DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
目が覚めた時、俺の視界に映ったのは一面が燃え盛っている家の中だった。
その中に、俺は何も身に着けずに裸の状態で1人立っている。
「どこだ、ここ……」
いや、見覚えはあるはずだ。
ここは俺がゼロの中で何度も見た、牧村家の惨状。
それなら、ここで起きていることは…‼
「「明人……」」
その声を忘れることなど、在るはずが無かった。
後ろを振り返れば、そこには母さんと父さんが立っていた。
その姿は血に染まっており、俺を哀しむ目で見ている。
「母さん……父さん……どうして!?」
駆け寄ろうとする前に足元が崩れて前に進めなくなる。
すぐ目の前に、2人が居ると言うのに。
そして、その後ろにはあの憎き亀のデーモンが迫る。
ジンメンだ。
「母さん‼父さん‼逃げてくれ‼後ろにジンメンが‼」
俺の声は2人には届かず、じっと俺を見ている。
そして、重く低い声で俺に問いかけた。
「あなたはどうして、私たちを殺したの?」
その言葉は、俺の心臓を鷲掴みにした。
「あなたのせいで、私はジンメンに喰われたわ」
「おまえのせいで、俺はジンメンに身体を奪われ、母さんを食べることになってしまったんだ」
2人の目はどこまでも冷ややかだった。
そして、ジンメンの下品な笑い声が響き渡り、2人はジンメンの中に引きずりこまれる形で吸収されてしまった。
<キヒヒヒヒっ、全てはおまえが悪いのさ、内海明人。おまえが……おまえが居なければ、おまえの両親は俺に喰われずに済んだって言うのになぁああああ!?>
俺のせい……。
そうだ、俺のせいで2人は…‼
それでも、それを背負って生きていくと決めたんだ。
だから、こんな苦しみにも耐えて見せる。
ジンメンが崖を超えて迫ってきては、俺に襲いかかろうとする。
それを俺は片手で奴の頭を掴み、怒りの表情で握り潰した。
「それでも、俺は生きると決めたんだ。今更、こんな幻影で俺を苦しめられると思ったら、大間違いだ」
これが俺の試練なのか?だとしたら、覚悟が試されているのかもしれない。
燃える家の中を進めば、そこには多くの人間とデーモン、そしてデビルマンの死体が転がっていた。
「これは……」
「これは、おまえが殺してきた者の屍たちだ。まぁ、そうは言ってもおまえは覚えていないだろうがなぁ。何せ、暴走している時の話だ」
辺りの炎の色が赤から黒に変わる。
炎の中から現れた存在は、俺の怒りを駆り立てる者だった。
「白藤隆一!?」
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明人の意識がマテリアに入って数十分が経った時。
アイラはある異変を感じて目を見開く。
「これは…!?」
彼女は急にマテリアから離れ、頭を押さえて後ろに下がる。
「アイラ様、いかがなされました!?」
沙織がすぐに駆け寄って身体を支える。
アイラはマテリアを指さし、その手は震えている。
「い、いけません。悪しき魂が、マテリアの中に……。今、相反する魂が邂逅する時ではありません。このままでは、明人様の精神がっ…‼」
甲牙はアイラとマテリアを交互に見ては、明人をマテリアから離そうとする。
しかし、彼の手はマテリアから離れず、磁石のようにくっついている。
「何だよ……これ!?びくともしねぇぞ!?」
「マテリアと明人様が強く共鳴しているのです。そう簡単にはいきません」
「じゃあ、どうすれば良いんだよ!?このままだったら、明人がヤバいってことだろ!?」
「私が……明人様の意識を連れ戻します。手遅れになる前に」
アイラは苦汁を舐めたような表情を浮かべ、両手を広げては目を閉じて唱える。
「アイラ・ムー・ゲベート」
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俺の前に白藤が居る。
これはマテリアが見せる幻か。
白藤は不敵な笑みを浮かべては、クフフッと笑う。
「精神体とは言え、こうして会うのは久しぶりだなぁ、内海明人」
「白藤……おまえぇえ‼」
殴りかかろうとすれば、奴に手をかざされただけで動きを止められてしまう。
「っ!?」
「まぁ、そう慌てるなよ。こんな状態じゃ、互いに殺し合うなんてこともできるはずがない。……少し、話でもしようじゃないか?」
「おまえと話すことなんて、何もない‼」
怒りと共に一蹴するが、白藤は言葉を続ける。
「本当にそうか?いや、おまえは怒りに飲まれながらも気づいているはずだ。俺に対する、ある違和感に」
違和感?
