「んっ、ふ、ふう……気持ち良い、かしら?」
「おほっ……良い、イイねえ。いやぁ今日はツイてんなぁ、
「くっ」
思わず舌打ちしそうになるのをなんとか抑え、蓮は男のいきり立った肉棒を両乳で包み込んで奉仕を始めた。
文句を言う暇も惜しい、やるべき事は手早くだ。蓮はなるべく無心に努める事を決め、自身の胸の柔らかさで男そのものを擦り付けていく。
自分の
心の底から受け入れ難いが、この後に犯される時間まで視野に入れなければならないだろう。そう考えると、思わず胸に挟み込んだ肉棒の感触を意識してしまう。
「ん、ふぅ……はぁ。ねぇ、どう動かして欲しいのか、言ってくれない?」
「お、サービス良いねぇ? 悪いけどカネやメシは分けねえぞ」
「別にいらないわよ」
「なるほどなるほど、さっきのヤツより俺のイチモツのがお気に入りって事か。いやぁ嬉しい事言ってくれるじゃねえの」
「違うから!」
抗議も兼ねて、谷間の奥へ押し込む様に谷間を強く寄せる。にやける男はその甘美な柔らかさに思わず唸った。
蓮は多額の借金を背負った身ではあるが、食うに困っている訳ではない。単独で怪物に対抗し外を探索出来る蓮は、常人が近寄れない危険地帯から物資をサルベージする事で、確実な生計を立てている。
金が欲しくて媚びているなど勘違いされては沽券に関わる。そういう意図の抗議だったが、やっている事自体は自分から男を求めて裸体を押し付けているだけであり、目当てもなく奉仕する今の方が余程滑稽に見えているという自覚はなかった。
「ほら、こう強く挟まれたいの? それともこう左右から擦られたいの? ……好きな方を言いなさい、よっ」
「うお、ヤッバ、マジで良い乳……! あー、じゃあその交互に擦るヤツ、もっと早く……!」
「コレね。……ふっ、ふっ、んう……まったく。こんな、ビクビクさせちゃって……」
「あー、極楽極楽……」
無視、無心、
胸の奥まで伝わってくる肉棒の脈動は、男の喜びを何より示していた。可能な限り上下に柔肉を揺り動かし、女だけに出来る
都合の良い女、男の望む玩具、性処理の為の身体。男に媚びる
「うっ、はっ、んっ……出したくなったら、すぐ言ってよね。私は、いつでもいいから」
「あぁ、いいねぇいいねぇ……もっと押し潰す感じで頼む……」
「……はぁぁ。これ? こう?」
「あー! そうそう、それそれ……っ!」
男に言われるままに、男が考えているだろう望みを汲み取り、合わせて蓮は動きを変える。
胸の深くまで肉棒を挟み込みつつ、上半身全体を動かし体重をかける。見るだけでも柔らかさが伝わる様に、乳房を持つ両手を左右に動かし楕円状に自身を捏ね回す。
肉棒が見えなくなる程に豊かな胸が、己の股座へその柔らかさを存分に押し付けながら、
蓮の胸による奉仕で完全に意識を奪われた男は、へこへこと腰を揺らし始めた。
(……早く、出しなさいよ。どうせ今、私の事犯す事しか考えてないんでしょ? こんな硬くして……こんな、太くしちゃってる、コレで……)
上下左右、前後強弱。両手で自身の胸を弄ぶ様に動かし、男に与える刺激に緩急をつけながら、蓮は無意識に”次”を考え始める。
プライドを守り無心に努めた結果、その隙の分だけ蓮の無意識は先程よりも性的に染まり始めた。シェルター内の堕落した魔力に沈みはしない、しかし気付かぬ間に
一度身体を許した以上は今更だ、
暗い心中の淵に居ながらも、しかし蓮の秘部からは先程中へ射精されたばかり精液とは異なる水気が染み出し始めていた。
