第一話
寒風吹きすさぶ北海を進む一隻の学園艦。その外見は、旧ソビエトのキエフ級重航空巡洋艦を思わせる。
数十隻ある学園艦の中でも上位に入るであろう巨大さを誇るその学園艦の側面には、
「
の文字が、鋏と定規をモチーフとした校章と共に大きく刻まれている。
プラウダ高校。国内最大規模のサンダース大学付属高校と肩を並べる名門校。
その生徒の気質は一様ではなく、本拠地である青森の朴訥さを残した者もいれば、まるで永久凍土を思わせるかのような鋭さを持ち合わせている者もいる。しかし、過酷な気候に鍛えられた強さを根底に備えている点については共通している。
その学園艦の中央部に重々しく聳えるプラウダ高校本校舎、その中には多くの教室以外にも様々な施設が存在する。クレムリンを思わせる巨大な会議室、「シベリア送り25ルーブル」の処罰の場として生徒たちに恐れられる地下教室などだ。
「お目覚めのようですね、同志ゴロドク。現在の状況は分かりますか?」
「……良ければ教えて頂けないでしょうか、同志ノンナ?」
そして彼、伍堂六郎──通称ゴロドクが椅子に拘束されている「自己批判室」もその一つであった。
窓も無い灰色の壁に椅子と、粗末な机。第三者が座るためのやや上質なソファ。壁の暖炉には火がくべられ、パチパチと音を立てつつ赤々と室内を照らしている。
「自己批判」と言えば聞こえは良いが、その実態は指導室──それも、教師から生徒にではなく、生徒から生徒への指導のために使われる部屋だ。
「全ての生徒は等しい価値と崇高な志を持つ同志であり、学内において平等である」というプラウダ高校の校訓において、先輩から後輩への叱咤や指導は表向き禁止されている。しかし、部活動などにおいてそういった指導が必要なのも事実である。
故に「生徒が自主的に自身を批判し、他の生徒の意見を求める場」という名目でこの部屋が存在する。暖炉の煙突すら複数層のフィルターによって完全防音を施され、カメラも設置されていないこの部屋の中で行われる事に関しては、教員側も一切不介入。場合によっては生意気な後輩を叩き潰す場として使われるという噂も絶たない、プラウダの生徒にとって恐怖の対象だ。
「(いやいや、本当に何で!?)」
「……分かりませんか?」
人に顔向けできない程には酷い顔はしていないが、といって眉目秀麗という程でも無い。
身長も170㎝には届かないし、体重も太りすぎでも痩せすぎでもない。
成績も中間やや上やや下を行き来する程度で、部活動もしていない帰宅部。
悪人めいた響きの名前とは裏腹に、学園艦内の仮住まいで一人暮らしを満喫する、ごく普通のプラウダ高校三年生。
それがゴロドクの全てであり、このまま浮き上がりも沈みもせずに卒業する筈であった。
──いや、今日の昼に“特別な事”はあったか。
「……同志カチューシャの事でしょうか、同志ノンナ?」
「人並みの理解力はあるようですね、話が早くて助かります」
ゴロドクの問いかけに彼女、プラウダ高校戦車道副隊長のノンナは答えた。
彼女の事はゴロドクも知っていた。世間的には戦車道は廃れつつある競技という印象が強いが、それはプラウダにおいては一致しない。優秀な人材と強力な戦車を併せ持つプラウダ戦車道は同校の看板のひとつであり、それ目当てで入学してくる少女もいる。
中でも昨年の全国大会で強豪・黒森峰を打ち破った隊長・カチューシャと副隊長・ノンナの存在感は別格だった。男性であるゴロドクにとって女子の競技である戦車道は話に聞く程度の認識だったが、それでも彼女らの事は知っていた程だ。
「(それにしても……本当に同じ歳か、この人?)」
そう思いつつ、ゴロドクは眼前に立つノンナを見上げた。
170㎝を裕に超える長身をダークグリーンの制服で包み、険しい表情でゴロドクを見下ろす姿は恐ろしく威圧的であったが、同時にそれは艶めかしくもあった。
