変態これくしょん―freak girls collection― 作:Parada
夕張
エロ無し
響,暁,天龍,ヲ級
シリアスが長ぇよ!と思ったがエロがもっと長いのでセーフ
因みに今回も2番目にあるシリアスシーンは飛ばしても問題ないよ
薄暗い部屋の中。
並ぶ試薬、抽出機、冷却器、その他その他…そして寝台に臥す一人の男。
あからさまに怪しげな空気の中、一人の女の声が響いた。
「…遂に、出来た…!」
「…?」
その声で目を覚ました男。
ちらりと声の方を見れば、嬌笑を浮かべる女の姿が見えた。
「んふ、んふふふふ…❤苦節三年、遂にコレを試すときが来たのね…❤」
その女は手元のシャーレから青い結晶を取り出すと、そこで初めて男が意識を取り戻したことに気付いたのかくるりと振り返った。
「あぁ…目が覚めましたか…」
「夕張…」
何時もより蠱惑的に笑うその顔は艶めかしく、それでいてまるで子供のような好奇に満ち溢れていた。
「見て下さいコレ…❤とっても綺麗でしょう?❤」
「なんだ?ソレは…」
男が尋ねると、夕張は仰々しく、そして厳かにそれを掲げてうっとりと語る。
「これこそが私の追い求めたモノ…❤脳髄を甘く蕩かすような幸福感を得られる至極の一品です…❤」
「…また薬物か」
「ええ…❤代償として一部感覚の変容と極めて高い中毒性を備えていますが、そんなものは些末事ですね❤」
「それを如何するつもりだ」
男は体を起こした。事と次第によっては止めねばならない。
じゃらり
しかしそんな男の行動を嘲笑うかのように金属音が鳴る。
男は四肢を拘束されていた。
「もちろん、試しますよ?❤ここには丁度良い被験体がいるでしょう?❤」
「…まさか」
「…さ❤善は急げ、と言いますね?❤それじゃ早速…」
夕張の指が動く。
その手はゆっくり、ゆっくりと口元に迫っていた。
「止めろ…」
「あーん❤」
「止めろォ!」
ぱくっ
男の叫び虚しく、その青い結晶は、遂に口に放り込まれ、胃の中へと消えていった―――
「けひっ❤くひひひひ❤」
勿論、夕張の。
「早く吐き出しなさい!」
慌てる男。
しかし夕張は楽しそうにケラケラ笑うばかりであった。
「イヤですよ!どれだけ作るのに苦労したと思ってるんですか!」
「その努力を余所に回せ!」
「趣味までとやかく言われる筋合いは無いです!」
「じゃあせめて拘束を解きなさい!」
「実験するんですからもうしばらくは駄目です!」
「何の!」
「薬の効能ですよ!」
「どんな!」
「よくぞ聞いてくれました!」
勢い良くホワイトボードに紙ペラを貼り付ける夕張。
そこには恐ろしいことが書いてあった。
「まず効能1ですが、これは簡単です。多幸感の享受ですね。所謂アッパー系のヤツです。その2としては酩酊感に似た効果を与えます。これにより複雑な思考が出来なくなり、より単調な思考回路になります。その3としては脳の内、生殖本能を司る部分をしこたま刺激します。もうエストロゲンとかの性ステロイドどばどばですよ。そのせいで副作用として排卵剤効果がでますね。」
「あー、つまり?」
「どんな賢く奥手で貞淑な女の子でも一発でメスになります」
男は苦虫を噛み潰したような顔で青い結晶を見つめた。どこかで見たことがあるような気がする結晶である。
「…メスだけに?」
「おや、よくご存じで。別にメタンフェタミンは入ってませんけど」
さらりと流されて有り難いやら悔しいやら。
