変態これくしょん―freak girls collection― 作:Parada
赤城.加賀.時雨.夕立.鳳翔.ヲ級
待たれたんじゃ仕方が無い
もう既にあらすじも何も覚えてませんがリハビリがてら初投稿です
「ウウゥ……」
「…ん」
何かの唸る声で男は目を覚ました。
最早鍵をかけた部屋に何者かが侵入していることなど日常茶飯事であった男は焦らず体を起こし…
「ウウウウゥ……」
床に転がり、泣きじゃくる女の姿を見つけた。
「あぁ…」
ビクッ!
男が声を漏らした瞬間、白い女は体を強ばらせ男を涙目で睨み付けた。
「ウウゥ…!」
あの後、叫び声が段々と弱々しくなり、遂には静かになった部屋から出て来た電に笑顔で
『調整が終わったらお届けするので少しの間待っていて欲しいのです』
と言われ、地下室から追い出されて半日。
どうやら調整とやらが終わったのか、寝ている間に部屋に投げ込まれた様であった。
(と言うことは…)
「ウ~…!」
この目の前で弱々しくもこちらを警戒するように睨み付けてくるヲ級は、あの四人によってたかって想像を絶する何かをされ全てを破壊された哀れなヲ級と言うことになり、こうして唸っているのも恐らくは…
(赤ん坊がよく分からない場所に投げ込まれて不安で泣くのと同じ、と言ったところか…)
余りにも哀れな姿を目撃してしまっていた男にとっては、そのうなり声は人類の敵の怨嗟というよりかは雨の日の捨て猫のそれのように聞こえていた。
その時、ベッドの端に1枚の紙が置かれていることに気が付いた。
(…?)
ぺら、とそれを手にとれば、そこには以下のような内容が書かれていた。
『
ヲ級について
今現在、ソレはほぼ全ての艤装を剥奪し人並み以下の力しか出ないようになっている。
ただし、四肢については君を絞め殺されては困るためにそのままにしてある。危険が無いと判断したらこちらからその旨を伝えるので、それまではそのままにしておいてくれ。
それと記憶等を全て破壊したので今ソレは何も覚えていない。言葉はおろか、日常の動作でさえもだ。この後どうするかは君に任せる。性処理用の肉人形にしてくれても構わない…が、出来れば電の期待に応えてやってくれ。
頼んだよ
追伸
食べ物は人同様、通常のモノで構わないが、諸事情により最初は離乳食をオススメするよ
』
(……)
くるるるる…
「ウウゥ…ウウ…」
ぐしゅぐしゅと、すすり泣くヲ級の腹から音が鳴った。
「腹が減ってるのか?」
「ウウゥ…」
男が尋ねるも、言語を認識できないヲ級は唸り続けるばかりであった。
(仕方ない……)
男は立ち上がり、ヲ級の食事を取りに部屋を出る。
「ウ…」
男が離れたのを見て、安心したような、それでいてどこか不安そうな声を上げるヲ級。
(…)
その姿を端目に、何とも言えない気持ちに苛まれる男。
これがあるいは父性というモノか…
多分憐憫とかであってソレとは違うと思うが、そんな事を考えながら男は急ぎ足で食堂へと向かった。
「ほら、あーん」
「ウゥ…!」
丁度誰もいなかった食堂に忍び込み、厨房を借り、離乳食などよく知らないので調べようとして鳳翔に見つかり、ちょいと切って煮るだけの子供レベルの簡単な内容をぴったりと密着された状態で手取り足取り教えて貰い(強制)、そして出来上がったヨーグルトと桃のピューレ。
万万が一にもよく分からない何かがきっかけで突然発情したりする白露型辺りに襲われないようにと急いで戻ってきて、ひもじさからか本能で机に文字通り齧り付くヲ級に差し出してみたが、警戒するヲ級は唸るばかりで一向に食べようとはしなかった。
(どうしたモノか…)
頭を悩ませる男であったが、赤ん坊や食事を取ろうとしない動物等に食事を与えるには自分が食べてみせると良いとどこかに書いてあったような気がしたので、試してみることにした。
「あーん」
「…!」
わざわざ擬音付きで自分の口にピューレを運ぶ男。
何やらヲ級は目を丸くしてこちらを見つめていた。
(生憎と何を考えているのかは分からんが…)
どうやら興味を示したらしいぞと考えた男は、もう一口それを口に運んだ。
「…」
じーっとこちらを見つめるヲ級。その目がピューレの入った容器に行ったのを確認した男は、容器を突き出してみる。
「…ゥ…」
興味深そうに覗き込んで匂いを嗅ぎだしたヲ級を見た男は、再びそれを匙で掬って口の前に差し出した。
何やら非常に躊躇うような動作を含んでいたが、男の顔と交互に見つめたヲ級は、暫くしてゆっくりと口を開け、
「アグ…」
がちり、と多少強めに匙を噛んだが、漸くそれを口にした。
(どうだ…?)
