これから先、長い休みが取れるか分からなかったので、進められる時期に進めることができて良かったです。
次話からやっとエロいのいっぱい入れられる! やったぜ!
「ガ、ペグ……。ゴプッ……!」
「ウソップーッ!」
「おいジャックハート……! テメェ、いい加減にしやがれッ!」
「何がだ? 俺はただ戦っただけだろ。それに、こいつの口からはまだ降参の言葉は聞いてねぇ。判断はもちろん、続行だ」
「ただ喋れてねぇだけで、ほぼ意識も飛んでんだろうが……! おいウソップ、もういい! 下がれ!」
ジャックハートとウソップの戦い。
一部の人間が期待したような下克上など、起きるはずもなく。その長い鼻を複数段階に渡って折られ、顔全体も怪我をしていない部分を見つけるのが困難なほどに痛めつけられ、ローやディアマンテと同じく胴体も骨折だらけだった。
「ケハハハハッ。あれだけ啖呵切っておきながら5分と持たずに降参かよ。やっぱ、過大評価だったみたいだな。実力、脅威共に足りてなさすぎる」
試合開始と同時に、ウソップの猛攻が始まった。
始まって一分、全くと言ってもいいほどに動きを見せないジャックハートに、連続して攻撃を浴びせていく。
二分。それまで攻撃の全てを"武装色の覇気"で受け止めていたジャックハートが動き出し、ウソップの猛攻を全て避ける。
三分。ジャックハートの攻撃が始まった。ウソップが持っていた武器である黒カブトを天艶で細切れに切り捨て、あとはただの蹂躙。
「ま、大人しく尻尾巻いて戻るってんならもう終わってもいいぜ。サンドバッグを殴る訓練なんざ、今更やりたくねぇよ」
「どこまで人をコケにすりゃあ気が済むんだ……!」
「人? ケハハハハッ!
「カペ……」
「〜〜ッ! "ゴムゴムの"……」
「おいルフィ!」
「ルフィさん!」
散々痛めつけた後に、首を掴んで持ち上げたジャックハートがウソップに言い放った一言は、後ろで待機していたルフィの怒りの頂点を突破させるには十分な言葉だった。
「何をするつもりだ、"麦わら"。何かしらの攻撃をしてみろ。こいつの首、もぎ取るぞ」
「……ッ! ……おい、もういいだろ。ウソップは……」
「よくねぇな。社会不適合者の集まりのテメェらがそれを判断するもんじゃねぇ。それは、海軍と政府、司法の役割だ。お前らは海賊。まあ、遊び程度なら許すが、立派な賞金首だ。海賊を続ける意思を摘み取るまで、俺らは戦わなくちゃいけねぇのよ」
怒りの沸点に達する行動をされるが、仲間の命は彼の手の中。
拳を引き、ただ言葉で訴えることしかできないのだ。
「……とは言え、テメェが言うようにもうこいつに飽きたのも事実だ。気絶しねぇ程度に遊んでやったが、もうお役御免だ」
「グフッ……!」
「ウソップッ! ……次は、俺が出るぞ!」
「ケハハハハァ! 随分とまぁ、キレてんじゃねぇか。モンキー・D・ルフィ。兄を見殺しにして、その形見でもある"メラメラの実"も奪えず、頼りのお仲間もこのザマだ。そう考えると兄と似てるな、お前。負け犬の兄貴そっくりとは、笑わせるぜ」
「お前ェッ!!」
「ルフィさん!」
ジャックハートの煽りに、ついにルフィに我慢の限界が訪れた。
ブルックの静止も聞かずに、ジャックハートの方へと飛び出していく。
自らだけでなく、兄であるエース、そして自分を支えてくれている大事な仲間たちまで馬鹿にされて、黙っていられる彼ではなかった。
「"ギア4"」
「あぁ? なんだ、見てくれだけデカくなりやがって……。効率悪い"覇気"の使い方してんなぁ」
ルフィが発動したのは、シャボンディ諸島から飛ばされていた2年間、ルスカイナにいる猛獣たちを仕留めるために彼が身につけたもの。
と言っても、ジャックハートからすれば急増で作り上げた付け焼き刃にしか感じない。
それもそのはず。ルフィがいくら戦闘のセンスに優れていて、"覇王色"を持っているとしても、"覇気"を扱えるようになってから必殺技に昇華させるまでに2年という期間しかなかったのだから。
「"ゴムゴムの"ォ……」
