※この作品はR-18です。

みゆき   作:もっち~!

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いなくなったアイツ

---達也---

 

「私とお兄様の間には、血縁関係はありません。種族も違います。精神的に兄妹であると思ってください」

 

白音さんは本来の姿になり、淡々と話し始めた。地味系な少女姿だった彼女は、妖艶な大人の女性へと変化し、頭には猫のような耳が生え、腰の辺りには猫のような尻尾が生えた。

 

彼女の正体は猫しょうという物の怪だそうだ。生き別れた姉の苦境を助けてくれたシュウさんを、妹として一緒に暮らそうとしたらしい。だけど…そのささやかな二人の夢は叶うことが無かったそうだ。愛に恵まれないのだろうか…彼は…

 

代羽周太郎として産まれた彼は、戦う術を持たずにいたそうだが、紡ぐようにたぐり寄せた縁を使い、徐々に戦う術を手に入れていった努力家であると言う。これまでにも数回、瀕死の怪我を負いながら、護りたい者を護り続けてきた歴戦の戦士だと。

 

「お兄様は心が折れない限り、戦い続けます。例え、器が壊れてもね」

 

「彼は何歳なんだ?」

 

「魂を手に入れてから一度も死んでいないので、確か…1兆年は超えているはずですよ」

 

何だ、その年数は…魂を手に入れて?魂の無い存在だったのか?

 

「私が出逢った時には、既に魂は持たれていました。なので、魂の無い頃は、どんな種族かはわかりません。でも、聞いた話では、その頃から護りたい者を護る為に行動していたそうです」

 

彼は産まれながらのガーディアンなのか?魂の無い存在…ゴーレム、リビングデッドくらいしか思い浮かばない。でも彼は人札だ。魂を手に入れて人間になったのだろう。

 

「彼はこの世界をどうしたんだ?」

 

「当初のガード対象は、達也さんと深雪さんだけでしたけど、お兄様の悪い病気が再発しているようなので、エリカさんもだと思います」

 

悪い病気?

 

「達也さんにはわかると思いますが、好きな女性に、好きと言えない病気です♪これが再発すると、その女性には手を出さないばかりか、悪態もつくと思います。とにかく距離を広げて、遠くから護る感じです。ふふふ」

 

そうだ。エリカに対して、そんな感じだ。そうか、エリカが好きなのか…深雪よりも

 

「それは違います。深雪さんの方が大切ですよ。好きなのと大切なのは別…お兄様は恋愛関係が面倒な人なんです。まったくもってね」

 

愛する心を封じられた後遺症なんだろうな。俺はまだ恵まれている。愛することは出来るのだから。

 

-------

 

彼がいなくなって1週間。いなくなっても、混乱は無い。彼の記憶が残っているのは、俺と十文字先輩、四葉家、七草家、十文字家の3家の当主、闇雲家、鬼門家、神代家の本家全員だと白音さんが教えてくれた。

 

残りの者の記憶は、違う者へ置き換えられていた。深雪は俺に、エリカはレオに、美月は幹比古に、七草先輩は服部先輩に。その結果、深雪は俺に甘えまくり、エリカはレオと、美月は幹比古と、七草先輩は服部先輩と付き合い始めた。ほのかと雫は、よく解らない。もしかしたら、書き換わっていないのかもしれない。

 

何事も無く過ごしていた俺の前に、知らない女性が現れた。耳は横に尖り、髪の毛は緑色で、威厳さを感じる女性だ。

 

「司波達也君だね」

 

彼女は俺の家に突然、現れた。彼の仲間だと思うのだが。

 

「そうです。あなたは?」

 

「チームシュウの者で、今回の案件で、この地での副官をすることになったリヴェリア・リヨス・アールヴだ」

 

チームシュウ?

 

「シュウ・ヨハネ・鬼門が率いるチーム名だ。私は普段前線には出ないのだが、今回の相手は団長と相性が悪いので、私に白羽の矢が立ったのだ」

 

シュウさんのチームメンバー?

 

「団長は意識が目覚めたので、来週には復帰できると思う」

 

来週に戻ってくるのか。

 

「それでだ。学校内でのガードを厚くする事にした。君達のクラスへ編入生を送り込む」

 

ガード?