防寒のために厚手の素材で作られた制服の上からでなおボディラインがくっきりと浮かび上がる身体は「締まる所は締まり、出る所は出ている」という陳腐な表現しかできないほど成熟した女性のそれで、後ろ手に手錠で拘束され、椅子に座らされているという現在の状況でなければ自分は既に勃起していただろう。ゴロドクはそう思った。
「そこまで理解が進んでいるのであれば、この状況には納得していただけると思いますが」
「いえ、逆に分からなくなりました。同志ノンナ」
「……そうですか」
率直に答えるゴロドクに、ノンナは怒りとも軽蔑とも取れない視線を向けると傍らの机の上に置かれたバインダーを取った。
「同志ゴロドク。貴方は二ヵ月前、迷子の猫の親を探す同志カチューシャと偶然に遭遇。これを手助けしましたね?」
「……は、はい(何で知ってるんだ、この人?)」
バインダーに視線を向けつつ言うノンナに、ゴロドクは内心で疑問に思いつつも答えた。
スーパーで夕飯を買った帰り、ゴロドクは迷い猫とおぼしき飼い猫を抱えて途方に暮れていた金髪の少女を見かけ、放っておく事も出来ずそれを手助けしたのは二ヵ月前の事だ。
正直なところ、それが“地吹雪”“小さな暴君”の異名を持つカチューシャであるとはこの時は全く気付かなかった。その時の雰囲気や外見などから、小学校高学年くらいと思ったから声をかけたのだ。
幸い、その猫はゴロドクの住むアパートの近所で幾度か見かけた猫だったため解決は容易だった。
飼い主の許に無事に戻れた猫の姿を見てカチューシャは本当に嬉しそうに顔をほころばせると、ゴロドクの視線が自分に向けられているのに気付いたのかハッと表情を引き締めてこう言った。
「あ、貴方なかなかやるじゃないの! また何かあったら、このカチューシャの補佐を務めなさい!」
それは「また何かあったら助けてね」の彼女なりの言い方だったのだろう。連絡先を交換したゴロドクは、それから探しものや迷子、校内のトラブルなどのお助けにカチューシャと共に幾度が走り回る事になった。
「不覚でした。猫を抱えてオロオロするカチューシャが余りに愛らしく、よもや貴方のような一般生徒に助けを求めるところまで追い詰めてしまうとは……」
「え?」
「何でもありません。そして同志ゴロドク、貴方は本日12時23分、校舎裏庭において同志カチューシャから交際の申し入れ、いわゆる“告白”を受けた。これを認めますね?」
「な、何でそれまで!?」
「……認めますね?」
そう問い詰めてくるノンナの視線は真っ直ぐにゴロドクの目を見据えている。ゴロドクは何とか誤魔化せないか言い訳を幾つか考えた後、それが彼女に通用しないであろう事を悟ると力なく答えた。
「……認めます、同志ノンナ。なあアンタ、もしかしてカチューシャの事を尾行」
「私が求めたのは情報の確認だけです。同志ゴロドク」
逆に問い返そうとするゴロドクの言葉を強引に打ち切り、ノンナはバインダーを置いた。
ノンナの発言は全て真実だった。校舎裏に呼び出され、また猫が木から降りられなくなったとかの解決かと思っていたゴロドクにカチューシャは顔を真っ赤にしつつ言った。
「わ、私と付き合いなさい! これは命令よ、ゴロドク!」
そう言う彼女が強気な態度の裏で自身の不安を懸命に押し隠そうとしている事が、ゴロドクにも伝わってきた。
彼女は“暴君”と呼ばれ、尊大な態度を他者にとることが多い。しかしそれはプラウダ戦車道隊長として部下に弱い姿を見せたくない彼女なりの示し方で、その内側は普通の、優しい少女なのだ。二月ほどの付き合いながら、ゴロドクにはそれが理解できた。
とはいえ、告白された事への戸惑いもあった。ゴロドクにとって彼女は身近な幼い少女みたいな存在であり、男女として交際する事に発想が及ばなかったからだ。
「どうしたの!? は、早く『
言葉上では強気な態度を崩さないものの、既にカチューシャは泣きそうな顔になっていた。拒否される事への不安を隠しきれなくなってきたのだ。
その健気な姿に、ゴロドクは僅かな迷いこそ残したが首を縦に振った。それがつい数時間前の事だ。
