DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
マテリアの中で意識を繋ぎ、天の意志を感じ取ろうとするアイラ。
精神体としての彼女は一糸まとわぬ姿だ。
その中には祭壇があり、その上で空を見上げて天命を知ろうとする。
この世界からの3人の使者が集まり、それぞれが試練に向き合おうとしている。
このまま終わるのであれば、世界が救いの道を辿ろうとしていることを証明している。
しかし、邪魔が入ろうとしているのであれば、それは運命が神の意志で修正されようとしていることを意味している。
「世界よ、どうかその意志をお示しください。我々が次に向かうべき道は一体……」
黒い雲の中で雷鳴がとどろき、3体の影が浮かぶ。
白き悪魔、デビルマン・ゼロ。
蒼き魔神、マジンカイザー。
黒き魔王、ダンテ。
それぞれの力が互いを引きつけ合い、トライアングルを作り上げる。
「これは……世界の命運を彼らが握っていることを現しているのですか。やはり、あの3人が救世主となるのですね」
アイラが確信を得れば、その背後から「それは違う」と女の声が響き渡った。
彼女が後ろを振り返れば、そこにはアイラと瓜二つの黒髪ショートカットの女が立っていた。
「アイラ……あなたはまだ、この世界は救われるべきだと思っているようね」
「当然です、ヒミコ」
ヒミコ。彼女もまた、魔戒島を守る者として生きるアイラと同じ力を持った存在である。
ヒミコは空を見上げ、払うような動作をすれば3体の影が消える。
「世界の意志など関係ない。世界は、力ある者の手で管理されるべきなのよ」
「それは争いを生み、崩壊を引き起こすだけです。あなたは何時まで、力の理想に囚われているのですか?」
「それこそが私の目覚めた真実。だからこそ、その救世の特異点は許されない存在」
「いいえ、世界を救うためにも特異点は必要な存在なのです」
特異点を必要とする者と否定する者。
両者の考えが噛み合う事はない。
「もう何千年と続くこの議論も、そろそろ終わりを迎える時が来るわ」
不敵な笑みを浮かべるヒミコに、冷や汗をかくアイラ。
「ヒミコ……あなたは一体、何をしようとしているのですか?」
「これより3日後、この魔戒島は戦場になる。悪魔の力を持つ者たちが、この島で血で血を洗う戦いを繰り広げるのだ」
ヒミコの宣戦布告を受け、アイラは目を見開く。
「あなたはっ…‼何ということを……。一体、何があなたをそこまで狂わせたというのですか!?」
「狂っているのはどちらなのか。最期まで立っていた方が正しい……。それこそが、力の歴史よ。あなたも遠い年月、世界を見てそれを痛感しているはず」
「それでも、私は生きとし生ける者たちの善意を信じます」
「この世界は悪意に満ちている。そして、それを制御できるのは力ある者のみ。それをこの戦いで証明してあげるわ」
フフフフッと黒い笑みを浮かべ、ヒミコの姿は消えた。
3日後、魔戒島が戦場になる。
悪意ある者たちが、暴れまわる。
それを止められるのは、この島には3人の特異点のみ。
空を見あげ、アイラは涙を流しながら問いかける。
「天よ!地球よ!これが、あなたの与える試練だと言うのですか!?」
その問いに答えてくれる者は誰も居ない。
傾いてしまった砂時計は、全て滴り落ちるまで止まらない。
戦いの時は、刻一刻と迫っている。
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俺と甲牙、ダンテ、沙織や他の聖域の女戦士たちはアイラの招集によって宮殿に集められ、彼女から3日後に魔戒島が外部の者からの襲撃を受けることを聞かされた。
「その外からの敵って言うのは、悪魔なのか?」
「そう……彼女、ヒミコも言っていました」
甲牙はその名を聞き、目を細める。
「あんたの話からするに、そのヒミコって奴もこの島を守る存在なんだろ?だったら、何でこの島を危険にするようなことをするんだよ?」
アイラは悲し気な表情を浮かべる。
「ヒミコは……私と同じ守り人の使命を持った者でありながら、力を求めるようになってしまいました。その理由は、世界の真実に目覚めたと言っておりましたが、私にはその真意を計ることはできませんでした。彼女が何故、力を求めるようになったのかも……」
「今はヒミコの真意を深読みするのは後にしよう。問題は、攻め込んでくる悪魔にどう対処するかだ。……大丈夫、ここには悪魔対峙のプロが2人居るんだからな」
不安感を与えないために甲牙と自分を指さして言うが、女たちの表情は晴れない。
