「んん...」
イリアとまぐわって数時間後、さすがに旅の疲れもあってすぐに眠ったおれだったが、若干の寝苦しさから目を覚ました。
「あれ、おにいさん、起こしちゃった?」
「あ...あぁ...今何時だ...」
「ごめんね...起こさないように気を付けてたんだけど」
そういうイリアは先程の行為の後何も着なかったようで、大切な部分含め全てがさらけ出されている状態。
恥ずかしげもなく見せつけられると反応に困るんだが...。
「それでこんな時間にどうした?」
「えっと...ちょっと川まで...」
「...?」
おれが追求するとようやく恥ずかしさが戻ったのか若干もじもじと太ももを擦り合わせながら顔を背けた。
「イリア?」
「...っこ...」
「え?」
顔を真っ赤にして下を向いてしまったイリアにおれははてなマークを頭の上に浮かべた。
とりあえず一旦体を起こしてイリアに向き直る。
「だからおしっこ!女の子にこんなこと言わせないでっ!」
「えっ、あ...ごめん...」
「うぅ...だからちょっと川まで行ってくるっ」
「まって...おれも行くよ」
月明かりに照らされて川辺も明るいとはいえこんな真夜中に女の子ひとり外に出す訳には行かない。
「わ、私のおしっこ見たいの!?」
「ちがっ、おれもしとこうかな...」
「そっか...でもやっぱりおしっこは見ないで!」
さすがに女の子のおしょんをそばで見たいなんて趣味は持ち合わせてないからな...。
でもやはりなるべく近くにいるべきだろう。
「わかったわかった、見ないように後ろ向いてるから」
「そ、それも恥ずかしいんだけど...」
まだ不満がありそうなイリアに付き添って川辺まで来る。
しばらくうなったり小声でぶつぶついうのが聞こえて来た後にやがて静かになった。
「おにいさん...やっぱり遠く行かない?」
「流石に真夜中にこんなとこひとりで居させられないよ」
「私だって精霊だしおにいさんより平気だと思う」
「ちゃんと後ろ向いてるから早く済ませてくれ」
うぅ...と唸りながら観念したのか背後でイリアがしゃがむ気配がした。
「音とか...」なんていう呟きと同時にチョロチョロと水面におしっこが落ちる音が聞こえ始める。
もしかしておれが中に出した精液も一緒に流れるのか?
「おにいさん...終わったよ...」
「じゃあとりあえずテント戻るか」
「おにいさんはしないの?」
「テントまで送ってからまた来るよ」
そういうと一瞬ハテナを頭にうかべてこてんと頭を倒したイリアが、すぐに顔をにやけさせた。
「もしかしておにいさん、私のおしっこの音近くで聞いといて自分は私がいると恥ずかしいとか言わないよね?」
「え?」
「私すごく恥ずかしかったんだよ?おにいさんもはやくしようね!」
「それは...」
そう言ってイリアは近くの大きめの岩に腰掛けて膝に肘を乗せてその手に顎を乗せてにんまり顔でこちらを見つめた。
「あのさ...おれ一応見なかったよね?」
「え〜、見てたかもしれないし?」
「イリア...お前そんなキャラだっけ?」
「おにいさんにあんなにされちゃったからかな〜!」
全く動くつもりも諦めるつもりもないイリアに観念しておれはせめて背中を向けて尿意を放ったのだった。
ーーーーーーーー
さて、真夜中のおしょんイベントがあったわけだけどそのあとはすぐに二人とも夢の世界に落ちた。
次に目を覚ましたのはそれから再び数時間後、既に太陽が真上になろうとしていた頃だった。
「ねむ...イリア...起きろ〜...」
「むぅ...苦しぃ...」
「なんだ...すげぇ苦しぃ...」
おれとイリアは謎の寝苦しさと重さでようやっと夢の世界から目覚めた。
テントの中とはいえ射し込む太陽光が眩しくて眠気眼が開くことは無い。
手探りで重さの原因を探るようにおれとイリアの間に乗っかった何かを触った。
ふにゅん...
「んっ...」
ーえっ?
