DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
苦しい。
胸が締め付けられそうな程だ。
全身に痛みが走り、身体を動かすことができない。
いや、身体は勝手に動いている。
俺の意志に関係なく。
『はぁ……ああぁ……あぁぁあ~‼』
『あぁんっ‼あんっ!あんっ!んっ!はぁあんっ‼あぁ~~っ‼』
俺の身体を使い、何かが美佐樹を犯している。
頬を紅潮させ、汗と精液塗れになりながら、正面体位で繋がって悦を得る彼女を見ながらも、抱いているのは俺じゃない。
『ミ……サ……キイィ……。ミサキィイイイ‼』
『明人っ!明人っ!明人ぉ~~~っ‼』
止めろ、俺の声を使って美佐樹の名前を呼ぶな。
違うんだ、美佐樹。これは俺じゃない‼
美佐樹は俺の身体を両足で離さないようにホールドし、手は勝手に彼女の両胸を鷲掴みにして揉みしだく。
激しく腰を振って乱暴に犯す俺の身体と、それで悦を得ては快感を得ている美佐樹。
その腹は数十回に及ぶ子宮への射精によって、妊婦以上に膨らんでいる。
子どもができたと歓喜する美佐樹ではあるが、そうじゃない。
このままだと、美佐樹が壊れてしまう。
俺の手で、美佐樹の精神が…‼
しかし、俺の身体は止まらない。
欲望のままに、求めるままに彼女を獣欲の捌け口として犯し続ける。
そこに愛はあるのか?
『ミサキィ……アイシテル……ミサキィイイ‼』
止めろ、止めてくれ‼
『あたしもっ‼あたしも愛してるぅ‼……あぁんっ‼明人、好きよぉ~~‼大好きぃい~~~‼』
俺もだ、美佐樹。だけど、今の俺には言わないでくれ‼
『はぁ……はぁ……はぁ……あぁああ‼』
止めろ‼
『あはぁんっ‼あぁんっ‼あんっ‼……はぁあ~~~あぁ‼……イくっ‼また、イクゥ~~~‼』
ダメだ‼
獣に犯され、絶頂に達する美佐樹を前に叫んだ。
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「止めてくれぇええええ‼‼‼」
その言葉と同時に飛び起きては、息が荒くなっていた。
全身が汗だくになっており、下は……濡れてはいなかった。
「はぁ……はぁ……今のは夢……なのか?しかし……」
あの時の衝撃は、今でも覚えている。
自身の精液で汚れ、陰部から大量の精液が漏れ出ている、妊婦以上に腹を膨らませていた美佐樹の姿。
あれをやったのは俺じゃない。
俺は彼女を、あんな風にはしない。
俺のせいで、美佐樹の頭と心は壊れていたかもしれない。
あの時に聞こえた声は、ゼロのものとは違った。
だったら、あれは一体何だったんだ。
俺の中には、ゼロ以外に何かが潜んでいるとでも言うのか。
『悩んでいるようだな、明人よ』
頭の中に、聞きなじみがある方の声が聞こえてくる。
ゼロだ。
「ゼロ……俺の中には、一体何が居るんだ……?」
『わからない。私には何も感じないからな』
「おまえ以外の悪魔が、俺の中に居る……なんてことは、ありえないよな」
破壊皇ゼロだけでも、俺には手に余る存在だ。
その上もう1体の悪魔なんて、考えただけでも身震いする。
『私が思うに……あくまで客観的な意見ではあるが。明人よ、おまえの中にもう1人の何かが居る……そう思うのであれば、それはおまえ自身が自ら生み出した者やもしれん』
「俺が生み出した……何か?」
それが、アイラの言っていた無自覚の闇ということか?