男は頭を振り、気を持ち直した。
「その割に平気そうだな」
「いえ?ゆっくりとですけどキてますよ。即効性では堕ちる過程の楽しみも無いでしょう?…そう言うわけで、効能を確かめるために私は出来る限り耐えようとしますが、無理そうだったらお相手お願いしますね?」
「…分かった」
もうこうなってはどうしようも無し。
男に出来ることなど最初から決まっているのだ。
男は覚悟を決め、全てを受け止める決心をした。
「関係ない話ですが、これ、実は凄いこだわりがあるんですよ」
「何だ?」
「何と全部有機栽培されたモノから作ってるんです!」
「何で…?」
「昨今有機栽培って言っとけば女性ウケ良いじゃないですか!…ところでDDTは現在農薬に指定されてませんが、この場合大量に使用しても有機栽培って言えるんですかね?沈黙の春が訪れそうですが。まぁ、この鎮守府は年がら年中春が咲き乱れてますけどね!」
「…どうやらアッパー系の効果とやらが先に出るらしいな」
「ふぅ、ふぅ…❤いやぁ、この部屋、暑いですね…❤」
暫くあの調子でベラベラ喋り続けていた夕張だったが、段々と顔が赤くなり、呼吸も浅く、声にも艶が乗り始めていた。
「そうでも無いが…」
「そう、ですか…?❤これも、薬の、効果ですかね…❤」
息も荒く、汗で濡れる額を手の甲で拭う夕張。
横髪が汗に濡れ一房ばかりが頬に張り付いており、それがまた妙に扇情的であった。
「脱いじゃいましょうか…❤」
「おい」
躊躇いなく上着の裾に手をかけた夕張に声を上げた男だったが、夕張は止まる気配も見せなかった。
「大丈夫ですよ❤下にタンクトップ着てますから…❤これは暑いから脱いでるだけで、手は出してませんし…❤」
そういって上着を脱ぎ捨てた夕張。その背筋は汗で濡れ、如何にも色気の無い薄汚れて黄色みがかったタンクトップには一本の縦線が入っていた。
「んふ❤どうせなら下も脱いでしまいましょうか…❤」
「それは」
「大丈夫です、ストッキングまでですから…❤」
はぁ、とさっさとストッキングを脱ぎ捨ててベッドに腰掛ける夕張。
その手は男の股間に置かれ、意識しているのか否か、すりすりと撫で回していた。
男は熱に浮かされたようにぼうっとする夕張に声を駆ける。
「夕張」
「…はい?❤…あぁ、これは失礼…❤どうにも効果が、強いようで…❤」
そういって手を離し、そのまま鼻先をポリポリと掻く夕張。
顎先から一滴の汗が垂れ、輝くその軌道が男の目を奪った。
「…すぅー…❤…はぁー…❤…すぅー…❤…はぁー…❤」
「…夕張?」
気がつけば夕張は男の股間を撫でさすった手を鼻に当て、深呼吸し始めていた。
「やば…なんか、凄く、気になる匂いがします…❤すぅー…❤なんだろ、変な匂いなのに、嫌じゃな…❤」
そう言うと夕張は丁度男の股に向かって倒れ込み、顔を突っ込んで深呼吸し始めた。
「おいっ…」
「だいじょうぶ…❤だいじょうぶ…❤まだヤってない…❤ヤってないもん…❤」
普段より体温が上がった状態で深呼吸され、最早熱いと形容した方が正しい吐息が男の股座を包み込んだ。
必然ソレはいきり立ち、夕張の顔に押し付けられる。
最早目にハートマークが浮かびそうなほどに蕩けた顔で夕張はふにゃふにゃと笑った。
「あ゛~…❤シたい…❤シたいなぁ…❤でもがまん、がまん…❤だめよ私…❤がまんしなきゃ…❤…あ、そうだ…❤」
そう言うと男のズボンに手をかけ、ズルッと一気にズリ下ろした。
