※この作品はR-18です。

海軍史上最悪の男   作:チャリ丸

37 / 44
この話でかなーり進みます。不必要だと作者が思ったところは割愛しました。誰もラオGとかが悶え苦しみながらボコられるシーンとか見たくないやろ……。

そして、この話からちょっとずつ史上最悪の片鱗が出始めます。自分で書いててご都合主義やな、と思いながらも筆が動いた結果です。





躍起

『さてドレスローザの国民諸君、及び客人達。真実を知り、俺を殺してェと思うやつもいるだろう。そこで、ゲームを用意した。俺を殺すゲームだ。それと同時に、12名の愚か者たちをも殺すゲームでもある』

「うぇえぇぇぇぇぇっ! 何これ、美味しくない! 何これー! お兄ちゃんこんなの食べてたの!? まっずい!」

「今ドフラミンゴが話してるんだ。もう少し静かにしてくれないか、リリー」

「ぶー」

 

 大きくなった子ども達と共に、突如国内に流れ始めたドフラミンゴによる放送を聞く。

 聞けばなんとも面白おかしい話である。

 

『星1つにつき1億ベリーだ。リストはすぐに公開しよう』

「アホだろ。そんぐらい自分でさっさと殺せや」

「それが出来ないから四皇ではなく王下七武海なんでしょう」

 

 ドフラミンゴがドレスローザで行っていたのは、海軍もビックリのおもちゃによる超奴隷労働。幹部の能力によりおもちゃに変えられたものはその命令に逆らうことは出来ず、おもちゃにされた者のことは皆が忘れてしまう。自分に都合が悪いものだけをおもちゃにし、自らを王と慕わせていたという事実に、国民は怒り狂っていた。

 

『俺は王宮にいる。逃げも隠れもしない。よく考えろ。俺たちドンキホーテ・ファミリーと共に、楯突く奴らを殺すか、俺の首を狙いに来るか。俺をどうしても殺したいのなら王宮に。金と命が同時に欲しいのなら受刑者を殺せ。さっさと動かなければ、発動した『鳥カゴ』の中で息絶える事になる』

「お、じゃあドフラミンゴとリストのやつら全員殺して終わりか」

「ねぇパパ。"悪魔の実"って全然美味しくないよ」

「知ってる」

 

 18歳程度まで成長した子ども達。その中でもダレスとリリーの二人は落ち着いており、リリーは先ほどジャックハートに誕生日プレゼントとして渡された"メラメラの実"を食していた。

 空中投影されたモニターに映るドフラミンゴの顔が、歪んだ笑みを浮かべる。

 

『その受刑者が、こいつらだ』

 

 まず投影されたのが、10人。

 レベッカ、錦えもん、ヴィオラ、フランキーがそれぞれ星一つ。

 キュロス、ゾロが星二つ。

 サボ、ルフィ、ロー、そしてリク王が星三つ。

 うち二人はすでにジャックハートの自室で会話に花を咲かせており、うち一人はすでに軍艦に捕らえられているのを知らないのだろう。

 

『そして後二人。一人は今日最も俺を怒らせた人間、ウソップ。星は七つ。そしてもう一人は、海軍本部大将の一人、ジョー・ジャックハート。星は、二十だ』

「俺一人で20億かよ。桁考えろって」

「……海兵として言いたくはないが、支配されていた憎しみを俺たちに向けないで欲しいな」

「全くだぜ兄貴。まんまと何年間も騙されてたのはお前らだろってな。それに、海軍は真正面から王下七武海には手を出せないってのに」

「そんなこと言ってもしょうがないでしょ? それより、アルカナとスウェットリーもアレ、使える?」

「う、うん。使える。さっき試したから」

 

 ジャックハートの顔に浮かぶのは、僅かながらの怒気。

 安全な場所に避難させているとは言え、形式上でも自分の女を奪おうとしているのだから。

 今から始まろうとしているゲーム。それは、一般人にとっては、親しい隣人がドフラミンゴによって操られ、武器を振りかざすゲームを止めるためのもの。一部の海賊にとっては『受刑者』を討ち取り、金と命を得るもの。そして、また一部にとってはドンキホーテ・ファミリーの首を狙うもの。

 

「よし。じゃあ王宮に向かうぞ」

「周りを囲んでる人たちはどうするの?」

「一応国民だからな。直接手を出すわけにはいかん。リリー、みんな、いけるか?」

「うん! せーのっ」

 

