イリアと出会い有理沙と別れてから十日、おれたち二人は同じような景色にとっくに飽きていた。
なにせ何もない森だ、そろそろ刺激の一つもほしいところだがこう何もないと刺激の一つも見つからない。
イリアは相変わらずだが最近少し距離を取られている気がする。
「おにいさーん!この先に川がありますよー!」
疲れているおれと違ってイリアの体力は底がない、というか底が見えない。
おれが休憩している間に付近の捜索をしてくれたり、先導して危ないところがあったら教えてくれる。
女の子に任せっきりなのも男として恥ずかしいが体とイリアが休めと言い、イリアに借りが増える一方だ。
「わかった。今から行くよ」
森が拓けて広い河原が広がっていた。
水も綺麗で飲めそうだ。
何もない森の中をずっと歩いてきたわけで持ってきた水も底を尽きようとしていた。
小さな村どころか建物一つなかったので、風呂も入れず体を洗いたいというのもあり、川の発見はおれたちにとってかなり大きい収穫だ。
精霊だからかイリアは汚れ一つ見られていないが、、、。
結局風呂に入りたいのもおれでイリアには迷惑かけったらなしである。
「なかなか大きな川だな、陽も落ち始めているし今日はここに泊まろう」
「じゃあテント張るね、ここら辺でいい?」
「おれがやるからイリアは休んでていいよ」
「やだ、私も手伝うもん」
「じゃあ手伝ってくれるか?」
「うん!」
テント張りはイリアの手伝いもありあっという間に終わった。
またイリアに借りを作っちゃったなぁと心の中に思いつつ借りなんて気にしないイリアに感謝。
京から出て十日以上経っているのにテントを張るのは初だ。
ずっと深い森の中だったのでテントを張れるような広いスペースはなかったからである。
テントを張り終え今夜の宿屋は出来上がったが問題は他にもある。
「おにいさん〜、川行ってお魚捕まえてくる〜!」
そう、イリアがタイミングよく教えてくれたが食料問題だ。
京を出てはや十日、すでに保存食はそこを尽きようとしている。
ここらあたりで食料を確保しなければ餓死してしまう。
食料確保が出来るのなら人喰い妖怪がいる山もこの辺りだろうしここを拠点にするのも悪くない。
とりあえず今は魚の手摑みといきますか!
イリア一人にやらすのも申し訳ないしな。
「イリア、魚いたか?」
「たくさんいたよ!おにいさんも手摑みする?」
「ああ、たくさんとってやる!」
川にはヤマメやアユ、カジカだろうか、現代で見た魚がたくさん泳いでいた。
流石に素手で掴むのは難しく水しぶきをあげて自分が濡れる一方だ。
その隣ではイリアが鬼のようなスピードで魚をバケツに放り込んでいたが...。
おれはなんとか二匹捕まえた。
「たくさんとれたねおにいさん」
「とってくれたのはイリアだろ、ありがとな」
「おにいさんのためならなんでもするよ!」
「そうか、イリアはいい子だな」
「うん!」
そう、イリアはとてもいい子だ。
何を頼んでも嫌な顔一つせずに手伝ってくれる。
頼んでいないことまで無理してやってくれる。
さあ、火起こしと行くか!
