ようやく原作との乖離点が大きく出てきました。
ややこしくならないよう、細かく書いていければと思います。
「あの、クソガキ……ッ! 本当に送ってくるとは……!」
ドレスローザの王宮の玉座で、ドフラミンゴの額に血管が浮かぶ。
彼の目の前には、白い風呂敷に包まれていた彼の部下、ヴェルゴの頭部のみがあった。
「ドフィ……」
「それだけでもいい、なるべく静かな所に埋葬してやれ。ヴェルゴの頭部がその惨状ってことは、首から下は
ドフラミンゴも認めるほどの実力者であったヴェルゴの頭部は、元の顔が分からなくなるほどに血や痣だらけになっており、歯もほとんど失い、舌まで抜かれていた。
風呂敷に同封されていた手紙には、ジャックハートの直筆で海軍の裏切り者として処分したと書かれており、彼の手で行われた拷問によるものだと想像できた。
「ジャックハートはどうする」
「今回に関してこちらから復讐はできない。王下七武海と海軍は、協力関係のようで不干渉が暗黙の了解だ。そこに、俺の方からスパイを送っていたことがバレた」
ドンキホーテ・ファミリーの最高幹部の一人であるディアマンテと共にヴェルゴの一件について話す。
王下七武海が送ったスパイをよくも殺しやがって、とは流石のドフラミンゴも海軍に言えず。ドフラミンゴは長年相棒として活躍してくれたヴェルゴの仇すら取れなくなっていた。
「……ディアマンテ。"メラメラの実"に関してはお前に任せる。麦わらは次点でいい。もし大会に奴本人が出てくるのなら、最優先はジャックハートだ」
「了解した」
普段は個性的な話し方をするドンキホーテ・ファミリーの面々であるが、死者が出たこと、そしてジャックハートが牙を剥きかけているという事実が事態を深刻にしていた。
兄エースの能力を欲しがるルフィと娘のために実を欲しがるジャックハート。双方ともに同時に叩けると考えればタイミングが良いとなるのだが、先日起こったとある出来事によりそうとも言っていられなくなったのだ。
「やってくれたな、ロー……!」
それこそが、ローとドフラミンゴとの間に発生した一種の契約。
ローは捕らえたシーザーを引き渡し、ドフラミンゴは王下七武海を辞めるというそれは、一見成立しているようでしておらず、しかし第三者の手によって成立しようとしていた。
そもそもドフラミンゴは自身の特殊な立場を使い、王下七武海脱退を誤報という扱いにしてシーザーを奪い返そうとしていた。
だが、運はローに味方していた。
「あのジャックハートが誤報なら仕方ないと見逃すか……? 最悪、3人を奴にやってでも……」
それこそが、ジャックハートの存在である。
ローは、麦わらと同盟を組んでいるものの、自分の口から正式に発表していないため完全な黒ではない。
しかし、ドフラミンゴの場合はジャックハートとの関係が長く、そして辞めるという情報が一度完全に流れてしまっている。
極上の女3人を常にジャックハートの世話係としてドレスローザに置き続ける。そこまでして彼と交戦しなかったドフラミンゴだからこそ分かる、ジャックハートの異質さ。
「……ディアマンテ。コロシアムに向かう前に、一つ」
「どうした、ドフィ」
ドンキホーテ・ファミリーの中でも"コロシアムの英雄"として圧倒的な強さを誇るディアマンテ。
そんな彼がコロシアムに向かおうと席を立った時、ドフラミンゴが俯いたまま言葉を続けた。
「もし、仮にジャックハートが出ているのなら、負けろ。勝率やファミリーの誇りなどどうでもいい。出るなら奴はジャックスという名で出場するはずだ」
「……ドフィ、それは」
「お前を信用していないはずがない。だが、だからこそお前を失いたくはない」
ドフラミンゴの発言は、暗にディアマンテではジャックハートに勝てないということを示していた。
長年支えてきたドフラミンゴの言葉ゆえに平静を保っていたが、その意味を込められた言葉にディアマンテも表情を良くはしなかった。
「奴は、異常だ……。"悪魔の実"はともかくとして、なぜあいつが武器の類をあまり使わないか知っているか?」
