まず、バロックワークスのメンバーについてです。
てっきり本名設定無いもんだと勘違いしてたら、感想でご指摘を頂きましたが、あるようで……。どうにかして自然な形で馴染ませようと思います。
次に、戦闘シーンです。
書けるとは思うのですが、正直な話一瞬のシーンを書くつもりでも文字で表そうとするとかなりの文字数になってしまうので、今回は前話は割愛させて頂きました。それより早く本番シーンに移りたいのじゃ。
そして、本来のサブタイとしての役割があります。これは本編を読んでいただくのが早いと思います。
お待たせいたしました(?)が、ようやく原作と大きく変わってきます。
あ、あと。シュガーの出し方を思いつきました。頑張ります。
「"
「汚ねぇ足裏ばっかで攻撃すんじゃねぇって」
軍艦前の港で開戦したジャックハートとサンジの戦い。
騒ぎを聞きつけた海賊たちが少しずつ集まってきていたが、その光景はやや異常と言えるものだった。
「お、おいアレ……。黒足の攻撃、全く当たってないんじゃないか……?」
「バルトロメオみたいなバリアって訳でもないだろうし、なんだあれ……」
「はぁ、はぁ……! チッ……!」
"悪魔風蹴"によるサンジの猛攻。
彼の手応えが正しければ、とっくの昔に目の前の男は倒れているはず。今まで戦ってきた中でとびきりに頑丈だったパシフィスタですら沈めることができた攻撃が、通じない。
「まさか、改造人間か……?」
「ケハハハハハ。んなもんと一緒にすんじゃねぇよ。俺は正真正銘、普通の人間だ。この差は言うなれば、格の違いってとこだな」
「んだと……!」
想定外の強さに、サンジに焦りが生まれる。
初撃以降ほぼ彼を動かすことができておらず、そのためブルックも不用意に動けずにいるためだ。
"武装色の覇気"を込めた"悪魔風蹴"ですらダメージを与えることができない。見た目は自分たちとそれほど変わらないサイズと年齢をしているにも関わらず、圧倒的に何かが違っていた。
「"見聞色の覇気"と"武装色の覇気"。そこまではいい。っつーか、新世界に乗り込んでくるならそれは身につけておいて欲しい技術だ。だが、まだまだそれじゃあ足りん」
「何……?」
「ワノ国では"武装色"のことを"流桜"というらしい。力は込めるものではなく流すものって認識でな。それを上手く、かつ強く行うとだ。今みてぇにどこにでも現れる最強の鎧の完成ってわけだ」
まずは"武装色の覇気"。
単純な差として存在する、練度の差。
「"見聞色の覇気"は、鍛えれば近い未来なら見通すことが出来る。視える範囲も広げることができる。お前がどこを蹴るかも、あのガイコツがいつ抜け出そうか考えてるのも、お前の仲間が駆けつけてくるのも、全て筒抜け。お前の攻撃に覇気を合わせれば避ける必要もねぇのよ。ま、受けるのも癪な攻撃は避けるが」
次に"見聞色の覇気"。
自分達がまだ体験した事のない次元に、既に到達している。
「最後に、お前が無意識にビビってるからだ。ろくに腰も入ってねぇヘナチョコな蹴りになってる理由はな」
「んなわけねぇだろ……!」
「残念。"覇王色の覇気"をお前1人に長時間じっくりと浴びせれば、心の奥底にじわじわと恐怖が募るんだ。もうお前は、俺のことを本気で蹴れねぇよ」
最後に"覇王色の覇気"。
そう言われると、圧倒的な実力差に怖気付いてしまっているのかも知れないという気持ちが溢れてくる。
「次いで六式。鉄塊で固めつつ、紙絵で上手くお前からの力を流す。全部同時に組み合わせれば、お前の攻撃なんて避けるも受けるも自由自在だ。別に効かねぇからな」
「クソ……ッ!」
「ケハハハハハッ! やっと格の差が分かったか? そんなにあの2人が恋しいなら見せてやってもいいぜ。喘ぎながら絶頂してる姿をよ。潮噴きまくってる方がいいか?」
「ッ!! 今すぐその汚ぇ口を閉じやがれ……!」
その絶望的な実力差を感じつつも、サンジの心には怒りの感情が常に燃えていた。
ただ女好きなだけだからではない。ここまで苦労を共にしてきた、仲間だからだ。彼らにとって、仲間は必ず助けるもの。
