DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
沙織は現実を受け入れられず、ダンテを一点に見つめていた。
彼の目は輝きを失い、身体も動かないようだ。
もはや、死んでいるのかもしれない。
「沙織ぃ‼沙織ぃ‼沙織ぃ‼」
ユリアの肉棒の感触もわからない程に、沙織の心は無だった。
しかし、身体はあの不快な感触を覚えている。
こういう時、自分は無力なのだと受け入れた時、幾分か心が楽になるのだ。
自分は無力だから、ユリアに犯されている。
その現実を受け入れた。
「おいおい、ユリアだけじゃなくてよぉ。俺のことも愉しませてくれよぉ‼」
そう言って、ケイは沙織の頭を掴んでは剥き出しになった肉棒を彼女の口に突っ込んで前後に動かす。
「んっ!んっ!んっ!んんっ!」
口はケイに犯され、陰部はユリアに。
この感覚は、忘れたかったものだった。
しかし、身体が忘れさせてくれない。
全てが、無力だったから起きてしまったこと。
今の彼女には、全ての人間が欲望を制御できない獣にしか見えなかった。
外道の集団は3人を囲み、下品な笑いとよだれを垂らして行為を見ている。
次は自分たちの番だと期待するように、ズボンを下ろしてはその粗末なものを露わにしている。
ダンテの身体になど目も行かず、全ての視線が沙織に集中する。
視姦されていることに対する辱めや屈辱までも、彼女の心を追いつめていく。
「沙織ぃ‼良いよぉ‼もっと、私を感じさせておくれぇ‼」
ユリアの声が耳に届く。
「おらっ!もっと奥の方までしゃぶれよ‼美味いだろ、俺のモノはよぉ‼」
ケイの声が不快感を増していく。
「兄貴ぃ‼次は俺たちに回してくだせぇ‼」
「あの女、1度喘がせてみたかったんでさぁ‼」
「俺の技でヒィヒィ言わせてやるぜぇえ‼」
外道どもの声がうるさい。
全てに対して、気持ち悪さを感じる。
もはや、助けは来ない。
いっそ、死んだ方がマシだと思う。
しかし、外道どもはそう簡単には死なせない。
たっぷりと苦しませ、絶望を味合わせた後に殺す。
沙織はもはや、外道どもの玩具に成り下がろうとしている。
全ての者が、ここから先は地獄の乱交ショーになると思っていた。
精液に塗れた沙織が、最終的に堕ちては自分から求めるようになると思っていた。
その場に居る者すべての想いは、たった1つの異変によって崩れ去った。
地面が急に揺れだした。
まるで大地が何かに怯えて振るえているかのように。
「な、何だぁ!?地震かぁ!?」
「地震!?んなわけあるかよ‼この島でそんなことが起きたことなんて1度も無かったはずだ‼」
多くの者が経っていられずにその場に膝を付き、いつ終わるともわからない地震に耐えている。
その中で1人、立ち上がってケイたちに近づく男が居た。
それはダンテだ。
しかし、その姿は近づくことによって段々と人のものから逸脱していく。
身体は徐々に巨大化して腰からは長い尾が伸び、両腕からは翼のような物が広がり、頭からは2本の角が伸びている。
その漆黒の身体は剛毛に覆われ、顔まで獣のように変わっていく。
止まらぬ地震を物ともせず、ダンテは歩を進める。
その光景はさながら、外道どもがダンテに膝をついて首を垂れているかの様である。
足は歩くたびに地面にめり込み、地震に更なる衝撃を与える。
そして、外道の1人の横を通り過ぎれば、その男は何かに圧縮されたかのように「ぎぃやぁあああ‼‼」と悲鳴をあげると共に消滅した。
歩くことすらままならず、身動きが取れない。
その中で、ダンテが近づくだけで外道どもは1人、また1人と消滅していく。
「何だ……あれは……一体!?」
ケイはダンテを見ながら、思考が停止していた。
ただ、死んでいく部下たちと自分に近づいてくるダンテから目が離せず、変身する気力すらも無くなっていた。
漆黒の獣の口からは吐息が漏れ、その目にはケイとユリア、そして多くの外道どもしか映っていない。
<……許さない>
ダンテは言葉を発し、怒りの目を向けながら行進しては周囲の外道を消滅させていく。
そして、ケイとユリアの前に辿りつけば、最初に彼女の頭を掴んで持ち上げる。
「い、いやぁあああ‼‼離せっ……離せよぉおおお‼‼」
