※この作品はR-18です。

思いつくままエロパロ   作:デスイーター

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 気が付けばランキングに載って評価バーも赤くなってたのでびっくりしました。評価コメントを下さったアゆスさん、ほりりんぐれーとさん、ありがとうございます。
 今後もタイトル通り思いつくままに書いていくので、よろしくお願いします。
 今回は櫛田の話です。そういえば、原作とアニメで綾小路が櫛田の本性を見た場所って違ってますよね。原作では学校の屋上でしたがアニメだと海辺?だし。ちなみにこの話の中ではアニメの方の場所にしてます。アニメのあのシーンが素晴らしかったので。街灯に照らされたあの荒んだ表情がなんともいえなかったんですよね。
 あ、今回エロなしです。


綾小路清隆×櫛田桔梗・2

 「…っ!」

 時刻は夜、街灯以外の灯りがない中で櫛田は寮を出て一人海辺の方に向かって歩いていた。その足取りは何処か苛立った様子で、表情も普段の優し気なものとは明らかに違う…そして、街灯とベンチが立ち並ぶ海辺の路地に辿り着くと舌打ちと共に近くの柵を蹴飛ばした。

 「…あー、ウザい…ホント、何なのあの女…っ! あいつ相手にあんな媚びた面見せやがって、平田と別れてそんなに経ってないのにとんだ尻軽女…っ! あたしの一言であんなに顔真っ青になって、いい気味っ!」

 櫛田は激情のままに柵を蹴飛ばしながら、その口から暴言を吐き出して行く。部屋の中に防音を敷いている以上、わざわざ外に出て他者に見つかるリスクを負ってまで鬱憤を晴らす意味はない…にも関わらず、この場所に来てこんな事をやっている理由は…恐らく、此処が綾小路に本性を見られた場所だからだろう。

 櫛田は自分で気付いてはいないが、綾小路の事を無意識のうちに自(・)分(・)の(・)男(・)として扱っている…だからこそ彼に色目を使った軽井沢が見過ごせず、性行為の痕を見せつけるという誰とでも仲良くなる櫛田桔梗という表向きのキャラクターならばまずやらないと思われる行動を取ってまで、軽井沢をあの場から追い払ったのだ。

正直、あそこから軽井沢が立ち去らなければ彼女相手に本性に露わにしてしまった可能性がある…それを無意識に自覚していたからこそ、櫛田はあんな行動を取ったのだ。

 彼女が綾小路相手に抱いている感情は、単純な恋愛感情とは言い難い。確かに、綾小路を排除しようとしていく内に彼が隠していた能力を垣間見て、彼の事を特別視していたのは確かだ。好きの反対は無関心とよく言うが、彼女は綾小路を排除しようと強く意識していたからこそ、彼の長所や本性と言うべき部分も見えて来ていたのだ。

 櫛田桔梗は、特(・)別(・)に強く憧れていた。他の人よりなんでもいいから上に立つものを持っていたい、誰からも認めて貰いたい…彼女はそういった強烈過ぎる承(・)認(・)欲(・)求(・)が、人と比べて行き過ぎていると言っていい程高いのだ。

 櫛田は優秀であるが天才ではなく、勉強でもスポーツでも二番手三番手になる事は出来ても一番になる事は出来ない…それを自覚していたからこそ、彼女は誰(・)か(・)ら(・)も(・)信(・)頼(・)さ(・)れ(・)る(・)存(・)在(・)という自らのキャラクターを作り上げた。

 彼女の普段の振る舞いは、その殆どが演技と言っていい。全てが嘘とは言わないが、本来の彼女は我がとても強く人と人との仲立ちには向いていない…その本来の性格を抑え込んでまで優れた洞察力を駆使して立ち回り、周囲の人間の反応を逐一観察し適切な行動を取る事で彼女は人(・)気(・)者(・)になったのだ。

