ここら辺から登場キャラまた増えてくる予定なのでごっちゃにならないように気をつけないと……。
感想などは、絶賛お待ちしておりますよー!
いっぱい来るとそれだけで喜ぶので、ぜひともよろしくですっ!
「アイン、ちゃん……だよ、な? なんで、ここに」
「あなたが海軍本部大将になったって聞いて、急いで戻ってきたの」
「支部の中将してたんじゃなかったのか?」
「押しつけてきたわ。……もう、他に言うことはないの?」
「……あぁ、悪い。おかえり、アインちゃん。俺も会いたかったぜ」
シャボンディ諸島での感動の再会。
と言うには少しリアクションが小さいものだが、二人ともすでに成人した大人。
外に出すほどに大きな動きはしていないが、内心は二人とも再会できた喜びに満ち溢れていた。
「嬉しい……っ! ようやく、会えた……!」
「俺もだぜ。まさかまたアインちゃんと再会できるなんてな……」
「本当に、会えてよかったわ……!」
平静を保っていたアインだったが、我慢の限界がきたのかジャックハートの胸元に勢いよく飛び込んだ。
出会った当時からは考えられないほどに大きくなったジャックハートの体。その腕の中にすっぽりと収まった彼女は、彼の体を堪能しながら頬を赤らめた。
「変わらねぇな、アインちゃん。当時まだガキだった俺を骨抜きにした時と同じ……いや、それ以上に魅力的になってるぜ」
「そう? ジャックハートくんは……変わったわね。随分と男らしくなったというか、かっこよくなったわ」
「ケハハハ、そうか?」
互いに育った体の感触を確かめながら、人目も憚らずに抱きしめあう。
身長差のある二人だがその瞳はお互いの瞳をしっかりと見つめており、アインはジャックハートの体に両腕を回して抱きしめる力を強めた。
「あんっ」
「……すまねぇな、アインちゃん。いちゃいちゃすんのはもうちょい後になりそうだわ」
「お仕事?」
「そんなとこだ。後でたっぷり愛してやるから、待っててくれるか?」
「えぇ」
まだまだ幼かった当時よりも遥かに大人びた……というよりも色々と成長しすぎた彼の姿にアインの口から熱い息が漏れる。
数秒間のお互いの存在を確かめ合うような抱擁。今は愛し合う時間はない、と言っているジャックハートだが、その手はしっかりとアインの尻肉を掴んでいた。
「頑張ってね」
「あぁ。っつーより、アインちゃんが帰ってきたってのにやる気が出ねぇ訳がねぇよ」
手のひらと上半身で軽くアインの感触を楽しんだジャックハートが彼女から離れる。
周囲からはクールで知的というイメージを持たれている彼女だが、ジャックハートにはうっとりとした、まるで雌のような表情を向けていた。
「じゃ、行ってくる。結局"麦わら"には逃げられたみたいだしな」
「私はどうすればいいかしら、ジャックハート大将」
「慣れない土地で慣れない任務はするもんじゃねぇ。そういうのは俺に任せて、アインちゃんは船で休め」
そう言い残し、瞬間移動のように姿を消すジャックハート。
移動の正体は"六式"の歩法である"剃"とその応用技である"月歩"の複合技の"剃刀"なのだが、それを彼が使用すれば文字通り目にも映らぬ速さとなるのだ。
「……待ってるわ、ジャックハートくん」
アインのその呟きは、吹いた風に流れていった。
◇
"麦わらの一味"の出航直前。彼らを捕まえようとする海軍の小隊の行き道を、様々なトラブルが塞いでいた。
偽物の"麦わらの一味"たちが集まっていた46番GRから海兵たちの包囲網を突破した船長のモンキー・D・ルフィ。
巨大な鳥の背に乗って42番GRの本物の集合場所にやってきた彼を待っていたのは、二年ぶりの船と仲間たちの姿だった。
「うおー! みんなー!!」
「ルフィッ! サンジ、ゾロー!」
懐かしいサウザンド・サニー号の甲板には、懐かしいがこの二年の間に修行した証の見える仲間がいる。
その事実が、ルフィの顔を満面の笑みにさせる。
「ルフィさん、急いでください! 軍艦がすぐそこまで来ています!」
「おう、分かったブルック!」
