*異つも通りに/
「――はぁっ……! や、だめっ、だっ……あっ……!」
ある日の夜。繁華街の角のラブホテル、間接照明のみで像が浮かぶ薄暗い部屋の中、中年の男と若い女がベッドの上にいた。
二人は互いに湯上がりで火照った肌にバスローブを纏っている。しかし長い濡羽色の髮を二つ結びにした女は合わせ目を全て開かれ、隠すべき局部ごと肢体がさらけ出されていた。
無防備に肌を晒している女を、男は覆い被さる様な形で組み敷いている。そして女のふくよかに実った両胸を、じっくりと揉み上げて愉しんでいた。
「……っ、ちょ、ちょっと……! いつまで、好きに触ってるの、よっ……!」
「いやいや蓮ちゃん、こんな立派な乳を楽しまんのは失礼じゃろて。それに――」
「ひゃうんっ! ……~~っ」
「好きなんじゃろう? こんな風に弄られるのが、の」
蓮と呼ばれた女の両胸を下から持ち上げるよう鷲掴みにしながら、男は乳首を甘噛みした。それだけで、明確に快楽を表す声が蓮の口から零れてしまう。
己の声に黙らされる形となった蓮の胸を、男はさらに弄る。掌に収まりきらない乳房全体を撫で回す様にしつこく揉み続け、その度に抑えきれないとばかりに漏れる甘い吐息が男の耳孔を擽る。
ああ、やはりこの
「んっ、あ、ふ……! へ、変態っ、へんた――んっ!」
「そんな”ヘンタイ”の手で気持ち良くなってるのは誰かな? ん?」
「ちが、ちがうっ、気持ち良くなんてっ……ぁあんっ!」
されるがままの蓮が悪態をつくも、ろくな抵抗もせず喘ぐだけの身ではなんら凄味が無かった。ささやかな反抗をむしろかわいらしいと男は思いつつ、蓮の右乳首を指先で転がし、左乳首を唇で吸い上げる。
蓮と男の関係は至ってシンプルな、金銭だけを繋がりとする肉体関係だ。蓮は一晩自分の身体を売り渡し、男は多額の金を出して買い受ける。
自身が背負う多額の借金を返すどころか、目先の利子すら払えなくなる事もある蓮は、度々即金を求めて男に売春の申し出をしていた。金の使い道を探す程の富裕層である男にとって、蓮との一晩は稀に流通して自分の元へと届けられる、極上の肉の様なモノだった。
金の為に食べられ、食べる為に金を出す。明確な上下関係があるからこそ、蓮は嫌悪感を露わとしながらも一切男に逆らわず弄ばれ続けている。
「やだ、やめ、やっ――んむぅっ!?」
金で自分を売った身ではあるが、嫌悪感は捨て切れない。そんな思いから蓮は言葉だけでも抵抗していたが、男は自らの唇を勢い良く蓮の口へ被せる事でそれすら封じた。
突然の口付けに蓮が困惑している内に、男は重ねた口の隙間に舌を捩じ込む。そうして男は、蓮の唇の自由を文字通り奪った。
「……っ、ん、ちゅ、んんっ……は、ちゅ、む、むぅっ……」
蓮の口内で、男の舌が蠢き始める。舌同士が重なり、自然と湧き出た唾液が絡んでぴちゃぴちゃと水音が立つ。
男の舌が蓮の舌の表をなぞり、裏へと回り、弾いたと思えば舐め転がす。ぞくぞくとした感覚に蓮が顎を引こうとするも、ベッドに組み敷かれている蓮には距離を空ける事も許されていない。
「っは、んんっ……!? ちゅぷ、む、はぁっ、んぅんっ……」
男は蓮の顔を唇で抑え込んで口内の唾液を啜り、さらに先程と同様に両手で胸を責め始めた。唾液の絡む淫靡な水音の合間に、蓮の熱が篭った声と吐息が混じっていく。
胸を揉まれて、乳首を捏ねられ、唇を奪われ、舌を絡め取られる。蓮にとって何よりも屈辱的なのは、その全てに誤魔化せない程の心地良さを蓮自身が覚えている事だった。
それもその筈だ。何せ今交わしている行為は、これまで数え切れない程にやってきた事なのだから。
「――っはぁ。ふふ、相変わらず蓮ちゃんはカワイイのう。唇も胸もこんなに弱いのに、まだ形だけの抵抗をしとるんだから」
「そ、そっちが、変な事するから、でしょうがっ……!」
「ヘン? おっかしいなぁ、前もこうされて喜んでたのは蓮ちゃんだったろうに」
「……っ……!」
