「うん……良い味ね。新鮮さも十分」
「青森港から当日競り落としたものを直送しているそうです。コースも魚と肉が選べますから、事前に確認しておけば多少の好き嫌いも緩和できるでしょう」
浴衣姿のカチューシャが鮪の赤身を醤油に浸して口に入れ、それを吟味する。同じく浴衣姿のノンナが手帳を広げつつそこに何かを書き加える。
「ねえノンナ、うちにアレルギー持ちはいたかしら?」
「夏の合宿の際には居なかったかと思います」
手帳を置き、ノンナは手元の山菜の胡麻和えに箸を向けると口に入れた。カチューシャは刺身を食べ終えると、今度は鯛のあらが入った吸い物を少し口に含む。
「ずずっ……で、ねえ、ノンナ」
「はい」
「ゴロドクが食べているアレは、私たちには出ないの?」
「……あれは旅館のキャンペーンの、男性専用メニューだそうでして」
カチューシャの問いかけに、ノンナは少しだけ視線をゴロドクに向けると答えた。
「ふうん……ゴロドク、そっちの味はどうかしら?」
「ま、まあ……悪くは、ないかな」
そう言いつつゴロドクは眼前の、固形燃料に熱せられた小さな土鍋の中に浮かぶスッポン肉を箸で摘まんだ。
既に時刻は夕方。外は暗く、街灯や旅館の灯りが周囲を弱く照らすばかりである。
暗くなる少し前にカチューシャとノンナは周囲の施設の見回りを終え、戻ってきた。クラーラとの温泉での三回戦を終えてゴロドクが部屋に戻ってきた直後の話だ。
そして今、少しの休憩を挟んで彼女らは旅館の料理を吟味していた。二人には同じものが運ばれ、ゴロドクには別の料理が。
その料理のラインナップは、あまり料理に詳しくないゴロドクでも容易に「その意図」を察せられるものであった。メインディッシュにスッポン鍋、ニンニクのホイル焼き、とろろ汁、生薬が煎じられたと思われるお茶もついていて、酷く苦いが飲むだけで身体が暖かくなってゆくようだ。明らかに精力増強のためのレシピである。
「(……クラーラだな)」
これを全部食べたら鼻血を噴き出すんじゃなかろうか。そんな事を思いつつもゴロドクは料理を食べてゆく。流石老舗旅館と言うべきか、味は非常に美味い。食べ慣れない料理だというのに抵抗なく箸が伸びる。
これがクラーラの言う「バックアップ」のひとつである事は間違いあるまい。料理を置いてゆく時の仲居さんの意味ありげな目配せが、何よりそれを物語っていた。
まあ、確かに予想外のクラーラとのセックスで少なからず消耗していたのは事実である。苦みの強いお茶でニンニクの臭いを流しつつ、ゴロドクは一息ついた。
「それでカチューシャ、これから二人はどうするんだ?」
「とりあえずはお風呂に行ってくるわ。旅館の人にも聞きたいこともあるわね」
「そっか……何か、手伝える事は無いかな?」
「大丈夫よ、カチューシャたちで……」
「そうですね……ただ休んで貰っているだけでは逆に疲れるでしょう。ゴロドク、貴方には旅館内の施設や自販機、売店の商品のチェックをお願いできますか? 土産物だけでなく、肌着や生理用品の有無も確認してください」
ゴロドクの言葉にカチューシャは手を振って答えたが、そこに割り込むようにノンナが言った。怪訝な顔でカチューシャがノンナを見る。
「ノンナ?」
「旅館の方への確認は私がやりますから、カチューシャは途中でゴロドクと合流を」
「………!」
そう言いつつ、ノンナはカチューシャに視線を送った。その意味を理解したのかカチューシャの顔が赤くなる。
このままではカチューシャとノンナは常に二人で行動し、ゴロドクはゴロドクで独りのままとなる。ノンナはカチューシャとゴロドクが二人きりになるシチュエーションを作ろうとしているのだ。
「ま……まあ、分かったわ。頼んだわね、ゴロドク」
「あ、ああ……」
ぎこちなく話を振るカチューシャに、やはりぎこちなくゴロドクが答える。
そこからの食事は言葉も少なく、やがて全員が食べ終わった。
「……行ってくるわね」
「分かった。仲居さんが膳を持って行ったら、俺も行ってくるよ」
カチューシャが視線を逸らしたまま言う。
「遊びついでで結構ですので、ゆっくり調べてください」
