BALDR SKY Another World /世界X+Ω 作:デスイーター
第六節『目覚めーAwakingー』
タイトル英題は『覚醒』『目覚め』の意味。この章では文字通り、超兵器レヴィアタンが遂に目覚めます。
此処から絶望的な敵を前にした戦いが開始され、暗鬱な空気が漂って来ます。
第1話『ミッドスパイアーin to the Fake Utopiaー』
タイトル英題は『偽りの理想郷へ』。理想都市を謳った情報統制された引き籠りの塔であるミッドスパイアの事を表しています。
話の冒頭でクリスが見たという夢は、Xクリスがこの世界に顕現した事を無意識に感じ取り、夢という形で哄笑するXクリスの姿を見たものです。
夢の中ではクリスはXクリスの視点で見ていた為、思わず自分の髪や眼が変質していないか確かめたワケです。
この時点でクリスは無意識のうちにXクリスの正体に勘づいており、直接対面した事で確信する事になります。
千夏ルート等でミッドスパイアに入るイベントがありましたが、ルートによっては
当然、大目的は真の実体の奪還です。今作では長官が全面的に味方である為、潜入もスムーズに行われました。原作では出来なかった事ですね。
そして此処でも長官はパパムーブ全開です。頭の固さが取れた彼はただの子煩悩な父親なので、娘であるレインや娘同然の千夏に関しては驚く程甘くなり、甲もかつて恋した女性の息子という事で好意的です。
原作でも
ちょっと思い込みが激しいだけで、子煩悩なのは元からだと思いますし。
この話は殆どミッドスパイアへ行く事になった経緯とミッドスパイアの簡単な紹介で終わります。
結局、表向き平穏なミッドスパイアの姿が描写されたのは此処だけでした。
第2話『調査ーTrue Investigationー』
英題はストレートに『真実の調査』です。真の実体に関するデータを探す為、米内の自宅を家宅捜索する回ですね。
此処で雅を同行させたのは、後から『米内の家宅捜索は雅が中心となって行い、彼が集めた証拠が全てだ』という事にする為です。
要は信頼出来て口が堅く、尚且つ本来は不正行為である事柄を黙ってくれる相手として甲の旧友である雅が選ばれたワケです。
結局、この後の混乱で報告書どころではなくなりましたが。
ほのぼのと修羅場りつつ、家宅捜索を行うシーンを描写しました。米内はガチガチの反AI主義者だったので、可能な限り
あの
ジルベルトが米内の息子であるという事実も此処で分かりますが、甲達にとっては大して重要視する情報じゃないので簡単に流されました。
米内がもう死んでいる以上、だからどうしたって感じですしね。
話の中で出て来るクローンは勿論ノイ先生です。読者は皆知ってますが、実は甲達は今作の最終話時点でもまだ知らなかったりします。告白する機会がありませんでしたしね。
長官は真の実体を隠すならバルドルの付近だろうと考えていましたが、確たる証拠もなしにバルドルの下へ行く事は出来なかった為、甲達には裏付けを取って貰った形になります。
ちなみに、グレゴリー神父の侵入経路の調査も重要でしたが、甲達の心情を慮って真の実体の奪還を優先しています。
実際この時既にドミニオンはミッドスパイアの構造体内に潜んでいたので、今更侵入経路を探ってもあまり意味はありませんでしたが。
第3話『発見ーUnexpected Trapー』
タイトル英題は『予想外の罠』です。これは真の実体を狙っていると見せかけ、真の実体の奪還をトリガーにレヴィアタン覚醒に向けて行動を開始したXクリスの作戦の事です。
甲達は真の身柄を一刻も早く押さえる事が重要だと考えていましたが、実際は全くの逆でXクリスとしては真の実体の奪還を今か今かと待ち続けていたワケです。
長官の先導で甲達はミッドスパイアの地下をバルドルに向けて進む事になりますが、そこで長官がクリスに養子の誘いを持ちかけています。長官はクリスの身の上は知っており、天涯孤独な彼女の保護者に名乗りをあげる事でクリスに恩返しをする心づもりでしたが、甲の目的を達成するまで腰を落ち着ける気のないクリスはその場で断っています。
長官は表向き納得していましたが、母性が有り余っている聖良さん同様父性が有り余っている長官だったので、内心しょんぼりしてました。
