※この作品はR-18です。

海軍史上最悪の男   作:チャリ丸

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前回の投稿時に、感想を書いてくださった読者様の中で返信することができていなかった方が出てしまいました。
申し訳ございません。予約投稿して油断して酒を飲んで風呂に入ってたら22時になっていました。

以降は気を付けますので、今後ともよろしくお願いいたします。


さて、話は変わりますが、今回と次回でようやく大きく話が動いてくるかと思います。
伏線というか、前回でなかなかに大きい動きがさりげなく入っていたので、確認したい方は振り返ってみてください。


肥える土壌

「あっ……あぁ……。お願い、します……! ジャックハート様……」

「あぁ? 何がだよ。言ってるだろ? 俺は聞き分けのねぇ子は嫌いだ。ま、逆に素直な子は好きなんだが」

「ず、ずるいです……」

「ズルいかズルくないかはお前らが決めることじゃねぇ。お前らは、選択肢を突きつけられてるだけ。どっちかを選べって言ってんだ」

 

 グラン・テゾーロにあるVIP専用の巨大な談話室。

 彼がこの部屋に入ってからおよそ一時間。休む暇なく愛撫を続けられ、全身の感度が最高潮まで高まっていたバカラとカリーナの二人は、ジャックハートの目の前で全裸で正座をさせられていた。

 

「俺だって神じゃねぇ。完璧じゃねぇし、お前らと対等だ。……だからこそ、今みたいに中途半端な関係は嫌なんだよ。性欲発散のための女なら、もう十分に抱えている。正直、新世界を自由気ままに動くここに来るのは、少々面倒なんだ」

「そんな……!」

「だ、だからって……」

「あぁ。だから、二人にその気があるのなら俺の元に来て欲しい。俺の元に来てくれるのなら、一生をかけてお前たちを愛そう。……だが、来てくれないのであれば、今みたいな関係はもう終わりだ」

 

 これからいよいよ本番。

 そのタイミングで彼女たちを焦らすのは、以前スモーカーの部隊からたしぎを引き抜いた時とほぼ同じ。

 カリーナとバカラという極上の女2人を自分の手元に引き寄せるためだ。

 

「安心しろ。ここに一切来ねぇってわけじゃねぇ。ここに残るんなら、今まで通りコンシェルジュとして俺の身の回りの世話をしてもらおうか。性欲発散にはいらねぇがな」

「んっ、はぁ……と、ということは……」

「あぁ。これから先は、俺と他の女とのセックスを、間近で見せてやるよ。愛を注がなきゃならねぇ子も増えちまったしな。いちいち会いに行くのは面倒だ。……単刀直入に言う。テゾーロの元に残るか、俺の元に来るかだ」

 

 前回ジャックハートがグラン・テゾーロを訪れた時と比べると、ペローナやノジコ、アインといった面々が彼の元に増えている。

 そして何より変わったのが、彼自身の現状だ。

 

「前の時は休暇だったが、これからはあんなまとまった休みは取れねぇだろう。サカズキさんから直々に"最悪の世代"をほぼ全員ボコボコにしてこいって命令があるんだわ。余裕があるなら四皇の勢力も削げとも言われてる。特別な用事がある場所以外には、中々簡単には行きにくい」

「愛して、くれるのですか……?」

「そりゃあもちろん。最近さらに絶好調だからな。嫌と言っても愛してやる。金も心配しなくていいぞ。……自慢になるが、大将になってより一層給料が増えてな。もう特に使う用事もないから使いたけりゃ好きなだけ使え」

 

 海軍本部大将としての本格的な業務が始まった彼に、気軽にグラン・テゾーロに寄れるほどの暇がなくなったのだ。

 新世界を根城とする四皇への威嚇も含め、倒せる海賊や危険な勢力の討伐。それらをジャックハートは一心に引き受けていた。

 理由は至って単純。彼が強く、丈夫で、戦闘欲求が異常に強いからだ。

 

「……ウシシッ。そんなの、私の選択は決まりきってるわ」

 

 テーブルの前に正座している二人。

 葛藤を続けるバカラを尻目にカリーナは立ち上がり、テーブルに置かれている契約書を手に取った。

 

