BALDR SKY Another World /世界X+Ω 作:デスイーター
第四節『胎動ーRise of Unknownー』
タイトル英題は『蠢く未知』で、レヴィアタンの目覚めが近付いている事を暗喩しています。
この章は例の施設の潜入を通して、レヴィアタンの影を見せる為のストーリーになっています。
着々と目覚めに近付いているレヴィアタンの脅威を徐々に実感させる為、伏線を色々仕込んでおり、水面下で様々な動きがありました。
第1話『伝承ーFolklore of Leviathanー』
タイトル英題はストレートに『リヴァイアサンの伝承』、つまり聖良の口から、かつてこの世界に存在した脅威、『リヴァイアサン』について語られる話です。
フォースのラスボス、リヴァイアサンに関する事件は今作の世界観では『大戦』の前に起きた事にしています。
『事態を解決した一人の軍人』というのは言うまでもなく透の事です。あの事件から既に百年以上経過している設定なので、透達は当然天寿を全うしています。
ここで聖良にリヴァイアサンの話をして貰ったのはあくまで今作ラスボス、『レヴィアタン』がどういったレベルの脅威かを知らしめる為のものです。
リヴァイアサンを元にしたものであれば、その脅威度がどれ程のものかは瞭然ですからね。
話の冒頭の『夢』は、Xクリスがこの世界に干渉した事で、彼女の世界の記憶が甲に流れ込んだ為に起きた現象です。
トリガーとなったのは二度に渡って画面越しながらもXクリスと対面した事です。
この頃のXクリスは
今作の解釈では
Xクリスはこの時点で正体がバレては困る為に口調も変えて『ドミニオンの神子』という『演技』に徹している状態なので、当然かなりのフラストレーションが溜まっています。
その皺寄せになる形で『自分の事を知って貰いたい』というXクリスの無意識の想いが甲に記憶を流入させてしまったワケです。
この夢はドミニオンの神子の正体に繋がる伏線として出したものでもあります。
基本的に意味のない伏線は撒かないので、もしかしたらこの時点で正体に行きつく人もいるかなぁ、とも思ってました。
まあ、今作のXクリスは独自解釈と捏造設定の塊なので難しかったかもしれませんが。
この世界でのクリスとの馴れ初めは本編で書いた通りです。クリスはレインの不登校を知って彼女に何か問題が起きているのではと考え、学生会長として問題を解決すべく彼女の居場所を突き止めて甲達とコンタクトを取りました。 そこでレインの現状を知ってジルベルト相手にレインの父親が統合軍の将校である事をバラし、いじめを辞めさせた上でかつて神父の痕跡を追う中で手に入れた桐島エイダの記憶データを持参して勲とレインの二人に面会、その記憶データを見せる事で二人の和解に貢献し、その後甲と交流を深めて行く事になります。
クリスは甲に対しては一目惚れであり、自身の恋愛感情は自覚していましたがその時には既に空という恋人がいた為、どうすべきか悩んでいました。
なのでまずは友好を深めようと度々甲を食事等に誘い、その過程で他の如月寮メンバーも顔くらいは知ってるという関係になりました。
ちなみに空はクリスの甲への好意に気付いた上で、彼女の行動を黙認していました。
彼女は自分が普通とは違う過程で甲と恋人になったという負い目があったので、もしも甲がクリスを選ぶならそれはそれで構わないと考えていたのです。
また、この時既に空は久利原からあの
その懸念は、そのまま現実となってしまうワケですが。
話の中で真がクリスにからかわれて大変可愛らしい姿を晒していますが、クリスはアニマルセラピーの感覚で傭兵稼業の最中でも度々真をいじって甲を和ませています。
あそこまで純粋な反応はクリス自身には出来ない為、真を利用して傭兵として戦う中で殺伐としていく甲の心を少しでも癒そうという考えで真をからかって遊んでいました。
これは戦いを続けて行く上では緊張感を忘れないのも大事ですが、何処かで息抜きをしないと余裕を持てず精神的に危うくなると考えての事です。
甲は空を失った記憶が
真も夜中に魘されて目を覚ます甲の姿は見ていた為、実体のない自分の代わりにクリスの同衾を許していました。 二人共甲の事が最優先である事は変わりないので、このくらいの妥協は出来ました。尚、悪夢を見た甲を寝かしつける為に情事に至った事も一回や二回ではない模様。
第2話『潜入ーSneaking Aweー』
タイトル英題は『敵地への潜入』。文字通り敵の所有する施設に潜入する話です。
原作ではヒロインと共に侵入する場面なので、真を迂闊に表に出せない以上当然パートナーはクリスです。
しかしフェンリル側からも人員を出さないワケにもいかないので、シゼルにノイと共に出て来て貰いました。
原作真ルートではこの二人と一緒に潜入する事になるので、基本的な流れは途中までは真ルートと一緒になります。 今作の前半は基本的に原作真ルートをベースにしていますので。
原作では一人の少女がジルベルト達に酷い目に遭わされる場面ですが、今作では神子の指示により少女達は全員あの装置に繋がれていた為、此処では出て来ません。
無駄な犠牲を出しても仕方ないですしね。まあ、どっちがマシかという話でもありますが。
そして再びXクリスが登場します。詳しくは次話解説で書きますが、実は最初からジルベルト達が来るのを待ち構えていましたので。
第3話『視線ーEvil Eyesー』