「……」
沈黙。
ヴァイオレットやベビー5伝いに"悪魔の実"を食べない理由の大半はセックスを存分に楽しめなくなるからと聞いているが、それでも素手で闘う理由までは知らなかった。
恐らくそれは、ファミリー内の男たちでは定期的に顔を合わせてやりとりをしているドフラミンゴしか知らないこと。
「楽しむためだ。殴る感触も、潰す手応えも、折る快感もな。武器を使うのは雑魚が多すぎて面倒になる時。それ以外は、敵のしぶとさと自分の力を確認するかのようにじわじわと嬲りながら殺す」
「っ……。分かった、ドフィ。そこまで言うなら、気をつけよう」
海兵とは思えないような戦い方。
その戦闘の真髄を知る者が少ないのは、大半が殺される対象だからである。ドフラミンゴのように、懇意にしているとはいえ、ジャックハートの戦いを近くで見て、無事でいる海賊の方が珍しいのだ。
「だが、用心に越したことはないが、奴一人にそんなに臆病になる必要はない。正式に王下七武海である限り、あいつは俺たちにそこまで大きく手は出さん」
王下七武海。
政府により海賊行為が特別に許可されている彼らを、海軍であるジャックハートが派手に裁くことはない。
そうして今まで狡猾にやってきたのが、このドフラミンゴというだった。
「ではディアマンテ。ここからしばらく先のことを伝えておく。トレーボルもよく聞いていてくれ」
「んねー。べへへへへ、ジャックハートもそうだけど、ローの方にも気をつけないとねー」
「そういうことだ。俺はこれから、ローが指定した場所に行く。コロシアムの方には恐らく、ジャックハート以外にも麦わらが行くだろう。"ハートの海賊団"の面々はいないだろうが、"麦わらの一味"がそろそろ動きを見せるはずだ。シュガーの護衛をしながらも、頼むぞトレーボル」
いつにも増して真剣な雰囲気を醸し出すドフラミンゴに、付き合いの長い最高幹部である二人もいつもの口調での返事ができず、ただ、一つはっきりとした頷きを返すだけだった。
「……ところで、ヴァイオレットからの連絡はまだか?」
「んねー、べへへへ。2時間前から、まるっきりねェよぉ〜」
「そうか。……2時間、いつもの調子ならまだ盛っててもおかしくはないか。モネとベビー5はどこだ」
「いつもの女だけで羽を伸ばす時間とやらに出ているが……。なぜあんな要求を許可したんだ? ドフィ」
「……こうも大所帯では、窮屈だろうと思ってな」
嘘である。
あまりにも窮屈すぎる生活に女性陣から文句がでたのは事実であるが、原因は違う。
ストレスを溜めた彼女たちを見たジャックハートが、参戦したコロシアムで大会でフィールドをうっかり
これ以降何度も全壊するコロシアムを想像してしまったドフラミンゴは、買い物程度ならと女性陣に許可を出したのだ。
「まあそのことはいい。それぞれ、頼んだぞ」
だが、今のドフラミンゴにとって大事なのは女性陣の動きよりもローや麦わらの動き。
ジャックハートには女性陣を当てがっておけばしばらくは大人しくなるだろうと考えているドフラミンゴにとって、最優先事項はカイドウとの取引。
「フッフッフッフッ! 年貢の納め時だな、ロー……!」
まずはローからシーザーを取り返すために、ドフラミンゴが動き出した。
◇
「ッ! ここ、は……! そうだ、ナミ、ロビン! モモッ!?」
甲板に見回りに出た瞬間に襲われ、意識を失ってしまったチョッパーが目を覚ました。
一瞬の出来事だったとはいえ、油断していたわけではない。それゆえに、チョッパーは目覚めた瞬間から最大限の警戒をしていた。
「ふぇ……! お、お兄ちゃん、タヌキさん、起きた」
「誰がタヌキだ! ……って、子どもか。いや、でも……」
檻越しにいたのは、海軍の制服に身を纏った一人の少女。
黒髪にぱっちりとした瞳。その他にも端正な顔つきをしているが、少し怯えたような様子を見せた彼女は、兄を呼んだ。
「ん、ありがとうスウェットリー。さて、"麦わらの一味"の船医、トニートニー・チョッパー。お前にはしばらくここにいてもらうぞ」