ぶるんっ❤べちんっ!❤
「んへ❤」
開放された男のモノが夕張の顔へと傍若無人にもぶち当たり、ちんぽビンタを喰らった夕張が嬉しそうな声を上げた。
「夕張!」
「だいじょうぶ…❤においだけ…❤においだけだから…❤」
そう言う夕張の唇はもう殆ど男の陰茎に触れるか触れないかという位置にあり、喋る度に吐息と震動が男のモノを擽った。
「すんすん…❤あ、ここ、ここすご…❤すぅー…❤はぁー…❤」
「うっ!」
湯気が立つほど汗だくほかほかの美少女に一物を嗅ぎ回られ、その吐息のくすぐったさと溢れる欲望に耐えられなかった男は少しばかり股間に力を込めてしまった。
その瞬間
ちゅ❤
「あ…❤」
夕張の柔らかくしっとりした唇に男の剛直が触れた。
ソレはほんの一瞬であったが、夕張はにんまりと笑った。
「えへ…❤ちゃんとがまんしてたのに…❤てーとくがするっていうなら…❤しかたないよね…❤あ、でも…❤おくちまでなら…❤セックスじゃないもんね…❤はむっ❤」
「おっ!」
なにやらよく分からない理論を呟き、躊躇いなく陰茎をくわえ込む夕張。
その暖かな口内の感触に腰の引ける男であったが、許すモノかと言わんばかりに追従し、しつこく亀頭を舐め上げる。
ぐっちゅ❤ぐっちゅ❤といやらしい音を立てながら顔を上下させていた夕張だったが、サイドテーブルに置かれたウイスキーに目をやると、ぐぽ…❤と口から一物を引き抜き、グラスに注いだそれを少量口に含むと、にっこり微笑んで股座に戻ってきた。
「何…」
ぐぽっ❤
「!!…あっつ!」
夕張の口内から酒精が染み渡り、男の鈴口から炎に舐められたかのような熱さがじんわりと広がった。
「んふふふ❤」
それを見てか、先程とは変わって男の陰茎を締め付けるかのような口淫を行う夕張。
その圧迫感が少女の体を嫌にも強く想像させ、男は早くも限界を迎えた。
「出る…っ!」
男の宣言と同時に夕張は亀頭だけを口に含み、勢い良く吸い付いた。
「ぢゅ~っ!❤」
「あっ!」
それを合図に男の睾丸が跳ね上がり、どくんどくんと脈打ち出す。
体内をぞるぞると駆け上がる衝動に身を任せ、それがいよいよ放たれるというタイミングで男は全力で力を込めた。
びゅるるるるっ!!❤❤びゅうううぅぅぅ~~~っ!!!❤❤びゅぐっ!❤びゅぐっ!❤ごぷごぷごぷっ!❤❤
男の渾身の一発は夕張の口内に溜まった琥珀色の液体の水面を容易くぶち抜き、口蓋に叩き付けられてばちゃばちゃ❤と踊り狂う。
「ん~~~~❤❤」
それを蕩けた笑顔で受け止めていた夕張であったが、遂に脈動が収まり放精が止まるとゆっくりと一度だけ一物を飲み込み始めた。
ぐぷぷぷぷ…❤❤
「うっ…待て、夕張…なんか、おかし…」
射精後の敏感な状態に加え、アルコールの粘膜摂取によって感度が狂った状態でぬるぬるあつあつの穴に飲み込まれる感覚に腰を引いて逃げようとする男であったが、生憎と四肢は拘束されたままであり、無駄な抵抗に過ぎなかった。
「んふふふ❤」
喉奥までその長大なモノを呑み込んで喉ボコをキめた夕張は、嬉しそうな声を上げてぐりぐりと顔を振りながら股間に頭を押し付ける。
「うっ」
ぴゅるっ❤
「❤」
堪らず少しばかり少女の胃に直接精を放った男であったが、夕張はにっこり笑ってそれを受け止めた。
かちゃん…
その瞬間、そんな乾いた音が鳴り響き、男の拘束が外れる。
すると夕張は、男のモノを呑み込んだまま男に立つようにジェスチャーをした。
「うっ…おお…」
