DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
これは現実なのか。
眼前に広がるのは、火の海と焼け野原。
聖域が崩壊し、多くの人間の泣き叫ぶ声が聞こえる。
男は焼却し、女は恐怖で震えあがる。
それを見下ろす俺は、一体……。
人ならざる巨大な黒い手の中には、驚愕の表情で俺を一点に見つめる沙織が居る。
助けるつもりだった。
救うために使う力のはずだった。
『グルァアアアアア!!!!』
後悔が雄叫びと共に吐き出され、口から黒い炎が放射される。
腕の両翼をはためかせれば、暴風が地上を襲う。
手からは紫の雷が放電し、空を飛び交う鳥たちを襲う。
地上は燃え、海は荒れ狂い、雷雨が俺の頭上に螺旋を描きながら集まる。
巨大な黒い脅威に、島の住人の多くが絶望を感じていた。
今の俺は人間の形状を留めておらず、巨大な黒い怪物となり果てている。
その力は強大であり、恐れで俺の力に抗う者は居ない。
圧倒的な力そのものであり、絶対なる恐怖の覇者。
そう……今の俺は、魔王という言葉が相応しい。
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-5時間前ー
外道どもの襲撃から1週間が経ち、俺も聖域での生活に慣れて来ていた。
あれからは平和だったが、俺自身のことは何もわからないまま。
毎日毎日、同じ夢を見るだけだった。
夢を見る回数が多くなればなるほど、身体から力が湧き上がってくる。
この力は一体、どこに向かわせればいいのだろうか。
常に自身の存在意義に悩む今日この頃だった。
そんな中、アイラが俺を呼びよせて宮殿に集まる。
そこには剣や槍を持つ女が並んでおり、そこには沙織やユリアの姿も見えた。
静けさが逆に場の空気を重くしている。
アイラと対面していると、彼女からは真剣な表情が見える。
「急にお呼びたてして申し訳ありません、ダンテ」
「……部外者の俺を呼び出すってことは、ただ事ではないようだな」
アイラが横に居る側近の女に視線を送れば、女から1枚の折りたたまれた紙を手渡された。
それを開けば、血文字でこのようなことが書かれていた。
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今宵、日が没する時、ダンテとの一騎打ちを所望する。
狭間の地に1人で来られたし。
待ち人が参らぬ時、我らが聖域を崩壊させること忘れるべからず。
ケイ
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「古風な言い回しだが、言いたいことはシンプルだ。果たし状か」
ケイ……確か、あの外道どもの首領か。
俺を目の敵にしているらしい。
「これが巻かれた矢が、早朝正門に刺さっているのを確認しました。ケイはあなたに狙いを定めたようです」
「……俺に行けと言う事だな?」
「無理強いはできません。あなたが決闘に行かないのであれば、我々に戦う意志はあります」
「ふむ……」
腕を組んで考えるダンテ。
ケイからは常人を超えた何かを感じた。
それは俺の記憶と何か関係しているのかもしれない。
あいつと戦えば……。
1つの可能性が頭をよぎり、心が決まる。
「良いだろう。俺が行く」
「ダンテ!?」
沙織が目を見開いて名を呼び、歩み寄る。
「大丈夫なの?私も一緒に……」
「心配ない、俺1人で十分だ。おまえは聖域を守っていてくれ」
「……わかったわ。気を付けて」
沙織は納得していないようだったが、渋々頷いて下がる。
「申し訳ありません。私たちのために……」
「それは違うぞ、アイラ。今は聖域が俺の居場所だ。ここを守ることができるなら、俺にできることをするだけだ」
アイラたちに背を向け、宮殿を出て外の風に当たる。
ケイ……一体、何を考えている。
俺への敵意だけで動くようには思えないが……。
外道の思考はよくわからん。
しかし、1つだけ確かなことがある。
相手は俺と戦いたがっている。
それなら、この内に秘めている力が何なのかがわかるかもしれない。
「少なくとも、発散くらいにはなるかもしれないな」
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ダンテが宮殿を出た後、戦士たちは解散となる。
彼の後を追おうとする沙織の前に、ユリアが立ち塞がる。
「沙織、何故あの男にそこまで肩入れする」
「……何の話?そこ、退いてくれるかしら?」
「そうはいかない。あの場では身を引いたが、ダンテの後を追うつもりだろ?」
否定も肯定もせず、沙織は澄ました表情でもう1度言う。
「そこを退きなさい、ユリア」
「ダメだ。ダンテにおまえを渡すわけにはいかない」
「私はダンテの世話係よ。それ以上でも以下でもないわ」
「……本当にそれだけか?」
ユリアは彼女と距離を詰め、柱まで後退りさせては手を顔の横に押し合てる。
そして、沙織の唇に自身の唇を重ねた。
「んっ!?————っ、何するの!!」
すぐにユリアを押しのけて距離を取り、沙織は腰にさしている剣に手をかける。
「私にそっちのケはないわ!!」
「男に人生を滅茶苦茶にされた私たちだ!!男なんかに、おまえを取られたくない!!」
「私はあんたのものじゃない!!」
殺気立つ沙織を前に、ユリアは両手を挙げて不気味な笑みを浮かべる。
「私はおまえを愛している。本当さ」
「嬉しくない告白どうもありがとう。私はあんたが大っ嫌いになったわ。消えて!!」
沙織から離れていくユリアの笑みは消えず、消えそうな声で呟いた。
「これで邪魔者は消える」
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男たちの集落は近代的であり、聖域とは対照的な場所だった。
廃墟のような建物が多く、その中では男や聖域から追放された女たちが欲望のままにその日を生きる。
男が女を犯し、動植物を食らい、気に入らない者を殺していく。
自身の力と欲望が他者より強ければ生き残り、弱ければ死んでいく世界。
この世界の頂点に立つ者は、頂で椅子に踏ん反り返って見下ろしている。
「ケイ様、約束の時間まで残り2時間ほどかと」
「そうかぁ。なら、そろそろ俺も準備をするか。ヒミコ、手伝え」
「承知しました」
ヒミコと呼ばれた女は黒いドレスに身を包んだショートボブの美女。
その唇も黒に塗られている。
「クックック、たぎってくるぜ。俺と対等に渡り合える敵が居るって良いものだなぁ。女を抱いてる時よりも興奮するぜ……戦いって奴はよぉ……」
上着の下は裸であり、その背中には髑髏の刺青が彫られている。
身体から力が溢れてくる。
暗い陰に視線を向け、不敵な笑みを浮かべる。
「おまえたちには感謝しているぜぇ。……ゴーゴン大公」
「そう言う割には、適応するのに1週間はかかったようだがな」
上半身は緑色の人間、下半身は虎の悪魔が姿を現す。
「無茶を言うなよ。俺はおまえたちみたいな生粋の悪魔じゃないんだぜ?力をコントロールできているだけでも褒めてほしいもんだぁ」
上半身の至る血管が浮き出し、皮膚が硬質化していく。
「おいおい、こいつもダンテと戦いたくてうずうずしているようだぜぇ……。なぁ、魔将軍ザンさんよぉ」
ケイの影が、異形に変わる。
ちょっと変わった書き方をしてみました。
結果を先に出し、その後に経緯を出していきます。
この『覚醒』の話が終わったら、そろそろクロスオーバーかなぁ。