 ジャックハートの懸賞金はなんと20億ベリー。

 知っている者は彼の実力をよく知っているが、一般市民にとっては普通に強い海軍の大将。

 市民が海兵の首を狙うなど、普通はありえないこと。だが、それほどの大金をかけられれば動く者も現れる。

 そんな彼らを一撃で気絶させるのが、"覇王色の覇気"である。

 

「す、すごい……!」

「やっぱりお前たちも使えるようになったか」

「めちゃくちゃ便利じゃねぇかこれ」

 

 スウェットリー、アルカナという実年齢の時には"覇王色"を扱えていなかった面々も、己の感覚と才能で発動することが可能となっていた。

 "覇王色"を使うまではジャックハートを捕らえることでなんとかドフラミンゴに見逃してもらおうと考えていた者たちが立っていたが、彼らも全員気絶していた。

 父親と子ども4人による、計5人での"覇王色"。一般人に耐えられるほど、優しいものではなかった。

 

「具体的な作戦としては、どうしますか」

「作戦もクソもねぇよ。俺は王宮に直接向かう。お前たちはお母さんたちのサポートをしろ。くれぐれも、海賊ども殺して連れてくるなよ」

「はーい」

 

 この状況をジャックハートも想定していた訳ではないが、彼にとっては嬉しい誤算だった。子どもたちに任せるだけになりそうだったドレスローザでの滞在で、自分が動ける状況になったのだから。

 それぞれが"剃"で消えた子どもたちを背に、一人"剃刀"を使い、高速で宙を蹴る。

 向かう先はもちろん王宮。途中、最高幹部の一人であるピーカが"能力"を使い"王の大地"を操ることで巨大化したものとすれ違ったが、一旦放置。

 最優先事項は、ドフラミンゴただ一人なのだから。

 

「よう御一行。元気にしてるか?」

「ッ! フッフッフッ……! まさかお前自らここにくるとは思わなかったぞ、ジャックハート……!」

「分かってただろ。んなくだらねぇ冗談いらねぇよ」

「では率直に聞こう、ジャックハート。あの4人をどこへやった?」

「あ? あぁ、今頃俺の船で俺の帰りを今か今かと待ってるところだろうな。さっさと片付けて帰りてぇんだ。協力してくれよ」

「断る、と言ったら?」

「強制連行か、ヴェルゴと同じ運命だな。お前ら全員」

 

 なんらかの攻防があったのだろう。すっぱりと刀で切ったように上半分が消しとんだ王宮を、上から侵入してドフラミンゴの目の前に降り立つ。

 そこには、外で地面と同化し暴れているピーカ以外のほぼ全てのファミリーが揃っており、彼の登場に表情を引き締めるものが大半だった。

 

「いやぁ、ようやくだぜ。ずっと待ってたんだ。テメェらを正式な海賊として扱うことが出来る日をよ……」

「……俺も、落ちたな。最初からお前にビビることなく、こういう状況になったら正々堂々とお前を始末すればいい話だったんだ」

「ケハハハハハ! お前らが、俺を? 9年前にファミリー半壊させられて、そこから海軍本部のたった一人の海兵にビビりながらこそこそ活動してた天下のドンキホーテ・ファミリーがか? 笑わせんなよ」

「黙れ。よくよく考えれば分かる話だ。お前をこういった形で殺せば万事解決。今の俺は、ただの海賊なんだからな」

「やってみろや。椅子に座ってふんぞり返ってるだけで勝てるほど、大将は甘くねぇぞ」

 

 この場には今現在、ドンキホーテ・ファミリーのほぼ全ての人員が揃っている。

 王宮の外の争いは操られた市民や海兵とコロシアムにいた海賊たち、それを取り押さえようとしている海軍の3つの勢力によって激化していく。

 そしてこの王宮では、ジャックハート一人とドンキホーテ・ファミリーによる戦いが行われようとしていた。

 

「ケハハハハ。工場守るための戦力も注込めねぇ、海兵一人、海賊一人も殺せねぇ。だからお前は政府の犬止まりなんだよ、元天竜人」

「……殺れ」

 

 ラオG、グラディウス、ディアマンテ、トレーボル、バッファロー、デリンジャー。

 最高幹部を含む幹部たちが、一気にジャックハートへと襲い掛かる。

 

 

