※この作品はR-18です。

BALDR SKY Another World /世界X+Ω   作:デスイーター

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 誤字報告をしてくれた方、評価を付けて下さった方々、ありがとうございます。今後も頑張って執筆していきますのでよろしくお願いします。


After Story Ⅰ/六条クリス・水無月真~三人の結婚・破~

「それで? 話って何かしら」

 

 アーク本社の裏手にある公園の中、噴水を背に立つクリスは開口一番そう切り出した。

 

 クリスの隣には無言で甲の様子を伺っている真の姿もあり、その表情は何かを察したのか真剣そのものだ。

 

 甲は思い立ったが吉日と、クリスと真をこの公園に呼び出したのだ。

 

 この公園を呼び出し場所にした理由としてまず挙げられるのは、何かあった時にすぐにアーク本社に戻れるようにする為である。

 

 甲は定時の勤務があるワケではないが、都市の復興を後押しする為毎日各所を飛び回っており、真とクリスは共に平日の日中は各々の勤務に従事している上に日中の勤務以外にも真は都市のセキュリティの調整、クリスは都市の警邏といった仕事がある為時間に余裕があるワケではない。

 

 復興が進み落ち着けばもう少し時間も取れるのだろうが、あの事件からまだ数か月しか経っていない現在では3人の毎日は多忙を極めていた。

 

 甲はレヴィアタンを倒した英雄として都市内では知名度が高く、クリスもその美貌と派手な活躍と仕事ぶりで人気を博している。

 

 真は仮想に籠って作業する事が多い都合上二人程目立ってはいないが、仮想ではあらゆる電脳工作を無効化し、ハッキングを仕掛けた相手に地獄を見せるアークお抱えの『電子の妖精』として恐れられている。

 

 一度反AI派のテロリストがアーク本社を狙って来た際には3人がシュミクラムに移行して瞬く間に制圧する大立ち回りを演じた為、一般市民にも彼等の実力はそれなりに知れ渡っていた。

 

 それ故に人通りの多い場所で三人が一堂に会すれば否応なく目立ってしまう為、場所的には街外れにあるこの公園を待ち合わせ場所に選んだのだ。

 

 そんな3人が男女の仲である事は、ある程度交流がある人々の間では周知の事実となっていた。

 

 クリスも真も日常的に甲に絡んで行く為、どういった間柄であるかは一目瞭然だからだ。

 

 二人同時に甲に絡む事も多い為、甲はハーレム野郎などという不名誉な仇名を頂戴する事にもなっていたのだが。

 

 しかし、これからその仇名を現実にしようと言うのだから、甲はどんな罵倒でも受け入れる気でいた。

 

 今から自分がしようとしている事は、傍目から見れば最低の所業である事は間違いないからだ。

 

「……まず、ごめん。俺は……二人のうちどちらかを、選ぶ事が出来なかった」

「……そう。それで? 言っておくけど、()()()()()()()なんて言ったら貴方を殺して私も死ぬわよ。まあ……その表情を見る限り、その心配はなさそうだけど」

 

 クリスは冗談めかしてそう言うが、甲と真は彼女の言葉が()()である事を知っている。 

 

 もしも此処で甲がクリス達との関係の清算を切り出せば、待っているのは3人分の死体である。

 

 甲の愛を得られなければ()()()()()()()()()()というのはクリスと真の共通した認識だ。

 

 本気になった生身のクリスに甲が抵抗出来る筈もなく、甲のいない世界に真を一人残すなどという()()()()などクリスに出来る筈もない。

 

 自分が死ぬ前に、キッチリ真の命を断って行くだろう。

 

 だが、甲の表情から()()()()()にならないであろう事はクリスも察していた為、本気の殺気を放ったりはしていない。

 

 自らの愛の為なら人死にも辞さないクリスだが、早とちりから思い込みで行動するような真似はしないのだ。

 

 クリスも真も、甲の次の言葉を待っている。甲は意を決し、その()()()()()を口にした。

 

「……悪いけど、今から最低の事を言うよ──叔母さんに頼んで、重婚を可能にして貰う。だから、二人共俺と結婚してくれ」

 

