遅れて申し訳ないです。ルフィ君が大変な目に合います。許して。
「あんっ、ん、は、あぁんっ! んぅ、あぁっ……っ! す、すっごぉい……っ!」
「下から眺めるってのも悪かねぇな」
「んあっ、や、ぁっ……んぁあっ! いいっ、きもちいいのぉっ!」
ジャックハートがアラバスタに来て、今日で四日目。
ビビとの子作りのために組まれた日程の最終日も、前日までと変わらず睡眠以外の時間はほぼ互いを貪りあっていた。
「アラバスタの踊り子の衣装、だっけか?」
「えぇ……んっはぁっ!」
「それにしても良かったぜ。こんなに可愛い姿ビビちゃんが海賊どもに手を出されてなくて」
「っ……。ジャックハート、さん……?」
「ん?どうしたよ」
アラバスタの伝統衣装の一つでもある踊り子の衣装を身に纏い、騎乗位で腰を振っていたビビの動きが止まる。
喘ぎとともにどんどんと赤くなっていた頬も少しばかり元に戻っていた。
「る、ルフィさんたちをもし捕まえたら、その……」
「あぁ。もちろん一つの海賊として扱う」
「ルフィさんたちは悪い海賊じゃないんですっ!」
「それを決めるのはビビちゃん一人じゃねぇ。全世界の人間のほとんどからしたら、頂上戦争で暴れまわった億越えルーキーなんて怖くてたまらねぇだろうよ」
麦わらの一味は、悪い海賊ではない。
愛する妻の発言でもあるのでそう言った一面も確かにあるのだろうが、それだけでは捕まえない理由にならない。
彼らがどんなことをし、そしてどんな人柄であろうと、彼らは
彼らを”麦わらの一味”としてしか知らない大半の人間は、彼らに恐怖を抱いている。
「それに」
「きゃっ!」
仰向けになっていたジャックハートの胸元に、ビビが腕を引っ張られて倒れ込む。
豊満な両胸がジャックハートの鍛え上げられた胸筋で潰れ、お互いの顔が目と鼻の先まで近づく。
「俺が
「……そう、ですよね」
「あぁ。でも、殺すなってんなら大丈夫だぜ」
「っ! ほ、本当ですか!?」
ジャックハートの眼前でビビが叫ぶ。
「男どもはインペルダウンに打ち込むのは確定事項だが、あそこの看守に言えば多少は自由がきく。副看守長と獄卒長は俺のペットだからな」
「……ジャックハートさん。いったい何人の女性とこれまで関係を?」
「ケハハ。ビビちゃんは今まで何回呼吸したとか覚えてんのか? んな細けぇこと覚えてねぇよ。……だが、安心してくれ。本当に愛してるのはビビちゃん含めて数人だけだ」
「も、もうっ!」
海底監獄インペルダウン。
数ヶ月前に死んだポートガス・D・エースが収容されていた場所であり、多くの囚人が脱獄してしまった事件による傷はまだ完全には癒えていないものの、働き自体は完璧に治っている。
そこにいる美女二人にもしっかりと手をつけており、ジャックハート自らのものにしたのは6年前。
付き添いだったガープの目をくぐり抜けて和姦に及んでいたのが懐かしい。
「ビビ」
「んむっ!? ……んちゅ、んっ……ちゅぱっ、くちゅ……」
話に一旦区切りがついたところで、ジャックハートがビビの後頭部に手をやり、強引に唇を奪う。
初めこそ戸惑ったもののビビもそれを受け入れ、舌を絡めていく。
「んぷっ……。さて、いっぱいしようか、ビビ。あと少しで行かなきゃならねぇからな」
「はい……」
うっとりとした表情でジャックハートの瞳をじっと見るビビ。
その顔には、再び紅が差していた。
「見せてくれ。お前の綺麗な体には、何も装飾品なんざいらねぇだろ」
その夜もビビは、ただ獣に身体を貪り食われるだけの雌になった。
◇
「ヒイイイイッ!!」
「ちょっ、ちょちょちょちょちょっとジャックハートさぁんッ!?」
「こっちも助けてくださいよぉぉおっ!!」
「うっせぇなテメェら。ポーラの母体に響いたらどうすんだよ」