男が呼吸の為に顔を離し、絡まった唾液の糸が蓮の口元へ落ちる。男からの罵りにも等しい指摘に、蓮は無言で顔を逸らして悔しがる事しか出来なかった。
これまで何度も売春を重ねてきた事で、男は蓮の身体をあるいは本人以上に知り尽くしていた。蓮の感情を無視し、蓮の身体が悦ぶ事・嫌がる事。あらゆる愛撫と行為が試され、その中で蓮は隠すべき痴態を何度と無く晒してしまっていた。
今では男のやる事なす事全てが、狙い澄ました様に蓮の快感に繋がってしまう有様だった。どんなに虚勢を張った所で、最後には蓮の身体が堪え切れずに屈してしまう。
「いい加減認めたらどうじゃ? 蓮ちゃんの身体は、もうわしの物だと」
「調子に乗らないでよ……! 金出してるだけのくせに、いい気にならないで……!」
「全く、金を欲しがってるのはそっちだろうに。ま、減らず口が叩けるぐらい気安い間柄になったって事にしとくか、の」
「あんっ!? や、だめ、そこ、さわるのっ……!」
あまりの侮辱に蓮が強く睨み返せば、今更な態度に呆れたとばかりに溜息混じりで男が蓮の股座に掌を差し込む。くちゅりと、粘り気のある水気が掌を熱く濡らした。
胸と唇に受けた愛撫と辱めだけで、意思に反して蓮の身体は既に堕ちかけていた。秘部は柔らかな陰肉を開いて、シーツを濡らす程に愛液を垂らしている。
虚仮威しの強がりがそのまま甘い上擦り声に変わったのをほくそ笑みながら、男は二本の指を蓮の秘部に突き立てる。興奮の熱でほぐれた雌肉は、それをあっさりと受け入れた。
「ふ、あ、ぁっ……! や、声っ、出ちゃ……んふぅっ……!」
「陳腐な言い方じゃが、下の口は正直なもんじゃのう。ま、上もすぐに素直になるんじゃろうが」
「あぁっ! だめ、そこっ、そこだめ、だめぇっ……!」
蓮は男の手の動きを止めようと、自分の股を締める。が、既に差し込まれた掌と指は抑えようが無かった。
男は蓮の膣肉を押し上げる様に、ゆっくりとざらついた肉襞を擦り始める。強くも激しくも無い指先は、蓮が特に感じる一点をあっさりと見極めて入念にそこだけを
くちゅくちゅ、ぐちゅぐちゅ、ぐちゃぐちゃ。人差し指が膣内の前後を細かく擦り、中指が天井を突き上げる。教え込む様に、思い出す様に、男は入念に蓮の内側を弄り回していた。
耐える事は無駄だと。堪える事は出来ないと。既に蓮の身体は、知り尽くしていると。
「んは、ぁあ、ああんっ……! ま、まってっ――あんっ! やっ、めっ、あぁあっ……!」
的確に追い詰めてくる愛撫に、快楽に伴い蓮の声に籠る熱が高まっていく。
獣性を煽る甘い声と吐息で、自らを組み敷いている憎い男の耳孔を擽る。ほぐれていく陰肉と溢れ出す愛液が、弄る指先の動きを助ける。そして、男の手を抑え込もうとしていた筈の太腿から力が抜けていく。
少しずつ、身体が理性から乖離していく。気付けば蓮の口は閉じる事を忘れ、股座は愛撫を受け入れる様に開き、腰は男を求めて差し出す様に浮き始めていた。
「全く、たまらん声で誘いよって。ほれ、わしがどれだけガマンしとるか、わかるじゃろう?」
「んんっ……! あ、かた……!」
昂る蓮の秘部から男は手を引き、代わりに自分の肉棒を秘裂に押し付ける。筋に這わせる様に茎を押し付けられ、蓮は自分の身体で男の興奮の程を知らされた。
太く固く、熱い。男の分身が、本能の象徴が
その笑みを見て、蓮自身も遅れて自分がどういう反応をしたのか自覚した。これでは、自分から男を望んでいるようではないか。
「くく、わしのがそんなに欲しいのか? ん?」
「ほ、欲しくなんかっ――ひあっ! やめてっ、ソコ擦らないでっ……ぁんっ!」
男が腰を軽く前後させ、肉棒に愛液を纏わせて秘部の表面を滑らせる。その過程で、男は亀頭の雁首を蓮の陰核に掠めさせた。
自己主張する様に膨らみ尖っている、鋭敏に快楽を得る為だけの突起が刺激される。男の腰の動き一つで、蓮は面白いように喘ぎ声を上げ始めた。
挿入すらしないまま、男の肉棒は蓮を蝕んでいく。甘さを伴う火花の様な快感が、秘部と陰核から迸る。自分の内側から、本能から届く快楽が蓮の脳を焼いていく。
