MassEffect Romanceの始まり 作:木桜 春雨
目が覚めた瞬間、夢を見ていたのだとわかるとギャレスはシーツに顔にかぶり、はあっと息を吐いた、正直、何故と自分に聞きたかった。
この間の失敗、同族のトゥーリア種の女性と行為、あれはよくも悪くもなく、思わず自分に尋ねた。
そして違和感にシーツに隠れた半身に視線を落とした、まったく、欲求不満なのか、自分はと呆れながら、起きようとしたとき、
ドアの向こうから声が聞こえた。
「ギャレスさん、起きてますか」
女の声にベッドから出るとドアに向かったが開ける事はしなかった。
「少佐が呼んでいます、時間を過ぎても来ないので」
時計を見たギャレスは驚いた、頼まれていたデータを届けに行くと言ったのは自分なのに、とっくに時間を過ぎている。
「知らせてくれてありがとう、すまない」
「いいえ」
足音が小さくなっていく、ほっとすると同時に自分が情けなくなった。
ドアを開けなかったのは幸いだ、寝起きの間抜けな姿を見られずにすんだからだ、他の仲間たちなら、笑い物にされたからだろう。
だが、ここに来てまだ日の浅い彼女は、どう思うだろう、自分のことを。
「まあ、あなたでもこういうことがあるのね」
珍しいといわんばかりに、もしかして嫌みのかわりだろうか、可笑しそうに笑われたことはギャレスにとって良かったのか、そうでないのか。
「データ、ありがとう、これで次の仕事のプランもたてやすくなったわ、ところで、彼女、どう」
意味が分からずギャレスは少佐の顔を見た。
「先日、入ってきた彼女の事よ、皆とうまくやってるかしら、トラブルとか起こしてない」
「いいえ」
一瞬、自分はどんな返事をすればいいのかとギャレスは困った、その無言の答えをどう受け取ったのか。
「なければいいのよ、ただ、この時期に、でしょう」
もういいわと視線を向けられて、ギャレスは口から出そうになった言葉を飲み込んだ。
仕事に行く前に一度、部屋に戻ろうとしたとき、廊下の向こうから聞こえてきた女の声にギャレスは驚いた、タリだ、だが、様子がいつもの彼女らしくない、まるで怒っているようだ。
「強引に押しつけたんでしょう、断らないのをいいことに、もし何かあったら、責任を押しつけて自分は知らないふりをするつもり」
「なんだと」
男の声は不快さをあらわにしている、この声はジャヴィックだ、確か数日前に、廊下ですれ違ったが、挨拶の言葉も交わしたことがない、いや、向こうの立場を考えれば無理のないことかもしれない、だが。
このまま、まっすぐ歩いていけば、引き返すか、迷ったとき。
「タリ、あたしなら大丈夫よ」
その声に足取りの迷いが消えた。
「どういうつもり、あなたは」
タリの責め立てるような口調は普段の彼女を知っているなら誰もが驚いただろう、いや、このときはギャレスもだ、一瞬、あっけにとられたように目の前の光景を凝視した。
「大体、押しつけだわ、あなたの仕事がどれほど大変かわからないけど、彼女に雑用を押しつけて」
「そんなつもりは、ない」
ジャヴィックは目をしばたたかせるようにしてタリを見たが、ギャレスの存在と視線に気づきわずかに首を振った。
このとき、自分の存在に気づいたのだろう、三人の視線がギャレスに向けられた、気まずい沈黙だった。
「ギャレス、あなた、今夜の飲み会には出るんでしょ」
飲み会だと、そんな話は聞いていないと言いかけて、ふと視線を感じた、タリの隣にいた彼女が何か物言いだな目で自分を見ていたのだ。
出るつもりだとギャレスは二人に向かって頷いた、すると。
「珍しいな、仕事熱心なトゥーリアンにしては」
もしかして、嫌みのつもりなのかと思ったとき、タリが呟いた。
「あなた、振られたんでしょう、彼女に」
ギロリと睨みつけるような視線がタリだけではない、ギャレスにも向けられたとき、彼が無言になったのは仕方のないことかもしれなかった。