BALDR SKY Another World /世界X+Ω 作:デスイーター
「き、君は……クリス……?」
「ええ、ご存知の通り鳳翔学園学生会長の六条クリスよ。既に鳳翔はなくなったから、元、がつくけどね」
甲は想定外の事態に全裸の身体を隠す事も思いつかず、少女……クリスを見つめていた。
この少女、六条クリスは以前レインに関係した事で力になって貰って以来、交流が続いている鳳翔学園の生徒だ。
甲達が通っていた星修学園のライバル校である鳳翔の生徒であるにも関わらず、クリスには甲達第二世代に対する偏見はなく、良好な関係が築けていた。
というのも、クリス自身被造子でありながら第二世代でもある為、第二世代に対する偏見などある筈がなかった、という事情もある。
その事を打ち明けられた時には、まさかレイン以外に鳳翔に第二世代の人間がいるとは思わず、少なからず驚いた事を覚えている。
そのクリスが、さも当然といった様子で甲の前に現れた。
しかも、明らかに真との行為の直後である甲に対して軽蔑やからかい等の反応も見られていない。
むしろ、クリスの表情には、ただひたすらに悔しさが滲み出ていた。
「な、なんで此処に……?」
「なんでって、貴方……誰が貴方を、あの瓦礫の山から引っ張って来たと思っているのかしら? まさか、忘れたとは言わないでしょうね」
慌てた甲の問いかけに、クリスはジト目でそう返した。甲は彼女の冷たい視線を受け、記憶を思い返す。
………………言われてみれば、確かに目と耳が使えなくなり動けなくなっていた時にケーブル越しに聞いた声は、クリスの声と合致する。
つまり、目の前の少女は甲の命の恩人でもあったのだ。甲はその事を忘れて、呑気にしていた事になる。
「す、すまん! 声を聞いた時点で気付くべきだったよな。助けてくれて、ありがとう」
「………………いいえ、声だけで判別出来るくらいの関係を作っていなかった私の落ち度よ。考えてみれば視覚も聴覚も使えない状態で声だけで判断しろ、というのも酷な話だったわね」
クリスはそう告げると、一度溜め息を吐いた。
「いいわ、気にしなくても。他ならぬ貴方が、あんな所で朽ち果てようとしていたのだもの。助けるのは、むしろ当然よ」
クリスは何処か拗ねた様子でそう告げるが、その表情からは甲の事を本気で心配していた事が見て取れた。
思えば、自分は命の恩人であるクリスを放置して真との行為に耽っていたのだ。
冷静に考えれば、幾ら事情があったとはいえ不誠実にも程がある。
………………そもそも恋人が亡くなった直後にその妹と関係を持った事自体、世間的に見れば白い眼で見られるには十分過ぎる状態だ。
クリスが軽蔑の視線を送って来ない事を、むしろ感謝するべきだろう。
「しかし、いつの間にか女の子を拾って来て、しかもセックスに耽っていたなんて………………貴方のプレイボーイっぷりを、甘く見ていたわ。顔は童顔なのに、手は早いのね」
「い、いや、これは………………」
「分かってるわよ。どうせ、その子を落ち着かせようとしたら勢いで関係を持ってしまったのでしょう? 貴方とはそれなりに付き合いがあったのだから、貴方がどういう人かくらい理解してるわ。納得出来るかどうかは、別としてね」
クリスの言葉には棘があるが、どうやら真との間に起きたやり取りを正確に察しているらしく、甲の人間性を疑うような雰囲気は見られなかった。
それでも、受け入れ難くはあるのか微妙に表情が引きつってはいたが。
「それに……今の貴方、生きる意志がちゃんとあるでしょう? 私が見つけて病院に連れて来た時は、生きる事を半ば放棄しているような有様だったのに……その子と心を通わせて、生きる目的が出来たからかしら?」
「あ……」
甲はクリスの言葉に、ハッとなって目を見開いた。確かに、気付けば今の甲は生きる気力を取り戻していた。