そう言えば、こいつから感じるこのオーラ。
俺は1度、このオーラを夢の中で感じたことがある。
しかし、あの時よりもオーラはずっと強い。
「俺は力を手に入れたんだよ。誰にも負けない力を、バイオレンスジャック……不動明から奪ったのさ」
不動明。
その名前を聞いた途端、頭が一瞬フリーズした。
「不動明……だと?」
「そうだ。不動明は精神体となり、この世界を彷徨い続けていた。しかし、その中で俺と戦い、その力を奪われて消滅したのさ‼この俺……真の不動明、デビルマンによってな‼」
思考が追いつかない。
どういうことだ?
俺は不動明の転生者のはずだ。
しかし、白藤の言葉はまるで……。
「そう……気づいたか?内海明人。おまえだけじゃないんだよ……不動明の転生者は。そして、俺こそが彼の意志を継承した存在、白藤隆一なのだ‼」
衝撃の事実に言葉が出てこなかった。
今までの自身の見解が一気に崩れるような感覚だった。
「まさか……そんなことって!?」
「信じられないのも無理はない。しかし、これが事実なのだ。おまえは不完全体。不動明から切り離された、残りカスのような存在なんだよ」
俺の中で、白藤の言葉を全て拒絶したいという気持ちが高まる。
しかし、それができない。
俺は不完全な状態で、不動明から切り離された存在。
本当にそうならば、俺は一体何なんだ?
内海明人という存在は、一体……。
目の前に居る白藤に対して恐怖を覚え、逃げるように奴を押しのけて走り続ける。
走っても走っても、先に続くのは黒炎のみ。
その中で見つけたのは、俺を光に導いてくれる存在。
「美佐樹!?」
裸の彼女の後ろ姿を見つけ、溜まらず後ろから抱きしめる。
「俺には君が居てくれれば、それで良い。君が側に居てくれれば、それだけで……」
美佐樹はしばらく黙っていたが、フフっと笑っては口を開く。
「良かった。やっと、私を選んでくれたのね。内海明人」
聞こえてくる声は違った。
咄嗟に離れて「誰だ!?」と叫べば、振り向いた彼女の正体は柊木ツバサだった。
ツバサは両手を広げて俺に歩みより、強く抱きしめてはその豊満な胸を押し付けてくる。
「嬉しいわ、内海明人。あなたはやっぱり、同じ悪魔である私と結ばれる運命だったのよ」
「ち、違う‼離れろ‼俺は悪魔じゃない‼俺に必要なのは―――」
「いいえ、あなたは悪魔よ。そして、あなたはどう思っているかは知らないけど、彼女が必要としているのはあなたじゃないみたいよ?前世の運命で引かれ合うのは、あの2人」
ツバサの視線の先では、信じられないような光景が広がっていた。
「あぁんっ!あんっ!あんっ!あぁ~んっ‼……良いっ‼良いわ~‼」
美佐樹が白藤の上に乗り、騎乗位で自ら腰を振って悦に浸っている。
頬を紅潮させ、両胸を上下に揺らしながら激しく乱れる。
「どうだぁ?美佐樹、あの偽物のモノよりも、俺のモノの方が気持ちいいだろぉお!?」
「はぁ~んっ!あぁんっ!良い、気持ちいぃ‼……明人のより、全然っ‼……奥の奥まで、満たされるのぉ‼……もっと、もっと子宮まで、あなたのオチンチンでいっぱいにしてぇ~‼」
白藤を求める美佐樹の姿を前に、俺は拳を握って震わせる。
しかし、ツバサは俺の身体に起きている変化を見ては妖艶な笑みを浮かべる。
「あらあら、愛しい恋人が他の男に抱かれているのを見て興奮しちゃったのかしらぁ?こんなに反り立っているわよ?」
「っ…‼」
俺の反り立った肉棒を右手ではゆっくりと扱くツバサ。
「さぁ、私たちも愛し合いましょう?同じ悪魔同士……人間では得られない快感を、あなたにあげられるわぁ」
ツバサは俺の前にしゃがみ、亀頭を数回舐めては口に咥えてフェラチオを始める。
「んっ……んじゅるっ……んっ……。どう?私の口の中は生暖かくて気持ちいいかしら?」
美佐樹が白藤に犯されている所を見ながら、ツバサに奉仕されている。
