---シュウ---
キャッスルドランにある聖堂に戻った。祭壇には棺が置かれていて、そこにエリカが横たわっていた。
「ダメだったか?」
棺の傍らにいたアーシアに訊いた。
「心臓の破損が酷くて…すみません…」
アーシアが力無く蹲った。棺の中のエリカは延命処置はしているが、回復させる手立てが見付からない。延命は可能である。ここで半永久的に延命も出来るが…植物人間と変わらない。それでは…
「僕の能力で」
達也が声を掛けてきた。達也の能力は『再生』で、人、物に関わらず、24時間以内の状態に戻すことで、再生出来るのだが、達也には怪我を負ってから再生するまでの間の痛みや苦しみが150倍速で襲い掛かるのだった。
「達也の負担が、大きいからダメだ」
かと言って、僕の『創造』は、人間の心臓だけは造れなかった。全身を含めての創造なら出来るが、現状のエリカは心臓だけが無い状態なので、使えない能力である。これは心が無い僕へのハンデなのかもしれない。ハートの無い者は心臓創造は無理なのだろう。
「では、どうするんですか?」
深雪に尋ねられた。残るは…現在、生命維持装置として使っている僕の駒を、心臓の代わりに埋め込む。その場合、エリカは人間では無くなる。僕の駒を埋め込むと転生ドラゴンがベース種族になってしまうのだ。
悩みながら、僕は僕の駒を手にした。これしか無いかぁ…駒を見つめてそう思った。意を決して、駒を改造、心臓の役目も持たせるようにしていく。そして、エリカにそれを正式に埋め込んだ。
「エリカと一体になる。彼女の苦しみや痛みを取り除く。後はフィン、頼むぞ」
この城をまかせている小人族のフィンに指示を出した。頷くフィン。それを確認して、僕とエリカは、全裸となり、交わる事で1つになり、棺に収まられた。
エリカの身体は冷たい。低温保存していたから。エリカの身体は生きる為の最低限の機能しか機能していなかった。生命維持装置は、暫定的な物で、色々な臓器を正常に機能させる程のパワーは無いのだ。
今は、正式に埋め込んだ人工心臓により、エリカの様々な臓器が正常に機能している。へたっていた乳房に張りが戻っていく。性的刺激を受け付けていなかった神経組織が、受け入れ始め、クリが反応していく。乳首にも張りが出て来た。だけど、エリカの中は湿り気が少ない。体液の製造が間に合っていないのか?
エリカの唇の僕の唇を重ね、口移しで僕の唾液を流し込んでいく。ラインを伸ばして、お尻の穴から侵入して、ダイレクトに大腸へ水分を補給させていく。まだ、足り無いかな?
心臓をチェックする。水分が足り無いせいか、血液がスムーズに流れていかない。造血術を駆使して、エリカの血液を複製して、徐々に血流量を増やしていく。
僕の性欲器官は、エリカの体内で癒やしと浄化をしていく。死への恐怖を消し去り、死への痛みを和らげ、死んだ記憶を曖昧にしていく。
そして時は過ぎていく…
---エリカ---
目が覚めると、知らない部屋にいた。何故か亘の上にいて全裸だ…顔と耳がかぁ~っと熱くなっていく。ここはどこだ?なんで、亘とこんな状態に?亘の胸板が、勃起した乳首を刺激して…恥丘の茂みに潤いを与えて行く。茂みの奥の秘密の洞窟には、何故か亘が侵入している。コイツ、寝ていても勃起しているのか?
亘から離れないように注意しながら、今いる部屋を見回す。質素なベッドの上にいる私と亘。部屋には机と本棚があり、床には書類の束がいくつも置いてあった。窓から見える空は、見た事の無い色だ。どこに連れ込まれたんだ?亘を揺するが起きる気配はまったく無い。なのに、時折り乳房を揉んでくる。何だ、こいつ?