動いた衝撃で出そうになりながらもなんとか堪えた男。前かがみでぺたん座りの夕張の口に一物を突きこんだ姿勢になると、彼女が徐に口を開いた。
「んあ…❤」
こぽ…❤
「…!」
少女の口内になみなみ注がれた黄色みがかった白濁と突き立つ剛直。
そのまま夕張はゆっ…くりと顔を引き、喉から一物を引き抜いていった。
ずるずるずる…❤
「おお…」
少女の可憐な口内からばきばきに勃起した血管の浮くグロテスクな肉棒が取り出される様に尚のことソレをカタくする男。
ぐぽ…❤
つぅ…っ❤
引き抜かれた剛直と少女の口に汚らしい白濁の架け橋が架かり、やがて重力に惹かれて落ちていった。
「だひふい…❤」
出し過ぎ…❤
口を開いたままそう一言呟くと、少女はからからから…❤と音を立てうがいし始めた。
ぶくぶくぶく…❤
「うあ…」
口内でダマになっていた汚濁が、泡立ち混ざり合い膨れあがったところで、ごく…❤と少しずつ、少しずつ、男に見せ付けるように飲み下していく。
少女の口内からどんどんと白濁が消えていく様をまじまじと見せ付けられた男は、どろどろの陰茎をびくんと震わせた。
「んぐっ…❤ごきゅ…❤…んっ❤ぷぁっ…❤はぁ…❤ごちそーさま…❤んふ❤それじゃ…❤」
ごろんっと転がると、足を抱えてペロッとスカートを捲る。いつの間に脱ぎ捨てていたのかベッド端に薄緑のショーツが落ちているのを尻目に、夕張は慈母の如き笑顔で微笑んだ。
「シよ❤」
「…我慢するんじゃ無かったのか?」
呆れたような顔で言う男。夕張は一瞬不思議そうな顔をした。
「そんなこといったっけ…?でも、みてよそれ❤」
「…」
「そんないれただけでこどもできちゃいそうなおちんちん…❤いれたらとってもきもちいーよ…?❤」
そういってほこほこと湯気立つ尻を振る夕張。
「…」
「だから…ね?❤」
「…」
「シよ?❤」
男は諦めて夕張頭の両脇に手を置き、腰を勢い良く突き出し――――
がぁん!がらんがらんがらん…
吹き飛ばされる天龍。
壁に叩き付けられ、轟音が鳴り響いた。
手から零れた剣が喧しく騒ぎ立てる。
「かはっ…!」
強かに背中を打ち付け、体内に走った衝撃で息が詰まる。それでも数秒は持ったが、堪えきれずに膝をついてしまった。
「はいお終い。それじゃもう休憩しましょうか」
眼前には無手で立つ暁。両手をぷらぷらとさせ、完全に臨戦態勢を解いていた。
「冗談じゃねぇ…!まだやれるぜ俺は…!」
鋭い眼光で暁を睨み付ける天龍であったが、暁は素知らぬ顔。
「その位知ってるわ。でももう下降線に入ってる。今まで並の力は出ないでしょう?」
「くっ…」
「貴女はもう体力の限界がどうのとかいう領域のトレーニングは終わってるの。最良の動きをし続けられるようになるのが目的なのに、疲れた体で変な動きして癖になったらどうするのよ」
「クソ…!」
そう悪態をつき、勢い良く拳で地面を叩き付ける天龍。しかし反論は無いのか、大人しく修練場のベンチにどっかりと腰を落ち着けた。
「…」
明らかに苛々とした様子でテーブルをカツカツと突く天龍。
その様子に、そろそろかと思い暁は話を切り出した。
「何をそんなに焦ってるのかしら」
「…あん?」
「別にとぼける必要も無いでしょうに」
「…じゃあ言うがよ」
「うん?」
「どうせ態々聞く必要も無いんだろ?」
「まぁね」
天龍がここまで強さにこだわる理由。
元々確かに天龍と言う艦娘は強さに固執する傾向があるが、この個体はその気がやけに強かった。
