子供の頃じゃ本番描写書きづらいんじゃ……おねショタにぴったり当てはまるジャックハートとか想像できなかったんです……。
その代わりですが、海軍入隊直後のお話はバッサリカットいたしました。
新世界編は本番いっぱい!ストーリーも大きく動く!
ちょろ可愛くなったアインちゃんで許して……。
ジャックハートがエリックの弟子になり、訓練を始めてから3年後。
「なぁ師匠、さっきから攻撃が遅いぜ」
「君が速くなっているんだ……っ!」
訓練を始めた当初こそエリックの"悪魔の実"の能力すら使う必要がない程に隔絶した力の差があった2人。
素手だけの組手を繰り返して2ヶ月が経過した頃から、元からセンスの良さを見せていた戦闘能力が一気に開花していったのだ。
「へぇ、そうなんだ。もっとボール増やしてもいいんだけど」
「さすがにこれ以上の数をこの速度、精度で操作することは難しいな。50個のボールでほぼ同時に多方面から攻撃してるんだ。それで我慢してくれ」
「ん。"見聞色"と"紙絵"使えば、大体の攻撃って避けられるんだな」
「そうだ。……全く、一体どこで六式なんて覚えてきたんだ……」
「最近よく、見慣れない変な格好してる人達とか海軍が海岸線にいるから見てたんだ。その人たち、スラムに隠れてる人を探し出して捕まえてたから」
会話をしながらではあるが、現在進行形でエリックはジャックハートへの攻撃の手を緩めてはいない。
実戦を離れて10年以上経過しているが、自分の"悪魔の実"の能力は中々に小回りや応用が効きやすい能力だと自負している彼にとって、僅か8歳の子どもに全ての攻撃を躱されているという事実に、乾いた笑いしか生まれなかった。
「師匠のボールって、直径1cm無いと実体を持たせられないんですよね?」
「あぁ。それ以上に小さくし、目に見えない程にも出来るがその場合は実体がない。触れれば感知は出来るがそれだけだ」
「ふーん。じゃあ、このままならあんまり怖くないな」
「……何?」
この3年間でジャックハートは確かに強くなった。
"見聞色の覇気"、"武装色の覇気"、彼が自分で見て得た六式のうちの数種類、そしてその心身の成長と共に強度を増した"覇王色の覇気"。
六式は子どもならではの身の軽さにより使うことが出来るものしか使えないが、それを抜きにしてもとても8歳とは思えない強さを得た。
「だって師匠、"武装色"苦手でしょ?」
「確かに苦手だがまだ君には―」
しかし、それでもエリックはまだジャックハートに負けてはいないという自信があった。
"新世界"後半まで共に戦ってきた"ボルボルの実"の能力。それは絶対に負けないと、信じていた。
「だからさ、師匠」
エリックの言葉を遮るように少し声を張り、その場に止まったジャックハート。
もちろんその瞬間にジャックハートの身体に無数のボールが飛来し、その全てが直撃する。
「っ、おい、ジャックハートくん!」
「安心してよ。こんな軽い攻撃、もう効かないって」
しかし、両腕を身体の前で交差するように顔をガードし、
煽られたとはいえ自分の能力による攻撃が全て直撃したことを心配したエリックが能力を解除すると、ジャックハートは首をゴキゴキと鳴らしながら歩き始めた。
「……なぁ、前から言ってんだろ? 師匠も感覚が戻ってきてるけど、俺も強くなってんだって」
「まあそれは知っていたが、ここまでとはな。……地下闘技場にも、出ているんだろう?」
「うん。戦えるし金も貰えるし、一石二鳥だよ」
「……まさかとは思うが、クスリに手を出すつもりか?」
「そんな訳ないって。強ぇやつと戦うとか、ボコボコにする方が気持ちよさそうだし」
両親とは違う方向性でとんでもない才能が遺伝している、とふとエリックは考えた。
ジャックハートの父、ディヴェッドは自分の成功のためなら他人を一切厭わない、その上で悪知恵が働く男だ。
"快王"という通り名のように、違法薬物を全世界にバラまき、魑魅魍魎の大海賊時代の改悪に拍車をかけている。そしてそれだけでなく、貴族には自身も使っている媚薬を売りつけることで、その快楽に依存させている。