闇……もう1人の俺。
あの時、美佐樹を抱いていたのは……途中から、闇だったのだとしたら。
「っ……!?」
急に頭に激痛が走れば、運命の日の翌日に見えた映像がフラッシュバックする。
漆黒の獣が、美佐樹を犯している光景。
それが、獣の姿から俺自身の姿に変わっていく。
しかし、俺の姿をしているが、その行動は欲望のままに動く獣そのものだった。
「違うっ…‼あれは俺じゃない……俺じゃないんだ‼」
怒りに任せて壁を殴れば、ヒビが入ってしまう。
『明人、落ち着くのだ。今のおまえは、冷静ではない』
「……そんなこと、ねぇよ」
荒っぽく返答し、その後に身支度を整えて部屋を出た。
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その場所は、古代ギリシャの城のような場所だった。
そこには、多くの石像が並んでおり、その道を俺は歩く。
「これは……カイザー……なのか?」
マジンカイザーの姿に似ている石像が数体、俺を導くように奥の方まで配置されている。
魔神の石像だ。
「これは全て……カイザーと同じ魔神なのか?」
奥に進めば進むほど、頭の中に段々と声が響き始める。
それは最初、魔神カイザのものだと思ったがそうじゃない。
しかし、最近聞いた覚えがある声だった。
『……待っていたぞ、魔神の力を受け継ぐ新たなる継承者よ』
城の奥で待っていたのは、黄金の巨神。
魔神カイザは、記憶の中でこう呼んでいた。
「ゼウス……なのか!?」
鎧をきしませながらこちらに顔を向ければ、優し気な笑みを浮かべる。
『ゼウス……またの名を、Zマジンガー』
「Z……マジンガー……」
名前を復唱すれば、ゼウスは魔神の石像を指さす。
『これは戦いの歴史である。魔神カイザもまた、この歴史の中に組み込まれるはずの存在であった』
「……だった?」
その言葉に引っ掛かりを覚えれば、ゼウスは言葉を続ける。
『カイザは我らにとって心強い同胞であり、その力で数々の危機を救ってくれた。ハデスやポセイドンですら、その力の真価を恐れるほどに』
ハデスやポセイドンは神の名前だ。
神を恐れさせるほどの力を持った魔神。
『まさに悪魔を滅ぼし、神を超える力を持っていたのだ。……しかし、その力を正しく使おうとしていた者がカイザであるなら、自身のために使ったのがサーガであった』
「サーガ……魔神サーガのことか!?」
カイザと同じ姿をした魔神サーガ。
確か、兄と呼んでいた。
『サーガは己が力を示すために、終焉の魔神になろうとした。究極の魔神として降臨し、自身の力を誇示しようとしたのだ』
「何で、サーガはそんなことを……」
『サーガが求めたのは、他を圧倒する絶対的な力だった。しかし、それに対してカイザは愛に目覚めた。ある人間の女を守るために、カイザは悪魔を裏切り、人間を守るために戦った。その女の名は……アルミナ・エース』
「アルミナ……っ!?」
頭の中に、急に古の記憶が流れ込んでくる。
カイザの記憶だ。
人間の女性……アルミナを愛し、彼女のために戦う姿。
しかし、彼女は……。
『カイザはサーガと戦った。お互いの存在を消し去るために。サーガは絶対の存在は自身だけで良いと思い、自身と同じ力を持つ弟を消すため。カイザは愛する者を奪った兄に復讐するために。その戦いは次元を歪めるまでに至り……神々の怒りに触れた双子の魔神は次元の彼方に追放され、神話の歴史からその名を消されたのだ』
カイザの抱えていた悲しい過去。
消すことができなかった、古の記憶。
「カイザにそんな過去が……」
『彼もまた、己の力のみで全てを守ろうとした。しかし、最強の魔神の力を持ってしても、1人では愛する者を守ることはできなかった』
ゼウスは俺にカイザの過去を話し終えた後、目を合わせてきた。
『おまえはどうだ?カイザの力を受け継ぐ者よ』
「……俺?」
『おまえは何故、カイザの力を振るう?その目的は、おまえ1人で成しえることなのか?よく考え、自身の答えを見つけ出すのだ』