「母体のこと気にしてる人が『凪の帯』に突っ込んでボーッとしないでくださいよッ!!」
翌日の昼。
驚くほど天気がよく、全くの無風であること以外は絶好の航海日和となっている『凪の帯』
今から約2時間ほど前から、ジャックハートの軍艦は海王類の群れに襲われていた。
「海軍の軍艦って襲われないんじゃないんですか!?」
「あー、多分それ俺のせいだわ。微妙に“覇王色の覇気”が漏れてんのか知らねぇけど、海上に強い奴がいるって察してるっぽいんだ。悪ぃな」
『あんたのせいか!!!』
その理由は、ジャックハートが船上にいるためである。
いくら船底に海楼石を敷き詰めたとして、その上に存在する強者の匂いというものはかき消すことは出来ない。
その為、強大な敵が現れたと海王類達が錯覚し、襲ってきているのだ。
「てか鼻くそほじってないで助けてくださいよ!」
「さっきまでカリファちゃんにこってり絞られてて疲れてんだよ。……おい、たしぎ」
「はっ!!」
右舷に現れた三匹の巨大な海王類。
彼らに向かって、たしぎが船を飛び出した。
「嵐脚・『白蛇』!」
たしぎの白く、程よくむっちりとした脚から放たれる斬撃。
まるで蛇の頭を模したようなそれが三本飛び出し、それら全てが海王類たちの喉元に食らいついた。
「やった……! できましたよ、ジャックハート中将!」
「おう、よくやった。だが、覇気はまだ甘いな」
「え……?」
海王類を全て倒したと確信し、甲板へと降り立ったたしぎ。
ジャックハートの方に向き直ったところで、その姿は大きな影に覆われた。
「たしぎ少尉ッ!」
「ひっ……!」
「喚くなっての。……おい」
たしぎの嵐脚を食らってもなお生きていた一匹の海王類。
彼女を食おうと軍艦に歯向かったところで、生物の種として敵わぬ存在に、海王類は遭遇した。
「テメェをぶっ殺せば多少は静かに船旅セックス楽しめんのか? あぁ? ……おい、答えろやカス」
「ア、オ、ォ……」
ワナワナと震え、ただただ迫りよる死を受け入れる事しか道がない事を悟る。
自分はどうあがいても、この船の上にいる一人の存在に殺され、喰われるだけだと本能が叫んでいた。
「チッ。叫ぶしか脳がない癖にたしぎに突っかかってくんじゃねぇよ」
「オオオオオオオオォッ!!」
「所詮は獣、か」
自分にダメージを与えたたしぎなど放っておいて、目の前の存在であるジャックハートを食わんとばかりに口を開ける。
「武装・正拳」
その大きく開けた口から胴体にかけて、巨大な穴が一瞬にして貫通した。
「……試し撃ちにしちゃあ、上出来か」
「えっと、ジャックハートさん……。今何したんですか?」
「お? 突きを飛ばしたんだよ」
「斬撃飛ばすだけでもおかしいのになんちゅうモン飛ばしてんすかあんたは!」
「うっせぇよマージ。お前もこれぐらいできるようになれ」
頭を抱えながらため息をつくマージを無視し、たしぎの元へ近寄る。
「大丈夫か?」
「はいっ! ……すいません、ジャックハートさん。私の詰めが甘いばっかりに」
「まあ少尉にまだそこまでは求めねぇ。ちゃんと鍛えな」
「はっ!」
綺麗な敬礼をジャックハートに向けるたしぎ。
そんな彼女の奥に見える島を見て、ジャックハートの口元が異様に歪む。
「ジャックハート中将。何か、いいことでも?」
「ケハハ。あれ見てみろよ、マージ」
「えっと……女ヶ島、ですか」
「あぁ。お前たちにはまだ言ってなかったが、今回のパトロールの途中にとある罪人を捕まえるんだわ」
「罪人?」
「”麦わらの一味”船長、モンキー・D・ルフィ。ま、本命はそいつを匿ってるって罪で、ボア・ハンコックなんだけどな」
「む、麦わらですか!?」
なぜ女ヶ島を経由するのかを大半の部下に一切伝えていなかったジャックハート。