対する母、アルルシェフはディヴェッドよりは直接的な被害は小さいが、その巧みな話術は脅威だ。普段はラスム島唯一の良心と言ってもいい教会のシスターをしているが、裏ではそこで集めた金を使って好き放題に過ごしているだけ。
「それに、親父たちのクスリ使ったら身体弱くなるんだろ? そんなもん、使わねぇよ」
「なるほど。つまり君は、クスリでの快感を得るよりも、戦いたいということか」
「そういうこと。だから、闘技場だって師匠に止められても行くし、スラムにいるムカつく奴をボコりにも行く」
そんな両親からジャックハートに芽生えてしまった才能は、戦闘に対する意欲の高さだ。
ディヴェッドもアルルシェフもジャックハートの前で自分たちの本当の一面を隠すことはなかった。また、生まれた環境という要因も混じり、ジャックハートが戦いというものを知るのは遅くなかった。
「前にさ、親父が言ってたんだよ。この世で一番信頼できるのは、自分が手に入れた力だ、って。政府や海軍が正義で、賞金首や海賊が悪じゃない。力を持ったものが正しくなる」
「……間違ってはいない、とだけ言っておく。この大海賊時代、どこに本当の平和があるのかなんて誰にも分からん。自分の欲しいものは自分で手に入れる。それは誰でも一緒だ」
そこに加わる最大の要因が、現在の世界情勢だ。
"海賊王"ゴールド・ロジャーの処刑での最後の言葉により始まってしまったそれは、世界中を混沌とさせるには十分だった。
"
その後半の"新世界"のさらに後半のこの島に生まれてしまった以上、自衛の意味でも訓練は必要だった。
「なあジャックハートくん。修行を始めた時は曖昧に圧倒的な力が欲しいとしか言っていなかったが、今はその力を手に入れて何がしたいんだ?」
「んー……。なんだろ、分かんねぇ。強くなりたいのもムカつく奴をぶっ飛ばしたかっただけだし、海にもそんな興味ねぇもん」
「……ま、それは後で考えればいいさ。海賊になるにしろ、師匠として君の将来は応援させてもらうよ」
「ん」
先ほどのボールの直撃の後、エリックの元へと歩み寄り、彼を見上げていたジャックハートが小さいながらもしっかりと頷く。
まだ二桁にも満たない年齢の子どもとは思えないほどに決意の籠ったその瞳に、エリックは満足そうに微笑んだ。
「よしっ。なら今日の修行は終わりだ。ちゃんと身体は綺麗にしておくんだぞ」
「やだよ、面倒くさい」
汗をかいた身体のままジャックハートは屋敷の地下に作られたトレーニングルームを後にした。
急な石階段を上がり、普段自分が生活している居住スペースへと上がると、そこにはいつも通りビンのまま酒を煽っている実の父の姿があった。
「おうジャックハートッ! 修行は進んでるか?」
「うん。……母さんは?」
「セックスの途中に外で暴れてた奴らが気に入らねぇってんで、ぶっ殺しに行ったぜ」
日中、この家で起きている間はクスリを堪能しているかディヴェッドとの性行為を楽しんでいるかの二つしかしない母親がおらず、思わず探してしまう。
しかしその理由を聞くとともに納得する一方で、一つ疑問に残ることがあった。
「……なあ親父」
「お? どした、お前が俺に何か聞くなんて珍しいじゃねぇか」
「セックスってそんなに気持ちいいのか?」
首をコテンと傾げながら、純粋無垢な瞳を父に向けるジャックハート。
その子どもの様子にディヴェッドは数秒間停止した後、豪快に笑い飛ばした。
「そりゃお前、気持ちいいに決まってんだろ! お前が女のことが好きなら、絶対に気持ちいい。保証するぜ」
「でも、師匠は親父みたいにハマりはしないって」
「あいつは相性のいい女に出会わなかった、それだけだ! ……いいか、ジャックハート。これだけは覚えとけ」
酒を飲み、セックスに溺れ、金の力を使い自分の身を保身し、ドラッグの売買で金儲けをする。
普段からそれだけのことしか考えていないディヴェッドでもジャックハートにとっては身近な血の繋がっている実の父親。