 ──甲は遂に、その告白を口にした。

 

 甲は罵声を浴びる事も覚悟で、二人の返答を待った。

 

「ええ、いいわよ」

「はい、せんぱ……いえ、甲さん」

 

 ──だが、返って来たのは満面の笑みを浮かべた二人の肯定の言葉だった。

 

 まさか罵倒もなしにそんな反応が返って来るとは思わず、甲は眼を見開いた。

 

「え……いいのか? だって、こんな非常識な事……」

「非常識でも、()()()()()()()()()でしょう? それに、貴方は優し過ぎるもの。私達の間に順位を付ける事なんて、出来る筈がないものね。むしろ、決断が遅過ぎるくらいよ」

「はい、見ず知らずの相手ならともかく、私も相手がクリスさんであれば否はありません。正直に言えば、こうなるんじゃないかなとは予想していましたし」

 

 二人は戸惑う甲に対し、苦笑交じりでそう告げた。クリスも真も、甲とは長い付き合いだ。

 

 彼の優し過ぎると称される性根を考えれば二人を比較して順位を付ける、などという()()()()()が出来るとは思っていなかったし、彼の周囲には様々な意味で強力な人材が並んでいる。

 

 普通なら無茶と思える事でも、彼の意向があれば実現出来る下地は充分に整っていたのだ。

 

 むしろ、これは順当な結果とも言える。

 

 クリスと真にしてもお互いの事は充分以上に理解しており、同時結婚にも否はない。

 

 実はこの事を見越して真とクリスは密かに共同で新居の案を練っており、甲の意向一つでいつでも事を進められるように準備していたのだ。実質四苦八苦していたのは、甲一人という結果である。

 

「……二人共、ありがとう。こんな優柔不断な俺を、受け入れてくれて」

「馬鹿ね。貴方がそういう人だと知っていて、好きになったのよ。むしろ、無理に一人を選ぼうとしていたら幻滅する所だわ」

「そうですね。こっちの方が甲さんらしくていいと思います。愛していますよ、甲さん」

 

 二人は共に笑みを浮かべ、それを見た甲もつられて笑い出した。

 

 こうして、常識も倫理も蹴飛ばしたプロポーズは成功に終わった。後はもう、突き進むだけである。

 

 

 ──結果として、聖良は甲の頼みを快諾した。

 

 聖良もまたこの展開を予想していたらしく、既に根回しは終えていた。

 

 桐島長官の全面的な協力もあって、1ヶ月で重婚可能となる法案は通ってしまった。

 

 今の世界は転換期の只中にあり、法整備も充分とは言い難かった。

 

 特にアーク本社が拠点としている清城市は一種の治外法権と化しており、普通ではまず通らないであろう法案も多くの人間に明確な不利益がない限りは通ってしまうのだ。

 

 しかもこの場合は統合軍のトップである桐島長官が何かと理屈を付けて後押ししており、むしろ通らない筈がなかったのである。

 

 

 3人は法案が実施された翌日に籍を入れ、即日結婚式を開催した。

 

 結婚式にはお馴染みの如月寮メンバーは勿論、フェンリルの面々や桐島長官、聖良さん、かつての傭兵仲間のマーカス等、甲達の事をよく知る面々が集まっている。

 

 聖良さんは「太陽が黄色い」と言いながらも実体で参加しており、マーカスは偶然近くに来ていた時に甲の結婚の話を聴きつけ、急遽参加したのである。

 

 傭兵訓練校でお世話になった教官もやって来ており、控室で挨拶した時には「末永く幸せにな、ファック!」と彼なりの言葉で3人を祝福していた。

 

 結婚式は順調に進み、純白の花嫁衣装を纏ったクリスと真が甲と共にバージンロードを歩いて行く。

 

 普通では考えられない光景だが、クリスと真の強い希望によりこうなったのだ。

 

 あくまで同時結婚である事を強調し、二人の間に優劣はないという彼女達なりのケジメでもある為甲も二人の意志を尊重しこの光景が実現したのだ。

 

 