じわじわと掴む力は強くなっていき、その目や鼻、耳からは血が漏れ出てきている。
ユリアは必死に抵抗して手を離そうとするが、ただの人間の力では今の彼には遠く及ばないだろう。
<俺は……許さない。……おまえたちを……根絶やしにしてやるっ…‼>
ユリアは苦しみ、悶え、手足をジタバタさせる。
「痛いっ!痛い痛い痛いっ‼やめろぉおおおお‼‼やめてくれぇえええええ‼‼」
その悲痛な叫びもダンテには届かず、果てには――――。
ビシャグリっ‼
まるでリンゴを握り潰すが如く、ユリアの頭は潰れてしまった。
身体は地面に落下し、それを巨大な足で踏みつぶしては次にケイを見る。
<次は……おまえだ……>
ダンテの手がケイに伸びれば、掴まれる前にゴーゴン大公が現れては彼を回収して逃げる。
「ご、ゴーゴン大公!?」
『今は退却だ‼今の我々では、あの悪魔には勝てるわけがないのだ‼』
担がれながらも、巨大な悪魔とかしたダンテから目が離せないケイ。
「あれは……あれは一体……何なんだ!?」
ゴーゴン大公は1度背後を振り返り、ダンテを見て歯を食いしばる。
「あれは……王だ。悪魔の王だ……‼新たなる魔王が……目覚めてしまったのだぁあ‼」
ゴーゴン大公たちを見つめ、ダンテの中で怒りが込み上げる。
<逃ぃげぇるぅなぁああああああああああ>
雄叫びともとれる怒声を発し、角から雷撃を空に向かって飛ばせば、黒い雲が広がって雷が鳴り響く。
そして、ゴーゴン大公に無数の雷が降り注いでいく。
虎は全速力でかけて雷を回避し、直撃しそうなものはゴーゴン大公自身が槍で薙ぎ払う。
「これはまだ、覚醒の序章のはず……。それでこれほどの威力とはっ…‼」
森の中に逃げたゴーゴン大公の姿はもう見えず、行き場のない怒りを吐き出すように、周囲の森に口から火炎を放射する。
両翼をはためかせ、暴風を起こす。
炎は風によって森に燃え広がっていく。
雷は島全土に降り注ぎ、風は草木や岩石までも吹き飛ばしていく。
<グルァアアアアアアアアアアアアアアアアアア>
雄叫びを挙げるダンテの姿を見て、沙織は目に光を取り戻していく。
(あれは……夢で見た。巨大な……怪物!?)
怪物とリンクする今のダンテの姿に戸惑いつつも、彼女は獣に呼びかける。
「ダンテ‼落ち着いて……ダンテぇええ‼‼」
沙織の叫びが獣に届いたのか、彼女を見下ろすダンテ。
<さ……お……り……>
名前を口にすれば、彼女に向かって手を伸ばす。
その時、自分の手が人間のものではないことに気づく。
これは……俺は……一体!?
異形の手を持ち、沙織の姿が人形のように小さく見える。
辺りを見渡せば、森が燃えており、空と風が鳴いている。
鋭敏になった聴覚が、島全土の悲鳴を捉える。
「助けてくれぇえええ‼‼」
「どうして、こんなことに!?何が起きてるの!?」
「死にたくねぇ……死にたくねぇよぉおおお‼」
「みんな‼宮殿内に避難して‼速く‼」
男も女も関係なく、苦しんでいる。
身体が意志に関係なく、沙織を掴んで離さない。
<俺が……俺はっ…‼俺はぁああああああああああああああああ‼‼‼>
これが王の力。
これが覇道の力。
これが、魔王の力だとでも言うのか!?
沙織を掴む手が無意識に強くなり、彼女は苦しそうな顔を浮かべる。
「だ、ダン……テっ‼落ち……着い…てっ…‼苦しっ……‼」
彼女を解放しようにも力が制御できない。
やめろ……止めてくれ‼
沙織は殺したくないんだ‼
止めろ……止まれ、俺の手‼
止まれぇえええええええ‼
誰でも良い‼
俺を……魔王を……止めてくれぇえええ‼‼
その声は全て、獣の雄叫びに変わっていて誰にも届くことはない。
しかし、空に向かって雄叫びをあげた時。
雨雲から一筋の光が差しこみ、巨大な赤い鳥が舞い降りる。
そして、その鳥から2つの白と青の光が降下してくれば、俺の耳にこの掛け声が届いてきた。
「デビルっ‼」
「マジン……ゴー‼」
今、この時より、3つの物語が交錯する。
覚醒編、終了ー‼‼
魔王ダンテの力が目覚め、それが制御できずに暴走してしまうダンテ。
大切な人を殺したくないという想いが届いたのか、空から2つの希望が舞い降りる‼
はい、次回は……サブタイトル見たら一発でわかるので、次回までのお楽しみに‼