「じ、邪魔をしたね、私は疲れたし寝ることにするよ」
「・・・ちょちょちょちょ、まてまて」
「お気遣いなく、ほら、続きしなよ」
「いらない気遣いだ」
「そうなのかい?これから夜の営みだったんだろ?」
「...」
バレた以上説明しなきゃいけないんだが妹紅はほぼ機能停止状態で布団に顔を埋めている。
俺は俺でかなりテンパっている。
「あぁ、その通りなんだが冷めちまったし妹紅もこんなんだから」
「そうかい、それにしても詠くんも大胆だねぇ、この短期間でそんな関係まで進むなんて」
「ま、まぁそうだな」
「...お父様、私が悪いんです」
布団に顔を埋めていた妹紅が顔を上げる。
妹紅は不比等の考えを知らないのでこのような行動をしてしまったことに罪悪感があるらしい。
「私が...」
「妹紅がどうしたんだい?」
半泣きの妹紅をよそに少しニヤつきながら問い詰めようとする不比等。
こいつは本当に嫌なやつだ。
「...私が夜這いしたんです」
「妹紅が夜這い?詠くんの方からではなく妹紅が?」
「私です、私が悪いんです、だから、、、詠は悪くないんです」
頰には涙が流れ端正な顔は崩れていた。
それを楽しんでいるのか不比等は続ける。
「そのあと妹紅はどうしたんだい?」
「好きって伝えました。そのあとは朝までしました」
「そうか、この件は少し預かるしかないな」
「そろそろ教えてやれよ不比等」
妹紅の顔が絶望に染まりかけていたので助け舟を出した。
ここまで来てやっと助け舟を出したおれも不比等と同じ人種なのかもしれない。
泣きじゃくっている妹紅を抱き寄せ綺麗な髪を撫でてやる。
「いやぁ、すまないすまない、ごめんよ妹紅」
「どういう、こと、ですか?」
「詠くんには妹紅と結婚して欲しかったんだ。私が不在のうちに進展させろって言ったんだけどまさか妹紅の方から歩み寄るなんて思ってなかったもんだから少しからかいたくなったのさ」
口があくとはこのことだろう。
ぽかーんと口を開けしばらく頭にはてなが浮かんでいたがやがて理解したようで泣いてた顔はすっかり怒りモードに変わっていた。
「あ、、お、お父様、、、ひどいですよ、」
「許してくれ妹紅」
「てことだから不比等はおれと妹紅の関係を咎めるつもりはないらしいぞ」
「詠くんも知ってたんだ。あとでお仕置きだよ。」
「こ、怖いよ妹紅さん?」
なぜか怒りの的がこちらに来た。
今にも角が生えそうだがそんな怒り顔も可愛いの一言でまとめられる。
「はっはっはっはっ、妹紅がそんな顔をするようになるとは、詠くんには本当に感謝しないとねえ」
「お父様も許しませんから」
「か、勘弁してくれよまったく」
「ひどいのはお父様のほうです!」
しばらくこの状況が続く。
不比等が今後のことは明日また話そうと切り出しこの場はお開きとなった。
妹紅はこのまま布団に居座っていたがお互いもうヤる気はなくなっていた。
寄り添いながら軽いキスを交わし、眠りについた。
侍女たちはおれたちの夜の行為を知っているのでここ数日汚れた布団の回収にやってくる。
今日はしなかったのでやって来た侍女たちが驚きを隠せていなかったが、不比等にバレたことを話すとくすくすと笑っていた。
しばらくして妹紅も目を覚まし朝食となった。
まだまだ気まずい空気だったが不比等はいつになくご機嫌だった。
「詠くんも妹紅も何暗い顔してるんだ、今日はめでたいんだ、赤飯でも用意させよう」
「妹紅はまだ昨日のことを怒ってるんじゃないか?」
「お父様の分も含めて詠くんにお仕置きで許します」
「なぜ!?」
「いやぁ、すまないなぁ詠くん、私の分も含めてお仕置きされといてくれ」
「お前もふざけんなよ、、、」
なかなか嫌な立場になってしまった気がするが妹紅はだいぶ元気になったようで良かった。
だがそんな妹紅の機嫌はあっという間に崩れることとなる。
「ところで詠くん、かぐや姫という名前を聞いたことがあるかい?」
「あの竹取物語のことか?」
「竹取物語という名前でしっているのだな?」
「あ、あぁ、おれがよく知る童話だ」
「おそらく今のこの状況を表した話なんだろうな」
竹取物語といえば日本に伝わる同様の一つ。
それが今の状況を表しているとなるとおれはタイムスリップしたと考えて間違いなかったようだ。
「それでその竹取物語がどうしたんだ?」
「実は輝夜姫が京に来ていてね、貴族どもは皆婚約するために努力しているんだよ」
「貴族ってことは不比等もか?」
「それはもちろんさ、妻の人数に上限はない。それに輝夜姫は今や帝すらも動かしてしまうような大物だ、藤原家に取り込めれば藤原家の力も強まるというもの」
「意外に考えてるんだな、それで本音は?」
「可愛いから結婚したい」
「お父様クズってやつですね」
「それは傷つくよ、、、」
なぜ本音を言ったのか意味がわからないが妹紅に切り捨てられてしゅんとなる不比等。
ー帝も動かす、か。おれの知る竹取物語は帝と恋するんではなかったか?
「だが輝夜姫は婚約する条件に試練を出してくるんだよ、私も蓬莱の玉の枝を取って来いとのことだ」
「そりゃ大変だな、それでその話がおれと関係あるのか?」
「実は帝が輝夜姫のことを狙っているみたいでね、妹紅と婚約するに至った君に頼み事だそうだ」
「まて、なんで帝はおれたちのことを知ってるんだ?会ったことないし仮に不比等が話したとしても不比等が知ったのは昨日だぞ」
「帝の近くにかなり腕利きの占い師がいてな、君たちのことが占えたんだと、それで要項だけ私のとこに送りつけて来たんだよ」
不比等は着物の袖から綺麗に畳まれた紙をとりだす。
綺麗な筆記体で書かれているがおれには読めない。
「あぁ、読めないか、簡単にまとめるとこの京で輝夜と並ぶと言われる美貌の持ち主である妹紅と婚約するほどの君に輝夜を惚れさせて来いって話だ。」
「は、はぁ??無理だろ、まず第一おれには妹紅がいる。それにおれが惚れさせられたとしても帝はどうするんだよ」
「さっきも言ったように一夫多妻など普通だ。妹紅は嫌がるかもしれんがね。帝の命令だが惚れさせたら詠くんは輝夜姫を振るんだよ。そこにかっこよく帝登場ってわけだ。」
「随分と自分勝手な帝だな」
「全くだよ、だけど帝の命令だ、詠くんは輝夜姫を惚れさせて来て欲しい。まあ、私としては振らんでいいから婚約して来いとでも言ってやりたいとこだ」
「帝のことはいいのかよ!」
色々突っ込みたいことはあるが今は置いておいておく。
ここで住まわしてもらってる以上帝の命令を受けた不比等の頼みを断ることはできない。
渋々を承諾するのであった。
隣を見ると口を膨らました妹紅がいたが。
「で、いつ会うんだ?」
「いつでもいいがほかの貴族に取られたらおしまいだからね、早めに行こう」
「明日は無理なのか?」
「明日か、良いだろう、私も同行しよう」
輝夜姫とは明日会うことになった。
その後は妹紅の不機嫌を直すためにキスしてやったり、混浴したり、一発やったりした。
ちなみに夜は不比等の要望通り赤飯が用意された。