)っ(・)た(・)。見る目が多くなる程に身体は羞恥をスパイスに熱を灯し、カメラの先にある男達の下卑た視線を想像しながらイった事があった。

 見られているという状況への含羞と緊張感が、それだけで快楽になっていた。どんなに否定しても、一度それを強く覚えた身体は忘れられない。

 だから、どうにもならなかった。

 

「あッ、う、あうんッ!うごいて、えッ!イイッ、おく、おくぅッ!!」

「あーたまんねぇ……ほら、深く繋がってるトコ、皆にも見せてあげなよ」

「はあッ、あ!あ、これ、うえ、こすれ、て!ん、あッ!」

 

 男が蓮の肩を掴みながら、背を後ろへ傾ける。上体が反れた事で腰は浮き上がり、二人の結合部がより前方に突き出された。

 白い汁を撒き散らしながら、ぐちゅぐちゅと淫らに擦れ続ける性器が、強調される様に晒される。同時に肉棒が当たる角度が変わり、その変化も蓮の熱情の薪となる。

 見られている、擦れている。見せている、動いている。

 

「あッ、ふう、う!イイ、おしり、むね、ぜんぶ、全部イイの、おッ!イク、イクイクッ!」

 

 焦点の合わない瞳は常に世界を揺らし、一時として蓮の存在を留めさせない。

 乳首を吸い続けるバイブ、尻で震え続けるローター、秘部を突き続ける肉棒。

 後ろも、前も、胸も、頭も。何もかもが、気持ち良い。きもち、いい。

 ――イく。

 

「……ッ、射精(だ)す、よッ!!」

「イッ、ちゃ、あ゛――んんッ、はあぁあぁあッ!!」

 

 蓮の確信と同時に、男が肉棒を跳ね上げて射精を始める。完全に合わせられたタイミングによって、頭の上まで突き抜けていく強烈な絶頂に蓮の意識は攫われた。

 肉体の感覚すら薄れ、心身が忘我の白に包まれる中で、快楽だけが感じる全てだった。深すぎる絶頂から戻ってこれず、また戻ってこようとも思えない。

 満たされていた。女を、性を、本能(おもい)を。内を満たしていく精液と、脈動する肉棒の熱が、幸福その物だった。

 

「はぁーッ、はぁーッ、はぁーッ……あッ、いくっ、い、くっ……」

「くぅぅ……あぁー、すっげぇ……」

 

 気付いた時には男と蓮の身体は完全にベッドに倒れ、天井を見ていた。

 秘唇は未だに肉棒をがっちりと咥え続け、僅かな隙間から混濁しきった真っ白な汁がどろどろと漏れ出してくる。戻りきれない絶頂は蓮の身体を断続的に跳ねさせ、その余韻だけで浅く至る。

 胸と尻で続いている刺激が、終わらない快楽を後押しする。それが、有り難かった。

 

「それじゃあ約束通り、玩具は外してあげるよ。……こっちだけ、ね」

「ひゃんっ」

 

 蓮の身体が力を取り戻せずにいる中、男が肉棒を秘部より引き抜き、蓮の尻だけを持ち上げる。

 そして空いた二人の身体の隙間に手をやり、尻から伸びるコードを引っ張る。それによって、コードの先でずっと埋め込まれていたローターが引き抜かれた。

 が、乳首の吸引を続けるバイブにその手が伸びる事は無かった。

 

「約束したのはこっちだけだからね。残りも外したければ、あと二回、だよ」

「……あっ……は、んん……っ」

 

 底意地の悪い男の言葉を受けても尚、蓮は夢見心地の中にあった。

 あと二回。また二回。今と同じ事が、繰り返される。繰り返して、くれる。

 そう考えていると、半勃ちになった肉棒が秘裂の表面をなぞりあげていく感触がする。混じり合った汁を溢す熱い秘唇が、次を求めて吸い付いていく。

 くちゅ、くちゅ。その音(こえ)は、どちらによるモノなのかわからなかった。

 

「それじゃ、続ける前に。カメラの先の皆さんに、こう言ってね」

「……?」

 

 ぼそぼそと、蓮の耳元で男が囁く。悦楽のまどろみに囚われている蓮は、その言葉の意味をさして考えないまま素直に受け入れる。

 言われたから、言う。ただそれだけの単純な思考(こと)しか、今は出来ない。

 蓮はゆっくりと身体を起こし、眦(まなじり)を落とし切った力無い笑みで、口を開いた。

 

「――もっと、いっぱい……わたしがイっちゃうところ、みて、いってぇ……」

 

 くちゅり。蓮の心の音(こえ)が、遅れて聞こえた。

 

  ◆  ◆  ◆

 

『――あッ!ああッ、んんんッ!イイ、イイのッ!イッ、ちゃ――ああぁんッ!!』

 

 真っ暗なセーフハウスの中で、青白い光とそれを放つパソコンから、あられも無い雌の叫喚が部屋全体に木霊する。

 そこに映るのは、先日に行われた情事の映像。配信を終えて翌日、蓮のパソコンに男からのメールとして届けられたアーカイブの原本だった。

 ”良い出来だったから、確認して欲しい”。メールの中には、低俗な笑みが浮かんで見える程明け透けにそう書かれてあった。

 

『むね、よわい、のッ!ひぁ、あッ!乳首、ちくびで、イッ……んんぅうんッ!!』

 

 そ(・)れ(・)は両腕を捕まれながら膝立ちとなり、後ろにいる男に犯されている。その胸の先にはもう見たくもない、一点だけを吸い上げる機械が張り付いていた。

 その玩具による愛撫で絶頂を迎えている事を、隠す事無く――喜んで明かしているとすら見えた――そ(・)の(・)女(・)は嬌声を張り上げて表している。

 二つ結びの黒の長髪は汗で光り、男に突かれる度に何も無い空で振り乱されていく。その淫猥な光景を見て、こ(・)の(・)女(・)が行為を嫌がっていると受け取る者はいないだろう。