真の実体の奪還シーンは原作真ルートのラストとそう変わりありませんが、そのままエピローグになる原作と違い、まだ物語は途中…というか此処からが本番です。
Xクリスは真の実体が奪還された事で全ての条件が整い、本格的に行動を開始します。
予め神父や信者を潜入させ、真の実体の奪還と同時に作戦行動を開始しました。そして事態は、彼女が思うが侭に推移する事になります。
第4話『破面ーPersona Breakー』
タイトル英題は『仮面破損』もしくは『壊れた仮面』。つまり、遂にXクリスの素顔が明らかになる話です。
最初は雅と出会い、途中まで一緒に行動しますが、雅が殺しに慣れていない事に気付いた甲は強引に雅を戦線離脱させます。
此処で甲が雅を突き放していなかった場合、レヴィアタン覚醒時に無茶をして殺されていました。
本編内での雅の出番はこれで終了ですが、きちんと仲直りはしたのでアフターストーリーできちんと出て来る筈です。
彼は本来日常側の人間ですからね。日常側の人間が荒事の世界に踏み込んだらどうなるかは原作菜ノ葉を見てれば分かると思います。
というより、突出した特技がないキャラを目立たせる為には被害者枠にするしかないので、彼等のようなキャラが割を食うのは当然といえば当然なんですが。
真は此処での戦闘に干渉出来なくなってますが、それはXクリスが予め用意した真専用の
これは効果範囲内にいる真を強制的に
真専用プログラムだけあって強烈で、真の能力も一度
真にバルドルに干渉されるのはXクリスにとって致命傷となり得るので、過剰なまでに対策を行っています。Xクリスは明確な脅威が分かっていれば最大限警戒しますし。
甲達は急いでバルドルの下へ向かいますが、既にXクリス達は先回りして待ち構えていました。
作中で出てきた
神父が使用する際は彼一人しか移動出来ませんでしたが、Xクリスが使用すればマーカーさえ付けてしまえば軍勢を引き連れて行く事が出来ます。まあ当然、容量制限はありますけども。
ようやく甲と直接対面出来た事で、Xクリスは殆どタガが外れています。最初から『ドミニオンの神子』としての演技は忘れており、最優先で甲に話しかけています。
当然それを邪魔するものには容赦なんてなく、それがよりにもよって憎悪の対象であるクリスなので、あらん限りの罵倒をノンストップで垂れ流しています。
その様子を見てクリスは彼女の正体に確信を持ち、仮面を割ってその素顔を露わにしました。こうして、ドミニオンの神子の正体は白日の下で晒されたワケです。
Xクリスの白髪と赤眼は彼女の『狂気』と『手遅れ感』を助長させる為のデザインです。色素が抜け落ちた無残な白髪と充血で赤く染まり切った眼で人外感というか怨霊感をアピールしています。
実際、彼女の行動は未練に執着する怨霊そのものですしね。スケールが段違いではありますが。
第5話『降魔ーCall of Leviathanー』
タイトルは『レヴィアタンの呼び声』、つまりレヴィアタン復活の話です。そして、Xクリスの正体の暴露話でもあります。
甲がXクリスの記憶を見たのは、原作でトランキライザーがやった記憶の押し付けを利用したもので、レヴィアタンの核と化したトランキライザーの能力を使って甲に強制的に自分の記憶を見せたワケです。此処で、物語冒頭の台詞が彼女のものであると分かります。
Xクリスは
その後は原作の空のように手慰みとして他世界への干渉を行っていくんですが、既にノインツェーン・ウイルスの浸蝕を受けていたXクリスの干渉した世界は灰色のクリスマスの発生が避けられない運命にありました。
世界を繰り返す中でXクリスは正気を失って行き、当初の目的である六条クリスと門倉甲が結ばれる世界に到達する頃には既に精神は別物と化していました。
狂気の赴く侭自分を浸蝕していたノインツェーン・ウイルスを逆に乗っ取り、世界Ωへ至る為の干渉を開始します。
Xクリスの世界干渉は最初は彼女の境遇に同情したAIが協力していましたが、Xクリスの精神が変質する頃には彼女は既に干渉のノウハウを獲得しており、AIの協力なしでも干渉が可能になっていました。
なのでそうなってからは彼女は自力でAIをある程度抑圧する術を獲得し、干渉を継続していました。