空を目の前で失った絶望で生きる意志を失っていた甲だったが、真と再会して以降は真の事を心配するあまり余計な事を考えないようにしていたし、真と情を交わした今となっては何が何でも彼女を守る、という決意が甲の中で燃え盛っていた。
つまり、今の甲には正しく生きる為の意志が宿っていたのだ。
「ようやく気付いたのね。まあ、生きるつもりになったのはいい事よ……本音を言えば、その役目は私が果たしたかったのだけどね」
クリスはそんな甲を見て、何処か拗ねたような表情で呟いた。彼女もまた、生きる気力を失った甲を心配して会いに来てくれたのだろう。
ある意味そんな彼女の気遣いを無駄にしてしまったワケなので、多少気まずくはあった。
甲とクリスの間に、とある認識の違いがあったとしても。
「け、けどクリスが助けてくれなかったらこうして真ちゃんと再会する事も出来なかったワケだし、勿論感謝してるよ。だから、その……」
「────先輩、ちょっといいですか」
なんとかクリスに機嫌を直して貰おうと甲が言葉を紡いでいた最中、それまで黙っていた真が口を開き、驚く程冷たい声を発した。
思わず真の方を見ると、真はジト目で甲を睨みつけている。
「その……クリスさんが先輩の命の恩人だって事は分かりました。先輩を助けて頂いて、ありがとうございます……ですけど、それとこれとは話が別です」
真は棘のある声で、甲に告げる。
「先輩……私を抱いた直後に私を放って他の女の子と二人で話し込むなんて、ちょっと酷いんじゃないですか? 私、まだこれで終わりだなんて思ってないんですけど」
「ご、ごめん真ちゃん! その……」
「いいんです、先輩がそういう人だって事は……私も、分かっていますから。けど、クリスさん……見ての通り、私と先輩は取り込み中です。話は出来れば、後にして貰いたいんですけど」
真は敵意すらその瞳に滲ませて、真っすぐクリスを見据えている。
甲は今まで見た事がない真の攻撃的な態度に驚きながら慌ててフォローしようとするが、その前にクリスが笑みを漏らしながら口を開いた。
「────へぇ、女の勘で私の魂胆を見抜いたワケね。ふふ、驚いたわ。リアルでの自信なさげな態度は猫を被っていたのかしら?」
「いいえ、今回の事件が起きるまで私は電脳症の影響なのか、リアルでは拙い言葉しか喋れませんでした。今こうして喋れているのは、此処がネットだからなのと、恐らく──────あの時のショックが、原因です。それと、性格は元から大して変わってません。ただ、今までは上手く喋れなかっただけです」
挑発的な笑みを浮かべるクリスに対し、真はより一層鋭い目つきで睨みつけた。
……二人の間に、瞬く間に一触即発の空気が発生する。
甲は急激な事態の推移に付いて行けず、混乱のまま声を張り上げる。
「ちょ、ちょっと待て二人共! 一体、何を争っているんだ!? 真ちゃんも、クリスはちょっと独特の性格をしてるけど、決して悪い奴じゃ……」
「────いいえ、真さんの敵意は極めて正しいわ。だって、私は貴方達の関係に今から割り込むつもりだもの」
────だが、次の瞬間甲は視界が暗転し、気付けばいつの間にか自分と真の身体が引き剥がされ、自分の身体の上にはクリスが跨っていた。クリスは自分を見下ろしながら、ゾクリとするような艶やかな笑みを浮かべている。
「な……っ!? クリス、一体何を……っ!?」
「察しが悪いわね。面倒だわ、さっさと済ませちゃいましょう」
甲の反論を意にも介さず、クリスは自分のスカートを捲り上げると煩わし気にショーツを破り捨て、露出したままだった甲のペニスを自分の秘所に叩き込んだ。
「……っ!!!!! ああ、痛い、痛いわ……けれど、これでようやく貴方と繋がる事が出来た……っ! この痛みがその証なのだとすれば、むしろ愛おしいくらいよ……っ!」
「ちょ、ちょっと待て……っ!? い、一体何考えてやがんだっ!? いきなり挿れるとか、正気かお前……!?」
「あら、よく言うじゃない……
甲はクリスの膣内の感触に呻きつつも結合部から盛大に飛び散ったクリスの純潔の証を見て、盛大に狼狽する。