 当然、そんな真似をやり続けていれば凄まじいストレスが溜まる。かつて彼女はプログに罵詈雑言を書く形でストレスを発散していたが、そのプログが見つかって事(・)件(・)に繋がってからはこうして言葉でストレスを吐き出す事で精神の均衡を保っていた。

 だが、携帯を部屋に置き忘れるという失態が原因で、綾小路にストレスを吐き出している場面を見られてしまった。一瞬パニックに陥った彼女はわざと胸を触らせてその場で見た事を口外しない事を約束させ、結果として綾小路はあの事(・)件(・)を知る堀北鈴音以外で唯一櫛田の裏の顔を知る存在となった。

 正直、櫛田は本性を見られた時点で綾小路が自分を見る眼に軽蔑が混じる事を予想していた。少なくとも、過去に櫛田の本性を知ったクラスメイト達は櫛田に蔑みの視線を向け、罵詈雑言を叩きつけて来た。表面上取り繕っても、自分の本性を知る以上内心では自分には負の感情を持つものだと思っていたのだ。

 しかし、綾小路の態度は予想に反して殆ど変わらなかった。本性を知った事で自分を完全に信頼する事はなくなったようだが、彼が自分を見る眼に明確な負の感情が宿る事はなかった…それは彼を追い詰めようとした後も同様で、精々面(・)倒(・)臭(・)い(・)という感情をチラつかせる程度で自分に悪感情を抱いている様子が全くなかったのだ。

 無論、彼が他人に無関心である事も原因の一つだろう…だが、理由はどうあれ櫛田にはそんな綾小路の態度は酷く新鮮に映った。有り体に言えば、好奇心をそそられたのだ。

 以前櫛田は綾小路に面と向かって嫌(・)い(・)と発言しているが、それはあくまでその時点での感情であって現在までそれが続いているとは限らない…自分の本性を知っても態度を変えず、裏で動いてAクラスを導き自分の策の悉くを潰してみせた綾小路は、櫛田にとって今まで見た事のない特(・)別(・)に映った。

 そうなれば、好奇心が好意に変わるのは時間の問題だった。綾小路の特(・)別(・)な面をもって見てみたい、そんな特(・)別(・)な存在の女になって他の女とは違う存在になりたい…そんな感情が、櫛田に綾小路と肉体関係を結ぶ選択を選ばせた原因だった。

 いざ関係を持ってみれば、普段超然としている綾小路が一心不乱に自分の身体を貪る様子を見て、櫛田は言い様のない優越感を感じていた。あんなに凄い男が、自分の身体にこれだけ夢中になっている…その事実は、櫛田の自尊心を充分以上に満たしていた。

 だからこそ、綾小路に色目を使う軽井沢恵という女の存在が許せなかった。カラオケボックスでの一件を考えれば、彼女が綾小路の指示で動く手駒のようなものだろうという事は想像出来る…あくまで、彼の下僕として動いているだけならば容認出来た…少なくとも、自分のように彼を夢中にさせているワケではない。自分の方が立場は上だ、そう思う事で櫛田は軽井沢の存在を黙認していた。

 しかし、あの時軽井沢は明確に綾小路に色目を使った。本人が気付いているかどうかは知らないが、あの時の彼女が綾小路に向ける眼は恋する少女そのものだった。

 ーーこいつは、私の男だーー

 はにかみながら綾小路と話す彼女の姿を見た瞬間、櫛田の中にそんな強烈が感情が沸き上がった。目の前の女がどうしようもなく憎い存在に思えて、笑いながら性行為の痕を見せつけた。結果として軽井沢はその場から逃げ去り、綾小路は彼女の後を追いかけた。

 そして櫛田は自分を置いて軽井沢を追った綾小路の行動がどうしても許容出来ず、気付けばこの場所に来て鬱憤を吐き出していた。此処でこうしていれば、綾小路がやって来てくれるかもしれない…そんな淡い期待が、彼女の無意識下にあったのだろう。