しかし安心するのは早い。
深海棲艦がどんな味覚を持つかは男にはまだ分からなかった。
もしかしすればこれをマズいと断じ、二度と口にしないかも知れない。
そうすれば衰弱一直線である。
緊張し、じんわりと汗をかく男の前でヲ級はゆっくりと口内のモノを味わい…
ゴクリ
「…ァウ!」
嚥下音の後、嬉しそうな表情を浮かべた。
(やった!)
男はもっともっとと口を開けて擦り寄ってくるヲ級の姿に妙な達成感を覚え、小鳥に餌を与える親鳥のように次々にピューレを与えていく。
そしてやがて全て無くなり、ヲ級は満足そうにけぷっと息を漏らした。
「よしよし…」
「ウ…?」
頭を撫でる男に、不思議そうな顔をしたヲ級であったが、それが敵意によるものでないであると分かると次第に身を任せ始めた。
「…♪」
「いい子だ…」
やがてうつらうつらとし始めたヲ級の体をベッドに寝かせた男は、その腹をさすり出した。
すぅすぅと寝息を立てだしたのを確認した男は静かに離れ、部屋を出た。
先程から少々催していた為にそのまま手洗いへと赴き、用を足す男。
「ふぅ…」
確かに少しばかり異常な状況であることは自覚していたが、ヲ級の世話をする事に対して少しの楽しみと充足を覚えた男は、最近の搾精地獄の中で一筋の光をそこに見出し始めていた。
「…よし!」
男は手を洗い、頬を叩いて気合いを入れ直すとトイレを後にし
「ほら夕立、走ると危ないよ…」
「大丈夫!転んでもケガなんかしないっぽ…わぷっ!」
「わっ…夕、立…」
「あ、提督さん…ごめんなさ……」
「ほら言わんこっちゃ…夕立?」
「……すんすん…」
「あっこら何処の匂い嗅いで、あっ」
「…んふーっ❤ふーっ❤ふーっ❤」
「あっ」
「…あ、ここ、トイ……はっ❤はっ❤はっ❤はっ❤」
「あっ待って、あっあっあっ」
今日の豆知識
尿や汗には異性を発情させるフェロモンが多く含まれている。
瞳孔ガン開きの上舌をでろんっと出した少女二人組に押さえ付けられ服を破られる中、男は
(絶対…部屋にトイレ作って貰うからな…)
眼前に迫り来る少女の尻に、固く、固くそう決意した。
ぶぢゅ❤❤❤❤❤
ぽいっ べちゃっ
案の定真っ白になった男は、何時ものように床に打ち捨てられた。
しかしながら奇跡的に白露型の殆どは任務に出ていたため、飲み終えたグラスの底のうっすいオレンジジュース程度には気力の残った男は、なんとか這いつくばりながらも工廠へと向かう。
今まで散々な思いをしている場所であるが、ひとまず生き残るには足を運ばざるを得ないのだ。
這々の体で辿り着くと、何時ものようにゲラゲラ笑いながら床に転がる腕が紫色の夕張をスルーし、半ばロシアンルーレットと化している缶の封を切って一気に呷った。
(頼む頼む頼む………)
今天に祈りを捧げている者の中で右に出る者はいないだろうという程の真摯な男の祈りが通じたのか、どうやら旧式の薬剤であったようで男は直ぐに復活した。
「ふぅ…」
万が一これが先日の新型の方で外に雲龍でも居ようものなら…
この鎮守府では回復ポイントですらも命懸けであぬた。
なんとか普通に立てるようになった男は、これまた何時ものように完全に拘束されてナニカしている…もとい、されている明石に話しかける。
「お取り込み中すまないが、頼みたいことがあるんだが良いか?」
「て゛❤い゛❤と゛❤く゛❤!゛❤?゛❤い゛❤や゛❤!゛❤み゛❤な゛❤い゛❤れ゛❤!゛❤」
今更である。
構わず男は続けた。
「部屋に風呂場とトイレを増設して欲しいのだが…出来ないか?」
「て゛❤き゛❤ま゛❤し゛❤ゅ゛❤」
「じゃあ頼む」
「あ゛❤い゛❤」
最早男も慣れたモノである。
余りにも普通に対応されたせいで普通に返してしまった明石が羞恥で茹で蛸のようになっているが、日に最低でも一回は見ている気がする痴態を今更恥ずかしがることがあるのだろうか。