「イリアは今日も木の上で寝るのか?」
「うん、そのつもり。木の上は昔から慣れてるからね」
イリアは最初こそおれにべったりで寝ていたが、途中から木の上で寝ると言い出し、一人木の上で寝ている。
「そっか、せっかくテント張れたしテントの中で寝てもいいんだぞ?」
「ありがとうおにいさん、でも一人用のテントじゃ二人入ったら狭くなっちゃうよ、それに、おにいさんの隣は妹紅さんの場所でしょ?」
そういうことか。
イリアがおれと必要以上に近づかないようにしている理由がやっとわかった。
おれはどうすれば良いかも分からず何も言えない。
辺りはすっかり暗くなりおれたちは大きめの石に腰掛けて起こした火で体を温めていた。
火の周りに刺さった魚がいい匂いを漂わせている。
魚獲りはとても上手くいったが(主にイリアが)、代償として服がびしょびしょになってしまったが。
おれは何枚も服を用意していたので着替えもあるがイリアは着ていたワンピースしか服を持っていないのでなんだが申し訳ない。
濡れて透けたワンピースが胸や体のライン、下着を強調していて直視しづらい状況になっている。
大きめのタオルで体が冷えないようにしてはいるが風邪も心配だ。
また木の上で寝るっていってるのも気にかかる。
「くしゅんっ!おにいさん、そろそろ焼けたんじゃない?私お腹ぺこぺこ」
「大丈夫か?寒いか...?」
「大丈夫だよ!それより焼けてそうだよ、食べよ!」
「そうだな...、いただきます」
「いただきます!」
数日ぶりの豪華な夕食におれもイリアも胃がブラックホールに思えるほど食べた。
寝るときのことを少し忘れられるぐらいに食べるのに集中した。
たくさん食べると眠くなるわけで今日は早めに寝ることになった。
「じゃあおにいさん、おやすみなさい...」
「ああ、おやすみ...」
イリアはテントに一番近い木の上に飛んで行く。
その背中は少し寂しさを物語っている。
でも、それがイリアの思いだから...
やっぱりだめだ、寂しがってる女の子を一人で寝かせるなんて。
「イリア!」
「...?おにいさん?」
「ちょっと来い、少し話したいことがある」
「え...?」
おれは降りてきたイリアの手を掴むとテントまで引っ張っていく。
テントの中に座らせておれも向かいに座る。
おれの普段と違う空気にイリアは恐怖を顔に浮かべている。
「おにいさん、私何かおにいさんを怒らせちゃった?」
「ああ、おれは怒ってるよ」
「ごめんなさいおにいさん、私何が悪かったの?」
「イリアは悪くない。おれはイリアに寂しい思いをさせたおれに怒ってるんだ」
「え...?私寂しい思いなんてしてないよ?」
イリアは少しうつむきながら言う、声は少し震え気味でどこか切なげだ。
「イリアは妹紅のことを思っておれと距離をとってるよな、木で寝るのもそうだろ?」
「そんなことないよ...、木の上で寝るのは木の上が好きだからで確かに妹紅さんがいるのに私が一緒に寝るのは悪いと思うけど...」
「イリア、おれのこと嫌いか?」
「そんなことないよ!むしろ...好き...だよ」
イリアの頰がかすかに紅潮する。
月の光が差し込むテントでイリアはとても美しかった。
「おれはイリアが嫌じゃなければおれの隣ににいてほしい。妹紅はもちろん大切だけどおれにとってはイリアも大切な存在なんだ」
「そんなの...ずるいよおにいさん...」
イリアの瞳に涙を浮かび、頰を伝っていく。
「イリアはおれのそばにいてくれるか?」
「そんなの、おにいさんのそばにいるに決まってるじゃん」
「ありがとうイリア」
イリアの頰は大粒の涙が流れ顔がくしゃくしゃになる程泣いていた。
おれはイリアを抱き寄せなるべく優しく背中をさすってやる。
「イリア、何かおれにしてほしいことはあるか?我慢なんていらないからな」
「じゃあおにいさん、私にまたキスして...ほしい...」
顔はすでに真っ赤で幼いながらとても煽情的だ。
おれはイリアの透き通るような白くの長い前髪を搔きあげイリアの唇に自分のを重ねた。
「んっ...ふむっ...んんっ...」
イリアの口から微かに嬌声が上がる。
初めてした時は舌も入れたが今はただ互いの唇が触れるだけのキス。
これで十分というかすでに理性が危ない。
性行為どころか自慰行為もしばらくだ。
これ以上したら理性が吹っ飛んでイリアを襲ってしまう。
だが、この辺でやめないとという願いは叶わなかった。
「おにいさん、なんでかな、体が熱いの」