その1、記憶が曖昧で読み返していたから。
その2、白ひげがしぶとかったから。
その3、エロシーンが書けなかったから。
…くそぅ!次こそは、次こそはたっぷりとエロを書きますので…!
「ケハハハハッ!」
「うわああっ!」
「だ、ダメだ……! 止まらねぇ……!」
「どうやったら傷つくんだよコイツは!」
「逃げてんじゃねぇぞゴミカス共がぁ!」
戦闘が始まってまだ数分。
すでにジャックハートによって殺された海賊の数は、500を超える。
だがその数は本人にとっては少なく感じるものだった。
というのも―
「麦わらはどこ行った?」
「い、言うわけねぇだろ!」
「あっそ」
―つい先ほど、この戦場に新たな獲物が降ってきたからである。
周りの話から察するに、エースを助けにインペルダウンに侵入したもののすれ違い、そこから脱獄囚たちを率いてここまで来たらしい。
らしい、というのはジャックハートがその話をよく聞いていなかったからだ。彼にとってはそんなことはどうでも良かった。
「ゴフッ……!」
「場所教えるつもりねぇんなら近寄んな。ただでさえパシフィスタが増えて邪魔だってのに」
麦わらのルフィが来たことが、一番大事だったのだ。
くまに飛ばされたため仲間の位置は把握していないだろうが、ルフィを餌に使えば“泥棒猫”ナミと“悪魔の子”ニコ・ロビンを捕まえられると考えたからである。
近くにいた海賊の肺を肋骨ごと粉砕し、駆けていく。
「面倒くせえな……。飛べば分かるか?」
月歩で高く飛ぶ。
「おーいたいた」
上から見ると一際暴れているエリアがあり、その中心にジャックハートの獲物はいた。
だが、このまま降りるのももったいない。せっかく邪魔なく高く飛んだのだ。
踏ん反り返っている奴に一撃加えよう。
そう思い、ジャックハートは『モビー・ディック』号に狙いを定めた。
「食らえや白ひげ」
「っ、まずいっ!」
「親父ぃ!」
地上で騒ぐ海賊の声を無視し、狙いを絞る。
「嵐脚・
巨大な斬撃がモビー・ディック号の上に一人で立つ白ひげの元へと一直線で向かっていく。
「ぬうんッ!!」
もちろんそれを素直に受ける白ひげではない。
持っていた巨大な薙刀の刃に覇気を込め、打ち払おうとする。
「グ、ォォオオオオオッ!」
競り合う事数秒。
なんとか押し切った白ひげは、斬撃を弾き飛ばした。
弾き飛ばされた斬撃はそのまま、白ひげ海賊団の海賊船のうちの一つを、正面から真っ二つに分断した。
「な……っ!」
「俺たちの船があああっ!」
「“鷹の目”と同じぐらいじゃねぇのか!?」
その光景に、喚く海賊。
それもそのはず。自分たちの船を叩き切る芸当ができる人間など、この世に数人程度しかいないと思っていたのだから。
「うるせぇよ」
「ヒッ……!」
飛び立った地点に降り立ち、一番近くにいた海賊に今度は狙いをつける。
「嵐脚・
「ッ………え?」
その海賊の首を目掛けて蹴りを放つ。
しかし、その首は繋がったままだった。
「な、何をし……た……?」
「あぁ悪い。それすぐに死ねねぇやつだ」
何をしたのか、と海賊が叫ぼうとした瞬間にゆっくりと首が落ちていく。
遅効性の必殺。首だけが無くなった海賊の体の断面から、勢いよく血が噴き出した。
「待てや麦わらぁっ!」
「ぎゃあああっ!」
「ゔ、げは……!」
「止まれよ、ジャックハートッ!」
「指銃・撥」
一歩進むごとに一人ずつ殺していくようなペースで、先ほど見つけた麦わらの元へと駆ける。
襲ってきた男の額を、飛ぶ指銃で撃ち抜いた。
「あ? そういや、ナミちゃんとロビンちゃんって俺が見つけりゃいい話じゃねぇか? ……ハンコックちゃんも、七武海辞めるまでは手出し出来ねぇし……」
「何ブツブツ言ってんだ! ジャックハートォ!」
「うぜぇ」