その真相は、あの頂上戦争でも有名になった麦わらのルフィと、海賊女帝ボア・ハンコックの捕獲のためである。
「何の関係かは分かんねぇが、どうやら麦わらが女ヶ島にいるみたいでな。どうせなら同時に捕まえた方がお得だろ」
「し、しかし女ヶ島には我々は入島できないのでは……」
「そのために、まずは猿を捕まえておく」
「猿?」
ジャックハート一行を乗せた軍艦は一直線で女ヶ島へと向かう……ことはなく。
その北西にある島へと向かっていた。
「一体あの島は……?」
「ルスカイナっつう無人島なんだが、やたらと血気盛んな猛獣がいるそうだ。いやぁ、たまには海軍の図書館もバカにできんわ」
もちろんここに来る際に事前学習は欠かしていない。
好みの女を犯すためにはどんな努力も惜しまないのだ。
「試しに”見聞色の覇気”使えるやつ、島ん中確認してみろ」
「……これは、すごい……! 強い生命力を持つ獣が大量に……ん?」
「人の気配が、二つ……?」
「よく気づいたな」
島を探ると、蠢く強い生命体が無数に存在している。
しかしその中で、猛獣のそれとは少しばかり違う人の気配が2つあった。
「エテ公にどいつが稽古つけてんのか、ちょっくら見てやるか。お前らは島に船近づけとけ」
甲板を強く蹴り、ジャックハートは宙を駆けた。
月歩と剃の併用技である『剃刀』を用いること数秒。ジャックハートは無人島であるはずのルスカイナに上陸した。
「っと。おーおー、お盛んなこった」
上陸するや否や、ジャックハートに襲いかかる巨大なゴリラ。
「うるせぇよ」
“覇王色の覇気”で威圧し、気を失いかけたところで腹部に深々と拳を突き刺す。
口から泡を吹いたゴリラはそのまま倒れ込み、大きな物音と砂埃を起こした。
「……ケハッ。早速引っかかりやがったか」
そのゴリラの様子を見届けたジャックハートの視線は、今度は森の奥に固定される。
そこからしばらくして、ガサガサという音とともに二人の男の姿が見えた。
「ジンベエ、この辺か!?」
「うむ。……随分と大きな音じゃったが、一体何が……」
「麦わら、んで元王下七武海のジンベエか……」
大きくジャックハートの口元が歪む。
当初の目的だった餌となる猿だけでなく、突き詰めることが出来るいい餌も手に入ったのだ。
「よぉジンベエ。戦争じゃあ世話んなったな」
「ん? 誰だお前」
「な、なぜお主が、ここにおる……っ!?」
「あぁ? いちゃ悪ィかよ。俺ぁこれでも働きモンなんだぜ? 世界中をパトロールしてる途中なんだわ」
「じゃからといって、ここにワシらがおることが分かるはずないじゃろう! ジョー・ジャックハートッ!!」
「ッ! こ、こいつが……!」
ジンベエの口から現れた海兵の名を知り、ほんの少しだけたじろぐルフィ。
それもそのはず。そのジョー・ジャックハートという名は、頂上戦争の時にイワンコフとジンベエからこれでもかと言うほどの強さを聞かされていたからだ。
「レイリーさんがコーティング作業が遅れて来れない、と言うとったのはそう言う訳か……」
「それに関しては、俺は何もしてねぇよ? ただあのジジイが途中で突っかかってきただけで」
「……それでお主、ここに何をしに来た」
「だから言ったじゃねぇか。ただのパトロールだって」
両手を大袈裟に広げ、露骨なアピールをして見せるジャックハート。
その目線は、今度はルフィへと向いた。
「よぉ麦わら。……まっ、海兵がこんな島で海賊に会ったんだから捕まえなきゃいけねぇ訳だが……。っと、あぁ! そうだそうだ。お前にそういや聞くことがあったんだ」
これまたわざとらしく胸の前でポン、と手を付くジャックハート。
「お兄ちゃんとお仲間さんは、元気にしてっか?」