駄目だ、ダメだ、だめだ。男への敵意や反抗心が、胎の奥からやってくる疼きによって敢えなく削られていく。自分の無力さと引き換えに与えられる悦楽が、蓮の意識を少しずつ染め上げていた。
「あっ、や、あぁっ……! だ、だめ、だっ――」
「さて、と。前準備はこんなモンでいいじゃろう」
「――へ……?」
留めようが無い快楽が溢れてしまう、蓮がそう覚悟した瞬間に男は腰を引いて、秘部を擦っていた肉棒を離した。
そのまま男は身体を起こし、蓮の足先の辺りで座り込む。怪訝に思った蓮が視線をそちらへやれば、ねっとりとした愛液で全体を濡らし、てらてらと光沢を放つ肉棒が天を衝く様に勃起しているのが目に入った。
自分はあんなにも愛液を垂らしていたのか。蓮は自らの無様を目の当たりにして恥じるも、それ以上に疑問に思う。
なぜ、男はこのまま自分を責め続けなかったのか。いつも通りにそうすれば、自分は――
「まぁ今回は蓮ちゃんにも選ばせてやろうかなと思っての。ほれ」
「……!?」
そう言いながら男は、バスローブのポケットから取り出した小さな何かを、蓮の臍の上へ投げ捨てる。
円形の突起を伴う、指先で軽く摘める程に薄く小さな四角いビニール袋。その表面には、『0.03mm』とだけ書かれてある。
「……どういうつもりよ」
「どうもこうも無いわい。着けて欲しいなら自分の手でわしのチンポに着けさせて、ナマで欲しいならそれを捨てればいい。言葉通り、蓮ちゃんが好きにしていいぞ?」
笑い声を押し殺しているのがわかる程のにやけ面で、男はコンドームを手に取った蓮を見下す。
嘲笑っている。たとえどちらを選ぼうが、蓮が男との性交を求めているという
本来は望まぬ性交に対する緩衝材の役割を果たす道具は、今だけは蓮への辱めの一つとなっていた。
「おや、蓮ちゃんが何もせんなら、このまま
「っ、いいワケ無いでしょ!」
男の言葉に対し、蓮は慌てて手に取ったコンドームの包装部を破る。反射的な反抗だったが、それはただ男の挑発にあっさりと乗ったのと同然だった。
それでも、ほんの少しでも自由が許されるならそれを使わない理由にはならない。たとえ安全日であったとしても、膣内に直接射精を許す以上のリスクも屈辱も無い。蓮は男と同じく身体を起こし、取り出した円形のゴムを男の股座へと近付けた。
「おっと、どうせならクチで着けて欲しいのう。ま、ムリにとは言わんが?」
「……」
そんな事を言って、どうせやらなければ文句を言うんでしょう。そう思った蓮は黙ってゴムの口を開き、肉棒の先端にのみ着ける。
その後蓮は手を離し、代わりに男の股座に顔を埋める。そして口を強く窄め、ゴムが巻かれた部分を肉棒ごと咥えて根本へと伸ばしていった。
「ん、ふ……ぅ、んん……」
少しずつ、少しずつ。はち切れそうな程に勃起した肉棒を唇で扱く様に、丁寧に蓮は口でゴムで包み込んでいく。ぴくぴくと震える肉棒の動きを封じる為に、根本に手を添えて。
傍から見れば、肉棒にむしゃぶりついている様にしか見えない姿。そうわかっているからこそ蓮は丁寧に、逆に言えば淡々とゴムの着用を済ませていった。
「……はぁ。これで、いいんでしょ」
「うむうむ、蓮ちゃんも随分とまぁ慣れたモンだのう。最初の内はあんなにたどたどしかったのに、今では一発で出来るようになったんだからなぁ」
「…………」
肉棒の根本までゴムを伸ばし終え、蓮は口を離す。肉棒全体を包む薄赤色の透明なゴムが、蓮の唾液でいやらしく光を返していた。
このゴムの着け方も、男から教えられた事だった。『着けて欲しければ自分で着けろ』、初めにそう言われてやらされ、中途半端に失敗した結果ゴムの隙間から精が漏れ、結果的に膣内射精を許してしまった。
虚しい努力と醜態を笑う、ただそれだけの為に男は度々蓮に口を使ったゴムの着用を強いて。そして蓮は元来の負けん気の強さから、男を見返そうと必死になってやり方を覚えた。
