DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
そうです!やっと、主役が出そろってのクロスオーバーです!
お待たせしました。
ここからは明人sideです。
日本列島から離れた孤島。
コードネーム『魔戒島』。
数日前より、この島で異常なほどのエネルギー反応が観測された。
魔戒島には古くから、悪魔や神話に関わる重要な資材があるとされており、了さんも1度は視察に赴こうとしたがどうやっても接近できないまま終わったらしい。
何かに拒まれているかのように、外からの来訪が許されない聖域と言った方が良いのかもしれない。
そんな場所に俺が向かうことになった理由については、今はやめておこう。
少し複雑な話になるからだ。
俺は今、兜博士の開発したサポートメカであるミネルバXの操縦するカイザーパイルダーに乗りながら、もう1人の戦士と共に魔戒島に向かっている。
「甲牙さん、明人さん、そろそろ魔戒島上空に到着しました」
「……もう、か。速いな」
「カイザーパイルダーをそこらのジェット機にされちゃ困るぜ。こいつは日本全国、どこにでも最短10分で到着できるように開発されているからな」
「それは驚いた」
甲牙のわけの分からん自慢を聞き流しては、下の雨雲を見て不穏なオーラを感じる。
「下はとんでもない天気になっていそうだ」
「島全土を被っている雨雲からは、少量ながら悪魔と同じエネルギー反応が観測されています。地上には既に悪魔が出現している可能性もありますね」
「これで少量かよ……魔戒島にも、強大なデーモンが居るってことか」
「もしくは、デビルマン……白藤の可能性もあるな」
白藤の名を口にすれば怒りが込み上げてきたが、すぐに頭を切り替える。
ミネルバが操縦パターンを変え、俺たちの方を見る。
「これより、魔戒島への降下シークエンスに入ります。お2人とも、変身の準備はできていますか?」
「当然だぜ」
「大丈夫だ」
甲牙は腕輪を、俺はベルトを確認していつでも変身できるように構える。
「島に到着次第、すぐに戦闘になる可能性は高いです。お2人とも、お気を付けて。特に甲牙さんは、無茶しないでくださいね?」
「特にって言葉が気になるけどよぉ……。まぁ、了解だ」
ミネルバが「それでは、降下開始します」と言えば、カイザーパイルダーをその場で旋回させて最高点まで加速させる。
そして、雨雲を突っ切っていき、ハッチが開いた。
「それでは甲牙さん、明人さん……ご武運を‼必ず迎えに来ますからね!」
俺たちは同時に頷き、カイザーパイルダーから出て降下した。
風が強く、雷が轟いている。
島を見れば、ほとんどが火の海の状態だ。
そして、何よりも気になるのは、所々で聞こえてくる獣の雄叫び。
この悲しそうな声……どこか、聞き覚えがある。
「おい……おい、明人!変身しねぇと死ぬぞ!?」
隣を降下している甲牙が変身を促してくるが、その前に視界に入った巨大な影を指さす。
「あの黒いシルエットを見ろ、甲牙‼あれは……」
見覚えがある影だった。
しかし、もう実在しないはずだ。
奴は、俺の目の前で確かに……。
甲牙も影を見ては、左手の腕輪に右手を持っていく。
「この事態はあいつの仕業か…‼」
「まずはあいつを止めるぞ‼」
「言われるまでもねぇ‼」
俺と甲牙はそれぞれベルトとブレスレットに手をかけ、力を解放した。
「デビルっ‼」
「マジン…ゴー‼」
白い光と青い光を放ちながら変身を完了し、同時に翼を広げては落雷を回避して黒い巨大な悪魔の元に飛来する。
その時、悪魔の左手に全裸の女が握られていることに気づいた。
「女が捉えられている。マジンカイザー、奴の注意を引きつけてくれ」
「了解したぜ、デビルマン・ゼロ‼」
マジンカイザーは兜のスロットを展開し、こちらに炎を吐く悪魔に対して竜巻で対抗する。
「ルストトルネード‼」
炎は火の粉になって分散していき、悪魔の目はマジンカイザーに向いている。
その間に俺は苦しんでいる女を解放するために死角をつき、両腕の3枚の刃を展開して左手を斬りつける。
「
痛みによって悪魔は『がぁああああ‼』と悲鳴をあげて苦しみ、女を手から解放する。