当然、この天龍がこの鎮守府に移ってくる段階で伊19が調査を完了させており、その資料には目を通している。
それ故この天龍が強さにこだわる理由も何もかも全て把握している暁であったが、それはそれであった。
「悩みを聞くのも仲間の勤めでしょう?」
「ハっ!どうだか…」
かつん、かつん…と先程に比べれば遅いリズムでテーブルを突いていた天龍であったが、暁が退く気が無いことを悟ると、はぁ、と深いため息をついた。
「てめぇらを見てるとな…イラつくんだよ」
「ふぅん?」
そのわけを知っている暁は、その言葉にも特に反応せず続きを促した。
「知っての通りだ…。忘れもしねぇ41年前。てめぇらと同じ暁型と遠征に行き…そして」
がつ、と音を立てテーブルに勢い良く肘をつくと、頭を抱えて2,3度ゆるゆると振った。
「俺だけが帰還した…」
罪の告白にも似たその呟きに、しかし暁は特に何も反応を示さず淡々と言い放った。
「41年前の5月20日。制圧済み故特に危険性も無いと判断された海路を用い、天龍を旗艦とする暁型4名を含む5人での輸送艦護衛任務。当初精々が警戒網をくぐり抜けられるイ級程度の小型艦の露払い位だと考えられていたが、偶発的に生じた警備の穴から進入したと目されるタ級と遭遇。交戦に入るが、結果として暁型4名はKIAと判定。輸送艦も行方知らずでミッション失敗…と」
「そこまで調べてんのか…ご苦労なこったな」
皮肉な笑みを浮かべて睨む天龍だったが、相変わらず暁は何も反応を示さない。
「それで?」
「あん?」
「それで、なぜ?」
「…イラつくんだよ。どうしようも無く」
「…」
「タ級だ。タ級だぞ?flagshipでもない、eliteですらない、タ級だ。暁。お前ならどうする?」
「まぁ、倒すでしょうね?そうしない理由が無いなら、だけど」
「どうやって?」
「お好きな方法を言ってくれれば、それで」
「だろうな。俺だって、そこまでかどうかは別として、倒すくらいなら出来るだろうよ」
「そうね」
「そう。そうだ…。だから…だからイラつくんだよ!!!」
がぁんっ!
振り上げた拳が叩き付けられ、大きな音が鳴り響く。
叩き付けられた拳は、わなわなと震えていた。
「今の俺がそう出来るなら!あの時の俺が出来たって良かったはずだ!たった一隻のタ級如きの為に!あいつらは死ななくても良かったハズなんだ!それを…!!俺は!遠征要員の立場にかまけて前線に立たせろだの何だのと喚くことしかしなかった俺は!俺は…!!だから、だから…!!」
そこまで言うと、机に突っ伏して小刻みに震え始めた。
それを見ていた暁は、暫くして漸く反応を見せた。
「…仕方ないわね…」
「…?」
その声に反応した天龍は、袖口で顔を擦ると少しだけ振り向いた。
「じゃあそんな貴女に贈り物をしてあげるわ…響!」
「はいよ」
どこからか大量の段ボールと共に現れた響。ドサリと下ろされたその中には大量の注射器が入っていた。
「その話とはあんまり関係ないんだけどね、ちょっとした昔話をしてあげる」
「…」
「貴女は知ってるでしょうけど、高速修復材は何種類か有るの。現在一般にあるのはお風呂に溶かし込んで少しずつ修復するタイプね」
「…それがどうした」
「まぁ最後まで聞きなさいな。それで、これが最初期に使われてた注射タイプ。腕が吹き飛んでようがなんだろうが一瞬で元通り…ただし、滅茶苦茶に痛い。」