 目を背けたい。しかし、目はそこに奪われ続ける。

 

『イクッ、イくぅッ!ずっと、ずっとイってるのッ!きもちいいの、とまんな、ああッ!!』

 

 蓮は、そこに映るのが別人に見えた。無関係の、顔も知らない売女に見えた。

 だが、そこに映るのは紛れもない自分自身だった。意図して発する事も出来ない艶声を高らかに奏でながら、見慣れた肢体を揺らして犯されている。

 それを受け入れていた。男に犯されるのも、玩具によって責められるのも、その両方を甘受して快楽に耽っている。目でわかる程に痙攣して跳ねる身体は、女の悦びに満ちている。

 そんな自分では無い自分は、映像という証拠で蓮(じぶん)だと立証されていた。

 

「……っ」

 

 たまらず蓮は、動画の音量アイコンを押して黙らせる。色に狂っている自分の姿が画面に浮かんだまま、セーフハウスの中に静寂が戻った。

 即金を得る為とは言え、醜態にも程がある。何を(どこまで)されるかまでは想像していなかったにしても、利子の代用として仕方無く身体を差し出すのでは無く、自分から身を売ったのは事実だ。

 パソコンの画面の隅には、あの日に見た配信サイトを開いたブラウザがある。配信自体は終了していたが、そのアーカイブは有料で公開されている。

 メールには配信の分だけではなく、アーカイブによる売上もきっちり振り込むと書いてあった。売上は初回の配信とは思えない、想定以上の視聴数になっていると注釈が添えられている。

 そして、メールにはこうも書かれてあった。”また配信したい時は、ここに連絡して欲しい”。

 

(馬鹿馬鹿しい)

 

 男の申し出を受けたのは、ある程度まとまった金がすぐに欲しかっただけだ。

 本業の元手になるだけの金があれば事足りる。一つでも依頼があり、事件を見つける事が出来れば、こんな配信で得られる金などとは比較にならない大金が転がり込んでくる。

 命の危険が無く、虚偽が無いという意味では安定した稼ぎであると言えなくも無い。だが、それにしたってこんな事は何度も受け入れられない、受け入れられる筈が無い――

 

(……)

 

 動画は依然、声をデジタルに遮られながらも乱れ続ける自分の姿を流している。

 メールの文章はさらに続く。リピーターが付けば、配信の価値は上がっていく。回数を重ねれば重ねる程、配信を観る視聴者は増えていき、過去のアーカイブも次いで売れるだろう。

 蓮の容姿を褒め称える薄っぺらい賛辞を尾に付けながら、男はそんな理屈を示していた。ご丁寧な事に、人気配信者による実例すら挙げている。

 

(――回数を、重ねれば……)

 

 今回の配信による稼ぎは、一夜の収入としては十二分な物だった。

 蓮の稼業と比べれば泡銭としか言えなくとも、それでも元金として即金が得られるという事実は重い。元より今回の話を受けたのも、そういった事情が絡んでいたからだ。

 仕事があれば、必要の無い事。しかし仕事が見つからなければ?次の利子が迫ってきても尚、現状に大きな動きがなければ?

 自分に不利な仮定ばかりが浮かんでくる。まるで、蓮を静かに説き伏せる様に。

 

「…………」

 

 沈黙と静寂の内で、映像が続く。記憶にすら無い程に乱れた、自分の恥そのもの。

 しかし、そう思っているなら何故この画面から目を離せないのか。音を消さずとも、再生画面そのものを消してしまえば終わりだったのではないか。

 そう考えていても尚、蓮は動画を消す事を選べず、目の前の光景に囚われていた。

 

「――ん、ぅっ……はぁっ」

 

 考えが曖昧な中で、自然と胸と股間に両手が伸びていた。セーフハウスの静寂を破らないまでも、僅かに乱す荒れた呼吸が空気に混じり始める。

 何故こんな事をしているのかがわからない。恥だと思っているにも関わらず目の前の過去から、自分自身から目を離せず、こんな事をしてしまっている。

 せめて声だけは抑えながら、蓮は自分の服の上から自分自身を慰め続けた。

 

「んっ、んぅ、はぁ……」

 

 吐息は熱く、甘くなり続ける。身体の熱が制御出来ず、次々に湧いて来る。

 映像にあった事の殆どはもう覚えていない。何も考えられなくなる程の快楽がそこにあったからだ。

 ――気持ち良かった、からだ。

 

「――……」

 

 吐息がぴたりと止まり、再び静けさが訪れる。

 メールに記された電話番号が、目に留まった。

 

  ◇  ◇  ◇

 

 >新しい動画がアップロードされました。

 




蓮ちゃん玩具撮影編でした。
屋外撮影だの路地裏だの、見知らぬ誰かに見られそうなシチュでの行為が原作でも多かったのを見てのお話でした。
少々いつもより後半のボリュームが多くなってしまいましたが、丸二ヶ月の休養期間の謝罪の分も込めて気合入れた結果です。色々書く所が多かったのもあります。

色々と書けそうなネタはあるんですが、なんかイマイチえっちくならなそうだったり、煮詰まらないのが多いので、いつもながら次の予定は未定になります。すまねえ。
というか最近睡眠が浅くて疲れが取れず小説書き辛い状態です。なんでや。

当小説でもっと見たいヒロインは誰ですか?

  • 蓮ちゃん
  • ユーリヤさん
  • 真魚ちゃん
  • 蜜柑さん
  • 夢ちゃん
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