「っ、お前は……! モモは、ナミとロビンはどこへやった!」
「もう一人の子どもなら、父さんからの指令で、重要人物ってことで妹たちが締め上げてる最中だ。他の二人は……」
スウェットリーの兄、ダレスが檻の中のチョッパーの言葉に返事をしていると、その部屋の奥にある扉が開いた。
チョッパー自身、その音でようやく部屋全体を見渡すことができ、この部屋には自分が入れられている檻と扉以外にはほとんど何もないことが分かった。
「ねーねー、お兄ちゃん。あの子めっっっちゃくちゃ弱いんだけど」
「なのに威勢だけはいいし、妙に打たれ強いし。俺が止めなかったら今頃姉貴に殺されてたぜ? っつっても、今も半殺しのまま止められてるけど」
「お、お前ら! モモに何したんだ!」
「あ、タヌキくん起きたんだ。それにしても、判断が悪いねぇー。この制服着てるってことは、年齢に関わらず正式な海兵だってことは考えなくても分かるのに。海兵が海賊にすることはただ一つ、でしょ?」
その扉から出てきたのは、スウェットリーに兄と呼ばれていたダレスよりも少し小さい二人の子ども。
たった4人の子どもしかいないが、その全員が海兵の制服に身を包んでいた。
「……あ。ね、ねぇお兄ちゃん。このタヌキさん、ずっと気絶してたから、私たちのこと知らないんじゃ……」
「俺はトナカイだッ!!」
「あぁ、そうか。父さんが注意しろって一味だから本気でいったら、予想より随分と弱かったから、手加減ミスったんだった」
モモの助を恐らく痛めつけていた少女と少年が、一番大きい少年の両脇に移動し、一番小さな少女が一番大きい少女の左腕に抱きついた。
「お前のお仲間にはもう紹介したが、俺はジョー・ダレス。海軍本部大尉だ」
「私はジョー・リリー。海軍"G-5"支部少尉だよ!」
「俺はジョー・アルカナ。海軍本部軍曹だ」
「わ、私は、ジョー・スウェットリー……。海軍本部の、伍長だよ」
目の前の子どもたちの口から次々に飛び出る、海軍の階級名。
大将や中将クラスではないものの、見た目の年齢から考えると簡単には起こらないであろう事態に、チョッパーは青ざめた。
「それと、今オルビアとベルメールをあやしてるのが、ハルディとノルディア。二人とも、私と同じ伍長」
「そうだ……! 二人は、二人の子どもは無事なのか!?」
「え……? 無事なのかって、なんで私たちが二人に酷いこと、するの?」
他の3人には似ていない、怯えた様子で話すスウェットリー。
それもそのはず、1人だけ年齢的にいえばまだ5歳程度にしか見えないのだ。
「なんでって、お前たちは海兵で、あの2人はナミとロビンの……海賊の子どもなんだぞ!?」
「え……?」
チョッパーのその言葉にすら疑問を返すスウェットリーは、その後。
「あの2人は、パパと2人の間に出来た子だから、私たちの家族、だよ?」
チョッパーにとって、最悪な知らせを言い放った。
「……え?」
「だから、ベルメールとオルビアは、私たちのパパと2人のお母さんとの子ども。……知らないの?」
ナミとロビンの子どもが、海兵の家族。
ずっと頑なに言おうとしなかった父親が海兵なら、納得がいく。
だが、その人物がよりにもよって、なぜあのジャックハートなのか。
「そ、そんな……」
「リリー。うるさくなる前に眠らせてくれ」
「はーいっ」
事の真相を聞こうとした瞬間、チョッパーの意識は絶たれた。
最後に見たのは、リリーと呼ばれた少女が目を見開き、何かを発した瞬間。
ぱたりと倒れたチョッパーは、再び眠り始めた。
「今、この船にいる子ども達って何人だ?」
「えーっと、私たちとハルディ、ノルディア、スピカにマーク、メドウィーにサロメア、ベルメールにオルビアと……赤ちゃんも入れたら、ハンコックお母さんの子のシャルロットと、マーガレットお母さんの双子のリリウムとルベルム、ランお母さんのファレノと、ポルチェお母さんのグード、コアラお母さんのアローとマキノお母さんのミルがいるから……19人? うわぁ、増えたねぇ」
「家にいる子たちも入れたら、もっといるけどなー」