刀を振りかざした男の足を払い、転んだ所で頭部を踏み潰す。
「そうだ。あの二人は俺の見聞色で探せば、案外早く見つかる。……じゃあ今は」
頭の無くなった男が持っていた刀を拾い、武装色の覇気を纏わせていく。
「楽しい楽しい狩りの時間ってわけだ」
「じゃ、ジャックハート中将が武器を持った!! 総員、気をつけろぉッ!」
「んな人を戦闘狂みたいに言うなよ……」
海兵達の慌てた声を聞き、仲間に変な印象を持たれていることに少しうんざりする。
そもそも、こうやって武器を持つことすら久しぶりなのだから。
「せいぜい楽しませてくれよ、お前らぁっ!」
刃が黒く染まった刀を携え、狙いを周りの雑魚に切り替える。
「ケハハハッ!」
「ヒッ……ぎゃああっ!」
「お、俺の腕があああっ!」
「おいおい、紙切れみてぇだなぁ! てめぇらの身体はよぉ!」
振るう度、その延長線上にいる海賊達の身体が切られる。
これで広範囲に攻撃をしやすくなった。
「さぁて。何人殺せば、センゴクさんから報奨金が出るんだろうなぁ?」
「ヒッ、ば、化け物……!」
「誰がだよ」
酷いことを言われたので、とりあえず首を刎ねる。
「チッ。やっぱ面白くねぇ。……まあ、どんだけ殺せるかって考えたらちったぁおもしれぇか」
現在、ジャックハート自身が数えているだけで259人。
「目標は……5000ぐらいでいいか」
残りおよそ4700人の海賊の命を奪う。そのために、再び刃を振るう。
その一方。
「ハァ……! ハァ……! イワちゃん、なんだアイツ! めちゃくちゃ強え!」
「足を止めんじゃないっチャブル! あいつの名前はジョー・ジャックハート! 海軍で三大将の次に厄介な奴だよ!!」
「そうか! 分かった!」
兄、エース奪還に向けて走るルフィは、隣にいるエンポリオ・イワンコフに一際異様な雰囲気を放っていた海兵のことを聞いた。
「災害の如く海賊を沈めていくことから『天災』の異名を持ち、どんな能力者もインペルダウンにぶち込んできたことから『能力者殺し』とも言われてる
「能力者殺しぃ?」
「そう! とにかく、今のヴァナータが勝てる相手じゃないって
武器を持ってからジャックハートが殺した数は、既に500を優に超える。
その中には彼らと共にインペルダウンを脱獄してきた者も含まれている。
「ハァ……! ハァ……! ……にしても、すげぇな白ひげのおっさん!」
ジャックハートがモビー・ディック号に嵐脚を放ち、地に降りた数秒後。
白ひげは愛する息子であるスクアードに胴体を突き刺されたにも関わらず、分厚い氷の上に降り立ち暴れていた。
「それよりも変よ! いつの間にか敵が広場へ上がってる!」
「……ん? じゃああいつはなんで残ってんだ?」
「死なんからじゃろう! ルフィくん!」
「ジンベエ!」
走る二人に、同じく脱獄してきた王下七武海のジンベエが加わった。
「ジョー・ジャックハートの強さなら、どうとでもなると判断したんじゃ!」
「ってことは、あいつしか海軍が残ってねぇってのは……!」
「良く気づいた。何かをしようとしとるんじゃ!」
会話の通り、現在凍った湾内に残っている海兵は、ジャックハートを残してほとんどが広場へと上がっている。
その光景に、イワンコフとジンベエが疑問を持ったその時だった。
「な、何だこの壁!?」
「ちくしょう、鋼鉄の壁だ!」
湾内にいる海賊たちを広場に上がらせないようにせり上がった鋼鉄の防御壁。
バズーカや悪魔の実、果ては白ひげの『グラグラの実』の強力な一撃すら通じない、分厚い鋼鉄がせり上がったのだ。
「ケハハハハァッ!」
「ヒィィイイイイッ!」
「ジャックハートを残したのはこのためかよ海軍っ!」
「違うわい。……まあ、保険にはなってるじゃろうが」
まんまと湾内に集まってくれた海賊達。