何とも滑稽な光景だ。
しかし、1つだけ確かな事実がわかった。
「これは全て……まやかしだぁあああ‼‼」
両手を振るって払う動作をすれば、全てのものが崩壊しては消えていった。
残っているのは白い空間の中に俺1人。
そして、後から白藤だけが蘇っては睨みつけてきた。
「驚いたなぁ……今の光景を見て、おまえは1度自我が崩壊するくらいに壊れたはずだ」
「残念だったな、白藤。俺も美佐樹ももう、おまえが彼女に対してしたことは吹っ切れてるんだよ。おまえが何度美佐樹を抱く光景を見せようとも、俺がそれで自分を見失うことはない。俺と美佐樹は、前世の2人とは関係なく愛し合っている。身体だけでなく、心からな‼」
白藤は怒りで顔を歪ませ、その身体から黒炎が漏れ出てくる。
「おまえがいくら威勢を張ろうが、俺の口にした事実は変わらないのだ。おまえは本来生まれるはずではなかった存在なんだ‼」
その言葉を聞き、先ほどは逃げた。
だが、美佐樹の姿を望む形ではないが一目見ることができたことが救いになった。
「俺が不動明の残りカスから生まれた存在だとしても、俺が俺であることに変わりはない。俺は内海明人だ。その事実は、誰にも否定はさせない‼」
意志に呼応し、身体から強い白い光が漏れ出てくる。
その時、アイラの声が頭に響いた。
『明人様、この声が聞こえるのであれば、今すぐにマテリアから意識を戻すのです』
「……アイラ?」
声に反応して彼女の名前を呼べば、白藤の身体にノイズが入る。
「っ!?……これは!?」
空間の中に黄色い光が集束し、人の形を成してはアイラの姿になる。
「闇の帝王の力を持つ者よ、ここから立ち去りなさい。明人様は、あなたの想い通りにはなりません」
「んぐっ‼……魔戒島の防衛システムか、厄介な……」
白藤はアイラを睨みつけた後、俺を見て指さす。
「良いか、内海明人!?おまえは、不動明の残留思念が作り出した偽物に過ぎない‼俺こそが不動明なのだ‼そのことを……近いうちに思い知ることになるだろう‼」
捨て台詞を残し、白藤の姿は黒炎と共に消滅していった。
それを目に焼き付け、アイラに視線を向ける。
「今のは、本物の白藤だったのか?」
「はい。悪しき魂を持つ者、白藤隆一本人です。彼がマテリアに精神のみを送り、あなたを苦しめようとしたのでしょう。しかし……」
アイラは白い空間を見渡して薄く笑みを浮かべる。
「試練の序章には、打ち勝つことができたようですね」
「そうなのか?俺には、よくわからないけど……」
「絶望とは、自身の自覚できる『闇』。あなた自身が抱えていた絶望、それを自身で乗り越えることが試練の始まりなのです。その先にある無自覚の闇は、あなた自身が見つけて乗り越えるしかありません」
「元からそのつもりだぜ」
アイラは真剣な眼差しを受け止め「そのようですね」と言えば、身体が段々と透けていく。
「アイラ!?」
「問題ありません。精神が身体に戻るだけのことです。明人さん、あなたも……」
言われれば、俺も身体が透けてきている。
このマテリアの中で、俺は自分の絶望を乗り越えることができたことを自覚できた。
それがわかっただけでも、今は収穫としておこう。
しかし、払拭できていない問題もあることも確かだ。
柊木ツバサの存在。
彼女が口にした言葉。
俺は自分のことを無意識で悪魔だと認識しているということか?
はい、今回の話は明人くんが過去の絶望を乗り越えたことを確認するためのお話でした。
そして、精神体とはいえ白藤隆一との再会です。
彼の怒りが良からぬ方向に向かわなければ良いのですがねぇ……。
それにしても明人くん、いろんな意味で逞しくなったねぇ(あそこの大きさは例の薬の効果で11/17cmに)
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