それに続けてノンナはそう言うと、カチューシャの視線がこちらに向いていないのを確かめて少しゴロドクに近づいた。
「心構えをお願いします、ゴロドク」
「わ、分かってるって」
小声で言葉を交わし、ノンナはカチューシャの後を追う。
残されたゴロドクは一人考えた。あと数時間でカチューシャを抱く。カチューシャも、そうしようとしている。
「(……腹を決めないとな)」
そう思いつつ、ゴロドクは膳の上の皿をまとめ始めた。
「………」
「………」
浴衣姿で廊下を歩くカチューシャとノンナ。互いに前を向き、目線を合わせないまま無言で二人は浴場へと向かう。
50㎝近い身長差と、カチューシャの歩幅に合わせてノンナがゆったりと歩くさまは知らぬ者が見れば実際親子に見えるであろう。
「……カチューシャ」
「わ、分かってるわ」
ノンナが横目でカチューシャに言うと、顔をうつむかせつつカチューシャは答えた。無限軌道杯を優勝し、この下見にゴロドクを同行させる事に了承した時点でカチューシャもこの“趣旨”を理解しているし、それも含めて覚悟をしている。少なくとも、プラウダ戦車道の会議室でクラーラを含めてこの話をした時の彼女は覚悟を決めていた。
しかし、ここに来てその覚悟が揺らいでいる事にもノンナは気付いていた。仕方のない事ではあった。カチューシャの事を思っての行動を契機に結果としてゴロドクと関係を持つようになったノンナや、ノンナの変化に興味を持ってゴロドクを捕獲して抱かれようとしたクラーラのようなパターンの方が大概イレギュラーなのだ。元々カチューシャが抱える“コンプレックス”を知るノンナには、彼女の不安や動揺はよく理解できた。
しかし、この下見はあくまで一泊二日の短い旅行である。今晩を逃せばハードルは更に上がるだろう。それで心残りしたままカチューシャをロシアに行かせる事は、ノンナとしても避けたかった。
「(奇妙なものですね……)」
自分の変化に今更ながらノンナは思いを馳せた。カチューシャの貞操を守ろうとしてゴロドクに抱かれる事を選択したはずの自分が、この数ヶ月を経て彼女がゴロドクに抱かれるように動いている。
そう思う間に、二人は浴場まで辿り着いた。脱衣所に入り、浴衣を脱いでゆく。
「……どうしました、カチューシャ?」
「な、何でもないわ」
ふと、ノンナは自分の胸元へと視線を向けるカチューシャに気付いた。顔を向けるが、誤魔化すようにそっぽを向く。
小柄な身体とそれに見合った慎ましやかなプロポーションは、他の事に置いて完璧なカチューシャが唯一抱えるコンプレックスだ。「子供のような外見だけで、相手はまともに話を聞いてくれない」そういう場面に幾度も遭遇した彼女は努力を重ね、外見に関わらず意見を通せるだけの立場と人物になろうと努め、今こうしてプラウダ戦車道の名隊長となった。
しかしながら、身体的なコンプレックスというのはそれだけで払拭はできないものだ。今でもカチューシャがぶら下がり体操などで身長を伸ばす努力をしている事もノンナは知っている。そしてそのコンプレックスが今回、最大の障害となっていた。カチューシャは自分の精神や知性に自信は持てているが、身体に関しては自信を持てていない。それが「自分の身体でゴロドクに抱かれていいのか。彼を満足させられるのか」という不安に繋がっていた。
「(なかなかどうして、難しいものですね)」
そう思いつつ、ノンナは先に浴室へのガラス戸を横に開きカチューシャを促した。
「へぇ……いいお風呂ね」
「露天もあるようですが入られますか、カチューシャ?」
「うーん……外はもうかなり冷えているし、まずは中で十分温まってからね」
「承知しました。かけ湯をしますので、カチューシャはそこにお座りください」
入口付近に小さな湯船がある。そこから手桶で湯を掬うと、ノンナは台に腰かけたカチューシャの背にゆっくりとお湯をかけた。続けて自身にもかけ湯。張りのある豊満な乳房をやや持ち上げ、胸の下のところにも湯をかける。
「ふぅ……やっぱり身体が冷えていたみたいね、よく沁みるわ」
「そうですね。ここは疲労回復に効く天然温泉だそうですので、ゆっくり浸かりましょう」