「こ、今回の船には大将なんて乗ってねぇよな……?」
"ヨミヨミの実"の能力のおかげで白骨化しながらも蘇った音楽家、ブルックの言葉を聞き、戦闘員のゾロとコックのサンジと共に船に乗る。
「あれ、ナミとロビンはどこだ?」
「――っ」
新世界に向かおうとしている海賊にしては圧倒的にメンバーが少ない"麦わらの一味"。
わずか9人という人数のうち大半を男が占めており、女はたったの2人。
その2人、航海士のナミと考古学者のロビンの姿が甲板に見えないのだ。
「な、ナミとロビンは、今船ん中にいるんだ。ナミから出航と同時にすることは聞いてるから安心しろ!」
「そうなのか? なら呼ぼう! 出航する前に話したいことが―」
「ルフィ!!」
2人の姿を探すルフィに狙撃手のウソップがたじろぎ、ブルックやサンジ、船大工のフランキーやゾロといった気の強い船員ですら表情を曇らせた。
そんな中、普段は大人しい船医、チョッパーが大きな声を上げてルフィを制した。
「……ナミとロビンは今、甲板には出られない状態なんだ。無事にシャボンディ諸島を出て、安定したら出てくる」
「……そっか、分かった! チョッパーが言うんなら、無茶はさせられねぇ」
お調子者でもある彼だが、チョッパーの真剣な表情と声を聞き、詳細は分からないが事態を何となく察した。
船医であるチョッパーが出られない状態ということは、無茶はさせられない。船長としての冷静な判断を下した彼は、事前に出ていたというナミの指示に従うことにした。
「そんじゃ野郎ども! 一旦出航だ!」
「おう!」
迫り来る軍艦。
その砲撃を躱しながら、コーティングされたサウザンド・サニー号は海の中へと潜っていく。
その瞬間。
「っ、なんだ、これ……!」
「さ、寒気が……」
謎の寒気が甲板にいた彼らを襲った。
背筋をなぞるような、それでいて腹の奥底から恐ろしいものが湧き出るような感覚。油断すれば、意識を刈り取られてもおかしくがない気配。
その正体に、ルフィだけははっきりと気づいていた。
「"覇王色"だ……」
「えぇっ!? ちょ、ちょっとルフィさん? 海の中に入った私たちにまで届く覇気の使い手なんているとは思えません……と言うより、思いたくありませんが……」
「おれもブルックに賛成だ。海に入って気温が下がったからじゃねぇか? 第一、海の上にいた軍艦にはそんな使い手はいなかっただろ」
ブルックとサンジがルフィの発言を否定する。
と言うよりも、否定したかったのだ。
もしルフィの言葉が本当ならば、今現在シャボンディ諸島内で足止めをくらっている海兵の中に、海の中の船に正確に"覇王色の覇気"を届けることが出来る強者がいることになるからだ。
「ま、まさかとは思うけどよ、大将クラスがいたってことはねぇよな?」
「……それについては、私が説明するわ。シャボンディ諸島から離れていた間も、少しだけ情報収集はしていたから」
「ナミッ!」
船の奥から戸を開けて出てきたのは、この船の航海において最重要と言っても過言ではない存在である、航海士のナミ。
船出の時には姿はおろか声すらも聞けなかった仲間の存在を確認することができ、ルフィの顔に喜びの色が現れる。
振り返り、その姿を確認するまでは。
「……ん? ナミ、お前太ったか?」
「違うわっ! 失礼ね! って、これじゃそう思われても仕方ないわね」
長い時間同じ船に乗る仲間として生活してきたルフィにとって、見慣れないほどに大きく膨らんだナミの腹部。
顔や首といった部分はさほど太っているように見えないその姿をルフィは見たことがなかった。
「……ルフィ。私ね、妊娠したの」
「妊娠……?」
「赤ちゃんのお母さんになる……いえ、もうなってるって言えば分かるかしら」
「ゴメンなさいルフィ。ナミだけじゃなくて、私もなの」
大きくなったその腹部を優しく撫でるナミ。
その奥から、小さな赤ん坊を二人抱えたロビンが現れ、彼女もまたナミと同じことを口にした。
「飛ばされていた二年間のうちにちょっと、ね」