「その程度で、大将倒せると思われちゃ困るな。最年少とは言え俺が舐められると、他の大将さんまで舐められちまう」
「
軍艦を背後に立つジャックハートに向かい、大技を放つルフィ。
想定されていたドフラミンゴとの戦いを経ておらず、疲労はそれほど溜まっておらず"覇気"も消耗していない。
コロシアムでの戦いで十分に動いていた彼の、現在放つことができる最大級の技。
「ただ押すだけ潰すだけ。それしか考えてねぇガキに負けるわけねぇっての」
それをジャックハートは、
「え……ッ!?」
「視えてるし、なんならテメェがどんなこと考えてるかも分かってんだっての。より強い"覇気"をぶつけ返せば、このぐらいの直線的な攻撃は簡単に止まる」
肥大化した拳を掴んだジャックハート。その手と足は黒くなり、身体の周囲を包む透明なオーラのような"武装色の覇気"の両方が混在しており、地面はひび割れていた。
ルフィよりも強い"覇気"で彼の覇気を正面から受け止め、受け止めきれない力は地面に流す。
受け止め、そして流し。ジャックハート自身にはダメージは無かった。
「ほら、こっち来い」
「うわっ!」
"ゴムゴムの実"の能力により伸びた腕を、一気に引き寄せられる。
伸ばし切ったところをより強い力で引っ張られたことで、体勢を崩しながらルフィはジャックハートの元へと飛んでいった。
「お前の弱点を教えてやるよ。近距離戦だ」
「このっ! 離せ……!」
「近くにいる敵に攻撃をしようとすると、腕を大きく後ろに引く必要がある。そんなもん、ただのデカい隙でしかねぇ」
右腕を尋常ではない力で掴まれて引き寄せられ、ジャックハートとルフィの距離はほぼゼロ距離に近かった。
ジャックハートよりも背が低いルフィは腕を掴まれながら彼を見上げる形となり、まともに動かせるのは両足と左腕のみ。
「"ゴムゴムの"……ッ、グッ!?」
「させねぇって。隙が、でけぇんだよ」
「ガァッ!!」
左腕を大きく引いたところで、ジャックハートの膝がルフィの顎に直撃した。
もちろんその膝には"武装色の覇気"が纏われており、攻撃がそれで終わるわけでもない。
体勢を整えるために一旦ギア4を解き、サイズが小さくなったもののルフィの手を掴む力が弱くなったわけではない。
「いちいち技の名前を叫ばなきゃならねぇテメェらの神経が分からん。そういうのは格上が格下に、余裕を持ってするもんだ」
「ギッ……。この……っ!」
「見本を見せてやる」
「わっ!」
左手でルフィを掴んでいるため、ジャックハートが自由に動かせる腕も右の一本のみ。
しかしそれでも、意図して引き寄せたジャックハートの方が動きに対応することができるのは当然であり、右手一本での連撃がルフィを襲った。
とある一瞬。不意にジャックハートが掴んでいた手を離した。今まで引き抜こうとしていた反動から、大きくルフィの身体が後退する。
「"居合・"……いや、こっちはやめておこう」
「っ!?」
「今のテメェの攻撃の、強化版だ」
鞘に納めていた刀に手をやろうとして、途中でその動きを止めた。
その間にルフィも体勢を整え終えており、来るであろう攻撃に対して構えたところ、ジャックハートの姿が消えた。
気配と風を感じたルフィが視線を下へと向けると、そこには深くしゃがみ込んだジャックハートがいた。
「
下を向いた瞬間のルフィの首を捉える、ジャックハートの"覇気"が込められた突き上げるような蹴り。
"剃"の速度で放たれる、最速かつ重いその一撃に、ルフィの身体が宙に飛ぶ。
「ルフィ! お前……!」
「先に手を出したのはそいつ、だろ? まあ、俺もやり返しちまったしな。こっちも反則したってことで、ゲームはこっちの負けでいい。……それともなんだ。残ったガイコツも俺とやるか?」
「クッ……!」
その戦闘に異議を飛ばすのは、意識を取り戻していたサンジ。
何もさせてもらえずに敗北した申し訳なさからか、ゾロとフランキーはさらに一歩下がった場所から様子を伺っていた。