「……苦労を共に、か。よく言えるぜ。いや、お前はまだマシな方か」
「今度は何の話だ!」
「いいから聞けよ。殺すのを後回しにしてやってんだから。参謀と航海士、んでお前がコック。あのタヌキが医者。船大工を除いて他の奴らは何に貢献してんだか」
「てめぇにウチの船の何が分かる」
「分かるんだなぁ、それが。例えば、不明の家族構成とかな」
常に人を小馬鹿にしたような態度を見せるジャックハートに、サンジの感情が乱される。
今すぐにでも蹴り飛ばしてやりたいが、出来ない。できる未来が想像出来ない相手はそういなかった。
「フッフッフッ……! ガフッ、おま、え……は、やはりっ、海兵でっ……グッ、ゴフッ! もっとも、おそろしい……おとこ、だ……」
「キモいんだっての。死にかけてんなら話しかけんなよおっさん」
「やめ、ろ……! ドフィに、何を……!」
「あんま喋らねぇ方がいいぜ、ディアマンテ。肋骨を肺と心臓にぶっ刺さるように折ったから、喋り過ぎるとすぐ死ぬぞ」
その会話を聞いて、口を挟んできた者がいた。
ジャックハートにより王宮から飛ばされてきたドンキホーテ・ファミリー達。その中でまだ意識を保つことが出来ていたドフラミンゴとディアマンテだった。
「今ごろ、麦わら達が俺たちの影を、追いかけている頃だろう……! じきに、ここも激しい戦場になる、ぞ……」
「ならねぇって。俺がいるからな、雑魚は立てねぇよ」
相当の実力者でもある彼らだが、王宮でのジャックハートとの戦いではまるで歯が立たなかった。
ジャックハートが行ったのは、今のサンジの戦闘とほぼ同じ。だが、弄ぶのではなく本気で殺しにいったのだ。
「邪魔だわアンタら。今はもう、お前らのターンじゃねぇ」
放たれる"覇王色の覇気"。
相手をする必要も無い相手を気絶させるという、本来の出力。それだけでドフラミンゴとディアマンテは再び地面に沈んだ。
「さて……」
「おーい、サンジー! ブルックー!」
「お、おいおいルフィ……! いいのか、あんな所に突っ込んで……」
「チッ。もう邪魔が来たか」
改めてサンジとの戦闘を再開しようとした時に、ドフラミンゴとは違う邪魔者がまた乱入した。
声がした方を向くと、そこにいたのは麦わらの一味の船長であるルフィと狙撃手のウソップ。
1人は意気揚々とこちらに向かって走ってきており、もう1人はこの周囲に広がる異様な雰囲気に当てられていた。
「ッ!? お、お前、ジャック……」
「ジャックハートだ。散々やられてんのに覚えが悪ぃのは理由でもあるのか?」
「こ、これ今どういう状況なんだよ、サンジ」
最初は仲間の姿と顔しかはっきりと確認できていなかったルフィとウソップだが、近づくにつれて敵が誰なのかを鮮明に認識することができた。
頂上戦争、ルスカイナ、パンクハザード、そしてこのドレスローザ。
4回目の遭遇で戦闘の経験もあるルフィはジャックハートを確認できたタイミングですぐさま臨戦態勢を取り、その隙を見てウソップがサンジとの情報交換を図る。
「おいルフィ! 今どうなってんだ!」
「ゾロ!」
「おーおー、また増えちまったよ。……だが、これでようやく役者がほぼ揃ったな」
「ルフィ! こいつは1人でなんとかなるような相手じゃねぇぞ!」
「分かってる!」
「ケハハハハ。そう焦るなよ……。それに、複数で来たとしてもテメェらじゃ敵わねぇよ」
ルフィとウソップが到着した数秒後、"麦わらの一味"の剣士であるゾロも駆けつけてきた。
ドンキホーテ・ファミリーのほぼ全員を1人で相手したということもあり、ジャックハートが相手をしていなかったピーカもこちらに向かっているのだろう。街に被害が及んでおらず、"見聞色"で確認をしても街で暴れている様子はない。
「さて、じゃあ揃ったところで、始めるか」
ドフラミンゴの近く、血溜まりになっている場所を一瞥して、ジャックハートは"麦わらの一味"に向き直った。
「さあ来い、玉無し野郎ども」
「"ゴムゴムの"……」
「"悪魔風脚"」
「"三刀流"……」
「お、おいお前ら!」