「あー出そっ……そろそろ出すぜ、蓮ちゃん」
「んっうっ、ふぅ……どこに、出したいの?」
「口で――いや、やっぱこのまま! 折角なんだし、そのデカい乳でぜーんぶ搾ってくれよ」
「……はいはい。んっ、ん、んん……このっ……!」
下品な言い方はやめてくれないかしら。内心でそう抵抗の意を抱きながら――いつもの強気を保っていれば実際に口に出していただろう――、蓮は奉仕にかける力を一層強めた。
もっと強く、もっと早く、もっと気持ち良く。現状から逃れる為の唯一の手段として、男の射精を望む。奉仕に臨む。肉棒を望む。無心に、一心に、熱心に。
自分を射精させる事だけに集中した美女が、極上の肢体を押し付けて自分の分身を扱いてくる。視覚・肉感・征服の欲求全てを満たす光景に、男の興奮は昇り詰めた。
「あー出る出る、
「ひゃうっ! ……もう、どれだけ溜めてるのよ……」
男は天を仰いで腰を突き出し、蓮の胸へと精を吐き出す。谷間の深くから飛び出してきた精液が、蓮から胸から顔に至るまでを勢い良く染め上げていく。
白く、生臭く、酷く粘つく。生理的で大きな嫌悪感と、目論見通りとなった小さな達成感が綯い交ぜとなり、靄がかかる様な不明瞭な感覚が頭と胸の奥まで満ちていく。
その正体を今は考えない様に、思考を打ち切る。考えるべくは、次の事だ。
(あぁもう……かなり急いだっていうのに、結局また新しい奴が……)
射精感に耽る男から周囲に目をやれば、物音や声を聞きつけたのか、また別の男がシャワー室の近くに居た。目が合いかけたのを察知し、視線を目の前に戻す。
胸に挟んだ男のモノは未だ完全には萎え切っていない。ここの住民にとって性欲とは抑える事なく発するべきモノであり、そう簡単には鎮まらない。それは別に構わない――いや一向に構うのだが、もう今更なので割り切るしかない。
だが、このまま行為が続けば、終わった後にまた次の男に犯されてしまう。このループのどこかで切りが無ければ、どれだけ心で耐えたとしてもいずれ身が保たなくなる。
どうするのが良いか、どうすれば現状を切り抜けられるのか。最適の解を求めて蓮は脳を慌てて回し――たったひとつ、
「……ね、ねぇ……」
「あん? どうした、一応言っとくがこっからお預けってのはゴメンだぞ。もうこっちはヤる気マンマンで――」
仁王立ちする男に対し、蓮が膝立ちのまま上目遣いで見上げる。
困った様な、あるいは弱者が強者に懇願する様な、眉尻を下げた顔。何度となく許しと制止を求めてきた女と同じ蓮の表情に、男は僅かに苛立ちを滲ませた声でそれを先に拒もうとした。
――が。
「……ふ、二人っきりになれる所……行かない?」
想像していなかった
すぐに男は、薄暗い微笑でそれに応えた。
◆ ◆ ◆
「――あむっ。んむ、んぅ、ちゅっ。……ぷぁ、あむっ、じゅる……」
「おお、いきなり随分がっついてくれるじゃん。おー、おぉ……」
「勃たないと気持ち良く出来ないじゃない。……お互いに、ね」
「はは、違ぇねぇや」
ススキノシェルター・診療所。”貴婦人”に表向きの職場として宛てがわれた自身の拠点。蓮はそこへ先程奉仕していた男を、自ら連れ込んでいた。
片隅にあるベッドの上、互いに一糸纏わず。だらりと寝そべり寛いでいる男に対し、その股間で蓮は頭を
この現状が、蓮が咄嗟に思いついた最適にして最悪の解だった。
(最悪、サイアクサイアクッ……もっとマシな事思いつけないの、私のバカ……!)