「いいんだぜ。俺も、あの雑魚とやっただけじゃ物足りねぇ」
「……遠慮しておきます。戦わずして勝たせてくれるのなら、そうさせてもらいます……ッ!」
ウソップとルフィ。
ジャックハートの言葉に乗せられた2人が戦いを仕掛け、どうなったかを現在進行形で間近で見たブルックの判断は、至って冷静だった。
空高く飛ばされたルフィが力なく落ちてきたのを、フランキーがキャッチ。"覇気"が存分に込められた本気の蹴りを顎と首に浴びて、ルフィの意識は飛んでいた。
「ケハハハハ。そうかそうか。んじゃあ、次のゲームに行こう。お前たちに関するクイズだ。気絶してるやつは起こしても起こさなくてもどうでもいいが。クイズは全部で5題。4問正解で合格だ」
タン、と軽く地面を蹴り、軍艦へとジャックハートが戻る。
載った際に近くにいたハンコックとカリファに軽いキスをして、島に立つ"麦わらの一味"に向き直る。
見れば、あれだけ痛めつけたウソップと、つい先ほど意識を飛ばされたはずのルフィがフランキーとサンジに肩を貸してもらいながら立っていた。
「ほうほう、そこまでして奪い返そうとするか。……では、一問目」
問いかければまた同じようなことを繰り返し叫ぶだけだ、と察知したジャックハートが"麦わらの一味"の反応を無視して進めていく。
「俺の子を妊娠し、出産してくれた女海賊。ナミとロビンがバーソロミュー・くまによって飛ばされ、"麦わらの一味"が一時的に解散した島はど〜こだ。……はい、黒足」
「……シャボンディ諸島だ」
「おぉ、正解だ。その通り。無様にパシフィスタにしてやられたテメェらは、全員散り散りに飛ばされちまったんだってな。ご愁傷様」
第一問。
海兵、その中でもこれまでのことからとびっきりに性格が悪いと分かったジャックハートが出す問題なのだから、まともな問題ではないと踏んでいた彼らの、ある意味予想通りの問題。
思い出される光景に、胸が痛む。
「では第二問。そのお陰で無事に俺と出会うことができたナミちゃんとロビンちゃん。2人が産んだ子どもの名前はなん〜だ? これは、ロロノアに答えてもらおう」
「……ベルメールと、オルビアだ」
「残念、不正解。ナミちゃんがついさっき、俺の息子となるゲンの出産を終えたところだ。母子ともに健康そのものだ」
第二問。
"麦わらの一味"の誰もがゾロが答えた2人だけだと思っていたが、答えは違った。
ナミはドレスローザに来た時点で、いつ陣痛が来てもおかしくはない状態にあった。そんな時に海軍に捕まり、軍艦内で出産をしたこととなる。
その子どもの名は、ゲン。両親であるナミとジャックハートがいるのだから、子どもに名前を付けていてもおかしくはなかった。
「ここからはもう、間違えられねぇな。第三問。シャボンディ諸島でバラバラになったお前たち"麦わらの一味"が、ナミちゃんとロビンちゃんが、どこでどんなことをしていたか、知っていたでしょうか。これは、"鉄人"にでも答えてもらおうか」
「……知らなかった」
「正解。知ってたら誰かしらが来ていただろうしな。楽しかったんだぜ、ナミちゃんとの五日間の同棲生活」
第三問。
分かってはいたが、こちらの心を抉るような問題に、後悔と申し訳なさに苛まれながらもフランキーが回答した。
ルフィは女ヶ島、ゾロはクライガナ島、ウソップはボーイン列島、サンジはカマバッカ王国、チョッパーはトリノ王国、フランキーは未来国バルジモア、ブルックはナマクラ島へと飛ばされていた。
各々がそこにいた2年間で自分を鍛えたが、他の仲間の様子は分かっていなかった。
無事だろう、飛ばされたのだから何もないだろうという根拠のない安心。その被害が、ナミとロビンに出てしまったのだ。
「では、第四問。お前たちがシャボンディ諸島からここまで、無事に生き残ることができたのは、誰のお陰だ? ガイコツ」
「……ナミさんと、ロビンさんがいたから」
「正解だ。さすがによく分かっているな。本部大将ってことで、ある程度の権力が俺にはある。それを使って、2人がいた"麦わらの一味"を放置しておいたんだ。ストレス抱えられて育児に支障が出たら目も当てられねぇ」