 ◇

 

 

「はぁーッ、はーッ! ……ッ、はぁ……」

「お疲れ、ナミ。赤ちゃんは元気だよ」

「知ってるわ。っ、ふぅ……。私と、ジャックハート様の子どもだもの」

「あははっ。よく分かってるじゃない。すっかりジャックハート様にゾッコンってわけだ」

「ちがっ……わないことも、ないわ」

 

 ドレスローザの各地で暴動のような騒ぎが起こる中、ここだけは違っていた。

 ジャックハートを主人とする軍艦。その医務室には特定の専門器具が揃っていたり、乗船している人間が特定分野に手慣れているという特徴があった。

 

「あら、意外。海賊と海兵、しかもココヤシ村を出る時にあんな笑顔で出て行ったもんだから、海賊が一番楽しいのかと思ってた」

「……もう二人も赤ちゃんを出産してるし、心のどこかで本気で拒もうとは考えられないもの。ノジコも抱かれたなら知ってるでしょ? ジャックハート様のセックスの巧さ」

「そりゃあもう。あんたが羨ましいよ、二人も出産してるなんて。聞いたよ? あんた、5日間ぶっ通しでジャックハート様としてたんでしょ? 私も秘書になってから短いけど、それでも結構身体を重ねたつもり。でも、まだあんたには負けるわ」

 

 言わずもがな、ジャックハートと関係を持つこととなった女性陣のための設備である。

 数時間前に男の子を出産したナミのように、いつ陣痛や破水が来ても大丈夫な準備が常に整えられており、ナミもその設備の恩恵を十二分に受けることとなった。

 現在この部屋には、無事二児の母となったナミと、つい最近ジャックハートの秘書となったノジコだけがいる。

 

「……あんた、どうするの?」

「っ。どうするって……」

「こんなこと私が言っていいことじゃないと思うけど、このままじゃあんた絶対に破滅するよ。ジャックハート様を、あんまり舐めない方が良い。あの人は、アーロンなんかとは次元が違う」

 

 ノジコとナミの話題は、もちろんというかなんと言うか、ジャックハートのこと。

 ベルメールとゲンの二人を出産し、尚且つ現在彼から逃げ切る方法も、彼を倒す手段も見つからない。

 ナミも海賊の端くれ。今まで本当に同じ生き物かと思うような敵と戦ったこともあるし、やられたこともある。だからこそ分かるものがある。

 

「あんたも薄々気づいてるでしょ? ジャックハート様は、どうでもいい人間が壊れるまで遊ぶ。王下七武海でも、ただの海賊でも関係ない。ただ自分にとって面白く遊べるおもちゃに過ぎないの。残念だけど、今のあんたらはジャックハート様に狙いを付けられてる」

「……知ってるわよ。でも、今更私が抜けるわけにはいかないわ。契約も結んでるし」

「自分たちの身体を差し出す代わりに仲間を守るのと、情報を差し出す代わりにその身体を差し出すのを一回見逃してもらうってやつ?」

「そうよ。……あれ?」

「ナミ、どうかした?」

「う、ううん! なんでもない!」

 

 ノジコからナミに改めて伝えられたことは、ジャックハートからは逃げられないということ。

 その会話の途中、一瞬だけとてつもなく恐ろしい考えにナミが至ってしまった瞬間を、ノジコは見逃さなかった。

 

「……まっ、いいけど。じゃあナミ、しばらくここにいな」

「っ、そ、そういうわけには……!」

「捕まえる気があってもなくても、出産直後のあんたを生まれたての赤ちゃんと一緒に外には出せないって。もう一人の女の仲間もここにいるし」

「やっぱり、ロビンも……」

「少なくとも今はジャックハート様は外にいるし、今だけでもいたら?」

「……そうね。そうする」

 

 話相手が親しいノジコであるとは言え、海賊である彼女が軍艦で休むことを拒否しない。

 出産の疲れが相当溜まっているのか、すぐに眠ってしまった義妹の姿を見つつ、少し憐むような、暖かい眼差しを向ける。

 

「あいつらでも、どうにもできなかったか。楽しそうだったんだけど、目を付けられた相手が悪すぎるわね。切り替えて、第二の人生を楽しみましょ」

 

 眠る義妹に語りかけるノジコの声は、どこまでも優しいものだった。

 ナミが眠り、ノジコが周辺の整理整頓を行っていると、扉が静かに開けられた。

 