ジャックハートが来ると悟った3人がそれぞれの技を構える。
相手がただものではないことは分かっているため、手加減などする気もない攻撃を浴びせるために、すぐさま準備を整える。
「"JET
「"
「"百八煩悩鳳"ッ!」
「ケハハハ。名前をつけるのが流行ってるみたいだな。んじゃあ俺も、一つぐらいつけてみるか」
3人による猛攻。
単純計算で3人分の攻撃が浴びせられたことにより、ジャックハートの身体が大きく後退していく。
「"六式絶技・覇装鉄塊"。ケハハ、まずはこれを破ってみろ」
「ッ、またアレか……!」
「なんだアレ」
「3種類の覇気と六式を組み合わせた防御術だとよ」
しかし、先ほどのサンジの単体での攻撃時と同じく、ジャックハートの肉体に目立った傷はない。
ルフィの攻撃、JET速砲は腕を伸ばして攻撃するのは今までの技と同じだが、その際に反対の腕を縮めることで通常の"ギア2"よりも遥かに速い攻撃を可能としたものだ。
ゾロの常人離れした筋力による飛ぶ斬撃、ルフィによる集約された超速の殴打、サンジの"悪魔風脚"による超高温の蹴り。それら全てが、また通じない。
「ケハハハハ、軽い軽い。確かに他のゴミみてぇな奴らと比べればマシだが、その程度だ。もっと本気で来いよ。飽きて女の方にでも行っちまうぞ」
「言われなくても……ッ!」
「サンジ!」
またも笑うジャックハートに、サンジが1人飛び出していく。
仲間を侮辱され、その中でもナミとロビンについての暴言が聞き捨てならないほどに吐かれていた。"麦わらの一味"の中でも屈指の実力を持つ2人が来たことで、彼の中の枷が外れた。
「"悪魔風脚・
「なんだ。まずは脚を潰して欲しいってことか」
ジャックハートの頭部めがけて振り下ろされるサンジの脚。かかと落としの要領で回転と重力により速さを増したそれは、常人では耐えきれないほどの重みを持つ。
しかしその蹴りを、ジャックハートは右手で掴んだ。
「何ッ……!?」
「ま、熱くしようがなんだろうが、触れなきゃいいってだけだろ」
ジャックハートの右手には、何やら透明だがオーラのようなものが確かに存在しているのが見える。そのオーラ越しに、サンジの脚を完全に掴んでいた。
先ほどまでの説明にもある通り、それが"武装色の覇気"であることは理解できた。しかし、初めて身体を掴まれたと同時に相手が次元が違う"覇気"の使い手であることを理解してしまった。
「"圧縮"」
「グッ!? ああぁぁぁぁあああッ!」
「ちょろちょろされんのはウザいからな、文字通り足止めさせてもらう。"指銃"」
「ッ! く、がぁぁああ!」
足の骨である中足骨を握り潰すように砕いた後、ジャックハートに掴まれ無防備になっていた右脚のアキレス腱を目がけ、連続で指銃を放つ。
一瞬のうちに右脚に多大なダメージを受けたサンジは、ジャックハートの手により投げ飛ばされることなく、彼の足を掴んでいた右手で強引に引き寄せられた。
「ケハハハハ。海のゴミが夢見てんじゃねぇよ。片足使えなくして終わりじゃねぇ」
「何を……」
「まずは、こう。次に、こうだ」
「……〜ッ!? ア、ガッ……!」
「で、こう」
すぐにでも治療を始めなければ後遺症が残ってしまうほどにぐちゃぐちゃにされた右足だが、ジャックハートはそれでは終わらない。
引き寄せたことで不自由な体勢になったサンジの右膝に"覇気"を纏った突きを浴びせて普通なら曲がらない逆方向へと脚を折り、その直後にサンジの唯一の支えとなっていた左足を踏み抜いた。
そして最後に、ガラ空きとなったサンジの懐に、深々と拳を突き刺した。
「その手を、放せ!」
「おっと、危ねぇな。仲間ごと斬るつもりか?」
意識を吹き飛ばすには十分すぎる一瞬での大量の痛み。悲鳴すら上げずに意識を絶った瞬間、ジャックハートに第三者による攻撃が伸びてきた。その下手人こそ、ゾロだった。普段は仲間同士とは言え仲が良いとは言えないサンジとゾロだが、今回のような緊急時は違う。
仲間を捕らえる手を斬ろうとするその攻撃は、標的が宙に逃げたことによって不発に終わった。
「ルフィッ!」