とてとてとタイルを歩き、中央の大浴槽の段差の部分に腰かけつつカチューシャが大きく息をついた。ノンナも黒髪を簡単にまとめ、湯船に身をゆだねる。
「……ねえ、ノンナ」
少しの躊躇いを見せつつも、カチューシャはノンナに言った。優しく微笑みつつノンナは答える。
「はい、何でしょうか?」
「その……前にノンナは言っていたわよね、『もう男性を知っている』って」
「……はい、そうです」
「言い辛かったらいいんだけど……“最初”って、どんな感じだったの?」
「それは……」
赤面しつつカチューシャはそう聞いてきた。ノンナは少しだけ返答に困り、言葉を濁した。
困った事になった。カチューシャは嘘に対しては敏感だ。ここで完全な作り話をしても彼女は違和感を感じるだろう。クリスマスのプレゼントをゴロドクと買いに行って遭遇した時のように、幾つかの真実を織り交ぜ無ければどこかで違和感に気付かれる。
「い、嫌ならいいわ! カチューシャも無理に聞こうとは……」
「いいえ、大丈夫です。カチューシャ」
黙考を「言いづらそうにしている」と判断したのだろう。発言を引っ込めようとするカチューシャをノンナは押し留めた。
「そうですね……もう何年か前の事ですが、それで良ければ」
「中学の頃だったの?」
「ええ。もう相手は別の学園艦に行ってしまって、交際もありませんが」
まずはカチューシャと会う以前という事にする。彼女と会って以降はほぼ共に行動していたので、流石に無理があるからだ。
「ええっと……や、やっぱり、最初って痛かった?」
「そこまでではありませんでした。確かに強い圧迫感などは感じましたが、受け入れる前までで丁寧に解されましたから」
「解され……ま、まあ、そうよね、そういう事をするんだものね」
ここは本当だ。“初体験”と呼ぶには余りに強烈な内容であったが、それによりノンナは今まで知らなかった自身の中の快感を引き出された。
淀みなく答えるノンナの言葉に、カチューシャが逆に動揺を見せる。その
ノンナはカチューシャに問いかけた。
「カチューシャ。貴女はどの程度知っていますか?」
「ええ!? そ、それは……ど、同志たちが読んでる雑誌に載っている程度は、知ってるわ」
「だとすると……大凡のイメージは出来ているようですね」
少女向けハイティーン雑誌というのは、同世代の少年向け雑誌に比べて遥かに発展的だ。表立って興味を示せないセックスについての知識や情報についても少なからず網羅されている。それらを読み知っているという事は、カチューシャはセックスに対して知識的なところは十分備えているのだろう。
「知ってはいるわ。でも……」
カチューシャは目線を自身の身体に向けた。18歳の高校生としては余りに小柄な、127㎝の凹凸の全くない自分の身体を。
「お言葉ですが、カチューシャは自分の身体の事を気にしすぎです。同志ゴロドクも、貴女を嫌っていたなら今回の同行も拒否したでしょう。自信をお持ちになってください」
励ますようにノンナは言った。
カチューシャは顔を下に向け、何かを考えているようだった。
やがて、彼女は決意したように顔を上げるとノンナに言った。
「……ノンナ、お願いがあるの」
「どうも、ありがとうございました。ええと、コーラとアンパンも貰えますか?」
「ありがとうございます~」
売店の商品のチェックを終え、ゴロドクはお礼に買った商品の袋を手に店を出た。
「……あれ?」
「そっちも終わったみたいね、ゴロドク」
浴衣姿のカチューシャが、少しの緊張を見せつつもこちらに歩いてくる。それだけならば予想していた展開だ。
しかし彼女の背後には、やはりこれも浴衣姿のノンナが立っていた。濡れた黒髪を拭いつつ、その瞳はゴロドクに向けられている。
確かこの分担は、ゴロドクとカチューシャを二人きりにする為ではなかったか? ゴロドクは疑問を顔に浮かべつつも二人を迎えた。
「お疲れ。そっちも温泉の確認は終わったみたいだな」
「ま……まあね、いい温泉だったわ」
「………」
ノンナの表情に僅かの困惑が見える。ゴロドクはそれが気になったが、カチューシャが居る手前では言葉も交わしづらい。