強姦された身でありながら自分で男を誘い、合意としか言いようがない状況で行為に至る。恥を捨て切れた訳ではない、屈辱の極みである。しかし最も事態を手早く、こちらの被害を最小限に抑えられるアイデアだった。
シャワー室と言う名の”共用”スペースでは、男達に順番に犯され続けるだけ。ならばせめて『
少しの恥を呑み込みさえすれば、現状を丸く収められる。その恥を、現在進行系で呑んでしゃぶり込んでいる事が最大の問題なのだが。
「嬉しいぜ、そんなにオレのが欲しかったのか? 家まで連れ込むぐらい」
「ッ――……ええ、そう、そうなの。このおっきくて逞しいので、気持ち良くされたかったの。コレでいっぱい……犯して欲しかったの……ッ」
「ハハ、良いね良いね! エロい女は好きだぜ、蓮ちゃんみたいにな!」
「……んむ! はむ、ちゅう、ん、ぷっ、はぁ」
自分から誘った身なのだ、何一つ文句は言えない。今自分がやるべきなのは、このシェルターにいる住民達の様に正気をきたし、犯されたがる売女として振る舞う事なのだ。
込み上げる悪態の代わりに、男の肉棒を根本まで口に含む。先程吐精し、移動中に萎え切ったそれを、再び自分の手で――口と唇をもって丹念に捧げ、勃起を望んで促してやる。
望んでない、だが仕方ない。今の自分に与えられた自由は、せめて一方的に男に犯されない様に努力するだけ。
自分から犯される努力を、する事だけ。
「ん、んぷ、んんっ……はぁ、またおっきくなってきたわね……ふふっ、ちゅる、じゅるるっ」
何も考えない、考えたくない。蓮は無心に努め、唇は熱心に男に尽くし、舌は丹念に肉棒を舐め回す。
口淫の丁寧さに反し、呆けた様な心持ちで行為に耽る。最初に奉仕させられた男の時に比べれば、ずっとマシな状況だ。不快ではあるが、耐えられない訳ではない。
一度シャワーを浴びた分、汚れは少ない。一度射精した分、頬張りやすい。生臭さが薄れた分、舐めやすい。
――やりやすい。
「ふう、はぁ……もう、挿れていい?」
「あん? なんだなんだ、もうガマン出来なくなっちまったとかか?」
「……えぇ……えぇ。もう、欲しくて欲しくって、我慢出来ないのっ。この太くて大きいので、早く私の
男の返答をろくに待たず、自身の口で勃起させた肉棒に蓮が跨る。陰裂の表面に茎部を押しつけ、素股で擦り付ける。くちゅりと、粘ついた水音が小さくも確かに鳴った。
男を誘う言葉は自棄のハリボテ、全て上っ面だけの虚言。しかし一度は完全に男を許し、二度も男に傅いた蓮の身体の奥は、女としての準備を既に終えてしまっていた。
腟の中が蠢いている。奥が疼いている。内が熱を帯びている。肉棒を受け入れるべく、分泌された愛液が男を受け入れる為に、じくじくと溢れ出して擦りつけている肉棒を濡らしていく。
言葉も身体も、これ以上無い程に男を待ち侘びていた。蓮が抵抗しているのは、誰にも確かめる事が出来ない内心だけ。その
もう、何もわからない。
「……じっとしてて。全部、私が動くから――んッ!」
「おぉ……あーあったけぇ、いい締まり。んじゃお言葉に甘えて、蓮ちゃんの
「いっぱい、気持ち良くさせてあげるわ、ね……あ、はあっ。んぅっ、コレおっきい、ぃぃ……」
間も許しも挟まず、蓮は自発的に男の肉棒を自分の
蓮が勝手に動き、男はなすがまま。先程とは立場が逆転して、女が男を好きに貪る形。蓮自身の意思で、男を犯す。恥も外聞も無いが、場所は変えたのでそれらを気にする必要は無くなっている。
男を騙せ。