「あんたたちがその悪魔たちと結託して、私たちを襲わないとも限らないんじゃない?」
「あぁ!?俺たちがそんなことするかよ‼バカにすんな‼」
1人の女戦士が仮定を口にすれば、甲牙がすぐに反発する。
疑うのももっともだが、今はそんなことを言っている余裕はない。
だったら、解決策は絞られてくる。
「悪魔たちに人間の武器は普通だったら通用しない。同じ悪魔の力を持った俺か、悪魔の力に対抗できる光子力を使う甲牙しか、今のところは戦えないだろう。だから……あんたたちは聖域の守りに専念してくれ」
「待て、明人。俺だって―――」
「ダンテは駄目だ。おまえはまだ、力を制御できていないだろ」
制御できない状態で偶発的に魔王の力を使おうとすれば、リスクは大きくなる。
最悪、この前の暴走の二の舞になるとも限らない。
「だったら、この3日間で戦えるようになれば良い‼」
必死に戦力になろうと訴えるダンテからは、焦りが見える。
聖域を守るためと言うのもあるだろうが、島を混乱に陥れた責任を取ろうとしているのだろう。
しかし、今の状態で3日間で使いこなせるとは思えない。
強力な力を使いこなすには、時間がかかるからだ。
俺と甲牙だって、一朝一夕でそれぞれの力を使えるようになったわけじゃない。
「焦る気持ちはわかるぜ。それでも、聖域に残って、おまえがみんなを守ってくれ。その方が俺たちだって、安心して戦える」
「甲牙……」
甲牙の一言で納得したのか「わかった」と言って下がるダンテ。
デビルマン・ゼロとマジンカイザーの力だけで防衛線に専念しなければならない。
相手の勢力がどれほどのものかはわからないが、それでもやらなければならない。
最悪の場合、ゼロの力を解放することも視野に入れる必要があるな。
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集会を終えた後。
甲牙とダンテ、他の女戦士を下がらせた後、アイラが俺と2人になる。
「申し訳ありません、明人様。このような事態の時に急ですが、お伝えしなければならないことがあります」
「どうしたんだ?アイラ。そんな改まって」
「まずは、こちらへ……」
アイラの後に続いて到着したのは、マテリアの前だった。
「何で……ここに?」
「ここでなければ、話せないことなのです。誰に聞かれているともわからないことですので」
要するに、俺にしか言えないことってことか。
アイラは少しの間思考した後、俺にある予言を伝えた。
「明人様、3日後の戦い……あの悪しき魂を持つ者が、この島の大地を踏むことになります」
「悪しき魂を持つ者って……白藤隆一のことか!?」
静かに頷くアイラ。
その表情は憂いを帯びている。
「しかし、あなたは……あの者と拳を交えてはいけません」
「……どういう意味だ?」
俺にとって、白藤との決着は宿命だと思っている。
あの男との因縁が断てるのであれば、今度の戦いで清算したいとも思う。
しかし、それに対してアイラは待ったをかけた。
「あの者は明人様にとって因縁のある相手であることは重々承知しております。しかし、それでも今は相まみえることはあってはならないのです」
「その理由、教えてくれるか?」
ここまでアイラが念押しするということは、何かわけがあるに違いない。
「3日後の戦闘において、私にはある未来が伝えられました。あなたが禍々しい獣となり、敵を喰らい殺すのです。そして、その後……あなたの心が壊れる姿を、あの男が嘲笑う声が」
獣になる俺と、それを笑う白藤。
そんなことを言われてもピンと来ない。
「善処はする。だけど、今戦えるのは俺と甲牙だけだ。白藤1人を甲牙に任せるなんてことは……できるはずがないだろ」
「でしたら、あの男と接触するのであれば必ず甲牙様と共に。特異点の引力が、天命を変えるかもしれません」
「……わかった。忠告ありがとうな、アイラ」
アイラの不安な表情はぬぐえなかったが、それでも今はやれるだけのことをやるしかない。
それに、白藤を前にして俺が怒りに支配されることは無いはずだ。
今の俺は前とは違う。
あの時の絶望はもう乗り越えている。
憤怒の悪魔になることはない。
だとしたら、アイラが危惧している獣というのは……。
「っふ、まさかな」
頭に浮かんだ最悪の姿を自分の中で否定し、俺は宮殿を出ては甲牙と共にダンテの特訓に参加した。
そして、緊張の3日間を聖域で過ごした後、予言の戦いの日を迎えた。
次の話で聖域防衛戦、始動。
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