散々に無様を晒し、その上で男を喜ばせる奉仕を覚える。それが望む所だと気付いた時には、既に遅かった。
「……もういいでしょ。早く、シなさいよ」
「おお、拗ねてしまったか。悪いのう、早く挿れて欲しいのに焦らしてしまって」
「……好きに言ってなさい」
何度思い出しても腹立たしい過去に苛立ち、蓮はすっとベッドに仰向けになる。ことここまで来て、抵抗など無意味だ。それなら、なるべく反応を返さない方がいい。
男は自分の無駄な反抗を愉しんでいる、それはわかっている。それでも心の底までは屈してはいけない、その意思だけは示しておかなければならない。だから蓮は、虚勢とわかっていても最初は抵抗を見せる。
その果てに、自分の身体を差し出してしまう。大きく実った柔乳を、なだらかに曲線を描く細い腰を、濡れそぼち熱気を立ち昇らせる秘部を。極上の艶姿が、堪らなく男の獣欲を煽った。
「それじゃ、遠慮せず。うーむ、蓮ちゃんの股はやっぱ柔らかいのー。挿れやすくて助かるわい」
「……いちいち一言余計なのよ」
力を抜いた蓮の脚を真横に開き、男は蓮の秘部に肉棒の切っ先を向ける。ゴムの小さな突起を伴う亀頭が、蓮の陰部の入口に緩く割り込む。
くちゃ。ゴムに愛液が付着する音が、やけに響いて聞こえた。
「んっ……! んは、あぁっ……! はい、って、ぇ……!」
「ほおっ……相変わらず、良い具合じゃのう……」
そのまま男が腰を前へ突き出すと、今の蓮の姿勢をそのまま表した様にすんなりと柔肉の内側へ肉棒が埋め込まれていく。膣の最奥へ引き込む様な肉壺に逆らわず、男は自分の分身の全てで蓮を貫いた。
しかし、男の動きはそこで止まる。亀頭の尖端は既に蓮の子宮口に届いており、前は進めない。そして後ろへ引こうとすれば、逆立つ肉襞と膣の収縮が合わせてそれを拒む。
挿れる事は歓迎し、抜く事は嫌がる。蓮の態度とはまるで真反対に、膣内は男を咥え込んで悦びに震えている。何度交わっても飽きない、それどころか身体を重ねる毎に味わいを増す様な、極上の
「はぁ……やっぱ、わしと蓮ちゃんの相性は最高やのぉ……蓮ちゃんも気持ち良いやろ、なぁ?」
「あっ! やっ、奥、ゆすらないでっ……は、あ、あっ!」
膣奥でがっちりと締め付けられた肉棒を、男は腰を揺すって蓮を腹の内側から揺らす。それだけで蓮は身体を一つ跳ねさせ、抑え込んでいた嬌声を再び上げてしまう。
事実、蓮は挿れられただけで快楽を得てしまっていた。何度も受け入れてしまった肉棒の味を思い出した膣は、無意識の内に形を変えて動いてしまう。
男の肉棒に合わせた形に。より自分が気持ち良くなれる形に。
「はぁ、全くエロいカラダしよって……それじゃ、動くとするか、のっ……!」
「うあっ、はぁ、ああっ! や、だめ、ぇっ……! 今、うごくのっ……あんっ!」
完全に蓮が自分を受け入れた、それを感じ取った男は引き絞られる蓮の膣へ抽挿を始める。
肉棒に食いつき離そうとしない蓮の肉壺に対し、それ以上の力で腰を前後させる。絡みつく肉襞を逆剥く様に亀頭で掻いて、隙間無く締まる膣内を肉杭で押し拡げ、それを蓮の膣の入口から最奥に至るまで強引に繰り返す。
隙間無く男の肉棒の形に変えられた筈の膣肉が、擦られ削られ押し込まれる。一定のリズムで抽送される怒張の感触に、蓮は望まぬ甘い声を張り上げる事しか出来なかった。
「ほれ、どこを突かれるのがいい? 一番奥か?」
「んぅぅっ! や、おく、つぶすの、だめ、だめぇっ……! ふぅ、あ、あっ!」
「なら、浅い所にしとこうかの。ほれ、さっきもココを擦られてよがっとったじゃろう?」
「あぁんっ! ソコ、そこだめ、そこ、弱い、からぁっ……! あ、はぁっ!」
男がぐりぐりと蓮の子宮口を押し潰す様に亀頭を押し込めば、胎の最も深くからやってくる疼きが耐えられない程の快楽にまで膨らんでしまう。
男が蓮の膣の入口近くまで腰を引けば、先程指で刺激されていた膣の天井を亀頭で擦られ、ちかちかと思考を白く染める悦楽がやってくる。
突かれて喘ぎ、擦られて鳴く。浅い一点から深い場所に至るまで、蓮の弱点の全てが今や男の手中にあった。