女心とは分からない…
男は首を傾げながら部屋を出ていった。
「…お」
「あら、提督」
男が廊下を歩いていると、赤と青の、袴っぽい…プリーツスカートっぽい…うん?一体何だアレは…とにかく、そんなものを穿いた二人に出会った。
確か赤城と加賀である。最初の日に会ったような気もするのだが、あの日のことは『不思議なことに』よく覚えていないため、ほぼ初対面である。
「…どうも」
加賀はといえば、何故か赤城の後ろにさっと隠れ、地面を見つめてぼつりと非常に小さな声で呟いた。
「?」
男は不思議そうな顔を浮かべ加賀を見つめるが、加賀は頑なに地面を見つめたまま動かなくなった。
「加賀に何かしてしまったか?」
余りにも不自然なため、赤城に聞いてみる男。
すると赤城は明け透けにこう答えた。
「いえ、単に加賀さんが提督にベタ惚れしてるんですが、コミュ障を煩ってて何も言えなくなってるだけです」
「…」
加賀を見やれば、先程から1ミリも動いておらず…いや、地面を見つめたままだが目をこれでもかと見開いており、顔が段々赤く…おぉ、人(艦娘はまた別なのかも知れないが)の顔とはこれ程までに赤くなれるのだな。
「赤城…さん…?」
ギギギ、とぎこちない動きで赤城を見やる加賀。
赤城はくすくすと微笑んで言った。
「何十年喪女やってるつもりですか?もうそろそろ私も面倒くさくなってきちゃいました。」
「そんな…無体な…」
まだ機械の方が人間がありそうなほどぎこちない受け答えをする加賀を見、男は考えこんだ。
(はて、惚れられるようなことはしただろうか)
真剣に考えこんでいると、それを見つめられていると勘違いした加賀がワタワタし始める。
「いや、その…えぇ、そのですね、まずは、おつ、お、お付き合ぃ…」
最早最後の方は何を言っているのか分からないくらい小さな声になっていったが、どうやら交際を求められているようだ。早いよ。展開が早い。
「阿呆ですか。その前にすべき事とか…あぁいや無理ですね。良いですか?貴方は筋金入りのポンコツなんです。もう少し考えろとは言いませんから一寸は落ち着きなさい」
加賀の肩を掴んでそう言いきる赤城。中々辛辣である。
「すべき事…すべき事…すべき事…」
なにやら目がぐるぐるしだした加賀を見て、諦めたのか大きくため息をついた赤城。
ぐるりとこちらに向き直った彼女は、にこやかに言い放った。
「ちなみにですけど提督さん、加賀さんと目を合わせたりしましたか?」
「まぁ、その位は…」
「そんな事したら加賀さんが惚れちゃうじゃ無いですか。責任取って貰ってあげて下さい」
「え」
「あり得ないと思いますか?普通はそうでしょうが、ウチの加賀さんは想像を絶するポンコツです。あまり舐めないであげて下さい」
「責任…せきにん…せきにんとる…」
「…」
こいつぁやべぇぜ。
胸を張って加賀をズタボロにこき下ろす赤城だが、まぁ確かに今の有様(赤城の背中を片手で引っ掴み、茹で蛸みたいに真っ赤な顔で地面を見つめてブツブツ言う姿)を見れば納得も行く。
そうして暫く何かを言っていた加賀だが、やがて顔を上げて突然大声で一言
「責任取って私と子を設けてお付き合いして下さい!(?????)」
『んぐ…っ、わ、私はこれで、ふへ、失礼し、ぶっ、ます、んふっ』
二人を彼女達の部屋に放り込んだ後、もう辛抱堪らんとばかりに笑いを堪えた赤城が飛び出し、そこには男と加賀の二人だけが残された。
防音設備故扉が閉まれば外の声は聞こえてこないが、何故か男にはしっかりと大笑いする赤城の声が聞こえていた。
「…………………………………………………」
しかしそれよりも死ぬほど静かに沈黙を保つ加賀の方が気にかかる。
吹けばそのまま消え去りそうな程に存在感を消して俯く彼女は、顔を青くしたり土気色にしたり赤くしたり…信号機だろうか?