第四問。
自分たちがここまで生き残れたのは、ナミとロビンのお陰だと誘導される。
というのも、これもまた事実である。"麦わらの一味"がジャックハートにとって一切の利益を生まないのなら、早く消すために天竜人と世界政府に懸賞金の引き上げを直訴。その後、海上で数に物を言わせて叩き潰すという戦法を、いつでも取ることができたのだ。
元帥であるサカズキが頂上戦争以降"麦わらの一味"に執心しているとはいえ、余程のことがない限りそこだけに注力するわけにはいかないのだ。
「よしっ! じゃあ最終問題だ。ナミちゃんとロビンちゃんが身体を張って海軍から守っていたものの、自分たちから契約を破り、海軍に喧嘩を売った挙句、現状何もできていない海賊の一味の名前はな〜んだ。"麦わら"」
「……"麦わらの一味"だ」
「ケハハハハハハッ! とんだお笑いだぜテメェら! 答えろとは言ったが、マジで答えるとはな!」
最終問題。
自分たちは仲間を捕まえられ、自分たちがジャックハートの掌の上で踊らされていたことを自分の口から言わされたルフィ。
先ほどと同じく怒りが頂点にまで達していたが、拳を握り締めながら我慢していた。
それは、他の面々も同じ。
ここさえ我慢すれば、最後のゲームでナミとロビンが帰ってくるのだから。
「まあ、何はともあれこれでクイズは合格だ。言ったろ? 簡単な問題だってな」
「ならもう、これで終わりだ。最後は……」
「急かすなよ。あぁ、これで最後だ。ナミちゃんとロビンちゃんに、最終的にどうするかを決めてもらおう」
ジャックハートの合図に応じて、船の奥から再び姿を表したナミとロビン。
2人は、ジャックハートを挟む形で軍艦から島を見下ろしていた。
「ナミッ! ロビンッ!」
「良かった……。2人とも無事みたいだ」
「こんな胸糞悪ぃの、早く終わらせるぞ」
その姿を確認できた"麦わらの一味"が浮かべる表情は、もちろん安堵そのもの。
敵わない実力差でありながら、仲間を返すチャンスが巡ってきて、その最後まで来ているのだ。
それも、ナミとロビンが一味に戻るというだけ。それだけで、また今までと同じように冒険を続けられる。
はずだった。
「帰って」
「……え?」
「……な、何、言ってんだ? ナミさん」
「帰ってって言ってんのよ。分かんない? アンタらと一緒に生活してるだけで、もうイライラしてしょうがないのよ」
ナミの口から飛び出したのは、想像していなかったもの。
その表情も、どこか自分たちに怒りを向けているようだった。
「おいお前ッ! ナミに何したんだ!」
「ジャックハート様には何もされてないわ。ただ、冷静に考えてアンタたちといていつか死ぬより、ジャックハート様の元にいた方が良いって思っただけ。ストレスも何もないし、ここにいた方が幸せよ」
「おいナミッ! ……ロビンッ!」
「私も、ナミと同じ意見よ。エニエス・ロビーで言ったこと、忘れた? 私は生きたいの。それに、私がいたら一味に迷惑がかかる。現に今も、死にそうになっているでしょう? だから、ここは大人しく捕まるの。と言うより、もう捕まっているけど」
「認められるか、そんなの……!」
「認めてやれよ。これがナミちゃんとロビンちゃんの選択だ」
その意見はロビンも同じ。
フランキーとサンジがナミとロビンに問いかけるも、その険しい表情と意見は変わらない。
「いい? はっきり言わせてもらうわ。アンタたちの自由気ままに振り回されるのはもう嫌。いくら命があっても足りないわ」
「そんなモン、海賊始めた時から分かってただろ……!」
「私だけならいいわ。でもね、今は子どもがいるの。それも、ジャックハート様との子どもよ。これ以上に、海賊を辞める理由がある? 父親がいて、子どもがいて、安全がある。最大の理由でしょ?」
「あるぞ、ナミ! ロビン! お前らがいないと、俺が困る!」
「……そう。私は困らないわ。別に戦いが好きって訳でもないし、オルビアも育てなくちゃならない。その環境が、海賊である必要はないわ」