「ノジコさーん、入りますよー」

「あっ、たしぎさん。どうしたの?」

「ナミさんのお子さんの診断が終わったので、その報告です。健康そのもの、今はぐっすりと眠ってます」

「そっか、よかった。って、私の方が年下だし海兵でもないんだから敬語じゃなくてもいいって言ってるのに」

「こ、これは私の性格みたいなものですから。気にしないでください」

 

 扉から入ってきたのは、海軍の制服に身を包んだたしぎ。

 ドレスローザの混乱の収束のために駆り出されている者もいるが、全員という訳ではない。今のように、一人が出産するとなれば、その間に敵襲がないかを見張る者も必要となるのだ。

 

「ならいいけど。たしぎさんはこれからパトロールに?」

「はいっ。今回はちょっと、気合いを入れないといけないので」

「えっ。……ヤバいかも知れないってこと?」

「それはそうですが、相手が"麦わら"なので」

 

 来た。

 ジャックハートに口説かれ、そして一生添い遂げる覚悟をしたノジコにとって、海賊は言ってしまえば敵。

 ナミのように、ジャックハートとの間に子どもを授かりながらも海賊を続けているという例が珍しすぎるだけであり、本来は誰であろうと捕まえられる。

 詳しい事情や戦力の差についてはノジコにはまだ分からないが、ついに見知った海賊が標的になる時が来たのだ。

 

「それに、約束してもらったんです」

「約束?」

「はい」

 

 見た目はか弱く見えるたしぎであるが、その実力は本物。

 なぜまだ中将になれないのかという意見がジャックハートの派閥以外からも頻繁に聞くことができるほどに、実力を付けたのだ。

 それも全ては、彼のため。

 

「このドレスローザの一件で活躍すれば、中将昇進を薦めてくれるって。ジャックハートさんの推薦はすごくて、元帥もすぐに認めてくれるんです。中将になったら正式に結婚して、その……」

「あー。一日中独り占めした後で、子作りをするっていう」

 

 こくん、と赤くなった顔を縦に振るたしぎ。こう言ったうぶな部分とプロポーションのギャップがジャックハートに気に入られている要因の一つでもある。

 

「ただ、少し忙しいみたいで」

「ジャックハート様どれだけ働くの……」

「今だけの辛抱だそうですよ。ドレスローザを出た後、最低で6人、多くて8人の相手をしなければならない予定が入っているそうなので」

「ホント、セックスの体力もすごいわよね。ジャックハート様」

「体力というか、持久力はそれで付けている部分もあるそうです。私たちも、ですが」

 

 6人、多くて8人。ノジコの知っている限りでは島を出た直後となると、先ほど偶然街で捕まえたという報告があったレベッカ、ベビー5、ヴィオラ、モネの4人。

 さらにそこから増えるとなると、彼女には誰が抱かれるのか想像できなかった。

 

「誰になるんだろ。……もしかして、たしぎさん?」

「久しぶりにすることになるのがほとんどって言ってましたし、違うと思います。誰なんでしょうか……」

 

 ノジコよりもジャックハートとの付き合いが長いたしぎですら、そのメンツが思い浮かばない。

 もしかして、という女性もいるにはいるが、現実問題としてここに来ることが確定していないのだ。

 

「ま、まさか……」

 

 ドレスローザで捕まえた4人。

 そこから増える人間を考えた時、たしぎの視線は自然と、ベッドで眠るナミへと移っていた。

 

 

 ◇ ◇

 

 

「ギャアアアアアッ!!!」

「な、なんだコイツら、海兵!?」

「こんなヤツらがいるなんて、聞いてねぇぞ!」

「うるさいなぁ。お兄ちゃん、いくよ!」

「あぁ」

 

 市街に溢れかえる海賊達の暴動を抑えるため、海兵達が奔走する。

 その中心でまだ子どもとも取れる年齢の海兵が暴れていた。

 

「"炎塊・花火"!」

「……? 味方に、攻撃を……?」

「俺が食べたのは"ボムボムの実"で、妹が食べたのは"メラメラの実"。この二つを組み合わせるとどうなるか、知ってるか?」

 

 新たに"メラメラの実"の能力を手に入れたリリーが、ダレスに文字通りの炎の塊をぶつける。

 "覇気"が込められた火炎。常人ならばその威力と熱に痛手を負うが、"ボムボムの実"を食べているダレスに関しては少し違っていた。

 

