事の始まりは、深雪が彼らの肉便器になる1ヵ月前だった。四葉家の魔法師で精神干渉魔法のスペシャリストである安藤翔と、いつも彼と一緒に任務を遂行し、古式魔法のなかでも自分や仲間の場所を敵に認知されるのを防ぐ魔法が得意な貝塚新が四葉家を裏切り、達也が開発した魔法を無力化する魔法、「ゲートキーパー」のデータを盗み逃走した。この二人、腕こそたつが性欲が尋常じゃないほど強い。二人は仕事の度にしょっちゅう女性をさらい、女性の精神が崩壊するほど犯していた。四葉家としてもこの二人を一刻も早く処分しようと考えていた。しかし二人とも実績あり仕事も完璧にこなすので、四葉家は二人を中々クビにできず彼らをどう扱うか悩んでいたところだった。
彼らが姿をくらまして二週間、四葉家は彼らがどこに潜伏しているのかすらわからず焦り始めた。そして一刻も早く彼らを始末、もしくは捕縛するために、達也にも出動を命じ、彼のエレメンタルサイトのリソースを全部彼らの索敵のために割り振らせた。そして……
「いってらっしゃいませ。お兄様。」
「ああ、行ってくる。深雪もくれぐれも気を付けるんだぞ。エレメンタルサイトを全て索敵に使っているせいでしばらく深雪に目を向けることができないからな」
「かしこまりました」
と深雪がお辞儀をしながら言うと達也はいとおしそうに彼女の髪を撫で、もう一度行ってくると言い、安藤翔と貝塚新の捜索に赴いていった。
それからしばらくたった後、深雪は自分のもう一人のガーディアンである水波と共に下校していた。
「安藤翔と貝塚新、無事に捕縛されるのでしょうか…」
と水波は歩きながら不安そうに言った。彼女は彼らと直接会ったことはない。しかし本家にいたときに彼らの黒い噂を散々に聞いていたので本当に自分だけで深雪を守りきれるか自信がなかった。そんな水波を励ますように深雪は、
「大丈夫よ。確かにあの二人は危険だけどお兄様は誰にも負けない。必ず彼らを成敗してくれるはずよ」
と言った。水波は深雪の相変わらずの達也至上主義の考えに呆れたが、彼女も達也の実力はよく知っていたので「はい」といって頷いた。
もうすぐ家に着く所まで来たとき、深雪と水波は辺りの異変に気付いた。
(これは、結界?)
二人はすぐCADを取りだし辺りを見回そうとした。すると一人の太った男と目があった。いやあってしまった。二人はその顔を見ると驚愕した。なぜなら今目の前にいる太った男こそ、四葉家が総力をあげて探していた安藤翔だったのである。水波は障壁を出し彼が深雪に近づけないようにしようとした。しかし障壁を出すことができなかった。水波は驚愕する。その水波の様子を見て深雪は慌てて魔法を発動しようとする。しかし……
(魔法の不発!? まさかこれはお兄様のゲートキーパー!?)
深雪もまた魔法を発動する事ができなかった。そして防御、攻撃の失敗により生じたスキを付かれ、二人は後ろから忍び寄った別の男に気付くことができず、背後から同時に襲われ強力な睡眠剤の染み込んだガーゼを口に当てられた。
(しまったっ)
そう思った時にはもう遅く深雪は水波と一緒に意識を失った。
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