「…」
「ところで、改二って何だか知ってる?」
「…改装により得られる、戦闘力の向上と引き替えに多大な消費をもたらす形態、だったか」
「ま、半分あたりで半分外れ、かしらね。改装ってのは別に必須じゃ無いのよ。正確には覚悟、とかそんなものが必要で、誰でもその気になればなれるの」
「…何?…じゃあ、何か?俺には覚悟が足りてないってのか?」
「そうよ」
「ここまで必死に上りつめてきた、俺が?」
「だって貴女のは覚悟じゃないもの」
「は?」
「ギャンブルでスった人がヤケ酒してるのと一緒よ?貴女はソレが偶然役に立つことをしてるだけで、失ったことに八つ当たりしてるのを覚悟とは言わないわ」
「何だと…!!」
「そこでこれよ」
暁は段ボールから注射器を一つ取りだす。
逆上した天龍は、暁に詰め寄った。
「その修復材がなんだって…!」
「じゃあもう一つ質問。昔の艦娘と今の艦娘。改二が多いのはどっち?」
「…クソっ!昔のヤツだろ!さっきから一体何なん、だ…」
何会話を感じ取った天龍の語気が窄まる。
暁はにこりと笑った。
「あら、気付いたかしら」
「それを打つと改二に近付くのか?」
「残念、当たらずとも遠からずね」
「…?」
「これを使わざるを得ない状況になった艦娘は自然と改二になる、が正解よ」
「…覚悟?」
「そう、ドッグに入る暇も無い死地において何かを守るために死に物狂いで戦い続けられるようなその精神力が大事なの。…因みにこの場合の何か、は別に自分の心とかでも良いらしいけど、まぁ今は関係ないわね。最近は艦娘の精神安定の名目で強制的に休息時間を設けるためにお風呂の形を取ってるけど、それが逆に艦娘を弱くしてるのよねぇ」
人権問題怖いわ…と疲れたように言う暁。
しかし天龍の顔は晴れなかった。
「でも、それを使ったとして今はそんなレベルの戦場が…」
「あら、あるじゃない。丁度良いのが」
「どこだ?」
その時殺気を感じた天龍は、咄嗟にその場から飛び退いた。
「それは」
びっ!
空気を斬る鋭利な音と共に突き出された拳。
それは飛び退いた天龍の腹に深々と突き刺さり、そして彼女を吹き飛ばした。
がぁん!
焼き直しの如く壁に背を強かに打ち、崩れ落ちる天龍。
震える足腰を叱咤し、なんとか立ち上がるとそこには拳を構えた響がいた。
「勿論ここさ。安心しなよ天龍。うっかり死んでもすぐに蘇生させてあげるよ」
「今日から私達姉妹の誰かとトレーニングよ。改二になるまで1秒も休ませないから気を張る事ね」
天龍はその二人に、顔が引き攣りながらもニヤリと笑った。
「上等!」
刀を拾い、構える天龍。
彼女が改二に到達するまでの、長くも短い道のりの始まりであった。
「ニャア❤」
「…」
男は困惑していた。
あの後いつものデイリー任務を達成し夕張と別れ、そろそろ寝ようかと自室に帰ってきたところ突然ヲ級がにゃあにゃあ言い始めたからであった。
しかも何故かやたらと男の足下に体を擦り付けようとするのでとても歩きにくい。
仕方が無いのでベッドに腰掛けるとやっぱり擦り寄ってきた。
「ニャゥ~❤」
何故か途轍もなく機嫌が良いらしいヲ級は、男の膝上に頭を乗せると、ぐりぐりと男の腹に顔を押し付けて寝息を立て始めた。
「…」
(なんだこれ…)
そう思った男であったが、どうしようも無くなってしまったので仕方なく体を横たわらせ…
「…」
「ニャ…❤」
ずり、とヲ級の体を引き上げ、抱きしめて眠りについた。