リリーの口から列挙される、ジャックハートの子どもたちの名前の数々。
ダレスとリリーの二人が少し年齢的には抜けており、それ以外はほぼ腹違いの兄弟と考えると、凄まじい数の女性と父親が肉体関係を持っていることがよく分かる。
「それがどうしたんだよ兄貴。まだほとんど海兵にはなれねぇだろ?」
「いや、それがそうでもないらしい。ボニーさんが自信満々に父さんに話していたらしいんだが、能力の新しい使い方を覚えて、一気に使いやすさが増したそうだ」
「へぇー。ボニーさんの能力でどうなるんだろ」
「……分からん。だが、父さんがいいことを思いついたらしい」
あまりにも増えた弟と妹。
しかし、彼らはまだ血の繋がった家族。名前や顔を一致させるのは難しくない。ダレスやリリーにとって一番難しいのは、次々と増える母親たちの特徴を覚えることだった。
その中には"悪魔の実"の能力者ももちろんいるため、その能力は完全に覚えきれていなかった。
父の言ういいこととは何なのか。それを考えるリリーたちの部屋に、一人の来客が現れた。
「皆、わらわじゃ」
「あっ! ハンコックお母さん!」
「ふふっ。相変わらず可愛らしいの、お主は。一つ、速報でいい知らせがある。聞きたいか?」
「うんっ!」
その正体は、ジャックハートと結婚して正式に妻となったハンコック。
豊満な肉体を押し込める衣服は、珍しいというか何と言うか、露出は多いが異性を誘うようなものではなく、その額には汗が浮かんでいた。
腕に娘であるシャルロットを抱きながら、女神のように優しい微笑みを子どもたちに向ける。
「たった今、家族がもう一人増えたようじゃ。元気な男の子。久しぶりの弟じゃの」
「ホントっ!? ……あっ、でもパパが今いないから、名前が……」
「大丈夫じゃリリー。すでに、ジャッ……、んんっ。あな、ではない。だ、旦那様から名前は聞いておるからの」
リリーたちが知らされたのは、弟の誕生。
アマゾン・リリー出身の者との間にできた子は皆女子であり、それ以外の母親との間にも妹ばかりが生まれており、弟の誕生は彼女の言葉通り久しぶりだった。
いつも子どもたちの命名は父親であるジャックハートが行っているため、今回はしばらく時間がかかりそうだと感じていたリリーたちの懸念を他所に。
「名前は、ゲン。ジョー・ゲンじゃ」
ハンコックは、この世に生まれた新たな命の名前を世界に知らせた。
◇ ◇
「あーあ。可哀想なレベッカちゃん。こんなむさ苦しいゴミみてぇな奴らと戦わされて、挙句視姦されてんだろ? 粗末なモンぶら下げて、思考回路もお粗末そのもの。てめぇらが俺のレベッカちゃんに指一本触れることすらおこがましいわ」
「ぐ、ガァアアッ!」
『つ、強い強い強いぃ〜!! やはり強い、強すぎるぞこの男ッ! 急遽体調不良から出場できなくなったレベッカ選手の代役として現れた、ジャックス選手! 着けている防具は顔を隠す仮面のみ! それでも強いぃ!』
軍艦の中で新たな命が誕生した時、ジャックハートはコロシアムで行われている大会で暴れていた。
元々レベッカが出場予定だったブロックに割って入ったのだ。もちろんレベッカは体調不良になどなっておらず、ヴィオラと共に抜け道から外に出て、ドレスローザ内を駆けていた。
「……マジで雑魚しかいねぇな。今まで何やってたんだよこいつら」
ジャックハートの眼前にいるのは、そのレベッカの対戦相手であった者たち。
"メラメラの実"の争奪戦に参加する者たち。その実力を少し楽しみにしていた部分もあるのだが、彼らでもジャックハートを熱くするには至らなかった。
呆れたようにため息を一つ。それと共に、今後の予定を大まかに確認していく。
「カリファちゃんとレベッカちゃんも妊娠したし、コアラちゃんとマーガレットちゃんともする約束をしてるし、何よりヴィオラちゃんとモネちゃん、ベビー5ちゃんをたっぷりと愛さなきゃいけぇねんだ。こんなとこで雑魚の短小どもと遊んでる場合じゃねぇんだっての」
「随分と、余裕だなっ!」
「おっと」