満面の優しい笑みを浮かべ、大きな声で朗らかに聞いた。
「ッ! お前ッ!!」
「ルフィ君!」
シャボンディ諸島で仲間をバラバラにされ、頂上戦争で兄を亡くした今のルフィにとって、海兵からのその言葉はこれ以上にない挑発となった。
「"ゴムゴムの"……!」
「ッハ!」
目の前の敵を倒すべく、この島に来てすぐに身につけることができた技で迎え撃つルフィ。
後ろに大きく伸ばした拳から手首あたりまでが黒く染まり、そこから蒸気が出た。
「"JET銃"!」
「うるぁっ!」
この島にやってきて約一ヶ月。
武装色の覇気の基本と、部分的な"ギア2"の即時発動でジャックハートに攻撃するも、それは無残にも同じ技で返された。
「な……ッ!」
「おかしいか? 何の悪魔の実も食ってねぇ奴がお前の技を使うのは」
「どけい、ルフィ君ッ! こいつは今のお前さんが敵う相手ではない!」
「何だよその言い方。まるで自分なら勝てるって言ってるように俺には聞こえるが?」
「そう言っておる!」
「ジンベエ!」
ジャックハートが放った見様見真似の"JET銃"に弾き飛ばされるルフィに変わり、今度はジンベエがジャックハートに肉薄する。
「魚人空手「奥義」……!」
「面白ぇ。魚人空手"2万枚瓦"……」
手のひらに水を集めるジンベエと、腰を落として拳を構えるジャックハート。
「"武頼貫"!!」
「"正拳"!」
二つの大きな衝撃がぶつかり合う。
「ぬぅ……っ! ぎょ、魚人空手……」
「んないちいち驚くなよ。魚人が編み出したから魚人空手だろ? 一般人が扱えてもいいじゃねぇか」
完全に拮抗したその衝撃は打ち消し合い、そのまま消えた。
実質ジンベエの最強技に等しいそれを軽く止められ、彼は内心冷や汗をかいていた。
「なあ麦わら。俺ぁ別にお前をとっ捕まえに来たのが最優先じゃねえんだわ」
「ルフィ君! 奴の言葉に耳を貸すな!」
「黙ってろよ元王下七武海。殺すぞ。……話を戻すが、俺はこの近辺に、とある女を捕まえに来たんだわ」
臨戦態勢を保ったままジャックハートの話を聞くルフィ。
羽織っているコートの内ポケットに手を突っ込んだまま、ジャックハートは言葉を続ける。
「麦わら、お前ボア・ハンコックって知ってっか?」
「お前っ! ハンコックに何すんだ!」
「何って、捕まえんだよ。海賊と海兵だぞ? 当たり前だろ。……あ? てか、なんでお前がボア・ハンコックのこと知ってんだ? お前みたいなやつには関係ねぇ女だろ」
「関係ねぇことねぇ! ハンコックは俺を助けてくれた、恩人だ!」
その瞬間、ジャックハートが耐えきれずに吹き出し、大声を上げて笑い出した。
「ケハハハハハハッ! そうかそうか、ボア・ハンコックはお前の恩人か、モンキー・D・ルフィ!」
「だったらなんだ!」
「いいや、なんでも。お前の恩人なら尚更捕まえねぇとな」
「させるか! 俺がお前を止める!」
「テメェ如きに俺が止められるかよ、コンドーム野郎」
「”ゴムゴムの銃乱打”!」
ハンコックを捕まえると宣言したジャックハートに向かって走り出すルフィ。
一方、目的が達成できたジャックハートはそのルフィの攻撃をヒラヒラと避ける。
「“覇気”も力も能力の使い方も速さも何もかもが足りねぇてめぇの一撃なんざ食らうわけねぇだろ」
「“ゴムゴムの象銃”!」
「……はぁ」
『紙絵』で技を避けると、今度は“武装色の覇気”を纏った巨大な拳が迫り来る。
「武装・神経強化」
着実にその距離が短くなる中、ジャックハートの全身の皮膚に黒い線が木の枝のように走っていく。
「
巨大な拳めがけて突き出される強烈な一突き。
激突する巨人族のように巨大な拳とジャックハートの拳。
質量では圧倒的にルフィに部があったが、それだけが勝敗を分けるはずもなく。彼の巨大な拳はジャックハートの拳に弾き返された。