「あっ、あんっ、ああんっ! おくっ、届いてっ、はぁんっ! これ、気持ちいい、イイのっ! すごっ、あ、んああッ!」
恥も外聞も捨てた。理性も捨てて、我も忘れて。一心不乱に、淫乱に、よがり声を跳ねさせて腰を振る。
股座をずんずんと肉棒に落とし、男を見下ろしながら胸を揺らし、独りよがりに身体をぶるぶると震えさせる。演技という名目のまま、本能から湧き上がる淫蕩な甘声で喚き散らす。
誰の目も気にせず、快楽をなんら抑えず、夢中で性交に耽る。蓮は既に自分の姿についても考える事をやめていたが、その様はどこの誰の目から見ても、ここにいる住民と全く同じ無様な色狂いだった。
ああ、良い。もう何も気にする事はないのだ。余計な
「いい、イイ、いいのぉ! おくまで、ずんずんきてる、キちゃうっ! んはあッ! これ、ここっ、きもちいいのぉッ!」
良い、いい、イイ。空気と快楽に流されるまま、蓮の言葉から脳内まで一気に淫靡に染まる。
腰を揺らして、尻を振って、膣で受け止めて。男が気持ち良くなる様に動けば、自分も気持ちが良い。自分が気持ち良くなれば、男も気持ちが良い。
そうしなければいけないのだから仕方ない。気持ち良くなっても仕方ない。どうしようもない。逃避の果てに蓮の理性のタガは全て外れ、餓えた欲求を満たすだけの
それでいい・これでいい・
「おっほお、たまんねえっ……締まりも良いし、今日大当たりだなマジ……!」
「うあっ、ん、はぁんっ! あっ、ふぁ、ああんッ! だめ、だめだめっ、だめになっちゃ、くぅんッ!」
身を捩らせ、乳を揺らし、心を震わせ。気持ち良さに唸る男を見下ろしながら、蓮はひたすら行為に耽る。
見たか、全部思惑通りだ。自分は男を手玉に取っている、これは自分のペースなのだ。心の片隅に押し込んだ蓮の最後のプライドが、仄暗い征服感で満たされる。
身が快楽を得て、心が充足を得て。この
「ん、う゛あッ! あ、ここ、ここ! これ、もうッ、イク、さきイっちゃ、ぁ、ああッ!」
「あー良いぞ、イケイケ、もっと締めてくれ……!」
「イく、イカせて、イきたいのッ! ふぁ、だめ、ナカキてッ……イく! イクイクイクッ――あ゛、はッ、~~~ッ!!」
濡羽の長髪を振り乱しながら、蓮が大きく喉と顎を上げる。男の余裕が完全に崩れるより遥か前の時点で、蓮は昇り詰めて果てた。
今一時だけとはいえ、心から受け入れた性交による絶頂は脳を焼く様な感覚だった。胎の奥の疼きが一気に稲妻となって全身へと駆け
無理に外面を取り繕う必要も無いのだ。どうせ一人しか見ていない上、淫乱な女が勝手に乱れていると思われた方が好都合。なるべく真実味を帯びた振る舞いをしても良い、いやするべきだ。
思考が乱れる。歪んで、捻れて、狂って――
「……貴方はまだ、よね? まって、今うごくから……ぅあっ、まだきもち、ひぃ、イぃ……」
「おー、おぉぉ……あー中トロットロ、サイッコ……」
まだ硬い。まだ太い。まだ挿れられている。なら、動かなければ。シなければ。
誰に言われるまでもなく、蓮は腰を再び動かし始める。悦びで震える腟を蠢かせ、抜けそうな腰を揺らし、肉棒を自分から自分へと押し込み、マーキングする様に股座を擦り付けていく。
蕩けた顔で淫靡に耽る今の蓮は、男の視点では喜んで尻尾を振る犬の様にすら見えた。
「だめ、もうっ、からだ力入らなっ……! ん、んうぅ、んふぅッ! ああ、胸っ、こすりつけるのすきっ、ちくび好きッ! はぁはぁっ、んあぁ、
「く、うっおっ、おぁぁ」