それに真正面から向き合う必要などない、と言わんばかりの完璧に近い包囲網。
行く手を阻む鋼鉄の壁。足場は氷。となれば―
「始めるぞ……! 『大噴火』ッ!」
―その氷さえ溶かしてしまえば、海賊達は海の藻屑となる。
高額な賞金首ほど悪魔の実の能力者である確率は高い。そいつらを海に叩き込むことさえできれば、戦力を一気に削ることが出来る。
「ジャックハートはこれでは死なん。せいぜい、生き延びてみるんじゃなあ、海賊」
青雉の『氷河時代』、黄猿の『天叢雲剣』、赤犬の『大噴火』。
その全てを武装色の覇気で防いだ実力は、三大将のお墨付きだ。
「ケハハハッ! 海に逃げてんじゃねぇぞっ!」
「お〜…サカズキィ……。海に落ちかけた海賊を、ジャックハート君が引き上げて殺してるよォ〜?」
「これじゃあ、ただの処刑場だな……」
「どの道死ぬんじゃから変わりゃあせん」
上から降ってくるマグマに焼かれ死ぬか、海に落ちて溺れ死ぬか、ジャックハートに殺されるか。
海賊達には死の選択肢がその3つしか無かった。
「オーズを越えていけぇ!」
「オヤッざん……!」
鋼鉄の包囲網のせり上がりを一部だけ防いでいる、国引きオーズの子孫である“リトルオーズJr”。
彼が起き上がったのだ。
突破するには、生き残るにはそこしか無い。
「ジョズッ! 切り札だ……!」
「おう!」
そのオーズの姿を見て、白ひげがジョズにとある指示を出した。
その時―
「待てや白ひげぇっ!」
「ジャックハート……ッ!」
―返り血に塗れたジャックハートが、白ひげの元へと辿り着いた。
「親父!」
「下がってろぉ!」
飛びかかったきた彼を見て、息子たちを下げさせる。
ジャックハートが両手の拳を上下に構えて白ひげに突き出す。
「ぬおおおおおおおおッ!!!」
「六王銃ッ!!」
ジャックハートに対し、白ひげはグラグラの実の能力を全開で使用した拳で対抗する。
地震と衝撃がぶつかり合い、天が割れた。
「なっ、ぁ……!」
「そ、空が……、いや、天が割れた……?」
「っ、そ、そういやジャックハートは!?」
「あの小僧なら、衝撃に乗って広場の方に行った……!」
ジャックハートの六式究極奥義と白ひげの全力の攻撃。
衝撃の強さはほぼ互角だったが、その衝撃が継続して飛んでいく、という面で白ひげは彼を吹き飛ばすことに成功した。
「グララララ……放った瞬間に後ろに下がりよって……! ほとんど効いちゃいねぇか……!」
だが、彼にまともなダメージを与えられていないことは、対峙した白ひげが一番よく理解していた。
グラグラの衝撃が生きていると分かった瞬間にジャックハートが後方に全速力で月歩をしたのだ。
「まあいい……。道は、開けた……!」
リトルオーズJrのいる場所に突っ込む一隻の
万が一に備えて海中に残していたものを、このタイミングで出してきたのだ。
「沈めろ!」
「もう遅い!」
「ウオオオオオオオオッ!!」
白ひげの狙いは、船をリトルオーズJrの所へと突っ込ませること。
突っ込んできた外輪船を、リトルオーズJrは片手で掴んで広場へと引き上げた。
「エースを救えぇええええっ!」
海賊たちが、ついに広場へと上がった瞬間だった。
◇
「いてて。反則だろあの技」
「フッフッフッフッフッ! “白ひげ”の一撃を受けといてそれか……!」
「あ、ドフラミンゴさん。また今度ドレスローザにお邪魔させてもらいますんで、よろしくです」
「あぁ、待っている。フッフッフッ……!」
グラグラの衝撃に乗ってジャックハートが飛んできたのは、王下七武海の一人であるドフラミンゴの近くだった。
「雑魚しかいなさそうっすね」
「さすがの見聞色だ」
自然と入ってくる周囲の情報。
地面に落ちていた刀を拾い上げ、武装色を纏う。
「じゃあ俺は白ひげ殺しに行くんで」