どれだけの言葉をぶつけても、ナミとロビンの言葉と表情は一切変化しない。
何が起きているのか分からない。その感情の赴くままに、ルフィはジャックハートへとぶつけた。
「ジャックハートォッ! ナミとロビンに、何したんだお前ぇ!」
「何も? ただ、強いて言うならだ。なりたての女海兵たちになす術なく負け、挙げ句の果てにはやるなと言っていた乱入。その結果として惨敗。そんなことを繰り返してたから、愛想を尽かされたんじゃねぇか?」
「ふざけたことを……!」
「ふざけちゃいねぇさ。守る、強くなったと言いながら俺との接触を回避させることができず。戦えば負け。にも関わらず自分たちから首を突っ込んでいく。そんな環境、子持ちの母親としては嫌だろ? 弱ぇのに戦いたがるんだからよ。海賊は自由なんだろ? だったら、彼女たちの決断も自由だ。素直に送り出してやれよ」
ジャックハートの言葉は、そう言った考えもあるのかという、少し納得できる部分もあった。
だが、これまで一味として共に冒険を続け、これからも続けていくと思っていた"麦わらの一味"にとっては、信じたくはない考えだった。
「もういい……! 取り返せばいい、それだけだ!」
「私を勝手にアンタたちの所有物みたいに言うの、やめてくれないかしら。……こうでもすれば、分かってくれる? んむっ……」
「ん? ちゅむ、ちゅぷ……。おいおいナミちゃん、いきなりすぎるって。あいつらには、刺激が強すぎるだろ」
「もう、ナミ。抜け駆けよ?」
「後でロビンもすればいいじゃない。これから、ずっと一緒なんだし」
戦闘の構えを見せる"麦わらの一味"に対し、ナミが取った行動。
それは、ジャックハートへの自発的なキスだった。
恋愛などの浮ついたものがほとんどない"麦わらの一味"でも、それがどういうことかは分かる。
そしてとにかく、今"麦わらの一味"がこの島から無事に脱出するために必要なことも同時に理解できた。
「"ゴムゴムの"ォ……!」
「んもう。私たちが選んだ人生だっていうのに」
「ま、仕方ねぇな。全部聞いた結果の判断として戦闘を選ぶんなら、そういうことだ。ナミちゃん、危ねぇから離れてくれ」
「はーいっ」
高く飛び上がり、攻撃を仕掛けてきたルフィ。
先ほどと同じく明らかな戦意をジャックハートに向けており、彼を仲間を奪った犯人としか考えていなかった。
「思考回路が読めてんだっての。"居合・
「っ!?」
大きく後ろに引いた手は、高速で射出されることはなかった。
ジャックハートの右手が腰に据えられている刀の柄に触れ、一瞬で抜刀と納刀が行われる。
その結果として発生した、巨大な斬撃。その見た目に沿った斬撃がルフィの胴体に入っただけでなく、彼の身体が大きく後ろに吹き飛んだ。
「さて、"麦わらの一味"ッ! 言いたいことは、軍艦の檻の中で聞かせてもらおうか。後は、インペルダウンで余生を楽しんでくれ」
「お前……ッ!」
「ケハハハハ! 戦闘、開始だ」
宙に浮いたルフィが地面に着くまでの間。
"麦わらの一味"の敗北がジャックハートによって宣言され、先ほどのゲームの一環ではない、本当の戦いが始まった。
「おいサンジ、どうする!」
「どうするっつったって、ナミさんとロビンちゃんを置いていけるかよっ!」
「いい加減目を覚ませクソコック! もう手遅れだ!」
「テメェもう一回言ってみろ、クソマリモ……!」
「喧嘩してる場合じゃねぇだろ!」
戦うのか、逃げるのか。
ルフィがまたもやられ、ジャックハートが島に降りようとしている中で、島は阿鼻叫喚となっていた。
「……あんなとこにずっといたら、疲れちゃうわよね」
「えぇ。本当に」
その光景を、ナミとロビンは軍艦の上から冷ややかに見ていた。
普通に考えれば、圧倒的な実力差を思い知らされている海軍本部大将が戦おうとしているのだから、逃げるという選択肢しかないのだ。