「自分の女にしてぇと思った奴が出てきた時は、なんとしてでも手に入れろ。んなもんは、極上の料理を前にして下げられるのと同じぐらいに屈辱的なもんだ」
「別に興味ないんだけど」
「じゃあオメェ、他の男どもに男としても魅力で負けてるって考えたらどうだ。その女を愛し、虜にしてやれる一番の男。お前が女に興味が出てきたんなら、それを目指せ。俺もアルルがヤク中だって知ってから、自分でクスリ作ってあいつを落としたんだ」
「へー」
心底どうでもいいという感情を思いっきり表情に出し、さらにはその様子をディヴェッドに見せることなくその場を立ち去ろうとするジャックハート。
元々子育てにそこまで精力的ではなかったディヴェッドだが、あんなことを質問してきた息子に、一つだけ言葉をかけた。
「おい、ジャックハート」
「ん?」
「どんな奴にも舐められねぇ、負けねぇ、自分を貫く、強い男になれ」
「……言われなくてもなるつもりだっての」
そう言い残し、ジャックハートは屋敷の外に出た。
◇
『さぁッ! やってまいりました本日のメインイベントッ! この地下格闘技場のオーナーであるジョージ・ディヴェッド氏の実の息子にして、先日のリーグ戦では見事最年少優勝を成し遂げた期待の新星、ジョージ・オル・ディエゴ・ジャックハート選手っ!』
自然の日の光が一切入らない、男の野蛮な声に包まれた地下格闘技場。
鉄骨や照明がむき出しで、その照明はただステージに立つ選手とそのリングしか照らしていない。
そんな場所に、ジャックハートは名前も知らない謎の女性剣士を前にしていた。
『対するは、つい先日このラスムにやってきたという謎の女性剣士! 職業は言えず、何が目的かも言わないとのこと! たった一つ私たちが知っているのは、剣士であるということと、この選手の名前だけ! アイン選手!』
ジャックハートの時と比べ、アインという選手に下品かつ淫猥な言葉が飛ぶ。
その飛んでくる耳を塞いでしまいたくなるほどの汚い言葉の全てを聞き入れつつも、アインは真っ直ぐにジャックハートだけを見ていた。
『しっかァしッ! 皆さんもご存知の通り、この地下格闘技場は勝者こそ正義! 財産を渡せと言われれば敗者はそれに従わなくてはなりません。無論それは、僅か8歳のジャックハート選手にも、17歳のアイン選手にも適用されます!』
リングに最も近い実況席でマイクを握る男は、敢えて観衆の興奮を煽るように高らかと歌うように続けていく。
その中でリングのジャックハートとアインに一切確認を取るようなことはなく、淡々と進行される。
『それでは両者、お互いに求めるものを宣言してください!』
司会がそう言った途端、湧いていた観衆が一気に静まり返る。
物音一つ立てることなく選手の一番の欲求を聞き入れる試合前のこの一瞬は、この地下格闘技場の大きなポイントなのだ。
「私は――」
リングから響く、透き通るような美しい声。
もちろんその声は幼いとはいえ男のジャックハートから出たものではなく、成長してきた女性であるアインから出たものだ。
「ジャックハート選手に聞きたいことがあります。この島に来たのも偶然ではなく、それが目的です。なので、もし私がこの試合に勝てば、私の質問全てに答えてもらいたい」
『おぉっとぉっ! 試合前のこのタイミングで、アイン選手がここに来た理由が分かりました! この要求に対し、ジャックハート選手は何を求めるのかっ!』
アインの見つめる先にいるジャックハートは一瞬だけ逡巡したそぶりを見せ、顔を上げた。
金や権力、制圧力といった面でラスムのトップに君臨するディヴェッドの息子が何を求めるのか、観衆とアインが真剣に見つめる中、ジャックハートは口を開いた。
「……俺は、女が欲しい。もし俺が勝てば、俺の女になれ」
『な、なんとジャックハート選手っ! 求めるものはアイン選手自身っ! 確かに贔屓目に見ても素晴らしい美貌を誇るアイン選手ですが、僅か8歳のジャックハート選手の心を早速射止めてしまったようだー!』