「あの」
埒があかないと感じた男は、ひとまず声をかけてみる。
「ひぇん」
変な音が帰ってきた。返事だろうか。
何が気になるのか熱心に自分の膝先を見つめる加賀に、男は慎重に言葉を選ぶ。
「大丈夫か?」
「今日は大丈夫な日です」
大丈夫じゃないようだ。
なんとか落ち着かせようと深呼吸を提案した男であったが、帰ってきたのはラマーズ法であった。
(どうしろと)
こうなりゃヤケだ。押して駄目なら引いてみろとはよく言ったモノである。
「あ…」
男は彼女の体を抱き寄せ、その頭を胸に抱いた。
男の体温と鼓動を直に受け取った加賀は、小さな声を漏らした。
「落ち着いて」
「……」
震える加賀の背中をポンポンと撫でさすりながら語りかける。するとすぐに彼女の震えがピタリと止まった。
「息を大きく吸って…ほら」
「……」
なんとか宥めようと出来るだけ優しく振る舞ったつもりだったが、何故か反応が無い。
もしかして何か気に触るようなことでも言ったのかと男は彼女の顔を覗き込んだ。
「…加賀?」
「 」
そこにあったのは、清々しい表情で目を瞑り、鼻から大量の赤黒い血を流す女の顔であった。慌てて揺さぶってみたが反応が無く、まさかと思って腕に手を当ててみる。
「…」
「 」
「し、死んでる…」
女加賀。100年を超える年代物の処女を拗らせた彼女の最期は、思い人に触れられたことによるテクノブレイクであった。
と言うわけで加賀を背負い、慌てて部屋を飛び出したところで大笑いしながら待っていた赤城に止められた。
どうやらこの事態は予測してあったようで、既に手元にあった注射器を加賀の首本に首尾良くブチ込むと、即座に息を吹き返した彼女をベッドに横たわらせた。
そして男を誘い、食堂へと赴く。
男としては、今朝の出来事を思い返してしまい今食堂へ向かうのはいささか憚られたが、大人しく着いていった。
「…それで?如何でしたか加賀さんは?」
からん、と氷の入ったグラスを揺らし、硬質な音を立てつつ楽しそうに話し掛けてくる赤城。
男は口籠もりつつ答えた。
「どう、とは」
「接吻ぐらいは出来ましたか?」
「…いや、体が触れたところで…」
くすくす、と笑いながら赤城が引き継いだ。
「息絶えた?」
「…まぁ」
水を呷りながらけらけら笑う赤城。
「んふ、触れるまで耐えられただけ成長なんですかねぇ。全く加賀さんは、男性が絡むとすぐ死んじゃうんですから」
文字通りにね、とニヤッと口端を歪めた赤城であったが、暫く考えるような動作をした後に男に向き直る。
「どうせなので、この際加賀さんの根性を少し叩き直してやって下さいませんか?」
「う、うむ…」
それは良いが、相手は私で良いのだろうか…と悩む男であったが、その悩みを見抜いた赤城は嬉しそうに語る。
「あら、もう少し自身持っても良いんですよ?」
「…?」
「貴方、彼女達に随分と好かれてるそうじゃないですか」
そういって指差したのは食堂の端の方でわいわいと騒ぎ立てる夕立とソレを諫める時雨の姿であった。
「しかも望月にまで寝込みを襲われたそうですね?あんなに出不精な彼女に」
「…それは好かれているのか」
苦々しげに呟く男に、微笑みながら彼女は言った。
「ええ、貴方が何と思おうが好かれていますよ。其れは間違い有りません。貴方は、私達からすればとても好ましい人物です。むしろ、ウチのあのポンコツとは釣り合わないくらいですよ」