そして帰宅しようと靴箱に向かう前に、背後から何者かに眠らされ──今に至る。
確かに交際についての不安はあったが、こんな形で問題が発生するとはゴロドクにとっても完全に予想外だった。おそらく自分を眠らせたのは眼前のノンナか、その協力者だろう。
しかし──
「ま、待った! 確かに俺は彼女の告白を受けたけど、それとこんな目に合うのと何の関係があるんだ!? 彼女が戦車道の隊長だってのは俺も知ってるけど、だからって副隊長のアンタが口出しする事じゃないだろう!」
「……それが理解できない貴方だからこそ、こうして此処にお招きしたんです」
ゴロドクとしてはもっともな正論を言っている筈なのだが、ノンナはそれに表情を僅かにも変えずに淡々と答える。
どうも彼女との会話はいちいち噛み合わない。まるで話の前提から違うようだ。
何とか後ろ手の手錠の拘束を解けないかと腕を揺するゴロドクに、ノンナは言った。
「同志ゴロドク。いち生徒である貴方には理解し難いかもしれませんが、カチューシャ隊長は我々プラウダ戦車道にとって太陽であり、私たちを導く指導者であり、規範とすべき敬愛する先駆者なのです」
そう語るノンナの表情には僅かに赤みが差し、瞳には憧憬の念が浮かぶ。
彼女を尾行していたとしか思えない詳細な情報、そしてこの態度。それらから彼女がカチューシャに対してどのような感情を抱いているかをゴロドクが理解するのはさほど難しくはなかった。
「……嫉妬か」
「そんな安い表現を使わないで頂けますか?」
苦笑いで呟いたゴロドクに、即座に表情を戻しノンナは鋭く言った。
「大体分かってきた。つまり、俺に彼女と別れろって言うんだろ?」
「それだけでなく、プラウダから転校してカチューシャの前に二度と姿を現さないでほしい……というのが、私の本音です」
無表情のままノンナは物騒な事を平然と言った。彼女は“ブリザードのノンナ”の異名を持ち、カチューシャに信頼される一方で部下(後輩)からは鬼のように恐れられているとは聞いていた。しかし今こうして彼女と相対していると、“ブリザード”の二つ名が決して名前負けするものでない事がゴロドクにも理解できた。鋭利で冷たく、それでいて激しさを秘めている。正に激しい吹雪だ。
「言っておきますが、冗談とは思わないでください。貴方を傷つけずとも、転校を決めたくなるような気持ちにさせる事は容易です」
「……怖いね」
ゴロドクの頬を一筋の汗が流れる。
しかし、同時にゴロドクは違和感を覚えた。「本音では」と彼女は言った。つまり、自分を拘束したのには別の意図があるという事だ。
ノンナは椅子の前に腰を落とし、正面からゴロドクを見据えた。黒いタイツに包まれた脚と短めのスカートによって作られた隙間から、僅かに白いものが覗く。下着に意識を向けている場合ではないのだが、男の本能であろうか、ゴロドクは思わずそれを視線で追った。
「とはいえこの場合、カチューシャが悲しむという大きな問題があります。それは私の望むところではありません」
ゴロドクの視線に気づいていないのか、ノンナは変わらぬ口調で言った。
「つまり……付き合っていいって事か?」
「より具体的に言うならば在学中は清く正しい交際を行い、その後に卒業後、関係を自然消滅していただくのが最良と考えます」
「………」
「付き合うな」より更に無茶な事を言ってきた。
とはいえ、即座に危険な目に遭うという訳ではないらしい。ゴロドクは安堵の吐息をつくと、ノンナの瞳を見て言った。
「……分かったよ。それに従わないと、帰してくれないんだろ?」
「ご理解が早くて助かります。ですが……言葉だけでは、信用する事がこちらもできません」
「誓約書でも書けってのか?」
「いいえ」
ゴロドクの言葉に首を横に振ると、ノンナはおもむろにゴロドクの股間に手を伸ばした。ジッパーを摘まむとそれを引き下ろし、躊躇う事無くパンツの中に手を差し入れてくる。
「なっ、何を!?」