まさか、突如として自分を襲うなんて暴挙に出るとは考えてもいなかった上に、クリスはあろう事か碌な愛撫もしないままいきなり自らの秘所に甲のペニスを突き立てたのだ。
飛び散た鮮血からクリスが処女だったのは明らかで、凄まじい激痛がクリスを苛んでいる筈だが……クリスの表情は恍惚に染まっており、とてもではないが正気には見えない。
「此処までしても分からないのかしら? 私はね、貴方を一人の男として愛しているのよ。気付けなかった?」
「え……?」
クリスの突然の告白に、甲は頭が真っ白になった。この美しい少女は、確かに自分を
その事実が、甲の心をかき乱す。どう反応すればいいか分からなくなり、心中は混乱の極致だった。
「実は、貴方と初めて会った時から貴方の事が気になっていて……正直、空さんの事がなければ交際を申し出ていた所よ。貴方が空さんと付き合っていると知っても気持ちは昂るばかりで、今まで何度貴方の事を想って自分の事を慰めたか分からないわ」
だから、とクリスは告げる。
「……正直、この状況はチャンスだと思った。落ち込んでいる貴方を慰めれば、貴方の心を奪う事が出来るんじゃないかって……だからこそ、貴方と真さんが結ばれた事が心底悔しかったのよ。真さんのさっきの態度も、女の勘で私が貴方に好意を向けている事を察したからでしょうしね」
クリスは訥々と告白を続け、口元を歪めた。その笑みは何処か狂気じみていて、暗い女の情念が見え隠れしていた。
しかしその瞳は恐ろしい程艶やかで、彼女と目が合った甲の背筋をゾクリとした痺れが迸った。
「だから、邪魔が入らないうちに既成事実を作ってしまえ、と思って色々手順を省略してまずは君と物理的に繋がらせて貰ったわ。正直、最高の気分よ……っ!」
クリスは自分の身体をかき抱いて、告げる。
「身体を苛む痛みも、胎内を抉る君のペニスの感触も、とてもとても愛おしいわ……っ! ああ、最初からこうすれば良かった……っ! なんでもっと早く、こうしようと思い至らなかったのかしら……っ!」
歓喜の叫びをあげるクリスの声は蕩けきっており、狂気じみた情念がその身から溢れ出している。
女の情念を隠す気もないクリスは嫣然とした笑みを浮かべつつ、身体を倒して強引に甲の唇を奪った。
「……っ!? むぅぅ……っ!?」
「んちゅ、あむ、んむ……」
クリスは舌で甲の唇を割り開き、甲の舌を捕まえて舌と舌を絡ませた。
被造子故の力で抑え込まれた甲は碌な抵抗も出来ず、クリスに口内を蹂躙されていく。
「ちょ、ちょっと! 何してるんですか……っ!? はやく先輩から離れて下さい……っ!」
《い、いきなり何やってるんですかっ!? この、泥棒猫……っ!》
そんな中、クリスに突き飛ばされ床に転がっていた真が起き上がり、狼狽しつつも敵意に満ちた瞳でクリスを睨みつける。
感情のまま叫ぶ彼女の心の声も漏れ出ており、その声からも愛しい男を奪った女に対する明確な敵意が感じられる。
その声を聞いたクリスは甲の唇を解放し、口元をペロリと舐め上げ凄絶な笑みを浮かべた。
「ふふ、ごめんなさいね。別に、貴方と彼を引き離そうっていうんじゃないの。貴方が私より先に彼の寵愛を得た事は、紛れもない事実だもの。だから、まずは愛人から始めさせて貰うわ」
だから、と彼女は言う。
「私はもう、彼以外に愛を向ける気は微塵もないの……勿論、私に出来る事ならなんだってさせて貰うわ。これから何をするにせよ、私は役に立つわよ。貴方も、事情があるなら少しでも手が欲しいのではなくて?」
「それは……」
クリスの言葉に、真は即座に反論出来ず言い淀む。被造子である上にきちんと鍛えたクリスの身体能力はかなりのものだし、第二世代でもあるので仮想でもその能力は非凡なものを持っている。
しかし、仮想では反則的な力を有する真でも、実体がない以上出来る事に限りがある。
現実でも仮想でも存分に力を奮えるクリスという存在は、自分達にとって大きな助けとなるのは確実だ……自分自身の心情を、考慮に入れなければであるが。