「おう!」
だが、避けられることも狙い通り。
サンジの足を掴み上げたままジャックハートは宙へ飛んだ。つまり、体勢が不十分かつ満足に動けないのはジャックハートも同じ。
「"ゴムゴムの
「やっぱバカだわお前。どうせならコイツごと俺をぶっ潰すぐらいの技撃ってこいや」
ゾロの斬撃を避ける形となり、不自由な体勢のまま宙へと逃げた彼にルフィの文字通り燃える拳が迫る。"武装色の覇気"を込め、炎を纏ったその拳は──
「頼むわ身代わり」
──ジャックハートが右手を前に持ってきたことで流れてきたサンジの身体に直撃した。
「あっ! サンジ!」
「ま、こんなことも予想できねぇ船長なら、細けぇことなんざ考えられるはずもない、か。つくづく有能なクルーが可哀想になるぜ。そら、お前らの大好きな海にでも浸かってろ」
ルフィの攻撃が直撃してもなお、呻き声一つ上げないサンジ。そんな彼の身体をまたも振り回し、ジャックハートはサンジを海へと投げ捨てた。
「テメェ……! ブルック、ウソップ!」
「残念。あいつらはもう私とハンコックで無力化済みだ。どうしますか? ジャックハート様」
「そうだな……。よし、面白いこと考えた」
「っ、もう好き勝手にさせるか! ゾロ!」
「あぁ……! チッ、あいつまで……!」
投げ捨てられたサンジを助けに行こうとするも、ブルックとウソップの両者ともに石化しており動けない。
唯一道があるとすれば、女が近くに来たことで多少隙ができたジャックハートを正面から突破することだった。その時ジャックハートに近寄ったのが、自分がシャボンディ諸島から飛ばされた際に世話になったペローナであることに思わないことがないわけではなかったゾロだが、今はそれどころではない。
「"ゴムゴムの三千煩悩鳳"……」
「あぁ? おい。……たしぎ、刀」
「は、はい!」
ルフィとゾロが技を構える。放つ前から分かる、大規模なもの。それを見たジャックハートの表情が険しいものへと変わる。もっとも、それは彼らの技に危機感を抱いているからなどではない。
今この場には、いくら覇気を扱えるようになったとは言えまだまだ実戦経験は不十分なものもいる。そんな者たちがいる中で大規模な技を放とうとしていることに、怒りを覚えたのだ。
「
たしぎから投げ渡された、一本の刀。
ジャックハートの愛刀という訳でも、たしぎの愛刀という訳でも、ましてや海軍が所有している業物でもない。ただのナマクラ刀。どこにでもある、5万ベリーするかも分からない刀。
それを抜刀し、ゆらりと垂らすように切っ先を下げた。
「"JET
先に動いたのは、ルフィとゾロ。
斬撃と打撃を何度も高速かつ高密度で繰り返すことにより生まれた衝撃波が、まっすぐジャックハートへと向かう。
「"
その衝撃波を貫き、霧散させたのがジャックハートの斬撃だった。
およそ刀を振る姿勢とは思えない、力任せの一撃。ただ斬撃を飛ばすために刃として必要にされていた刀の先は消滅しており、2人によって放たれた衝撃波をかき消すだけでなく、その先にいたルフィとゾロを建物の壁に強く叩きつけてなお、2人に襲いかかり続けていた。
「ててて。巨人族の武器の振り方真似してみたが、こりゃ合わねぇな」
「ジャックハート大将! ドンキホーテ・ファミリーの拘束、並びに連行、完了しました!」
「おう、お疲れ。んじゃああの2人を、奴らの海賊船の甲板に放り込んでおけ」
「……はい?」
連続して襲っていた斬撃。もはや爆発と言っても良いほどの轟音を立てていたそれは、しばらくすると鳴り止んだ。
戦闘を終えたジャックハートの元へと駆け寄ってきたのは、かつての部下であったマージ。
しかし、そんな彼に言い渡された命令は、意外なものだった。
「だから、その4人をあの船に乗せとけっつってんだよ。海に行った黒足は放置でいい。とにかく4人積んで、錨上げとけ」
「はっ!」
せっかく捕らえた海賊達を、逃がす。
ジャックハートが中将の時にこういったことを指示された記憶はないが、逆らえばどうなるか分からない。
マージは意味が分からずとも、咄嗟に敬礼をしていた。