「"自動爆破(オート・ボマー)"。炎そのものを爆発させる」

「なっ……!」

 

 リリーが放った火炎がダレスの身体に纏わりついていく。

 "ボムボムの実"の能力が発揮されるのは、能力者の体表に触れたもの。

 

「リリー」

「うんっ! 一気に、起爆ぅ〜!」

 

 一旦ダレスの皮膚に触れた炎が、リリーにより操作される。

 爆発する炎という何とも掴みがたいものが海賊たちへと襲い掛かる。

 

「うぐ、ぁぁあああああっ!」

「な、なんでだっ! 炎が、爆発した!?」

「あっちぃ!」

「……なんか、ショボいね」

「逆だな。俺が、リリーの補助だ」

 

 "ボムボムの実"は超人系の悪魔の実で、"メラメラの実"は自然系の悪魔の実。

 ダレスがリリーの背に手を突き入れる。肉体が炎そのものとなったリリーの肉体は、ダレスの右手を何事もなく受け入れた。

 

「おぉっ! なんかすっごいのが来てる!」

「爆発の勢いで、炎を放つ……!」

 

 リリーの皮膚の内側が淡く発光する。

 ダレスの"ボムボムの実"の力により彼女の内側に爆発が溜め込まれていき、リリーにより"武装色の覇気"が込められていく。

 

「行っくよー!」

 

 体内に爆発の威力を溜め込んだリリーが大きく飛び上がる。"ボムボムの実"の能力者ではないが爆発を続ける炎が彼女の右手に集まる。

 

「"爆炎拳"!」

 

 空から降り注ぐ、巨大な炎の塊。以前の"メラメラの実"の能力者であるエースの"火拳"よりもさらに大きく、かつ爆発による圧倒的な質量が、下にいる人間すべてに襲い掛かる。

 熱量が地面を包み込む。炎と連続した爆発が一気に襲いかかり、爆風が通り抜ける。

 

「……。今のは、凄かったな。"ボムボム"を食った俺以外、ほぼ全員倒れてるな」

「すっごいスッキリしたけど、体の中めちゃくちゃ痛いよー。爆発のせいでバッキバキになっちゃった」

「ま、お互い組み合わせずに別々で戦った方が効率がいいな」

「だねー。いい技できそうだと思ったんだけど」

「姉貴、兄貴も。真面目にやれよ。他の奴らも含めて普通にしぶといぞ」

 

 コロシアムの地下にあった港で働いていた、人形にされていた人々。

 その中でも腕に自信のある海賊たちが地上へと溢れ出てきており、彼らを抑えるために海兵たちが奔走し、その中でジャックハートの子供達も活躍していた。

 その一帯を無力化し終えたリリーとダレスに、彼らの弟であるアルカナが近寄った。

 

「ロロノアとローは王宮近くにいる。"麦わら"と狙撃手は地下から王宮を目指している最中、一味のうち3人は親父の船にいて、コックとガイコツは今その3人を助けようと奔走しているらしい」

「っ! 本当か?」

「スウェットリーの"見聞色"だ。成長して精度は親父並みに上がってる」

「それで、船は大丈夫なの?」

「愚問だろ、姉貴」

 

 まだ20歳にも満たない年齢である3人の周りにはもう海賊は立っていない。

 周りにいた海兵たちもすでに別の戦闘区域へと向かっていたが、誰もジャックハートの軍艦の方へと向かう者はいなかった。

 そしてそれは彼ら3人も同じ。彼らが向かう先は、父がいる王宮。

 

「少将2人に中将2人。うち1人は妊娠中とは言え、総合賞金額が1億ちょっとの2人には負けねぇだろ。それに、そもそも数の暴力で潰すからな」

「あっ、そっか。九蛇から来たっていう人たちみんなが援軍に来たんだっけ」

「そうだ。それと、ここで捕まえた人たちも()()()協力的らしい。普通に考えて負けやしねぇよ」

 

 以前ジャックハートが完璧に叩き潰した国、アマゾン・リリー。

 そこの住人の一部だけがジャックハートのお気に入りとなった訳だが、他の者は始末されたかと言われればそうではない。

 むしろ、ほぼ全員が相手を見つけ、家庭を築き、その後正式な海兵として認められている者もいるほどだった。

 