ジャックハートが求めたのは、これから戦うアイン自身。
先ほど父と交わした会話やこれまでに得た情報から、単純な興味の対象としての要求だった。
「それに、試したいこともあるんだ。いいよな」
「……えぇ、構わないわ」
8歳の子どもに日々辛い訓練を受けている自分が負けるはずがない。
絶対に油断はするな、と言われたが目の前の小さい体を見て、気が緩んでしまった。
『最後のルール確認として、殺しはなしです! ここで戦えるファイターが減ってしまっては面白くありませんからねっ! また、先ほど要求したものを拒否することもできません! 拒否した場合、その選手にはキツい罰が与えられます!』
その結果。
『それでは、試合開始ィーッ!』
開幕と同時に最大威力で放たれたジャックハートの"覇王色の覇気"に、観客や司会同様に気を失ってしまうのだった。
◇ ◇
「んっ……。ここ、は……?」
「俺の部屋だよ。おはよ、よく寝てたね」
「っ! あなたは……」
「ジョージ・オル・ディエゴ・ジャックハート。長いからみんなからはジャックハートって呼ばれてる」
アインが目を覚ましたのは、見慣れない天井が見える寝室のような場所。
身体を起こして周囲と自分が寝ていたものを確認してその認識が正しいことを確認すると、自分が寝ていたベッドのすぐ側にいた少年に声をかけた。
「私は……負けたの?」
「うん。"覇王色の覇気"っていうやつらしいんだけど、お姉さん知ってる?」
「……いいえ、知らないわね」
「海兵なのに?」
「……え?」
目の前の子どもの口から飛び出た言葉に、文字通り血の気が引いた。
アインは、海軍本部所属の海兵だ。それも、ここ数年にかけて昇進を繰り返しており、つい先日17歳という若さながらにして海軍将校になった有望な海兵である。
その実力と、まだ"新世界"では顔が知られていないこと、そしてその美貌を買われてラスムでの潜入任務に当たっていたのだ。
「お姉さんずっと気絶してたからさ、俺がお姉さんの控室に行って荷物持ってきたんだ。その中に入ってたよ、海軍の制服」
「そう……。どう、するの?」
「別に。誰にも何も言わないし、俺は海兵に何も思ってないもん」
「……なら、あの闘技場で言っていたことはどうするの?」
海軍の制服ではなく、ラスムに紛れるために私服に身を包んでいたアイン。
もちろんベッドの上に寝かされている今も、その格好に変わりはない。
いくら目の前にいるのが子どもとはいえ男は男。
言われた言葉に対する恥ずかしさといったものから、頬が赤く染まっていた。
「うん。それは、その……してみたい」
「やっぱり、そういうことに興味があるのね」
十年後の彼ならば有無を言わせずにすぐに愛することを求めたかもしれないが、今の彼はまだ子供。
少しずつ片鱗を見せつつあるとはいえ、まだ自分が体験したことのない女体への興味や興奮から、少しだけ鼻息が荒くなっていた。
「あの闘技場での要求は、一回だけって約束なんだ。財産全部って要求なら一度で全部渡さなきゃいけないし、恨んでるやつを対戦相手にして殺したいなら、一発で殺す権利を与えられる」
「それほど無秩序だったのね……」
「やっぱり。お姉さん……いや、お姉さんたちって、親父を捕まえに来たんでしょ?」
「っ!? し、知ってた、の……?」
「うん」
自分が、否、自分たちが、とジャックハートは言った。
つまりアインだけでなく他にも隊を組んだ海兵たちがこのラスムに来ることを分かっており、その上で誰にも何も言わないと言ったのだ。
「俺は……親父に対して何も思ってないから。もちろん、母さんも。こんな頑丈な体に産んでくれたことには感謝してるけど、あの二人がとんでもなく悪いことをしてるのは、ダメだと思う」
「……じゃあ、両親が捕まってもいいの?」
「うん、いいよ。だってまず、ここじゃ弱くて捕まるほうが悪いし」
ジャックハートの言葉は間違いではない。
3年ほど前から一月に数回程度、海軍がこの島を訪れているのをジャックハートは知っていた。その度に捕まるのはラスムの中でも弱い人間ばかりで、確かな実力を持っている者はその度に退けていた。