「どっちもダメとは、蓮ちゃんはワガママやなぁ。なら、どっちでイキたい? ん?」
「や、あ、あぁんっ! いや、いやぁ、イキたくないっ、イキたくッ――んあぁッ!」
奥を抉る、手前を掻く。一度の抽送の度に男はそれを繰り返して、蓮から一切の余裕を奪う。そうしている内に、蓮の膣と身体の震えは目に見える程大きくなってきていた。
イく、イってしまう、イかされる。挿入からろくに時間が経っていないにも関わらず、蓮は自分の限界が間近である事を悟る。そしてそれは、膣に締め上げられている男にも筒抜けだった。
こんなにも簡単に、惨めに達したくない。その一心で蓮は頭を振り乱して声を上げるも、その全てが雌の喘ぎに塗り潰されていく。
前か奥か、奥か前か。絶頂へ押し上げるべく加速する男の腰使いに対し、蓮はどちらで達するかなど考える余裕も無かった。
「あ、は、あッ――はぁあんッ!!」
ぐちゃ。男が肉棒を最奥へ打ち込んだと同時に、蓮は絶頂を迎えた。
顎を上げ、手で枕を掴み、膣に合わせて腰を跳ねさせる。男は特別何かをした訳ではなく、ただ抽送を繰り返していただけ。そんな過程に過ぎない刺激で、あっけなく蓮は達してしまった。
「――っ、はぁっ、はぁっ……んっ、はぁぁ……」
艶めかしい吐息を漏らしながら、蓮は昂った意識と身体を落ち着かせていく。
心構えも何もかも、快感に吹き飛ばされた。汗も愛液も涎も、何もかもを垂らしながら醜態を晒して。冷静さを取り戻して自分の姿を自覚し、羞恥で蓮の顔が赤らむ。
何も出来ない。抵抗も我慢も覚悟も、一度男に組み敷かれてしまえば全て無駄になる。掃除屋の肩書きも怪物を倒す異能も、ベッドの上には持ち込めない。ぬるま湯に浸かる様な絶頂の余韻に浸りながら、蓮の心は屈辱に打ち震えていた。
――が。
「あんッ!? やっ、ちょっ、あっ……やだっ、なんで、まだっ……!?」
「”まだ”も何もないじゃろう。わしはまだイっとらんのだから、続けるに決まっとるじゃろうに」
「ま、待って、私まだ、イったばか――ひゃんっ! ふっ、あ、あぁっ!」
蓮の身体から余韻が抜けるより先に、男は抽挿を再開する。蓮の内側に埋め込まれた肉棒は、未だに熱と大きさを保ち続けていた。
男は油断で弛緩しきっていた膣奥を一突きしてから、今度は膣の入口近くまで肉棒を引いて小刻みに腰を揺らす。それによって責められたのは蓮へ迫ったもう一つの択、陰核の裏にある鋭敏な一点だった。
「どっちでイクか、言わんかったからのう。わからんなら、両方しなければなぁ?」
「あぁッ! や、やめっ、クリも、なんてッ……ひう、ぅ、んんッ!」
膣内を亀頭で擦り上げながら、男は膣外で尖る陰核に親指の腹を当てて圧し始める。中と外、両方からやってくる刺激を、一度絶頂で緩んだ蓮の身体は抑える事は出来なかった。
快感が呼び水となって再び腰が浮き上がり、男の肉棒と指をより求めてしまう。それに応える形で、男は喜々として蓮の弱点だけを重点的に弄っていく。
一度火が点いた身体は、止まらなかった。
「あッ、イクッ、イ、っちゃ――んんぅうぅッ!!」
最初の絶頂から全く時間を置かず、蓮は二度目の絶頂へと至る。背を反らしながら脚全体を震わせ、愛液を噴き出しながら淫猥に果てた。
一度目よりも深く、長く。快楽をより甘受しようと、蓮の身体は本能の奴隷となる。自分の心と胎の底からやってくる雌の感覚に抗えず、蓮は快感の極致に浸り続けた。
「あー、蓮ちゃんのナカはやっぱ最高や、なっ……!」
「あああッ! やめっ、やめてえっ! も、むりっ、イってる、イってるからぁっ!」
その様を見ながらも男は一切容赦せず腰を前後させ、絶頂の最中で震える蓮を責め立てた。
今度は蓮の膣口から膣奥まで、狙いも定めず乱暴に突き上げる。浮き上がる腰を両手で掴み、自分から逃れる事が出来ない様にした上で欲望の分身を打ち込んでいく。