上体ごと動かす意識が抜け落ち、蓮は倒れ込んで男の胸板に覆い被さる。しかし腰は勢いを失わないまま動き続け、それに合わせて乳房が身体の表面を滑って、尖った乳首は小刻みに胸板を擦っていく。
耳元を擽る甘い声、合わさり柔く潰れる巨乳、締め上げながら絡み付く肉壺。あまりに甘美な感触に男も余裕を失くし、蓮の腰を掴んで腰を跳ねさせ始めた。
きもちイイ、心地良い。ああ、自分達はこの為に生き続けている。繁殖と快楽、本能と欲求。それらを為して満たしてこその生命。知性を抜きにした、動物の正しい在り方。
「もっとッ、もっと突いてッ、ダメにしてぇ! んぅう、ふぅんッ! あぁん、はッ、イイの、もっとちょうだいッ! んぁあ、ふっ、あっ、あぁぁッ!」
重ねた身体で互いの汗が混ざる、性器が交ざる、意識が
どうでもいい、きもちがいい。腰を動かし肉棒を受け止める度、自分の中で何かが満たされる。満たされた分だけ、余計な重みが削ぎ落ちていく。忘れて、落として、捨てていく。
何度
もっと、もっと、もっともっともっと――
「あー流石に無理、もう限界……!
「やだ、やだやだっ、やだぁ! 今だすの、だめッ! ダメなの、わたし、いま、だめぇッ――んあああッ! あ、ああ、あぁぁッ!!」
「うお、またイって――あとちょいなんだから、少しガマンしろっ、うほぉっ……!」
頭を振って掻き乱れて、駄々をこねる様に蓮が身体を押し付け動き続ける。その最中に絶頂に至ろうと、蓮のブレーキは既に壊れており動きが止まる事は無い。
互いに己の快楽を追い求め、二人で同じ高みを目指し、絡み合う。腰を動かし、身体を擦り付け、果てしなく声を上げ続ける。より高く、強く、深くへと堕ちていく。
早く出して、一緒に出して、いっぱい
「
「イくぅ、イくぅッ! イッ、クッ、ふッ、ふあぁッ――あ゛ッ、はぁあぁんッ!!」
それが訪れる。大量の精が亀頭より放たれ、蓮の
締まる
イク。まだ、イク。もっと、イきたい。蓮の意識がふわふわ虚空を浮かび漂い、脳天がちかちかと明滅する火花で焼かれる。快楽の果てで人の際に至り、極まった背徳感に溺れる。
気持ち良い。自分が気持ち良くて、男が気持ち良くなって。すべて、なんでも良くなって、打ち震える。
「あぁ、はぁぁッ……すごい、きもち、イッ、く、ぅうんっ……っ」
「あー……マジで、すげー絞られた……たまんねえよ、なぁ蓮ちゃん……?」
「……ぅん……私も、すごく、気持ち良くされちゃった、わ……」
絶頂の余韻に浸かる様に、脱力しきって蓮と男は抱き合う。その間も性器の結合部からじわじわと溢れ出す蓮の愛液は、白く濁りきっていた。
一度完全に思考を飛ばして得た、最深の絶頂。それにより蓮の頭は一旦冴えを取り戻し、遅れて先程までの自分の醜態を全て思い出す。今の自分の痴態を思い知る。屈辱が、蘇る。
しかし、どうしようもない。自分はやられてしまい、事実としてやってしまった――そう言ってしまえば、それだけの事。何もかも一周した蓮は開き直って、自分の恥を受け入れる程の余裕を得ていた。
「……なぁ蓮ちゃん。一発だけっつーのも、なんか勿体なくねえかぁ? こんなに相性良いんだし、
「ひゃんっ。うそ、まだ、足りないの……?」
「ま、十分気持ちよかったし、俺はお開きにしても良いけどよぉ……あぁあくまで、俺は、な? 俺は、別に、良いんだけどよ? 折角気持ち良くしてもらったんだし、今度は蓮ちゃんの気持ちを聞かせてもらおっかなぁ、って思ってなぁ」
男は下卑た笑みを浮かべつつ、自身に被さる形の蓮の胸に両手を滑り込ませながら、腰を揺すって実質的な誘いの言葉を投げかける。