 「--随分不用心ね。貴方らしくないわよ、櫛田さん」

 「…っ!? 堀、北…っ!」

 --しかし、やって来たのは綾小路ではなかった。聞き覚えのある声に振り向くと、そこには長い黒髪を靡かせるスレンダーな美少女…櫛田の過去を知るクラスメイト、堀北鈴音がこちらを見据えていた。

 「…何の用? こんなトコに一人で、綾小路くんと逢引きの約束でもあるワケ?」

 「最初から本性全開ね。貴方がそんなに余裕をなくす程、嫌な事でもあったのかしら?」

 「…っ!? うるさい…っ! アンタには関係ないでしょ…っ!? それより質問に答えなさいっ!」

 櫛田は図星を指された事で苛立ち交じりに堀北を睨みつけ、舌打ちする。今の彼女は、どう見ても余裕を失っている…自分でも理解出来ない焦燥感に焼かれ、優等生の仮面を完全に脱ぎ捨ててしまっている。しかも、目の前にいる相手が入学以来ずっと排除したかった堀北である事が、彼女からブレーキを取り払う要因になっていた。

 「散歩をしていたら物音が聞こえて、気になってやって来ただけよ。そうしたら、貴方が見た事ない程余裕をなくして暴言を吐いているのだもの…正直、驚いたわ」

 「…っ! だから何…? あたしの本性を知ってるなら、これくらいで驚くなっつの。まさか、あたしが心を入れ替えたとでも思ってるワケ?」

 「別に、そんな事は思ってないわ。けど、そうね…最近の貴方は前より余裕があるように見えたの。綾小路くんとも表向きの関係以上に仲が良い気がするし、私や綾小路くんを陥れようとする様子も見えなかったしね」

 櫛田は堀北の指摘に思う所があったのか咄嗟に反論しようとするが、直前で口元に薄笑いを浮かべ…堀北相手に、優越感に満ちた声で今まで言うつもりがなかった事を口走った。

 「…ええ、だってあたしは綾小路くんと肉体関係を持ってるもの。仲良くなるのも当然でしょ? お高くとまってるアンタにも、分かるように言ってあげるわ。あたしはね、綾小路くんとセックスしたの…それも、一回や二回じゃない…最近じゃ、ほぼ毎日かな。アンタが頼りにしてる綾小路くんは、あたしの身体に夢中ってワケ」

 「…そう」

 櫛田としては、綾小路との関係を暴露する事で堀北の動揺を狙ったのだろう…しかし、堀北は顔を赤らめる事すらなく、普段通りの冷淡な目で櫛田を見つめたままだ。その様子が気に入らなかった櫛田は、苛立ちのままに再び口を開く。

 「なに? まさか嘘とでも思ってるワケ? 愛しの綾小路くんが自分を裏切るワケないって、馬鹿な事でも考えてるの? 疑うんなら綾小路くんがどんな風にあたしとセックスしたか、事細かに語ってあげようか?」

 「別に、疑ってるワケじゃないわ。貴方が振り翳す武器は真(・)実(・)であって、嘘(・)じゃないもの。必要とあれば嘘も言うんでしょうけれど、こんな無意味な嘘を言う人じゃないわ」

 「じゃあ、何でそんなに落ち着いてるワケ? アンタ、綾小路くんをあたしに取られたのよ? アンタさ、あいつの事好きだったんじゃないの?」

 櫛田は何も、当てずっぽうでこんな事を言ったのではない。櫛田から見て、堀北は綾小路に恋慕の情を抱いているように見えた…人並外れた彼女の観察眼は、その見立てが間違っていないと感じている。だが、好いた相手が寝取られた事を知らされても堀北は一向に動揺する様子がない…その事が、どうしても櫛田には納得出来なかった。

 「…そうね。私が彼に向ける感情は、男女としての好意なんでしょう…今まで何度も、彼に助けられて来たのだもの…恋愛感情を持つ事自体、別に不思議でもなんでもない。そして、その感情は女として先を越された程度で揺らぐ程軽いものでもないの」