「兄貴。次どこいく」

「そうだな……。とりあえず、面倒ごとを片付けよう。残しておくと父さんにいろいろ言われるし」

「さんせー!」

 

 周囲に人がいなくなったところで、3人の次の目的地が決定した。

 コロシアムから王宮へと続く道。そこに群がる海賊たちを止めるために、彼らは走る。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

「おいブルック……! どういうことだ、こりゃあ……!!」

「さ、さあ……。私にも、何がどうなっているやら……」

 

 打倒ドフラミンゴを掲げるようになった"麦わらの一味"。その過程でシーザーを引き渡す契約や人口悪魔の実を製造している工場を壊す計画などが持ち上がったが、とある情報が舞い込んでからは第一優先事項が変わっていた。

 ドレスローザを一味の大半が駆け回っていたため、一時期船への注意がほぼ消えてしまっていたのだ。チョッパーがいるため大丈夫だろうという期待を他所に、船は乗っていた仲間ごと海軍に取り押さえられてしまったのだ。

 

「っ。みなさん、来ましたよ。"麦わらの一味"です」

「ふむ、あやつらか。今のわらわでも十分な気がするが……」

「そういう訳にもいかないって。妊娠してるんだし」

「ジャックハートくんも、きっとあなただけに任せるようなことはしないと思うわ」

 

 そこで、その話を聞いたサンジとブルックが向かったのが海軍の軍艦が止まっている港だった。

 いくら海軍とはいえ、取り押さえた海賊船をすぐに沈める訳ではない。船内に資産などの、言ってしまえば再利用できるものがある可能性があるためだ。

 

「び、美人の女海兵ばっかりだと……!」

「サンジさんっ! 彼女たちもきっと、あの……」

「あぁ……! ジャックハートとかいう野郎の……!」

「今、なんと言った?」

 

 彼ら2人を待ち構えていたのは、たしぎ、ハンコック、ペローナ、アインの4人。

 "麦わらの一味"屈指の女好きの2人でもある2人の前に立ちはだかったのは奇しくも、ジャックハートに虜にされた女性たちだった。

 

「ジャックハート様のことを、貴様は今なんと言った……!」

「っ、悪ぃ。悪く言ったつもりじゃねぇんだ」

「……まあ良い。貴様らに処分を下すのはジャックハート様じゃ。そのためにまずはわらわたちが貴様らを捕らえる」

「ヨホホホホ。これは、かなり手厳しくなりそうですね……!」

 

 サンジの軽はずみな発言をハンコックは聞き逃さなかった。

 すでに1人の娘を出産しており、シャボンディ諸島での行為により今現在も妊娠中であるハンコックにとって、愛しい旦那を侮辱する発言が許せなかったのだ。

 人数の比で見れば4:2。しかし、仲間であるブルックは分かっていることだがサンジは例え敵であっても女性を傷つけることはしない。

 武器を構え、臨戦体勢を整えるブルック。

 

 そんな彼らの元に、()()が飛来してきた。

 

「ッ!? おいブルック、何かが来る!」

「う、上ですか!? って、えぇぇぇええっ!? な、何ですかぁー!?」

 

 人、人、人。

 大小様々ではあるものの、一定のリズムで飛んできたそれらは、睨み合っていた両者の間に落ちた。

 そしてその落ちた人間たちを追う死神のように、白衣を赤く染め上げた男がゆっくりと舞い降りた。

 

「っと。……あれ、なんでハンコックちゃんがここにいるんだよ。臨月はまだでも、大事な時期だろ? 船の中に戻っててくれ」

「あなた様!」

「っ、ジャックハート……! って、もしかしてこいつら全員、ドンキホーテ・ファミリーか!?」

 

 最後に降りた人間は、今も少し話題になっていたジャックハート。

 彼の前に吹き飛ばされてきた人間たち。顔を見たことはない者も多数いる中、先ほど始まったゲームとやらで戦闘が始まったのだと、サンジは推測した。

 

「あなた様……。わらわ、あなた様のお役に立ちたく……」

「大丈夫だっての。俺も早く終わらせてみんなと船の中でイチャイチャしたいんだ。さっき子ども達から連絡を受けて知ったが、幸いなことに()()()()()()()()()()()も待っててくれてるらしいからな」

「……なんだと?」

 