「その件についてさっき全員で話しててな。船長のお前に何も言わずに出航を急いだのは正直どうかとは思っているが……ルフィ、お前はどう考えてる」
憂いを感じさせる表情を浮かべるナミ。
フランキーのその声とともに、ロビンとナミ以外の男衆がルフィに視線を向ける。
「ん〜? どう考えてるも何も、そいつらはナミとロビンの子供なんだろ? だったら、ナミとロビンの家族ってことなんじゃねぇか?」
「そりゃそうだけど……ホントにいいの? ルフィ」
「あぁ! 二人の家族ってことは、俺たちにとって仲間みてぇなもんだ!」
「ほらナミさん、ロビンちゃん。安心しろって言っただろ? コイツはこういうやつだ」
"麦わらの一味"船長であるルフィが下した決断は、別にどうだっていいというものだった。
そもそも彼自身がそういう事情を詳しく知る必要を感じておらず、深掘りしなかったのだ。
「それに、ナミもロビンも子どもと離れたくねぇんだろ?」
「……えぇ」
「船長と船医がそう言うんなら、乗せない理由はねぇな」
「ん? なんでだ、チョッパー?」
一応この船の船長ということで一味の意思決定は基本的にルフィにあるが、そこに船医であるチョッパーも賛同しているというのだ。
いつも通り純粋な表情で首を傾げながら、ルフィはチョッパーに視線を向けた。
「全員揃ったし、航路も……大丈夫なんだよな?」
「問題ないわよ」
「よし。おれは何でも治せる医者を目指してるけど、"
「ヨホホホ……。それは確かに、そうでしょうね……」
一味の中で実年齢で考えれば一番年上となるブルックだけでなく、普段そういうデリケートなことを考えたことがないメンバーですらも容易に想像がつく。
ナミとロビンの相手が誰かは分からないが、自分の子どもと自分の意思でなく離れることになれば、精神的なストレスも相当なものになる。
「おれもこれから、精神科と産婦人科、小児科の勉強もまた始めるつもりだ。そうすりゃ二人のカウンセリングもできるし、子どもたちの世話もできるからな」
「……ナミ、ロビン。二人とも、その子どもが誰との子どもかってのは話せねぇのか?」
チョッパーの言葉が終わり、ほんの少しの間だけ続いた静寂を切り裂いたのはそれまで口を挟まなかったゾロだった。
縦についた刀傷が特徴的な左目を閉じたまま、鋭い眼光をのぞかせる右目を開く。
「……ごめん。それは、言えない……」
「……私も、言えないわ」
「そうか。チョッパー、こういうのも、二人の気持ちに整理がついてからってことか?」
「そうだっ! 授乳期の精神状態もあるからな! ナミもロビンも、そういう報告ができるってなった時に自分のタイミングでいいからな!」
突然として"麦わらの一味"に降りかかった二人の女性船員の妊娠、出産。
その問題を解決するには船長のルフィではいささか力不足であることは全員理解している。そのため、船医のチョッパーと当事者のナミ、ロビンの三人で話を進めていくことが決定した。
「ナミとロビンの話は一旦終わりか? チョッパー」
「おう、もう大丈夫だぞ」
「なら俺からもお前たちに話しておかなきゃいけねぇことがある」
チョッパーから話のバトンを受けて話すのは、この二年で物理的にも大きく変わったフランキー。
「俺たち全員がシャボンディ諸島から離れていたこの二年、このサニー号を守ってくれていた奴らのことだ」
それは、彼らの知らないうちに自分たちの船に迫っていた密かな危機と、その際に聞いたこれからこの一味、そして新世界に訪れるかもしれない最大級の危険についてだった。
◇ ◇
「いやぁ、まさか本当にアインちゃんと再会できるなんてな」
「私もこのタイミングで異動できるとは思ってなかったわ。またジャックハートくんに会えるなんて、嬉しい……っ!」
「んーっ! んんーッ!」
「おいおいアインちゃん。部下が見てるんだ、抱きつくのは部屋に入ってからにしてくれねぇか?」
心の中で小物だと決めつけた偽物の"麦わらの一味"の処理は部下に押し付けたジャックハート。
そこから海軍の軍艦までの帰り道に捕まえた女を担ぎ上げて帰ってきたのだ。