「あの日から、ずっとあなたを待っていたの。また我慢して、しかも二度と愛してもらえないなんてゴメンよ。それに、お金も手に入るんでしょ? 私は泥棒なの。欲しいものはどんな手を使ってでも必ず手に入れる。お金も、ジャックハート様も」

「ケハハハハハッ! 賢い選択だぜカリーナちゃん。ここにいるのはどこまでいっても金と天竜人と死んだ恋人のことしか考えられねぇヘタレ野郎だ。……っと、そうだバカラちゃん。テゾーロのことをどう思ってるか知らねぇけど、これだけは言っておくわ」

 

 カリーナが手にしたのは、グラン・テゾーロで従業員として働く旨が記載されたテゾーロとの契約書だ。

 それを躊躇うことなく一気に破り捨てたカリーナ。

 豊満な体を揺らしながら、大きなソファに腰掛けるジャックハートの左隣に、体を押し付けるように座る。

 

「ケハハハ。グラン・テゾーロは、いずれ政府がぶっ壊す。一番上の人らから、流石に世界の資産を持ちすぎだって指摘があってな。あいつがいなくてもうまく回るってことを知ったらしい。金を溜め込んでおくだけの不良債権だからな。いらねぇのよ、もう」

「そん、な……。どうやって……」

「サカズキさんがマグマぶっ放すでも、クザンさんが凍らせたとこを俺が壊すでも何でもあるだろ。ってなわけで、いずれ潰れるであろう可哀想な船から助けてやろうとしてんだわ。……バカラちゃん。自分の選びてぇものを選んだ方が、後悔しねぇぞ?」

 

 ジャックハートの鍛えられた体をなで回しながら堪能するカリーナ。

 彼女の姿を見てもまだ、バカラは決断できなかった。

 しかしこのような状況で、二択という名の実質一択を迫るのが、ジャックハートなのだ。

 

「このままあいつと過ごして近い将来船と共に死ぬか、俺の元に来るかだ。……バカラちゃんが俺の元に来てくれるなら、テゾーロの命だけは助けてやるよ」

 

 それはつまり、バカラがジャックハートの元に来ないのならば、テゾーロはほぼ確実に死ぬということだ。

 バカラは知っている。この男なら、本気で船ごとテゾーロを殺しかねないと。

 そして、命は金よりも大事だということを。

 

「……私も、ジャックハート様とエキサイティングな人生を送っても、よろしいですか……?」

「利口な選択だ。安心しろ、テゾーロは生かしてやるよう、上に俺から言っておく」

 

 長年付き添ってきたとは言え、ジャックハートの要求を断ればほぼ確実に死ぬ未来が待っている。

 その事実を突きつけられたバカラは、テゾーロや船と共に沈むことよりも、それぞれの命が助かる道を選んだ。

 

「さあ、こっちに来いバカラちゃん。せっかく俺を選んでくれたんだ。望みがあるなら、叶えられる範囲で叶えてやろう。もちろんカリーナちゃんもな」

「……なら、私は壊れるぐらいに、ハードに抱いてください。身も心も、あなたのものに……」

「ケハハ、いいぜ。今が……夜の11時か。夜が明けるまで、狂わせてやる」

「うしし、なら私には優しく抱いて欲しいわ。今までスリルは結構味わったし……その、しっかりと愛されてみたい、っていうか……」

「了解だ。隠さなくてもいいんだぜ。別に、君らの考えていることぐらい、"見聞色"で手に取るように分かる」

 

 ジャックハートの言葉を聞き、思わずハッとするバカラ。

 テゾーロのことを心配しているのがバレたのではないかと表情を強張らせるが、ジャックハートはそれを咎めなかった。

 

「大丈夫だって。俺が求めるのは、俺の望みを叶えてくれる女の子だ。二人はただ、一心不乱に俺を求め、俺に溺れ、俺に愛されればいい」

 

 歯の浮くようなセリフを通り越して、浮世離れしたかのような言い回し。

 しかしそれらは彼女たちが本当に求められていることであり、それができなければジャックハートの近くに身を置き続けることは不可能だ。

 その言葉を聞いてしばらく。バカラがテゾーロとの契約書を破った。

 