ドフラミンゴの返事を聞くことすらせずに駆け出していく。
横に振るい、下から薙ぎ、時には蹴りで殺す。
「……何人殺したっけ?」
「オオオッ!」
恐らく1000を超えた辺りから数えるのがめんどくさくなり数えていなかったが、かなりの数になっている。
標的の白ひげからも離され、歯向かってきた海賊の攻撃を受け止める。
「嵐脚」
「ガフ……ッ!」
「あーぁ。つまんねーの……ん?」
嵐脚で海賊の胴体を切り刻む。
重力に歯向かうことなく地に沈んでいく海賊を尻目に、ジャックハートは面白いものを見つけた。
「なんだあの橋」
「エース〜〜ッ!!」
広場の一部から処刑台に向かって伸びる一本の橋。
その上を、麦わらのルフィが走っていた。
「……ガープさんかセンゴクさんが止めるだろ。それより―」
海賊と同僚の戦闘で埋まる景色。
その先に、一際目立つガタイのいい髭の目立つ男、白ひげはいた。
「―てめぇが死ぬ方が大事だ」
針の穴を通すように斬撃を放ち、白ひげの元へと届ける。
「ぬっ、ぐぅ……!」
白ひげが斬撃を受けたのは右の脇腹。
その深い一撃に、白ひげの足が止まった。
「オヤッさんの元に行かせるなぁ!」
「ジャックハートォォオッ!」
「死ねぇぇぇぇえっ!」
白ひげの元へと向かうジャックハート。
彼らの間に、まるで壁のように並んだ海賊が、波のように襲いかかる。
「だから、さっきから邪魔だっつってんだろ……」
どれだけ斬っても、どれだけ殺しても湧いてくるように出てくる海賊達。
そんな彼らに少しうんざりしながら、横に剣を振る。
「一刀流・
振られた刀身から放たれる蛇のようにうねる斬撃。
生き物の如く宙を這いながら進むそれに触れた場所が、鋭く斬れる。
地面や武器、そして海賊達の身体に深く傷をつけた。
「ガッ、ハ……ぁ……!」
「なんて斬れ味……!」
「流石は『天災』か…」
「ごちゃごちゃうるせぇよ」
跪いた敵の首を刎ねる。
今までこうして、ダメージを与えては隙を見つけて止めを刺すというのを繰り返した。
しかしそれでも、数という壁にのみ阻まれて、白ひげにだけは有効打を与えられていない。
その事実が、ジャックハートにさらなるストレスを生んでいた。
「ゴキブリみてぇに湧きやがって……!」
戦闘では悪魔の実に頼る必要などない。その考えでジャックハートは能力者にはなっていない。
他にも理由はあるのだが、事実1:1ならば戦いは一瞬で終わる。
しかし、どうしてもこれ程に人数がいれば時間がかかってしまうのだ。
「ウオオオオオッ!!」
「指銃」
背後から斬りかかってきた海賊の眉間を撃ち抜く。
先程の理由以外にも、一気に制圧することが出来ない大きな理由があった。
「……チッ。絞りきれねぇ……!」
共に戦う自分以外の海兵達がいること、そして、戦っている場所がマリンフォードだということ。
見境なしに暴れてしまうと、その2つに大きな損害を出しかねないため、広場では最小限の規模の技を放つ必要があるのだ。
「剃」
壁が壊しきれないのなら、上から乗り越える。……否。
「嵐脚・
上から叩き潰す。
無数の嵐脚を放ち、海賊達を沈めて白ひげまでの道を確保する。
「行かせる訳ねぇだろ!」
「喰らえっ!」
だがそれでも湧いてくる。
一人はバズーカで、そして一人は二丁拳銃で宙にいるジャックハートを狙う。
「嵐脚・白雷ッ!」
今度は巨大な一本の嵐脚を放ち、その2つを下手人2人諸共無力化する。
「チッ……。数が多すぎんだろが……!」
嵐脚・白雷を使ってしまい、体勢を一時立て直すために地に降りた、その時。
「ウオオオオオオオッ!!」
「エース~~~ッ!」
「あ゛?」
海賊達が歓喜し、叫んだ。
何事かと思いやたらと明るく感じる上を見る。
そこには、“火拳”のエースと彼に掴まれた麦わらのルフィがいた。