「ケハハハ。そんなケツ振って誘わなくたってちゃんとぶち込んでやるから安心しろって、ペローナちゃん」
「離せお前ッ! クソッ……!」
「汚ねぇ言葉を使う女は気に入らねぇな。まあ、調教すりゃあいいだけか」
「ふざけんなっ! 誰がお前なんか、に……」
「……ケハハ。怖気づいたか? 死ぬより痛い思いをするか気持ち良く生き延びるか、好きに選べ」
ゴスロリ風のドレスに身を包んだ女性、ペローナ。
その正体は元王下七武海であるゲッコー・モリアが率いるスリラーバーク海賊団のメンバーであり、彼女もしっかりとした海賊。
そのためジャックハートに捕らえられ、今もこうして弱めた"覇王色"を当てられることになっている。
「さてと。新世界に行くとするか。魚人漁りもいいが、それはまた今度にしよう」
「……今回は、マリージョアを経由するのですね……」
「あぁ。……そうか、お前にとっちゃ嫌な記憶か。大丈夫だ。俺がいるからな」
「はい……」
ジャックハートの"覇気"を受け、小刻みに震えるペローナ。
そんな彼女を担ぎ上げたまま甲板に上がったジャックハートを出迎えたのは、先に船へと戻っていたハンコックだった。
ここにいるメンツではジャックハートぐらいしか知らないことだが、以前天竜人の奴隷であったハンコックにとって"聖地"マリージョアは嫌な思い出が色濃く残っている場所だった。
「ジャックハート様。なぜ魚人島を経由しないのですか?」
「たまには顔出せってあの人たちに言われてんだわ。んで、"麦わら"の動向を観察するにもここは一旦放置。もしナミちゃんとロビンちゃんを魚人島に置き去りにするんなら、新世界に顔だした瞬間に船ごと潰す。で、二人は魚人島で人魚達と一緒に回収すりゃあいい」
「……そっかぁ。あの海の中の景色、好きなんだけどなぁ」
「平和になりゃいくらでも海中船上セックスしてやるよ、コアラちゃん」
お腹が大きくなったコアラの尻肉を掴む。
それに即座に答えるように悶え、体をくねらせる彼女を見て口を大きく歪ませたが、その直後にその表情を珍しく険しいものにした。
「とは言ったものの、"ボンドラ"の中はクソ暇になるな。母体に無茶はさせらんねぇし、なんかそういう気分にもならねぇしな」
「っ! 貴方様、どこか具合が悪いのですか!?」
「おいハンコックちゃん。俺がセックスのことしか頭にねぇ奴だと思ってねぇだろうな?」
"赤い大陸"の麓にある"赤い港"。
聖地マリージョアへ飛ぶためのリフトは2つしかなく、効率よく人間を運ぶためには出来る限り大人数を詰め込む必要がある。
「……なら、アインちゃんとのお話の時間にでもするとしよう。積もる話は山ほどあるし、何よりみんなとも仲良くなって欲しいからな」
「それは、どういった意味で?」
「色んな意味で、だ。まずは女同士で仲良くなれ。俺は、ちょいとこの子を調教してくるわ」
「ひっ……! や、やめてくれ!」
「何、ペローナちゃんが従順な奴隷になるまでしこたま教えこんでやるだけだ。怖がる必要なんてねぇよ」
ペローナを担いだまま、自らの部屋へと入るジャックハート。
普段ならその後にハンコックたちを連れてこさせるのだが、今はいない。
「"ホロホロの実"か……。久しぶりだな、恐らくだが俺を無条件で無力化できる悪魔の実は」
「っ!」
「ケハハハ。睨むなよ。……ペローナちゃんの発動が早いか、俺が一撃入れるのが早いか、だな」
「……そんなこと、するもんか。私だって命は惜しいんだ。生きてモリア様に会うまで、死ねない……!」
「相変わらず海賊どもの考えることは分かんねぇな。犯罪者なのに妙に義理堅いってか、どうでもいいことをちゃんと守るんだよなぁ。ま、別に俺にとっちゃどうでもいいがな」
ベッドに投げ捨てられるように寝かされたペローナ。
彼女の首元には先ほどジャックハートが彼女を捉えるときに"覇王色の覇気"を放った際、気絶してしまった彼女に付けられた、錠のついたチョーカーがあった。