甲は、真を守ると誓った。同時に、久利原直樹を、ドレクスラー機関を追うという結論を出すであろう事も真は察している。
そうなった時、現実に直接関われない自分だけでは手が足りないと感じていたのは事実なのだ。
それを考えれば、クリスという
真は逡巡しながらも強引に自身の気持ちの整理を付け、苦々し気に口を開いた。
「……分かりました。その言葉、忘れないで下さいね」
「理解が早くて助かるわ。けどまず、報酬の前払いとして彼には私のナカにたっぷり注いで貰うわよ」
クリスは真の許可を得ると、待ってましたとばかりに激しく腰を動かし始めた。
パンパンパンパンッと肉を打ち付ける音が響く度、結合部から血と愛液が飛び散り、周囲に性臭をまき散らしていく。
「ああ、いい、いいわ! 最高よ! この痛みも、この快楽も、全部、全部貴方が与えてくれるものだもの! 恋人の許可は得たのだもの、貴方も存分に愉しみなさいっ! 私の身体を貪って、思う存分欲望を満たしなさい……っ!」
「うぅ、あぁ、くぅ……っ!」
処女の締め付けと激しい腰の動きにペニスがしごきあげられ、甲は快楽に呻いた。
その声を聞いてクリスは口元を吊り上げ、飛び散る破瓜の証も意に介する事なく更に腰の動きを速めていく。
「ふふ、その表情もたまらないわ! 欲望に身を任せた獣のような顔つきもいいけれど、快楽を必死に耐えているその表情も思わず虐めたくなるくらい愛おしいわ! さあ、好きなだけ私の中に精液を吐き出しなさい! 貴方の種で、私を孕ませるくらいに……っ!」
「くぅ……あぁ、もう……どうにでもなりやがれぇぇぇ……っ!」
「……っ! あぁぁぁ…………っ!」
遂に快楽に耐え切れなくなった甲はクリスの腰をがっしりと掴み、力任せに突き上げた。
そして、甲の腰ががくがくと震え膣奥に亀頭を突き付けたまま肉棒の栓が解放された。
「う、おぉぉぉぉぉぉぉぉ……っ!」
「あぁ、凄いわ! 貴方のドロドロの精液、私の中に噴き出してるっ! 熱い、熱いわ……っ! ああ、蕩けてしまいそうよ……っ!」
ペニスが脈動し、びゅるるるるるるる! と凄まじい勢いで白濁液がクリスの膣内に吐き出された。
甲がぶるぶると腰を震わせる度、胎内で精液を受け止めたクリスの身体がびくびくと震え恍惚の声を漏らす。
射精は暫くの間続き、結合部からは収まりきらなかった精液が漏れ出てクリスの太腿を汚していた。
「はぁ、はぁ、はぁ……っ!」
「ふふ、一杯出たわね……もし現実だったら、妊娠していたかもね」
「何……言ってやがる……人を、無理やり、襲った、癖に……」
ようやく射精を終えた甲は荒い息を吐いて脱力し、クリスもまた甲の身体の上に倒れ込む。
クリスは甲の悪態にも笑みを浮かべるばかりで、クリスの表情に反省は一切見られない。
甲とようやく一つになれたという事実だけで、過程や方法に問題はあっても、最早気にしていないのだ。
むしろ、クリスからしてみれば真に甲を横から掻っ攫われた形なので、クリスの狂的な愛を知った今となっては真の排除に動かなかった分、マシな結果なのだろう。
……クリスが直接的な手段に訴えないのは、
もしも先にクリスと関係を持っていたとしたら、どんな状況であっても浮気した段階で刃傷沙汰は避けられないに違いない。
暫く余韻を楽しんでいたクリスだったが、ふと何かに気付いたように顔を上げ、口元に凄絶な笑みを浮かべた。
「ああ、そういえばリアルボディはまだ純潔のままね。丁度いいわ、この際
「ちょ、ちょっと待てぇぇぇ……っ!」
「せ、先輩……っ!?」
甲は不穏な捨てセリフと共に引き止める間もなく消えたクリスを追いかけ、真の制止を振り切ってログアウトを開始した。
しかし
というわけで、クリスとの再会と濡れ場でした。
次はいよいよあのキャラが出てきます。初めて声を聞いた時、CV;若本かと思ったんですが、違う人だったって知ってびっくりした記憶があります。雰囲気がよく似てましたし。