「ハッ! 殺す場所が変わっただけだろうがよぉ!」
「そ、そうだ……! まだ火拳はマリンフォードにいる!」
「ジャックハート中将の言う通りだ! 総員、怯むなぁッ!」
ジャックハートの大声は、広場にいる海兵達の士気を高めた。
「船へ走れ!」
その海兵達の声を聞いたからか、船へと引き上げ始める海賊達。
「お前らぁ!!」
「ッ! ……おや、じ……?」
その海賊達の足を止めさせたのは、白ひげ海賊団の船長である、白ひげだった。
「今から伝えるのは、最期の船長命令だ……!」
「さ、最期……? ちょ、ちょっと待てよオヤジ!」
「縁起でもねぇこと言うなよ!」
「アホくせぇなぁおい」
最期の船長命令。
それを白ひげの口から聞いた瞬間に、海軍と海賊、双方が嫌でも理解した。
「お前らと俺はここで別れる! 全員、必ず生きて新世界へ帰還しろォ!」
白ひげは、最初からここで死ぬつもりだったのだと。
「オヤジィ!」
「一緒に帰ろう!」
「さっさと行けェ! アホンダラ共ッ!」
息子たち、とは言わなかったのはせめて彼らに少しの躊躇いも残さないための考えだった。
「海岸へ急げ!」
「走れ! 船へ走れ!」
火拳のエースを救出し、白ひげが一人で戦場を受け持ち、もう用は済んだかのように退散を始める白ひげ海賊団とその傘下達。
それを絶対に許さないのが、海軍には2人いた。
「はぁ……。所詮、“白ひげ”は先の時代の“
「ケハハハッ! そんなに死にたきゃ殺してやるよ、白ひげぇ!」
赤犬ことサカズキと、最強の中将ジャックハートだ。
「……敗北者、だと……?」
「あぁそうじゃ。何が間違っとる。お前の本当の父、ロジャーに阻まれ、王になれずに死んでいく……。永遠に語り継がれる敗北者じゃろうが……」
「やめろ……!」
サカズキの言葉が、解放されたばかりのエースに刺さる。
「何十年もただ海にのさぼり、家族だなんだといってゴロツキに慕われ、挙げ句は口車に乗ったそのバカな息子に刺されてそいつを守るために死ぬ。……敗北者どころか、世界一の惨めな人生じゃのう」
「うるせぇ! オヤジは俺たちに生き場所をくれた!」
「生き場所? 正しくない人間同士……傷を舐め合う仲間の間違いじゃろうが」
「てめぇに何が分かる! “白ひげ”はこの時代を作った大海賊だ!」
エースの心にサカズキへの敵意がふつふつと沸き上がる。
逃げなければならない。でなければ、オヤジが命をかけて作ってくれた時間とオヤジに申し訳ない。
だが、それでもやはり、自分を救ってくれた人を馬鹿にされるのだけは、許せなかった。
「この時代の名が! “白ひげ”だァ!!」
「だとよォ、オヤジさん。息子たちに慕われてて羨ましいねぇ。俺も、てめぇみたいに、産まれてくる子供たちには慕われてぇ」
「そう言うなら、ちょいとは手加減しろぉ……、ジャックハート……!」
「ケハッ。同じ親父として尊敬はしてるが、そりゃ無理な相談だ。じわじわと死んでいけや」
エースとサカズキの“能力”がぶつかり合う。
火とマグマ。
そこには、経験や歳では埋められない、単純な能力による差が出ていた。
「俺が今苛立ってんのは、てめぇのせいだからなぁ! 白ひげ!」
「ぐ、ぅ……オォ……!」
嵐脚と指銃、そして覇気を纏ったジャックハートの刃が、白ひげの身体を刻んでいく。
「ぬぐぅ……!」
「ケハハッ! んじゃあいっちょやるか……!」
「貴様ら兄弟だけは、絶対に逃がさん。よう見ちょれ……!」
ジャックハートが白ひげの太ももに刀を突き刺し、白ひげの前へと飛ぶ。
同じくして、サカズキが力の抜けたルフィに向け、能力を発動させた拳を振りかざす。
「最大輪・六王銃ッ!」
「ぬんッ!!」