力のままに肉棒が突き込まれる毎に、結合部から愛液の飛沫が飛び散り肉同士が弾き合う音が部屋全体に鳴り渡る。蓮の色めいた悲鳴と共に奏でられる妖艶な旋律に、男の興奮はさらに高められていった。
「あ、あぁ、はぁあんっ! やだぁ、やぁっ――むううッ!?」
何も考えられず肉棒を突き込まれるだけの蓮に、男は再び覆い被さり唇を奪う。
視界の全てが男に奪われ、さらに口内を貪られる。交わす唾液の甘味と膣奥を穿つ甘美が、蓮の脳裏を真っ白に焼き焦がしていく。
唇を奪われた事で不十分な呼吸が、蓮の酸素を奪う。思考が薄れて、感覚だけが残る。
快感。快楽。悦楽。
「んッ、んッ、む――ふぅうんッ!!」
何もわからなくなった蓮は、達すると同時に目の前にある
自分がどこかへ飛んでいきそうだった、だから繋ぎ止めようとした。それが男の喜ぶ事だとも考えられず、蓮はまた恍惚の果てで自分自身を見失っていた。
「――ぷあ、ぁ、はぁあ……な、なん、っでぇ……」
「『なんで』、何かね? んん?」
男が唇を離し、蓮は言葉の自由を取り戻す。最初に口をついて出たのは、疑問だった。
いつまで経っても、男が射精しない。肉棒が自分の中で
「まぁ今日はゴム越しだからのう。そんなに欲しい欲しいと求められても、中々射精出来んのよ。申し訳無いのう、蓮ちゃん?」
「あんっ……!」
蓮の内心を見透かして見下す様な、そんな薄ら笑いを浮かべて男は自分の肉棒を蓮の奥へぐりぐりと押し付ける。コンドームで隔てられている肉棒の感触が伝わるように。
男も吸い付く様に絞ってくる蓮の膣に性感を感じていない訳では無い。しかし、一方的に弱点を責められ続けられる蓮に比べ、ゴムで性器を覆った上で常に優位を保っている男の方が、遥かに余裕を持っていた。
「わしは別に気持ち良いからいいけどのう。ほれ、ほれ」
「あ、あっ! やめ、やめてっ! もう、もうだめ、だからぁっ!」
「やめて、と言われてものう……わしも
男の左手が蓮の胸を鷲掴み、右手が秘部の陰核を撫でる。さらに肉棒で膣を擦る様に腰を小刻みに揺らせば、蓮の落ち着きかけていた余裕は
生殺しだった。こちらは何度も絶頂を重ねさせられ、男がその気になればまたすぐにでも達してしまうだろう。であるのに男は一向に射精する事無く猛った肉棒を抽挿し、押し付けてくる。
どうすればいい。どうすれば、この行為が終わるのか。
「そうじゃなぁ。蓮ちゃんがどうしても射精して欲しい、って言うんなら……」
もうイキたくない、終わって欲しい。そう蓮が心の中で懇願し始めた時、男は蓮から腰を引いて肉棒を引き抜く。
ぐちゃりと濃く蕩けきった愛液が、名残惜しいとばかりに秘部から肉棒へと伸びる。自身が感じ切っていた証拠をまざまざと見せつけられ、蓮はあまりの恥ずかしさに目を背けたくなった。
「蓮ちゃんの手でお願いするしかないわなぁ、『お願いします、ナカに出して下さい』って。ま、わしはこのままでも構わんから、ゴムも
「く、うぅ……!」
それを許さないかの様に男が蓮の顔の前に跨り、自身の肉棒を眼前に突きつける。
『終わらせて欲しければ、自分で着けたゴムを自らの手で外し、その上で生で射精して欲しいと言え』。そんな男の要求に、蓮はこれまでで一番の屈辱を覚えた。
恥の上塗りとはまさにこの事だ。痴態を晒してまで奉仕し、一方的に絶頂に追い込まれ、最後には生での射精を乞わされる。これ以上の辱めがあるのかと思う程に、蓮の尊厳を傷付けるやり口。
しかし、そうしなければまた先程の状況の焼き増しになるだろう。ねちねちと弱点を責められ、どれだけ懇願しても止めてもらえず、堪え切れずに達してしまう。
わかりきっている。男は間違いなくそうする。何度も身体を重ねて辱められてきた経験が、蓮に確信させる。
――それ、なら。
「ん、む……っ」
差し出された肉棒へキスをする様に、コンドームの先の突起を蓮は啄む。己の愛液でべたべたになったそれを、蓮は吸い上げる様に引っ張って肉棒から外し始めた。
屹立した肉棒に張り付き伸びているゴムを、唇の力だけで引き抜いていく。先程の奉仕の光景を巻き戻すかの如く、蓮は男の肉棒に吸い付く。