おれは今ものすごく柔らかい女の子らしい部分のような場所に触れたような気がするのだが...気のせいか?
でも触ったと同時に若干悩ましい声まで聞こえてきたということは...イリアの胸に触れてしまったのだろうか?
でもイリアがのしかかってる訳では無いと思う。
であればこれは...。
「くっそ...まぶしい...」
ようやく日に慣れ始めて重いまぶたが開く。
おれとイリアの上に乗っかっているのはやはり人のようで、イリアではなかった。
横を見ればイリアも寝床にされている側だった。
顔は見えないが黄色の髪に大きなリボンをしたすっぽんぽんの女の子が寝っ転がっている。
「えっ?」
だれ?そしてなぜ裸なのだ。
「おい、イリア、起きろ」
「うぅん...おはよぉ...」
「おはよう。で、イリア...この子に見覚えは」
「えぇ...わかんない...」
眠そうな声でぼそぼそっと呟いたイリア。
起き上がる時にそのまま頭が落ちるのもちょっと考えものだからそっと体を支えてやって俺が寝ていた枕に頭を乗せてやる
「おーい、お前も起きろ〜」
よく見れば身長こそイリアと変わらないくらいなのだがイリアより控えめな胸部に、イリアよりあどけない寝顔。
イリアがいわゆるロリ巨乳ならこの子は正真正銘のロリと言うやつか...。
「って...あれ...このリボンにこの髪色...」
「大妖怪...」
「おにいさんが言ってた人喰い妖怪じゃない...?」
「だよな...イリア、一旦外に出よう。それからお前は服を着ろ!」
慌ててイリアを連れてテントの外に出る。
イリアに急いで服を着させていつでも戦闘できるように身支度だけ済ませて再びテント野中を覗く。
「すぅ...すぅ...」
「起きないな...」
「起きないね...」
このままこっそりリボンだけ取ることは可能だろうか?
有理沙が言うにはこのリボンがこの妖怪の力を封じこめているらしいのでかなり心配はあるが...結局はこれを持ち帰らなければならないわけで...。
「んぅ...」
なんて考えてるうちにようやくお目覚めになるのか人喰い妖怪が眠そうに瞼を開け始めた。
「イリア」
「うん」
おれは先日有理紗にセットしてもらった魔道具に意識を向ける。
イリアと契約して二人のつながりとして貰ったこの宝石には守護魔石と念動魔石から得られる魔法を保存してある。
さらに珍しいものを見れたお礼としていくつか戦闘向きの魔法を保存してもらっている。
魔道具が魔導書よりも優れる点はふたつ。
まず魔導書は魔法発動に魔法の保存されたページを開き、スペルを詠唱する必要がある。
それに対して魔道具は念じるだけでその魔法を引き出すことが出来るのだ。
そして最大の利点は契約した精霊も同じように魔法を行使することが出来ることだ。
これは元々精霊が使える魔法が契約者も同様に使えるだけでなく、それぞれが使える魔法、魔道具に保存した魔法を二人とも使えるようになるのだ。
戦闘において詠唱を必要とせず念じるだけで魔法を行使できるだけでも強いのに、保存した魔法、それぞれの持つ魔法、精霊固有の魔法を使えるようになるのは言ってしまえばチートだ。
そもそもこの世界の住人ではないのだからこれだけ優れているのも納得が行くが、これはみんな欲しがるよなぁ。
(イリア...)
横目に臨戦態勢のイリアを見る。
人喰い妖怪をしっかりと見据えていつでも魔法を放てるようにイリアの周りを魔力が満ちているのを感じる。
「んん...っ...なんなのだ、この魔力...」
イリアが露骨に魔力を纏いすぎたのかそれを察した妖怪が慌てて飛び起きた。
ちなみにすっぽんぽんを隠すつもりは無いらしく恥ずかしげもなく胸部も股の間も丸見えになっている。
まあそんなことは今は気にすることではない。
これが平和な出会いならばまじまじと見つめてしまうかもしれないが、不幸なことに今は命の危険でもあるのだ。
「イリア、来るぞ」
「うん...」
「わ、わたしは戦う気なんてないよ...」
「へ...?」
イリアを見るなり顔を青くして手をぶんぶんしながら戦う意思がないことを訴える妖怪。
「わたしはルーミア。人喰いなんて言われているけど、あなた達を食べる気なんてないよ」
隣のイリアからも殺気が消えるのを感じる。
噂される程の驚異では無いのか?