 

「団長と団長の護りたい者達のガードだよ。おい、出て来い!」

 

彼女は俺の心の内が読めるようだ。

 

「あぁ、チームシュウのメンバーのほとんどの者は、読心できる。必須科目だしな」

 

必須科目?疑問に思うワードが次々に出てくる。彼女の言葉を受けて、3名の女性が現れた。

 

「紹介しておく。青髪はゼノヴィア・クァルタ、聖剣使いの聖戦士だ。金髪はアーシア・アルジェント、回復役の聖戦士だ。黒髪は結城アスナ、回復役の精霊使いである剣士だ。以上3名をチームから派遣する。コイツらと連携して、団長達を護ってくれ」

 

ゼノヴィアとアーシアの目付きが妖しい。これは?

 

「あぁ、そうだ。注意事項を言って置かないとな。ゼノヴィアとアーシアは、性癖が両刀だ。なるべく、二人でか、団長絡みで済ませるが、喰われないように注意した方が良い」

 

性癖が両刀?それって、男でも女でも性交対象ってことか?

 

「おい、彼はダメだ。団長の躾対象になる。注意しろよ」

 

「「了解♪」」

 

両刀遣いの二人は、深雪を見つけるや、深雪の部屋へと入っていった。

 

「彼女のガス抜き要員を兼ねている。君も女性相手なら、抵抗は少ないだろ?」

 

俺が甘えすぎる深雪の対処に困っていたのを、知っていたようだ。助かることは助かるが…

 

--------

 

1週間後、亘は復帰し、先日の3名が転入してきた。エリカ達は亘も転入生だと思っている。彼はエリカ達との接触を避けているようだ。

 

「どうするんですか?」

 

「どうもしない。モブであるならモブでいい。僕は僕に出来ることを、全力でするだけだよ」

 

その言葉に頷く、彼の仲間達。

 

「それより、達也。十文字と話がしたい。真由美達の記憶に、僕のことが無いから、生徒会室には行けない。機会を作って来れないか?」

 

「わかりました。今夜でも、シュウさんの家にお連れします」

 

「頼むよ」

 

「ねぇ、私、千葉エリカ。エリカでいいよ。コイツは私の彼でレオだ」

 

転入した女子に自己紹介をしているエリカ達。彼らにはシュウさんの姿が見えていないみたいだ。

 

「記憶で認識できていないんだ。見えていても、認識は出来ていないんだ。まぁ、それで構わない。護りたい者が護れれば良いからね」

 

そうだった。心の内は丸見えなんだ。なので口に出さなくても、会話が成立する。

 

-------

 

夜、シュウさんの家に、十文字先輩をお連れした。

 

「元気そうだな、十文字」

 

「克人でいいぞ。神代」

 

「亘でいいよ。わざわざ、すまない。まだ体力が完全に戻っていないんだ」

 

「そうか。お前に対するみんなの記憶は、いつ戻るんだ?」

 

「キーになる出来事に接した時だ。それはそれぞれが設定しているので、僕でも分からない。でも、このままでも良い。達也にも言ったけど、護りたい者が護れれば、良いんだよ」

 

「アレはお前がしたのか?」

 

「そうだよ。警告はした。次は無いと。でも、彼女は警告を無視した。克人の記憶を残したのは、警告を込めてだ。僕はやると言ったらやる鬼畜だからね」

 

鬼畜…そうは思えない。

 

「達也、種族的にも僕は鬼畜だよ。だから、そう呼ばれるのに抵抗が無いんだ」

 

「種族的に鬼畜とは?」

 

十文字先輩はデリケートな問題に踏み込んだ。

 

「う~ん…克人だけならいいかな。他言は禁止だ。克人は約束を守る子だから、教えてあげる。僕は天使と鬼のハーフだった化け物だよ」

 

彼は真の姿に変異した。彼の身体からは神々しい光があふれ出ている。俺と十文字先輩は、本能で彼に跪いた。いや、彼の仲間達もだ。

 

「まぁ、こんな姿だよ、本来の僕は。でも、これだと気配とか消えないから」

 

亘の姿に戻った彼。

 

「まさか…そうだったのか…」

 

真実を知り、何かを納得しているような先輩。

 

「自慢することでも無いので、内緒でね」

 

「次は何があります?」

 

「九校戦にノーヘッドドラゴンが絡んで来るはず。ここでノーヘッドドラゴンを一掃出来たら良いなっと」

 

「先輩、亘達も九校戦に出られませんか?」

 

「う~ん。みんなの記憶に無いからな…実績とか信頼性とかまるで無い。現状では推薦すら出来無い」

 

「僕達は裏でガードします。克人と達也の部屋を拠点に活動するけど良いかな?」

 

「問題は無い。予備の部屋を2つくらい、亘達に回す。それも使ってくれ」

 

 

 

 

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