「男性の脳は股間と直結しており、一度劣情に襲われれば約束など意味を持たないと聞きます。無論そうなった場合、貴方を無傷で済ませる事はできませんが、カチューシャが傷付けられてからでは手遅れです」
「そ、そんな事ないって!」
「それが信用できません。なので……」
ノンナの指がゴロドクの肉棒を探り当てた。半ば勃起したそれを外に引き出し、包むように握る。
「……貴方がカチューシャと交際している期間、彼女に一切勃起する事がないよう、私が『処理』を行います」
「そんな無茶苦茶な……っ!」
椅子を揺らし抵抗しつつも、むくむくと肉棒はその固さを増しつつあった。状況はともかく、長身の美女に自身のペニスを握られているというだけで股間は熱を帯び、血を送り込んでくる。
「では、いきます」
そう淡々とノンナは言うと、手を動かし始めた。
「痛たたたたたっ!?」
思わずゴロドクは悲鳴をあげた。まるで戦車の車体をやすり掛けするような荒っぽい手つきで、握り具合の加減もなく手を上下させる。充血しかかっていた肉棒は逆にその固さを弱め、ノンナの手の中で萎んでゆく。
「ちょ、痛っ! 待った、痛いっ! ちょっと待って!」
「………?」
「あー……死ぬかと思った」
怪訝な表情を浮かべつつ、ノンナは素直に手を止める。生殖機能を失いかけた恐怖から解放され、ゴロドクは大きく息をついた。
「あの、同志ノンナ……いや、ノンナさん。ひょっとして、こんな事するの初めてじゃないか?」
「当然です。
「………」
あのまま止めていなかったら本当に肉棒が削り落ちていたかもしれない。ゴロドクは戦慄を覚えつつノンナに言った。
「その……ノンナさん、あんたも……オ、オナニーくらいはすると思うんだけど、ノンナさんのと同じで、俺のコレも結構デリケートなんだ。そんなんじゃ、痛いだけで発散とかは無理だよ」
「……存外難しいものですね。単純な形をしているだけに、扱いも単純かと思っていたのですが。確かに最初よりも縮んでいます」
萎えた肉棒を眺めつつノンナは言った。どうやら彼女は、その冷静な外見とは裏腹に勢いで動くところもあるらしい。多分、最初の手の動かし方にしても何かの本かで知った程度の知識なのだろう。
暫くノンナは何かを考えるように首を傾げると、ゴロドクを見た。
「……分かりました、同志ゴロドク。では貴方が気持ちよくなれるよう、私に指示を出してください。それに従います」
「え!? えっと……それじゃ、さっきより弱く握ってもらっていいかな?」
何ともおかしな事になってきた。自分を拘束している相手に抜き方を教えるという状況に混乱しつつ、ゴロドクはとりあえずノンナに指示を出した。ノンナの指が再度肉棒に触れ、先ほどよりも柔らかく竿を握る。
「この程度……でしょうか」
「んっ、そ、そんな感じ……それで、握りすぎない程度に扱いてくれ」
「分かりました」
そう言うと、ノンナは先ほどよりも緩やかに手を動かし始めた。先ほどとは打って変わって、小動物を愛でるかのような柔らかい手の動き。萎えていた肉棒に再び血が集まり、硬さを増してゆく。
「なるほど、こうすれば気持ちよくなるのですね。反応がはっきり違います」
感心するようにノンナが言うと、その吐息が肉棒にかかる。革から先端を覗かせかけていた亀頭にその吐息があたり、ビクンとゴロドクは腰を震わせた。
更にノンナは手を動かし続ける。肉棒は完全に勃起し、熱く脈動しつつノンナの手の中で暴れる。
しかしながら、ゴロドクはもどかしさを感じた。ノンナの手の動きは完全に一定で、ある程度のところで刺激が停まっているのだ。
「くっ! こ、今度は、少し動きに緩急をつけて、根元から……」
「こう……ですか?」
握力に微妙な強弱をつけ、ノンナは手の動きを大きくする。まだ慣れていないためか強く握り過ぎる瞬間もあるが、先ほどのゴロドクの苦悶は相当だったのだろう。そういった時にはノンナはすぐに握力を弱める。まだ不慣れでもどかしい感じが、何とも言えない快感をゴロドクに与える。