すぐに女を両手で抱きかかえて救出するが、彼女は涙を流しながら悪魔に向かって手を伸ばす。
「ダンテぇええ‼‼」
ダンテ?それがあの悪魔の名前か。
燃え盛る地上には、彼女を下ろせる安全な場所はない。
彼女を抱きかかえたまま空中を飛び回り、声をかける。
「あんたは、あの悪魔が何なのかの知っているのか?」
「悪魔じゃない‼……ダンテは……彼は…‼」
女は彼を形容する言葉が見つからず、涙を流しながら目を伏せる。
「ダンテ……。奴は、あんたにとって何なんだ?悪魔とか人間とかは関係ない。あんたの気持ちを聞かせてくれ」
目の前の黒い悪魔は、マジンカイザーと戦いながら悲痛な声をあげている。
「光子力ビーム‼」
目から光線を放ち、悪魔……ダンテは両手の翼を交差させて防御して受け止める。
悪魔の力と対極をなす光子力に持ちこたえるだけの力を持っているのか。
ただの悪魔じゃない。
ゼロと同等の力を持っているかもしれないな。
ダンテは俺と彼女に視線を向け、怒りの表情を浮かべる。
そして、頭に直接声が響いてきた。
<沙織を……返せぇえええええええ‼‼>
俺たちに手を伸ばすダンテの背後からは、無数の黒い手が伸びてくる。
「少し荒っぽくなるぞ、しっかり捕まっていろ‼」
「え!?」
女の戸惑いも気にしている余裕はなく、急加速をして黒い手から逃げる。
黒い手はカイザにも迫り、それを胸から長剣を抜いて切り捨てる。
「ゼロ、どうする!?このままだったら、防戦一方だぜ!?」
「っ‼……わかってる」
殺そうと思えば、俺とマジンカイザーならばすぐにでも殺せるだろう。
しかし、今腕の中に居る女はダンテを想い、涙を流している。
それが奴に対する攻撃を躊躇わせる。
俺は女に視線を向けて問いかける。
「あんたはどうしたい?」
「えっ……」
「俺たちは多分、奴を……ダンテを倒せる力を持っている。それは彼を殺すってことだ。俺たちは、ダンテを殺しても良いのか?」
これは俺自身の躊躇いを彼女に重ねてるだけかもしれない。
目の前で苦しんでいる悪魔を助けたいと思っている。
何の接点もない、悲痛な叫びをあげる怪物を。
その姿が、俺に憎しみに溺れる者の末路を教えてくれた勇ましい王と重なってしまう。
あの時とは違う。
今度こそ、俺は……。
しかし、救いたいと思うのは俺の自己満足かもしれない。
だからこそ、彼女に決断を託す。
女……沙織は、雄叫びをあげながら暴れるダンテを見て、悲し気な顔を浮かべる。
マジンカイザーは、俺たちからダンテの攻撃を防いでくれているがそろそろ限界に近い。
「おい‼どうするんだ!?俺1人じゃ、あと少ししか持ちこたえられねぇぜ!?」
沙織の表情からは迷いが見える。
その迷いがいかなるものなのかは、俺にはわからない。
しかし、それを首を横に振ることで払い、強い眼差しで俺を見る。
「ダンテを……助けてあげて。彼は本当は……こんなことをするような人じゃない‼だから、あなたたちにできるなら……彼を救って…‼」
俺は強く頷き、マジンカイザーと顔を合わせる。
彼にも彼女の想いは届いたようで、俺たちの決意は1つとなった。
「君はダンテに声をかけ続けろ。俺たちが……ダンテを助ける」
沙織を背中に移動させて「しっかりとしがみついてろよ」と言えば、俺は黒い手の中に飛び込み両腕の刃で手を斬りながら接近する。
マジンカイザーも隣で長剣を振るいながら、ダンテの火炎や落雷などの攻撃を剣で相殺してくれる。
「全く、思い出したくもないことを思い出すぜ‼」
「何だ?思い出したくないことって」
「おまえと戦った時のことだよ‼悪魔の力が暴走した時のおまえは……本当に厄介なことこの上なかったってんだよ‼」
「それは悪かったな‼」
火炎に雷、風、そして謎の無数の黒い手。
全てが厄介であり、1つ1つを対処するのは困難だ。
そして、近づけば段々と伝わってくる、懐かしい感覚。
ダンテ……その正体を確かめるためにも、彼をこの暴走状態から救い出さなければならない。
「一点突破して一気に畳みかける‼合わせろ、カイザー‼」
「はぁ!?おまえが俺に合わせるんだよ‼」
俺とカイザーは互いに背中合わせになり、俺は右手を、カイザーは両目を発光させて集中する。
そして、無数の黒い手に向かって白と黄色の光を放った。