「ぐあぁっ!」
「ケハハハ。軽いなぁ、お前の拳は。何のために戦ってんだよてめぇ」
「海賊王になるためだ!」
「これからもう楽しむ予定が入ってんのに、余計なジョークは今求めてねぇ。だから軽いんだよ。海賊なんてやめてママのおっぱいでも吸っとけや、童貞ヒョロガリコンドーム」
「ッ! まさかお前さん、ボア・ハンコック……いや、九蛇海賊団を……!」
「さあ、何のことだろうな。……ってとぼけんのもこれぐらいにしとくか。いつまでも、お前らみてぇな雑魚と遊んでる暇はねぇ」
ことの真相に気付いたジンベエが元から青い顔をさらに青ざめたものに変える。
「ルフィ君! こいつを何としてでも止めるんじゃ!」
「だから、3億やそこらに負けるわけねぇだろ。……うぜぇな、ったく」
ジャックハートが少し俯く。
臨戦態勢を再び整えたルフィとジンベエが彼の一挙一動を見逃すまいと注視する。
「死ねや」
放たれる、圧倒的なまでの"覇王色の覇気"。
元王下七武海であるジンベエはおろか、覇王色の使い手であるルフィすらも沈めるそれは、気づかぬうちに周囲にいた猛獣たちも全て気絶させていた。
「ま、こんなもんか。革命家ドラゴンの息子ねぇ。とんだクソザコじゃねぇか。強い子供に育ってくれないなんて可哀想に。うちのリリーとかダレスを見習ってほしいもんだ」
気絶したルフィとジンベエに近寄るジャックハート。
「今は船に男を乗せる気分じゃねぇからな……。とりあえず」
右足を思い切り後ろに下げ、倒れているジンベエの腹を蹴り抜く。
ただでさえ意識を刈り取られている中でのその一撃にジンベエは悲鳴を挙げることすらなく、力なく吹き飛んで行った。
「感謝しろよ。運がよけりゃ生きれるからな。……さて、お前にはもうちょい面白え遊び道具になってもらいてえからな」
白目を剥いて仰向けに倒れるルフィ。
その彼の顔の横にジャックハートはしゃがんだ。
「ありがとよ。テメェのアホな証言のおかげでハンコックちゃんはめでたく俺の性奴隷になることが確定した。お礼だ、受け取れっ!」
ルフィの顔めがけて、振り上げた拳を一気に振り下ろす。
「杭打ちッ!!」
バゴォンッ、という爆音とともに振り抜かれた拳が地面を穿つ。
まるでクレーターのように凹んだ地面の中央に、ルフィの顔が首が伸びた状態でめり込んだ。
「ケハハハハ。息ができるんなら生きてるか。……さてと、行くか」
ジンベエとルフィを倒し、ジャックハートはその足を船へと戻した。
船に戻る途中、ジャックハートは白いコートの中に隠していた電伝虫を取り出す。
「おいたしぎ。ちゃんと撮ってたか?」
『はいっ!ジャックハートさんと通話していた電伝虫が喋る様子を、カメコでしっかりと!』
「でかした」
たしぎから事前に伝えていた作戦が成功したことを伝えられる。
ニヤリと笑うと、ジャックハートはルスカイナを後にした。
◇ ◇
「それで、海軍の男が一体この女ヶ島に何のようじゃ? 頂上戦争の件と言っておったが」
「何、事情聴取だ」
「事情聴取……?」
普段は女ヶ島の周囲にすら立ち入ることが出来ない海軍。
それが今回特例でこの女ヶ島、それも九蛇城への立ち入りを許可されたのは、先日白ひげが死んだ頂上戦争についてだった。
「あぁ。それにしても、まさかあれ一枚で俺を女ヶ島に入れてくれるとはな」
「ッ! 天竜人、世界政府、五老星からの強制入島許可証など、どうやって入手したのじゃ……」
「これでも多少顔は効く方でな。ちょいとお願いすれば半日もせずにもらえるのさ」
ジャックハートが今いるのは、九蛇城の中で最も神聖な場所の一つである"女帝"ボア・ハンコックの自室。
普通ならば入島すら許されないこの場所に入り込めた理由こそが、許可証だった。
