※この作品はR-18です。

DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~   作:カナト

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人質

 デビルマンの姿になり、純白の鎧で防御に問題は無くなった。

 しかし、いつ攻撃を仕掛けてくるかもわからない相手にどう対抗すれば良いのか。

 影から仕掛けてくると言うことは、1つだけ対策がある。

 

 俺はリビングの電球を全て壊し、まだ明かりがついている廊下に出る。

 

〈敵前逃亡ハ許サンゾ。貴様ハココデ死ヌノダ!!〉

 

 影からザナクが姿を現せば、俺は小鬼のデーモンの頭を真っ正面から無言で掴んだ。

 

〈ナ、ナニ!?〉

 

 ザナクは目を見開いて冷や汗をかき、フルフェイスのカラスのマスクをした俺の無表情を見る。

 攻撃してくるときに必ず影から出てくるのならば、その方向を絞れば良い。

 リビングから廊下に一本の影のみを作り、その直線上に入ることでザナクの出現地点を絞ったのだ。

 

「おまえを…潰す!!」

〈マ、待テヨ!イ、イイコトヲ教エテヤル。貴様ノ恋人ノ事ダ!!〉

「美佐紀のこと……だと?」

 

 ザナクは何度も頷き、ギラギラした目で俺を見る。

 

〈コノ家ニ襲撃ニ来タノハ、俺ダケデハナイ。コノ『ザナク』ガ貴様ニ襲撃シニ行ク間ニ、貴様ノ恋人ハ別ノデーモン、水ノ悪魔デアル『ゲルマー』ガ…〉

「何だと!?」

〈ナ、ナ、良イ情報ダロ!?ダカラ、俺ヲ見逃シ――〉

 

 俺は怒りに任せ、ザナクの頭を握り潰した。

 そして、そのまま急いで風呂場に向かった。

 

「心に誓ってすぐにこれか!!美佐紀、今行くからな!!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 美佐紀は湯船に浸かると、気分良く鼻歌を歌いだし、その様子をゲルマーが湯の中から眺める。

 

〈デビルマンニ心ヲ奪ワレタ女ヨ。ニクス様ガ命ニヨリソノ身ヲ捕エサセテモラウゾ。ソノ美シイ身体ヲ傷ツケヌママデナ〉

 

 頭の中に直接声が響き、美佐紀はとっさに立ち上がって周りを見る。

 

「あ、明人くん…?もう、覗きなんてしなくても後で全部見せちゃうのに~。せっかちなんだから」

 

 両胸と股間を両手で隠して苦笑いしながら言うが、返事はない。

 暖かい風呂場で美佐紀は額から冷や汗が流れてくると、そのまますぐにそこを出ようとした。

 すると、風呂の湯が洗濯機のように回りだし、彼女の身体は足を取られて中央に寄せられる。

 

「な、何なの、これは!?きぁああ~~!!」

 

 湯は上に向かって渦を巻き、美佐紀の身体全体が湯に囚われる。

 その時、息ができずに苦しんでいる美佐紀は喉をおさえながら頭の中に違和感を覚えた。

 

(あれ?あたし……前に1度、これと同じような状況になったことが…!!)

 

 風呂場の構造も違うし、風呂に入った目的も今みたいな特別なものではなかった。

 だけど、この感覚にデジャビュを覚えている自分が居ることに、美佐紀は今の異常な状況よりも心が引き付けられた。

 

(確か、あの時……明人くんに似た誰かが…)

 

 薄れ行く意識の中、美佐紀は頭の中の明人と、見たこともないコウモリの頭をした人間のような何かが重なって見えた。

 

〈捕ラエタゾ、デビルマンノ恋人ヲコノ『ゲルマー』ガ!!サァ、ニクス様!!〉

 

 ゲルマーが名を呼ぶと、水の中から褐色の肌をした男がローブを着たまま出てきた。

 

「でかしたぞ、ゲルマー。あとは、この私が」

 

 湯の中に手を突っ込むと、美佐樹の外観を氷らせていき、全裸の彼女を氷の棺に閉じ込める。

 

「これで、あの方の命令の1つを達成できた。あとは『この世界のデビルマン』である内海明人を…」

 

 名前を口に出すと、噂をすればなんとやらで目的の人物は現れた。

 

「おまえら……美佐樹をどうするつもりだ…」

 

 俺は必死に怒りを抑え、ニクスとゲルマーに近づく。

 すると、ニクスは俺を見て頭からローブを取る。

 

「貴様がデビルマンか。見る限りではあのアモンを退ける程の実力は見えないが、その覇気は本物のようだな」

「おまえの見解はどうでもいい。美佐紀を解放しろ。でなければ、おまえを…!!」

 

 ニクスと俺が睨み合っていると、ゲルマーが奴の前に出る。

 

〈ニクス様、デビルマンハコノ私に!!〉

「貴様が敵う相手ではない。加藤美佐紀を、あの方の元に連れていけ」

〈シカシ…!!〉

 

 ゲルマーが反論しようとすれば、ニクスは目から冷気を発しながら奴を見下ろす。

 

「俺の命令が聞けないのか?」

〈ソ、ソレハ…〉

 

 ニクスとゲルマーが呑気に会話をしている所を俺が熱を帯びた右手をゲルマーに突っ込む。

 すると、ゲルマーは『グギャァアア!!!』と悲惨な叫びをあげて蒸発して死んでいった。

 ニクスはそれを見てニヤッと笑う。

 

「敵の前で話すなんて、随分と余裕なんだな」

「……これは失礼した」

 

 ニクスは手から吹雪を出すと、俺の目をつむらせる。

 そして吹雪が止んで目を開けると、そこには誰も居なかった。

 頭の中に声が流れる。

 テレパシーだ。

 

〈加藤美佐樹を返してほしければ、裏山の頂上まで来るがいい。そこで勝負をしてやる。それまでは、この娘の命は我が手の中にあることを忘れるな〉

 

 俺は変身を1度解除し、すぐに家を出て裏山に全速力で走って向かう。

 

「おまえ…どうして、そこまで!!」

〈貴様と戦いたいからさ。デーモンの本能は闘争に偏る。そして、異性に対する獣欲も高まる。貴様が俺の元に来なければ……わかるだろ?〉

「貴様……ニクスっ!!」

〈そうされたくなければ、速く来ることだ。デビルマン、内海明人よ!!〉

 

 ニクスからのテレパシーが切れた。

 俺の怒りは、既に頂上に達している。

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