DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
デビルマン・デーモン連合軍と悪魔特捜隊の攻防戦は、もう本部内に進んでいた。
俺はサタン……飛鳥了と共に本部に入り、中を進んでいく。
他のデーモンやデビルマンには敵の数を減らすことに集中させ、俺たち2人は中を進んで捕らえられている者たちの救出に向かう。
「まさか、君と共に戦う日が来るとは思わなかった。マジンカイザー」
「奇遇だな。俺もだよ、大魔神サタン」
距離を開けて歩きながら了は言う。
「今ならば前の君の望み通り、俺を倒すことができるかもしれない。どうする?どさくさに紛れて俺を討つか?」
「冗談を言っている余裕があるのかよ。おまえの言っていたことが本当なのかどうか、助かめるまでは生かしておくさ」
「俺は包み隠さず真実のみを伝える。君と博士に協力を頼む時に約束しただろ?」
飛鳥了は数日前に俺と爺に突然現れ、再度協力を申し出てきた。
その時の条件として、奴は世界の真実を伝えてきた。
そして、俺の魔神の力には特異点と言う強大な能力が関係していること。
内海明人も特異点の能力を有していること。
運命の日が迫っており、その日が世界が黙示録に進むかどうかを大きく分けることになることを。
奴の言葉を否定するには、俺たちには材料が足りなかった。
だから、俺は確かめることにした。
飛鳥了に協力し、世界の動向を見極める。
悪魔特捜隊を叩くことは、前から決めていたことだからな。
「今の俺にできるのは、戦うことだけだ。戦って人々を悪から救いだすことだけなんだ。そのためなら、世界を滅ぼした魔神とも手を組むさ」
「ふっ……大魔神サタンと魔神カイザの世界を超えた共闘か。悪くはないかもしれないな」
話している間に、周りを全身武装した白の強化スーツ部隊に囲まれてしまっていることに気づく。
奴らは俺と飛鳥了に銃火器を向け、敵意を露わにする。
「マジンカイザー、まさか我々を裏切るとは……。悪魔に味方したことを、死んで後悔するが良い!!」
「裏切る?それはこっちのセリフだぜ。人類を守るために作られた組織が、人間を苦しめている。おまえたちは、人類の敵だ」
両肩から小型のカイザーブレードを取り出し、両手で構える。
ショルダースライサー。乱戦時にはこれが向いている。
「人類の敵かどうかはわからないが、おまえたちを野放しにはできないな。ここで止める」
飛鳥了……デビルマン・バアルは周りに青白い光の球を12個展開し、光速で飛ばす。
そして、敵に迫る時には形状が剣となる。
「パールビット・ソードフォーメーション」
俺が近距離で敵を斬り、バアルは奴らの攻撃を光球で防ぎながら追撃してくれる。
もはや、人間だからと言って手加減はしない。
こいつらを叩かなければ、多くの人が苦しむことになる。
大切な人を失うことになる。
そんなこと、俺がさせない。
生きとし生ける者が明日を迎えられる世界にするためなら、俺はどれだけでも罪を背負ってやる。
例え、魔神の力に身体が侵食されようとも。
魔神の鎧が血に塗れながら、俺は最後の1人に迫る。
「お、おまえは……人類の希望なんかじゃない……。悪魔だ、魔王だぁああ!!」
震えて叫ぶ目の前の人間に対して、右手の刃を向ける。
「違う。俺は悪魔でも魔王でもない……魔神だ!!」
ショルダースライサーで首を刎ねれば、マスクに返り血を浴びてしまった。
「随分とあっさりと殺したものだな。人類を守り、悪魔を殺すのではなかったのか?」
「ああ、その通りだ。だけどな……こいつらの心は悪魔だ。身体は人間でも心が悪に染まれば、それは悪魔と同じだろ」
暗い向こう側を見れば、先から血生臭さを感じた。
バアルもそれを感じ取ったのか、息を飲みながら先に足を進める。