自分自身の愛液を舐める嫌悪感と、自分から避妊具を外していく恥辱に堪えながら、蓮はなんとか口だけで男の肉棒からコンドームを引き抜く。むわりと蒸された雄の臭いが、蓮の鼻奥を突いた。
「……お願い、します……出して、下さい……」
「んん? 何かな蓮ちゃん、ナニをどこに出して欲しいのかな?」
「ッ! ……私のナカにっ、精液を出して下さいっ……!」
「やれやれ、そんなに大声を出す程中出しされたいとは。蓮ちゃんもとんだスキモノじゃのう」
「くぅう……!」
口振りとは裏腹に、蓮に思い通りの言葉を言わせた事で喜色満面の男が蓮の顔の前から退き、再び股座側へと戻る。
最悪に最悪を重ねた心境と状況だった。しかしいつまでも責め立てられるよりも、一時の恥に耐える方が遥かにマシだ。見下してくる男から視線を外し、蓮は自己弁護に徹する。
しかし、秘部にぴたりと押し当てられた熱がその逃避を許さなかった。
「それじゃあ蓮ちゃんが待ち望んだナマのチンポ、いっぱい食わせてやるかの、っと……!」
「んはッ、あぁんっ……! はぁっ……あっ、つぅっ……!」
二度目の挿入。しかし今度は、避妊具の無い生の肉棒が蓮の内側を犯していく。
合わせて蠢く膣が、先程との違いを瞭然に理解してしまう。エラが張った様な雁首の鋭さ、脈打ち浮き出た茎部の凹凸、隔てる事無く伝わる雄の熱。たった薄皮一枚の差を、度重なる絶頂で鋭敏になった蓮の膣は敏感に受け取ってしまう。
今まで自分を何度も突いていたモノ。これまで何度も何度も、突いてきたモノ。
「はぁ、堪らん……! この絡み付く感じ、やっぱ蓮ちゃんのナカはナマに限るわい……!」
「あ、あ、あッ! はぅ、んぅっ! ふといのっ、おく、とどいてっ――あぁぁっ!」
男は蓮の太腿を両腕に抱え、抽挿を始める。脚と腰を浮かせながら、男は体重を乗せて肉棒を斜め上から突き入れ、蓮の最奥を強く圧し潰した。
先程よりも大きく太く錯覚してしまう男の肉棒が蓮の膣を蹂躙する。
たった一枚の膜が取り払われた、ただそれだけで蓮の感じる性感は段違いに跳ね上がっていた。
「ほれ、ほれ! コレが欲しかったんじゃろう!?」
「やぁっ、あ゛、あぁあッ! だめっ、これ、また、またぁっ!」
「またイクんじゃろう? わしの生チンポが気持ち良くってイクんじゃろ、ええ?」
「イクッ、イクぅッ! んあッ、あぁあぁんッ!!」
男の腰が打ち付けられる度に、蓮の秘部から愛液と汗が撒き散らされる。それに合わせて弾ける肉音と水音が、それを掻き消す程に甲高い蓮の雌声が部屋中へと鳴り響いていく。
男に対する反抗心も、辱められる屈辱も、痴態を晒す自覚も。何もかもを忘れ、蓮は
蓮は身体を売る事は避けられなかったが、その相手を選ぶ事は出来た。何故その相手にこの憎い男を選んでいるのか、それはこの男との性交が忘れられない程に気持ち良かったからだ。
『金払いが良いから』『特殊な嗜好の相手は嫌だから』『弱味を見せる相手を増やすリスクがあるから』。それらしい理由で上っ面を塗り固めて、その事実に蓋をして。そして今日もまた、蓮は自分を悦ばせてくれる男の肉棒に耽っていた。
「だめ、もっ、だめぇっ! イって、イっていい、からぁっ! はやくっ、はやく、シてえッ!」
「そんなにおねだりされちゃあ、仕方ないのう……! お望み通り、たっぷり中出ししてやるわいっ……!」
「あぁぁッ! そこっ、ソコぉっ! ひあッ、あぁあッ!」
『早く終わらせて欲しい』、そんな思いも我を忘れた蓮は無意識の内に男を誘う言葉へと変えてしまう。口から吐いて出る全てが、雄を求める雌のモノと成り果てていた。
蓮の要求のままに、男もスパートをかける。潮を噴いて収縮を繰り返す秘部へ肉棒をピストンし、夢中になって蓮の蜜壺の
何も考えず、腰を振る。男が腰を打ち付ければ、蓮も合わせて腰を跳ねさせる。何度も交わした情事の経験のまま、二人は互いに気持ち良くなる動きを無意識の内に取っていた。
「あぁ出るっ、出る出るっ!