ちなみに、Xクリスが記憶を見せようとしたのは甲だけですが、近くにいた事と同一人物同士である為、クリスにも一連の記憶は送られています。
その記憶を見た事で、クリスはXクリスの性根を看破しその評価を決定付ける事になります。
Xクリスに対するクリスの罵倒は、Xクリスのどうしようもない性質に対して抱いた嫌悪そのものだったワケです。
機体解説でレヴィアタンのデザインモチーフに『八大地獄』と書きましたが、要は次のようにレヴィアタンやXクリスの性質を表しています。
まず、己の目的の為に信者等無数の人を殺しているので大量殺人を犯した者が墜ちる『等活地獄』、鉄の山というレヴィアタンとの共通点から『黒縄地獄』、甲を求める愛という色欲から『衆合地獄』、レヴィアタンに押し込められた孤独から生者を求める無数の命なきものの叫びから『叫喚地獄』と『大叫喚地獄』、全てを焼き払う
この話でXクリスがレヴィアタンに埋め込んだ球体こそ、Xクリスの無意識の部分です。
これを埋め込む事でレヴィアタンは『パイロットが乗り込んだ』状態になり、起動しました。
既に狂気に染まった状態なので、フォースの憐のように長い時間をかけて孤独感で狂うプロセスはとうに済ませているので、レヴィアタンに内包された生者を求める意識を瞬く間に統合し、レヴィアタンの支配権を握る事になります。
第6話『浸蝕ーEden’s Invasion ー』
タイトル英題は『楽園の侵略』。この『楽園』はミッドスパイアの事であり、同時にXクリスにとってのレヴィアタンでもあります。
この話ではまず最初に神父によってこの世界の置かれた状況、即ち
実は神父が甲に覚悟を問う台詞の時、薄くではありますが久利原の意識が表に出ていました。久利原なりに甲へ激励を送りたかったので、神父の口を通じてどうにか激励の言葉を贈ろうと頑張っていましたが、その事にXクリスが気付いた為彼女は即座に神父ごと久利原を殺す決断を下します。
元々、クリスは亜季ルート最後の久利原の抵抗等を見て久利原の精神力には最大限警戒していたので、利用価値がなくなり次第即座に殺すつもりでいました。
久利原の電子体をこの時まで生かしていたのはあくまでレヴィアタンを完成させる為にアセンブラの作成者である彼の知識が必要だった為であり、レヴィアタンが起動した以上用なしと考え手を下しました。
Xクリスはあの
レヴィアタンが攻撃手段として用いた
よく心霊番組なんかで見る水辺から伸びる白い腕が何百、何千と集まって龍の形を形成したもので、レヴィアタンの『巨大な怨霊』というモチーフをアピールする狙いもありました。例をあげるなら、ハガレンのエンヴィーの本体のようなものですね。
そして此処で現れる量産型神父というパワーワードの始まり。これはバルドルに接続すれば神父になるなら、量産すれば戦力上がるよね?という考えと最終決戦で大量の雑魚敵が必要なので用意したものです。
実際にやるとマジで鬱陶しいと思います。とは言っても、この話の時点ではまだ顔見せだけですが。
ちなみに、此処で登場した三機のパプティゼインは後期型のパプティゼインよりは幾らかマシな性能になっています。
逆に言えばこれ以降に作成されたパプティゼインの性能は著しく落ちているんですが。
そして、この話でノインツェーンの
自分は最初から、ノインツェーンをラスボスにする気はありませんでした。
ノインツェーンがラスボスという業を背負っていたのは原作の話なので、それが終わった後までラスボスをやらせ続けるのは違うだろうと思ったからです。
しかし今作ラスボスのXクリスはノインツェーンの遺したものの影響をガッツリ受けているので、無関係というワケではありません。
こうして
ちなみに、この時点ではまだレヴィアタン内部の調整が終わっておらず今甲を取り込んでも即座の記憶改変が行えない為、此処で甲を取り込むつもりはなくわざと甲の脱出を見逃しています。
クリスと真は後の話で分かる通り何が何でも取り込むワケにはいかなかったので、渋々クリスも逃がしています。
まだXクリスの本体は
この節でレヴィアタンの目覚めまでが描写されました。遂に登場したレヴィアタンの存在によって、此処からどんどん絶望感が増して行きます。『無敵』って、下手に攻撃力が高いだけの相手よりどうしようもないですからね。