「ケハハハ。いいのかよ、逃げて。あの船長も放置でいいのか? あの斬撃は、少々雑に放ったからな。切り口がぐっちゃぐちゃになっちまってるかも知れねぇ」
「っ! ルフィ!」
「おいチョッパー! お前は大人しく……!」
「ケハハ。まず、一匹だっ!」
ドレスローザでジャックハートとその子供達に受けたダメージが抜け切っていない体で、
もちろん、ジャックハートがそれを許すはずがなく。トナカイとしてのチョッパー本来の姿の首に肘による強烈な一撃を入れる。
意識を飛ばしかけたことにより、
「クソ……ッ!」
「話は後だ、コック……! 今は、あいつを止めねぇと俺たち全員、終わりだっ!」
ルフィがやられ、助けに向かったチョッパーもやられ。
すでにゲームの中でウソップが再起不能の状態にされ、残るはゾロ、サンジ、フランキー、ブルックのみ。
気絶した者を担いで逃げるということも許してくれない相手に対してできることは、ただ戦うことだけだった。
「グッ……! "悪魔風蹴"……! 何ッ!?」
「足が痛むだろ? 忘れさせてやるよ」
砕かれた足の痛みをなんとか気合でごまかし、ジャックハートへの攻撃へと転じようとしていたサンジの目の前に、突如としてジャックハートが現れた。
その手には先ほどルフィを叩き切った斬撃を放った最上大業物・天艶。
彼の狙いは、サンジの両手首。
「小手弄り」
「な……っ! ぐ、あぁぁああっ! 俺の、両、手がぁ……!」
「んで、お前も眠っとけ。騒がれるとうるさいんだ」
滑らかな太刀筋で刃を入れられたサンジの両手首からも、出血。
とある部分を斬るためにそこに刃を入れた後、納刀。素早く彼の鳩尾に深い一撃を入れ、下がった顎を右足で蹴り上げ、無防備になった後頭部に左のかかと落としを入れた。
「この……っ!」
「遅ぇよ。剣術だけできればいいって訳じゃねぇだろ。戦いは」
その最後に出来た隙を突くように、ゾロがジャックハートに襲い掛かる。
しかしその奇襲も、"剃"によりいきなり距離を詰められたことにより不発に終わる。
超至近距離で一瞬で切り返す技が、ゾロにはなかったのだ。
「ほっ。おらっ!」
サンジと同じように顎をかち上げられ、露わになった胴体に左手の五指銃が突き刺さる。
「逃げんなって」
刺さったままの指を無意識に抜こうとして下がろうとしたところを、再び距離を詰められる。
体勢を整える暇も与えられることなく、ジャックハートの右の拳が振り上げられていた。
「よっと」
こめかみに、斜め上から振り下ろすように叩き込まれた拳。
"武装色の覇気"をしっかりと込められたそれは、地面にゾロの顔面を突き刺すまで止まることはなかった。
「皆さんっ!」
「おいテメェ!」
「んだよ、ロクに戦えもしねぇ雑魚がピーピー喚くんじゃねぇ、よ!」
ウソップを抱えながら様子を伺っていたブルックとアインによって年齢を戻されたフランキー。
その2人には、まるで直接手を下す必要がないと突きつけるような、今まで感じたことがないような威圧感を誇る"覇王色の覇気"を浴びせる。
思い知らされた実力差に、2人は意識を飛ばして膝を地面に着くことで答えた。
「っし。終わったか」
軍艦の前に倒れる、血塗れのルフィ。
そこから順番に、チョッパー、サンジ、ゾロ。そして少し離れたところにいるウソップ、ブルック、フランキー。
「楽しかったぜ、"麦わらの一味"。お前らの大冒険とやらも、残念ながらここで終わりだ」
倒れた"麦わらの一味"に、軍艦から現れたジャックハートの部下たちが手際良く海楼石の手錠を掛けていく。
手錠を掛けられた者たちから順に、軍艦内へと運び込まれていく。
「ジャックハート様っ!」
「おう、今行く」
意識を失い、力なく運ばれていく彼らを気にすることなく、ジャックハートは甲板で待つ愛しの女性たちの元へと戻っていった。
無事崩壊。
とはいえ、ここで"麦わらの一味"の出番は終わりではありません。ジャックハートのお遊びも終わりではありません。
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