そもそもの話、悪いことをしているのならば捕まれば終わりなのだから、捕まるほうが悪いのだ。
「お姉さんが俺に話を聞きたいってのも多分それでしょ。別にいいよ、話しても。俺もここから出たかったし」
「なら……それなら君は、これからどうやって生きていくの?」
「……考えてなかった。まあ、なんとかなるでしょ」
「人を殺して強奪したり、人に悪いことをするようになったらお父さんと同じよ」
「……それは、ヤダ。あんなのと一緒にはなりたくない」
その言葉に、アインは心の中で胸をなでおろした。
こんな環境で生まれ育ってしまった多感な子ども。もしかしたら父親のような他人を自分の踏み台としか思わない人間に育ってしまっているのではないか、というのは海軍内部でも議題に挙がっていたことだ。
だが、ジャックハートは確かに父は悪で、そうはなりたくないと言い切った。
「あ、てかお姉さん。話反らそうとしてる」
「……そ、そんなこと、ない」
「今日親父が教えてくれたんだけどさ、セックスって気持ちいいらしいんだけど、知ってる?」
「ふぇえっ!? せ、せっく……す……」
そういうとこを望んでいるのだろう、という予想はできていたが、いざ言葉に出されると恥じらいが出てしまう。
普段から冷静を保っているアインだが、彼女もまだ思春期の17歳の少女。
生々しいものを想像してしまい、急に体が火照りだしていた。
「……いいわ。元から、そういう約束だったもの」
「お姉さん、どうやるか知ってるの?」
「…………えぇ。そういうことは、少しなら習ったわ」
「え、海軍ってエロいんだ」
「ち、違うわっ! その、勉強する場所があって、そこで教えられたのよ!」
完全に冷静さを失ったアインが、真っ赤になった顔のまま声を張り上げる。
闘技場での勝者に与えられる権利ということで逃げ道もなく、二人が体を重ねるという事実が現実味を帯びていく。
「そもそも、できるの?」
「え?」
「えっと……お、おちんちんが大きくならないと、セックスはできない……のよ?」
自分の知っている知識を出すアイン。
このぐらいの年齢の子どもがちゃんとできるぐらいのサイズまで勃起するのか。
「あぁ、それなら大丈夫だよ」
「……そう」
アインは、心の底から嫌がっているわけではない。
そもそもの話、負けてしまったのだから従わなくてはならない。
要求を飲み込まなければ罰を受けるというのもあるが、ジャックハートが与えてくれた情報の対価として支払うのなら仕方ない、と割り切っていた。
「……それじゃあ、脱がせてくれる?」
「う、うん……」
「そ、それと」
訳の分からない初めての感情に襲われ、股間に違和感を覚えるジャックハート。
そんな彼の様子に気づかず、アインは続ける。
「私も、初めてなの……。こう言っても分からないかも知れないけど、優しくして……ね?」
アインの恥じらいを帯びたそのセリフに、幼いジャックハートの中に何かが芽生えた。
◇ ◇ ◇
「で、なんじゃあアイン。そのガキは」
「はっ! えっと……」
「ジョージ・オル・ディエゴ・ジャックハート。あんたたちが捕まえようとしている、ジョージ・ディヴェッドの実の息子って言えば分かって貰えるとは思うけど」
ラスム近海に泊めていた海軍の軍艦のうちの一隻。
サカズキとセンゴクという海軍の重鎮がいる今回の作戦の中心となるその船の内部に、ジャックハートはいた。
「"快王"のガキか……。そいつは対象じゃないはずじゃが、なぜ連れてきた」
「アンタ達、親父と母さん捕まえたいんだろ? 手伝うよ」
「……なんじゃと?」
ジャックハートの言葉にもちろんサカズキは耳を疑った。
相手はまだ子ども。実の親が捕まるかもしれないと聞いて、それを手伝おうとしているのだ。
「あの二人が悪いことしてるのは知ってる。それは、絶対ダメなことだって島のまともな人はみんな言ってる」
「なるほど。子どもにすらそう思われてるとはのぉ……」