そんな事を考える間に、カチューシャはゴロドクを促すと歩き始めた。
「さ、部屋に戻るわよ」
「あ……ああ、分かった」
それを数歩後ろから追いつつ、ゴロドクはノンナに小声で尋ねた。
「(段取りと違ってないか?)」
「(……カチューシャの話を聞いてあげてください)」
それだけ答えると、ノンナもカチューシャの後ろにつき部屋へと向かう。
首を傾げつつもゴロドクは二人の背を追った。やがて部屋に戻り、居間で腰を落とす。
「お疲れ様、ゴロドク」
「いや、ちょっと話を聞いてメモを取った程度さ」
机を挟まず、カチューシャはゴロドクの横の座椅子に座った。
「……すぅ」
カチューシャが大きく息を吸う音。
いよいよか。ゴロドクは腹に力を籠めると座椅子を回し、カチューシャの方を向いた。
果たしてカチューシャも、ゴロドクの方を向いている。ノンナはその後ろで正座し、こちらの様子を見守っている。
ノンナが同席していて良いのだろうか? そうゴロドクが疑問を感じる間もなく、カチューシャが言った。
「そ、その、ゴロドク……改めてになるけど悪かったわね。卒業前で忙しいのにお願いして、一緒に来てもらって……」
「いや、その事なら大丈夫だって言ったろ?」
「まあ、そうなんだけど……」
「………」
「………」
言葉が途切れる。
ゴロドクはこちらから問いかけたい気持ちを抑え、カチューシャの言葉を待った。
「ゴ、ゴロドク!」
「あ、ああ!?」
カチューシャは突如として大声をあげた。
「こ……この下見に来てもらったのには、もう一つ理由があったの」
「理由?」
「ええ……この慰安旅行が終わったら、カチューシャはすぐにロシアに行く事になる。大学を卒業しても、ロシア戦車道を学ぶのは続くわ。戻ってくるのは何年後になるか分からない」
ゴロドクをしっかりと見ながらカチューシャは言葉を続ける。
「だからそれまでに……ゴロドク、貴男に、カチューシャの“初めて”の人になってほしいの」
「カチューシャ……ちょ、ちょっと待ってくれ!?」
思わずゴロドクは声をあげた。拒否されたのかとカチューシャの顔に怯えが浮かぶ。
「だ、駄目なの、ゴロドク?」
「いや、そうじゃなくって……その、いいのか? 後ろに、同志ノンナが……」
それがゴロドクを動揺させていた。カチューシャは自分とノンナの関係を知らない。ノンナの前で「自分を抱いてほしい」と言う事にカチューシャは抵抗が無いのだろうか?
「あ……そ、それなんだけど……」
ゴロドクにそう言われ、カチューシャは初めてゴロドクの反応の理由に気付いたのだろう。後ろのノンナに視線を向け、改めてゴロドクに向き直る。
「その……ゴロドク。ノンナに傍に居てもらったまま、してほしいの」
「はい!?」
予想外にも過ぎる提案に、ゴロドクの声が跳ねる。
しかし、カチューシャの表情はあくまで真剣だった。膝に置いた小さな手が震えている。
「こんな事言ってるけど、カチューシャはまだ、不安で仕方ないの。ゴロドクに嫌な思いをさせないか、満足してもらえないんじゃないかって」
「そんな事は……」
「ノンナとは、高校に入ってきてからずっと一緒だった。戦車道でも、楽しい時も、苦しい時も、家族以上に一緒に居てくれた。だから……カチューシャにとって一番大事なこの時にノンナが一緒だったら、きっとこの不安も無くせる。そう思うの。ゴロドクには、迷惑かもしれないけど……」
「………」
ゴロドクは言葉を失い、ノンナを見た。いつもの口調で危うく話しかけ、慌てて他人行儀な言葉に変える。
「その、ノン……ど、同志ノンナ。あんたは、その、いいのか? 俺とカチューシャのに、混じるとか……」
「カチューシャがそう仰るなら」
即答が返ってきた。
カチューシャがそう望み、ノンナも許可すると言うのならゴロドクに反論の余地はない。当初のイメージとは大幅に異なる展開になってきたが、それでもゴロドクは腹を括った。
「……分かった。じゃあ、隣に行くか」
「え、ええ……」
「分かりました」
ゴロドクが腰を上げると、二人もそれに続く。