「試作品だったが、思いの外効くもんだな。チョーカーにただ雑に丸く加工した"海楼石"をつけるだけで、日常生活には全く支障が無いが、能力は完全に封じることができるとは、思ってもなかったぜ」
「クソ……っ! このチョーカーさえなけりゃ、こんなとこ……」
「おいおいペローナちゃん。自分の言葉にはちゃんと責任を持たなきゃならねぇぜ? それに、俺の元で生き延びようって考えてるんなら、今みたいな汚ぇ言葉はやめといた方が身のためだ」
「ジャックハート様っ。出航の準備ができました。"赤い大陸"の麓にもボンドラがもう待機しているとのことなので、到着次第すぐに乗り込めるとのことです」
「おう。んじゃ出航で」
放り投げられたベッドの上からジャックハートのことを睨みつけるペローナ。
ジャックハートと彼女しかいなかった空間にマーガレットが入り、坦々と報告を済ませていく。
その光景と、今までに起きたこと、そして自分が見てきたことを振り返っていたペローナは、その睨みの中に怯えを孕ませた。
「……一体、その若さでどれだけの力を溜め込んでるんだ……?」
「ケハハ。気になるか? ……ってそういやペローナちゃん、くまの野郎に吹っ飛ばされたんだっけか」
「あぁ。そして今は、そのくまをボコボコにした男に捕らえられちまってる」
「そういうこった。海賊がのこのこシャボンディ諸島に顔出すから悪いんだぜ?」
そこから感じられるのは、ジャックハートが今まで海賊を捕らえてきた時にも向けられた、諦めだ。
圧倒的な力を目の前にし、その力に屈し、自分はここで終わるということしか想像できなくなってしまった時点での、諦めだった。
「ま、俺が気に入ればある程度は自由にさせてやるさ。頑張って俺を骨抜きにしてみな」
そしてそこに、一本の逃げ道を用意する。
若い海賊が多い中で、彼らはまだその人生の半分も終えていないことが多い。
まだ人生が長い道半ばで捕まえた彼らに、余生を充実して過ごせるという唯一の幸福の可能性を与えるのだ。
「事実、元"女帝"のハンコックちゃんは正式に俺の妻の一人として過ごしている。もしゲッコー・モリアがインペルダウンかどっかに捕まったとしたら、優先的に会わせてやらんでもない」
「っ……」
「もしも、の話だがな。あとは、単純な話俺の行動範囲が広いから会える可能性も高いってのもある。その可能性にかけて俺の元にいるのが嫌ってんなら、今すぐにでもインペルダウンにぶち込むが……どうする?」
さらに"見聞色の覇気"から相手が今一番求めている、強く欲しているものを探り出し、その条件を相手に突きつける。
そしてその条件を断るならば、問答無用で投獄するのだ。
「……お願い、します……ジャックハート、様……。私をあなたの元に、置いてください……」
「ケハハハハハッ! いいぜペローナちゃん。ルールとかは他の奴に聞いとけ。……っと、着いたか。んじゃ、また後でな」
ペローナと話しているうちにシャボンディ諸島と"赤い大陸"の僅かな距離は縮まっており、"聖地"マリージョアへ上がるためのボンドラが目の前に来ていた。
「ジャックハート大将ッ! ボンドラの準備、できています」
「おう。つーかあの人たちもマジで暇人だな。王だか神だか知らねぇが、あんな生活で数十年もずっと生きるなんて信じられねぇ」
今回マリージョアを通るルートを選択したのは、ジャックハートの意思ではない。
基本滅多なことでは他人からの指示は受け付けたくない彼だが、
「ジャックハート大将。もう一つご報告があります」
「……あ? マージか。何の報告だ?」
ジャックハートのマリージョア入りに合わせ、物資や人材の移動のために他の軍艦も麓に集まっていた。
そのうちの一隻から降りてきたのは、"東の海"からこの場所まで戻ってきていたかつての部下、マージだった。
「"東の海"でジャックハート大将と関係を持ったという女性を連れてきました」
「ほう……。上出来だ、マージ。彼女はこれからの
「今は身支度をしているとのことなので、もうすぐ降りてくると思いますが……」
「いや、もうその心配はいらねぇみてぇだ」