「兜甲牙、わかるか……。おそらく、この先に人質が居る。しかし……」
「言われなくてもわかってるさ。俺は逃げない。人間の善良な部分も邪悪な部分も、この目で確かめると決めたんだ」
先に進めば進むほど、血の臭いは強くなる。
そして、俺とバアルが見た者は、人間の愚かしくも残酷な部分を現していた。
血に塗れた数々の拷問器具。
断末魔の表情をしている死体。
その死体たちは暴力の限りを尽くされており、身体が引きちぎられているものや、四肢を切断されたものもあった。
「これが……人間の所業なのか。こんなことを人間はっ…!!」
「もはや、手の付けられない暴徒だな。……先を進もう。加藤夫妻を助け出さなければ、明人の運命を変えたとは言い難い」
「あ、ああ……」
人間はここまで愚かになれるのか。残酷になれるのか。
今なら、明人の言っていた言葉の意味が分かる。
人間だけが善なわけでも、悪魔だけが悪なわけでもない。
邪悪な人間の本性を目の前で確認し、周りから視線を感じた。
歯車のような拷問器具の真後ろに数人だ。
「隠れていないで出てこい、貴様ら!!」
俺の覇気に気圧され、数人の白衣を着た研究員が怯えながら出てきては逃げるように走り出す。
「うわ~っ!!」
「わぁああ!!」
「助けてくれ~!!」
奴らの前に先回りし、ショルダースライサーの刃を向ける。
「サタン、先に行け。俺はこいつらに用がある」
「……わかった。生存者の救出は俺がしよう。おまえは、今後の戦いのために折り合いをつけろ」
飛鳥了を先に行かせ、マスク越しに怒りの目を奴らに向ける。
「待ってくれ!!俺たちは殺していない!!」
「俺たちは好きでやっていたわけじゃないんだ!!」
「上からの命令で仕方なかったんだ……わかってくれよ!!」
奴らの主張を「黙れ!!」と言って一蹴し、刃を目と鼻の先に突きつける。
「外道が!貴様らこそ、悪魔だ!!」
こいつらは、骸を残すのもおこがましい。
胸板に意識を集中させ、熱光線を発射した。
「ファイヤーブラスター!!!」
「「ぎゃぁああああああ!!!!!」」
断末魔の悲鳴をあげながら消滅する奴らを見ても、虚無しか感じなかった。
「俺が守るべき者は、おまえたちのような人間じゃない……」
俺が倒すべき者は、邪悪な心を持った者たちだ。
その中に人間か悪魔かの選別はない。
俺の正義は……。
「待っていたよ、マジンカイザー。君がここに来ることは、神のシナリオには無くても予期できたことだ」
後ろから声が聞こえて振り返れば、そこにはサタンと瓜2つの顔をした男が立っていた。
「おまえはっ……!!何時の間に……背後に」
「君が気づかないのも無理はない。所詮は異なる次元の魔神の力を得ようとも、器は人間なのだから。人間と神
の境界を超えることは不可能だ」
余裕な笑みを浮かべる男からは、サタンとは違う異質なものを感じた。
血の空間の中、平然と笑みを浮かべる男に並々ならぬ不快感を覚える。
「おまえは一体……」
サタンの偽物というには、そのオーラが奴と酷似している。
しかし、正反対の何かだということは直感でわかった。
男は薄く笑みを浮かべ、背中から12枚の白い翼を広げる。
「私は人間を導く者。神の意に背く悪魔を退け、神の意のままに動く天界の使者。悪魔特捜隊を操り、内海明人もまとめて殺すつもりだったが、仕方がない……」
身体は黄金に光りだし、粒子が集まっては杖の形になる。
黄金の鎧をその身に装着した天使の名は……。
「我が名は大天使ミカエル。特異点の力を持つ者、兜甲牙。その命、神に返すがいい」
どうやら、本当の戦いはここかららしいな。
俺はショルダースライサーを構え、刃をミカエルに向けた。
遂にミカエル戦です!!
マジンカイザーがどこまで食らいついていけるのか、サタンとの兄弟対決はあるのか。
ご期待ください。