ジャックハートの最大威力の六式究極奥義が白ひげの身体に襲いかかり、サカズキの右手がルフィを守るために盾となった、エースの胴を貫いた。
「……ゴフッ!」
「ガハッ……!」
六式を極めすぎたジャックハートによる最強の一撃とサカズキの拳は、白ひげの命を削り、エースの命を奪うには十分だった。
「オヤジ……ッ!」
「え、エースがやられたァッ!」
白ひげの巨体が僅かながら宙に浮き、吹き飛ばされる。
それと同時に、エースがルフィの胸元へと倒れ込んだ。
「ケハハッ! どうやら死んだらしいな、火拳は!」
「――ッ!」
その光景を見た瞬間、ジャックハートの身体が大きく歪んだ。
「なん……ッ!?」
目にも留まらぬ一瞬の突き。
白ひげの拳が、腹部にめり込んでいたのだ。
「紙絵……ッ!」
その衝撃を少しでも受け流そうと身体を攻撃の風圧に乗せて避ける。
しかし、その衝撃があまりにも強すぎたのか、少しだけ飛ばされた。
「チッ……! 間に合わねぇのが分からねぇのかよ」
エースは死ぬ。
そんなこと、少しでも海で戦ったことのある人間ならば誰でも分かるほどの大怪我だった。
「愛してくれて……ありがとう……」
「泣かせるねぇ。……そんじゃあ、すぐにでもあの世で愛するオヤジさんに再会させてやるよ」
ジャックハートを足止めした白ひげは、エースを殺した下手人であるサカズキの元まで移動し、能力で殴り飛ばしていた。
この戦争で一番強いといってもいい程の規模のグラグラの能力が炸裂し、地面が割れる。
これにより、白ひげと海兵、そして海賊達というように分けられてしまった。
「あらら。……これじゃあ、死にかけのジジイしか殺せねぇじゃねぇか」
「グララ……! やってみろ、ジャックハート……!」
目標数5000人と適当に設定していたが、それの半数を少し越えた所で終わってしまうようだ。
それでも、目の前の白ひげを殺せればそれでいいと、彼は思っていた。
だがそんな時―
「サロメ! わらわ、ルフィが心配でならぬ!」
「……あぁ?」
―戦場に似つかわしくない、綺麗な女の声が聞こえた。
「麦わらが心配……ハンコックが……? どういう……」
「よそ見たぁ、随分余裕じゃねぇかッ! クソガキがァッ!」
「誰がクソガキだよクソジジイ!」
白ひげの一撃を捌きながらも、ジャックハートの脳内は既に先程の声の主である、“女帝”ボア・ハンコックのことでいっぱいだった。
「あっ、アレはなんだ!」
「本部要塞の影に何かいるぞぉ!」
「処刑台の方にもだ!」
「ティーチ、てめぇ……!」
「……黒ひげか」
その思考さえ遮ってしまうほどに大声で叫び出す海兵と海賊。
処刑台の方に目を向けると、そこにはなぜか“黒ひげ海賊団”が揃っていた。
「んなこたぁどうでもいい。……なんでハンコックが麦わらを……。やっぱここで殺しておくか? ……いや、情報を洗い出すのが先だな」
捕えられた女海賊ではない者を自分の女にするために、ジャックハートは準備を怠らない。
どこかでへまをやらかしてしまえば、計画は破綻してしまうからだ。
相手は現王下七武海。慎重にいかねばこちらがやられるかもしれない。
「まあいい。今はそれよりもてめぇだよなぁ、白ひげ」
そして、現れた黒ひげも現王下七武海。
ならば、明確な敵は今は目の前の一人しかいない。
「ここで死――あぁ?」
「ゼハハハハッ! 邪魔はさせねぇ…!」
その隙だらけの土手っ腹に風穴を開けてやろうと脚を構えた時。
ジャックハートの身体が、突如として地面に現れた黒い渦に呑み込まれた。
「てめぇ……!」
「ゼハハ! 死ねぇ、白ひげッ!」
ジャックハートを遠くへと飛ばした黒ひげ。
彼が率いる黒ひげ海賊団の面々が放つ銃撃と斬撃が、白ひげの命を縮めていく。
「……殺す」
「ジャックハート中将ッ!」
「情けねぇ声出してんじゃねぇよ」