「お目覚めかな?エリカさん」
突然、知らない人の声がした。まるで気配を感じなかったので、驚く私。プチ膣痙攣…バレないようにしよう。恥ずかしいし。
「あぁ、驚かしてしまいましたね。ごめんなさい。膣痙攣しましたか?」
グリーンブロンドで、長く艶やかな髪の毛。胸は大きいが、形も良さそうである。歳は私よりも上のようだ。そして、私の恥ずかしい秘め事はバレていた。彼女が手を翳すと、痙攣は収まっていった。治癒能力持ちなのかな?
「あなたは?」
相手の名前を訊いた。
「私は彼の第3夫人になる、シーグヴァイラ・アガレス・鬼門です。ヴァイラと呼んでね」
亘の第3夫人?はぁ~?コイツ、一夫多妻なのか?ハーレム王なのか?暢気そうに、目の前で寝ている亘を睨む。
「ハーレムと言えば、ハーレムだけど、私達は彼の性の奴隷では、無いわよ」
笑顔で応対してくれるヴァイラさん。
「ここは?」
「彼が統轄する第13宇宙にある異種族共存が可能な星。その星の冥界と呼ばれる悪魔と堕天使が統轄する世界です」
亘が統轄する宇宙?
「彼の本当の正体を知らされていないのね。ふふふ」
亘の本当の正体?はて?
「かって『神殺し』と畏怖されていた神ですよ。今は、第13宇宙を統轄する絶対神だけどね♪」
えぇぇぇぇ~!亘が神様だって?信じられない。まったく神々しさを感じない、私の下で寝ている亘。
「あぁ、普段は神々しさは纏っていないわ。そんなオーラに真面に触れれば、どんな種族の生き物でも焼け死ぬし。そうね…普段はエロいオーラかな」
エロい?亘自体をエロいと感じたことが無い。でも、現状、エロい行為をされているような…
「それは普段、エリカさんには、そういう面を見せないように、していたんじゃない?」
私には?なんで?
「あなたが大切だから…彼は愛を知らない不器用者なの。そもそも愛するって、どういうことかも知らないし」
えっ…なんだ、それは?愛を知らない?
「彼にあるのは、好き、嫌いじゃない、大切な辺りかな?」
あぁ、確かに嫌いじゃ無いって言われたような。
「この世界で、彼について、学んでいってくださいね。取り扱いに注意を要するから」
取り扱い?こいつは、精密機器なのか?それとも危険物なのか?
---千葉寿和---
義弟のおかげで、九校戦に出場していた一高の宿舎を襲った、主犯格を逮捕出来た。しかし、取り調べで全面否認。婚約者を奪い、結婚した義弟が原因であると供述している。魔法師協会へ確認しに行くと、その逆で、一条将輝が既婚者を婚約者と偽ったらしい。
エリカのことも気になるし、義弟の供述も必要なので、彼の家に行くと留守だった。まだ、戻って来ないのか?ふと、隣の家の表札を見ると『司波』とある。呼び鈴を押してみた。司波って四葉家の次期当主の姓だよな、って思っていると、ドアが開いた。
「隣の家の亘君に用があったんだけど、彼はどうしているか、知らないかな?」
なかなかの眼力の青年が、俺を見つめている。
「失礼ですが、どなたですか?」
あぁ、そうだな、名乗らないと、不審者扱いだな。警察手帳を提示しながら、名乗った。
「亘君と婚姻したエリカの兄で、千葉寿和といいます」
「エリカのお兄様ですか」
うん?エリカを知っているようだ。
「どうぞ、お上がりください」
家の中に招き入れられた。
-------
リビングに通され、ソファに座った。
「実は俺の妹も、戻って来ていないのです。亘とエリカと共に、いるはずなんですけど」
エリカと共にいるのか…
「どこにいるのか、わかるかな?」
「わからないんです。連絡の取りようが無いし…隣の家は襲撃を恐れて、防御形態に移行して、俺でも接触が出来ないようです」
防御形態?
「彼は何者なんだ?数字付きでは無いんだろ?」
「知らないで嫁がせたんですか?」
彼は驚いている。なんでだ?