「ケハハハハハッ! やっぱり何回経験してもいいもんだぜ。極上の女が俺だけのもんになる瞬間は。……さて、順番だが、早い者勝ちだ。てな訳でカリーナちゃん。準備はいいか?」

「えっ!? い、いつでも大丈夫よ?」

「そうか。だが残念、俺の方がまだなんだ。ホントは焦らす予定だったんだが、どんなプレイでもいいからどうしてもっつうんでな。ガッツリ絞られちまったんだわ」

 

 ジャックハートが視線を動かす。

 その先には、全身に精液を浴びたまま気を失い、仰向けでベッドに寝転がるペローナとたしぎの姿があった。

 膣内に射精された精液はそのあまりの量の多さに溢れ、純白のシーツをやや黄色を帯びた白濁で汚していた。

 

「ケハハ。そんじゃ、お楽しみといこうじゃねぇか」

「んっ、あぁ……! 来っ、たぁぁ……! はぁぅ、ん……あぁっ……!」

「随分と気持ちよさそうだな、カリーナちゃん」

「当然、でしょ? いつか来てくれると信じて、今まで我慢してたもの……っ、はぁんっ!」

 

 テーブルに両手を突き、淫靡な匂いを漂わせる淫裂を尻ごとジャックハートに突き出すカリーナ。

 陰核の周りにうっすらと生え揃った彼女の髪の毛と同じ紫色の陰毛。

 それらが完全に水気で皮膚にくっついてしまうほどに愛液がすでに溢れ、ジャックハートの肉棒をゆっくりだがしっかり奥まで咥えこんだ。

 

「つっ……。結構きついな、カリーナちゃんの膣内」

「きついのは……きら、い……?」

「いいや、好きだぜ。名器で美人で従順なら最高さ」

 

 陰茎を根元までしっかりと咥えこんだカリーナの全身の震えが止まるのを一旦待つ。

 "東の海"からこの"新世界"まで、カリーナは誰にも捕まることなくやってきた。

 その過程で鍛えられた下半身や下腹部、そして経験が少ないというおかげもあり、彼女の膣内はジャックハートの肉棒を強く包み込んでいた。

 

「あぁう、んっ……はぁ、気持ち、いぃ……っ!」

「ケハハハ。随分と感じてるじゃねぇか。そんなに奥突かれるのが好きか?」

「っ、えぇっ! 好きぃっ、好きなのぉ!」

 

 決して速いペースではないが、確実に膣奥をゴリゴリと抉られていくカリーナ。

 数回とは言え彼に抱かれ、彼女の敏感な部分は全て読まれていた。

 

「俺の女になるって宣言したんだ。好きなだけ抱いてやるし、好きなだけ金も使え。……その代わり、俺も好きなだけお前を抱くし、孕ませる。これはカリーナちゃんに対する要求なんかじゃあねぇ。俺の元に来るってことは、そういうことってだけだ」

「……えぇ。分かってるわ」

「ケハハ。たっぷりと愛してやるよ」

「んぅ、あっ……はぁっ! あんっ、あっ……あぁあっ!」

 

 背筋を逸らし、喘ぎ、身体を震わせながら絶頂を迎える。

 それは、また一人の女がジャックハートの雌になった瞬間だった。

 

 

 ◇

 

 

「うっひゃぁあ〜っ!? すっごい大しけ〜!」

「おいリリー! はしゃぐんじゃねぇ! 遊びじゃねぇんだぞ!」

「別に私は"月歩"できるから大丈夫だよー! ねぇねぇスモーカーさん、"麦わらの一味"って強いの?」

 

 それから少し経って、"新世界"の最序盤。

 新たに"新世界"に乗り込もうとしている海賊を捉えていたスモーカー率いる"G-5支部"の面々。

 魚人島から上がってきた海賊たちから"麦わらの一味"が時期に来るという情報を受け、待機していたのだ。

 

「……まあ、魚人島でくすぶってたこいつらよりかは、な」

「ふーん。楽しみだなぁ」

「さっきも言ったが、遊びじゃねぇんだ。気ぃ引き締めろよ」

「分かってるよ! んー、それにしても、パンクハザードかぁ」

 