並の要請なら即決で断ったハンコックだが、許可を出している面々を聞いておとなしくジャックハートに従ったのだ。
身勝手な彼女も、一応は一国のトップ。それらに歯向かって無事でいられる保証はなく、国民を守った。
「それで、そんなものを持ってきていったいわらわに何の用じゃ」
「落ち着けよ」
「それは?」
ハンコックに急かされジャックハートが取り出したのは、一つの文書。
「おほん。『先日の頂上戦争において、ボア・ハンコックの海軍への攻撃が確認された。その真意を求める』……だとよ」
「わらわはが戦争で何をしようとも、わらわの自由じゃ」
「なるほどねぇ。じゃあ、本題に入ろう」
「……」
ハンコックは、先ほどから目の前にいる海兵からひしひしと嫌なものを感じていた。
下卑た視線もあるが、それは九蛇海賊団として海に出ている間も男から見られているのである程度は慣れている。
しかし、他のどこかで、本能が受け付けていなかったのだ。
「『また、ボア・ハンコックには海賊"麦わらのルフィ"を匿っている容疑が掛かっている。確認され次第、報告すべし。王下七武海の資格剥奪の元、捕獲を命ずる』……これが本題だが、何か言うことはあるか?」
「お、大アリじゃ! わらわがどこにルフィを匿っているという証拠が!」
「『何って、捕まえんだよ。海賊と海兵だぞ? 当たり前だろ。……あ? てか、なんでお前がボア・ハンコックのこと知ってんだ? お前みたいなやつには関係ねぇ女だろ』『関係ねぇことねぇ! ハンコックは俺を助けてくれた、恩人だ!』」
「なっ……! る、ルフィ……?」
ジャックハートが流したのは、たしぎに言って撮っていたジャックハートと麦わらのルフィの会話の様子。
ハンコックが青ざめた表情でカメコを睨む。
「この恩人ってのはどういう意味だ?」
「……し、知らん。ル……麦わらの、妄言ではないのか?」
「ほう、そうかそうか。ではルスカイナで死にかけの麦わらを叩き起こして証言させるとするか」
「ッ! どういうことじゃ! ……はっ」
ハンコックは気付いた。嵌められた、と。
「ケハハハ。やっぱそうか。シャボンディ諸島で飛ばされた麦わらがここに上陸。あの猿に協力してインペルダウンまで連れて行き、戦争でもあいつを助けた、と」
「者共、出合え!」
ジャックハートに完璧にシナリオを言い当てられたところで、ハンコックは叫んだ。
扉や窓から弓を構えた女兵士たちがジャックハートを狙う。
この兵士たちも、嫌な予感を察知していたハンコックが命じて待機させていたのだ。
「あ? んだよこの情けねぇ覇気は。ガキのおままごとか?」
「何……!?」
「わ、私たちの覇気が効かない!?」
九蛇の兵士たちは外海に住む普通の男よりも強い。
それはただ武芸に長けているだけではなく、覇気の扱いが上手いためである。
だが今回は、相手が悪かった。
「てな訳で、"麦わらのルフィ"の隠匿罪、海軍への反逆罪、今の公務執行妨害により、"女帝"ボア・ハンコックを王下七武海から除名とする」
「勝手にしろ!」
「ケハハハハッ! 始めようか!」
サンダーソニアやマリーゴールドといった九蛇海賊団の面々に加え、マーガレットなどの国を守る戦士も揃えた上での戦い。
だがそんなもの、ジャックハートにとってはお手の物だった。
「っらよぉ!」
「ガッ……!」
「姉様と同じ、"覇王色"……!!」
「いや、なんじゃこれは……! わらわのものよりも、数段強い……!!」
「将来は俺の元気な子を産んでもらう母体になるんだ。できるだけ怪我はさせたくない」
「メロメロ甘風!」
ハンコックが手でハートの形を作って両手を振り下ろす。
その手から出る光線に触れたものは老若男女問わず石化してしまう。