片手で自身の肩をマッサージしながらもう片方の手で相手の首を掴み上げ、握力だけで骨を木っ端微塵にへし折り、足の下にはそれぞれ肩を踏み砕かれた戦士が二人。
用意されている武器を用いても良いというルールだがジャックハートは一切使わず、己の肉体だけで参加していた。
ジャックハートとしての素性を隠し、ジャックスと名乗るための仮面だけを被っていたジャックハートに、一人の男が切りかかった。
「お前……キャベンディッシュか。懸賞金高々2億ちょっとの」
肩をマッサージしていた手でキャベンディッシュの愛刀、デュランダルの刃を掴む。
圧倒的な膂力に"武装色の覇気"が加わったその力は、実力者でもあるキャベンディッシュですらぴくりとも刀を動かせないほどだった。
「ふっ。それは世界政府の見る目がないだけさ。"最悪の世代"なぞばかり注目をしているから僕のような大スターを見落としてしまう」
「おーそうか。……でもまあ、政府の認識も正しいだろ」
「何?」
美しき海賊団船長、キャベンディッシュ。懸賞金2億8000万ベリー。
ジャックハートが中将時代に聞いた名前ではあるものの、キャベンディッシュを捕らえるためにジャックハートが駆り出されることは
つまりはその程度だというのがジャックハートの認識であり、その認識は今も変わらなかった。
「悪ぃがお前には、
「何をふざけたことを……! ならその素質とやらを見せてやろう!」
ジャックハートの胴体に蹴りを入れ、強引に刀を引き抜いたキャベンディッシュ。
彼の美しい見た目から繰り出される華麗な技。まるで一つの舞踊のようにも感じられるが、生憎ジャックハートは目の前の男に動かされる何かを感じなかった。
「はぁぁぁあああッ!」
「……違ぇよ。素質ってのは──」
眼前に、一直線に迫る剣先。
容姿だけではなく実力も兼ね備えており、中でも剣術は抜群の腕前を誇るキャベンディッシュ。
そんな彼の本気の突きは、ジャックハートの喉元どころか、彼の間合いにすらも入れなかった。
「──こういうことを言うんだ」
キャベンディッシュだけではなく、リングの上に沈んでいく戦士たち。
中には呼吸をできているのかも怪しい状態の戦士もいる中、それは一部の観客席にまで及んだ。
「おい実況。悪いな、一瞬で終わっちまったわ」
『な……何と言う、ことだ……! 謎の仮面戦士、ジャックス……! 以前からその実力は折り紙付き、しかしっ! 今日改めてそれが明らかになったぁー!』
ジャックハートが放ったのは、ただの"覇王色の覇気"
実力者揃いの中でその全員を確実に気絶させる練度にまで引き上げられたそれは、客席前方に座っていた一般市民の意識すらも刈り取った。
『Cブロックでも見た、は、"覇王色の覇気"〜ッ!! な、なんと、混戦が予想されたDブロックを制したのは、体調不良のレベッカ選手の代役として急遽参戦した、仮面の男、ジャックスだーッ!!』
「あんなクソみてぇな"覇王色"と一緒にすんじゃねぇよ」
歓声を背にコロシアム内部へと引き上げるジャックハート。
このコロシアム内には現在ジャックハートと関係を持ったことがある女性は誰一人としておらず、また、退屈な遊びから解放されたとしても待っているのはむさ苦しい戦士たちの姿と臭い汗の匂い。
「……最悪だぜマジで。レベッカちゃんがいるのとリリーの誕生日プレゼントのためじゃなきゃ、こんなとこ二度と踏み入れたくねぇ」
「いやぁ〜、お前強いなぁ〜」
仮面の下で嫌悪感丸出しの顔を浮かべる彼の元に、一人の小さな男が現れた。
その男は、すでにCブロックを勝ち抜き決勝進出を決めていた剣闘士、ルーシー。
だが、彼の粗末な変装などジャックハートには全て見透かされており、彼が"麦わらの一味"の船長、ルフィであることは一瞬でバレていた。
「……ルーシーか。お前こそ、素晴らしい戦いだったじゃないか」
「お、そうか? ま、決勝でやるとしても、勝つのはおれだけどな!」
「戦い方を見る限り何かの"能力者"のようだが……"メラメラの実"は要るのか?」
「当たり前だっ! って、え〜っと……、あ、そうだ。仲間が欲しがってんだ」