 "麦わら"たちの情報を仕入れたスモーカーが彼らの行き先として予想したのが、最初に訪れることができる島の中で、最も"記録指針"の触れ幅が広い……つまり、危険度が高いライジン島だ。

 しかし、"麦わらの一味"の船長であるルフィはライジン島ではなく、電伝虫が受信した緊急信号の発信地、パンクハザードを目指しているのだ。

 

「何にもないし、面白くなさそうだなー」

「喜べリリー。お前の大好きな"海賊"を狩りに行くんだ。お前にも任せてやるよ」

「やったっ! ……あ、でも確か、"麦わらの一味"にはパパのお気に入りだって人がいるんだった。その人たち以外は、倒しちゃっていいんだよね?」

「……あぁ」

 

 パンクハザード。

 そこは、かつて大将"赤犬"と"青雉"が元帥の座をかけて争い、戦った場所だ。

 そのあまりの壮絶な戦いを経て人が住めないほどの荒れた島になってしまったそこに、何者かがいるのだ。

 

「もしかしたらパパにも会えるかな?」

「何? ……お前の父親が、この近辺にいるのか?」

「うんっ。今グラン・テゾーロってところに行ってて、たまたまそれが近いんだって」

「……ジョー・ジャックハートと"麦わら"か」

 

 過去、その両者と戦ったことのあるスモーカーは、逡巡した。

 ローグタウンやアラバスタで見て、直近の"頂上戦争"でその実力を再確認した"麦わら"と、10年近く前に少年ではあるが戦ったジャックハート。

 

「間違いなく、遭遇したら"麦わら"は詰みだな」

「もー。スモーカーさん、そんなの当たり前でしょ? パパから逃げられた海賊なんて、いないんだよ?」

「……あぁ、そうだな」

 

 スモーカーも"東の海"の大佐時代は、就任してから"麦わらのルフィ"が現れるまでは一人の海賊を逃したことはなかった。

 だが、ジャックハートはその次元が違ったのだ。

 

「海兵になってから今も進行形で、一人も逃したことがないなんて、パパってホントに凄いよね!?」

「あぁ」

 

 そう、10年以上海兵として勤務している彼だが、その短い間であっても一人も逃していないのだ。

 

「つっても、男は殺すかインペルダウン、女は気に入ったら自分の手元か風俗嬢だがな」

「フーゾクジョー?」

「子供のお前はまだ知らなくてもいいことだ」

「えーっ? ……あっ。もしかしてエッチなことなの?」

「……誰かに聞いたか?」

「ううん。何となく、今周りのみんながそういうこと考えてそうだなって」

 

 察しがいいのか、それともすでに"見聞色の覇気"で思考を読み取ることすらできるようになっているのか。

 そのどちらかは分からないが、スモーカーの心持ちは穏やかではなかった。

 いくら嫌いな奴の娘とはいえ、預かって色々と教育している身。周りの"G-5支部"の連中から余計なことを学ばないでほしいと思う、優しい彼なのであった。

 

「んー。じゃあスモーカーさん。そろそろこの島からは離れるの?」

「あぁ。魚人島でくすぶってたレベルのこいつらなら、俺たちがいなくても十分だ。それより、お前の父親が向かってんなら心配ねぇとは思うが、"麦わらの一味"や他の脅威のために援軍にな」

「やったーっ! ようやく強い人と戦えるぞー!」

 

 シッ、シッ! とシャドーボクシングをしてその闘志の高さをスモーカーにアピールするリリー。

 10歳であり、そしていくらジャックハートの子供とはいえ実践不足がやや否めない彼女を戦場に出すのはどうかと一瞬だけ考えたが、彼は今まで短い期間ではあるが右腕として十分な働きを見せてくれている彼女のポテンシャルを信じることにした。

 

「リリー。今回は、お前も戦闘に出ることを許可する」

「えぇっ!? ま、マジかよスモやん! リリーちゃんが少尉っつったって、まだ10歳だぜ?」

「ウルセェよ。お前らよりもリリーの方がはるかに強ぇだろうが。……それに」

『それに?』

「……いや、なんでもねぇ。とにかく移動するぞお前ら! 行き先はパンクハザード、急げ!」

『お、おうっ!』

 