もちろんこの目の前にいる男も石化する、はずだった。
「な、なぜ石化せぬ!」
「簡単なこった。確かにお前は美しいが、メロメロになんのは俺じゃなくてお前の方だ」
「ふざけたことを!」
「せいぜい楽しませてくれよ? そのお遊び程度の弱い覇気で」
戦士たちが弓から刀に武器を変え、ジャックハートに襲いかかる。
しかしそれでも、白兵戦でジャックハートに敵うはずなどなく。
「あっけねぇな蛇姫。いや、ハンコックちゃん」
「くっ……!」
ボア・ハンコックを残し、全ての九蛇の戦士は気を失っていた。
「アマゾン・リリー皇帝として、最後に言うことはあるか?」
「……一つ、頼みがある」
「なんだ?」
「無人島、ルスカイナで修行をしているモンキー・D・ルフィの捕獲を、諦めて欲しい……!」
「ケハハ。そんぐらいならいいぜ。あんな猿、俺にとっちゃ放っといてもなんの脅威にもなりゃしねぇ」
「くっ……!」
ギリッ、と唇を噛み締めるハンコック。
目の前で高笑いを続けるたった一人の海兵。
立場は中将と言っていたが、以前近海にやってきたモモンガとは次元が違う強さを有していた。
「あぁ、自己紹介がまだだったな。海軍本部中将、そして時期大将候補筆頭のジョー・ジャックハートだ。以後、よろしく」
「ジョー・ジャックハート……! お主が……!」
「たまにいるんだよ、ハンコックちゃんみたいに俺の名前だけ知ってるやつ。なんでだろうな」
本人は本気で分かっていないが、理由は単純。
目撃者が少ないためである。
海軍本部に近いシャボンディ諸島では顔が知れているが、それ以外の島では住民に遭う前に任務を終え、次の目的地に向かっているのだ。
海賊たちを取り逃がすこともなく、女は手元に置き、男は殺すかインペルダウンに送るので、必然的に顔がバレることが極端に減るのだ。
「行くぞ」
「……海楼石の錠はかけんのか」
「俺から逃げれねぇことぐらい理解してんだろ? ……あ、出た。おいマージ! 九蛇の戦闘員全員ぶっ倒したから城から運び出しに来いや! 住民も共犯者として連れてけ!」
『はっ!』
ハンコックとの話の途中でジャックハートは電伝虫でマージに伝達を行う。
「さ、て、と。お楽しみの物色タイムといきますか」
「何のつもりじゃ…!」
「あん?俺の名前知ってんなら分かんだろ。俺の手元に置く女を選んでんのさ」
ジャックハートの瞳がより下卑たものへと変わる。
それから行われるのは、史上最低の値踏み。
気絶した女たちの顔を身体をねっとりと舐め回すように見つめ、奴隷を決めていくジャックハート。
「もちろんハンコックちゃんは問答無用で決定だからな」
「……!」
「どうしよっかなーっと」
まるで子供がおもちゃを選ぶような感覚で選んでいくジャックハート。
年齢よりも幼く見えるその行動がハンコックの心を抉っていく。
「とりあえずはこの子か」
ジャックハートが選んだのは、以前ハンコックが処刑しようとしていたマーガレットだ。
ルフィにより命を救われたその少女が、無残にも選ばれてしまった。
「あとはいくらでも自由に決められる。……さて、行こうか」
ハンコックの豊満な尻を揉み、歩かせるジャックハート。
この日、女ヶ島からアマゾン・リリーという国が消えた。
住民が居なくなった島には風が吹くこともなく、ただの物静かな島へと変わった。
あっ、タグつけ忘れてた!付けてこなくっちゃ!
はい、お待たせしました!次回はハンコック!それからちょくちょくマーガレットちゃん!
史上最悪、の片鱗を見せたジャックハートさんです。これからもうちょいエグい展開を考えてるので、お楽しみに。
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