俺がカイザの力を振るうのは、みんなを守れる英雄になるためだ。
だけど、それは俺1人ではできない……。
『その夢の先を見通す答えが見つかった時、魔神の力はおまえに……次元を超えて更なる力を与えるだろう。その時が来たのであれば、私もまた……』
ゼウスの声は途中から薄れていき、俺の意識は現実で覚醒し始めた。
これはダンテの暴走の翌日の夢の中でのことだった。
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明人と甲牙との特訓を終え、聖域に戻れば沙織が門の前に立っていた。
俺としては、彼女と会うのは未だに躊躇ってしまう。
だからこそ、俺なりのけじめをつけなければならない。
「……2人とも、先に言ってくれ。彼女と……沙織と、話がしたい」
2人は黙って頷き、門を通って先に聖域内に入ってくれた。
沙織は俺に歩み寄れば、目の前で立ち止まって無言で平手打ちをくらわせていた。
「んぶっ‼」
痛い……物理的にではなく、精神的に。
しかし、少し解放されたような想いもあった。
「どうして、私が今打ったと思う?」
「……俺が暴走して、おまえを殺しそうになったからだ」
「違う‼……あなたが殴ってほしそうな、情けない顔をしていたからよ」
怒りを表情でもう1度、今度は裏拳を食らわせてくる。
「んぐふっ‼」
それを俺は、黙って受け止める。
「王様なんでしょ!?そんな情けない顔して、誰がついてくるって言うのよ!?」
王。
確かに、俺は自分のことをそう呼んでいた。
記憶が無い中でも、自身は王であることは何故か自覚できた。
夢の中で言われたからではない。
魂に刻まれた、自身の称号のような気がしたのだ。
しかし、今は自分がそうであるとは思えない。
「俺は……今は、人を不幸にする魔王でしかない。だから……俺は強くなる‼自分の中の魔王に振り回されにない、真の王となるために……」
「だったら…‼」
沙織は俺の両頬をパァンッと甲高い音を立てて両手で挟んで目を合わせる。
「私を殺そうとしたことぐらいで落ち込んでる暇はないはずでしょ?私は今、生きてる。あなたのことを恨んでもいない。だから……私の前では、図々しいくらいに堂々としている、いつものダンテで居なさい」
「……俺のことを、許してくれるのか?」
「恨んではいないけど……許さない。ダンテが王になる日まで、私はダンテの側で……あなたを許すために、あなたのことをずっと見てるから」
「沙織……」
彼女は俺に顔を近づければ、息がかかるくらいの距離で止まる。
「顔、ボロボロだね」
「特訓していた……からな。それに、今、おまえにも2回打たれたから」
「……じゃあ、少しだけ……私が癒してあげる」
そう言って、沙織は俺の口にその柔らかい唇を重ねてきた。
それがどう言った意味を持つ行為なのかはわからない。
しかし、嫌では……なかった。
1分ほどして唇を離せば、沙織は離れて頬を少し紅く染めている。
自身の唇を触りながら、頭の中に疑問しか浮かばない俺。
「今のは……一体、何だ?」
「キスよ。……ダンテは私にとって特別って意味ですること」
「特別……か。そう言われれば、悪くはないな」
俺は今、沙織から生きる理由を与えられたような気がした。
彼女が俺を許してくれる日を迎えるために、俺は王になる。
それが一体どういった形の者になるのかは、今は見えてこない。
しかし、目指すべき王は彼女を苦しめる者ではないことは今決まった。
俺は魔王の力を持っている。
それでも、願うことが許されるのであれば、彼女を笑顔にできる王に俺はなりたいと、この時思った。
遂にいろいろと謎が解き明かされてきましたねぇ~。
明人の中の闇、魔神カイザの過去、ダンテの決心。
3人の試練の先に迎える未来とは。
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