 ジョー・リリー。

 彼女の未だ小さな体に抑え込まれている戦闘の才能は確かなものだ。

 父親譲り。その言葉がうってつけだと言わんばかりの才能に溢れている、文字通りの天才であり、神童。

 そしてスモーカーにはもう一つ、確かめておきたいリリーに眠っているであろう力を見出しておきたかったのだ。

 

 ──ジャックハートが戦闘において他の追随を許さねぇのは、その残虐性にもある。……こいつにも、どれだけ遺伝しているか……。

 

 目の前で船の大きな揺れにはしゃぐ少女の、眠っている力。

 それは、彼女の父親であるジョー・ジャックハートを見ても分かる容赦の無さだ。

 ジャックハートは、基本的に海楼石で海賊を捉えない。完全に殺してしまうか、殺す前に戦う興味が削がれるかの二択なのだ。

 

「頼むぜ」

「ん? どうしたの?」

「なんでもねぇよ」

 

 ぽつりと呟いたスモーカーの方を振り向いてきたリリーに返事をする。

 その際、ふと彼女の腰に据えられた、彼女には不釣り合いな長さを誇る刀が目に入った。

 

「訓練の時にはお前の生身の力を上げるために武器は使ってなかったが、相手が海賊なら話は別だ。問答無用、本気で行けよ」

「もちろんっ! これはパパからもらったプレゼントだもん。ねー、"影羽(かげばね)"」

 

 リリーには不釣り合いだが、一般的に見れば普通の長さの刀。

 しかしそれは、蓋を開けてみれば21工しかない大業物であり、ジャックハートがリリーに渡した最初のプレゼントだ。

 その代わりに刀の手入れや失態を全て、海兵となった自分で処理するという条件が付いているが。

 

「リリー。お前、今一番得意な覇気は、自分でなんだと考えてる」

「えっ? んー、"武装色"も"見聞色"もどっちも得意だと思うけど……。まだ実戦で本気出したことないから分かんないや」

「何?」

 

 海兵が、それも新世界に赴任することになった10歳の少女が、まだ実戦で本気を出したことがない。

 一瞬だけそんなことあるわけがないと考えたスモーカーだが、ジャックハートの血筋を色濃く受け継いでいると考えれば納得できた。

 

「パパもお兄ちゃんも言ってたよ? 訓練の本気と実戦の本気は違うって。私もそうだもん。だって──」

 

 その言葉の後、スモーカーはリリーの笑みにジャックハートに似た何かを感じた。

 リリーが浮かべた笑み。それは、普段の可愛らしい笑みの中に、どこか獰猛さが紛れ込んでいた。

 

「──戦いで本気を出す(・・・・・)ってことは、敵を私の好き勝手にしていいってことでしょ? 海兵の仲間のみんなにそんなこと、できないもん」

「……あぁ」

 

 "新世界"。そこは、"偉大なる航路"における最後の海であり、海の猛者たちがひしめきあっている危険な海。

 スモーカーはこの瞬間から、以前の部下であった優しく甘いたしぎではなく、リリーの方が右腕としていいのではないかと考え始めていた。

 

 

 ◇ ◇

 

 

「ジャックハート大将ッ! 本部より通達、"G-5支部"のスモーカー中将がパンクハザードに向かうため、援軍に行くようにとのことです」

「え、やだよ。マージでも向かわせとけよ。つーかパンクハザードに何があるんだ? あそこって確か、ベガパンクが実験失敗してから閉鎖されてたんじゃ……あ、そういやクザンさんとサカズキさんが争ってたっけか」

「いえ、それが。こちらを聞いていただければ分かるかと」

 

 ジャックハートの場所は移り、自身の船の中。

 行き先はマリンフォード。自室でくつろいでいたジャックハートに突如として舞い込んできた仕事のお知らせ。

 部下の一人が持ってきたのは、海軍でよく用いられている盗聴用の黒電伝虫。そこから流れてきたのは、複数人の男の声だった。

 

「……こりゃ確かに、訳ありらしいな。臭うぜ。それに"麦わら"かぁ……! ケハハ、楽しくなりそうだ」

「……では、行き先は」

「決まってんだろうが。進路変更。行き先はパンクハザードだ」

「ハッ!」

 