「
「光子力ビーム‼」
2つの光線は渦を巻いて交わり、黒い手の過半数を消滅させた。
その隙を見失わず、俺たちは急加速してダンテに接近した。
「後ろは任せる‼俺はダンテを…‼」
「ああ、目を覚まさせてやれ‼おまえたちには指一本触れさせねぇよ‼」
カイザーブレードから2本のショルダースライサーに変えて防衛体制になり、復活しては迫ってくる黒い手を切り裂いていくマジンカイザー。
「はああぁ……ゼロ、フォーム‼」
俺は全身に意識を集中させ、ゼロフォームに転身する。
この力の使い方には慣れてきた、もう力は制御できる。
だからこそ、後ろに居る沙織を巻き込まずに破壊の力を解放する。
沙織はこんな危険な状況にありながらも、ダンテの名を呼び続ける。
その想いを届かせることが、俺の役割だ。
俺は知っている。
どれだけ力に飲み込まれようと、大切な者の声は自身に届くことを。
ゼロの鎧から白い光を放ち、円形のエネルギーフィールドを展開する。
それは悪しき者の悪しき感情を破壊するための技。
「
エネルギーは球状になり、ダンテを包み込む。
<ぐるぅぁあああああああああああああ‼‼>
白いエネルギーの中で黒いオーラが放出され、それが浄化されていく。
ダンテは頭を抱えながら苦しみだし、その目から赤い涙を流す。
「今だ‼ダンテにあんたの声を届かせろ‼」
俺はダンテの顔に接近し、沙織は身を乗り出して彼の頬に触れる。
「ダンテ、大丈夫……。落ち着いて、いつものあなたに戻って」
その声がダンテの心を救ったのか、彼の巨躯は静止する。
<さ……お……り……>
彼女の名を呼べば、ダンテの身体が徐々に小さくなっては人間程の大きさに戻って行く。
そして、全身に翼のような刺青が入った青年の姿に戻り、地面に倒れた。
俺は沙織を地面に下ろし、彼女はダンテの元にかけよって上半身を抱きかかえる。
「ダンテ……ダンテぇ‼」
俺とマジンカイザーも着地して変身を解除し、悪魔のために涙を流している少女と、その胸に抱かれて眠っている青年を見る。
「これで全てが終わった……なんて、思ってねぇよな?ゼロ」
「当然だ。ダンテ……彼の力は、俺たちと同じで危険な者だ。それを制御できるようにならなければ、今度は……」
その後のことは口にしたくなかった。
今はただ、この破壊の力で今度こそ救うことができたという余韻に浸りたい気分だった。
ダンテが落ち着いて眠りについたことで、暴風と落雷は止み、島を燃え盛っていた炎も鎮静しては消えていった。
しかし、島自体が受けた被害は深刻だろう。
ダンテ……その胸に浮かんでいる刺青の模様は、俺の見覚えのある悪魔の王の顔を彷彿とさせた。
空を見上げながら、あの時の後悔を思い出す。
「ゼノン……」
それは戦友となれたかもしれない、悲しみを抱えた魔王の名だった。
ダンテの雰囲気は、彼のものと酷似していた。
一瞬風が強く吹いて俺の横を通り過ぎて行けば、空耳か懐かしい声が囁いてきた。
<内海明人……感謝する>
ゼノン、おまえはまだ生きているのか?
それとも、彼が……。
俺たちの想像もしていない所で、新たなる運命が紡がれようとしているような気がした。
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ダンテの暴走が静まった。
それを宮殿の巨大な水晶体を通して確認するアイラ・ムー。
「遂に舞い降りたのですね、純白の悪魔、鎧の騎士。そして……目覚めし漆黒の影、魔王」
3つの力を目の当たりにし、強く目を瞑り恐怖を抑え込むアイラ。
「これはまだ、試練の始まりに過ぎないのでしょう。彼ら3人にとっての……」
デビルマン・ゼロ、マジンカイザー、魔王ダンテ。
3つの大いなる力を持つ者たちの運命が、魔戒島で交差し始める。
これは神が新たに定めた必然か、それとも予想外の奇跡が切り開いた偶然か。
感想、評価、ブックマーク登録、いつもありがとうございます。
ついに!ついにこの日が来たぁああ‼‼
デビルマン、マジンカイザー、魔王ダンテ、3つの世界のクロスオーバー‼‼
ここから物語は誰も予測できないくらい紆余曲折を経て急加速していく‼
ここまで来たら、もう誰にも止められない‼‼……はず‼