「…存外辛辣なのだな」
「これは失敬」
んふ、と口元を隠しながら彼女は続けた。
「…ですので、どうか、ウチの可愛いポンコツの事、よろしくお願いしますね」
「…分かった」
形は違えど、これもまた愛なのだろうか。
最近「愛」の定義が乱れに乱れている男は、ぼんやりとそんな事を考え…
「こちら、鰻の白焼きと生牡蠣です…❤」
「あら」
「え?」
「こちらがレバニラと潮汁です…❤」
「待って鳳翔さん。頼んでない頼んでない」
「お邪魔みたいですね…。私は退散しますか」
「こちら、黒ニンニクとマカドリンクです❤」
「あっ待って。偏りすぎてるから。あそこに白露型いるから。待って待って」
「先程から聞いていれば別の女の話ばかり…」
「え?」
「私だって、貴方の女なんですからね…!」
「あっ」
「さぁ、どうぞ、召し上がれ?❤」
男の手を掴んで自分の着物の隙間に差し込み、白昼堂々コトをおっぱじめた鳳翔。
もう嗅ぎ付けたのか、目を見開いてこちらを見つめてくる白露型に命の危機を感じ、赤城に助けを求めようとする男であったが…
「…んふふ❤」
遠くの方でこちらをオカズに一人励んでいる赤城を見て、全てを悟った。
(アイツまさか…)
席を立つ白露型。熱に浮かされたような顔で舌なめずりしながら迫ってくる彼女達。
覚悟を決めながら、最期に男は心の中で叫んだ。
(昼ドラ好きか…!)
今日の豆知識その2
色恋沙汰で赤城は信用するな
すやぁ…
そう擬音が聞こえてきそうな程安らかに眠るヲ級。
殆ど身動きすることも無く、男の枕に顔を埋めて寝る彼女の顔は、この上なく幸せそうで…
ぴっ
『今日は、こちらのお宅に伺っております!』
「!!!」
ぴょーん、と、突然鳴り響いた音に心底驚いたヲ級は、覚醒と同時に数十センチ程も飛び上がり、ベッドからべちゃりと落ちた。
「!」
そのまま丁度目の前にあったベッド下の隙間に慌てて潜り込むと、落ちたときの痛みで涙目になりながらカタカタと震える。
「…??」
そうして暫くベッド下に隠れていたヲ級であったが、隙間からあたりを見ても何も不審なものが見えないことを不思議に思ったのか、滅茶苦茶に不安そうな顔をしながらもひょこっと顔を出した。
『今日ご紹介する子はこの子です!』
「???」
しかしあたりをいくら見渡せど、怪しいものはおろか男の姿すら見えないことに不安がるヲ級。
数秒ほどキョロキョロしていたが、
『お名前はシロちゃんです!可愛らしいですねぇ』
「…!」
やがて音の発生源がテレビであることに気がついたようだった。
「…?」
しかしヲ級にとってはソレは未知なる物であり、警戒しすぎて腰が引けながらも四つん這い(と言って良いのか分からないが)で少しずつ、少しずつ近付いていった。
「…」
じっとテレビを見つめていたが、害はないと判断したのかやがて体勢を崩し、床に座り込みだした。
「…」
しかし特にすることも無く、また寝る気も起きないようで、そのままヲ級はぼんやりとテレビを眺めだした。
一方その頃
ぱんっ❤ぱんっ❤ぱんっ❤ぱんっ❤ぱんっ❤
「ゆ…許し…んぶっ!」
「駄目ですよ旦那様…❤ここ数日あまり構ってくれなかった分のお返しをシテ頂きますからね…❤」
「はっ❤はっ❤はっ❤はっ❤ぢゅっ❤ぢゅる…❤ぢゅるるる…❤」
「もう…時雨ってば盛りすぎっぽい…❤私にも貸して?❤」
「そういう夕立だって…❤んじゅるっ❤提督の腕、もうべちゃべちゃだよ?」