襖を開け、隣の寝室に行くとそこには大布団に“三つ”の枕が用意されていた。
親子と勘違いした旅館スタッフの気遣いだろうか? いや、これもおそらくはクラーラの手筈だろう。
彼女が事前の打ち合わせで「カチューシャにセックスに対して自信が無い方が好都合」と言っていたのはそういう事か。ゴロドクは今更ながら彼女の言葉を思い出した。
「ええと……じゃ、やるか」
「よ、よろしく……」
掛布団をめくり、ゴロドクは敷布団の上に胡坐をかいた。その前でカチコチになったカチューシャが座る。ノンナはその二人の間で、見合いの立会人のような位置に腰を落とす。
「(さて……まずはこの緊張を解かないとな)」
ゴロドクは眼前のカチューシャを見た。まるで怒る親を前にした小学生のように身を固め、視線を膝に落としている。
ゆっくりと腰を上げ、ゴロドクはカチューシャの肩に手を置いた。びくりと小さい肩が跳ねる。
「ひっ……!」
「………」
ゴロドクはそのまま、無言でカチューシャを抱きしめた。柔らかく手を背に回し、ぽんぽんと柔らかく叩く。
「あ……」
「大丈夫」
それだけ言い、ゴロドクは今度は頭を撫でた。サラサラした金髪の感触が心地よい。しばらくの間、ゴロドクはそうしていた。
「んっ……」
「……大丈夫だ」
カチューシャの口から吐息が漏れる。次第に緊張が解け、肩の震えが静まってゆく。
ゴロドクは肩に手を置いたまま、顔を近づけた。
「……いいか?」
「き、聞かないで……ンッ……」
薄い唇にゴロドクは柔らかく口を当てた。最後のデートでもしなかった、唇へのキス。そしてこれから、色々なところにキスをする。
「ンッ……ふぅっ……」
「んはっ……カチューシャ……」
まだ舌は使わない。唇を当てるだけのキスを繰り返す。浴衣越しにカチューシャの身体が熱くなってゆくのを感じる。
子供のような小さな手を、壊れないように握る。指を絡め、彼女の肌のきめ細やかさを確かめるように撫でる。
「(まだ、もうちょっと……)」
舌を伸ばし、カチューシャの歯茎を舌で撫でる。ぴくりと初々しい反応が返ってくる。
「ふあっ、ゴ、ゴロドク……はあっ……!」
「カチューシャ、舌、出して……」
おずおずとした感じで伸びてきたカチューシャの舌に、ゴロドクの舌が絡みつく。ちゅぷちゅぷという唾液の音が耳朶にやけに響く。
何十秒、何分そうしていただろうか。ゴロドクが唇を離すと、カチューシャは倒れ込むようにゴロドクの胸板に力なくもたれた。
「はぁっ……はぁっ……」
大きく息をするカチューシャ。そのうなじは赤く火照り、彼女の身体の初めての興奮を示している。ゴロドクの股間は未だ完全な勃起には至っていなかったが、その様子に肉棒がぴくりと反応する。
「……触るぜ、カチューシャ」
「え……んんっ!」
はだけた浴衣の隙間から手を差し込み、平坦な胸に触れる。滑らかな肌は汗ばみ、ゴロドクの掌を濡らす。
僅かな膨らみの先端で可愛らしく震える小さな乳首に触れると、カチューシャの身体は大きな反応を返した。
「ん、んんっ……!」
無意識に身をよじるカチューシャ。体の緊張はかなり解れてきたが、まだ完全ではないようだ。
その反応に、ゴロドクは傍らのノンナを見た。
「ノ……同志ノンナ、いいか?」
「……はい」
ノンナは素早く察すると、腰を落としたままカチューシャに身を近づけた。
「ノ、ノンナ……?」
「大丈夫です、カチューシャ。私が一緒です」
本当の母親のような優しい声と共に、握り締められたカチューシャの手に触れる。
それだけで彼女の緊張は瞬く間に和らぎ、握られていた手が広がってゆく。
「あ、あ、ノンナ……」
「大丈夫です、ゴロドクは、優しくしてくれます」
すっかり緊張の解けたカチューシャの反応を感じつつ、ゴロドクは思った。
「(本当にノンナのこと、信頼してるんだな……)」
そして、そのノンナが自分を信頼してくれている。ならばカチューシャをしっかり満足させねば男として失格であろう。
「……ああ、最高の思い出にしよう、カチューシャ」
「ゴロド……あ、ああっ!」
薄桃色の乳首にゴロドクの舌が触れる。
未知の刺激に、カチューシャは小柄な身体を震わせた。