「それに、アインちゃ……アインさんから聞いて、海軍にちょっと興味が出た」
その言葉を聞き、サカズキは呆れるようにジャックハートから視線を切った。
「海軍は子どものお守りのための施設とは違う。どこか安全な島の平和な家庭に養子にでも……」
「その件なんですが、1つよろしいですか」
「なんじゃ、アイン」
船の奥へと歩こうとするサカズキを、アインの一声が止めた。
先ほどからアインの左手とジャックハートの右手が繋がれていることを少し不思議には思っていたが、そのことか。
そう思っていたサカズキの、否。その場にいる海兵全員の度肝を抜く事実を、アインは口にする。
「ジャックハートくんですが、"覇王色の覇気"を含む3種の覇気と、六式の一部を使えます」
「……冗談を言うちょるんなら、即刻除隊処分にするが」
「本当です。私が地下格闘技場に潜入した際も、観客の全員が一瞬で意識を失うほどの"覇王色"です」
「お前はどうなった」
「……恥ずかしながら、私も気を失いました」
その事実にサカズキとセンゴクの表情がより一層厳しいものとなる。
8歳の子どもが、海軍将校を気絶させるほどの"覇王色"の才能を開花させているという事実。
そして、このままのさばらせてしまい、厄介な海賊にでもなられたらという一抹の不安。
「……小僧。海軍が遊びではないことを分かっていて、入りたいと言うちょるんか」
様々なことを天秤にかけた結果、サカズキとセンゴクはアイコンタクトで意思疎通をし、彼を海軍に迎え入れようとしたのだ。
「分かってる。人を殺さなきゃいけないこともあるんでしょ?」
「そうじゃ。相手は厄介な能力者どもの場合もある。お前に、しっかりとした"正義"を掲げて、犯罪者どもを片っ端から捕まえる覚悟はあるか?」
「うん」
「お前がやろうとしていること、ワシらがこれからしようとしていることは、遊びとは違うけぇの」
「……ラスムには、遊びなんてないよ。クスリか戦い、どっちかしかない」
その言葉に、近くにいた若い海兵達が身震いした。
ラスム島には基本的に、高額賞金首の中でも野蛮な男海賊が多い。
そもそもの話腕っぷしが強いため、女海賊よりも生き残る確率が高いためだ。そのため、ジャックハートのような子どもはとても珍しい存在となっている。
「ぶっちゃけさ、本気で出て行きたいんだ。それに何より―」
ビリッと辺り一面の空気が張り詰める。
先ほど話題になっていた"覇王色"が漏れでると共に、ジャックハートの顔が子どものものとは思えないほどに凶悪なものへと変わる。
「―海兵になりゃあ、調子に乗ってる海賊どもぶっ殺してもいいんだろ?」
「……"覇気"を抑えろ。こりゃあ確かに本物じゃわい。だが、肝心なのは"正義"を重んじる心。ジャックハート、お前に何か守りたいものはあるか?」
「アインちゃん」
「ちょっ!?」
「ん?」
サカズキがジャックハートの"覇気"と悪を倒すという心構えを認めたところで、ジャックハートが軽く爆弾を投下した。
一気に顔を真っ赤に染め上げるアインと、その様子を不思議そうに見るサカズキとセンゴク。
「……ふむ、なるほど。ディヴェッドに近い人物に近づけ、とは言ったが、まさか……」
「ち、違うんです! その、彼に出会うには地下闘技場に行くのが一番早い、という情報を得て……。それに、私が負けたので彼の要望を飲まなければならず……」
「海兵が違法地下格闘技場に潜り込む。別に律儀にそこのルールを守る理由もないじゃろうて」
「うっ……」
頭上で飛び交う言葉のやり取りにジャックハートは頭を抱えつつ、先ほどまでのアインとの気持ちいい行為を思い返していた。
互いに裸になり、理由はなんとなくしか分からないが大きくなった陰茎を奥まで咥え込む彼女の膣肉。
盛大に乱れ、大きく喘ぐ彼女が上下する様を寝転がりながら眺めていた記憶を、何度も何度もリピートさせる。
「自分でも、よく分からないんです。"覇王色"で気絶させられてから目を覚ました時から、変な気持ちになるんです……」