 普通ならば、今この場面でサンジたちが取る行動は、静観。

 しかし、以前から伝えられていたジャックハートという男の性格とサンジの性格からして、これ以上ジャックハートに喋らせることを許すわけにはいかなかったのだ。

 

「あ? って、黒足かよ。邪魔しなけりゃ殺さねぇから、首突っ込むな。どうなっても知らねぇぞ」

「そういう訳にもいかないんでな。うちの航海士と考古学者、ついでに船医。返してもらおうか」

「断る。なんで海兵が捕らえた海賊を解放せにゃならんのだ」

 

 魚人島へと向かう際に伝えられていたジャックハートという人間について。

 気に入った女海賊たちを問答無用で()()()()()()ジャックハートの素行は、サンジとは全く違う女好きとしての一面をより分かりやすく表していた。

 

「そっちに開放する気がないんなら、戦ってでも取り返す!」

「おーおー。困るな、そんなに急かされちゃ。こっちにはこっちの約束ってもんがあるんだ」

「知ったこっちゃねぇな。そっちの約束なんて関係ねぇ」

「ほう……。いいんだな、戦っても」

 

 ジャックハートの顔に笑みが浮かぶ。

 今彼に吹き飛ばされてきた中には、幹部や最高幹部たちだけではなく、黒幕と言ってもいいドフラミンゴ本人も含まれている。

 彼らを一瞬で片付け、その表情にはまだ余裕があるのだ。

 

「いいっつってんだろ。……ブルック、俺があいつを引きつける。その間に、ナミさんたちを頼む」

「分かりました。……お気をつけて」

 

 サンジとブルックの作戦としては、至ってシンプル。

 サンジが戦況をかき乱し、その隙にブルックが軍艦へと忍び込む。確実に成功するとも限らない作戦だが、そうするしかない。

 

「最後の確認だぜ。俺はナミちゃんたちと約束してるんだ。それが、もうどうでもいいってことか?」

「ったり前だ! テメェみてぇなクソ野郎を、ナミさんたちに触れさせてたまるか!」

「ケハハハハハハハハッ!!! 喜べよナミちゃん。これで"麦わらの一味"と俺の間での契約は、破棄だ。自由にやらせてもらうぜ」

「何……?」

 

 契約。

 初めて聞くその言葉に、サンジの表情が引き締まる。

 だが、兎にも角にも彼を引きつけなければ話にならない。

 

「まあいい。もう、済んだことだ。ギャラリーも集まり始めてるし、役者も揃いつつある。始めようか、黒足」

「ッ! "悪魔風蹴(ディアブル・ジャンブ)"……!」

「ケハハ、来るか」

 

 サンジの右足が赤く光る。

 高温を帯びたその脚は、彼の蹴りの速度に比例してさらに熱く燃え上がる。

 

「"腹肉(フランシェ)ストライク"!」

「ッ〜〜〜! っ、かぁあ〜、効くねぇ……」

「なっ……!? 吹き飛んですらねぇだと……!?」

「鍛え方が違うんだ。雑魚と一緒にすんなよ」

 

 超高温による、"武装色の覇気"が込められた蹴り。

 パンクハザードではシーザーの部下相手にほぼ一撃で仕留めることができていた技が、効かない。

 サンジの目の前に立つ男は、不敵に微笑んだ。

 

「さあ、始めようか」

 

 ドンキホーテ・ファミリーに海軍に海賊。

 戦場は王宮ではなく軍艦付近の港へと移り、戦闘が始まろうとしていた。

 

 

 




デデドン(絶望)

え、そんなんありかと思う方がいるかも知れませんが、ありです。

ドンキホーテ・ファミリーほとんどカットしちゃったけど……。一回ぐらい戦闘飛ばしても、バレへんか。


"麦わらの一味"の動き方としては
ルフィ&ウソップ:地下で合流し、王宮を目指す。
ゾロ:ローと共に王宮付近に。それぞれピーカとドフラミンゴに焦点。
サンジ&ブルック:ナミ、ロビン、チョッパー奪還作戦。
フランキー:工場破壊。

的な感じです。ゾウどころの騒ぎじゃねぇ。



コメント、評価などお待ちしております!!

今後の本番シーンについて、主にどんな内容が良い?

  • 主要キャラの一部を濃く
  • 主要キャラメインで大人数を書く
  • 作者好みのキャラで濃く
  • 現在対象キャラ全員
  • このキャラを!(感想に書いてください)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。