 「え…?」

 堀北は真っすぐ、曇りのない瞳で櫛田を見据えている…その済み切った瞳を見て自分のない純粋さを見せつけられているようで、櫛田は思わずたじろいた。今の彼女の眼光には、それだけの力があったのだ。

 「貴方がそうやって余裕をなくしているのは、多分綾小路くんに別の女性の影が見えたからなんでしょう? 強力なライバルが出来て苛立つのは分かるけど、そもそも彼の相手がたった一人で務まると思う? 貴方は多分、彼と肉体関係を結んではいても恋人というワケじゃないんでしょう? 大方、肉体関係を結ぶ事で秘密を守るよう迫ったとか、そのあたりじゃない?」

 「…っ!?」

 堀北はまるで見てきたように櫛田の現状を言い当て、秘密を暴かれた櫛田は眼に見える程狼狽える。まさか、人の感情の機微に疎そうな堀北相手にこんな醜態を晒すとは思ってもいなかったのだろう。学力や運動で上を行かれても、洞察力だけは負けない…そう思っていた相手だけに、櫛田の衝撃は大きかった。

 「貴方がそんな所で躓くようなら、彼の恋人の座は私が貰うわよ。少なくとも嫌われてはいないと思うから、それなりに良い返事が貰えると思うのよね。断られても、貴方と同じように肉体関係から始める手もあるのだし」

 「…っ!? あ、アンタにそんな真似が出来るワケ? 今まで男の手も握った事のないようなお嬢様が、セフレでいいなんて妥協出来るっての…っ!?」

 「普通の相手なら無理ね。けど、綾小路くん相手なら話は別よ…だって、彼は特(・)別(・)だもの。貴方もそう思ったから、肉体関係から始めたんじゃないの?」

 「…っ!?」

 櫛田は堀北から漂う異様な迫力に押されながらも、鋭い視線で堀北を睨みつけた。その視線は単純に気に入らない相手に向けるものではなく、明確な恋(・)敵(・)に向ける眼だった、

 「素直になればいいじゃない。綾小路くんは幸か不幸か、貴方の本性を知っている…今更、何を気にしているのかしら? 彼は少し失態を演じた程度じゃ、見捨てたりはしないと思うわよ」

 「…っ! うる、さい…っ! さっきから好き勝手言いやがって、もうたくさん…っ! 絶対、後悔させてやる…っ!」

 櫛田はそう吐き捨てると踵を返し、寮への道を戻って行った。その後ろ姿を見ながら、堀北は溜め息を吐いた。

 「…やれやれ、慣れない事をするもんじゃないわね。敵に塩を送るなんて、我ながらどうかしてるわ」

 堀北は一人そう呟くと、盛大な溜め息を吐いた。彼女の声は夜闇に溶け、雲間から覗く月に照らされた彼女の顔は憂いと達成感の入り混じった複雑なものとなっていた…




 自暴自棄に近くなった櫛田を立ち直らせる事が出来るとすれば誰か、と考えて真っ先に堀北が浮かびました。良くも悪くも櫛田が強烈に意識してるのは綾小路を除けば彼女が一番だと思うので、彼女の言葉だけは無視出来ないと思うんですよね。
 この話の時間軸は、原作最新刊からある程度エピソードを挟んだ後を想定してます。想定では櫛田は綾小路を追い込む為に何度も策を練っては失敗し、軽井沢を使って暗躍を繰り返しています。その為櫛田は綾小路の本来の実力の片鱗のようなものを身を以て知っていますし、軽井沢も原作以上に綾小路と親密になっています。堀北の場合は無人島や体育祭の件で相応の好意は持っている設定としました。
 上記の設定の為、原作とは若干ながら性格に差異が見られると思います。取り敢えず、この作品の中では彼女達はこういう性格だ、と納得して頂ければ幸いです。
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