しかしその言葉は三割程度は事実だった。十分気持ち良くなったし、出すモノは出した。このままセックスを続けて余計に体力を消耗すれば、明日に疲労を持ち込み活動に響く事も有り得る。
こんな終わった世界からは淫欲に溺れて逃避したい。しかし生きる為の余力を残す必要はある。男はこのご時世で出会う女とはなるべく
が。それはそれとして、今抱いている
「で、どう? まだヤるかヤらないか、蓮ちゃんの口から聞かせてくれよ。……どうせだし、続行ならその分カネ出してもいいぜ? いいモン喰わせてもらったし、チップ代わりにな」
「……お金……」
メシを分けるつもりは無い。それは今の世界において文字通りの生命線であり、そう簡単に差し出せる物では無い。
カネならまだ出せる。そこら辺のガラクタや腐った食物を売りつけるなり、最悪そこら辺の死体を漁れば、すぐに調達出来る。金払いの良さはそのまま人間の印象に繋がる、使う時には使うべきだ。
いや、余計な理屈で自分を騙すのはよそう。俺はこの女を今、抱けるだけ抱きたいのだ。その為なら多少の金も惜しくない、いや金を使っても逃がしたくない。それが男の偽らざる本音だった。
「…………」
蓮が迷う。この男を拒む事は出来る。自分から誘ったとはいえ、今男は譲歩の姿勢を確かに見せている。
満足げな男の顔色からして、誘った義理は十分に果たした。”それなら今日はお開きね”と蓮の方から言う事は出来る。その後男が自分を乱暴に犯しにかかるか、それともあっさり引き下がるか。どう転ぶかは良くて半々といった所。
半々。自分が望む通りに行くだろうと賭けるには、少し分が悪い。
――金。
「――良いのかしら? そんな事言っちゃ……期待、しちゃうわよ?」
「……へ、へへっ! 安心しろって、最近は結構カネ拾えてんだ。満足させてやるよ……コッチでもなぁ」
「あんっ。……もう、結局まだまだやる気だったんじゃない」
それなら、確実に得を取るべきだ。蓮は抱き着いたまま男の耳元で艶やかな声で囁きかけ、続行を促した。
男は蓮を抱きながら上体を起こし、対面座位の姿勢で蓮をホールドする。大義名分を得た以上は絶対に逃がさない形、いや元々逃がす気など無かったとしか思えない形。
あぁ、それなら正解だった。掟には逆らえず、元々こうされるだけの身なのだ、少しでも自分がイニシアチブを握れるこの形がベストだろう。男からの金銭にそれ程期待は出来ないが、行為の内容次第ではある程度ふっかける事も視野に入る。
そう。内容次第で、もっと得が出来る。
「じゃあ……いっぱい、シましょ?」
「おおよ。いっぱい鳴かせてやるからなぁ?」
きゅう、と蓮は肉壺を締める。それを受けて男の肉棒は硬さを取り戻し始めた。
自分の姿の卑しさからは完全に目を背け、蓮は男を抱き返して首元に頭を埋める。
「――ふぁんッ! ひゃぁっ、うぅんっ……あっあっ、はぁあんッ……!」
股を開いて男を受け入れ、欲望の捌け口となる。
結局、この街に響く愚かな女の嬌声が一つ増えた。
この一晩に起きたのは、所詮ただそれだけの事である。
Evening Survivorの序盤蓮ちゃん編でした。
勘違いしないでよね! 一番合理的な手段を取っただけで、別に屈した訳じゃないんだからね! ※この後めちゃくちゃ搾り取った
休職するレベルで体がボコボコになってました。今ももうすっかり全然元気では全くありません。ダメダメじゃねえか。
いくつか思考しているシチュがありますので、次があれば来澄ちゃん絡みの話になると思います。その中のどれにするか迷っている程です。