女を抱けない理由を作った白ひげ。
白ひげを殺すことでそのストレスを少しでも解消しようとしていたジャックハートの視界の中で、黒ひげ海賊団は白ひげの命を奪った。
殺意の対象はこの瞬間、完全に黒ひげへと移った。
「……お前じゃ、ねぇんだ……!」
「まだ生きてんのかよ!!」
黒ひげが叫ぶが、ジャックハートの殺意はもう白ひげには向いていない。
あんな死に損ないを殺したところでこの衝動は収まらないことを自覚していたからだ。
「ロジャーが待っているのは、お前じゃねぇ……! ロジャーの意思を継ぎ、エースの意思を継ぐ者も現れる……! 血縁を絶てど、あいつらの炎は消えねぇ……」
白ひげの言葉に耳を貸すことなく、道中の海賊達を仕留めながら黒ひげの元へと向かうジャックハート。
「センゴク、お前達は……世界中を巻き込む巨大な戦いを恐れている! ……興味はねェ。だが、アレを誰かが見つけた時、世界はひっくり返る……!」
「っ、巨大な戦いだァ?」
ジャックハートが珍しくその言葉に耳を傾けたその瞬間、誰もが耳を疑うこと…否、事実を、白ひげは叫んだ。
「
その言葉は、この場にいる者、そして、映像電伝虫を通してこの戦争の様子を見ていた世界中の人々に衝撃を与えた。
「んなこたぁどうでもいいんだっつってんだろうが……!」
白ひげはその言葉を言い放ったあと、立ったまま眠るように死んだ。
その白ひげに向かって黒い布を被せる黒ひげ。
ジャックハートの目には、彼しか写っていなかった。
「死ねやクソ雑魚がァ!」
「ぬぇあ!」
「……てめぇシリュウ。死ぬ覚悟は出来てんだろうな」
「いいや、まだだ」
黒ひげに向けて放った嵐脚を、黒ひげ海賊団の一味となったインペルダウンの看守長である“雨のシリュウ”によって止められる。
「そりゃあ、覚悟をする間もなく殺してくれってことで良いんだな」
「違う。……まあ、見てろ」
シリュウに攻撃を止められたその一瞬の間に、黒ひげと死んだ白ひげの両者が、黒い布から出てきた。
「ゼハハハ! 海軍、おめェらに俺の力を見せておこう……!」
「力……か」
「“
先程ジャックハートを呑み込んだものよりも遥かに大きなそれ。
月歩で逃れていたジャックハートは避けられたが、数人が闇に飲み込まれた。
「ゼハハ! そして……!」
「何……?」
左手を振るい、今度は死んだ白ひげのグラグラの実の能力を発動した黒ひげ。
悪魔の実の能力を二つ得ることは不可能。その定説が目の前で覆り、思わず疑問の声を上げてしまう。
「ゼハハハ! 全てを無に還す闇の引力、全てを破壊する地震の力! この2つを手に入れた俺に、もう敵はねェ! 俺こそが最強だ……!」
「……あ゛?」
マリンフォードの本部要塞を壊し、そして最強を名乗った黒ひげ。
「ここから先は!! 俺の、時代だァ!!!」
高らかに、彼は叫んだ。
黒ひげに死亡フラグがたった模様。
コメントや評価など、お待ちしております。
今後の本番シーンについて、主にどんな内容が良い?
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主要キャラの一部を濃く
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主要キャラメインで大人数を書く
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作者好みのキャラで濃く
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現在対象キャラ全員
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このキャラを!(感想に書いてください)