「1000万人に一人という才能に隠れた魅力か何かしらに惹かれたか、単に疲れが溜まってきていたところを口説かれたか……。どちらにせよ、うちで預かることになるんなら、きっちりシゴいちゃるけぇの」
「ん、俺も強くなりたい」
「ならジャックハート。お前が本当にその覚悟があるのか、見せてもらう」
まだ正式に入隊すらしていないジャックハート。
つまりはまだただの子供である彼に向かって、サカズキは残酷とも言える初任務を言い渡した。
「お前の両親を、今日中にこの船に連れてくる。生死は問わん。これが、お前の初任務じゃ」
◆
「――で、その後はこの前話した通りだ。覚えてんだろ? お前らをボコボコにして捕まえて俺は晴れて海軍入り。一旦海軍から離されて、
「……まさか、ここまでなっているとは、な……」
「俺ァお前とは違う。強さの重要性を教えてくれたことに関しちゃ感謝しているが、実際のところ訓練をつけてくれたのは師匠だ。ま、今は俺の方が強いけどな」
「当、然……だろう。お前、は、海軍大将になったんだからな……」
時は戻り、インペルダウンのLEVEL4。
そこに、ジャックハートの実の父である"快王"ことジョージ・ディヴェッドは収容されていた。
「大変だったんだぜ、そこから。改名手続きやら、もう海賊をする気が無かった師匠に恩赦を与えてくれるようにお願いしたりとか」
「アルルは、アルルはどう……してる……」
「あの人は変わらずLEVEL3だ。まだお前のクスリのせいで狂気を撒き散らしてる最中だ」
ジャックハートの言葉に力なく反応するディヴェッド。
元々彼自身が腕っぷしが強いわけではなく、インペルダウンの過酷な環境は平静を保っていられるものではなかった。
「あぁ、もう一つお前が教えてくれて良かったことがあるぜ」
「……セックス、か」
「ケハハハッ! なんだ、知ってんのかよ。今も世界中の美女を合法的に抱き、合法的にいい気分になり、合法的に犯罪者をぶっ殺してる。お前らがアホな手本見せてくれたからだぜ」
11年前と変わらない屈託のない笑み。
その中にあるものはほとんどが変わってしまっているが、彼の中にある意思は変わっていない。
「俺は、お前らみたいなただのアホなクズにはならねぇ。一応、正義はかざす。悪は倒す。だからそれ以外を好き勝手にするんだ」
「……あぁ、それで、いい。男なら、一度決めたら……やり、通せ……」
「言われなくてもやってるっての。んじゃ、また数年後に会いに来るわ。ここちょいと暑ィしな。臭えとこに何回もきたくねぇ」
「ははっ……。それ、は……同感だ」
面会時間も残りわずかとなり、来た道を戻ろうとするジャックハート。
しかし、その途中で足を止めた。
「お。でも、外の情報ぐらいはここの知り合いに頼んで仕入れさせるわ。新聞でも読んで暇つぶししとけや」
そう言って、今度こそジャックハートは実の父に背を向けた。
そして舞台は6ヶ月後。
頂上戦争が終わりしばらくして、"麦わら"モンキー・D・ルフィーが再建中の海軍本部で"オックス・ベル"を16点鐘してからちょうど2年後へと移る。
次回から、本格的に新世界編です。
多くは語りません。お楽しみに。
コメント、評価などお待ちしております!
今後の本番シーンについて、主にどんな内容が良い?
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主要キャラの一部を濃く
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主要キャラメインで大人数を書く
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作者好みのキャラで濃く
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現在対象キャラ全員
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このキャラを!(感想に書いてください)