「あ? おい、マージ。お前トラファルガー・ローはどうした」
「トラファルガーでしたら、リリー少尉とダレス大尉、たしぎ少将が捕獲しましたが」
「ほう……。なるほどな、りょーかい」
ドンキホーテ・ファミリーが飛ばされてきたのと同じく飛ばされてきたトラファルガー・ロー。
彼の身体も王宮にてジャックハートに痛めつけられており、そこから更に追撃を食らったらしい。
「んじゃ、俺戻るわ。後頼んだぞ。なんかあったらイッショウさんに押しつけとけ」
「はっ! ……えっ?」
無力化した麦わらの一味の処分を部下に任せ、ジャックハートは軍艦の方へと向かう。
「あなた様! お疲れになっていませんか?」
「あぁ、大丈夫だぜハンコックちゃん」
「ジャックハートさん。これからどうしますか?」
「ちょいとお預けだ。ケハハハハハハハッ」
女たちとセックスをして快感に浸る。それだけがジャックハートの楽しみではない。ここしばらく、すぐに音を上げ、自首し、諦める海賊たちが多すぎたのだ。
「セックスとはまた違うことを楽しませてもらうぜ、"麦わらの一味"」
ジャックハートの顔がおよそ海兵とは思えないほどに邪悪なものへと変わる。
しかしその表情は、女性たちをさらに虜に変えるだけであった。
◇
「……ィ! フィ……! い、ル……ィッ!」
「ん……!」
「おいルフィ! 起きろ! 寝てる場合じゃねぇ!」
「んがっ!? ウソッ……い、いデェ!」
「怪我は
「ん? 何言ってんだウソップ。……ってアレ?」
それからしばらくして、"麦わらの一味"が全員船の上で目覚めた。
"偉大なる航路"の後半の海、新世界とは思えないほどに穏やかな波に乗って、サウザンドサニー号は進んでいた。
「ッ! おいウソップ! ナミとロビンとチョッパーは!?」
「落ち着け! いや、落ち着いてられねぇが、話を知らねぇのは寝てたお前だけだ! 他全員、チョッパーから
「話だと!? って、チョッパーいるのか!?」
「いるにはいるぜ、ルフィ。……ただ、
「フランキー!」
最後に目を覚ましたのは、船長であるルフィ。
起きて早々ジャックハートに捕まっていた仲間たちのことを思い出し、近くにいたウソップに詰め寄った。
それに待ったをかけたのが、船大工であるフランキー。比較的年長者であるということもあり、ウソップと比べて落ち着きは見られるがその表情は険しい。
「チョッパー自身、相当痛ぶられてる。意識もねぇし、触れて分かるぐらいの高熱も出てる。完全素人知識の緊急処置レベルだが、多少の治療はした」
「……。ナミと、ロビンは」
「そのことについては、俺が話す」
「サンジ! ……どうしたんだ? その杖」
「あいつにやられたのが応えたな。すぐに治療しなきゃいけねぇが、チョッパーは動けねぇし、船内に置いてた大事なモンがゴッソリ奪われてる。いくらチョッパーが目覚めても、治療する方法がねぇ」
満身創痍の仲間たちからどんどんと伝えられる、考えたこともないような惨状。
「ちなみに、ナミさんとロビンちゃんなら、まだあいつの船だ」
「ッ! ……行くぞ」
「待てルフィ。話はまだ──」
「早く行かねぇと、本当に捕まっちまうぞ!」
「話はまだ、終わりじゃねぇんだ。ルフィ……!」
「チョッパー! ……ッ!」
加えて、ナミとロビンはまだあの男の元にいる。
ルフィの選択肢は当然、奪還。そう決意した瞬間、チョッパーの声が聞こえた。
「おいチョッパー! 寝てろって!」
「おれひとり、寝てられねぇ……! ルフィ、今から話すのは、全部ホントのことなんだ……」
その姿を見て、ルフィは絶句した。
想像していたよりも遥かに傷ついており、不慣れな中巻かれた包帯の隙間から、陥没した胴体が見て取れる。
「ナミとロビンは、2年前からジャックハートと、知り合ってたんだ……」
「それって、どういう……」
「……ナミさんの子どものベルメールちゃんと、ロビンちゃんの子どものオルビアちゃん。2人とも、ジャックハートの子どもだ」
天を仰ぎ、タバコの煙を吐きだすサンジから告げられた、衝撃の事実。