ジャックハートが視線を向ける先には、マージがその
そしてそこから降り、駆け足でこちらに向かってくる全身をローブで隠した人影が一つ。
「えいっ」
「っと。そんな安っぽいローブで隠れてても分かるぜ?」
「あら残念。でも、せっかく長旅を終えて会いに来た秘書候補相手に冷たくないかしら?」
「……そうだな。久しぶりに会えて嬉しいぜ」
抱きついてきた彼女の体を抱きとめる。
なんども抱いた彼女の
急接近した互いの顔。声や身長など様々な条件からすでに正体は分かっているが、ここで彼女の名前を呼ばないというのは無粋というものだ。
「私もよ。まさかいきなり空から男の人が降ってきて、そのまま口説かれて抱かれるなんて思ってもいなかったわ。でも、そのおかげで魅力的な人に出会えたし、何より
「そりゃこっちのセリフさ。まさか、君みたいな美女を口説くのに成功するなんて思ってもいなかったぜ」
未だ抱きしめ続けてくる彼女が被っているフードを、そっと外す。
するとそこには、数ヶ月前に抱いた時よりもさらに魅力的になった彼女の顔があった。
「相変わらず綺麗な髪だ。久しぶりな、
「えぇ、久しぶりね」
彼女の微笑みに、ジャックハートも笑みを返す。
◇ ◇ ◇
「ってなわけで、くまは恩人には違いねぇが、次会うときは心のない"人間兵器"だ」
「そう、か。ありがてぇが、色々と疑問が残るな」
時を同じくして、海の中。
フランキーから2年間という長い年月の間一味の船が無事に残っていた理由を聞かされた麦わらの一味は、再会した直後にしては珍しく少しばかり張り詰めた空気が流れていた。
「じゃあ、報告ついでに私の方からもいいかしら」
「さっき言ってた、大将クラスのやつの話か?」
「そうよ。ルフィ、あの頂上戦争で大将たちの戦いは見た?」
「あぁっ! 次やるときは絶対ぇ負けねぇ!」
「っ、てことはルフィ、お前……」
「そん時は"覇気"が使えなかったからな。今度戦う時は、ぶっ飛ばしてやる!」
二年前、つまりは修行を始める前とはいえ船長のルフィが負けた。
何度か遭遇したことはあるが改めて"海軍本部大将"の強さをかみしめる仲間に向け、ナミは続ける。
「その海軍本部大将が、5人に増えたのは知ってる?」
「えぇっ!? あ、青雉クラスがそんなに……?」
「そう。海軍元帥には元大将の"赤犬"が選ばれたわ」
「赤犬……!」
頂上戦争で受けた胸の傷に手をやり、表情を強張らせるルフィ。
他の面々も、ナミの言葉に真剣に耳を傾けていた。
「そして大将には、以前と引き続き"青雉"と"黄猿"。そして、元帥赤犬の指示の元、より海軍を強力なものにするため世界中から猛者を集める"世界徴兵"が行われたの」
「ま、まさかそこから三人も大将が出たのか!?」
「いいえ。そこから選ばれたのは二人。"藤虎"と"緑牛"。この二人に関しては、情報はほとんど無いわ。……そして問題は、最後の一人よ」
ナミとロビンの顔が、苦悶とも言える表情に変わる。
そして、彼の名が紡がれた。
「"白龍"。本名は、ジョー・ジャックハートよ」
「ジャックハート……! あいつが……」
「知ってるの? ルフィ」
「あぁ。俺、女ヶ島に飛ばされてて、戦争の後にやってきたそいつにジンベエと一緒にやられちまったんだ」
「じ、ジンベエって、元王下七武海の!?」
「そいつとルフィが同時にやられるって、どんなやつだよ……」
"覇気"習得前に戦った三大将はまだしも、"覇気"をある程度会得していた状態ですらルフィが勝てなかった相手。
どんな相手なのか、と全員がナミの方に視線で続きを促した。
「……詳細は、全くと言っていいほどに表に出ていないわ」
「え? いや、そりゃおかしくねぇかナミさん。海軍本部大将になるようなやつ、目撃情報とか悪魔の実とか、そんぐらいは……」
「出ていないわよ。全てが噂程度の信憑性が薄い情報。ただその中にも、確定している情報は少しならあるわ」
ナミの言葉に疑問を抱いたサンジが聞き出そうとするも、それをロビンによって止められる。