タイトル英題は『邪視』、もしくは『悪意の視線』で、甲達を覗き見ていたXクリスの視線を暗喩しています。
Xクリスは原作真ルートに相当する世界も見ていたので、当然此処でジルベルトがやって来る事や米内暗殺計画の事も知っています。
なのでそれを盾に上手い事ジルベルトにタラスクの試射を押し付ける事に成功しました。
Xクリスとしてもデータ採取の為タラスクの試射は必須ですが、悪戯に信者を減らしたくはなかった為に逃げ足
ジルベルトも現時点では依頼主の意向を尊重せざる負えない為、渋々引き受ける結果になりました。
甲のアドレスも知っていたので、秘密裏にメールを送る事も難しい事ではありません。
Xクリスとしては此処で甲に少女達を救出させる事で少女達に甲に対する執着を芽生えさせ、レヴィアタンの吸収能力を強化するのが狙いでした。
放置しても恐らく甲達は施設の奥へ向かったでしょうが、甲に話しかけたいという欲求を抑え切れずに話しかけてしまったという面もありました。
必死に抑えていても、狂的な愛情を向ける相手を前にしては冷静さを装うのも限界がありましたしね。
ちなみに、会話の中でジルベルトの神経を逆撫でした辺りで彼女の素が少し出ていました。
少しでもフラストレーションを解決する為に、良い反応をしてくれるジルベルトをおちょくってストレス解消をしていたのでしょう。
そして千夏とのエンカウント。 原作同様彼女は任務で此処に潜入するも、途中で敵兵に絡まれた際についカッとなって手が出てしまい追われる事になっていました。甲とのちゃんとした再会はもう少し後になります。
第4話『突入ーAdvancementー』
タイトル英題は『前進』『進歩』の意味。施設奥に向かって進撃する甲達の様子と、数年の傭兵稼業で成長した甲達の戦闘力を表しています。
原作のレインに代わり、今作では真がバッチリ甲をサポートしているので、スムーズに奥へ進んでいます。
実はレインも甲のサポートとして同行したかったのですが、流石にシゼルを差し置いて向かう事は出来ず、渋々引っ込んだ形です。
まあ、同行者がノイ先生だったので及び腰になったという理由もありますが。
密造業者のボスは難なく捕獲。 此処でノイ先生はNPCの少女に意識を移してやって来ます。 原作ではクゥ型海賊版NPCを乗っ取っていましたが、今作でクゥ型NPCは量産されていないので普通のNPCの少女となります。
ラストに出てきた巨大機械と神父で否応なく不吉な気配を漂わせ、次話で出て来る情報のインパクトを強める為、こういった繋ぎにしています。本編時間軸では神父は此処が初登場になりますね。
第5話『蠢動ーThe monster Risesー』
タイトル英題は『蠢く怪物』。当然レヴィアタンの事を指しており、レヴィアタン降臨が秒読み段階に迫っている事を暗喩しています。
此処で出て来る機械はレヴィアタンの
少女達の孤独感を集積して作成した疑似的なNPCデータを一つのオブジェクトに詰め込み、少女達の他者を求める渇望の思念を凝縮して歪めた状態で増幅させたものがあの匣になります。
つまりあれは、トランキライザーを作り変える為の寄生体のようなものです。
幾らトランキライザーとはいえ、
レヴィアタンを創り上げる上でAI抑圧能力を持つトランキライザーを取り込む事は必須条件だった為、トランキライザー側からXクリスへの干渉を防ぐ
トランキライザーにはパイロットの精神に干渉する能力もある為、そのスケープゴートを用意したワケですね。
ちなみにジルベルト達は神父の用意した
Xクリスとしてもなんとしてでもジルベルトにタラスクを使わせた上で身体を乗っ取る必要があったので、逃走を手助けした形です。
施設脱出後は千夏と再会。 今作の千夏はレインと衝突を繰り返した影響で元の快活さが維持されており、最初から甲に対して好意的です。
当然性格的にもクリスとは初っ端から喧嘩腰ですが。クリスも正面から向かって来る相手は好ましいので、新しい獲物がやって来たという認識です。
千夏をアークに寄越したこの時点での長官の思惑はミッドスパイアで目撃された神父の対処の為の協力要請です。
神父はバルドルシステムのある場所まで
尚、神父はこの施設から出た後すぐにミッドスパイア構造体に向かい、レヴィアタンの
トランキライザーを完全に作り変えるには時間がかかる為、一刻も早く行動を起こす必要がありましたので。
最後に名前が出て来る『タラスク』は、レヴィアタンの
あくまで
ジルベルトなら適当に『強力な兵器』だと嘯けば調子に乗って使ってくれるでしょうからね。
タラスクがリヴァイアサンに関係する名前である事は、勘のいい人は察する事が出来る筈なので、タラスクの名前を出して更に緊張感を高める狙いもありました。
少しずつその存在感を増して来るレヴィアタンの影に、作中の空気も不穏なものになっていく過程をきちんと描写したかったので。
実はラスボスのレヴィアタンをどういう形にするかを決めたのもこの頃だったんですよね。この時点ではラスボスをレヴィアタンの内部世界で対峙したリリスバフォメットをノインツェーンのような元の機体を合成強化したものにするか、レヴィアタンそのものにするか決めかねていたんですが、やっぱり最後は巨大ボスだろうという事でレヴィアタンそのものに決定しました。ラストバトルをレヴィアタン内部じゃなく現実世界にしないと、特異点を開いたりあの仲間集結シーンも出来ませんでしたので。
次回は第5節の解説になります。どうぞお楽しみに