 事件の匂いを色濃く感じ取ったジャックハートが取った指示は、直行。

 ジャックハートの部屋の戸を開けた部下がその扉を閉め、慌ただしく離れていくのを確認したジャックハートは、ベッドの空いている隙間に寝転んだ。

 

「ふふっ。次は私かしら、ジャックハートくん」

「ジャックハート様。不躾ですが、妹か弟をリリーにプレゼントするというお言葉を、そろそろ……」

「まぁ待てよアインちゃん、カリファちゃん。あとで記憶がぶっ飛ぶぐらいに激しく抱いてやるからよ」

 

 彼の船内の自室に備え付けられた大きなベッド。

 複数人の大人が寝転んでも十分すぎるスペースがあるそこには、計6人が寝転がっていた。

 部屋の主、ジャックハート。そして、アインとカリファ。つい先日グラン・テゾーロから連れ出したカリーナとバカラ、ボニーだ。

 だが今、この部屋にはもう一人の女性がいた。

 

「さて、面接(・・)の続きだ、ハニークイーン。まさかお前みたいないい女がインペルダウンにまだ残ってたなんてな。ドミノちゃんとサディちゃんに洗わせておいて大正解だったぜ」

「は、はぃ……」

「オイオイオイ。返事ははっきりとって教えたところだろ? 俺は、アホは嫌いなんだ。それこそ、女でも死ねばいいって思うほどにはな」

「は、はいっ!」

 

 全裸で直立させられている、金髪の妖艶な美女。

 ジャックハートの好みにも刺さっている彼女だが、彼のお気に入りになるかどうかはまだ分からなかった。

 

「ここにいるこいつらは全員、俺が独断と偏見で選んでる。共通してるのは、俺のことを絶対的存在だと認知してるってこととかだ。良くも悪くもな。そこで、だ。インペルダウンの"LEVEL1"で余生を過ごそうとしてたハニークイーンちゃんが、俺に何をしてくれるかっていうのを聞きたいわけだ」

 

 ジャックハートの周囲にいる女性に共通して言えるのは、理由はどうであれ彼に服従しているということ。

 つまり、一生をかけてジャックハートのモノになり、彼のために生き、彼のために死ぬという道を選べるのかということだ。

 

「……私は、あの地獄から救ってくださったジャックハート様のために生きることを、誓います」

「あぁ? 地獄? あんなもんただの遊園地だろうが」

「……それでも、あそこにいるのは苦痛であり、ジャックハート様からのお呼び出しは、天からの救いの手の様でした」

「言い過ぎだっての。てかまた忘れてんだろ。俺は"見聞色"で大体の考えてることなら分かるんだって。どうやってうまく俺の元に転がり込もうかって考えてんのが筒抜けだ」

 

 言って、顔が青白くなってしまうハニークイーン。

 彼の言うとおりのことを正しく考えており、この場でうまく乗り切ることができなければ、またインペルダウンに逆戻りとなってしまう未来が見えたのだ。

 

「ケハハハハハハッ! ならお前の本気具合を確かめてやるよ。期限は一ヶ月。まず一つ。俺ぁこの船とともに、おそらくこれから遠征続きだ。その間、"新世界"の海を自力で生き伸びろ。船には載せておいてやるから、死ぬ気でしがみつけ」

「はいっ!」

「んで次に、その間に能力を覚醒させろ。分からねぇことは俺以外の誰かに聞け」

「はいっ!」

 

 淡々と告げられていく、簡単なようで難易度が高い要求。

 生き伸びろというのは簡単なように聞こえるが、そもそも"新世界"を旅したことがない彼女にとって、事前情報を与えられずに生き伸びろというのも、なかなかに厳しいのだ。

 

「んで最後。これぁ、カリファちゃんやアインちゃんたちにも迷惑かけちまうが……」

 

 右手で手枕の状態になり、立っているハニークイーンの方を見るジャックハート。

 その左手で彼の横に寝転ぶカリファの体を弄ると、カリファの体もそれに応じるようにビクビクと細かく反応する。

 

「ケハハ。たまには趣向を変えてみるか。今までは俺とのセックスを我慢させることで欲求を高ぶらせてきたが、今回は逆だ。一ヶ月間で俺の子を孕め。もちろん優先順位は他の子が先だが、誰も相手できる子がいねぇ時に抱いてやるよ」