「くぅぅぅぅ、悔しいぃぃぃぃ……っ! やっぱりあの二人には勝てないよなぁ……っ!」

「今は雌伏の時ですよ、千夏さん。重婚はもう可能になったんです。なら、3人目も4人目も断る理由はない筈です。なので、ええ……下手に動いてヘイトを稼ぐよりは、二人に取り入って好感度を高めた方が得策ですよね」

 

 バージンロードを歩く甲達を見てハンカチを噛んで悔しがる千夏とは対照的に、レインは黒い笑みを浮かべて千夏を励まして(唆して)いる。

 

 しかしその拳は固く握り込まれており、彼女も悔しさを押し殺しているのは明白だろう。

 

「……まさか本当に重婚するとは。私、あの二人を舐めてた」

「本当ですよねぇ。まさか重婚なんて真似を押し通すなんて、甲ったらもう……」

 

 同じく参列していた亜季は何処か含みのある台詞をこぼし、菜ノ葉は呆れたような様子ながらも複雑な表情で甲の姿を見つめている。

 

 菜ノ葉がこれからどう動くかは、亜季の動き次第とも言える。

 

「ハーレムに向けた第一歩だな。ふむ……ある程度人数が増えた後ならば、私が乱入しても構わないか……?」

「おいおい、お前まで俺の義娘になるとか勘弁してくれよな。おいまさか、本気じゃねぇよな?」

 

 ノイはからかうような調子で呟くが、後半の台詞は何処か真剣な様子がありその様子を見ていた永二は恐る恐るノイの顔色を窺っている。

 

 ノイが何処まで本気でそう言っているのかは、今はまだ分からない。

 

「甥のこんな姿を見られるなんて……現実も捨てたものじゃないかもね」

「当たり前だ。君はもう少し、現実を重要視する事を覚えるべきだな。健康の為にも、これからも定期的に離脱(ログアウト)してはどうかね。何にせよ、彼らが幸せならば私は満足だ。今後も助力は惜しまないとも」

 

 聖良は甲達の姿を見て感涙しており、そんな聖良を見て長官が溜め息交じりにそんな彼女に小言を言いながら満足気な顔で頷いている。

 

 彼等はこれからも、甲達を見守り続けてくれるだろう。

 

「……まさか本当にこうなるとは。聖良社長、凄ぇな。何はともあれ、あいつが幸せならそれでいいか」

 

 この展開のある意味元凶となった雅は溜め息を吐きつつ、素直に甲を祝福した。

 

 どんな形であれ、親友が幸せであるならば彼としても否はない。

 

 それが例え重婚という常識外れな形式だったとしても、幸福には違いないのだから。

 

『門倉甲さん。貴方は水無月真さんと六条クリスさんを己が伴侶と認め、永遠に愛し合う事を誓いますか?』

「──誓います」

 

 神父は色々な意味で縁起が悪いという事で、代役として結婚式を取り仕切っているAI(イヴ)の言葉に甲が厳かな声で応じた。

 

 そして、イヴは今度は真とクリスの方を向く。

 

『水無月真さん、六条クリスさん。貴方達は門倉甲さんを己が伴侶と認め、永遠に愛し合う事を誓いますか?』

「「誓います」」

 

 イヴの言葉に二人は迷いなく返答し、その言葉を聞き届けたイヴは笑みを浮かべ、言葉を紡いだ。

 

『では、誓いのキスを』

「「はい」」

 

 ──そして二人は同時に甲の頬に口付け、真、クリスの順で甲と唇を重ねた。

 

 その瞬間式場は盛大な拍手が巻き起こり、3人の結婚を祝福した。

 

 こうして、長い戦いを生き抜いた3人の少年少女は、遂に夫婦の関係となり、真の意味で結ばれたのだった。




 これが甲達が重婚に至った経緯となります。常識で考えるとアウトですが、今更彼女達が常識なんて気にするワケがないよねという話。常識なんかより甲との幸せの方が大事ですからね、彼女達は。
 さて、結婚式の次は…初夜ですね。初体験なんてとうの昔に済ませている三人ですが、それはそれとして次回は丸々濡れ場となります。エロ話は久々に書くから、筆が鈍ってなければいいけど…
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