思考が追いついていないルフィに、さらに畳み掛けるように言葉が繋がる。
「ナミさんとロビンちゃんは、自分の身体で俺たちを守っていた。ジャックハートと性行為をすることで、一度見逃してやる、ってな。そしてその約束を……オレがッ、捨てちまった……ッ!」
「サンジ……」
「ッ! これでいいんだろ、ジャックハート! これで男衆全員、事態は把握できたぞクソ野郎が!!」
慟哭。泣き叫びながら続いたサンジの言葉は、とある方向へと投げかけられることで終わった。
サンジが顔を向けた方向。そこには、電伝虫が通話状態で鎮座していた。
『ケハハハハ、伝達ご苦労様。怒りに任せて電伝虫の通話を切ってたらあの2人をぶち犯してたところだぜ』
「いいから話を進めやがれ……!」
『焦んなよ。早漏童貞は嫌われるぜ? さて麦わらの一味諸君。あの2人は返して欲しいか?』
「当たり前だ!」
今はまだ怒りに身を任せる時ではないと、頭に血が昇りそうになったルフィでも判断はできた。
その返答を聞き、電伝虫がニヤリと笑う。
『ケハハハハハ。なら、ゲームをしよう。ルールは簡単。お前たちが勝てば、あの2人を解放する』
「ゲームだと……!」
『落ち着けよ。提案してるのは俺だ。嫌なら、このまま帰ってもいいんだが』
またも、優位に立たれる。と言っても、取り返したい立場である彼らにとって、その条件は可能な限り飲まなければならない。
『まず一つ目。軍艦前まで辿り着け、だ。ゲームの会場はお前たちに向かわせている島。無人島だから安心しろ。お前らはそのまま船の進行方向通りに島に上陸。そこから島に停泊する軍艦を目指せ。全員でな』
一つ目のゲーム。
重傷者もいるが、難易度としてはそれほど高くはない。
『二つ目。その時点での転職アンケートだ。2人に出てきてもらい、海賊を続けるか、俺の元に来るかを言ってもらう。これは、海賊を続けるって方が勝ちだな』
二つ目のゲーム。
完全にナミとロビン頼みの勝負であるが、2人を信じないわけにはいかない。
『三つ目。戦闘だ。俺が選んだ選りすぐりの海兵たちと戦ってもらう。一勝でもできればそっちの勝ちだ』
三つ目は、至って単純なものだった。しかも、一勝でいいというのだから勝機は十分ある。
『四つ目。クイズだ。これはサービスとして、"麦わらの一味"に関する問題を出してやる。問題数と合格ラインはやるときに教えてやるよ』
四つ目も、自分たちに有利なもの。
『そして最後に、決定。これは、最後に2人にどうするかを決めてもらうってことだ』
最後の問題を聞いて、はっきりとした。
相手は自分たちを舐め腐っており、そして遊びの道具としか思っていないということが。
『全てでお前たちが勝てば、2人を解放してやるよ。そのまま航海でも続ければいい。好きにしろ。だが、一つでも落とせば、分かってるな?』
「あぁ……!」
そして、自分たちが舐められているということ以上に、ナミとロビンをこのまま見捨てるわけにはいかないというのが、一味の決断だった。
『ケハハハハハハハッ。さて、どうする?』
「……お前は、俺が一番嫌いなタイプの人間だ」
『あ? 褒め言葉かよ。てめぇみたいなカスに好かれたところで、どうともならねぇよ』
一々神経を逆撫でするような、ジャックハートの言葉。
爆発しそうな怒りを胸に、ルフィは電伝虫越しにジャックハートに宣言した。
「望むところだッ!」
『ケハハハ。そう言ってくれて助かるよ。あぁ、ちなみにだが、俺の指示した方法以外でこの船に接近したり、この船を攻撃しようとした場合、てめぇらの故郷が地図から消えることをお忘れなく』
それだけ言い残し、ジャックハートとの通話は切れた。
ちなみに、この作品はハッピーエンド(意味深)の予定です。
どういう人がハッピーエンドを向かえるか、ですね。
コメント、評価などお待ちしております!
今後の本番シーンについて、主にどんな内容が良い?
-
主要キャラの一部を濃く
-
主要キャラメインで大人数を書く
-
作者好みのキャラで濃く
-
現在対象キャラ全員
-
このキャラを!(感想に書いてください)