「わ、分かりましたっ!」

「よし。ならしばらく休憩部屋にすっこんでろ。で、ヒナちゃんとドミノちゃん、サディちゃんを呼んで来い。それが終わったら寝とけ。全員相手し終わったら俺好みの女になるように調教し始めてやるからよ」

 

 ジャックハートの最後の指令。

 それは、優先順位は最後になるが、必ず孕めという理不尽なもの。

 ジャックハートが確実に孕ませられることをするかどうかは確定していないが、ハニークイーンの顔は、彼の最後の命令を聞き、真剣なものへと変わった。

 

「ケハハハハッ! おもしれぇわ。あんな綺麗な子が、こんなバカみてぇなことのために本気になるなんてよ。インペルダウンってそんなに辛いか? クスリでイカれた10億越えがゴロゴロいる無法地帯のほうがよっぽどやべぇ気がするが」

「ジャックハートくんを他の普通の育ちの海賊と同じにしちゃダメよ。差異はあれど、あなたほどの過酷な環境で育った人もそうはいないから」

「……それと、付け加えさせていただけるのなら、ひとえに才能の問題かと」

 

 ハニークイーンとの会話を終え、再び横になるジャックハート。

 彼の裸体に優しく指を這わせる二人の美女の身体の柔らかさを堪能する。

 

「才能、ねぇ……。"覇王色"に関しちゃ確かにそういうのはあるとは思うが、単純な強さにはそんなもんねぇだろ」

 

 彼の横にいるのは、アインとカリファ。

 海兵と元CPというジャックハートを囲っている女性陣の中でも武闘派に当たる彼女たちの肩に手を回しながら、続ける。

 

「ケハハハ。歯向かってきた相手ぶっ殺せば、そいつよりも強いんだ。才能なんてねぇよ。ただムカつくやつをぶん殴りてぇって気持ちだけだ。ま、俺の場合はそこにお前たちみたいな女を奪うって目的もあるが」

 

 その佇まいや態度、言動から想像されるのは、王。

 "天竜人"や他の海軍本部大将クラスにも動じることなく自らの意見を貫くことができる胆力と、それが許されている実力。

 彼の実力のほぼ全てが、他人に勝ちたいからという単純な理由で鍛え上げられてきたものだった。

 

「さて、パンクハザードに着く前にすっきりしようか。どっちが先にしてほしい?」

「私は普段から、長くジャックハート様に愛されていますので」

「そうか。ならアインちゃんが先だな」

「えぇ。……よろしくね、ジャックハートくん」

 

 鍛え上げられた肉体と精神、技術は確固たる自信に変わり、そこから来る自尊心が、彼のさらなる成長を生んだ。

 その過程で生まれた、自分の気にいった女を手元に置いておきたい。

 そういった考えも入り混じった結果として、ジャックハートは文字通り最強の格を得た。

 

「んっ……」

 

 アインがジャックハートの唇に自身の唇を重ねる。

 ジャックハートたちを乗せた軍艦がパンクハザードに到着するまで、2時間もかからないだろう。

 

「……ケハハ。短い間だが、満足させてやるよ」

 

 この男の進化は、まだ続く。




はい。ということでグラン・テゾーロ消滅です。

と、いうわけで。パンクハザード編開始です。

原作でも三つ巴っぽくなっていましたが、この作品では

海軍(ジャックハート&スモーカー&リリー+ジャックハートの乗組員)
VS
海賊(麦わら&ロー ※うち二人はジャックハートに手が出ない)
VS
マスター(拭いきれない小物感)

的な感じでスタートです。単純に言ってしまうなら、海軍クソ強化、海賊やや弱化です。ナミとロビンの分ですね。

本番の描写をあまり書ける展開ではありませんが、これからも若干ストーリーや戦闘描写が多くなってきます。

もちろん、感想などは大歓迎でございます。


感想、評価などお待ちしております!

今後の本番シーンについて、主にどんな内容が良い?

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  • 主要キャラメインで大人数を書く
  • 作者好みのキャラで濃く
  • 現在対象キャラ全員
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