「ほう……。見ない顔だが、海賊か何かでもやってるのか?」
「おうっ! 船長だ!」
だが敢えて正体を突かず、泳がせる。
ジャックハートも正体を知られない程度に、ほんのりと情報をルフィに染み込ませていく。
「なるほどな。"新世界"でも無事なら、さぞかし優秀な船長なんだろう」
「しししっ! おれの仲間たちがすごいんだ!」
「となると、とびきり優れた航海士でもいるのか?」
「あぁっ! ウチの航海士はすっげぇんだぞ!」
至る所まで知ってるよ、と心の中で呟き、ルーシーとの会話を続けていく。
二人がいるリングへと続くゲート付近からは、着々と決勝の準備が進められていく様が見える。
「それは是非、一度会ってみたいものだ」
「なんでだ?」
「さぁ。なんとなくだ。……だが、良い出会いになると思うだけだ」
「ふーん。変わってんな、お前」
リングの準備が整い、観客のボルテージも最高潮まで高まっていく。
そんな中、ジャックハートはルーシーに一つの言葉を残した。
「あぁ、そうそう。ルーシー、海賊をやってるなら一つ、面白いことを教えてやろう」
「面白いこと? なんだそれ」
「海軍のことだ。世界徴兵で戦力の底上げをしただろう? だが、
「へぇー。ま、おれ達の邪魔するなら、海軍でも他の海賊でも、ぶっ飛ばしてやる!」
その言葉にジャックハートは、仮面の中で薄らと笑みを浮かべた。
◇ ◇ ◇
「あら、サカズキ元帥。随分と書類が残っちゃってるじゃないっすか」
「クザンか。ジャックハートの奴がよこしたモンじゃ。全く、わしに何も言わんとこんなもんを上に通しよって……」
「どれどれ……ッ!? これ、マジっすか?」
「大マジじゃ。戦力としては確かに数えられるが、経歴が経歴。まあ奴の監視下にあるなら大丈夫じゃろうが……」
「上……ってか天竜人がよく通しましたね」
「その天竜人からの命令じゃ。ジャックハートの要求は全て呑め、と。一月の間だけでいいらしいが、その間に決定されてしまえばな」
時は少し遡り、ジャックハート達がドレスローザに入る少し前。
パンクハザードを出発した辺りとほぼ同時刻。海軍本部にある元帥、サカズキの部屋に、部屋の主であるサカズキと、大将であるクザンがいた。
時刻は夜。何か連絡はないかと確認に来たクザンの目に止まったのは、大量の書類。
それに目を通した彼は、言葉を失った。
「まぁ〜これを飼い慣らすことが出来るのはジャックハート大将だけでしょ」
「じゃからわしも、賛成したくはないが納得はできちょる。判を押すという選択肢以外もないけぇの」
「にしても凄い人数だ。……15人以上っすか?」
「あぁ。しっかり海兵として働いてくれるなら何も言わん。制服についてもじゃ」
「え、いいんすか?」
「全員を海軍の制服に統一した方がめんどうじゃろう。ジャックハートが」
リストに書かれていたのは、見知った名前。
しかし、滅多に顔と顔を合わせて話すことはなく、むしろ言葉よりも遠くから聞こえてくる喘ぎ声の類のものを聞くことの方が多い人物たち。
「元九蛇、ボア・ハンコック
「実力は間違いないでしょう。諸々の管理はジャックハート大将に任せましょうよ」
その人物たちこそ、今現在ジャックハートに付き添っている女性たち。
彼女たちの中で過去に海兵ではなかった者たちが、正式に海兵として認められたのだ。
「ドレスローザに革命軍が数人いるとの情報もあるけぇの、上手く潰すじゃろ」
「……そうっすね」
それぞれに女性の顔とこれまでの経歴などが書かれた書類の中の一枚に注目する。
そこには、海軍本部准将となったコアラの情報が書かれていた。
ドレスローザ編めっちゃ長くなりそう()
メラメラの実がどうなるかや、原作に出てくるドレスローザの主要キャラがどうなるのか……。
えっぐいことなりそう。
コメント、評価などよろしくお願いします!
今後の本番シーンについて、主にどんな内容が良い?
-
主要キャラの一部を濃く
-
主要キャラメインで大人数を書く
-
作者好みのキャラで濃く
-
現在対象キャラ全員
-
このキャラを!(感想に書いてください)