「うっ、ううっ! そ、そうですっ、ノンナさん……っ!」
「………」
快感に悶えるゴロドクに対し、逆にノンナは不満のようであった。
「意外と時間がかかるものですね……これでは、完全に発散させ切るまで時間がかかります」
どうやら、男性はもっと早く射精するものと思っていたらしい。扱く手を止めないまま、ノンナはゴロドクに尋ねた。
「同志ゴロドク、何か短縮する方法はありませんか?」
「え?」
思わぬ質問を受け、無意識にゴロドクはノンナの唇を見た。薄紅も引かれていない、しかし艶やかな唇を。
ゴロドクは唾を呑み込むと、ノンナにおずおずと言った。
「ええっと、その……ノ、ノンナさんの口で咥えてもらえれば、もっと早く射精するかも……です」
「………」
数秒、ノンナはゴロドクを見詰めた。その感情を伺い知る事はできない。
「(……調子に乗り過ぎたか?)」
ゴロドクの額に冷や汗が浮かぶ。
永遠に思える数秒の後、ノンナが動いた。淀みない動きで、髪をかき上げつつ顔を股間に近づける。
「分かりました。動かし方は貴方が指示を……んむっ……」
「うああっ!」
ヌルヌルとしたノンナの口腔内に突然亀頭が咥えこまれ、ゴロドクは腰を震わせつつ声をあげた。
「………?」
「んっ! そ、そのまま、唇を締めなが、らっ! 先端を、アイスを舐めるみたいな、感じで……っ!」
「じゅっ、じゅるっ……ンンッ……!」
ゴロドクに言われるがまま、ノンナは舌を使い始めた。舌が亀頭を舐めまわし、唇をすぼめるようにして竿を締め付ける。
「ンンッ……ンッ……ちゅっ……」
「ふあっ! や、ヤバいっ! それ……っ!」
どうやら、ゴロドクの反応から肉棒の感じるところがノンナにも多少分かってきたようだ。ついばむように舌先で鈴口を刺激しつつ、頭を前後させて口腔内全体で肉棒に快感を与えてくる。
先ほどまで冷徹な姿を見せていた女性と同一人物とは思えない程の情熱的な動きに、ゴロドクの腰から急激に射精感が昇ってきた。
「そっ、そろそろっ! イクッ、イキますっ! ノンナさんっ……!」
「じゅっ、じゅぶっ……っぱ、分かりました。床が汚れますので、このまま私の口の中で出してください。じゅるるっ……!」
「うっ、うああっ!」
ゴロドクの訴えにノンナは短く答えると、再び肉棒を咥えこんだ。吸い上げるような口の動きと亀頭を舐める舌の動きが、とどめとばかりに激しくなる。
「うっ、ううっ、イクゥッ!」
「………っ!」
ビクビクと腰が激しく震えるのと共に、ゴロドクの肉棒から精液が迸った。初めての口内射精に、ノンナは身体を強張らせつつも精液を受け止めてゆく。口の端から漏れた精液の残渣が床に零れ落ちる。
「はぁ、はぁ……!」
「……ケホッ」
大きく息をつくゴロドクの様子に、射精が収まった事を確認したノンナはせき込みつつ口を離した。亀頭と唇の間に、粘液の橋がかかる。
「これで、発散できましたか?」
立ち上がり、まるで何事もなかったかのように問いかけるノンナ。しかし、激しい動きで紅潮した頬と口元から漂う精臭は隠せるものではない。
その姿を見ているだけで、ゴロドクは自分の股間に再び血が集まるのを感じた。
「………?」
一向に治まる様子の無い肉棒を見て怪訝な顔をするノンナ。ゴロドクは気恥ずかしさを覚えつつ言った。
「その、男性ってのは……一回イクだけで、収まらなかったりするんです」
「なるほど、簡単にはいかないという事ですね」
納得するようにノンナは頷くと、再びゴロドクの前に腰を落とした。
「では……次はどうすれば良いですか?」
その様子に、ゴロドクは自身が興奮している事に気付いた。
当初、この場所ではノンナが主であり、自身はそれに流されるしかない状況だったはずであった。
しかし今は──彼女が自分の言いなりになっていないか?
「あ、ああ……それじゃ、その、とりあえず、手錠を解いてもらっていいか?」
堪らない支配欲が湧き上がるのを、ゴロドクは感じていた。