「キてッ、キてぇッ! んあ、あ、ぁああッ!」
男が蓮の両腕を掴み、引き寄せながら射精へ向けて抽挿の勢いを増していく。完全に快楽に溺れた蓮は、自分が何を言ってるのかもわからないままそれを受け入れていた。
全てを忘れて男に犯される、刹那的な快楽。本能の奥底から際限無くやってくる感覚に抗わず、蓮はただ声を荒げていく。
絶え間無く上がる蓮の色めいた叫喚が男の獣欲に油を注ぎ、欲望のままに腰を打ち付けさせる。蓮が声を上げれば男が突き込む力を強め、走る快感が再度嬌声を上げさせる。肉欲の循環を重ねる毎に、二人の悦の熱が高まっていった。
「
「ふあッ、あ゛ッ――ぁあぁあんッ!!」
そして男が限界を迎え、滾りに滾った精を蓮の膣内へ大量に流し込む。常に絶頂の中にいた様な状態で犯されていた蓮は、それがトドメとなって意識を手放した。
蓮の頭の代わりに雌の本能が膣を引き締め、肉棒を搾り上げる。それによって男の射精がさらに促され、肉棒の根本から二度・三度と精液を汲み上げさせていった。
「おっほ、締まるっ……! ほれ、もっと力入れろっ……!」
「はぁ、あんっ……! あっ、イクッ、イッ……ふぅうっ……!」
締め上げる蓮の反応をさらに促そうと、男は肉棒を奥へと押し込んだまま蓮の臍下を掌で抑え込む。
膣を外から強制的に圧され、蓮の身体が肉棒の形をさらに教え込まされる。一層強く肉棒の感覚を押し付けられた蓮は、それだけで反射的に絶頂を重ねてしまう。
そうして悦びに震えて蠢く蜜壺を堪能しながら、男は最後の一滴まで精液を出し尽くした。
「……ふぅ、はぁ……あー、よう出た……やっぱ蓮ちゃんとヤるのが一番出るのう……」
「……ぅ……ぁ……」
「っと、流石にイジメすぎたかのう。まぁええか、蓮ちゃんもよがっとったしな」
射精し終えた男が肉棒を引き抜くも、蓮は絶頂した時のまま股を大開きにして呆け続ける。
加減を忘れて責め過ぎた、そう男は自戒するも表情に反省の色は全く無い。こちらも気持ち良かったし、蓮も気持ち良かった。それのどこに悪い事があるのか。蓮の心情など全く考慮しない、玩具の様な扱い。
とはいえ、こちらも相当の大金を払うのだ。この位は楽しませてもらわねば困る――いや、もっと愉しませてもらわなければ損というものだ。
何せ、夜は始まったばかりなのだから。
「ほれ、蓮ちゃん。いつまでも呆けとらんで、掃除せんか」
「は……ん……」
男は呆ける蓮の顔に跨り、精液と愛液で塗れた肉棒を形の良い唇に押し当てる。精の汚臭を放つ亀頭を突き付けられても、蓮の意識は忘我の果てから戻って来ない。
蓮がろくな反応を返さないのも無視し、男はぐいぐいと押し込む様に肉棒を蓮の唇の隙間に当て続け。
「――ちゅ、むっ……ん、んっ……」
◆ ◆ ◆
唐館市のちょっとした一日その1・蓮ちゃん編
今回は一口サイズのオムニバス形式でお送りいたします。