男はいつも通り搾られていた。
騎乗位の鳳翔にゆさゆさと腰を振られ、両腕は時雨と夕立の股に挟まれ、その柔らかな媚肉を擦り付けられている。更に交互に姉妹に顔を極められては眼前数センチのところで真っ直ぐ見つめられたまま激しく口内を蹂躙される。
まさしく男の夢を体現していると言ってもいいだろうと言う状況におかれた男。
しかし、そこは案外地獄であった。
「さぁ、気持ち良ーく❤出してしまいましょう?❤」
拙い言葉責めを繰り出す鳳翔に、しかし男は死ぬ気で我慢していた。
それもこれも、以前夕張にと交わした言葉のせいであった。
『そういえば鳳翔さん、殆ど轟沈寸前だったんで艦娘としての部分はほぼ機能してないんですよね』
『…何か問題があるのか?』
『いえ、まぁ、ただの人になったと言えばそれまでなのですが』
『?』
『子供はどうなるんでしょうね』
『は?』
『ヒトか艦娘か…どっちだと思います?』
そう言うわけで、男は我慢せざるを得ないのであった。
今までは言うなれば真の意味での子作りという側面はほぼ無く、そのプロセスを経た建造行為に他ならないため、まだ男はヒトの親になったことは無いのであった。
まぁ、艦娘だって似たようなものと言えばそうなのだが、型によって殆ど同じ顔と殆ど同じ性格を持った子供が出来上がる建造行為と、ヒトの子作りという行為には、何か多少の差異があるものと男は認識していた。
つまりは
(まだ親になりたくない…!)
男はもう少し、自由でいたかったのである。
自信を持てと言われても鎮守府で為を搾り取られているだけの自分が立派な親になれるなんて露とも思わず、そこに責任問題までのしかかるとなれば…
(あ、でももう無理だこれ)
必死に萎えさせようとした男だったが、例の四姉妹とまでは行かずとも男を悦ばせるための褥の技を学んできた鳳翔の技量の前には意味をなさなかった。
時に優しく、時に激しく、時にはぐりぐりと押し付け、刺激になれさせず飽きさせないような手菅を尽くした淫技に、男の亀頭は既にぱんぱんに膨れあがっていた。
「出ちゃいますか?❤出ちゃうんですね?❤良いですよ❤い~っ…ぱい❤出して下さいね❤」
それを悟った鳳翔は、より腰を激しく振り回す。
もう限界である。
睾丸が跳ね上がり、何かがびゅるびゅると駆け上がっていくのを感じた男は、呆気なく敗北宣言を―――
『シロちゃんはこのオヤツが大好物だそうですよ!』
「…」
ヲ級はと言えば、部屋で一人、退屈そうにテレビを眺めていた。
はて、あの食事をくれた何者かは何処に行ったのだろうか、とか、ここは何処なのだろうか、とか、ヒトの言葉で言えばそんな事を、言語さえも綺麗さっぱり破壊されたなりに考えていたヲ級であったが、やがてテレビに映る、見慣れない生き物を眺めているうちに
「…!」
何かに気付いたようだった。
興味深そうにテレビを見つめるヲ級。
そこにはニャー、と鳴き声を発しながら女性から餌を受け取る猫の姿があった。
そしてしばし、猫と飼い主を交互に見つめ、自分の四肢をちらりと見た後に何かを考えていたヲ級であったが、少しして口を小さく開いた。
「ニャア」
そう一言呟いた後、なにやら嬉しそうな顔をして息を吸い込むヲ級。
それから暫く部屋の中には、猫の鳴き声が響き渡った。
話をまとめる能力が100下がった!
1日が1万字で収まらなくなってしまった!