「彼には色々と親身に接して貰っていたから…まぁ、信用しきっていたというか…彼はヤバい系なのか?」
入籍後に確認はマズいなぁ。一応、警察官なんだし。ヤバい系だったら、警察を辞めないとなぁ。
「いえ、信用出来る人物です。それは保証が出来ますが…そうですか、彼の事を知らないのですか」
何か問題ある人物のように聞こえる。段々と、妹の事が心配になってきた。
「エリカは…無事だよな?」
「…覚悟はしておいた方が良いです。俺も妹の事…覚悟をしておこうと思っています」
覚悟…なんの覚悟だ…
「3人のいた部屋…奇襲されたのは明白です。ドアを破壊されていたし…」
まさか、あの部屋にいたのか…エリカは…見るも無惨な襲撃された部屋。調度品すら見る影もない状態だった。しかし、死体のあった痕跡は無かった。
「死体のあった痕跡は無かった。だから、彼が緊急脱出していったのだと、予想は付きます。応戦していたら、あそこまで無残な部屋には、成らなかったし」
緊急脱出…応戦する暇の無い状況…九校戦での彼の戦いを考えると、確かに反撃するよりも、緊急脱出せざる負えない状況だったのは、予想が出来る。それは、一緒にいた誰かの生命に危機がある場合…
「亘の話では、カーディナル・ジョージの加重魔法を奇襲で真面に喰らったそうです」
真面に…エリカ…大丈夫だよな?
「魔法抵抗力の高い俺の妹ですら、ショック状態になったそうです」
魔法抵抗力…エリカ…あいつには無い…ダメなのか…
「最悪、亘の命と引き換えになるんだろうな…」
最悪…彼の回復能力…それが頼みの綱なのか…エリカ…
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司波達也君の家を出て、弟へ連絡をした。
「エリカ…ダメかもしれない。覚悟をしておいてくれ…」
受話器の向こう側から、弟の嗚咽が聞こえる。俺は…俺も押さえていた物が、一気に爆発した。貰い涙派では無いんだけど…
「エリカぁぁぁぁぁ~!」
涙が止まらない。くそっ…
---シュウ---
エリカを、妻達が経営、運営しているアウロス学園という学校へ預け、自分の部屋に籠もる。
何かがおかしい。将輝がカーディナル・ジョージに加重術を、心臓目がけて撃ち込めって命令するだろうか?暗殺作戦としたら完璧だ。僕ですら事前に準備していない限り、アレは防げないし。
この世界の将輝を呼び出して、考えを訊くことにした。
「加重術を心臓へ?殺し目的なら有りだけど…別世界の俺が、深雪さんと、その友達にはしないですよ。そもそもジョージの手を汚すような指示は、俺は出さない。やるなら、俺がします」
「そうだよな…で、考えたんだけど、主従が逆ってことは無いか?」
僕の抱いた仮定の話を、将輝にした。
「逆?ジョージが黒幕で、俺が傀儡ですか?う~ん…あいつに、何の得が有るんだ?」
そこなんだが、
「将輝の洗脳は難しいが、ジョージはどうだ?」
「う~ん…そうですね、俺より操作は、し易いかと思います。アイツは戦士では無く研究者ですから」
それが無理の無い結論だよな。問題はジョージの後ろに誰がいるかか…
「数字付き魔法師家系同士の抗争で得をするのは?」
「反魔法師団体ですかね…あとは、敵対関係にある勢力ですね」
1が4と1000に宣戦布告だと、1が不利だろうな。
「一条家と同盟、密約を結ぶとしたら、どこのナンバー・ファミリアだ?」
「オヤジと仲が割と良いのは、七草家か…」
たぬきオヤジか…9と10はこっちにいると思っていいだろう。
「将輝、ありがとう。参考になったよ」
「いえ、この世界を守護してもらっていますし」
将輝は帰り際に、小声でお願いを申し出た。この世界のジョージを、女にしてくれって…直ぐに叶えてあげた。僕がこの世界で、休養する3ヶ月の間限定で…