噂程度の情報の中で、数少ない明らかになっている情報。
「ジョー・ジャックハート。史上最年少で海軍本部所属の海兵になり、13歳で中将になった。目撃情報が少ないのは、仕事を終わらせるのが早いからよ」
「よ、ヨホホ……。ロビンさん、念のために聞きますがその仕事というのは……」
「えぇ、海賊の殲滅よ」
「ひ、ヒイイィィッ!」
「早すぎて目撃情報がないとか、どんだけだよ……」
「そしてもう一つ。これは、新聞に載っていた赤犬へのインタビューに書いていたことよ」
ルフィ以外、この一味で彼が戦闘を行っている場面をまともに見たことがない。
そして、ジャックハートの数少ない情報のうちの一つが、最後に告げられる。
「『今現状、最も期待している大将はジャックハート。"悪魔の実"を食べていないが、今いる海兵の中で最強と断言できる戦力というのもあるが、奴の仕事に対する徹底ぶりを見ていると、楽しみで仕方ない』だそうよ」
「能力者じゃねぇのに最強って……マジかよ……」
「そこんとこどうなんだ、ルフィ」
「……とんでもなく強いってのは、本当だ。やられた時は、手も足も出なかった」
「そしてもう一つ。流れている噂の中で、彼が"覇王色の覇気"の使い手ではないかっていうものもあるわ」
サウザンドサニー号を沈黙が覆う。
過去三大将一人にすら苦戦を強いられていた彼らにとって、その大将よりもさらに強い存在が現れたとなれば、空気も重たくなる。
「……最後に、一つだけいいかしら。これは、"麦わらの一味"のナミ、としてではなく、一人の女としてのお願いよ」
絞り出されるような声。
珍しい前置きに何を言うのかと男衆が首を傾げる。
「ジョー・ジャックハートは、無類の女好きなの。……捕まえた女海賊は、自分の元においているって……」
それを言い切ると、ナミの体が震えた。
おぞましい感覚に襲われているのか、冷静なロビンですらも体をビクつかせている。
その光景だけで、何が彼女のお願いなのかは分かった。
「なんだよ、それ……!」
「許せねぇな……」
「……そういや、ハンコックもあいつに捕まったって、ジンベエが言ってたな」
自分のせいで恩人が捕まった。
その思い出したくもない事実が頭をめぐり、ルフィが苦い表情に変わる。
他の男衆も海兵とは思えない下卑た行為に怒りがふつふつと湧いていた。
「あ、安心しろって、ナミ! ロビン! そのための二年間だったじゃねぇか!」
「そ、そうだぞ! おれたち、もう負けねぇために強くなっただろ!」
「……ありがと。ウソップ、チョッパー」
「ふふっ。そうね」
「あぁ。まさかとは思うが、お前ら最初っから負けることを考えてたわけじゃねぇよな」
「当たり前だ。俺がぶった切ってやる」
「おいゾロ! あいつとは俺がやるからな!」
暗くなった雰囲気をかき消すために、ウソップとチョッパーが盛り上げる。
二年間修行を積んだ自分たちなら海軍大将でも倒せる。
そう、意気込んでいた。
天竜人にお呼ばれしたジャックハートさん。ペローナとノジコのゲットに成功。
次回からいよいよこの作品での新世界編です。
原作の新世界編は6割ぐらい原型なくします。
コメント、評価などお待ちしております!
今後の本番シーンについて、主にどんな内容が良い?
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主要キャラの一部を濃く
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主要キャラメインで大人数を書く
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作者好みのキャラで濃く
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現在対象キャラ全員
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このキャラを!(感想に書いてください)