一応最大限の警戒はしつつルーミアのことを探ってみるか。
「ルーミアはどうしてここにいたんだ?」
「散歩してたら楽しそうなことしてるあんた達を見つけたの、だから同じように寝たら楽しいかなーって」
「な、なるほど...」
「それって昨日の全部見てた...ってこと...?」
隣のイリアがみるみる茹でダコのように真っ赤になっていく。
まあ...見られてたってことだよな。
「それであなた達はどうしてこんなところに来たの?」
「あぁ...実は...」
おれはここに来た経緯と目的をルーミアに話した。
戦う意思はないようだがなるべく刺激しないように気をつけたつもりだ。
ちなみにイリアは既に話したことだったのもあってか長話の間近くの岩に腰かけていた。
魔力は軽く集めていたみたいだが。
「ふぅん...つまりウタは結婚するためにこのリボンが欲しいわけね」
「まあ...そういうことになるな...」
「わたしは別にあげてもいいんだけど...これ取れないのよね」
「取れない?」
ルーミアは頷いて続けた。
どうやらルーミアが言うには遠い昔、ルーミアが大妖怪と言われるにふさわしい力を持っていた頃、霊力のある人間に封印されたとか何とか。
頭のリボンはただの髪飾りではなくルーミア自身の力を封印したものらしい。
有理紗の説明通りなのでおそらくらまちがいないだろう。
「つまりそのリボンは外せないのか」
「そういうこと、でもウタなら外せるかもね」
「?」
「わたしはずっと独りだったから...誰かに外してもらうなんてしてないから」
確かにそれなら外せるかもしれない。
けれどもしもルーミアが暴走でもしたら?
大妖怪として恐れられた妖怪を抑えるほどおれたちは強くないと思う。
それは危険すぎるか。
「いや、それはやめておくよ。暴走でもされたらかなわない」
「だよね〜、じゃあわたしがついて行ってあげる」
「へ?」
「だってリボンがあればいいならわたしがいても問題ないでしょ?」
「ま、まあ...」
「久しぶりに人間の街も行きたいし連れてってよ。ちゃんとリボンとして輝夜姫?の所に行くから」
リボンとしてかぐやの元に行く代わりに人間の里に連れて行けという。
見る限り無力なこの状態なら問題は無いか...。
リボンが本物である何よりの証拠にもなるから願ったり叶ったりだが...人間からしたらさすがに恐ろしいだろうか。
まあなんとかなるか。
「わかった、一緒に来てくれるか?ルーミア」
「うん」
「むぅ...」
ニコッと笑っておれが差し出した手をぎゅっと握るルーミア。
イリアが少しムッとして横から手を握ってくる。
「ルーミア、とりあえず服を着てくれるか?目に毒だ」
「あ、うん、わかった...あ、そうだ...」
「ん?」
「あなたは食べられる人間?」
「は?」
ニコッと笑いながら思わず耳を疑うようなことを口にした。
やはり人を喰う妖怪なのか?
「うそうそ、冗談だよ〜。私の持ちネタなのに〜」
「そ、そういうことかよ...びっくりした」
「ごめんね?」
「あ、ああ...イリアも臨戦態勢にならなくて大丈夫だよ...」
大丈夫だよな...?
もう存在すら忘れそうになっていた頃にたまたま思い出して読み返してみたら思ったより面白くて加筆修正もしたいところですが、とりあえず次の話を更新します!
奇跡なのか?奇跡だな!
2年も空けたのでさすがに文体やキャラの細かい部分が少し変わってしまってるかもしれませんが気になった部分はコメントなどで教えていただけると幸いです。
追記:ノクターンでの更新の予定はないのでこちらだけで密かに更新していく予定です